(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
めっき層積層体の第1めっき層は、触媒吸着層上に形成され、第2めっき層は自己触媒めっき作用により第1めっき層上に形成されることを特徴とする請求項4記載のめっき処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにCu拡散防止膜としてのバリア膜は、めっき処理により形成され、その後に焼きしめられて、内部の水分除去および金属間結合が強化される。
【0008】
しかしながらバリア膜はこの焼きしめ時に基板との間で応力が生じ、基板との密着性が弱まる可能性がある。
【0009】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基板上にめっき処理によりバリア膜を形成し、このバリア膜を焼きしめた場合でも、バリア膜と基板との密着性を維持することができるめっき処理方法、めっき処理システム、および記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基板に
形成された凹部に対してめっき処理を施すめっき処理方法において、基板を準備する工程と、基板上にめっき液を用いてめっき処理を施して、特定機能を有するめっき層を
前記凹部の内面に形成する工程と、基板を加熱してめっき層を焼きしめる工程と、
特定機能を有する前記めっき層が前記内面に形成された前記凹部に導電性材料を埋め込む工程と、を備え、めっき層の形成工程とめっき層の焼きしめ工程を少なくとも二回以上繰り返すことにより、第1回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第1めっき層と、第2回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第2めっき層とからめっき層積層体を形成し、第1回目のめっき層の形成工程および第2回目のめっき層の形成工程において、使用するめっき液の主成分は同一であり、めっき液の他の成分、めっき温度、およびめっき層の膜厚のうち、少なくとも1つは互いに異な
り、第1回目のめっき層の焼きしめ工程において、第2回目のめっき層の焼きしめ工程よりも焼きしめ温度を高くし、焼きしめ時間を長くして水分を放出させることを特徴とするめっき処理方法である。
【0011】
本発明は、基板に
形成された凹部に対してめっき処理を施すめっき処理システムにおいて、
前記凹部に導電性材料が埋め込まれる前に、基板上にめっき液を用いてめっき処理を施して、特定機能を有するめっき層を
前記凹部の内面に形成するめっき層形成部と、基材を加熱してめっき層を焼きしめるめっき層焼きしめ部と、めっき層形成部と、めっき層焼きしめ部との間で基板を搬送する基板搬送部と、めっき層形成部、めっき層焼きしめ部および基板搬送部を制御する制御部とを備え、制御部はめっき層形成部におけるめっき層の形成工程と、めっき層焼きしめ部におけるめっき層の焼きしめ工程を少なくとも二回以上繰り返すことにより、第1回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第1めっき層と、第2回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第2めっき層とからめっき層積層体を形成し、第1回目のめっき層の形成工程および第2回目のめっき層の形成工程において、使用するめっき液の主成分は同一であり、めっき液の他の成分、めっき温度、およびめっき層の膜厚のうち、少なくとも1つは互いに異な
り、第1回目のめっき層の焼きしめ工程において、第2回目のめっき層の焼きしめ工程よりも焼きしめ温度を高くし、焼きしめ時間を長くして水分を放出させることを特徴とするめっき処理システムである。
【0012】
本発明は、めっき処理システムにめっき処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、めっき処理方法は、
凹部が形成された基板を準備する工程と、基板上にめっき液を用いてめっき処理を施して、特定機能を有するめっき層を
前記凹部の内面に形成する工程と、基板を加熱してめっき層を焼きしめる工程と、
特定機能を有する前記めっき層が前記内面に形成された前記凹部に導電性材料を埋め込む工程と、を備え、めっき層の形成工程とめっき層の焼きしめ工程を少なくとも二回以上繰り返すことにより、第1回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第1めっき層と、第2回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第2めっき層とからめっき層積層体を形成し、第1回目のめっき層の形成工程および第2回目のめっき層の形成工程において、使用するめっき液の主成分は同一であり、めっき液の他の成分、めっき温度、およびめっき層の膜厚のうち、少なくとも1つは互いに異な
