特許第5967939号(P5967939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967939
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】液体供給装置の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20060101AFI20160728BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20160728BHJP
   G01F 15/08 20060101ALI20160728BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20160728BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G01F1/00 M
   B24B57/02
   G01F1/00 G
   G01F1/00 X
   G01F15/08
   B24B37/00 K
   H01L21/304 622E
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-2505(P2012-2505)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-142592(P2013-142592A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高田 直人
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−119643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容した供給タンクと、該供給タンク内の液体が供給される貯留タンクと、一端が該供給タンク内に他端が該貯留タンクに挿入された供給管と、該供給管の途中に配設されて該液体を該貯留タンクへと送出するポンプ及び該供給管内を流れる該液体の流量を測定する流量センサーと、該貯留タンクに流入する直前の該供給管に配設された液体検出センサーと、を備えた液体供給装置において、該供給管の一端が液面から露出後に再度液体に挿入する場合、該供給管への気泡混入による該流量センサーの測定不良を防ぐための液体供給装置の管理方法であって、
該供給管の一端が液面から露出した後に、該供給管の一端が再度液面に挿入された時に、該ポンプによって該供給管内の該液体を逆流させて全て排出する液体排出ステップと、
該液体排出ステップを実施した後、該ポンプによって該液体を該供給管内に再度吸引する液体吸引ステップと、を備え、
該流量センサーは該液体検出センサーが吸い上げられた該液体を検出した後に測定を再開することを特徴とする液体供給装置の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を供給する混合液供給装置に関する。さらに詳しくは、半導体ウエーハ等の被加工物を研磨する研磨装置に研摩液を供給するための研摩液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハ等板状物を、砥粒と液体からなるスラリーと研磨布を用いて研磨し、表面を精度良く平坦にするCMP装置(特許文献1参照)や、砥粒と液体の混合液を高圧で噴射することで被切断物を切断するウォータージェットなどの砥粒と液体からなる混合液を使用する装置には、混合液を供給する混合液供給装置(特許文献2参照)が備えられている。
【0003】
こうした混合液供給装置は、通常、純水と研磨剤を高濃度で含有する研磨剤原液とを混合タンクで混合し、これらの混合液としてのスラリーを各種加工装置に供給している。スラリーは、様々な目的によって調整されており、その一つとして添加剤を混入し、砥粒の凝集や分散を促進させるなどの効果を得ている。添加剤の一例としては、過酸化水素水やシリコーンオイル等があげられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−326200号公報
【特許文献2】特開2011−143508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした添加剤は、研磨剤原液及び純水に比較して必要な量が非常に少なく、特には20Lのスラリーに対して5mlなどという微量である場合がある。こうした流量を配管内で流しながら正確に測定できる流量センサーが現在流通しているが、正確に測定を実施するためには流量センサーを正しく使用することが重要となる。例えば、配管内に気泡が入ることにより正確な流量の測定が難しくなるという問題が生じる。気泡の混入は比較的発生しやすい事例であり、例えば、添加剤を収容したタンクに挿入した配管を添加剤の液面から取り出して再度戻す、といった取扱だけでも配管に気泡が流入してしまう。