(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチルアミンおよびモノイソプロピルアミン(MIPA)の製造法であって、バイオエタノールをアンモニアと、水素および不均一系触媒の存在下で反応させてエチルアミンにし、その際にバイオエタノールが0.1質量ppm以上〜10質量ppmの硫黄および/または硫黄含有化合物(Sとして計算した)の含量を有し、および、その後に同じ触媒の存在下でイソプロパノールをアンモニアと、水素の存在下で反応させてMIPAにし、
その際に前記の2つの反応の間に、S除去による触媒の活性化(解毒)を行わないことを特徴とする、前記方法。
前記反応を、銅含有不均一系触媒および/またはニッケル含有不均一系触媒および/またはコバルト含有不均一系触媒の存在下で実施することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
周期律表の第VIII族の任意に含まれる全ての金属に対して、当該触媒のニッケルの含量が90質量%を上回る不均一系触媒の存在下で、前記反応を実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
周期律表の第VIII族の任意に含まれる全ての金属に対して、当該触媒のコバルトの含量が90質量%を上回る不均一系触媒の存在下で、前記反応を実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
前記不均一系触媒は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタンおよび/または二酸化ジルコニウムを担持材料として含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
前記反応をそのつどアルコール0.05〜0.35kg/(触媒 リットル×時間)の範囲内の触媒負荷量で実施することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
使用される水素量は、そのつど50〜350標準リットル/(触媒 リットル×時間)の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
先にアセトンの水素化によって銅含有触媒および/またはニッケル含有触媒および/またはコバルト含有触媒の存在下で製造されたイソプロパノールを使用することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
前記バイオエタノールは、0.2質量ppm以上〜10質量ppmの硫黄および/または硫黄含有化合物(Sとして計算した)の含量を有することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
バイオエタノールとアンモニアとの反応は、その時間の終結時に触媒のS含量が150質量ppmないし600質量ppm未満になる時間に亘って実施されることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチルアミンおよびモノイソプロピルアミン(MIPA)の製造法に関する。
【0002】
モノイソプロピルアミン(MIPA)は、とりわけ、殺虫剤、消毒薬、染料、可塑剤および腐食防止剤を製造するための、および製薬工業において使用するための重要な中間生成物である。
【0003】
エチルアミンは、とりわけ、燃料添加剤、界面活性剤、医薬品および植物保護剤、エポキシ樹脂用硬化剤、ポリウレタン用触媒、第四級アンモニウム化合物を製造するための中間生成物、可塑剤、腐食防止剤、合成樹脂、イオン交換体、テキスタイル用助剤、染料、加硫促進剤および/または乳化剤を製造する際の中間生成物として適している。
【0004】
欧州特許出願公開第1106601号明細書A1(BASF AG)には、モノイソプロピルアミンをアセトンおよびアンモニアからCu/Ni/Co触媒上で製造する方法が記載されている。
【0005】
米国特許第7041857号明細書B1(Air Products and Chem.Inc.)には、アセトンを液相中でスポンジ金属触媒、特にクロムでドープされている、スポンジニッケル触媒またはスポンジコバルト触媒上で水素添加してイソプロパノールにすることが教示されている。
【0006】
WO 05/063681A(BASF AG)は、エタノールをアンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンと水素および不均一系触媒の存在下で反応させることによってエチルアミンを製造する方法に関し、この場合には、先に吸着剤である硫黄および/または硫黄含有化合物との接触によって劣化された、生化学的に製造されたエタノール(バイオエタノール)が使用される。
【0007】
WO 06/097468A(BASF AG)には、エタノールをアンモニア、第一級アミンおよび/または第二級アミンと水素および不均一系水素化/脱水素化触媒の存在下で反応させることによってエチルアミンを製造する方法が記載されており、この場合には、触媒である、周期律表の第VIII族および/または第IB族の1つ以上の金属を含有しかつ水素での活性化後に触媒1g当たりCO100μmol超のCO吸収能を有するバイオエタノールが使用される。
【0008】
WO 07/031449A(BASF AG)には、エタノールをアンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンと水素の存在下で反応させることによってエチルアミンを製造する触媒法が教示されており、この場合には、ジエチルアミンおよび/またはトリエチルアミンの添加によって変性されたエタノールが使用される。
【0009】
欧州特許出願公開第696572号明細書A1(BASF AG)は、アミンを第一級アミンおよび第二級アミンから、ZrO
2により担持された、Cu−Ni−Mo含有触媒を使用して製造するアミノ化法に関する。考えられうる原料は、例えばイソプロパノールおよびアンモニアである。
【0010】
合成エタノールの代用品は、生物学的または生化学的、殊に発酵学的に製造された、いわゆるバイオエタノールである。このバイオエタノールは、再生源から製造され、それゆえに、生態学的理由から好ましい。その上、バイオエタノールは、一部が合成エタノールよりも有利な価格を示す。
【0011】