り、第1回目のめっき層の焼きしめ工程において、第2回目のめっき層の焼きしめ工程よりも焼きしめ温度を高くし、焼きしめ時間を長くして水分を放出させることを特徴とする記憶媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1回目のめっき層形成工程およびめっき層焼きしめ工程により得られた第1めっき層と、第2回目のめっき層形成工程およびめっき層焼きしめ工程により得られた第2めっき層とによってめっき層積層体が得られる。めっき層積層体の第1めっき層および第2めっき層は、いずれもめっき層積層体の厚さより薄くなっており、第1めっき層の焼きしめ時に予め強い密着層が形成されるため、および第2めっき層の焼きしめ時に生じる第2めっき層の応力によって生じる剥がれを、めっき層積層体と同一厚さのめっき層を一度に焼きしめる場合に比べて抑えることができる。このため第1めっき層および第2めっき層と、下地層との間の密着性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
めっき処理システム
図1乃至
図7により本発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
まず
図1により本発明によるめっき処理システムについて述べる。
【0017】
図1に示すように、めっき処理システム10は半導体ウエハ等の凹部2aを有する基板(シリコン基板)2に対してめっき処理を施すものである。
【0018】
このようなめっき処理システム10は、基板2を収納したカセット(図示せず)が載置されるカセットステーション18と、カセットステーション18上のカセットから基板2を取り出して搬送する基板搬送アーム11と、基板搬送アーム11が走行する走行路11aとを備えている。
【0019】
また走行路11の一側に、基板2上にシランカップリング剤等のカップリング剤を吸着させて後述する密着層21を形成する密着層形成部12と、基板2の密着層21上に触媒を吸着させて後述する触媒吸着層22を形成する触媒吸着層形成部13と、基板2の触媒吸着層22上に後述するCu拡散防止膜(バリア膜)として機能するめっき層23a、23bを形成するめっき層形成部14とが配置されている。
【0020】
また走行路11の他側に、基板2に形成されためっき層23a、23bを焼きしめるめっき層焼きしめ部15と、基板2に形成されためっき層23a、23b上に、後述するシード膜として機能する無電解銅めっき層(無電解Cuめっき層)24を形成するための無電解Cuめっき層形成部16が配置されている。
【0021】
まためっき層焼きしめ部15に隣接して、基板2に形成された凹部2a内に、無電解Cuめっき層24をシード膜として電解銅めっき層(電解Cuめっき層)25を充てんするための電解Cuめっき層形成部17が配置されている。
【0022】
なお、めっき層形成部14において第1めっき層23aが形成された後、この第1めっき層23aがめっき層焼きしめ部15において焼きしめられる。さらにめっき層形成部14において、焼きしめられた第1めっき層23a上に第2めっき層23bが重ねて形成され、この第2めっき層23bはめっき層焼きしめ部15において焼きしめられる。
【0023】
このようにして、基板2の触媒吸着層22上に、第1めっき層23aと第2めっき層23bとからなるめっき層積層体23が形成される。
【0024】
このような構成からなるめっき層積層体23の第1めっき層23aおよび第2めっき層23bは、いずれもCu拡散防止膜(バリア膜)として機能する。
【0025】
また上述しためっき処理システムの各構成部材、例えばカセットステーション18、基板搬送アーム11、密着層形成部12、触媒吸着層形成部13、めっき層形成部14、めっき層焼きしめ部15、無電解Cuめっき層形成部16および電解Cuめっき層形成部17は、いずれも制御部19に設けた記憶媒体19Aに記録された各種のプログラムに従って制御部19で駆動制御され、これによって基板2に対する様々な処理が行われる。ここで、記憶媒体19Aは、各種の設定データや後述するめっき処理プログラム等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体19Aとしては、コンピューターで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリーや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
【0026】
