(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グリセリン及び低級アルコールを含有し且つグリセリンに対する低級アルコールの含有質量比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)が0.1以上50以下である原料のグリセリン水溶液から濃縮グリセリンを製造する方法であって、
グリセリン水溶液を、該グリセリン水溶液に超音波を照射して水及び低級アルコールを霧化させることにより濃縮する濃縮工程を含む濃縮グリセリンの製造方法。
低級アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールから選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載された濃縮グリセリンの製造方法。
前記濃縮工程において、グリセリン水溶液中の低級アルコールの濃度が0.1質量%以上90質量%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
前記濃縮工程において、グリセリン水溶液中のグリセリンの質量に対する低級アルコールの質量の比を0.1以上50以下に維持する請求項1乃至4のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
グリセリン水溶液に添加する低級アルコールとして、超音波照射により霧化されて回収された水及び低級アルコールから得た低級アルコールを用いる請求項6に記載された濃縮グリセリンの製造方法。
グリセリン及び低級アルコールを含有し且つグリセリンに対する低級アルコールの含有質量比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)が0.1以上50以下である原料のグリセリン水溶液を濃縮する方法であって、
グリセリン水溶液を、該グリセリン水溶液に超音波を照射して水及び低級アルコールを霧化させることにより濃縮するグリセリン水溶液の濃縮方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係る濃縮グリセリンの製造方法は、所定量の低級アルコールを含有する原料のグリセリン水溶液に超音波を照射して水及び低級アルコールを選択的に霧化させることにより、グリセリン水溶液を濃縮する濃縮工程を含む。
【0014】
この本実施形態に係る濃縮グリセリンの製造方法によれば、原料のグリセリン水溶液が所定量の低級アルコールを含有し、それに超音波を照射して水及び低級アルコールを選択的に霧化させることでグリセリンの霧化を抑制することができる。そして、その結果、被処理液でのグリセリン収率の低下を抑制することができる。
【0015】
<原料グリセリン水溶液>
濃縮工程開始時における原料のグリセリン水溶液中のグリセリンの濃度は、グリセリンの霧化抑制が顕著であるという観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、また、超音波照射による霧化効率及びエネルギー消費軽減の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。
【0016】
超音波を照射する原料のグリセリン水溶液は低級アルコールを含有する。ここで、低級アルコールとは、炭素数が1〜5の脂肪族アルコールをいう。原料のグリセリン水溶液が含有する低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノール等が挙げられる。低級アルコールとして、これらのうち1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0017】
超音波を照射する原料のグリセリン水溶液中の低級アルコールの濃度は、グリセリンの霧化抑制の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0018】
超音波を照射する原料のグリセリン水溶液中のグリセリンの質量に対する低級アルコールの質量の比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)は、グリセリンの霧化抑制の観点から、0.1以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.5以上であり、また、50以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。また、上記観点から、低級アルコールの質量の比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)は0.1以上50以下であり、好ましくは0.25以上10以下であり、より好ましくは0.5以上5以下である。
【0019】
なお、超音波を照射する原料のグリセリン水溶液は、グリセリン及び低級アルコール以外に、超音波の照射によって霧化されて除去される他の成分や霧化されずに残留する他の成分を含有していてもよい。
【0020】
<超音波照射による濃縮>
濃縮工程において、グリセリン水溶液に超音波を照射すると、液面からグリセリン水溶液の液柱が立ち、その液柱から水及び低級アルコールが選択的に霧化してグリセリンが霧化しにくくなり、その結果、グリセリン水溶液が効率的に濃縮される。