これは、添加剤を収容したタンクを交換する際には必ず実施する作業であるために、大きな問題であった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体の流量を正確に測定することを可能とする液体供給装置の管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1記載の本発明に係る液体供給装置の管理方法は、液体を収容した供給タンクと、該供給タンク内の液体が供給される貯留タンクと、一端が該供給タンク内に他端が該貯留タンクに挿入された供給管と、該供給管の途中に配設されて該液体を該貯留タンクへと送出するポンプ及び該供給管内を流れる該液体の流量を測定する流量センサーと、該貯留タンクに流入する直前の該供給管に配設された液体検出センサーと、を備えた液体供給装置において、該供給管の一端が液面から露出後に再度液体に挿入する場合、該供給管への気泡混入による該流量センサーの測定不良を防ぐための液体供給装置の管理方法であって、該供給管の一端が液面から露出した後に、該供給管の一端が再度液面に挿入された時に、該ポンプによって該供給管内の該液体を逆流させて全て排出する液体排出ステップと、該液体排出ステップを実施した後、該ポンプによって該液体を該供給管内に再度吸引する液体吸引ステップと、を備え、該流量センサーは該液体検出センサーが吸い上げられた該液体を検出した後に測定を再開することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体供給装置の管理方法によると、供給管に気体が侵入してしまう場面において、供給管内の液体を一度全て排出して再度液体を吸引するため、供給管の吸引口付近に混入してしまった気泡を確実に排出し、流量センサーの測定不良を防ぐことができる。さらに、再度吸引した液体が送出先の直前まで吸引されたことを液体検出センサーで検出後、流量センサーによる測定を再開するため、微量な液体の流量検出が可能な流量センサーの活用が可能となり、正確な量の液体を供給できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る混合液供給装置の構成を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る混合液供給装置の添加剤供給手段の構成を示す図である。
図3図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。
図4図4は、本実施形態に係る混合液供給装置による供給管への気泡混入による流量センサーの測定不良を防ぐ管理方法のフローを示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る混合液供給装置の供給タンクを供給管から取り外した状態を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る混合液供給装置の供給タンク内の供給管の一端から気泡が侵入する状態を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る混合液供給装置の流量センサーの正常な検出状態を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る混合液供給装置の検出管内に気泡が侵入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
図1は、実施形態に係る混合液供給装置の構成を示す説明図である。図2は、実施形態に係る混合液供給装置の添加剤供給手段の構成を示す図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。
【0012】
実施形態にかかる混合液供給装置(液体供給装置に相当する)1は、例えば、液体供給源10から供給される液体と研磨剤原液タンク3から供給される研磨剤原液8とを混合タンク4で混合して作製したスラリー(混合液に相当する)11をCMP装置やウォータージェットなどの加工装置2に供給するものである。混合液供給装置1は、図1に示すように、研磨剤原液タンク3と、貯留タンクとしての混合タンク4と、貯留タンク5と、添加剤供給手段6と、制御手段7などを含んで構成されている。
【0013】
研磨剤原液タンク3は、純水、酸・アルカリ溶液などの液体と、SiO2、Al2O3、CeO2、Mn2O3、ダイヤモンド粒子などの研磨剤(砥粒ともいう)とが混合された濃度の高い研磨剤原液8を収容するものである。また、研磨剤原液タンク3には排出管9が連結し、研磨剤原液タンク3は、排出管9を介して研磨剤原液8を外部に排出する。なお、排出管9には、開閉弁18が設けられている。
【0014】
混合タンク4は、液体供給源10から供給される純水などの液体と、研磨剤原液タンク3から供給される研磨剤原液8等を混合して、スラリー11を作製するものである。混合タンク4には、研磨剤原液タンク3内の研磨剤原液8が配管12を介して供給されるとともに、液体供給源10からの液体が配管13を介して供給される。また、混合タンク4には、添加剤供給手段6の後述する供給タンク41内の液体としての添加剤40が供給される。混合タンク4は、内部に図示しない攪拌装置が設置されている。混合タンク4は、攪拌装置により研磨剤原液8、純水などの液体及び添加剤40を攪拌して、濃度が希釈された一様濃度のスラリー11を作製して収容する。
【0015】
