(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968464
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】新規な構造の内蔵型電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 2/02 20060101AFI20160728BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20160728BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20160728BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20160728BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20160728BHJP
【FI】
H01M2/02 A
H01M2/02 F
H01M10/058
H01M2/10 E
H01M10/0566
H01M10/052
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-552138(P2014-552138)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公表番号】特表2015-508564(P2015-508564A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】KR2013000822
(87)【国際公開番号】WO2013119000
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年7月9日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0012100
(32)【優先日】2012年2月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・テ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ソリョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ギュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・キム
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−343310(JP,A)
【文献】
特開2000−106152(JP,A)
【文献】
特開平10−021888(JP,A)
【文献】
国際公開第02/017413(WO,A1)
【文献】
特開2000−285873(JP,A)
【文献】
特開2003−072832(JP,A)
【文献】
特開2003−288866(JP,A)
【文献】
特開2006−324059(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0206096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/10
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液が含浸されており、充放電が可能な、正極/分離膜/負極構造の電極組立体と、
前記電極組立体が内蔵されている、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる電池ケースと、
前記電池ケースの外面の少なくとも一部に塗布されており、プライマー及びコーティング基材を使用する電気絶縁性の高分子から成る保護コーティング層と、
前記電池ケースの上端に配置された電池セルの電極端子と、
を有しており、
保護コーティング層は、前記電池ケースの前記上端の外周から下方に不コーティングマージン区間が0.5mm乃至5mm延在する状態で、電池ケースの外面にコートされており、
前記保護コーティング層は、前記プライマー(primer)としてアクリル樹脂、及び前記コーティング基材としてウレタン樹脂、前記プライマーとしてエポキシ樹脂、及び前記コーティング基材としてアクリル樹脂、或いは、アクリル樹脂とシリコン樹脂との混合溶液、及び前記電池ケースへの硬化剤、と伴に形成されることを特徴とする、電池セル。
【請求項2】
前記電池ケースは、角形の電池ケースであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記保護コーティング層の厚さは、0.01乃至0.05mmであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電池ケースは、円筒形の電池ケースであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記電池ケースの側面全体に塗布された保護コーティング層を有することを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記電池セルは、リチウム二次電池セルであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項7】
