(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ミクロ中空球を含むメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材であって、当該ミクロ中空球がフォーム構造物の連続気泡型の細孔内に埋設されておりかつ260μm〜490μmの範囲内の平均粒径(体積平均したD50、Malvern、フラウンホーファー回折)を有し、かつミクロ中空球壁がガラスからなることを特徴とする、前記メラミン/ホルムアルデヒドフォーム材。
ミクロ中空球の含量が0.1〜60質量%であり、その際に質量%は、前記フォーム材の製造に使用されるメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物とミクロ中空球とからの全質量に対するものであることを特徴とする、請求項1記載のメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ中空球を含むメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材に関する。
【0002】
欧州特許出願公開第17672号明細書および欧州特許第37470号明細書から、メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物を基礎とするフォーム材ならびにその製造法は、公知である。
【0003】
かかるフォーム材がミクロ中空球を備えていることも公知である。ミクロ中空球はその内部に作用物質または有効物質、例えば潜熱蓄熱材として機能しかつこうしてメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材の断熱特性を改善する物質を含んでいてよいか、またはミクロ中空球壁の破壊後に放出されかつそのつど望まれる用途に対して特殊な効果を発揮する芳香剤、または殺生剤の作用を有する物質を含んでいてもよい。同様に、フォーム構造物の疎水化は、疎水性物質、例えばシリコーン油のカプセル化および引続き放出によって可能である。
【0004】
欧州特許出願EP 10152499.9(整理記号)には、例えば0.5〜100μmの平均粒径を有するマイクロカプセルを含むメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材が記載されている。その際、マイクロカプセルは、有利にフォーム構造物の結節点またはストラット中に取り付けられている。
【0005】
欧州特許出願EP 09176634.5(整理記号)には、70〜250μmの平均粒径を有する、発泡ミクロ中空球を含むメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材が記載されている。その際、ミクロ中空球は、有利にフォーム構造物の細孔内に取り付けられている。前記細孔内への取付けは、第1の工程において、メラミン/ホルムアルデヒドフォーム材を製造し、第2のさらなる含浸工程において、ミクロ中空球をフォーム材中へ導入する、多工程の製造法によって達成される。
【0006】
しかし、フォーム構造物の結節点またはストラット中への取付けは、高い負荷の場合には、発泡工程を損なうことでミクロ中空球と結合されうるか、またはフォームの機械的性質を損なうことでミクロ中空球と結合されうる。前記フォームの事後の含浸は、一面でさらに方法の工程を必要とし、他面、負荷が増大するにつれて、フォームへのミクロ中空球の導入および固定は困難になる。
【0007】
従って、本発明は、高い負荷の場合でも、すなわちフォーム材の良好な機械的性質を基本的にそのまま留める、ミクロ中空球含量および任意にそれと関連した作用物質および有効物質の含量が高い場合でも、フォーム材においてミクロ中空球のより良好な固定を達成し、および簡単な方法でさらなる製造工程なしに得ることができる、ミクロ中空球を備えたメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材を提供するという課題に基づくものである。
【0008】
それに応じて、ミクロ中空球を含む、新規のメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材が見い出されたが、その際に当該ミクロ中空球が260μm〜490μmの範囲内の平均粒径(体積平均したD
50、Malvern、フラウンホーファー回折)を有することは、本発明にとって基本的なことである。さらに、前記メラミン/ホルムアルデヒドフォーム材の製造法ならびに当該フォーム材の使用が見い出された。
【0009】
本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、殊に高い負荷の場合でも、すなわちミクロ中空球含量および任意にそれと関連した作用物質および有効物質の含量が高い場合でも、フォーム材の良好な機械的性質およびフォーム材中でのミクロ中空球のより良好な固定を示す。さらに、前記ミクロ中空球は、さらなる方法の工程なしにフォーム材の製造の際にフォーム材中に導入されてよい。
【0010】
本発明による対象、方法および使用は、次に記載される。
【0011】
メラミン/ホルムアルデヒドフォーム材それ自体および当該フォーム材の製造ならびにミクロ中空球それ自体および当該ミクロ中空球の製造は、当業者に公知であり、かつ刊行物中に記載されている(例えば、冒頭に記載された刊行物参照)。
【0012】
本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、ミクロ中空球を含み、その際にミクロ中空球の平均粒径(体積平均したD
50、Malvern、フラウンホーファー回折)が260μm〜490μmの範囲内、有利に280μm〜450μmの範囲内、特に有利に300μm〜400μmの範囲内にあることは、本質的なことである。
