(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
渦電流センサは、被検出体とセンサヘッドとの間の距離(ギャップ)を測定するために広く使用されており、高検出感度のものに共振型の渦電流センサがある。共振型の渦電流センサには、センサヘッドのインダクタンス素子(コイル)によるインピーダンスとアンプ回路内の容量素子(コンデンサ)で共振回路を形成し、特定のギャップ近傍での測定感度を大幅に増加させ、高精度でのギャップ測定を可能にしている。
【0003】
図1は、共振型の渦電流センサの概略構成を示す図である。
センサヘッド10の2個の端子は、同軸ケーブル20により、アンプ回路30の端子31および32に接続される。アンプ回路30内では、端子31は、アンプ容量素子C1を介して、および直列に接続された補助容量素子C2および発振回路33を介して、グランドに接続される。端子32は、グランドに接続される。
【0004】
図2は、
図1の共振型の渦電流センサの回路構成を示す図である。
センサヘッド10は、内部にインダクタンス素子(コイル)LSを有する。インダクタンス素子LSの2個の端子11および12は、同軸ケーブル20を介して、アンプ回路30の端子31および32に接続される。アンプ容量素子C1は、端子31と端子32の間に接続される。直列に接続された補助容量素子C2および発振回路33は、端子31と端子32の間に、アンプ容量素子C1と並列に接続される。端子31に発生する出力電圧は、図示していない増幅器により増幅されて出力される。
【0005】
この共振型の渦電流センサは、インダクタンス素子LS、ケーブル20およびアンプ容量素子C1を含んだ参照番号50で示す部分の全体(トータル)インピーダンスに応じて電圧波形が出力される。インダクタンス素子LSやケーブル20のインピーダンス特性の個体差等のため、最適な共振状態を得るには、アンプ容量素子C1および補助容量素子C2の容量値を調整可能にし、最適な共振状態が得られるようにアンプ容量素子C1および補助容量素子C2の容量値を調整する。このトータルインピーダンスZは、次のように表される。
【0006】
まず、次の式1で表される関数Para(a,b)を定義する。
【0007】
【数1】
【0008】
図2の参照番号50で示す部分のトータルインピーダンスZは、次の式2で表される。
【数2】
【0009】
上記の式から明らかなように、トータルインピーダンスZは、ケーブル20のショート時のインピーダンスZSに応じて異なる。
【0010】
ギャップの測定は、センサヘッド10のインダクタンス素子LSのインピーダンス変化を検出することにより行うため、ショート時のインピーダンスZSが小さいほど、信号におけるインダクタンス素子LSのインピーダンス変化の割合が大きくなり、感度が向上するため、ショート時のインピーダンスZSは小さいことが望ましい。
ケーブル20を長くすると、ケーブルのインピーダンスが増加するため、トータルインピーダンスZにおけるセンサヘッド10のインダクタンス素子LSのインピーダンスの割合が減少し、測定分解能が低下する。
【0011】
また、ケーブルの施工状態や外乱の影響により、ショート時のインピーダンスZSが変化し、それに応じて信号のS/N比が変化する。一般にケーブル20が長くなるほどS/N比が低下する。そのため、ケーブル20の長さには限界がある。
【0012】
一方、インダクタンス素子LSのインダクタンスを増加させるなどして、センサヘッド10のインピーダンスを増加させて、測定分解能を向上することが考えられるが、そのような対策は、センサの特性を変化させ、センサの理想的な測定状態から外れるという問題を発生する。
【0013】
このような問題を解決するために、特許文献1は、センサヘッドにアンプ回路を設け、インダクタンス素子LSのインピーダンスの変化を増幅し、増幅した信号をケーブルを介して伝送する渦電流センサを記載している。ケーブルで伝送される信号は、増幅された信号であるため、S/N比の高い信号が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、センサヘッドにアンプ回路を設けると、センサヘッドが大型化する。センサヘッドは、所望の位置に取り付けられるように、小型化とケーブルの延長が求められており、アンプ回路を設けたセンサヘッドでは小型化に対応できない。
【0016】
