【実施例】
【0010】
本発明の実施例の製造と使用が以下詳細に説明される。本発明の実施例は、さまざまな具体的な文脈において実施され得る多くの適用可能な発明概念を提供する。詳述される特定の実施例は、単に発明を製作し使用する特定の方法を示すもので、発明の範囲を限定するものではない。
【0011】
システムオンチップ(SoC)アプリケーションでは、異なる機能のコンデンサが異なる
機能領域(回路)、例えば、混合信号領域、アナログ領域、無線周波数(RF)領域、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)領域、ロジック領域、およびスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)領域に必要となる場合があると理解される。製造コストを削減し、プロセスの複雑さを減少するために、これら全てのコンデンサは、同じレベルで(例えば、同じ金属層)同時に製造されることができる。よって、コンデンサ内の全ての絶縁体は、同じ厚さを有し、同じ材料で形成される。しかしこれはジレンマとなる。例えば、混合信号領域またはアナログ領域などでの高電圧に対応するために、減結合コンデンサは厚いキャパシタ絶縁体を有する必要がある。しかし、キャパシタ絶縁体が厚くなれば、単位チップ面積当たりの容量がより小さくなる。その結果、高密度を有し得るDRAMコンデンサは、より大きいチップ面積を占有しなければならなくなる。逆に、DRAMコンデンサの高密度の必要条件を満たすためには、キャパシタ絶縁体は、薄くなくてはならない。しかしこれは、混合信号領域およびアナログ領域におけるコンデンサの信頼性が、減少された絶縁体の厚さにより、犠牲になる可能性があるということを意味する。
【0012】
上述したジレンマを解決するために、異なる機能の金属‐絶縁体‐金属(MIM)コンデ
ンサを同一のSoCチップに集積する新規な集積方法とそれに対応する構造とが提供される
。当技術分野で公知のように、MIMコンデンサは、例えば下部電極、上部電極、およびそ
の間の絶縁体を含む積層構造を有するコンデンサであり得る。本発明の例示的な実施例を製造する中間段階も示される。本発明のさまざまな図および例示的な実施例において、同じ参照番号が同じ素子を示すのに用いられる。
【0013】
図1は、本発明の実施例を示している。システムオンチップ(SoC)アプリケーション
がその中に組み込まれた半導体チップ10が提供される。チップ10は、領域100、領域200、および領域300を含む。実施例では、領域100は、混合信号領域、アナログ領域、無線周波数(RF)領域、または、これらの領域の1つ以上を含む複合領域であり得る。領域200は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)領域であることができる。領域300は、コア(ロジック)デバイスを有するロジック領域、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)領域、またはロジックおよびSRAM回路の両方を含む複合領域であり得る。チップ10は、領域100、200、および300を通って広がる基板12を含む。基板12は、シリコン基板、または例えばIII族、IV族、および/またはV族
元素といった他の半導体材料を含む基板であり得る。層15と17は、層間誘電体(ILD
)である。
【0014】
領域100では、コンデンサ102が形成される。シャロートレンチアイソレーション(STI)領域104が、基板12に形成され、コンデンサ102を垂直方向に覆う。STI領域104の面積は、コンデンサ102の面積と等しいか、またはやや小さくてもよいが、大きいことが好ましい。ある実施例では、STI領域104は、上方のコンデンサ102の
全てを完全に垂直方向に覆い、横方向(基板12の表面に平行な方向)においてコンデンサ102の縁部を越えて更に拡大し得る。他の実施例では、STI領域104は、コンデン