【0013】
ミクロ中空球の含量は、たいてい0.1〜60質量%、有利に5〜50質量%、特に有利に10〜30質量%の範囲内にあり、その際に質量%は、それぞれ前記フォーム材の製造に使用されるメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物とミクロ中空球とからの全質量に対するものである。
【0014】
前記メラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、数多くの互いに結合された、三次元的に分枝したストラットを含む、連続気泡型のフォーム材骨格を有する(その際に、前記ストラットの互いの結合位置は、「ノード」または「結節点」と呼称される)。前記ミクロ中空球の本発明にとって基本的な平均粒径および以下にさらに記載される、本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材の製造法は、当該ミクロ中空球が有利にフォーム構造物の連続気泡型の細孔内に埋設されることを生じさせる。前記フォーム材骨格のストラットまたはノード中への取付けが行なわれる。それによって、ミクロ中空球の含量が高い場合も、フォーム中でのミクロ中空球の良好な固定が達成され、その際にフォーム材の機械的性質が過度に影響を及ぼされることはない。
【0015】
ミクロ中空球を含む、本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、有利に連続した方法の工程a)およびb):
a)通常、1:1.3〜1:5、有利に1:1.5〜1:3.5の範囲内のメラミン:ホルムアルデヒドのモル比を有するメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物、ミクロ中空球、硬化剤、分散剤および発泡剤を含有する混合物を発泡させかつ架橋しながら加熱する工程および
b)方法の工程a)において得られるフォーム材を乾燥させる工程
により製造されてよく、
その際に前記の方法の工程ならびに方法の工程a)において使用可能なメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物、硬化剤、分散剤および発泡剤は、当業者に基本的に公知であり、かつ前記刊行物中に記載されている(例えば、冒頭で引用された刊行物を参照のこと)。
【0016】
メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物は、メラミンおよびホルムアルデヒドの他に、別の熱硬化性樹脂形成剤を50質量%まで、特に20質量%まで(それぞれ縮合導入されたメラミンの質量に対して)および別のアルデヒドが50質量%まで、特に20質量%まで(それぞれ縮合導入されたホルムアルデヒドの質量に対して)縮合導入して含有することができる。熱硬化性樹脂形成剤として、例えば次のものがこれに該当する:アルキル置換およびアリールアルキル置換されたメラミン、尿素、ウレタン、カルボン酸アミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホン酸アミド、脂肪族アミン、グリコール、フェノールおよびその誘導体。別のアルデヒドとして、例えばアセトアルデヒド、トリメチロールアセトアミド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフロール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒドおよびテレフタルアルデヒドが使用されてよい。変性されていないメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物、すなわち別の熱硬化性樹脂形成剤または別のアルデヒドを含まない当該メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物が特に好ましい。メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物に関するさらなる詳細は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,第14/2巻,1963,第319〜402頁中に見出せる。
【0017】
商業的に使用可能なメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物は、数多くの使用分野、例えばグルーへの後加工に使用可能である。幾つかの前記使用分野については、スルフィット基を含むメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物を使用することが好ましい。スルフィット基を含むかかるメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物は、例えば欧州特許第37470号明細書により得ることができ、これによれば、メラミンとホルムアルデヒドとを縮合する際にナトリウムジスルフィット1〜20質量%を添加することによって縮合導入されたスルフィット基が得られる。
【0018】
しかし、本発明による方法にとって、方法の工程a)において、スルフィット基を含まない予備縮合物が使用されることは、好ましい。
【0019】
方法の工程a)において発泡剤を乳化するため、およびフォームを安定化するために、分散剤、例えば乳化剤または乳化剤混合物を添加することが必要とされる。乳化剤として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤ならびにこれらの混合物が使用されてよい。
【0020】