本発明は、センサヘッドを大型化すること無しに、ケーブルを長くしても検出感度を劣化させずに測定が可能な渦電流センサの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の渦電流センサは、センサヘッドに、インダクタンス素子に並列に接続されるヘッド容量素子を設ける。
【0018】
すなわち、本発明の渦電流センサは、インダクタンス素子を有するセンサヘッドと、前記センサヘッドの前記インダクタンス素子の両端に接続されるケーブルと、前記ケーブルの2つの端子間に接続されるアンプ回路と、を備え、前記アンプ回路は、発振回路と、前記ケーブルの2つの端子間に接続されるアンプ容量素子と、を備え、前記センサヘッドは、前記インダクタンス素子に設けられたヘッド容量素子を備え、前記インダクタンス素子、前記ヘッド容量素子、前記ケーブルおよび前記アンプ容量素子は、前記発振回路の出力する交流信号に対する共振回路を形成することを特徴とする。
【0019】
本発明の渦電流センサは、アンプ容量素子の一部をセンサヘッド内のヘッド容量素子に移した構成を有する。インダクタンス素子と並列にヘッド容量素子を接続することにより、合成のインピーダンスが大きくなり、相対的にケーブルのインピーダンスの影響を低減できる。ヘッド容量素子の容量値は、インダクタンス素子との共振状態を構成する容量値に近ければ近いほど良い。
【0020】
また、アンプ容量素子の容量値とヘッド容量素子の容量値の和を維持すれば、センサの理想的な測定状態から外れるという問題は発生しない。そして、上記の条件で、ヘッド容量素子の容量値とアンプ容量素子の容量値の組合せには比較的自由度があるので、ヘッド容量素子は汎用の小型の容量素子を選択し、アンプ容量素子は微調整可能なように回路を構成することができる。これにより、センサヘッドは小型の形状を維持して、ケーブルの長さを長くしても、検出感度は劣化しない。
【0021】
理論上は、アンプ容量素子の容量の全てをヘッド容量素子へ移動することにより、センサヘッド内においてインダクタンス素子とヘッド容量素子が完全な共振状態を構築することができる(すなわちインダクタンス素子とヘッド容量素子の合成インピーダンスが無限大となる)。これにより、ケーブルのインピーダンスの比率が、インダクタンス素子とヘッド容量素子の合成のインピーダンスに対して、限りなく小さくなり、すなわち検出感度に対するケーブルの影響が限りなく小さくなる。これは、ケーブルの部分でインピーダンスの変動が生じても、検出感度が全く劣化しないことを意味する。また、ケーブルの部分でのインピーダンスの変動により検出感度が劣化しないのだから、ケーブルを必要なだけ長くしてもやはり、検出感度が劣化しないことを意味する。
【0022】
但し、センサヘッド内のインダクタンス素子のインピーダンス値には個体差があり、
図2の構成と同様の共振状態を構築するためには、インダクタンス素子の個体差に応じて、ヘッド容量素子を微調整しなければならない。市販のコンデンサ(容量素子)の容量値は連続的には準備されておらず、飛び飛びの値の容量値のみ販売されており、市販のコンデンサを用いて、ヘッド容量素子を構築しようとすると、センサヘッド内に多数の容量素子を埋め込まなければならず、大型化してしまう。これでは、「小型を維持し、かつケーブル長を長くする」という目的を実現することはできない。
【0023】
そこで、アンプ容量素子の容量の全てをヘッド容量素子へ移動するのではなく、できるだけ多くの容量をヘッド容量へ移動することが現実的である。すなわち、アンプ容量素子以下の容量値で、かつ容易に入手可能な市販のコンデンサのうち、最も大きな容量のもの1個をヘッド容量素子とする。この場合、ヘッド容量素子1個だけではインダクタンス素子との共振状態を構成できないので、その差を埋めるために若干のアンプ容量素子を設ける。すなわち、ヘッド容量素子とアンプ容量素子との和が、インダクタンス素子と共振状態を構成するようにする。アンプ側にはスペース的な余裕があるため、多数の容量素子による調整回路等を設けることが可能である。
【0024】
容量素子とインダクタンス素子を並列に接続すると、その合成インピーダンスは大きくなる。ヘッド容量素子をセンサヘッドのインダクタンス素子に並列に接続し、その合成インピーダンスを大きくすることにより、相対的にケーブルのインピーダンスの影響を低減できる。これは、センサの検出感度に対するケーブルの影響を低減できること意味する。ケーブルを長くすると、そのインピーダンスも増加するが、上記の方法でケーブルのインピーダンスの影響を低減することにより、ケーブルを長くしても、高精度での渦電流測定を可能とすることができる。