サ102の面積の約90%より大きい面積を有する。ある実施例では、コンデンサ102は、下部金属層(一般にM1として知られる)より低いILD17に形成される。なお、ILD17は、トランジスタのゲート208と308とが形成された誘電体層であってもよい。この場合、コンデンサ102は、タングステンで形成されることができる接触プラグ106に接続される。領域100では、ポリシリコンストリップ108が形成される。シリサイド110が、シリサイド化プロセスによってポリシリコンストリップ108上に形成される。コンタクトエッチストップ層(CESL)112が、シリサイド110上に形成される。ポリシリコンストリップ108、シリサイド110、およびCESL112は、同時に形成され得るため、ゲート208および308と、ゲートシリサイドおよびソース(またはドレイン)シリサイドと、領域200および300のCESLとそれぞれ同じ材料を含む。同様に、示された接触プラグ106、206、および306は、同じ導電材料を用いて同時に形成されることができる。なお、コンデンサ102は、接触プラグ106とシリサイド110とを通って相互接続される下部電極122と、それらによって相互接続される上部電極124とを有し得る。よって、コンデンサ102は、単一のコンデンサとして動作し得る。この説明中、下部電極122と、他の下部電極と、上部電極とは、窒化チタン(TiN)
、または窒化チタン、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タンタル(WN)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、およびプラチナ(Pt)とチタン(Ti)との組み合わせから形成され得る。通常、低抵抗材料が用いられ得る。
【0015】
コンデンサ202は、領域200のIDL17に形成され、DRAMセルの蓄積コンデンサと
して用いられることができる。下部電極122および222は、同時に形成されることができるため、同じ導電材料で形成されて同じ厚さを有する。また、上電極124および224は、同時に形成されることができるため、同じ導電材料で形成されて同じ厚さを有する。コンデンサ102および202は、垂直部分(側壁部分)と水平部分(下部部分)とを含み、よって、3次元(3D)コンデンサとも呼ばれる。これは、コンデンサ102および202は、基板12の上面に平行な方向に延伸するだけでなく、基板12の上面に垂直な垂直方向にも延伸するからである。これは、単位チップ面積当たりの容量を有益に増加させる。
【0016】
代替的な実施例では、コンデンサ102および202は、ILD17、例えば、金属間誘
電体(IMDs)として知られる任意の誘電体層(これは通常、金属線とビアとをその中に形成するための誘電体層として知られている)より、高い層に形成される。また、IMDは、
金属化層M1より高い。しかし、これは部分的にDRAMセルの性能を改善するために、コンデンサ102および202をILD層17に形成することは有益である。コンデンサ102は
、混合信号回路、アナログ回路、および/または無線周波数(RF)回路のコンデンサとして用いられることができる。従来、基板12での信号損失が高いために、基板12に近接するILD17にコンデンサを形成するのは望ましくなかった。しかし、本発明の実施例で
は、STI領域104が基板102の真下に形成されるため、信号損失が減少され、過剰な
信号損失を生じることなく、コンデンサ102をILD17に形成することを可能にする。
一方、コンデンサ202の実質的な部分(例えば、約20%より大きく、ひいては約50%より大きい)には、真下に位置するSTI領域がない。
【0017】
図1に示されたように本発明の実施例では、コンデンサ102は、下部電極122と上部電極124との間に位置し、それらと接触しているキャパシタ絶縁体130を含む。特に明記しない限り、絶縁体130とその他の本明細書で詳述される絶縁体とは、二酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、ケイ酸ハフニウム(HfSiON)、タンタル酸化膜(Ta
2O
5)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化チタン(TiO
2)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ストロンチウム(STO)、およびそれらの組み合わせを含むことができる。コンデンサ202は、
それぞれ下部電極222と上部電極224との間に位置して、それらと接触しているキャパシタ絶縁体230を含む。各キャパシタ絶縁体130は、層130
1と層130
2とを含み、層130
1は、キャパシタ絶縁体230と同時に形成されるため、キャパシタ絶縁体230と同じ材料を含み、同じ厚さを有する。しかし、コンデンサ202は層130
2と同時に形成される如何なる層も含まない。よって、2つの誘電体層が互いに積層したコンデンサ102は、より高い破壊電圧を有するため、より高い信頼性を有する。これは、コンデンサ102に加えられる電圧がしばしば高いことから、例えば、下部電極122と上部電極124の1つが電圧VDDに接続され、もう1つが電圧VSSに接続された減結合コンデンサとして用いられる時、特に望ましい。