【0021】
この原因としては、グリセリンの水との相互作用の低下による、霧化時のグリセリンの水との同伴の抑制が考えられる。なお、この相互作用の低下は、発明者らによるグリセリン、水、及び低級アルコールに係るクラスターについての解析の結果、見出された。
【0022】
ここで、グリセリン水溶液に照射する超音波の振動数は、超音波照射による濃縮が高効率になるという観点から、好ましくは1MHz以上、より好ましくは1.5MHz以上であり、また、超音波振動子の入手性及び経済性の観点から、好ましくは50MHz以下、より好ましくは10MHz以下である。グリセリン水溶液への超音波の照射は、グリセリン水溶液を貯留する霧化槽に設けた超音波振動子により行うことができる。
【0023】
濃縮工程において、グリセリン水溶液の温度は、水や低級アルコールの沸騰による気化の影響を低くする観点から、水の沸点(100℃)及び/又は低級アルコールの沸点よりも低いことが好ましい。具体的には、超音波照射時のグリセリン水溶液の温度は、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。また、濃縮工程において、グリセリン水溶液の温度は、超音波照射による霧化の効果を遺憾なく発揮する観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは15℃以上である。グリセリン水溶液の温度調整は、グリセリン水溶液を貯留する霧化槽に付設された温調機構により行うことができる。
【0024】
濃縮工程において、グリセリン水溶液中の低級アルコールの濃度は、濃縮工程開始時と同様、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0025】
濃縮工程において、グリセリン水溶液中の低級アルコールの濃度調整のために、グリセリン水溶液に連続的又は間欠的に低級アルコールを添加してもよい。
【0026】
このとき、グリセリン水溶液に添加する低級アルコールとして、超音波照射により霧化されて回収された水及び低級アルコールから得た低級アルコールを用いてもよい。また、グリセリン水溶液には、低級アルコールをそのまま添加しても、低級アルコールを水溶液として添加しても、どちらでもよい。さらに、グリセリン水溶液中のグリセリンの濃度が40質量%を超えると、霧化されるグリセリンが著しく少なくなることから、グリセリン水溶液中のグリセリンの濃度が40質量%を超えた際には低級アルコールの添加を停止することが好ましい。
【0027】
濃縮工程において、グリセリン水溶液中のグリセリンの質量に対する低級アルコールの質量の比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)は、濃縮工程開始時と同様、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは50以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下に維持することが望ましい。
【0028】
超音波照射によりグリセリン水溶液から霧化した液滴はキャリアガスと共に排出することができる。キャリアガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、空気、窒素ガス、その他の不活性ガス等を用いることができる。
【0029】
霧化した液滴におけるグリセリンの濃度は、グリセリンを高収率で得る観点から、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.25質量%以下である。
【0030】
超音波照射後に得られる濃縮グリセリン中のグリセリンの濃度は、超音波霧化による濃縮が高効率であるという観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また、環境負荷及び経済効率の観点から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。なお、超音波照射後に得られる濃縮グリセリンは、加熱等により水や低級アルコールを除去して更に濃縮してもよい。
【0031】
本実施形態に係る濃縮グリセリンの製造方法は回分法で行うことができる。具体的には、例えば、
図1に示すような構成の超音波霧化装置10を用い、超音波振動子11を設けた霧化槽12に低級アルコールを含有した原料のグリセリン水溶液を貯留し、そのグリセリン水溶液に超音波振動子11により超音波を照射することにより、水及び低級アルコールを選択的に霧化させ、そして、それらの霧化した水及び低級アルコールの液滴を、霧化槽12に接続したキャリアガス供給管13から供給したキャリアガスに乗せて液滴排出管14を介して排出すればよい。なお、霧化した水及び低級アルコールは、液滴排出管14に介設された回収系15を構成するサイクロン15a及び冷却器15bにより回収することができる。また、例えば、