なお、配管12には、研磨剤原液タンク3から順にポンプ14及び開閉弁15が設けられている。一方、配管13には、液体供給源10から順に開閉弁16及び流量調整弁17が設けられている。また、混合タンク4の底部には、三方弁21とポンプ23と開閉弁26とが設けられた配管20が連結している。三方弁21には、排出管9に連結された分岐排出管22が連結して、混合タンク4は、配管20、三方弁21、分岐排出管22及び排出管9を介してスラリー11を外部に排出する。
【0016】
貯留タンク5は、混合タンク4で作製したスラリー11を加工装置2に供給する前に貯留するものである。貯留タンク5は、配管20を介して、スラリー11が供給される。そして、貯留タンク5は、供給されたスラリー11を収容する。
【0017】
また、貯留タンク5の底部には配管30が連結され、貯留タンク5は、配管30を介して、加工装置2にスラリー11を供給する。なお、配管30には、貯留タンク5から順に三方弁32、ポンプ33が設けられている。三方弁32には、排出管9に連結された分岐排出管36が連結して、貯留タンク5は、配管30、三方弁32、分岐排出管36及び排出管9を介してスラリー11を外部に排出する。
【0018】
添加剤供給手段6は、混合タンク4に液体としての添加剤40を供給(滴下)するものである。添加剤40は、スラリー11に対して微量添加されて、砥粒の凝集や分散を促進させるものである。添加剤40は、例えば、数Lのスラリー11に対して、数cc添加される。添加剤として、過酸化水素水、シリコーンオイルなどを用いることができる。
【0019】
添加剤供給手段6は、図2に示すように、供給タンク41と、供給管42と、ポンプ43と、流量センサー44と、液体検出センサー45と、液面検出センサー46とを含んで構成されている。
【0020】
供給タンク41は、添加剤40を収容したものである。供給管42は、一端42aが供給タンク41内に他端が混合タンク4内に挿入されている。供給管42は、透光性を有する材料で構成されている。ポンプ43は、供給管42の途中に配設されて、供給タンク41内の添加剤40を混合タンク4へと送出するものである。また、ポンプ43は、供給管42内の添加剤40を供給タンク41に逆流させることもできる。
【0021】
流量センサー44は、供給管42の途中に配設されて、供給管42内を流れる添加剤40の流量を測定するものである。流量センサー44は、図7及び図8に示すように、筐体47と、筐体47内に配設されかつ供給管42に連結された検出管48とを含んで構成されている。流量センサー44は、添加剤40の流量に応じて発生するコリオリの力による検出管48のねじれ角を測定する、所謂コリオリ式の流量センサーである。流量センサー44は、検出管48のねじれ角即ち供給管42内を流れる添加剤40の流量を示す情報を制御手段7に出力する。
【0022】
液体検出センサー45は、混合タンク4に流入する直前の供給管42に添加剤40が流れているか否かを測定するものである。液体検出センサー45は、混合タンク4に流入する直前の供給管42に配設されている。液体検出センサー45は、図3に示すように、固定金具49により供給管42に取り付けられる筐体50と、筐体50内に配設された発光素子51及び受光素子52を含んで構成されている。発光素子51と、受光素子52とは、互いに相対している。液体検出センサー45は、発光素子51から発光されて供給管42を透って受光素子52に受光された光の強さを測定する、所謂光学式の液体検出センサーである。液体検出センサー45は、受光素子52に受光された光の強さを示す情報即ち混合タンク4に流入する直前の供給管42に添加剤40が流れているか否かを示す情報を制御手段7に出力する。
【0023】
液面検出センサー46は、供給タンク41内の添加剤40の液面40aの位置を検出するものである。液面検出センサー46は、基端部が供給タンク41の上部に取り付けられ、かつ先端部が供給タンク41内に挿入されている。液面検出センサー46は、供給タンク41内の添加剤40の誘電率と、空気の誘電率との差を測定する、所謂静電容量式の液面検出センサーである。液面検出センサー46は、供給タンク41内の添加剤40の誘電率と空気の誘電率との差を示す情報即ち供給タンク41内の添加剤40の液面40aの位置を示す情報を制御手段7に出力する。
【0024】
また、前述した排出管9、配管12,13,20,30、分岐排出管22,36、開閉弁15,16,18,26、流量制御弁17、三方弁21,32、ポンプ14,23,43、タンク3,4,5,41、供給管42、流量センサー44、液面検出センサー46は、耐薬品性を有するものである。
【0025】
制御手段7は、混合液供給装置1及び添加剤供給手段6を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。また、制御手段7は、加工装置2に対するスラリー11の供給動作を混合液供給装置1に行なわせるものである。さらに、制御手段7は、混合タンク4への添加剤40の供給動作を添加剤供給手段6に行わせ、スラリー11の作製動作を混合液供給装置1に行なわせるものである。なお、制御手段7は、例えば、CPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されており、供給動作の状態を表示する表示手段、オペレータが作業内容情報を登録する際に用いる操作手段及びオペレータに異常を知らせる報知手段と接続されている。
【0026】
