特許第5969334号(P5969334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969334
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-201375(P2012-201375)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-56956(P2014-56956A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−345300(JP,A)
【文献】 特開平11−045866(JP,A)
【文献】 特開2011−199157(JP,A)
【文献】 特開2005−175384(JP,A)
【文献】 特開2008−028131(JP,A)
【文献】 特開2011−109007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状ワークを搬送するワーク搬送手段と、該ワーク搬送手段により搬送された円盤状ワークを保持する保持テーブルと、該保持テーブルによって保持された円盤状ワークの上面を加工する加工手段と、を少なくとも備える加工装置であって、
該円盤状ワークには、該円盤状ワークの外周よりはみ出した押さえエリアを設けて円形に形成された保護テープが貼着され、
該保持テーブルには、円盤状ワークを吸引保持する吸引面と、
円盤状ワークからはみ出した該押さえエリアを押さえるリング状のリングフレームの上面が該加工手段による加工の障害にならない高さとなるように該吸引面よりも低い位置にあるフレーム設置面と、を備えており、
該加工装置には、該保持テーブルの該フレーム設置面に対する該リングフレームの搬入及び搬出を行うフレーム搬送手段と、
円盤状ワークの外周に沿って該保護テープを切断するテープ切断手段と、
該テープ切断手段によって切断された該押さえエリアを含む保護テープをクランプして該リングフレームから除去するテープ除去手段と、を備える加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工装置を用いて円盤状ワークを加工する加工方法であって、
該円盤状ワークの外周よりはみ出した押さえエリアを設けて円形に形成された保護テープを円盤状ワークの一方の面に貼着し、該保護テープが貼着された面を下面として前記ワーク搬送手段によって円盤状ワークを前記保持テーブルに搬入し、該保持テーブルの吸引面が該円盤状ワークを吸引保持するワーク搬入工程と、
該ワーク搬入工程の後、前記フレーム搬送手段により前記リングフレームを該保持テーブルに搬入し、該保護テープの該押さえエリアを該リングフレームで押さえて該保護テープを介して該リングフレームを前記フレーム設置面に設置するテープ押さえ工程と、
該テープ押さえ工程の後、前記加工手段により該円盤状ワークを加工する加工工程と、
該加工工程による加工後、前記テープ切断手段により該円盤状ワークの外周に沿って該保護テープを切断するテープ切断工程と、
該テープ切断工程の後、該フレーム搬送手段によって該リングフレームを搬出するとともに前記テープ除去手段により該押さえエリアを含む該保護テープを取り除くテープ除去工程と、
該テープ除去工程の後、該ワーク搬送手段により該保持テーブルから円盤状ワークを搬出するワーク搬出工程と、から構成される加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤状ワークを加工する加工装置及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円盤状ワークを吸引保持する保持テーブルを備える加工装置は、円盤状ワークを加工するとき、保持テーブルに円盤状ワークを吸引保持させている。円盤状ワークの加工中に円盤状ワークの被保持面を保護する必要があるときには、保護テープを円盤状ワークに貼着し、保護テープ側を保持テーブルの保持面に保持させている。
【0003】
また、円盤状ワークに反りが発生する場合は、円盤状ワークの面積よりも広い開口部を有するリングフレームに保護テープを貼着するとともに該開口部から露出した保護テープに円盤状ワークを貼着し、円盤状ワークとリングフレームとが一体となったフレームセットを形成し、このフレームセットを保持テーブルの保持面に保持させ、円盤状ワークを加工している(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−42003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、円盤状ワークの加工装置への搬入前にあらかじめフレームセットが製作され、上記加工装置では、そのフレームセットを保持テーブルに搬送し、円盤状ワークに加工を施している。