適した陰イオン性界面活性剤は、ジフェニレンオキシドスルホネート、アルカンベンゼンスルホネートおよびアルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタリンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、エーテルスルフェート、α−スルホ脂肪酸エステル、アシルアミノアルカンスルホネート、アシルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、アルキルホスフェートおよびアルキルエーテルホスフェートである。非イオン性界面活性剤として、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、EO/POブロックコポリマー、アミンオキシド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステルおよびアルキルポリグルコシドが使用されてよい。陽イオン性乳化剤として、アルキルトリアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩およびアルキルピリジニウム塩が使用される。前記乳化剤は、特に、メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物に対して、0.2〜5質量%の量で添加される。
【0021】
有利に水溶液または分散液の形で使用されるメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物から、方法の工程a)において、フォームを製造するために、このフォームは、発泡剤を含有しなければならず、その際にその量は、フォーム材の所望の密度により左右される。原理的に、本発明による方法の場合には、物理的発泡剤ならびに化学的発泡剤が使用されてよい。物理的発泡剤として、例えば次のものが考えられる:液体の形の炭化水素、ハロゲン化、殊にフッ素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトンおよびエステルまたはガスとしての空気およびCO
2。化学的発泡剤として、例えば水との混合物のイソシアネートがこれに該当し、その際に有効な発泡剤としてCO
2が放出され、さらに、同様にCO
2を発生させる酸との混合物の炭酸塩および重炭酸塩、ならびにアゾ化合物、例えばアゾジカルボンアミドが化学的発泡剤に該当する。本発明の好ましい実施態様の場合、メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物の水溶液または分散液には、沸点0〜80℃を有する物理的発泡剤がメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物に対して1〜40質量%添加され;ペンタンの場合には、特に5〜15質量%添加される。
【0022】
硬化剤として、方法の工程a)において、酸性化合物が使用され、この酸性化合物は、メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物のさらなる縮合を触媒する。その量は、メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物に対して、0.01〜20質量%、特に0.05〜5質量%である。無機酸および有機酸、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸、アミドスルホン酸ならびに酸無水物が当てはまる。
【0023】
方法の工程a)において使用されるメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物の水溶液または分散液は、特にさらなる添加剤を含まない。しかし、数多くの目的のために、通常の添加剤、例えば着色剤、難燃剤、UV安定剤、燃焼ガス毒性を低減させる薬剤または炭化を促進させる薬剤をメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物に対して、20質量%まで、特に10質量%未満添加することは、有利である。前記フォーム材は一般に連続気泡型でありかつ水を吸収しうるので、数多くの使用目的のためには、疎水化剤を0.2〜5質量%の量で添加することが必要とされる。その際に、例えばシリコーン、パラフィン、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤、疎水性の炭化水素系界面活性剤、シリコーン系エマルジョンおよびフッ素系エマルジョンが当てはまる。
【0024】
予備縮合物と溶剤または分散剤、殊に水との混合物中のメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物の濃度は、それぞれメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物と溶剤または分散剤とからの全質量に対して、55〜85質量%、特に63〜80質量%の幅広い範囲内で変動しうる。予備縮合物と溶剤または分散剤との混合物の好ましい粘度は、1〜3000dPa.s、特に5〜2000dPa.sである。
【0025】
前記ミクロ中空球およびさらなる混合成分は、メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物の水溶液または水性分散液と均一に混合され、その際に発泡剤は、任意に圧力下に圧入されてもよい。しかし、固体の、例えば噴霧乾燥されたメラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物から出発し、次にこの予備縮合物をミクロ中空球の分散液および/または乳化剤の水溶液、硬化剤ならびに発泡剤と混合してもよい。混合後に、加熱された加熱混合物は、分散された発泡剤と一緒にノズルを通して導出され、引続き発泡される。
【0026】