次にCu拡散防止膜(バリア膜)として機能する第1めっき層23aおよび第2めっき層23bを形成するためのめっき層形成部14、めっき層焼きしめ部15および無電解Cuめっき層形成部16について更に述べる。
【0027】
このうち、めっき層形成部14、および無電解Cuめっき層形成部16は、いずれも
図5および
図6に示すめっき処理装置から構成することができる。
【0028】
このようなめっき処理装置14および16は、
図5および
図6に示すとおりのものである。
【0029】
すなわち、めっき処理装置14、16は、
図5および
図6に示すように、ケーシング101の内部で基板2を回転保持するための基板回転保持機構(基板収容部)110と、基板2の表面にめっき液や洗浄液などを供給する液供給機構30,90と、基板2から飛散しためっき液や洗浄液などを受けるカップ105と、カップ105で受けためっき液や洗浄液を排出する排出口124,129,134と、排出口に集められた液を排出する液排出機構120,125,130と、基板回転保持機構110、液供給機構30,90,カップ105、および液排出機構120,125,130を制御する制御機構160と、を備えている。
【0030】
(基板回転保持機構)
このうち基板回転保持機構110は、
図5および
図6に示すように、ケーシング101内で上下に伸延する中空円筒状の回転軸111と、回転軸111の上端部に取り付けられたターンテーブル112と、ターンテーブル112の上面外周部に設けられ、基板2を支持するウエハチャック113と、回転軸111を回転駆動する回転機構162と、を有している。このうち回転機構162は、制御機構160により制御され、回転機構162によって回転軸111が回転駆動され、これによって、ウエハチャック113により支持されている基板2が回転される。
【0031】
(液供給機構)
次に、基板2の表面にめっき液や洗浄液などを供給する液供給機構30,90について、
図5および
図6を参照して説明する。液供給機構30,90は、基板2の表面に対してめっき処理を施すめっき液を供給するめっき液供給機構30と、基板2の表面に洗浄処理液を供給する洗浄処理液供給機構90と、を含んでいる。
【0032】
図5および
図6に示すように、吐出ノズル32は、ノズルヘッド104に取り付けられている。またノズルヘッド104は、アーム103の先端部に取り付けられており、このアーム103は、上下方向に延伸可能となっており、かつ、回転機構165により回転駆動される支持軸102に固定されている。めっき液供給機構30のめっき液供給管33はアーム103の内側に配置されている。このような構成により、めっき液を、吐出ノズル32を介して基板2の表面の任意の箇所に所望の高さから吐出することが可能となっている。
【0033】
〔洗浄処理液供給機構90〕
洗浄処理液供給機構90は、後述するように基板2の洗浄工程において用いられるものであり、
図5に示すように、ノズルヘッド104に取り付けられたノズル92を含んでいる。この場合、ノズル92から、洗浄処理液またはリンス処理液のいずれかが選択的に基板2の表面に吐出される。
【0034】
(液排出機構)
次に、基板2から飛散しためっき液や洗浄液などを排出する液排出機構120,125,130について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、ケーシング101内には、昇降機構164により上下方向に駆動され、排出口124,129,134を有するカップ105が配置されている。液排出機構120,125,130は、それぞれ排出口124,129,134に集められる液を排出するものとなっている。
【0035】
図5に示すように、めっき液排出機構120,125は、流路切換器121,126により切り替えられる回収流路122,127および廃棄流路123,128をそれぞれ有している。このうち回収流路122,127は、めっき液を回収して再利用するための流路であり、一方、廃棄流路123,128は、めっき液を廃棄するための流路である。なお
図2に示すように、処理液排出機構130には廃棄流路133のみが設けられている。
【0036】
また
図5および
図6に示すように、基板収容部110の出口側には、めっき液35を排出するめっき液排出機構120の回収流路122が接続され、この回収流路122のうち基板収容部110の出口側近傍に、めっき液35を冷却する冷却バッファ120Aが設けられている。
【0037】
次にめっき層焼きしめ部15について述べる。
【0038】
めっき層焼きしめ部15は、
図7に示すように、密閉された密閉ケーシング15aと、密閉ケーシング15a内部に配置されたホットプレート15Aとを備えている。
【0039】
めっき層焼きしめ部15の密閉ケーシング15aには、基板2を搬送するための搬送口(図示せず)が設けられ、また密閉ケーシング15a内にはN