図2に示すように、液滴排出管14における冷却器15bの下流側に水及び低級アルコールを分離する装置15cを設ければ、サイクロン15a及び冷却器15bを通過した霧化した水及び低級アルコールを回収することができる。水及び低級アルコールを分離する装置15cとしては、圧力スイング吸着(PSA)法により分離するPSAユニット、透過膜により分離する装置、静電気により分離する装置、並びにサイクロン15a及び冷却器15bを通過した霧化した水及び低級アルコールを凝集回収するための閉鎖回収室等が挙げられる。
【0032】
本実施形態に係る濃縮グリセリンの製造方法を回分法で行う場合、
図3に示すように、原料槽16から霧化槽12に延びる原料供給管17及び霧化槽12から原料槽16に延びる戻り管18を介して、原料槽16と霧化槽12との間で低級アルコールを含有したグリセリン水溶液を循環させながら霧化槽12においてグリセリン水溶液に超音波を照射してもよい。
【0033】
本実施形態に係る濃縮グリセリンの製造方法は半回分式で行うことができる。具体的には、例えば、
図4に示すように、原料槽16から霧化槽12に延びる原料供給管17を介して霧化槽12に連続的に又は間欠的に低級アルコールを含有した原料のグリセリン水溶液を供給しつつ、霧化槽12においてグリセリン水溶液に超音波を照射してもよい。
【0034】
本実施形態に係る濃縮グリセリンの製造方法は連続式で行うことができる。具体的には、例えば、
図5に示すように、原料槽16から霧化槽12に延びる原料供給管17を介して霧化槽12に連続的に低級アルコールを含有した原料のグリセリン水溶液を供給しつつ、霧化槽12においてグリセリン水溶液に超音波を照射し、霧化槽12から延びる製品回収管19を介して連続的に濃縮グリセリンを回収してもよい。
【0035】
霧化した水及び低級アルコールから得た低級アルコールをグリセリン水溶液に添加してもよい。その場合、サイクロン15a及び冷却管15bを用いて霧化した水及び低級アルコールから低級アルコールを回収し、原料槽16内及び/又は霧化槽12内のグリセリン水溶液に供給すればよい。また特開2001−314724号公報に記載されているように、霧化した水及び低級アルコールは邪魔板を設けた閉鎖回収室で凝集させて回収してもよい。
【0036】
また、低級アルコールを霧化した水及び低級アルコールを回収し、それから蒸留法、PSA法、静電気若しくは透過膜を用いて分離する方法等により抽出した低級アルコール或いはそれを濃縮した低級アルコール水溶液を、原料槽16内及び/又は霧化槽12内のグリセリン水溶液に供給してもよい。
【0037】
上述した実施形態に関し、更に以下の濃縮グリセリンの製造方法及びグリセリン水溶液の濃縮方法を開示する。
【0038】
<1>グリセリン及び低級アルコールを含有し且つグリセリンに対する低級アルコールの含有質量比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)が0.1以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.5以上であり、また、50以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である原料のグリセリン水溶液から濃縮グリセリンを製造する方法であって、グリセリン水溶液を、該グリセリン水溶液に超音波を照射して水及び低級アルコールを霧化させることにより濃縮する濃縮工程を含む濃縮グリセリンの製造方法。
【0039】
<2>前記濃縮工程開始時における原料のグリセリン水溶液中のグリセリンの濃度が、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、また、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である前記<1>に記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0040】
<3>低級アルコールとして、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールから選択される1種又は2種以上を用いる前記<1>又は<2>に記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0041】
<4>前記濃縮工程において、グリセリン水溶液中の低級アルコールの濃度が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である前記<1>乃至<3>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0042】
<5>前記濃縮工程において、グリセリン水溶液の温度が、水の沸点及び/又は低級アルコールの沸点よりも低い前記<1>乃至<4>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0043】
<6>前記濃縮工程において、グリセリン水溶液中のグリセリンの質量に対する低級アルコールの質量の比を、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは50以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下に維持する前記<1>乃至<5>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0044】