発泡剤を含有する溶液または分散液の発泡は、欧州特許第17671号明細書中の記載と同様に、ノズルからの流出後に熱風または高周波照射によって支持されている。好ましくは、エネルギー入力は、電磁波によって、例えば使用される混合物1kg当たり5〜400kW、有利に5〜200kW、特に有利に9〜120kWを有する高周波照射によって0.2〜100GHz、有利に0.5〜10GHzの周波数範囲内で行なうことができる。誘電体放射のための放射源として、マグネトロンが適しており、その際に1つ以上のマグネトロンを用いて同時に照射が行なわれてよい。
【0027】
発泡すべき混合物は、当該混合物が発泡ノズルから流出した直後に照射される。その際に、発泡剤は蒸発し、樹脂混合物が発泡し、かつ同時に硬化する。
【0028】
製造されたフォーム材は、最終的に乾燥され、その際にフォーム材中に残留する水および発泡剤は、除去される。
【0029】
本発明による方法のさらなる実施態様において、方法の工程b)の後に、乾燥されたフォーム材を弾性化のために圧縮する方法の工程c)が実施されうる。
【0030】
方法の工程c)は、当業者に原則的に公知であり、かつ刊行物中、例えば欧州特許出願公開第1505105号明細書および欧州特許第37470号明細書中に記載されている。
【0031】
得られたフォーム材のブロックまたは板は、任意にさらなる方法の工程において熱圧縮されてよい。熱圧縮それ自体は、当業者に公知であり、かつ例えばWO 2007/031944、欧州特許出願公開第451535号明細書、欧州特許出願公開第111860号明細書および米国特許第6608118号明細書B中に記載されている。熱圧縮によって、しばしばミクロ中空球のより良好な固定がフォーム構造物中で達成されうる。
【0032】
本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材を製造する、好ましいミクロ中空球として、そのミクロ中空球壁がポリマー、無機材料または(例えば、無機材料の接合による)無機材料とポリマーとの組合せからなる。
【0033】
ミクロ中空球壁に適したポリマーとして、好ましくは、ポリウレタン、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミドまたはこれらの混合物が使用可能である。
【0034】
ミクロ中空球壁に適した無機材料として、好ましくは、ケイ酸塩、殊にアルミニウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはジルコニウムのケイ酸塩、酸化物、例えば酸化アルミニウム、石英、マグネサイト、ムライト、クロマイト、酸化ジルコニウムおよび/または酸化チタン、ホウ化物、炭化物および窒化物、例えば炭化ケイ素、炭化チタン、ホウ化チタン、窒化ホウ素および/または炭化ホウ素、炭素またはガラスが適しており、ガラスが特に好ましい。
【0035】
ミクロ中空球の内部空間は、ガス、例えば空気を含んでいてよいかまたは排気されていてよい。好ましくは、ミクロ中空球の内部空間は、少なくとも部分的に、殊に全体的に1つ以上の固体または液体の作用物質または有効物質で充填されている。作用物質または有効物質は、例えば潜熱蓄熱材として機能し、こうしてメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材の断熱特性を改善しうる物質であるか、またはミクロ中空球壁の破壊後に放出されかつそれらの特殊な効果がそれぞれの所望の用途に発揮されうる、界面活性剤、清浄剤または着色剤、例えばインキ、芳香剤、または殺生剤の作用を有する物質でもある。さらに使用可能な、当業者に自体公知の作用物質または有効物質は、例えば疎水化剤、触覚に影響を及ぼす物質または汚れ付着に影響を及ぼす物質(例えば、いわゆるロータス効果を達成するため)、排煙毒性を減少させる物質、ホルムアルデヒド捕捉剤、膨張剤、研磨材、例えば無機ナノ粒子(例えば、WO 2009/021963参照)または触媒である。
【0036】
高度に架橋されたメタクリル酸エステルポリマーを基礎とする壁材料を有する、好ましいミクロ中空球は、欧州特許出願公開第1029018号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10139171号明細書およびWO−A−2005/116559から公知である。前記刊行物は全て、様々な使用分野におけるマイクロカプセル化された潜熱蓄熱材に該当する。すなわち、欧州特許出願公開第1029018号明細書は、結合建築材料、例えばコンクリートまたは石膏における用途を教示し、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10139171号明細書は、石膏ボードにおけるマイクロカプセル化された潜熱蓄熱材の使用を教示し、およびWO−A−2005/116559は、パーティクルボードにおける前記潜熱蓄熱材の使用を教示している。前記刊行物中に記載された、全てのミクロ中空球は、当該ミクロ中空球が熱処理の際ならびに化学的処理の際に、または圧力下で高い密度を有することで共通点を有する。
【0037】
ミクロ中空球は、例えばいわゆるインサイチュー(in−situ)での重合によって製造することができる。ミクロ中空球の原理は、モノマー、ラジカル開始剤、保護コロイドおよびカプセル封入すべき親油性物質から安定した水中油型エマルジョンを製造することを基礎とする。引続き、前記モノマーの重合は、加熱によって開始され、かつ任意にさらなる温度上昇によって制御され、その際に生じるポリマーは、前記中空球壁を形成し、親油性物質を軟化して取り囲む。前記の共通の原理は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102007055813号明細書、WO 2008071649およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10139171号明細書中に記載されており、当該文献の記載内容は、参照のために本明細書に援用される。