図1では、点線134は、上電極124をM1金属線に接続する接触を示している。この場合、M1金属線は、VDD電力線またはVSS電力線であり得る。
【0018】
一方、各コンデンサ202は、1つの誘電体層のみ有するため、コンデンサ102より低い動作電圧に耐えることができ、よって低電圧のアプリケーションに用いられることができる。薄いキャパシタ絶縁体によりコンデンサ202は、単位チップ面積当たり、高い容量を有する。これは、DRAMアレイが多数の蓄積コンデンサを含むことができるため望ましく、よって単位チップ面積当たりの増加された容量は、DRAMアレイの密度を増加するのに有益である。また、領域300は、コア(ロジック)デバイスを有するロジック領域、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)領域、またはロジックおよびSRAM回路の両方を含む結合領域であることができる。
【0019】
図1では、キャパシタ絶縁体130
1および130
2の両方は、コンデンサ102の1つからもう1つに延伸する。
図2は、本発明の代替的な実施例を示しており、
図1と
図2の同様の素子は、同様の参照番号を用いて示されている。
図2に示された実施例は、コンデンサ102のキャパシタ絶縁体130
1が互いに分離されたことを除き、
図1に示された実施例に類似する。言い換えれば、2つの示されたコンデンサ102のキャパシタ絶縁体130
1は、それぞれ王冠状領域(コップ形陥凹)に制限される。しかし、コンデンサ102のキャパシタ絶縁体130
2は、それでもILD17の真上の部分を通って接続され
て連続領域を形成する。
図1および
図2に示された実施例は、異なる材料に適合するよう
に異なる状況において用いられることができる。
【0020】
図3は、本発明のもう1つの実施例を示している。この場合、コンデンサ142および242は、金属層のいずれかにおいて、2つの隣接する銅層144と146との間に形成され得る。金属層は、下部金属層(M1、
図1と
図2を参照)から上部金属層(Mtop、図示せず)の間である。同様に、下部電極148および248は、同時に形成されるため、同一の導電材料で形成される。また、上部電極150および250は、同時に形成されるため、同一の導電材料で形成される。実施例では、コンデンサ142は、底部電極148と上部電極150との間に位置し、それらと接触しているキャパシタ絶縁体152(152
1と152
2で示される)を含む。コンデンサ242は、下部電極248と上部電極250との間に位置し、それらと接触しているキャパシタ絶縁体252を含む。キャパシタ絶縁体152は、層151
1と152
2とを含み、層152
2は、キャパシタ絶縁体152と同時に形成される。しかし、コンデンサ242は、キャパシタ絶縁体151
1と同時に形成されるいかなるキャパシタ絶縁体も含まない。コンデンサ142および242は、基板12の上面に平行な方向にのみ延伸するため、2次元(2D)コンデンサと言われる(コンデンサ142および242の厚さが考慮されなければ)。
【0021】
図4は、本発明のもう1つの実施例を示しており、
図1と
図4の同様の素子は、同様の番号を用いて示される。
図4では、コンデンサ102のキャパシタ絶縁体として層130
1および130
2の両方を形成する代わりに、キャパシタ絶縁体130の1つの層のみが形成され、キャパシタ絶縁体230と異なる材料で形成されるか、または異なる厚さを有する。本発明の実施例では、キャパシタ絶縁体130と230とは、少なくとも1つの異なる材料を含むか、または副層の少なくとも1つにおいて異なる厚さを有する場合、互いに異なると見なされる。言い換えれば、キャパシタ絶縁体は同じ厚さを有し、かつ同じ材料で形成されなければ、異なる。よって、
図1〜
図4に示された実施例では、領域100および200のキャパシタ絶縁体は全て異なる。
【0022】
領域100および200のキャパシタ絶縁体が互いに異なることで、各タイプのコンデンサ用の絶縁体は、必要に応じてカスタマイズされることができるため、コンデンサによって占有されるチップ面積は、コンデンサの信頼性(電圧に対する耐久性)を犠牲にすることなく最小化されることができる。これは、DRAMコンデンサ(それらの大きな数に対して)および減結合コンデンサの両方が大面積のチップ面積を占有することができるため、特に有益である。よって、コンデンサ100と200の絶縁体をカスタマイズすることができることは重要である。
【0023】
また、上述の二重誘電体コンデンサの他に、三重誘電体(triple-dielectric)コンデ