請求項1に記載の電池セルがパックケースに装着されていることを特徴とする、二次電池パック。
【請求項8】
二次電池パックはエンベデッドパック(embedded pack)であることを特徴とする、請求項7に記載の二次電池パック。
【請求項9】
請求項8に記載の二次電池パックが電源として内蔵されている、モバイルデバイス。
【請求項10】
請求項1、及び3〜6のいずれか一項の記載の電池セルを製造する方法であって、
前記不コーティングマージン区間は、電池ケースの下端面の一部に絶縁物質を塗布したり、絶縁体又は絶縁テープを装着又は貼付したりした状態で、保護コーティング層を形成した後、前記絶縁物質、絶縁体又は絶縁テープを除去することによって形成される方法。
【請求項11】
前記電池ケースは、角形の電池ケースであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電池セルの製造過程において、電池セル活性化工程は、電池セルの前記上端に正極充電ピンと負極充電ピンが接続された状態で行われ、前記電池ケースの下端面全体に保護コーティング層が塗布されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電池セルの製造過程において、電池セル活性化工程は、電池セルの上端に正極(又は負極)充電ピンが接続され、電池セルの下端に負極(又は正極)充電ピンが接続された状態で行われ、前記負極(又は正極)充電ピンの接続のための接続用開口区間を除く電池ケースの下端面全体に保護コーティング層が塗布されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記接続用開口区間は、電池ケースの下端面の一部に絶縁物質を塗布したり、絶縁体又は絶縁テープを装着又は貼付したりした状態で、保護コーティング層を形成した後、前記絶縁物質、絶縁体又は絶縁テープを除去することによって形成されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電池ケースは、円筒形の電池ケースであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記電池セルの製造過程において、電池セル活性化工程は、電池セルの上端に正極(又は負極)充電ピンが接続され、電池セルの下端に負極(又は正極)充電ピンが接続された状態で行われ、前記負極(又は正極)充電ピンの接続のための接続用開口区間を除く電池ケースの下端面全体に保護コーティング層が塗布されていることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接続用開口区間は、電池ケースの下端面の一部に絶縁物質を塗布したり、絶縁体又は絶縁テープを装着又は貼付したりした状態で、保護コーティング層を形成した後、前記絶縁物質、絶縁体又は絶縁テープを除去することによって形成されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記接続用開口区間は、電池セル活性化工程の後に絶縁部材で封止されることを特徴とする、請求項14又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵型電池セルに関し、特に、電解液が含浸されており、充放電が可能な、正極/分離膜/負極の構造の電極組立体と、該電極組立体が内蔵されている、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる電池ケースと、該電池ケースの外面の少なくとも一部に塗布されており、電気絶縁性の高分子を含んでいる保護コーティング層と、を有していることを特徴とする電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器の技術開発と需要が増加するに伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急増している。
【0003】
二次電池は、それが用いられる外部機器の種類によって、単一電池の形態で用いられることもあり、複数の単位電池を電気的に連結した電池パックの形態で用いられることもある。例えば、携帯電話のような小型デバイスは、電池1個の出力及び容量で所定時間作動可能であるのに対し、ノートパソコン、携帯用DVD(portable DVD)、小型PC、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのような中型又は大型デバイスは、出力及び容量の問題で、複数の電池を内蔵した電池パックの使用が要求される。
【0004】
二次電池の中でもリチウム二次電池は、高出力特性及び大容量を有する点から多用されている。
【0005】
しかしながら、リチウム二次電池には各種の可燃性物質が含まれているため、過充電、過電流、その他の物理的外部衝撃などによって発熱、爆発などが起こる危険性があり、安全性を著しく欠いている。そのため、リチウム二次電池には、過充電、過電流などの異常状態を效果的に制御できる安全素子としてPTC(Positive Temperature Coefficient)素子、保護回路モジュール(Protection Circuit Module:PCM)などが、電池セルに接続された状態で搭載されている。
【0006】
一般に、PCMなどは導電性ニッケルプレートを介して溶接又はソルダリング方式で電池セルに連結される。すなわち、PCMの電極タブにニッケルプレートをそれぞれ溶接又はソルダリングして接続した後、これらのニッケルプレートを電池セルの電極端子にそれぞれ溶接又はソルダリングする方法でPCMを電池セルに連結して電池パックを製造する。