したがって、加工装置とは別にフレームセットを製作するための装置が必要であるとともに、加工装置にはフレームセットを搬送する搬送手段などを配設する必要があり、円盤状ワークの周囲にリングフレームが一体化されているために加工装置が大型化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、加工装置内においてフレームセットを搬送することなく円盤状ワークを加工することを可能にし、加工装置の省スペース化を図ることに発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、円盤状ワークを搬送するワーク搬送手段と、該ワーク搬送手段により搬送された円盤状ワークを保持する保持テーブルと、該保持テーブルによって保持された円盤状ワークの上面を加工する加工手段と、を少なくとも備える加工装置であって、該円盤状ワークには、該円盤状ワークの外周よりはみ出した押さえエリアを設けて円形に形成された保護テープが貼着され、該保持テーブルには、円盤状ワークを吸引保持する吸引面と、円盤状ワークからはみ出した該押さえエリアを押さえるリング状のリングフレームの上面が該加工手段による加工の障害にならない高さとなるように該吸引面よりも低いフレーム設置面と、を備えており、該加工装置には、保持テーブルの該フレーム設置面に対するリングフレームの搬入及び搬出を行うフレーム搬送手段と、円盤状ワークの外周に沿って該保護テープを切断するテープ切断手段と、該テープ切断手段によって切断された該押さえエリアを含む該保護テープをクランプして該リングフレームから除去するテープ除去手段と、を備える。
【0008】
第2の発明は、上記加工装置を用いて円盤状ワークを加工する加工方法であって、円盤状ワークの一方の面に該円盤状ワークの外周よりはみ出した押さえエリアを設けて円形に形成された保護テープを貼着し、該保護テープが貼着された面を下面として該保持テーブルの吸引面が該円盤状ワークを吸引保持するワーク搬入工程と、該ワーク搬入工程の後、上記フレーム搬送手段により上記リングフレームを該保持テーブルに搬入し、上記保護テープの押さえエリアを該リングフレームで押さえて該保護テープを介在させて該リングフレームを前記フレーム設置面に設置するテープ押さえ工程と、該テープ押さえ工程の後、上記加工手段により該円盤状ワークを加工する加工工程と、該加工工程による加工後、上記テープ切断手段により該円盤状ワークの外周に沿って該保護テープを切断するテープ切断工程と、該テープ切断工程の後、該フレーム搬送手段によって該リングフレームを搬出するとともに上記テープ除去手段により該押さえエリアを含む該保護テープを取り除くテープ除去工程と、該テープ除去工程の後、該ワーク搬送手段により該保持テーブルから円盤状ワークを搬出するワーク搬出工程と、から構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る加工装置は、円盤状ワークを搬送するワーク搬送手段と、円盤状ワークを吸引保持する吸引面と吸引面より低いフレーム設置面とからなる保持テーブルと、リング状のリングフレームを搬入及び搬出するフレーム搬送手段と、を備えているため、保護テープが貼着された円盤状ワークを保持テーブルにおいて保持し、フレーム設置面にリングフレームを固定することにより、保護テープを介して円盤状ワークとリングフレームとが一体となったフレームセットが形成される。したがって、加工装置においてフレームセットを形成することができ、フレームセットをあらかじめ形成することなく、円盤状ワークを加工することが可能となる。
また、この加工装置は、円盤状ワークの外周に沿って保護テープを切断するテープ切断手段を備えているため、加工装置において加工後の円盤状ワークのみを搬送することができる。そのため、フレームセットを搬送する搬送手段を加工装置に配設する必要がなくなり、加工装置が大型化することを防ぐことができる。
さらに、この加工装置は、リングフレームから保護テープを除去するテープ除去手段を備えているため、リングフレームを繰り返し使用することができる。したがって、リングフレームを複数準備する必要がない。
【0010】
本発明に係る加工方法では、ワーク搬入工程の後にテープ押さえ工程を実施することにより、リングフレームが保護テープの押さえエリアを押さえてフレーム設置面に設置されるため、保護テープを介して円盤状ワークとリングフレームとが一体となったフレームセットを形成することができる。したがって、フレームセットをあらかじめ形成することなく、円盤状ワークを加工することが可能となる。
また、加工工程の後にテープ切断工程及びワーク搬出工程を実施することにより、加工後の円盤状ワークのみを搬送することができるため、フレームセットを搬送する搬送手段を加工装置に配設する必要がなくなり、加工装置が大型化することを防ぐことができる。