バイオエタノールを数多くのアミノ化触媒上で使用する場合には、合成エタノールを使用する場合よりも明らかに早い触媒不活性化を観察しうる。そのための理由は、とりわけ、バイオエタノール中に含まれる硫黄および/または硫黄含有化合物にある。このことは、例えば”Fundamentals of Industrial Catalytic Processes”,R.J.Farrauto and C.H.Bartholomew,Verlag:Blackie Academic Professional,第1版,1997,第265−337頁に記載されており、第267頁には、「...硫黄および砒素含有の化合物は、水素化反応、脱水素化反応および水蒸気改質反応において金属に対する典型的な触媒毒である」と引用されている。第268頁の表中には、特にNi・Cu・Co触媒の場合に、硫黄が常用の触媒毒の1つとして挙げられている。上記の刊行物のWO 05/063681AおよびWO 06/097468Aにも硫黄および硫黄化合物でのアミノ化触媒の不活性化がテーマとして挙げられている。
【0012】
この合成は、急速な不活性化に基づいて、触媒を交換するために、しばしば中断されなければならない。このことは、生産の中止、触媒および触媒交換のためのコスト増加ならびに事故リスクの増加と結びついた人員投入の増加をまねく。
【0013】
硫黄および/または硫黄含有化合物の含量を有するバイオエタノールをアミノ化法において使用する場合には、それぞれの不均一系触媒の触媒活性の金属表面は、次第にますます、バイオアルコールによってもたらされた、単数または複数の硫黄または硫黄化合物で覆われる。このことは、触媒の不活性化の促進、ひいてはそのつどのプロセスの経済性に対する明らかな損失をまねく。
【0014】
合成エタノールは、一般に、例えばWickbold(DIN EN 41)により測定した、0.1質量ppm以下の硫黄および/または硫黄含有化合物(Sとして計算した)の含量を有する。
【0015】
それゆえに、同じ触媒上で交互に、バイオエタノールがアミノ化されかつMIPAがアルコール/ケトンアミノ化によって製造されるプラントにおいて、硫黄および/または硫黄含有化合物に対するバイオエタノールの含量による触媒毒の問題が発生する。すなわち、2つの反応の間には、S除去による触媒交換または触媒活性化が必要とされる。
【0016】
本発明は、公知技術水準の欠点を克服して、エチルアミン、すなわちモノエチルアミン、ジエチルアミンおよびトリエチルアミン、およびモノイソプロピルアミン(MIPA)を製造する、改善された経済的方法を提供するという課題に基づくものであった。この製造方法は、エチルアミンならびにMIPAをそのつど高い収率、空時収量(RZA)および選択率で供給しかつそのうえ、特に簡単かつ経済的であるべきであった。
【0017】
(空時収量は、「生成物量/(触媒容量×時間)」(kg/(触媒l×時間))および/または「生成物量/(反応器容量×時間)」(kg/(反応器l×時間))で規定される)。
【0018】
本発明によれば、先に、例えば数週間または数ヶ月に亘り、バイオエタノールのアミノ化に使用されかつその際に硫黄で毒化された、不均一系触媒、特に銅含有不均一系触媒および/またはニッケル含有不均一系触媒および/またはコバルト含有不均一系触媒上で、同じ触媒が新たに使用された場合と同様に高い転化率および選択率でMIPAへのイソプロパノールの後に続くアミノ化が成功することが確認された。これに反して、このことは、MIPAの製造に対する直接の供給原料としてのアセトンを用いると、数多くの副生成物の形成のために達成することができなかった。したがって、この結果は、驚異的なことである。それというのも、イソプロパノールによるアミノ化は中間体としてのアセトンを経て進行するので、イソプロパノールによるアミノ化は、機械的にアセトンによるアミノ化と極めて似通っているからである(例えば、E.J.Schwoegler et.al.,J.Am.Chem.Soc.,1939,第3499−3502頁参照)。
【0019】
好ましくは、本発明によれば、1つのプラントにおいて、同じ反応器中および同じ触媒上でキャンペーン的にエチルアミン(EA)をバイオエタノールから製造することができかつMIPAをイソプロパノールから製造することができ、その際に有利には、前接続されたプラントの一部分において離れた反応器中でイソプロパノールは、アセトンの水素化によって製造される。その際に、アセトンの水素化は、有利にMIPAキャンペーン中に実施され、およびイソプロパノール、有利に粗製イソプロパノールは、さらなる後処理なしに、直接にアミノ化に導入される。この概念によって、2つの生成物であるEAとMIPAは、1つだけのプラントにおいて製造されることができ(投資費用の節約)、および同時にそのつど最も安価に使用可能な原料であるバイオエタノールとアセトン(これは、最初にイソプロパノールに変換される)とが使用されうることが可能になる。EAおよびMIPAへの2つの反応の間に、触媒の交換は、不要であり、化学的な触媒処理、殊にS除去による触媒の活性化(解毒)も不要である。
【0020】
エチルアミン(EA)およびMIPAのキャンペーン的な製造とは、同じ製造プラントにおいて同じ触媒上で触媒の寿命内で時間的に制限された期間(「キャンペーン」)にそれぞれ一方の生成物または他方の生成物が製造されることであると解釈することができる。その際に、触媒の寿命内で、少なくとも1回、有利に少なくとも2回エチルアミンが製造され、かつ少なくとも1回、有利に少なくとも2回MIPAが製造される。例えば、新しい触媒バッチの取付け後に3ヶ月間エチルアミンが製造され(「キャンペーン1」)、および引き続き4ヶ月間MIPAが製造され(「キャンペーン2」)、引き続き2ヶ月間再びエチルアミンが製造され(「キャンペーン3」)、およびさらに、触媒の寿命の終わりに到達するまで製造される。例えば、2つのキャンペーンの中に検査等のために停止されたプラントが存在する場合には、2つの連続したキャンペーンにおいても同じ生成物が製造されてよい。
【0021】
それに応じて、バイオエタノールをアンモニアと、水素および不均一系触媒の存在下で反応させてエチルアミンにし、その際にバイオエタノールが0.1質量ppm以上の硫黄および/または硫黄含有化合物(Sとして計算した)の含量を有し、および、その後に同じ触媒の存在下でイソプロパノールをアンモニアと、水素の存在下で反応させてMIPAにすることを特徴とする、エチルアミンおよびモノイソプロピルアミン(MIPA)を、殊にキャンペーン的に、製造する方法が見い出された。
【0022】
この反応は、反応式
【化1】
により行われる。
【0023】
イソプロパノールをアミノ化する際の副生成物として、微少量のジ(イソプロピル)アミン(DIPA)が生じる。
【0024】
アンモニアでのアミノ化の場合、2つのアルコールは、そのつど同じ(すなわち、一方だけ同じではない)不均一系触媒上で反応される。すなわち、反応器の供給原料としてバイオエタノールがイソプロピルへ変更される場合には、触媒は、同じタイプの触媒と交換することもできないし、別のタイプの触媒と交換することもできない。有利に高められた圧力、有利に高められた温度および水素の存在は、典型的な反応条件である。
【0025】
本発明によれば、使用されたバイオエタノールは、一般に、農作物から採る化学物質、例えば糖みつ、サトウキビ液、コーンスターチ、または木材糖化の生成物から、および亜硫酸パイプ廃液から、発酵によって製造される。
【0026】