【0038】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007055813号明細書には、熱的に破壊可能なミクロ中空球の製造および使用が記載されており、当該ミクロ中空球は、同様に好ましい。ミクロ中空球壁は、アクリレートから構成されている。ミクロ中空球の内部空間は、親油性物質、例えば脂肪族炭化水素化合物および芳香族炭化水素化合物、飽和または不飽和のC
6〜C
30脂肪酸、脂肪アルコール、C
5〜C
30脂肪アミン、脂肪酸エステル、天然ワックスおよび合成ワックス、ハロゲン化炭化水素、シリコーン油、接着剤、着香剤、芳香剤、作用物質、着色剤、色形成剤、顔料および架橋剤を含む。
【0039】
ミクロ中空球の内部空間対ミクロ中空球壁の質量比、核/壁比、は、たいてい50:50〜95:5、有利に70:30〜95:5、特に有利に75:25〜93:7である。
【0040】
本発明により製造されたメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、たいてい3〜100g/l、特に有利に5〜50g/lの密度を有する。
【0041】
ミクロ中空球を含む、本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、非連続的作業形式の場合、有利に連続的作業形式の場合に、シートまたはウェブとして、たいていそれぞれ任意の厚さで、好ましくは0.1〜500cm、有利に0.5〜200cm、特に有利に1〜100cm、殊に3〜80cm、殊に有利に5〜50cmの層厚で製造されてよい。本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材からなる成形部材は、連続的作業形式で、有利に非連続的作業形式で得ることができる。
【0042】
ウェブ、シート、成形部材または別の形状物の形のメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、一般的な常法により、1つの側、2つの側、複数の側または全ての側で、被覆層で、例えば紙、板紙、ガラスフリース、木材、石膏ボード、金属シートまたは金属箔、任意に発泡されていてもよい、プラスチックまたはプラスチックフォイルを備えているか、または紙、板紙、ガラスフリース、木材、石膏ボード、金属シートまたは金属箔、任意に発泡されていてもよい、プラスチックまたはプラスチックフォイルで被覆されていてもよい。前記被覆層は、発泡の際に施されていてよいか、またはその後に施されてよい。その後の施与の場合には、「付着助剤」を使用することは、好ましい。
【0043】
本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材が放出すべき作用物質または有効物質で充填されているミクロ中空球を含む場合には、当該メラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、全ての任意の時点でフォーム材上に適した機械的または熱的な影響を及ぼすことによって放出を行なうことができる。例えば、前記の作用物質または有効物質、例えば界面活性剤、清浄剤または着色剤、例えばインキ、芳香剤、または殺生剤の作用を有する物質は、ミクロ中空球壁の熱的破壊(例えば、熱風、様々な種類の放射、例えば赤外線放射またはマイクロ波放射)によって放出されうるかまたはミクロ中空球壁の機械的破壊(プレッシング、ローリング、超音波等)によって放出されうる。それによって、ミクロ中空球の内容物は、均一に放出されうるかまたはほとんど均一に放出され得、表面構造(ストラットおよび結節点)は、連続気泡型のメラミン/ホルムアルデヒドフォーム構造物の内部においても湿潤されうる。マイクロカプセル壁を熱的または機械的に破壊する方法は、当業者に原則的に公知であり、かつ前記刊行物中に記載されている。例えば、前記フォーム材は、マイクロカプセル壁の破壊のために、例えば欧州特許出願公開第0451535号明細書の記載と同様に、当該フォーム材が2個の二重反転する、平行に位置合わせされたロール間の規定された間隙を通って導かれることにより、圧縮されうる。前記フォーム材を2個の同時回転するロール間の間隙に通過させることの他に、当該フォーム材をコンベヤーベルトで輸送し、かつフォーム材の移動と同じ周速で回転するロールをフォーム材上に押圧することも可能である。さらに、前記フォーム材に対する圧力は、当該フォーム材を例えばプレス機中に入れ、当該プレス機中でラムを当該フォーム材に押圧することによって、発揮されうる。しかし、この場合には、連続的なプレッシングは、不可能である。
【0044】
もちろん、前記ミクロ中空球は、作用物質または有効物質を含むこともでき、これらの物質の作用は、ミクロ中空球壁が破壊されなくても発揮され;こうして、例えば難燃性物質は、火災の場合に初めて活性になり、当該難燃性物質の作用は、カプセル化された形でも発揮されうる。
【0045】
本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、建物において、車両製作、鉄道製作、船舶建造および航空機製作において、ならびに宇宙旅行において、遮音および断熱または断冷に使用され、および座席面のクッション詰めの際のクッション材料として使用される。
【0046】
本発明によるメラミン/ホルムアルデヒドフォーム材は、殊に高い負荷の場合でも、すなわちミクロ中空球含量および任意にそれと関連した作用物質および有効物質の含量が高い場合でも、フォーム材の良好な機械的性質およびフォーム材中でのミクロ中空球のより良好な固定を示す。さらに、前記ミクロ中空球は、さらなる方法の工程なしに、フォーム材の製造の際にフォーム材中に導入されてよい。
【0047】
本発明は、次の実施例につき詳説される。