【0025】
前述のとおり、センサヘッドのインダクタンス素子のインダクタンスには個体差がある。そこで、センサヘッドのインダクタンスと共振状態を構成する想定される全ての容量値を越えない範囲で、容易に入手可能なできるだけ大きな値の容量素子を1つ決定しておき、センサヘッドのインダクタンスの個体差によらず、その決定した容量素子をヘッド容量素子として組み込んでおいても、アンプ容量素子で充分に調整可能であるので、本発明の趣旨に反せず、容易な工程でセンサヘッドを製造することもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、小型のセンサヘッドで、ケーブルが長く、検出感度の良好な渦電流センサが実現される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3は、実施形態の渦電流センサの回路構成を示す図である。
実施形態の渦電流センサは、
図1に示すような概略構成を有し、回路構成が
図2に示した従来例と異なる。
【0029】
実施形態の渦電流センサは、センサヘッド60と、同軸ケーブル20と、アンプ回路と、を有する。センサヘッド60の2個の端子61および62は、同軸ケーブル20により、アンプ回路の端子71および72に接続される。アンプ回路内では、アンプ容量素子C11が端子71と72の間に接続される。さらに直列に接続された補助容量素子C2および発振回路73が、アンプ容量素子C11と並列に、端子71と72の間に接続される。端子71に発生する出力電圧は、図示していない増幅器により増幅されて出力される。
【0030】
センサヘッド60は、内部にインダクタンス素子(コイル)LSと、インダクタンス素子LSに並列に接続されたヘッド容量素子CSと、を有する。インダクタンス素子LSとヘッド容量素子CSの接続ノードは、2個の端子61および62にそれぞれ接続され、同軸ケーブル20を介して、アンプ回路の端子71および72に接続される。
【0031】
図3を
図2と比較して明らかなように、実施形態では、センサヘッド60のインダクタンス素子LSと並列に、ヘッド容量素子CSを設けたことが、
図2の従来例と異なり、他の部分は、同じである。言い換えれば、実施形態の渦電流センサは、アンプ容量素子の一部をセンサヘッド内のヘッド容量素子CSに移した構成を有する。したがって、
図2のアンプ容量素子C1と、
図3のアンプ容量素子C11およびヘッド容量素子CSの容量値は、基本的には、C1=C11+CSの関係を有する。(ただし、ケーブルは分布定数回路等で近似される複雑なインピーダンス特性を有するため、最適な特性を得るためのC11は、厳密にはC1=C11+CSの関係から多少は異なる場合があり得る。)
【0032】
前述のように、アンプ容量素子C11および補助容量素子C2は、最適な共振状態を得るために、容量値を調整可能にしている。具体的には、複数の容量値を有する容量素子を設け、スイッチ等で接続を選択して容量値を調整可能にしている。
また、参照番号80で示す部分の全体(トータル)インピーダンスZは、前述の関数Para(a,b)を利用して次のように表される。
【0034】
上記の式に基づいて、以下の条件のもとに、ケーブルのインピーダンス(ショート時のインピーダンス)が、トータルインピーダンスへどのように影響するかを、
図2の従来例と
図3の本実施形態とで比較を行った。
【0035】
出力電圧は、発振回路33、73の出力インピーダンスや検波回路の入力インピーダンスの影響を受け、本質的ではないため、本シミュレーションでは、より本質的なトータルインピーダンスについて検証することとした。
【0036】
また、補助容量素子C2は、発振回路33、73の出力インピーダンスや検波回路の入力インピーダンス、検波回路の入力レンジ等により最適値が変動し、本質的ではないため、やはり本シミュレーションから除外した。
【0037】
比較は、次の2項目について行った。
(1)第1の項目は、それぞれのケーブル長において、ケーブルインピーダンスが、1%変動した場合に、トータルインピーダンスがどの程度変動するかをシミュレーションした。この場合、変動が少ない方が、ケーブル部の不確定要素(変動)に対する耐性が強いと考えられるので、変動が少なければ改善したことを意味する。