【0007】
このようなPCMを含んだ安全素子は、電極端子と電気的接続を維持する一方で、電池セルの他の部分とは電気的絶縁状態を維持しなければならない。このような接続形態を構成するためには多数の部品が要求されるため、電池パックの組立工程が複雑になり、収納する空間も相対的に減少するという問題点がある。
【0008】
しかも、上記のような部品を収納するための電池ケースは、アルミニウム、アルミニウム合金、又はニッケルのメッキされた金属のような電気伝導度に優れた導電性金属で作製されるため、上記の電池セルの他の部分と接触して内部短絡(short)を引き起こすという問題点がある。
【0009】
したがって、従来の電池セルを利用し、従来の組立方式を極力活用しながらも、電池セルの収納空間及び絶縁性を確保するとともに電池ケース外部の表面腐食又は摩耗の発生を抑制することができる電池セルが強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0011】
本出願の発明者等は、深い研究と様々な実験を重ねた結果、後述するように、電池セルの絶縁性及び容量が増大するよう、電池ケースを高分子素材でコートした電池セルを開発し、本発明を完成するに至った。
【0012】
したがって、本発明の目的は、アルミニウム製の電池ケースの外面を電気絶縁性の高分子素材でコートすることによって、電池ケースの耐食性、耐摩耗性及び絶縁性が向上した電池セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セルは、
電解液が含浸されており、充放電が可能な、正極/分離膜/負極構造の電極組立体と、
前記電極組立体が内蔵されている、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる電池ケースと、
前記電池ケースの外面の少なくとも一部に塗布されており、電気絶縁性の高分子を含んでいる保護コーティング層と、
を有していることを特徴とする。
【0014】
したがって、本発明に係る電池セルは、電気絶縁性の高分子を含んでいる保護コーティング層によって電池ケースの耐久性及び耐食性が大きく向上し、ラベルのような別途の部材を使用する必要がないため、電池セルの製造工程性が向上するだけでなく、同一規格において電池容量をより増加させることができる。
【0015】
前記保護コーティング層は様々な類型の高分子成分によって様々な方式で形成することができる。
【0016】
第一の例において、保護コーティング層は、プライマー(primer)としてアクリル樹脂、及びコーティング基材としてウレタン樹脂の塗布後、低温乾燥して形成されてよい。
【0017】
第二の例において、保護コーティング層は、プライマーとしてエポキシ樹脂、及びコーティング基材としてアクリル樹脂の塗布後、高温乾燥して形成されてもよい。
【0018】
第三の例において、保護コーティング層は、プライマーを別途に使用せず、アクリル樹脂とシリコン樹脂との混合溶液の塗布後、硬化剤で硬化して形成されてもよい。
【0019】
但し、保護コーティング層の素材及び形成方法が上記の内容に限定されるものではない。
【0020】
前記電池ケースの形状も様々にすることができ、例えば、角形の電池ケースであってもよいが、これに限定されないことは勿論である。
【0021】
一つの好適例において、前記保護コーティング層は、前記電池ケースの上端外周から下方に所定大きさの不コーティングマージン区間をおいた状態で電池ケースの外面にコートされている構造であってもよい。このような不コーティングマージン区間は、例えば、電池ケースの開放上端にキャッププレートなどを装着した後レーザー溶接を行う時、容易な溶接性を提供する。
【0022】
より好ましくは、前記不コーティングマージン区間は、前記電池ケースの上端外周から下方に0.5mm乃至5mmの長さに形成されてもよい。この長さが長すぎると、保護コーティング層による電池ケースの所望の耐久性が発揮し難く、逆に、短すぎると、レーザー溶接が容易でないため、好ましくない。
【0023】
前記不コーティングマージン区間を形成する方法は特に制限されず、例えば、電池ケース上に絶縁物質を塗布したり、絶縁体又は絶縁テープを装着又は貼付したりした状態でコートした後、前記絶縁物質、絶縁体又は絶縁テープを除去することによって形成することができる。
【0024】
一つの好適例において、前記保護コーティング層の厚さは0.01mm乃至0.05mmであればよい。
【0025】
一般に、電池セルは、製造過程において電池セル活性化工程を経るようになる。電気セル活性化工程とは、電極組立体に電解液を含浸させた状態で初期充放電を行って負極の表面に保護被膜などを形成する工程のことを指す。このような電池セル活性化工程は、充電ピンの接続方式によって2通りの方式に大別することができ、その方式に対応して本発明の電池セルも変形した構成を有することができる。
【0026】
第一の例として、電池セル活性化工程は、電池セルの上端に正極充電ピンと負極充電ピンが接続された状態で行われ、前記電池ケースの下端面全体に保護コーティング層が塗布されている構造であってよい。
【0027】
第二の例として、電池セル活性化工程は、電池セルの上端に負極(又は正極)充電ピンが接続され、電池セルの下端に正極(又は負極)充電ピンが接続された状態で行われ、前記正極(又は負極)充電ピンの接続のための接続用開口区間を除く電池ケースの下端面全体に保護コーティング層が塗布されている構造であってもよい。