次に、本実施形態に係る混合液供給装置1の加工装置2に対するスラリー11の供給動作について説明する。制御手段7は、開閉弁15,16を開き、流量制御弁17を所定の開度で開いて、ポンプ14及びポンプ43を駆動する。制御手段7は、所定量の研磨剤原液8を研磨剤原液タンク3から混合タンク4に供給し、所定量の純水などの液体を液体供給源10から混合タンク4に供給するとともに、所定量の添加剤40を供給タンク41から混合タンク4に供給する。このとき、制御手段7は、流量センサー44が検出した情報に基づいて、ポンプ43を制御して、混合タンク4内に供給する添加剤40の量を制御する。制御手段7は、混合タンク4内の攪拌装置を駆動して、純水などの液体、研磨剤原液8及び添加剤40を混合して、スラリー11を作製する。
【0027】
その後、制御手段7は、三方弁21の開放方向を制御し、開閉弁26を開いて、ポンプ23を駆動して、混合タンク4内のスラリー11を貯留タンク5に供給する。こうして、貯留タンク5内にスラリー11を一旦貯留する。さらに、制御手段7は、三方弁32の開放方向を制御し、ポンプ33を駆動して、配管30を介して、貯留タンク5内のスラリー11を加工装置2に供給する。また、制御手段7は、混合タンク4でのスラリー11の作製及び混合タンク4から貯留タンク5へのスラリー11の供給を必要に応じて行なう。
【0028】
次に、本実施形態に係る混合液供給装置1の供給管42への気泡混入による流量センサー44の測定不良を防ぐための混合液供給装置1の管理方法について説明する。図4は、本実施形態に係る混合液供給装置による供給管への気泡混入による流量センサーの測定不良を防ぐ管理方法のフローを示す図である。図5は、本実施形態に係る混合液供給装置の供給タンクを供給管から取り外した状態を示す図である。図6は、本実施形態に係る混合液供給装置の供給タンク内の供給管の一端から気泡が侵入する状態を示す図である。図7は、本実施形態に係る混合液供給装置の流量センサーの正常な検出状態を示す図である。図8は、本実施形態に係る混合液供給装置の検出管内に気泡が侵入した状態を示す図である。
【0029】
本実施形態に係る混合液供給装置1では、供給タンク41内の添加剤40が少なくなると、十分な量の添加剤40を収容した新たな供給タンク41に交換する。交換の際には、添加剤40が少なくなった供給タンク41を供給管42の一端42aから取り外した後、十分な量の添加剤40を収容した供給タンク41を供給管42の一端42aに取り付ける。また、混合液供給装置1では、供給タンク41を供給管42の一端42aから取り外して、オペレータが供給タンク41内を確認した後に、供給タンク41を供給管42の一端42aに取り付けることがある。この交換の際などに、図5に示すように、一端42aから供給管42へ気泡Kが混入する。また、混合液供給装置1では、供給タンク41内の添加剤40が殆ど無くなって、供給管42の一端42aが添加剤40の液面40aから露出した場合、図6に示すように、一端42aから供給管42へ気泡Kが混入する。
【0030】
要するに、混合液供給装置1では、供給管42の一端42aが添加剤40の液面40aから露出した後に再度添加剤40に挿入する場合、一端42aから供給管42へ気泡Kが混入する。図8に示すように、混入した気泡Kが検出管48内に差し掛かると、流量センサー44は、供給管42内の添加剤40の流量を正確に測定することが困難となる測定不良を生じる。
【0031】
まず、制御手段7は、供給タンク41が供給管42の一端42aから取り外されると、流量センサー44による供給管42内の添加剤40の流量測定を禁止し、供給タンク41が供給管42の一端42aに再度取り付けられたか否かを判断する(図4中のステップST1)。次に、制御手段7は、供給タンク41が供給管42の一端42aに再度取り付けられたと判断する(ステップST1肯定)と、供給管42内の添加剤40を供給タンク41内に排出するように、ポンプ43を駆動する(ステップST2)。このとき、制御手段7は、供給管42内の添加剤40の全てを供給タンク41に排出するのに十分な時間、ポンプ43を駆動する。このように、ステップST2は、供給管42の一端42aが添加剤40の液面40aから露出した後に、ポンプ43によって供給管42内の添加剤40を逆流させて全て供給タンク41に排出する液体排出ステップに相当する。なお、制御手段7は、供給タンク41が供給管42の一端42aに再度取り付けられていないと判断する(ステップST1否定)と、供給タンク41が供給管42の一端42aに再度取り付けられるまで、ステップST1を繰り返す。
【0032】
制御手段7は、ステップST2を実施した後、供給タンク41内の添加剤40を供給管42に再度吸引するように、ポンプ43を駆動する(ステップST3)。このように、ステップST3は、液体排出ステップに相当するステップST2を実施した後、ポンプ43によって供給タンク41内の添加剤40を供給管42内に再度吸引する液体吸引ステップに相当する。すると、供給タンク41内の添加剤40は、供給管42内を混合タンク4に向かって移動する。
【0033】