ンサが形成されることができる。例えば、領域100は、混合信号領域とRF領域とを含み、混合信号領域およびRF領域のコンデンサは、異なる電圧を維持することができる。よって、2つのタイプのコンデンサが、領域100に形成されることができる。領域100のコンデンサの2つのタイプのキャパシタ絶縁体は、互いに異なり、領域200のキャパシタ絶縁体と異なるか、または異ならなくてもよい。先の段落で言及されたように、キャパシタ絶縁体は、それらの材料が異なる場合および/またはそれらの厚さが異なる場合、異なる。よって、三重キャパシタ絶縁体の方法、または更に多いキャパシタ絶縁体層を用いるその他の多層キャパシタ絶縁体の方法では、異なる組み合わせのキャパシタ絶縁体が、プロセスステップを最小限化するように製造され得る。しかし、少なくとも、異なるコンデンサの上部電極と下部電極の形成プロセスは、結合される。
【0024】
図5〜
図8は、
図2に示された実施例を形成するための簡素なプロセスの流れの中間段階の断面図を示している。
図5を参照して、トランジスタ207は、ウェル領域209に形成される。STI領域104も例えばSTI領域204と同時に形成される。次に、ゲート2
08とポリシリコンストリップ108とが形成され、シリサイド110および210の形成がそれに続く。次に、接触プラグ106と206とが形成される。第1ILD15が形成
され、第2ILD17の形成とパターニングとがそれに続く。次に開口119および219
が形成される。
【0025】
実施例では、下部容量電極層22および第1絶縁層30
1が、ブランケット堆積される。第1絶縁層30
1は、例えばTiO
2、HfO
2、Al
2O
3、および/またはZrO
2などの高k材料(high-k material)を含むことができ、原子層堆積(ALD)または他の適用可能な方式を用
いて形成されることができる。CMPプロセスが、ILD17の真上に位置する下部容量電極層22および第1絶縁層30
1の部分を除去するように行われる。CMPプロセス後の構造が
、
図6に示される。化学機械研磨(CMP)は、フォトレジスト(未図示)で開口119と
219とを充填し、フォトレジストならびに層22および30
1にCMPを実施することで
アシストされ、よってILD17の真上に位置する層のどの部分も研磨される。続いて開口
119および219のフォトレジストの残りの部分が除去される。代替的な実施例では、CMPは、絶縁層30
1の形成の前に実施され、よって最終構造においてILD17の真上に位置する絶縁層30
1の部分が残る。そのそれぞれの実施例は
図1に示される。
【0026】
図7では、マスク60は、領域100を覆うように形成されて、領域200の部分230
1(
図6を参照)がエッチング(例えばウェットエッチングプロセスにより)される。次に
図8に示されるように、マスク60が除去され、絶縁層(領域100の130
2および領域200の230として示される)が形成される。絶縁層130
2は、例えばTiO
2、HfO
2、Al
2O
3、および/またはZrO
2などの高k材料を含むこともでき、その材料と厚さは、絶縁層130
1と異なってもよい。次に、上電極層24が、堆積され、パターンニングされる。
【0027】
本発明の実施例は、いくつかの有益な特徴を有する。異なる機能領域にコンデンサを集積することで、複数の機能コンデンサを形成するプロセスステップと複雑性とが減少される。また、コンデンサの信頼性とチップ面積の使用量とが、改善される。
【0028】
本発明およびその利点を詳細に記載してきたが、特許請求の範囲によって規定されるこの発明の精神および範囲から逸脱することがなければ、様々な変更、置換、および修正がなされ得るということは理解されるべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書中に記載される主題、手段、方法、およびステップのプロセス、機械、製造、および構成の特定の実施例に限定されるようには意図されていない。当業者ならば本発明の開示から、ここで記載される対応する実施例と実質的に同じ機能を実行するとともに実質的に同じ結果を達成する既存または後に開発されることになる主題、手段、方法、またはステップのプロセス、機械、製造、構成が、本発明に従って利用され得るということを容易に理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、それらの範囲において、このような主題、手段、方法、またはステップのプロセス、機械、製造、構成を含むよう意図される。さらに、各請求項は別個の実施例を構成し、様々な請求項および実施例の組み合わせはこの発明の範囲内である。