<7>前記濃縮工程において、グリセリン水溶液に連続的又は間欠的に低級アルコールを添加する前記<1>乃至<6>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0045】
<8>グリセリン水溶液に添加する低級アルコールとして、超音波照射により霧化されて回収された水及び低級アルコールから得た低級アルコールを用いる前記<7>に記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0046】
<9>グリセリン水溶液に、低級アルコールを、水溶液として添加する前記<7>又は<8>に記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0047】
<10>グリセリン水溶液中のグリセリンの濃度が40質量%を超えた際に低級アルコールの添加を停止する前記<7>乃至<9>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0048】
<11>前記濃縮工程において、グリセリン水溶液に照射する超音波の振動数が、好ましくは1MHz以上、より好ましくは1.5MHzであり、また、好ましくは50MHz以下、より好ましくは10MHz以下である前記<1>乃至<10>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0049】
<12>前記濃縮工程において、グリセリン水溶液の温度が、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下であり、また、好ましくは0℃以上、より好ましくは15℃以上である前記<1>乃至<11>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0050】
<13>超音波照射後に得られる濃縮グリセリン中のグリセリンの濃度が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である前記<1>乃至<12>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0051】
<14>超音波照射によるグリセリン水溶液の濃縮を、回分式、半回分式、又は連続式で行う前記<1>乃至<14>のいずれかに記載された濃縮グリセリンの製造方法。
【0052】
<15>グリセリン及び低級アルコールを含有し且つグリセリンに対する低級アルコールの含有質量比(低級アルコールの質量/グリセリンの質量)が0.1以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.5以上であり、また、50以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である原料のグリセリン水溶液を濃縮する方法であって、グリセリン水溶液を、該グリセリン水溶液に超音波を照射して水及び低級アルコールを霧化させることにより濃縮するグリセリン水溶液の濃縮方法。
【実施例】
【0053】
図3に示す構成の超音波霧化装置(超音波振動子の振動周波数:2.4MHz、出力15W一定)を用いて実施例1〜5及び比較例1〜2のグリセリン水溶液の濃縮を行った。それぞれの内容については表1にも示す。
【0054】
<実施例1>
グリセリン9.4質量%、メタノール44.0質量%、及び残部の水46.6質量%のグリセリン水溶液503.2gを超音波霧化装置の原料槽に仕込み、グリセリン水溶液の温度を30℃に調温して原料槽と霧化槽との間を原料供給管及び戻り管を介して循環させながら、回分式で超音波霧化による濃縮を20分間行った。霧化槽にはキャリアガスとして窒素を2.3m
3/hrで吹き込み、回収系を通過したキャリアガスは大気へ放出した。尚、回収系の冷却管には−5℃の不凍液を通水させた。
【0055】
そして、液滴排出管から排出された液滴のうち回収されたものの質量及びそこに含まれる各成分の濃度を測定した。また、霧化槽内の濃縮されたグリセリン水溶液の質量及びそこに含まれる各成分の濃度を測定した。さらに、液滴排出管から排出された液滴のうち回収系を通過してキャリアガスと同伴して大気へ放出された液滴分の質量及びそこに含まれる各成分の濃度を物質収支に基づいて算出した。
【0056】
なお、液滴及び濃縮されたグリセリン水溶液の中のグリセリン及び低級アルコールの濃度は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって測定した(以下同様)。
【0057】
また、100%からグリセリン及び低級アルコールの濃度の合計量を差し引いた値を水分量とした。
【0058】
測定条件は次の通りとした。
・装置名:LaChrom Elite (HITACHI社製)
・カラム:ICSep ICE-ION-300
・溶離液:0.0085規定 硫酸、0.4mL/min
・検出法:RI(HITACHI、L-2490)
・カラム温度:40℃
・注入液量:20μL
・保持時間:40min
回収された液滴の質量は27.3g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は0.3質量%、メタノールの濃度は56.6質量%、及び水の濃度は43.1質量%であった。