好ましくは、グルコースをCO
2の分離下で発酵させることによって得られたバイオエタノールが使用される(K.Weissermel und H.−J.Arpe,Industrial Organic Chemistry,Wiley−VCH,Weiheim,2003,p.194;Electric Version of Sixth Edition of Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,2000,Chapter Ethanol,Paragraph Fermentation)。
【0027】
バイオエタノールは、たいてい、蒸留法によって発酵液体培地から取得される。Electronic Version of Sixth Edition of Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,2000,Chapter Ethanol,Paragraph,”Recovery and Purification”。
【0028】
殊に、好ましくは、本発明による方法において、先に、例えば吸着剤、例えば珪藻土、活性化酸化アルミニウム、親水性の性質を有するゼオライト、活性炭またはカーボンモレキュラーシーブ、硫黄および/または硫黄含有化合物との接触によって劣化されなかった、生物学的または生化学的に製造されたエタノール(生物学的または生化学的に製造されたエタノール=バイオエタノール)が使用される。
【0029】
本発明による方法において、有利には、例えばWickbold(DIN EN 41)により(2質量ppm以下のS含量の際に)測定したかまたはDIN 51400 第7部による電量分析により(2質量ppm超のS含量の際に)測定した、0.1質量ppm以上、または0.2質量ppm以上、または0.5質量ppm以上、または1質量ppm以上、または2質量ppm以上、または5質量ppm以上、または10質量ppm以上の硫黄および/または硫黄含有化合物(それぞれSとして計算した)の含量を有するバイオエタノールが使用される。
【0030】
硫黄および/または硫黄含有化合物の含量は、例えばDIN 51400 第7部による電量分析により測定した、例えば、200質量ppmまで、100質量ppmまで、50質量ppmまで、有利に10質量ppmまでである(それぞれSとして計算した)ことができる。
【0031】
特に有利には、例えばWickbold(DIN EN 41)により測定した、0.2質量ppm以上ないし2質量ppm、例えば0.5質量ppm以上ないし2質量ppmの範囲内の硫黄および/または硫黄含有化合物(それぞれSとして計算した)の含量を有するバイオエタノールが使用される。
【0032】
前記の硫黄含有化合物は、無機化合物、例えば硫酸塩、亜硫酸塩、および/または有機化合物、殊に対称C
2〜10ジアルキルスルフィドおよび/または非対称C
2〜10ジアルキルスルフィド、特にC
2〜6ジアルキルスルフィド、例えばジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、殊に有利にジメチルスルフィド、C
2〜10ジアルキルスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、3−メチルチオ−1−プロパノールおよび/またはS含有アミノ酸、例えばメチオニンおよびS−メチル−メチオニンであることができる。
【0033】
特別な実施態様において、硫黄および/または硫黄含有化合物の上記含量に加えて、
1〜5000質量ppm、特に5〜3000質量ppm、殊に10〜2000質量ppmの範囲内のC
3〜4アルカノールの含量、
1〜5000質量ppm、特に5〜3000質量ppm、殊に20〜1000質量ppmの範囲内のメタノールの含量、
1〜5000質量ppm、特に5〜3000質量ppm、殊に10〜2000質量ppmの範囲内の酢酸エチルの含量
を有するバイオエタノールが使用される。
【0034】
C
3〜4アルカノール(例えば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール)、メタノールおよび酢酸エチルの含量は、例えば、ガスクロマトグラフィー(30mのDB−WAXカラム、ID:0.32mm、膜厚:0.25μm、FID検出器、温度プログラム:35℃(5分)、加熱速度10℃/分、200℃(8分))により測定される。
【0035】
バイオエタノールとアンモニアとの反応は、その時間の終結時に触媒のS含量が700質量ppm未満、特に600質量ppm未満、さらに特に500質量ppm未満、例えば100質量ppmないし700質量ppm未満、特に150質量ppmないし600質量ppm未満になる時間に亘って有利に実施される。
【0036】
例えば、この時間は、0.5質量ppmの硫黄および/または硫黄含有化合物(Sとして計算した)の含量を有するバイオエタノール0.1kg/(触媒kg×h)を使用する場合、200質量ppmの触媒のS含量を実現させるために、触媒に対してSを完全に吸着させる際に4000時間である。
【0037】
本発明による方法において使用される触媒は、有利に、元素の周期律表の第VIII族および/または第IB族の1つ以上の金属(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)を含有する。
【0038】
当該金属の例は、Cu、Co、Niおよび/またはFe、ならびに貴金属、例えばRu、Pt、Pd、ならびにReである。前記触媒は、例えばAg、Zn、In、Mn、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)および/またはMoでドープされていてよい。
【0039】
本発明による方法において使用される不均一系触媒は、有利に、Cuおよび/またはNiおよび/またはCo、好ましくはCuおよびNi、さらに好ましくはCuおよびNiおよびCoを含有する。
【0040】
例えば、それぞれ周期律表の第VIII族の任意に含まれる全ての金属(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)に対して、当該触媒のニッケルの含量が90質量%を上回る、特に95質量%を上回る不均一系触媒は、好ましい。
【0041】
また、例えば、それぞれ周期律表の第VIII族の任意に含まれる全ての金属(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)に対して、当該触媒のコバルトの含量が90質量%を上回る、特に95質量%を上回る不均一系触媒は、好ましい。
【0042】
例えば、ラニーニッケルおよびラニーコバルトは、適した触媒であり、その際にこれらの触媒は、さらなる金属、例えばCrおよび/またはMoおよび/またはFeおよび/または周期律表の第VIII族の別の金属(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)でドープされていてもよい。