さらに、テープ切断工程の後にテープ除去工程を実施することにより、リングフレームから保護テープが除去されるため、リングフレームを繰り返し使用することが可能となり、リングフレームを複数準備しておくためのスペースが不要となり、加工装置のさらなる小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】加工装置の構成を示す斜視図である。
図2】保持テーブルの構成を示す断面図である。
図3】リングフレームの例を示す斜視図である。
図4】保護テープが貼着された円盤状ワークの構成を示す断面図である。
図5】ワーク搬入工程を示す断面図である。
図6】テープ押さえ工程を示す断面図である。
図7】テープ切断工程を示す断面図である。
図8】テープ除去工程において、リングフレーム及び切断された保護テープを持ち上げる状態を示す断面図である。
図9】テープ除去工程において、リングフレームから保護テープを剥離する状態を示す断面図である。
図10】ワーク搬出工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1 装置構成
図1に示す加工装置1は、保護テープが貼着された円盤状の被加工物に加工を施す加工装置である。加工装置1は、基台2を有し、基台2の上面には矩形の支持台3が配設されている。また、基台2のY軸方向後部側には、Z軸方向にのびるコラム4が立設されている。
【0013】
図1に示すように、支持台3の上面には、被加工物を保持し自転可能な保持テーブル10が配設されている。コラム4の側部においては、被加工物に加工を施す加工手段20が加工送り手段25を介して配設されている。加工手段20は、Z軸方向の軸心を有するスピンドル21と、スピンドル21を回転可能に支持するハウジング22と、スピンドル21の下端に装着された加工ホイール23と、加工ホイール23の下部に固着された砥石24とを備えている。そして、ハウジング22の内部に設けられたモータがスピンドル21を回転駆動することにより、加工ホイール23を所定の回転速度で回転させることができる。
【0014】
加工送り手段25は、Z軸方向にのびるボールネジ26と、ボールネジ26の一端に接続されたモータ27と、ボールネジ26と平行にのびる一対のガイドレール28と、中央部に備えたナットがボールネジ26に螺合するとともに側部が一対のガイドレール28に摺接する昇降部29と、を備えている。モータ27がボールネジ26を回転させ、一対のガイドレール28に沿って昇降部29をZ軸方向に移動させることにより、昇降部29に連結された加工手段20を昇降させ、保持テーブル10に保持された被加工物に対して加工を施すことができる。
【0015】
図2に示す保持テーブル10は、多孔質部材によって形成される保持部101を備えており、保持部101の表面側が被加工物を吸引保持する吸引面102となっている。保持部101の下方には、吸引孔103が形成されており、吸引孔103は吸引源104に接続されている。図1及び図2に示すように、保持テーブル10の周縁部には、吸引面102よりも低い高さを有するリング状のフレーム設置面105と、フレーム設置面105の内周側から起立した外側面106が形成されている。フレーム設置面105は、図3に示すリング状に形成された金属製のリングフレーム8が載置される面であり、フレーム設置面105には、リングフレーム8が磁気で固定されるように電磁石を配設するようにしてもよい。
【0016】
図1に示すように、基台2のY軸方向前部には、被加工物を搬送するワーク搬送手段11が配設されている。ワーク搬送手段11は、Z軸方向にのび上下動及び回転可能な支持部110と、支持部110に連結された搬送アーム111と、搬送アーム111の先端に装着され被加工物を吸着保持する吸着面113を有する搬送パッド112と、を備えている。そして、支持部110の回転により搬送アーム111が旋回すると、搬送パッド112を保持テーブル10の上方に移動させることができる。
【0017】
また、ワーク搬送手段11は、支持部110を上下方向に移動させる上下手段15aと、搬送パッド112の吸着面113に吸引力を供給して被加工物を吸着させるワーク保持手段16とに接続されている。ワーク保持手段16には、例えば、吸引源が含まれている。
【0018】
ワーク搬送手段11の近傍には、図3に示した中央部が開口したリング状のリングフレーム8を保持テーブル10のフレーム設置面105に搬入するとともにフレーム設置面105に載置されたリングフレーム8を搬出するフレーム搬送手段12が配設されている。フレーム搬送手段12は、Z軸方向にのびる支持部120と、支持部120に連結された搬送アーム121と、搬送アーム121の先端に装着された円板122と、円板122において周方向に所定間隔を設けて取り付けられた複数のフレーム保持部123と、により構成されている。