2ガス供給口15cからN
2ガスが供給される。
【0040】
同時に密閉ケーシング15a内は排気口15bにより排気され、密閉ケーシング15a内をN
2ガスで充満させることにより、密閉ケーシング15a内を不活性雰囲気に保つことができる。
【0041】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について、
図2および
図3により説明する。
【0042】
まず前工程において、半導体ウエハ等からなる基板(シリコン基板)2に対して凹部2aが形成され、凹部2aが形成された基板2が本発明によるめっき処理システム10内に搬送される。
【0043】
そしてめっき処理システム10の密着層形成部12内において、凹部2aを有する基板2上に密着層21が形成される(
図2および
図3(a))。
【0044】
ここで基板2に凹部2aを形成する方法としては、従来公知の方法から適宜採用することができる。具体的には、例えば、ドライエッチング技術として、弗素系又は塩素系ガス等を用いた汎用的技術を適用できるが、特にアスペクト比(孔の深さ/孔の径)の大きな孔を形成するには、高速な深掘エッチングが可能なICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching:誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)の技術の採用した方法をより好適に採用でき、特に、六フッ化硫黄(SF6)を用いたエッチングステップとC4F8などのテフロン系ガスを用いた保護ステップとを繰り返しながら行うボッシュプロセスと称される方法を好適に採用できる。
【0045】
また密着層形成部12は加熱部を有する真空室(図示せず)を有し、この密着層形成部12内において、凹部2aを有する基板2上にシランカップリング剤等のカップリング剤が吸着され、このようにして基板2上に密着層21が形成される(SAM処理)。シランカップリング剤を吸着させて形成された密着層21は、後述する触媒吸着層22と基板2との密着性を向上させるものである。
【0046】
密着層形成部12において密着層21が形成された基板2は、基板搬送アーム11によって触媒吸着層形成部13へ送られる。そしてこの触媒吸着層形成部13において、基板2の密着層21上に、例えば触媒となるPdイオンが吸着されて触媒吸着層22が形成される(
図3(b))。
【0047】
触媒吸着処理としては、例えば、基板2に対して塩化パラジウム水溶液をノズルにより吹付け、触媒となるPdイオンを基板2の表面に吸着させる処理を採用することができる。具体的には、基板2に対して塩化スズ溶液を吹付け、スズイオンを基板2表面に吸着し、次に、基板2に塩化パラジウム水溶液を吹付けてスズイオンをPdイオンと置換してPdイオンを吸着させ、さらに、基板2に水酸化ナトリウムを吹付けて余分なスズイオンを取り除く。
【0048】
このように、触媒吸着形成部13において基板2上に触媒吸着層22を形成した後、基板2は基板搬送アーム11によってめっき層形成部14へ送られる。
【0049】
次にめっき層形成部14において、基板2の触媒吸着層22上に、Cu拡散防止膜(バリア膜)として機能する第1めっき層23aが形成される(
図3(c)および
図4)。
【0050】
この場合、めっき層形成部14は、
図5および
図6に示すようなめっき処理装置からなり、基板2の触媒吸着層22上に無電解めっき処理を施すことにより第1めっき層23aを形成することができる。
【0051】
めっき層形成部14において第1めっき層を形成する場合、めっき液としては、例えばCo−W−Bを含むめっき液を用いることができ、めっき液の温度は40〜75℃(好ましくは65℃)に保たれている。
【0052】
Co−W−Bを含むめっき液を基板2上に供給することにより、基板2の触媒吸着層22上に無電解めっき処理により、Co−W−Bを含む第1めっき層23aが形成される。
【0053】
次に触媒吸着層22上に第1めっき層23aが形成された基板2は、基板搬送アーム11により、めっき層形成部14からめっき層焼きしめ部15の密閉ケーシング15a内へ送られる。そして、このめっき層焼きしめ部15の密閉ケーシング15a内において、基板2は、酸化を抑制するためにN
2ガスが充てんされた不活性雰囲気中でホットプレート15A上で加熱される。このようにして基板2の第1めっき層23aが焼きしめられる(Bake処理)。
【0054】
めっき層焼きしめ部15において、第1めっき層23aを焼きしめる際の焼きしめ温度は、150〜200℃、焼きしめ時間は10〜30分となっている。
【0055】