【0059】
濃縮されたグリセリン水溶液の質量は446.7g、及びそこに含まれるグリセリンの濃度は10.6質量%であった。
【0060】
大気へ放出された液滴の質量は29.2gであり、それは100質量%メタノールであると算出された。従って、液滴全量中にはグリセリンが0.1質量%含まれていたと算出される。
【0061】
<実施例2>
グリセリン18.8質量%、メタノール38.3質量%、及び残部の水42.9質量%のグリセリン水溶液503.3gを用い、超音波霧化による濃縮を21分間行ったことを除いて実施例1と同様の操作を行った。
【0062】
回収された液滴の質量は21.0g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は0.2質量%、メタノールの濃度は56.2質量%、及び水の濃度は43.6質量%であった。
【0063】
濃縮されたグリセリン水溶液の質量は429.5g、及びそこに含まれるグリセリンの濃度は21.6質量%であった。
【0064】
大気へ放出された液滴の質量は52.8g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は0質量%、メタノールの濃度は92.9質量%、及び水の濃度は7.1質量%と算出された。従って、液滴全量中にはグリセリンが0.1質量%含まれていたと算出される。
【0065】
<実施例3>
グリセリン19.7質量%、エタノール40.2質量%、及び残部の水40.1質量%のグリセリン水溶液484.5gを用い、超音波霧化による濃縮を15分間行ったことを除いて実施例1と同様の操作を行った。
【0066】
回収された液滴の質量は24.5g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は0質量%、エタノールの濃度は65.2質量%、及び水の濃度は34.8質量%であった。
【0067】
濃縮されたグリセリン水溶液の質量は443.5g、及びそこに含まれるグリセリンの濃度は21.5質量%であった。
【0068】
大気へ放出された液滴の質量は16.6gであり、それは100質量%エタノールであると算出された。従って、液滴全量中にグリセリンは含まれていなかった。
【0069】
<実施例4>
グリセリン21.5質量%、1−プロパノール37.3質量%、及び残部の水41.2質量%のグリセリン水溶液490.7gを用い、超音波霧化による濃縮を30分間行ったことを除いて実施例1と同様の操作を行った。
【0070】
回収された液滴の質量は28.0g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は0質量%、1−プロパノールの濃度は50.6質量%、及び水の濃度は49.4質量%であった。
【0071】
濃縮されたグリセリン水溶液の質量は441.9g、及びそこに含まれるグリセリンの濃度は23.8質量%であった。
【0072】
大気へ放出された液滴の質量は20.8g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は0質量%、1−プロパノールの濃度は82.4質量%、及び水の濃度は17.6質量%と算出された。従って、液滴全量中にグリセリンは含まれていなかった。
【0073】
<比較例1>
グリセリン9.6質量%及び残部の水90.4質量%のグリセリン水溶液500.0gを用い、超音波霧化による濃縮を30分間行ったことを除いて実施例1と同様の操作を行った。
【0074】
回収された液滴の質量は6.4g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は5.9質量%及び水の濃度は94.1質量%であった。
【0075】
濃縮されたグリセリン水溶液の質量は474.6g、及びそこに含まれるグリセリンの濃度は10.0質量%であった。
【0076】
大気へ放出された液滴の質量は19.0gであり、それは100質量%水であると算出された。従って、液滴全量中にはグリセリンが1.5質量%含まれていたと算出される。
【0077】
<比較例2>
グリセリン19.8質量%及び残部の水80.2質量%のグリセリン水溶液501.6gを用い、超音波霧化による濃縮を30分間行ったことを除いて実施例1と同様の操作を行った。
【0078】
回収された液滴の質量は3.9g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は8.6質量%及び水の濃度は91.4質量%であった。
【0079】
濃縮されたグリセリン水溶液の質量は476.0g、並びにそこに含まれるグリセリンの濃度は20.4質量%であった。
【0080】
大気へ放出された液滴の質量は21.7gであり、それは100質量%水であると算出された。従って、液滴全量中にはグリセリンが1.3質量%含まれていたと算出される。
【0081】
上記の実施例及び比較例から、本発明の範囲では回収された液滴にはグリセリンがほとんど含まれず、グリセリン水溶液を効率良く濃縮できることが分かる。さらに、大気へ表出された液滴中の低級アルコール含有量はいずれも80%を超えており、これをPSA法や膜分離法を用いて回収すれば、濃縮工程に使用することができる。
【0082】
【表1】