【0038】
(2)第2の項目は、それぞれのケーブル長において、インダクタンス要素LSのインダクタンス値の変化の影響が、トータルインピーダンスにどのように現れるかをシミュレーションした。この場合、変動が大きい方が、感度が大きく取れ、S/Nが改善することを意味する。
【0039】
シミュレーションの条件は、以下の通りである。
周波数f=455kHz
Z0(ケーブルの伝送インピーダンス)=50Ω
【0040】
ショート時のインピーダンスZSは、ケーブル長により異なり、実在するケーブルの実測値をもとに、ケーブル長=3.5mの時ZS=j3.07Ω、ケーブル長=6.0mの時ZS=j5.01Ω、ケーブル長=10.0mの時ZS=j8.57Ωとした。ただし、計算を簡単にするため、インピーダンスの位相は90°であるものとした。
インダクタンス素子LSのインダクタンス値は、実在するセンサヘッドのインダクタンスをもとに、12μH〜13μHで変化するとした。
【0041】
ヘッド容量素子CSの容量値は、6800pFとした。
図2の従来例では、アンプ容量C1のインピーダンスZ1は、|Z1|=4/3×|Z|となるように選んだ。
【0042】
図3の本実施形態においては、アンプ容量C11のインピーダンスZ11は、インダクタンス素子LSのインダクタンス値=12μHである場合に、
図2の従来例と
図3の本実施形態のトータルインピーダンスZが一致するように選択した。具体的には、アンプ容量C11の容量値は、ケーブル長が1mの時には791pFを、ケーブル長が10mの時には229pFを、それぞれ中心として調整し、中間の長さのケーブルについてはその間の値を中心として調整した。
【0043】
図4は、上記の第1の項目についてのシミュレーション結果を示し、参照符号A〜Cが本実施形態の場合で、Aがケーブル長3.5mの場合を、Bがケーブル長6.0mの場合を、Cがケーブル長10.0mの場合を、それぞれ示す。参照符号D〜Fが
図2の従来例の場合で、Dがケーブル長3.5mの場合を、Eがケーブル長6.0mの場合を、Fがケーブル長10.0mの場合を、示す。対応するケーブル長で、トータルインピーダンスの変動率は、本実施形態における方が、
図2の従来例におけるより小さくなっている。これは、本実施形態の方が従来例に比べて、ケーブル部の不確定要素(変動)に対する耐性が強いことを意味する。
【0044】
図5は、上記の第2の項目についてのシミュレーション結果を示し、参照符号A〜Cが本実施形態の場合で、Aがケーブル長3.5mの場合を、Bがケーブル長6.0mの場合を、Cがケーブル長10.0mの場合を、それぞれ示す。参照符号D〜Fが
図2の従来例の場合で、Dがケーブル長3.5mの場合を、Eがケーブル長6.0mの場合を、Fがケーブル長10.0mの場合を、示す。対応するケーブル長で、インダクタンス要素LSのインダクタンス値の変化に対するトータルインピーダンスの変動率は、本実施形態における方が、
図2の従来例におけるより大きくなっている。これは、本実施形態の方が従来例に比べて、インダクタンス要素LSの変化に対して感度がよく、S/Nが改善することを意味する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1および第2の項目についてのシミュレーション結果では、いずれのケーブル長でも特性は改善している。すなわち、ケーブルインピーダンスの影響を低減することができる。
【0046】
本実施形態のように、センサヘッド60において、インダクタンス素子LSとヘッド容量素子CSを並列接続すると、合成のインピーダンスが大きくなり、相対的にケーブル20のインピーダンスの影響を低減できる。
【0047】
また、アンプ容量素子C11の容量値とヘッド容量素子CSの容量値の和を維持した上で、ヘッド容量素子CSの容量値とアンプ容量素子C11の容量値の組合せには比較的自由度があるので、ヘッド容量素子CSは汎用の小型の容量素子を選択し、アンプ容量素子C11は微調整可能なように回路を構成することができる。これにより、センサヘッド60は小型の形状を維持して、ケーブル20の長さを長くしても、検出感度は劣化しない。また、センサの理想的な測定状態が維持される。
【0048】
さらに、アンプ回路側のアンプ容量素子C11は、容量値が小さくなるだけで、回路構成自体は変わらないので、従来のアンプ回路をそのまま使用できるか、変更する場合でもアンプ容量素子の変更等の小規模な変更だけで対応可能である。