このように基板2上の第1めっき層23aを焼きしめることにより、第1めっき層23a内の水分を外方へ放出することができ、同時に第1めっき層23a内の金属間結合を高めることができる。 次にめっき層焼きしめ部15において加熱された基板2は、基板搬送アーム11により再びめっき層形成部14へ送られる。その後めっき層形成部14において、基板2に対して無電解めっき処理が施され、第1めっき層23a上に自己触媒めっき作用により第2めっき層23bが形成される。
【0056】
基板2の第1めっき層23a上に第2めっき層23bを形成する場合、第1めっき層23aを形成する場合と同様、めっき液としてCo−W−Bを含むめっき液を用いることができ、めっき液の温度も第1めっき層23aを形成する場合と同様、40〜75℃(好ましくは65℃)に保たれている。
【0057】
なお、めっき層形成部14において第2めっき層23bを形成する際、第1めっき層23aを形成する場合と異なり、Co−W−Bを含むめっき液の代わりに、めっき液としてCo−W−Pを含むめっき液を用い、めっき温度を40〜80℃好ましくは70℃に設定することもできる。
【0058】
いずれにしても、第2めっき層23bを形成する場合、第1めっき層23aと同様の金属(Co−W)を含むめっき液が用いられ、このようにして形成された第2めっき層23bもCu拡散防止膜(バリア膜)として機能する。
【0059】
なお、上記では第1めっき層23a、第2のめっき層23bを形成する場合、Co−Wを含むめっき液を用いたが、これに限らず、第1めっき層23aを形成するためにCoを含むめっき液を用い、第2めっき層23bを形成するためにCo−Wを含むめっき液を用いてもよい。あるいは第1めっき層23aを形成するためにCo−Wを含むめっき液を用い、第2めっき層23bを形成するためにCoを含むめっき液を用いてもよい。さらに第1めっき層23aを形成するためのめっき液および第2めっき層23bを形成するためのめっき液の組合せのパターンとしては、Co−Pを含むめっき液、Co−Bを含むめっき液、Co−Wを含むめっき液、Co−W−Pを含むめっき液、Co−W−Bを含むめっき液等、コバルト系材料を含むめっき液の中から任意に選択することができる。
【0060】
次にめっき層形成部14において第2めっき層23bが形成された基板2は、基板搬送アーム11によってめっき層形成部14からめっき層焼きしめ部15へ再び送られる。そしてめっき層焼きしめ部15の密閉ケーシング15a内で、基板2はホットプレート15Aにより加熱され、第2めっき層23bの焼きしめが行なわれる。
【0061】
第2めっき層23bを焼きしめる場合の焼きしめ温度および焼きしめ時間は、第1めっき層23aの焼きしめる場合の焼きしめ温度および焼きしめ時間と略同一となっている。しかしながら、第2めっき層23bに対する焼きしめ温度および焼きしめ時間を第1めっき層23aに対する焼きしめ温度および焼きしめ時間と異なるように設定してもよい。 基板2上の第2めっき層23bを焼きしめることにより、第2めっき層23b内の水分を外方へ放出することができ、同時に第2めっき層23b内の金属間結合を高めることができる。
【0062】
このようにして、基板2上に第1めっき層23aと第2めっき層23bからなり、Cu拡散防止膜(バリア膜)として機能するめっき層積層体23を形成することができる。
【0063】
一般にめっき層23a、23bを焼きしめることにより、めっき層23a、23b間の金属間結合を高めることができるが、焼きしめられるめっき層の層厚が大きい場合、下地層とめっき層との間でめっき層の形状変化に伴なう応力が生じる。
【0064】
本実施の形態によれば、バリア膜として機能するめっき層積層体23は、第1回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第1めっき層23aと、第2回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第2めっき層23bとからなるため、第1回目あるいは第2回目の焼きしめ工程において焼きしめられるめっき層の厚みをめっき層積層体23全体に比べて小さくすることができる。
【0065】
このため各々のめっき層23a、23bの焼きしめ時に下地層(例えば触媒吸着層22)との間に生じる応力を小さくして、めっき層23a、23bと下地層との間の密着性を高めることができる。
【0066】
なお、下地層との間に生じる応力を小さくして、めっき層23a、23bと下地層22との間の密着性を高めるために、第2めっき層23bの膜厚よりも第1めっき層23aの膜厚を薄く形成した方が好ましい。また、めっき層23a、23bの焼きしめ工程においては第2めっき層23bよりも第1めっき層23aの焼きしめ温度を高くしたり、焼きしめ時間を長くしたりして十分に水分を放出させることが好ましい。
【0067】