【0043】
担持された不均一系触媒には、活性金属に対する担持材料として、有利に酸化アルミニウム(γ−酸化アルミニウム、δ−酸化アルミニウム、θ−酸化アルミニウム、α−酸化アルミニウム、κ−酸化アルミニウム、χ−酸化アルミニウムまたはこれらの混合物)、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、ゼオライト、アルミノケイ酸塩等ならびにこれらの担体の混合物が使用される。
【0044】
前記触媒は、公知方法により、例えば沈殿法、析出沈殿法(Auffaellung)、含浸法によって製造されうる。
【0045】
好ましくは、前記不均一系触媒は、活性金属に対する酸化物担持材料、有利に二酸化ケイ素、酸化アルミニウム(γ−酸化アルミニウム、δ−酸化アルミニウム、θ−酸化アルミニウム、α−酸化アルミニウム、κ−酸化アルミニウム、χ−酸化アルミニウムまたはこれらの混合物)、二酸化チタンおよび/または二酸化ジルコニウム(有利に単斜晶変態、正方晶変態または立方晶変態)を含む。特に好ましい担持材料は、酸化アルミニウム、殊にγ−酸化アルミニウムである。
【0046】
本発明による方法において、前記触媒は、有利に、この触媒が成形体として使用される場合に、触媒活性物質および任意に成形助剤(例えば、グラファイトまたはステアリン酸)だけからなる、すなわちさらなる触媒活性随伴物質を含有しない触媒の形で使用される。
【0047】
これに関連して、酸化物担持材料、例えば酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)は、触媒活性物質に属するものとみなされる。
【0048】
前記触媒は、触媒活性の、粉末に微粉砕された物質が反応容器中に導入されるか、または触媒活性物質が微粉砕、成形助剤との混合、成形および熱処理の後に触媒成形体−例えば、タブレット、球、リング、押出品(例えば、ストランド)−として反応器中に配置される形で使用される。
【0049】
前記触媒の成分の濃度の記載(質量%で)は、そのつど−別記しない限り−完成した触媒の最後の熱処理の後および完成した触媒の水素での還元の前の完成した触媒の触媒活性物質に対するものである。
【0050】
前記触媒の触媒活性物質は、当該触媒の最後の熱処理後および当該触媒の水素での還元前に、触媒活性成分の質量と上記触媒担持材料の質量との総和として規定され、かつ本質的に次の成分:
二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)および/または二酸化ジルコニウム(ZrO
2)ならびに銅および/またはニッケルおよび/またはコバルトの酸素含有化合物
を含む。
【0051】
触媒活性物質の上記成分の総和は、通常、70〜100質量%、有利に80〜100質量%、特に有利に90〜100質量%、特に95質量%超、とりわけ98質量%超、殊に99質量%超、例えば殊に有利に100質量%である。
【0052】
さらに、本発明による触媒および本発明による方法において使用される触媒の触媒活性物質は、周期律表の第IA〜VIA族および第IB〜VIIB族および第VIII族から選択された、1つ以上の元素(酸化数0)(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)またはこれらの無機化合物もしくは有機化合物を含有することができる。
【0053】
当該元素またはその化合物の例は、次のとおりである:
遷移金属、例えばMnまたはMnO
2、MoまたはMoO
3、Wまたは酸化タングステン、Taまたは酸化タンタル、Nbまたは酸化ニオブもしくはシュウ酸ニオブ、Vまたは酸化バナジウム、またはピロ燐酸バナジル、ランタニド、例えばCeもしくはCeO
2またはPrもしくはPr
2O
3、アルカリ土類金属酸化物、例えばSrO、アルカリ土類金属炭酸塩、例えばMgCO
3、CaCO
3およびBaCO
3、アルカリ金属酸化物、例えばNa
2O、K
2O、アルカリ金属炭酸塩、例えばLi
2CO
3、Na
2CO
3およびK
2CO
3、酸化ホウ素(B
2O
3)。
【0054】
好ましくは、本発明による方法において使用される触媒の触媒活性物質は、それぞれ金属の形(酸化数=0)でもイオンの形(酸化数≠0)でも、殊に酸化された形でも、レニウムおよび/またはルテニウムおよび/または鉄および/または亜鉛を含まない。
【0055】
好ましくは、本発明による方法において使用される触媒の触媒活性物質は、金属の形(酸化数=0)でもイオンの形(酸化数≠0)でも、殊に酸化された形でも銀を含まない。
【0056】
好ましい不均一系触媒は、当該触媒の触媒活性物質中に水素での処理前に、
Al
2O
3として計算した、アルミニウムの酸素含有化合物を20〜90質量%、有利に40〜85質量%、特に有利に60〜80質量%、
CuOとして計算した、銅の酸素含有化合物を1〜30質量%、有利に2〜25質量%、特に有利に3〜20質量%、
NiOとして計算した、ニッケルの酸素含有化合物を1〜40質量%、有利に3〜30質量%、特に有利に5〜20質量%、その際に特に有利には、ニッケル対銅のモル比率は、1超、有利に1.2超、特に有利に1.8〜8.5であり、および
CoOとして計算した、コバルトの酸素含有化合物を1〜40質量%、有利に3〜30質量%、特に有利に5〜20質量%
含有する。
【0057】
それぞれNiO、CoOおよびCuOとして計算した、ニッケル、コバルトおよび銅の酸素含有化合物は、有利に全部で、10〜80質量%、特に有利に15〜60質量%、殊に有利に20〜40質量%の量で、触媒活性物質中に(水素での処理前に)含有されており、その際に特に有利にニッケル対銅のモル比率は、1超である。
【0058】
特に好ましい不均一系触媒は、当該触媒の触媒活性物質中に水素での処理前に、
ZrO
2として計算した、ジルコニウムの酸素含有化合物を20〜85質量%、有利に20〜65質量%、特に有利に22〜40質量%、
CuOとして計算した、銅の酸素含有化合物を1〜30質量%、特に有利に2〜25質量%、
NiOとして計算した、ニッケルの酸素含有化合物を14〜70質量%、有利に15〜50質量%、特に有利に21〜45質量%、その際に有利には、ニッケル対銅のモル比率は、1超、殊に1.2超、特に有利に1.8〜8.5であり、および
MoO
3として計算した、モリブデンの酸素含有化合物を0〜5質量%、特に0.1〜3質量%
含有する。
【0059】
さらなる変法において、前記の好ましい触媒は、さらに、当該触媒の触媒活性物質中に水素での処理前に、
CoOとして計算した、コバルトの酸素含有化合物を15〜50質量%、特に有利に21〜45質量%
含有する。
【0060】
前記の好ましい触媒の、それぞれCuO、NiOおよびCoOとして計算した、銅、ニッケルおよび任意にコバルトの酸素含有化合物は、一般に全部で、15〜80質量%、有利に35〜80質量%、特に有利に60〜78質量%の量で、触媒活性物質中に(水素での処理前に)含有されており、その際に特に有利にニッケル対銅のモル比率は、1超である。