【0028】
前記接続用開口区間は、充電ピンに対応する形態であれば特に制限されず、例えば、平面視で円形、楕円形又は多角形などの様々な形態にすることができる。
【0029】
前記接続用開口区間は、電池ケースの下端面の一部に絶縁物質を塗布したり、絶縁体又は絶縁テープを装着又は貼付したりした状態でコートした後、前記絶縁物質、絶縁体又は絶縁テープを除去することによって形成することができる。
【0030】
他の好適例において、前記電池ケースは円筒形の電池ケースであってもよい。
【0031】
このような円筒形の電池ケースにおいて、保護コーティング層は電池ケースの側面全体に塗布されていてもよい。
【0032】
好ましくは、前記電池セルの製造過程において、電池セル活性化工程は、電池セルの上端に正極(又は負極)充電ピンが接続され、電池セルの下端に負極(又は正極)充電ピンが接続された状態で行われ、前記負極(又は正極)充電ピンの接続のための接続用開口区間を除く電池ケースの下端面全体に保護コーティング層が塗布されている構造であってもよい。
【0033】
具体的に、前記接続用開口区間は、電池ケースの下端面の一部に絶縁物質を塗布したり、絶縁体又は絶縁テープを装着又は貼付したりした状態でコートした後、前記絶縁物質、絶縁体又は絶縁テープを除去することによって形成することができる。
【0034】
上述の様々な例において、接続用開口区間は、電池セル活性化工程の後に絶縁部材で封止されてもよい。
【0035】
前記絶縁部材は、接続用開口区間を外部から保護すると同時に電気的絶縁状態を維持する素材であれば、特に制限されない。
【0036】
前記電池セルは、その種類が特に制限されることはなく、例えば、リチウム二次電池セルであってよい。前記二次電池は、1つの電池セルで構成される単位電池であってもよく、2つ以上の電池セルが組み立てられた組立電池であってもよく、よって、特定の種類に制限されるものではない。
【0037】
リチウム二次電池を含んだ二次電池の構成、構造、製造方法などは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明らかであり、その具体的な説明は省略するものとする。
【0038】
また、本発明は、電池セルがパックケースに装着されている二次電池パックを提供する。このような二次電池パックは、エンベデッドパック(embedded pack)であることができる。
【0039】
本発明はまた、二次電池パックが電源として内蔵されているモバイルデバイスを提供する。具体的に、前記モバイルデバイスは、一般に厚さの薄い、ノートパソコン、ネットブック、タブレットPC、スマートパッドなどであればよいが、これらに限定されるものではない。
【0040】
また、上記の二次電池パックは、電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグ−インハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)又は電力貯蔵装置などの動力源又は電源として用いることができる。
【0041】
上記のようなデバイス又は装置は当業界に公知のものであり、本明細書ではその具体的な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電池パックを示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電池セルに保護コーティング層を形成する方式を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電池セルの上端部を示す部分斜視図である。
【
図5】電池セルの活性化のための充電過程で用いられる接続ピンが結合されている電池セルを示す正面図である。
【
図6】電池セル、保護コーティング層、及び絶縁テープを示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る円筒形電池セル及び保護コーティング層を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る円筒形電池セルの下端面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、本発明の実施形態に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解を助けるためのもので、本発明の範ちゅうを限定するためのものではない。
【0044】
図1には、本発明の一実施形態に係る二次電池パックの分解斜視図が模式的に示されており、
図2には、本発明の一実施形態に係る電池セルに保護コーティング層を形成する方式が模式的に示されている。
【0045】
図1及び
図2を参照すると、本発明に係る二次電池パック100は、電池セル110、絶縁性装着部材220、保護回路基板230、一対の接続部材210,212、上端キャップ240、保護コーティング層155の塗布された電池ケース150などで構成されており、電池セル110の上端面に絶縁性装着部材220、接続部材210,212、保護回路基板230、及び上端キャップ240が順次に装着される。
【0046】