【0049】
上記のように、
図2のアンプ容量素子C1の一部をセンサヘッド60内のヘッド容量素子CSに移した構成であり、アンプ容量素子C11の容量値に対するヘッド容量素子CSの容量値の比率は大きいほど効果があり、ヘッド容量素子CSの容量は、アンプ容量素子C11の容量以上であることが望ましく、さらにヘッド容量素子の容量は、アンプ容量素子の5倍以上であることが望ましい。
【0050】
なお、センサヘッド内部(コイル部)の浮遊容量は、非常に小さく(本実施形態でのシミュレーションの実例として用いたセンサヘッドでは約2pFである)、浮遊容量をもって、本実施形態におけるヘッド容量素子CSを置き換えても、
図2に記載した従来例の構成に対する優位な差は、明らかに得られない。また、浮遊容量の容量値を、流通しているコンデンサ(許容差2%以下、温度特性60ppm/°C以下)と同等レベルで安定させることもできない。
【0051】
なお、本実施形態は、被検出体との距離を検出する装置について述べているが、本発明の適用範囲はその限りではない。例えば、検出体の姿勢や内部組成、焼き入れの状態、形状、磁化等の変化により、センサヘッド周辺のインダクタンスが変化する場合(すなわち、インダクタンス素子LSのインピーダンスが変化する場合)は、それらの変化を検出する測定装置にも、本発明を適用することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、ケーブル20は同軸であるとしているが、同軸に限らず他の種類のケーブルについても当然同様の効果が得られる。
【0053】
なお、ヘッド容量素子を構成する素子数は、センサヘッドの大きさに影響を与えない範囲で、複数個であっても良い。
なお、ヘッド容量素子は、「アンプ容量素子以下の容量値で、かつ容易に入手可能な市販のコンデンサのうち、最も大きな容量のも」に限られるものではない。たとえば、共振状態に対するマージンを確保するために、最も大きなものより若干小さな容量の素子を用いたとしても、本特許の趣旨が充分達成できることは自明である。
【0054】
図6は、センサヘッドにおけるインダクタンス素子および容量素子の取り付け例を説明する図であり、(A)が従来の取り付け例を、(B)が実施形態の取り付け例を示す。
【0055】
図6の(A)に示すように、従来例では、センサヘッド10は、円筒状のボビン91を有し、ボビン91の先端付近に円筒状の溝92が形成されている。溝92にシールド線を巻いて形成したコイル93が、インダクタンス素子LSをなす。シールド線の両端子94および95が、ケーブル20に接続される。
【0056】
一般に、小型のセンサヘッド内のコイルは微小であり、コイルから引き出された線を固定するには、困難さが伴う。コイルから引き出された線が固定できないと、ボビンに巻かれたコイルが崩れてしまうことになり、センサヘッドの特性に重大な不具合が発生することになる。
【0057】
一般的な容量素子CSであるコンデンサは、2つの電極を有している。
図3に示すように、センサヘッド60内のインダクタンス素子LSの両端子は、コンデンサCSのそれぞれの電極に接続されることになる。そこで、
図6の(B)に示すように、ボビン91に貫通穴96を設け、貫通穴96内にコンデンサ97を固定して、コンデンサ97の両側の電極98および99がボビン91の円筒表面付近に位置するようにする。そして、インダクタンス素子の両端子の線94および95を、電極98および99に接続して固定する。電極98および99は、ケーブル20の線(図示せず)にさらに接続される。これにより、センサヘッド60の組立が容易となり、両端子の線94および95を固定するので、コイルが崩れてしまう恐れを、容易に解消することができる。さらに、
図6の(B)に示すように、ボビン91に小さな貫通穴96をあけておき、コンデンサ97をボビン91に貫通させることにより、容易にコンデンサ97を固定でき、かつ、コンデンサ97に接続する線94および95を、それぞれボビン91の反対側に分離することが出来るため、作業性が向上するとともに、望まない誤接触等を防止することができる。
【0058】
以上、本発明の実施例を説明したが、各種の変形例が可能であるのはいうまでもない。
例えば、特許文献1の
図3で示される容量素子16および17の一部容量だけをインダクタンス素子11と並列となるようにセンサヘッド内部に組み込むようにしてもよい。