【0061】
本発明による方法においてさらに好ましい不均一系触媒は、
ドイツ連邦共和国特許出願公開第1953263号明細書A(BASF AG)中に開示された、全触媒に対して、5〜80質量%、殊に10〜30質量%の金属含量を有する、コバルト、ニッケルおよび銅ならびに酸化アルミニウムおよび/または二酸化ケイ素を含有する触媒であり、その際に金属含量に対して計算した、前記触媒は、コバルトとニッケルとの混合物を70〜95質量%および銅を5〜30質量%含有し、およびその際にコバルト対ニッケルの質量比は、4:1〜1:4、殊に2:1〜1:2であり、例えばここの実施例において使用される触媒は、Al
2O
3上でCoO10質量%、NiO10質量%およびCuO4質量%の組成を有し、
欧州特許出願公開第382049号明細書A(BASF AG)中に開示された、または相応して製造可能な触媒であり、この触媒の触媒活性物質は、水素での処理前に、
ZrO
2および/またはAl
2O
3を20〜85質量%、有利に70〜80質量%、
CuOを1〜30質量%、有利に1〜10質量%、
およびそれぞれ、CoOおよびNiOを1〜40質量%、有利に5〜20質量%含有し、
例えば、上記引用文第6頁に記載された触媒は、ZrO
2として計算した、Zr76質量%、CuOとして計算した、Cu4質量%、CoOとして計算した、Co10質量%およびNiOとして計算した、Ni10質量%の組成を有し、
欧州特許出願公開第963975号明細書A(BASF AG)中に開示された触媒であり、この触媒の触媒活性物質は、水素での処理前に、
ZrO
2を22〜40質量%、
CuOとして計算した、銅の酸素含有化合物を1〜30質量%、
NiOとして計算した、ニッケルの酸素含有化合物を15〜50質量%、その際にNi:Cuのモル比率は、1超であり、
CoOとして計算した、コバルトの酸素含有化合物を15〜50質量%、
Al
2O
3またはMnO
2として計算した、アルミニウムおよび/またはマンガンの酸素含有化合物を0〜10質量%含有し、
およびモリブデンの酸素含有化合物を含有せず、
例えば、上記引用文第17頁に開示された触媒Aは、ZrO
2として計算した、Zr33質量%、NiOとして計算した、Ni28質量%、CuOとして計算した、Cu11質量%およびCoOとして計算した、Co28質量%の組成を有し、
欧州特許出願公開第696572号明細書A(BASF AG)中に開示された触媒であり、その触媒の触媒活性物質は、水素での還元前に、ZrO
2を20〜85質量%、CuOとして計算した、銅の酸素含有化合物を1〜30質量%、NiOとして計算した、ニッケルの酸素含有化合物を30〜70質量%、MoO
3として計算した、モリブデンの酸素含有化合物を0.1〜5質量%、およびAl
2O
3またはMnO
2として計算した、アルミニウムおよび/またはマンガンの酸素含有化合物を0〜10質量%含有し、例えば、上記引用文第8頁に開示された触媒は、ZrO
231.5質量%、NiO50質量%、CuO17質量%およびMoO
31.5質量%の組成を有し、
欧州特許出願公開第1270543号明細書A1(BASF AG)中に記載された、周期律表の第VIII族および第IB族からの少なくとも1つの元素または元素の化合物(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)を含有する触媒であり、
欧州特許出願公開第1431273号明細書A(BASF AG)中に記載された触媒であり、この触媒の製造の際に、触媒活性成分は、単斜晶、正方晶または立方晶の二酸化ジルコニウム上に沈殿した、
欧州特許出願公開第636409号明細書A1(BASF AG)中に記載された触媒であり、殊にここでは例示的な触媒A〜Eを参照のこと、これらの触媒の触媒活性物質は、それぞれ酸化物として計算した、コバルト55〜98質量%、燐0.2〜15質量%、マンガン0.2〜15質量%およびアルカリ金属(特に、ナトリウム)0.2〜15質量%からなり、その際に触媒物質は、第1の工程において、550〜750℃の最終温度で、および第2の工程において、800〜1000℃の最終温度で焼成され、
および
米国特許第4314084号明細書A(Air Products and Chem.,Inc.)中の記載と同様の、すなわち本質的に中性の酸化アルミニウム上に担持された、第VIII族の金属(ケミカルアブストラクツサービスグループの表示法)、特にコバルトを含むコバルト触媒であり、その際に担体は、アルカリ土類金属、特にCa、BaまたはMgを含み、殊に実施例1に記載されたコバルト触媒は、コバルト約34質量%および本質的に中性pHのAl
2O
3担体を含む。
【0062】
製造/購入された触媒は、それ自体として貯蔵されることができる。本発明による方法において前記触媒を触媒として使用する前に、当該触媒は、水素での処理によって予備還元される(=触媒の活性化)。しかし、前記触媒は、予備還元なしに使用されてもよく、その際にこの触媒は、さらに本発明による方法の条件下で反応器中に存在する水素によって還元(=活性化)される。
【0063】
活性化のために、前記触媒は、有利に100〜500℃、特に150〜400℃、殊に有利に180〜300℃の範囲内の温度で少なくとも25分間、特に少なくとも60分間の時間に亘り水素含有雰囲気または水素雰囲気に晒される。前記触媒の活性化の時間は、1時間まで、特に12時間まで、特に24時間までであることができる。
【0064】
前記活性化の際に、前記触媒中に存在する酸素含有金属化合物の少なくとも一部分は、相応する金属に還元され、その結果、この金属は、さまざまな酸素化合物と共通して触媒の活性形で存在する。
【0065】
− バイオエタノールおよびアンモニアからのエチルアミンの製造:
好ましくは、反応は、10〜100バール、特に15〜80バール、さらに特に20〜70バールの範囲内の絶対圧力で実施される。
【0066】
この反応は、有利に、130〜230℃、特に150〜225℃、さらに特に180〜220℃の範囲内の温度で行われる。
【0067】
触媒負荷量は、有利に、0.05〜0.50kg/l×h、特に0.10〜0.35kg/l×h、さらに特に0.15〜0.25kg/l×hの範囲内にある[バイオエタノール kg/(触媒 リットル×時間)]。
(触媒 リットル=触媒層容量)。
【0068】
使用される水素量は、有利に、50〜350Nl/l×h、特に100〜250Nl/l×h、さらに特に120〜200Nl/l×h、殊に150〜180Nl/l×hの範囲内にある[標準リットル/(触媒 リットル×時間)]。
(Nl=標準リットル=標準条件(20℃、1バールの絶対圧力)で換算された容量)。
【0069】
好ましくは、反応は、0.4〜10モル/モル、特に0.5〜5モル/モル、さらに特に0.6〜2モル/モルの範囲内のNH
3:エタノールのモル比率で実施される。
【0070】