絶縁性装着部材220には、電池セル150の電極端子253,254が露出されるように開口(図示せず)が設けられており、絶縁性装着部材220は電池セル110の上端面に直接搭載される。電池セル110の上端面への絶縁性装着部材220の結合は、接着剤によって達成されてもよい。
【0047】
絶縁性上端キャップ240は、接続部材210,212と保護回路基板230が搭載された状態で、絶縁性装着部材220を覆いながら電池セル110の上端部に結合され、電池セル110の上端部の外側面を覆うことができるように所定の長さで下方に延びている。
【0048】
保護コーティング層155は、例えば、
図2に示すように、絶縁性の高分子を含んでいるコーティング液を、スプレー250を用いて電池セル110の外面に噴射した後に乾燥する方式で形成することができる。
【0049】
図3には、電池セルの上端部の部分斜視図が示されており、
図4には、
図3の部分拡大側面図が示されており、
図5には、電池セルの活性化のための充電過程で用いられる接続ピンが結合されている電池セルの正面図が示されており、
図6には、電池セル、保護コーティング層及び絶縁テープの分解斜視図が示されており、
図7には、電池セルの下端部の部分斜視図が示されている。
【0050】
図3乃至
図7を参照すると、電池ケース150は、電池ケース150の上端外周から下方に約3mmの長さhの不コーティングマージン区間151をおいた状態で、電池ケースの全体表面に保護コーティング層(
図2の155参照)が形成されている。このような不コーティングマージン区間151は、電池ケース150上に絶縁物質(図示せず)を臨時に塗布した状態でコートした後、絶縁物質を除去することによって形成する。
【0051】
また、正極/分離膜/負極の構造の電極組立体が、電解液とともに、アルミニウム製の電池ケース150の内部に封止されている電池セル110を製造するために、まず、電池セル110の活性化工程のための充電ピン160,161の接続のために接続用開口区間162を電池ケース150の下端面159に形成した状態で、電池ケースの全体表面に保護コーティング層155を形成する。次いで、電池ケース150の内部に電極組立体を装着し、電池ケース150の開放上端にキャッププレート152を上方で電池セル110の外周に沿ってレーザー溶接した後(
図3の矢印を参照)、キャッププレート152の電解液注入口153から電解液を注入し、電池セル活性化工程を行う。その後、電解液を補充した後、電解液注入口153を封止する。
【0052】
接続用開口区間162は、平面視で四角形の形状になっているが、その他の様々な形状にしてもよい。
【0053】
このような接続用開口区間162は、電池ケース150の下端面の一部に絶縁物質(図示せず)を付着した状態で、保護コーティング層155を形成した後、絶縁物質を除去することによって形成する。
【0054】
最終には、接続用開口区間162を絶縁テープである絶縁部材165で封止する。
【0055】
電池セル活性化工程は、第1充電ピン160をキャッププレート152の上端電極端子131に接続させ、第2充電ピン161を電池ケース150の接続用開口区間162に接続させた状態で行う。
【0056】
したがって、接続用開口区間162によって第2充電ピン161の接続を容易に行うことができる。
【0057】
図8には、本発明の他の実施形態に係る円筒形電池セル及び保護コーティング層の分解斜視図が示されており、
図9には、本発明の他の実施形態に係る円筒形電池セルの下端面が示されている。
【0058】
図8及び
図9を参照すると、円筒形電池セル300は、円筒形の電池ケース350の内部に電極組立体が電解液とともに封止されており、電池セル300の活性化工程のための充電ピン(図示せず)の接続のために接続用開口区間360を除く電池ケース350の全体表面が保護コーティング層500で被覆されている。
【0059】
円筒形電池セル300の上端面310には、電池ケース350と絶縁された状態で上方に突出した正極端子320が設けられており、電池セル300の下端面には負極端子330が設けられている。
【0060】
円筒形電池セル300において、接続用開口区間360、及び電池ケース350の全体表面における保護コーティング層500の形成技術は、上述した不コーティングマージン区間(
図4において151)を形成しない以外は、
図1乃至
図7における円筒形電池セル300と同様であり、その説明は省略するものとする。
【0061】
以上、本発明の実施形態に係る図面を参照して説明してきたが、本発明の属する分野における通常の知識を有する者にとっては、上記の内容に基づいて、本発明の範ちゅう内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
上述したように、本発明に係る酸化被膜の形成された電池ケースは、必要に応じて電池ケースの特定部位に接続用開口区間をおいた状態で、電池ケースの全体表面に、電気絶縁性の高分子を含んでいる保護コーティング層を形成することによって、耐久性、耐摩耗性、及び絶縁性を向上させることができる。
【0063】
また、電池ケースの外面にラベル(Label)を貼る別途の工程が不要なため、製造過程が容易であり、実質的に同一規格において電池の容量がより向上する効果を奏する。
【符号の説明】
【0064】
100 二次電池パック
110 電池セル
150 電池ケース
151 不コーティングマージン区間
152 キャッププレート
153 電解液注入口
155 保護コーティング層
160,161 充電ピン
210,212 接続部材
220 絶縁性装着部材
230 保護回路基板
240 上端キャップ