次に、制御手段7は、液体検出センサー45からの情報に基づいて、混合タンク4に流入する直前の供給管42に添加剤40が流れているか否かを判断する(ステップST4)。制御手段7は、混合タンク4に流入する直前の供給管42に添加剤40が流れていると判断する(ステップST4肯定)と、ポンプ43を停止し、流量センサー44による供給管42内の添加剤40の流量測定を再開する(ステップST5)。また、制御手段7は、混合タンク4に流入する直前の供給管42に添加剤40が流れていないと判断する(ステップST4否定)と、混合タンク4に流入する直前の供給管42に添加剤40が流れるまで、ステップST4を繰り返す。このように、ステップST4とステップST5は、液体検出センサー45が供給管42内の吸い上げられた添加剤40を検出した後に流量センサー44の測定を再開する測定再開ステップに相当する。こうして、ステップST4とステップST5とにより、混合液供給装置1では、流量センサー44は液体検出センサー45が供給管42内の吸い上げられた添加剤40を検出した後に測定を再開する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る混合液供給装置1の管理方法によると、供給管42に気泡Kが侵入してしまう場面において、供給管42内の添加剤40を一度全て供給タンク41内に排出して、再度供給タンク41から添加剤40を吸引する。このために、供給管42の一端42a付近に混入してしまった気泡Kを確実に供給管42外に排出するので、図7に示すように、流量センサー44の検出管48内には常に添加剤40で満たされる。したがって、混合液供給装置1の管理方法によると、流量センサー44の測定不良を防ぐことができる。さらに、混合液供給装置1の管理方法によると、再度吸引した添加剤40が送出先の混合タンク4の直前まで吸引されたことを液体検出センサー45で検出後、流量センサー44による測定を再開する。このために、微量な添加剤40の流量検出が可能な流量センサー44の活用が可能となり、正確な量の添加剤40を供給できるという効果を奏する。
【0035】
なお、上述した実施形態では、液体供給源10、研磨剤原液タンク3、混合タンク4、貯留タンク5、加工装置2を配管12,20,13,30などにより上述したように連結しているが、本発明では、これに限定されることはなく、本発明の主旨を実現できる範囲内で液体供給源10、研磨剤原液タンク3、混合タンク4、貯留タンク5、加工装置2などの接続状態を適宜変更しても良い。
【0036】
また、上述した実施形態では、混合タンク4内に液体としての添加剤40を供給する混合液供給装置1をしているが、本発明は、これに限定されることなく、種々の用途に用いられる貯留タンクに、種々の液体を供給する液体供給装置に適用しても良いことは勿論である。また、本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を研磨するである研磨装置(加工装置2に相当する)に研摩液(混合液に相当する)を供給するための研摩液供給装置(混合液供給装置1に相当する)に適用するのが望ましい。
【0037】
さらに、本発明では、流量センサーとして、コリオリ式の流量センサーに限らず、超音波式や電磁式などの種々の方式の流量センサーを用いても良い。特に、本発明は、気泡Kにより測定不良が生じやすい超音波式や電磁式の流量センサーを用いると有効である。また、本発明では、液面検出センサーとして、静電容量式の液面検出センサーに限らず、種々の方式の液面検出センサーを用いても良く、液体検出センサーとして、光学式の液体検出センサーに限らず、種々の方式の液体検出センサーを用いても良い。さらに、上述した実施形態では、液面検出センサーとして、供給タンク41内の添加剤40に浸漬される静電容量式の液面検出センサー46を用いている。しかしながら、本発明では、液面検出センサーとして、添加剤40に浸漬されることなく、供給タンク41の外側に配置される静電容量式の液面検出センサーを用いても良い。この場合、液面検出センサーは、検出したい液面40aの高さを検出できるように、供給タンク41の両脇に配置されるのが望ましい。また、この場合、液面検出センサーが、添加剤40と接触しないために、添加剤40及びスラリー11の種類が変更されたり、添加剤40及びスラリー11が変質した場合にも、液面検出センサーをその都度洗浄する必要が生じない。
【0038】
また、上述した実施形態では、供給タンク41を供給管42の一端42aに取り付けると、図4に示されたフローを実行しているが、本発明では、これに限定されず、操作手段からのオペレータの操作により、図4に示されたフローを実行しても良い。さらに、上述した実施形態では、供給タンク41を供給管42の一端42aから取り外した後、再度取り付けた場合に、図4に示されたフローを実行している。しかしながら、本発明では、供給管42の一端42aに取り付けられたままの供給タンク41に添加剤40を供給した場合にも、図4に示されたフローを実行しても良い。要するに、本発明でいう、供給管42の一端42aが液面40aから露出後に再度液体に挿入する場合とは、供給管42の一端42aから気泡Kが侵入する場合をいう。
【符号の説明】
【0039】
1 混合液供給装置(液体供給装置)
4 混合タンク(貯留タンク)
40 添加剤(液体)
40a 液面
41 供給タンク
42 供給管
42a 一端
43 ポンプ
44 流量センサー
45 液体検出センサー
K 気泡
ST2 液体排出ステップ
ST3 液体吸引ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8