また、めっき層積層体23は、第1めっき層23aと第2めっき層23bとを有する場合に限らず、第1めっき層23aおよび第2めっき層23bに加えて更に追加の第3めっき層および第4めっき層を有していてもよい。
【0068】
このようにしてバリア膜として機能するめっき層積層体23が形成された基板2は、その後基板搬送アーム11により無電解Cuめっき層形成部16に送られる。
【0069】
次に無電解Cuめっき層形成部16において、基板2のめっき層積層体23上に、電解Cuめっき層25を形成するためのシード膜として機能する無電解Cuめっき層24が形成される(
図3(d))。
【0070】
この場合、無電解Cuめっき層形成部16は、
図5および
図6に示すようなめっき処理装置からなり、基板2のめっき層積層体23上に無電解めっき処理を施すことにより、無電解Cuめっき層24を形成することができる。
【0071】
無電解Cuめっき層形成部16において形成された無電解Cuめっき層24は、電解Cuめっき層25を形成するためのシード膜として機能するものであり、無電解Cuめっき層形成部16において用いられるめっき液には、銅イオン源となる銅塩、例えば硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、臭化銅、酸化銅、水酸化銅、ピロリン酸銅などが含まれている。まためっき液には、銅イオンの錯化剤および還元剤がさらに含まれている。まためっき液には、めっき反応の安定性や速度を向上させるための様々な添加剤が含まれていてもよい。
【0072】
このようにして無電解Cuめっき層24が形成された基板2は、基板搬送アーム11により、電解Cuめっき層形成部17へ送られる。なお、無電解Cuめっき層24が形成された基板2を焼きしめ部15に送って焼きしめた後、電解Cuめっき層形成部17へ送ってもよい。次に電解Cuめっき層形成部17において、基板2に対して電解Cuめっき処理が施され、基板2の凹部2a内に無電解Cuめっき層24をシード膜として電解Cuめっき層25が充てんされる(
図3(e))。
【0073】
その後基板2は、めっき処理システム10から外方へ排出され、基板2の裏面側(凹部2aと反対側)が化学機械研磨される(
図3(f))。
【0074】
以上のように本実施の形態によれば、バリア膜として機能するめっき層積層体23を、第1回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られ第1めっき層23aと、第2回目のめっき層の形成工程およびめっき層の焼きしめ工程により得られた第2めっき層23bとから構成した。このため各々のめっき層23a、23bの焼きしめ時に生じる下地層との応力を小さく抑えて、下地層の密着性を向上させることができる。
【0075】
変形例
次に本発明の変形例について述べる。上記実施の形態において、Cu拡散防止膜(バリア膜)を有するめっき層積層体23が、第1めっき層23aと第2めっき層23bとを有する例を示したが、これに限らずシード膜として機能する無電解Cuめっき層24を第1めっき層24aと第2めっき層24bとを有するめっき層積層体2
4から構成してもよい(
図8)。
【0076】
この場合、無電解Cuめっき層24の第1めっき層24aは、無電解Cuめっき形成部16において第1回目のめっき層の形成工程により形成された後、めっき層焼きしめ部15において第1回目のめっき層の焼きしめ工程により焼きしめられる。また第2めっき層24bは無電解Cuめっき形成部16において第2回目のめっき層の形成工程により形成された後、めっき層焼きしめ部15において第2回目のめっき層の焼きしめ工程により焼きしめられる。このようにして第1めっき層24aと第2めっき層24bとを有し、電解Cuめっき層25のシード膜として機能するめっき層積層体24が得られる。
【0077】
なお、上記実施例では電解Cuめっき処理で電解Cuめっき層が充填される例を示したが、これに限ることはなく、電解Cuめっき処理に替わり無電解Cuめっき処理でCuめっき層を形成してもよい。
【0078】
また、上記実施例においては、第1めっき層23aおよび第2めっき層23bを焼きしめる場合に、めっき層焼きしめ部15の密閉ケーシング15a内において、基板2を、N2ガスが充てんされた不活性雰囲気中でホットプレート15A上で加熱した例を示したが、これに限ることはなく、例えば低温化や処理時間の短縮を目的として、密閉ケーシング15a内を真空にして基板2をホットプレート15A上で加熱してもよい。
【0079】
また、上記実施例においては、めっき層形成部14とめっき焼きしめ部15とを各々の装置で行う例を示したが、これに限ることはなく、
図5で示すめっき層形成部14において、基板2の上方にランプ照射部200(UV光など)または、基板2を覆うホットプレート(図示せず)などの加熱源を設け、めっき層形成部14内でめっき層の焼きしめを行ってもよい。