【0019】
また、フレーム搬送手段12は、円板122を移動させる移動手段18と、支持部120を上下方向に移動させる上下手段15bと、フレーム保持部123に吸引力を供給するフレーム保持手段17とに接続されている。フレーム保持手段17には、例えば、吸引源が含まれている。そして、支持部120の回転により搬送アーム121が旋回すると、円板122を保持テーブル10の上方に移動させることができる。
【0020】
図1に示すように、コラム4の近傍には、被加工物に貼着された保護テープを切断するテープ切断手段13が配設されている。テープ切断手段13には、切刃部130を備えており、切刃部130を上下方向に移動させる上下手段15cが接続されている。
【0021】
フレーム搬送手段12の近傍には、テープ除去手段14が配設されている。テープ除去手段14は、保護テープをクランプするクランプ部140を備えており、クランプ部140は、保護テープの一端をクランプすることができる。
【0022】
2 装置の動作例
以下では、加工装置1の動作例について説明する。図4に示す円盤状ワーク5は、上面5aが加工が施される面となっており、上面5aと反対側にある面が下面5bとなっている。加工の際には、円形に切断された保護テープ6を円盤状ワーク5の下面5bに貼着する。図4に示すように、保護テープ6は、円盤状ワーク5よりも大径となっており、円盤状ワーク5の外周5cからはみ出した部分が、図3に示したリングフレーム8で押圧する押さえエリア7となっている。
【0023】
(1)ワーク搬入工程
図1に示すワーク搬送手段11の搬送パッド112を図4に示す円盤状ワーク5の上面5aに接触させ、ワーク保持手段16が搬送パッド112の吸着面113に吸引力を作用させることにより、円盤状ワーク5の上面5aを吸着保持する。そして、図1に示す支持部110が回転することにより搬送アーム111が旋回し、搬送パッド112を保持テーブル10の上方に移動させる。
【0024】
次に、図5に示すように、上下手段15aによって円盤状ワーク5を吸着保持した搬送パッド112を下降させ、円盤状ワーク5の下面5bに貼着されている保護テープ6側を保持テーブル10の吸引面102に載置する。
【0025】
保護テープ6が保持テーブル10の吸引面102に載置されると、図5の部分拡大図に示すように、押さえエリア7が、吸引面102より低い高さのフレーム設置面105の上方に位置する。そして、図5に示す吸引源104が保持テーブル10の吸引面102に吸引力を作用させることにより、吸引面102に載置された保護テープ6側を吸引し、円盤状ワーク5を吸引保持する。
【0026】
(2)テープ押さえ工程
ワーク搬入工程を実施した後、図1に示したフレーム搬送手段12によって、図3に示したリングフレーム8を保持テーブル10に搬送する。まず、図6に示すフレーム保持手段17により、円板122に取り付けられた複数のフレーム保持部123がリングフレーム8を保持する。次いで、図1に示す支持部120が回転することにより搬送アーム121が旋回し、円板122を保持テーブル10の上方に移動させる。
【0027】
次に、図6に示すように、上下手段15bによってフレーム保持部123を下降させ、リングフレーム8を押さえエリア7に載せるとともに所定の荷重をかけて押圧する。これにより、図6の部分拡大図に示すように、保護テープ6の押さえエリア7は、保持テーブル10の吸引面102よりも低い高さのフレーム設置面105及びフレーム設置面105から起立した外側面106にならってリングフレーム8によって下方に落とし込まれる。そして、リングフレーム8の下面及び内周面に保護テープ6が貼着され、リングフレーム8は、外側面106の外周側において固定される。
【0028】
図6の部分拡大図に示すリングフレーム8は、押さえエリア7において保護テープ6に貼着されて固定されると、その上面が円盤状ワーク5の上面5aよりも低い位置にあり、図1に示す加工手段20による加工動作の障害とならない高さに位置づけられる。このようにして、保護テープ6を介して円盤状ワーク5とリングフレーム8とが一体となったフレームセット9が形成される。なお、フレーム設置面105に電磁石が配設されている場合には、磁力によってリングフレーム8を固定し、容易にフレーム設置面105に設置することが可能となる。
【0029】
(3)加工工程
フレーム押さえ工程を実施した後、フレームセット9を構成する円盤状ワーク5に加工を施す。図1に示す加工ホイール23を例えば矢印A方向に回転させつつ、加工送り手段25により所定の加工送り速度で加工ホイール23に固着された砥石24を図2に示した円盤状ワーク5の上面5aに接触するまで下降させる。そして、回転する砥石24によって保持テーブル10に保持された円盤状ワーク5の上面5aを押圧しながら加工を行う。