この方法は、非連続的に実施されうるかまたは好ましくは、以下のように連続的に実施されることができ、その際に触媒は、有利に固定層として反応器中に配置されている。
【0071】
この反応は、有利に管状反応器または管束反応器中で実施される。
【0072】
アミノ化は、液相中で、または気相中で実施されうる。気相中での固定層法が好ましい。
【0073】
気相中での作業の際に、ガス状出発物質(アルコールおよびアンモニア)は、蒸発のために十分に大量に選択されたガス流中、有利に水素中で上記の圧力および温度で反応される。その際に、触媒固定層に向かっての流れは、上方からでも下方からでも可能である。好ましくは、循環ガス運転形式によって、必要なガス流が得られる。
【0074】
液相中で作業する場合ならびに気相中で作業する場合には、より高い温度およびより高い全圧力を使用することが可能である。また、液相中で作業する場合には、触媒固定層に向かっての流れは、上方からでも下方からでも可能である。アミノ化剤、アルコールおよび形成される反応生成物ならびに任意に共用される溶剤の部分圧力の総和から規定の温度でもたらされる、反応容器中の圧力は、有利に水素を圧入することによって所望の反応圧力に高められる。
【0075】
液相中での連続的な作業の場合ならびに気相中での連続的な作業の場合には、過剰のアミノ化剤が水素と一緒に循環路内に導かれうる。
【0076】
触媒が固定層として配置されている場合には、反応の選択率に対して、反応器中の触媒成形体を不活性の充填体と混合すること、すなわち「希釈する」ことは、好ましい。当該触媒調製物中の充填体の割合は、20〜80容量部、特に30〜60容量部、殊に40〜50容量部であることができる。
【0077】
反応の進行中に形成される反応水(反応されたアルコール基1モル当たりそれぞれ1モル)は、一般に、転化率、反応速度、選択率および触媒寿命に対して損失なしに作用を及ぼし、かつしたがって、有利に反応生成物の後処理の際に初めてこの反応生成物から、例えば蒸留により除去される。
【0078】
この反応排出物から、当該反応排出物が有利に放圧された後に、過剰のアミノ化剤および水素が除去され、得られたアミノ化生成物(エチルアミン)は、蒸留または精留によって精製される。過剰のアミノ化剤および水素は、有利に元通りに反応帯域中に返送される。同様のことは、任意に、不完全に反応されたバイオエタノールにも当てはまる。
【0079】
− イソプロパノールおよびアンモニアからのMIPAの製造
好ましくは、反応は、10〜100バール、特に20〜80バール、さらに特に30〜60バールの範囲内の絶対圧力で実施される。
【0080】
前記反応は、有利に130〜230℃、特に150〜225℃、さらに特に180〜220℃の範囲内の温度で行われる。
【0081】
触媒負荷量は、有利に、0.05〜0.50kg/l×h、特に0.07〜0.30kg/l×h、さらに特に0.10〜0.25kg/l×hの範囲内にある[イソプロパノール kg/(触媒 リットル×時間)]。
(触媒 リットル=触媒層容量)。
【0082】
使用される水素量は、有利に、50〜350Nl/l×h、特に100〜250Nl/l×h、さらに特に120〜200Nl/l×h、殊に150〜180Nl/l×hの範囲内にある[標準リットル/(触媒 リットル×時間)]。
(Nl=標準リットル=標準条件(20℃、1バールの絶対圧力)で換算された容量)。
【0083】
好ましくは、反応は、1.0〜10モル/モル、特に1.5〜5モル/モル、さらに特に2〜4モル/モルの範囲内のNH
3:イソプロパノールのモル比率で実施される。
【0084】
この方法は、非連続的に実施されうるかまたは好ましくは、以下のように連続的に実施され、その際に触媒は、有利に固定層として反応器中に配置されている。
【0085】
この反応は、有利に管状反応器または管束反応器中で実施される。
【0086】
アミノ化は、液相中で、または気相中で実施されうる。気相中での固定層法が好ましい。
【0087】
気相中での作業の際に、ガス状出発物質(アルコールおよびアンモニア)は、蒸発のために十分に大量に選択されたガス流中、有利に水素中で上記の圧力および温度で反応される。その際に、触媒固定層に向かっての流れは、上方からでも下方からでも可能である。好ましくは、循環ガス運転形式によって、必要なガス流が得られる。
【0088】
液相中で作業する場合ならびに気相中で作業する場合には、より高い温度およびより高い全圧力を使用することが可能である。また、液相中で作業する場合には、触媒固定層に向かっての流れは、上方からでも下方からでも可能である。アミノ化剤、アルコールおよび形成される反応生成物ならびに任意に共用される溶剤の部分圧力の総和から規定の温度でもたらされる、反応容器中の圧力は、有利に水素を圧入することによって所望の反応圧力に高められる。
【0089】
液相中での連続的な作業の場合ならびに気相中での連続的な作業の場合には、過剰のアミノ化剤が水素と一緒に循環路内に導かれうる。
【0090】
触媒が固定層として配置されている場合には、反応の選択率に対して、反応器中の触媒成形体を不活性の充填体と混合すること、すなわち「希釈する」ことは、好ましい。当該触媒調製物中の充填体の割合は、20〜80容量部、特に30〜60容量部、殊に40〜50容量部であることができる。
【0091】
反応の進行中に形成される反応水(反応されたアルコール基1モル当たりそれぞれ1モル)は、一般に、転化率、反応速度、選択率および触媒寿命に対して損失なしに作用を及ぼし、かつしたがって、有利に反応生成物の後処理の際に初めてこの反応生成物から、例えば蒸留により除去される。
【0092】
この反応排出物から、当該反応排出物が有利に放圧された後に、過剰のアミノ化剤および水素が除去され、得られたアミノ化生成物(MIPA)は、蒸留または精留によって精製される。過剰のアミノ化剤および水素は、有利に元通りに反応帯域中に返送される。同様のことは、任意に、不完全に反応されたイソプロパノールにも当てはまる。
【0093】
− アセトンからのイソプロパノールの製造(水素化):
好ましい触媒は、酸化アルミニウムにより担持されたCu触媒である。
【0094】
さらに、銅・クロム含有触媒(Cu−Cr触媒)が好ましい。さらに、亜クロム酸銅(III)20〜80質量%と、その中で有利に一部または全ての亜クロム酸銅(III)は式CuO・CuCr
2O
4を有するものとし、少なくとも1つの押出可能な無機結合剤物質20〜80質量%とを含む混合物から製造された、欧州特許出願公開第563327号明細書A=WO 92/10290A1(Engelhard Corp.)中に記載された形成された亜クロム酸銅(III)触媒が好ましく、その際に前記触媒は、20〜225m
2/gの表面積を有し、および前記触媒において、9500ナノメートル(95000オングストローム)までの直径を有する細孔の全細孔容積は、0.35〜1cm