【0030】
(4)テープ切断工程
加工工程を実施した後、図7に示すように、テープ切断手段13により円盤状ワーク5の外周5cからはみ出した不要な保護テープ6を切断する。テープ切断手段13は、保持テーブル10の上方に移動し、図7に示す上下手段15cが切刃部130を円盤状ワーク5の外周5cからはみ出した保護テープ6に切り込むまで下降させる。
【0031】
図7の部分拡大図に示すように、切刃部130が保護テープ6に切り込むと、保持テーブル10は、例えば図1に示した矢印B方向に回転する。そして、保護テープ6に切り込んだ切刃部130が円盤状ワーク5の外周5cに沿って保護テープ6を切断する。
【0032】
(5)テープ除去工程
テープ切断工程を実施した後、切断された保護テープ6を除去する。具体的には、図8に示すように、フレーム搬送手段12が保持テーブル10の上方に移動し、図1に示した上下手段15bによって、円板122に取り付けられたフレーム保持部123を下降させる。そして、フレーム保持部123でリングフレーム8を保持したら、フレーム搬送手段12が上昇することにより、リングフレーム8とともに切断された保護テープ6を持ち上げる。
【0033】
次に、図9に示すように、テープ除去手段14のクランプ部140でリングフレーム8に貼りついている保護テープ6の一端をクランプする。この状態のままフレーム搬送手段12が、移動手段18より例えば斜め上方に移動し、クランプ部140にクランプされた保護テープ6をリングフレーム8から除去する。
【0034】
(6)ワーク搬出工程
テープ除去工程を実施した後、保持テーブル10に保持された加工後の円盤状ワーク5を搬出する。図1に示すワーク搬送手段11は、支持部110の回転により搬送アーム111が旋回し、搬送パッド112を保持テーブル10の上方に移動させる。
【0035】
図10に示すように、ワーク搬送手段11は、搬送パッド112によって保持テーブル5に保持された円盤状ワーク5の上面5aを吸着する。次いで、吸引源104による吸引を停止し、吸引面102による円盤状ワーク5の吸引保持を解除する。そして、ワーク搬送手段11は、搬送パッド112の吸着面113に円盤状ワーク5の上面5aを吸着した状態のまま上昇し、円盤状ワーク5を保持テーブル10から搬出する。
【0036】
以上のように、加工装置1では、ワーク搬入工程において円盤状ワーク5がワーク搬送手段11により保持テーブル10に搬送された後、テープ押さえ工程において、フレーム搬送手段12により搬送されるリング状のリングフレーム8が、保護テープ6の押さえエリア7を押さえるとともに保持テーブル10に形成されたフレーム設置面105に設置されることにより、保護テープ6を介して円盤状ワーク5とリングフレーム8とが一体となったフレームセット9が加工装置1において形成される。したがって、フレームセット9をあらかじめ形成することなく、円盤状ワーク5を加工することが可能となる。また、円盤状ワーク5の加工後は、テープ切断手段13によって保護テープ6を切断することができるため、加工後の円盤状ワーク5のみを搬送することができる。そのため、フレームセット9を搬送する搬送手段を加工装置に配設する必要がなくなり、加工装置の省スペース化を図ることが可能となる。また、テープ除去手段14によってリングフレーム8から保護テープ6を除去することができるため、リングフレーム8を繰り返し使用することができ、リングフレームを複数準備しておくためのスペースが不要となり、加工装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、加工手段20として砥石24を備えたものを例に挙げて説明したが、加工手段はこれには限定されない。
【符号の説明】
【0038】
1:加工装置
2:基台
3:支持台
4:コラム
5:円盤状ワーク 5a:上面 5b:下面 5c:外周
6:保護テープ 7:押さえエリア
8:リングフレーム
9:フレームセット
10:保持テーブル
101:保持部
102:吸引面
103:吸引孔
104:吸引源
105:フレーム設置面
11:ワーク搬送手段
110:支持部
111:搬送アーム
112:搬送パッド
113:吸着面
12:フレーム搬送手段
120:支持部
121:搬送アーム
122:円板
123:フレーム保持部
13:テープ切断手段 130:切刃部
14:テープ除去手段 140:クランプ部
15a,15b,15c:上下手段
16:ワーク保持手段
17:フレーム保持手段
18:移動手段
20:加工手段 21:スピンドル 22:ハウジング 23:加工ホイール
24:砥石
25:加工送り手段 26:ボールネジ 27:モータ 28:ガイドレール
29:昇降部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10