3/gである。殊に、そこの例示的な触媒(実施例1〜6)を参照のこと。同様に、WO 92/10290 A1中に記載された(第13頁、第3行)、商業的に入手可能な、押出された亜クロム酸銅(III)触媒「Cuー1230E 1/8 in」が適している。
【0095】
好ましい触媒は、同様に、アセトン水素化のために、欧州特許出願公開第361755号明細書A2(Mitsui Petrochem.Ind.)、第6欄に教示された触媒である。
【0096】
好ましくは、反応は、10〜100バール、特に30〜90バール、さらに特に40〜80バールの範囲内の絶対圧力で実施される。
【0097】
この反応は、有利に40〜170℃、特に50〜160℃の範囲内の温度で行われる。この温度は、連続的な運転形式の際にさらに特に、反応器の入口で50〜80℃の範囲内にありかつ反応器の出口で120〜150℃の範囲内にある。
【0098】
触媒負荷量は、有利に、0.1〜0.7kg/l×h、特に0.15〜0.6kg/l×h、さらに特に0.2〜0.5kg/l×hの範囲内にある[アセトン kg/(触媒 リットル×時間)]。
(触媒 リットル=触媒層容量)。
【0099】
使用される水素量は、有利に、50〜350Nl/l×h、特に100〜250Nl/l×h、さらに特に120〜200Nl/l×h、殊に150〜180Nl/l×hの範囲内にある[標準リットル/(触媒 リットル×時間)]。
(Nl=標準リットル=標準条件(20℃、1バールの絶対圧力)で換算された容量)。
【0100】
好ましくは、反応は、1.0〜3.0モル/モル、特に1.0〜1.5モル/モル、さらに特に1.0〜1.2モル/モルの範囲内のH
2:アセトンのモル比率で実施される。
【0101】
この方法は、非連続的に実施されうるかまたは好ましくは、以下のように連続的に実施されることができ、その際に触媒は、有利に固定層として反応器中に配置されている。
【0102】
この反応は、有利に管状反応器または管束反応器中で実施される。
【0103】
水素化は、液相中で、または気相中で実施されうる。
【0104】
液相中で作業する場合ならびに気相中で作業する場合には、より高い温度およびより高い全圧力を使用することが可能である。アセトンおよび形成される反応生成物ならびに任意に、共用される溶剤の部分圧力の総和から規定の温度でもたらされる、反応容器中の圧力は、有利に水素を圧入することによって所望の反応圧力に高められる。
【0105】
液相中での連続的な作業の場合ならびに気相中での連続的な作業の場合には、過剰のアミノ化剤が水素と一緒に循環路内に導かれうる。
【0106】
触媒が固定層として配置されている場合には、反応の選択率に対して、反応器中の触媒成形体を不活性の充填体と混合すること、すなわち「希釈する」ことは、好ましい。当該触媒調製物中の充填体の割合は、20〜80容量部、特に30〜60容量部、殊に40〜50容量部であることができる。
【0107】
アセトン水素化の反応排出物は、有利に直接に、すなわちさらなる後処理工程、例えば精製/蒸留なしに、MIPAの製造のためにアミノ化に使用される。
【0108】
反応は、特に有利に細流相でシャフト炉反応器中で行われる。その際に、液体(アセトンおよび返送されたイソプロパノール)ならびにガス(水素)は、上方から反応器中に供給される。反応器を通過する際に、反応の発熱に基づいて断熱的な温度上昇がもたらされ、この温度上昇は、循環されるイソプロパノールによるアセトンの希釈に基づいて30〜100℃に制限される。反応器の出口の後方で、反応混合物は、冷却器を通過し、その後に分離器中でガス相と液体相とに分離される。液相中の一部分、例えば50質量%未満は、精製されるかまたは有利には直接に(圧力下で)アミノ化に供給される(MIPAを生じる)。前記液相中の残りの部分は、返送用イソプロパノールとして水素化に返送される。
【0109】
全ての圧力の記載は、絶対圧力に対するものである。
【0110】
全てのppmの記載は、質量に対するものである。
【実施例】
【0111】
例
触媒「A」
欧州特許出願公開第696572号明細書A1(BASF AG)、そこの実施例1参照のこと、の開示内容と同様の触媒「A」、Cu/Ni/Mo/ZrO
2触媒を、沈殿、ろ過、熱処理およびタブレット化(6×3mmのタブレット)によって製造した。
【0112】
この触媒は、水素での当該触媒の処理(活性化)前に次の組成を有していた:
ZrO
2上でNiO50質量%、CuO17質量%およびMoO1.5質量%。
【0113】
例1
Ni・Cu含有触媒上でのバイオエタノール、アセトン、バイオエタノールおよびイソプロパノールの順次のアミノ化
a)バイオエタノールでの運転形式
垂直に配置された固定層反応器中にタブレット状Ni/Cu触媒「A」800ml(1313g)を装入した。水素での活性化(250℃、常圧、24時間)の後、上方から下向きに真っ直ぐな通路内で、さらに僅かな割合のエチルアミンおよび水を含有する、生物学的に製造されたエタノール(バイオエタノール)120g/h(質量%での組成:エタノール87%、エチルアミン5.7%、水7%、硫黄1ppm、高級アルコール総和で0.3%未満)−0.15kg/(l×h)の触媒負荷量に相応する−およびアンモニア57g/hならびに水素185Nl/hを触媒層に導き通した。(Nl=標準リットル=標準条件(20℃、1バール)で換算された容量)。その際に、圧力は66バールであり、温度は185〜188℃であった。反応混合物のバイパス高圧試料を反応器の後方で取り出し(100mlの圧力シリンダー)、かつ実験室内で水40ml中に放圧した。水溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した:カラムRTX−5 Amin(l=30m、ID=0.32mm、膜厚(df)=1.5μm)、40℃(10分)、10℃/分で280℃へ、280℃(5分)、キャリヤーガスHe、検出器FID。結果は、有機成分として質量%で記載されている。試験を約2900時間行い、その際にエチルアミン91〜94%および未反応のエタノール6〜9%を得た。
【0114】
この運転時間中に、触媒は、1ppmのおよその硫黄含量を有する、すなわち硫黄を、触媒上の271質量ppmに相応して、356mg有するバイオエタノール全部で356kgで負荷されていた。
【0115】
b)アセトンでの運転形式
引続き、約180時間、アセトン128g/h(負荷量0.16kg/(l×h))、アンモニア109g/hおよび水素を反応器中に導入した(圧力40バール)。
【0116】
前記反応混合物のバイパス高圧試料を反応器の後方で取り出し(100mlの圧力シリンダー)、かつ実験室内で水40ml中に放圧した。水溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した:カラムDB1(l=30m、ID=0.32mm、膜厚(df)=3μm)、50℃(10分)、10℃/分で280℃へ、280℃(17分)、キャリヤーガスHe、検出器FID。結果は、次の表中に質量%として記載されている:
【表1】
【0117】
アセトンは、運転時間の間じゅう完全に反応された。
【0118】
アセトンが早期の運転によってバイオエタノールで硫化された触媒上で劣悪な収率でのみMIPAにアミノ化されることができ、および殊に縮合生成物(C6アミン)が著量で形成されることは、明らかである。
【0119】
c)バイオエタノールでの運転形式(本発明による)
引続き、触媒を約500時間、再びバイオエタノール(上記と同じ条件)で運転した。
【0120】
したがって、この時間後に全て、1ppmの硫黄含量を有するバイオエタノール414gが触媒層に導き通され、すなわち触媒上には、完全な吸着であると想定して、硫黄が414mg、315質量ppmに相当して、存在する。
【0121】
d)イソプロパノールでの運転形式
最終的に、この試験において、約240時間、イソプロパノール(負荷量0.13〜0.16kg/(l×h))、アンモニア109g/h(NH
3:イソプロパノールのモル比率=3.0〜3.8)ならびに水素120Nl/hを反応器中に導入した(圧力45バール)。表参照のこと。
【0122】
前記反応混合物のバイパス高圧試料を反応器の後方で取り出し(100mlの圧力シリンダー)、かつ実験室内で水40ml中に放圧した。水溶液を上記b)の記載と同様にガスクロマトグラフィーにより分析した:結果は、次の表中に質量%として記載されている:
【表2】
【0123】
イソプロパノールのアミノ化によって、アセトンのアミノ化によるよりも本質的により良好なMIPA収率を達成することができ、および殊に縮合生成物(C6アミン)が生じないことは、明らかである。ここで、転化率は、「100%−イソプロパノール[質量%]」として%で規定されている。ここで、選択率は、「100倍された、MIPA[質量%]と転化率[%]とからの商」として%で規定されている。
【0124】
例2(比較例):
先に、バイオエタノールのアミノ化に使用されなかった、新しい触媒の上でのMIPAへのイソプロパノールのアミノ化
垂直に配置された固定層反応器中にタブレット状Ni/Cu触媒「A」130mlを装入した。水素での活性化の後、真っ直ぐな通路内で、イソプロパノール19g/h−0.15kg/(l×h)の触媒負荷量に相応する−およびアンモニア18g/h(NH
3:イソプロパノールのモル比率=3.3)ならびに水素29Nl/hを触媒層に導き通した。その際に、圧力は45バールであり、温度は180℃であった。約90時間の運転時間中に、平均で次の値を得た:MIPA89%、イソプロパノール6.1%、ジ(イソプロピル)アミン5.1%および縮合生成物(C6アミン)0.00%、(b)の記載と同様のGC法)。例1d)における規定によれば、イソプロパノールの転化率は、93.9%であり、およびMIPAの選択率は、94.8%であった。
【0125】
したがって、先に、硫黄含有バイオエタノールのアミノ化に使用された触媒上でのMIPAへのイソプロパノールのアミノ化が、新しい触媒上でのMIPAへのイソプロパノールのアミノ化と同様に、転化率および選択率に関して少なくとも良好な結果を生じることは、明らかである。
【0126】
例3
コバルト含有触媒上でのバイオエタノールおよびイソプロパノールの順次のアミノ化
a)バイオエタノールでの運転形式
垂直に配置された固定層反応器中に商業的にSued−Chemie社から入手可能な触媒G−62RS(”General Catalogue Sued−Chemie Catalysts”(2007)参照のこと)800ml(773g)を装入した。240℃までおよび40バールまでの際の水素での活性化(24時間)の後、上方から下向きに真っ直ぐな通路内で、さらに僅かな割合のエチルアミンおよび水を含有する、生物的に製造されたエタノール120〜200g/h(組成:エタノール89%、エチルアミン3.7%、水7%、硫黄1ppm、高級アルコール総和で0.3%未満)−0.15〜0.25kg/(l×h)の触媒負荷量に相応する−およびアンモニア57〜96g/hならびに水素130〜275Nl/hを触媒層に導き通した。その際に、圧力は66バールであり、温度は175〜194℃であった。反応混合物のバイパス高圧試料を反応器の後方で取り出し(100mlの圧力シリンダー)、かつ実験室内で水40ml中に放圧した。水溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した:カラムRTX−5 Amin(l=30m、ID=0.32mm、膜厚(df)=1.5μm)、40℃(10分)、10℃/分で280℃へ、280℃(5分)、キャリヤーガスHe、検出器FID。結果は、有機成分が質量%として記載されている。試験を約2500時間行い、その際にエチルアミン85〜96%および未反応のエタノール3〜14%を得た。
【0127】
この運転時間中に、触媒は、1ppmのおよその硫黄含量を有する、すなわち硫黄347mgを有するバイオエタノール全部で347kgで負荷されていた(449質量ppmに相応する)。
【0128】
b)イソプロパノールでの運転形式
引続き、この試験において、約580時間、イソプロパノール(負荷量0.13〜0.17kg/(l×h))、アンモニア93〜118g/h(NH
3:イソプロパノールのモル比率=2.8〜3.9)ならびに水素120〜126Nl/hを反応器中に導入した(圧力45バール)。表参照のこと。
【0129】
前記反応混合物のバイパス高圧試料を反応器の後方で取り出し(100mlの圧力シリンダー)、かつ実験室内で水40ml中に放圧した。水溶液を上記の例1bの記載と同様にガスクロマトグラフィーにより分析した:結果は、次の表中に質量%として記載されている:
【表3】
【0130】
MIPAへのイソプロパノールのアミノ化が触媒上で実施され、この触媒が先に、硫黄含有バイオエタノールのアミノ化のために使用され、かつそれによって硫黄で汚染されていたとしても、前記アミノ化が高い選択率で、および殊に縮合生成物(C6アミン)が回避されて成功することは、明らかである。ここで、転化率は、「100%−イソプロパノール[質量%]」として%で規定されている。ここで、選択率は、「100倍された、MIPA[質量%]と転化率[%]とからの商」として%で規定されている。
【0131】
バイオエタノール中の硫黄の測定方法
− 電量分析の方法は、DIN 51400−7に記載されている。
【0132】
Wickboldによる燃焼法に対する試料の調製は、例えばDIN 51408−1に説明されており、また、”Quantitative organische Elementaranalyse”,Friedrich Ehrenberger,ISBN 3−527−28056−1,第424頁以降から読み取ることができる。燃焼の際に生じかつ吸収された硫酸塩は、イオンクロマトグラフィーにより測定される。所属する文献は、例えば”Ionen−chromatographie”,Joachim Weiss,ISBN 3−327−28702−7第68頁以降、である。