(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、前記第2のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、前記第3のライブラリは、前記第1のライブラリおよび前記第2のライブラリの前記サブライブラリのすべてを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1のライブラリは1つまたは複数の追加パラメータを有し、前記第2のライブラリはまた、前記1つまたは複数の追加パラメータを有し、前記1つまたは複数の追加パラメータの前記処理範囲は、前記第1のライブラリと前記第2のライブラリの両方で同一である、請求項1に記載の方法。
前記第1のライブラリは、第2のパラメータに対して第4の処理範囲を有し、前記第2のライブラリは、前記第2のパラメータに対して第5の処理範囲を有し、前記第5の処理範囲は、前記第4の処理範囲と重複し、前記第3のライブラリは、前記第2のパラメータに対して第6の処理範囲を有し、前記第6の処理範囲は、前記第4の処理範囲および前記第5の各処理範囲より広い、請求項1に記載の方法。
前記第1のパラメータは、前記個々の特徴である幅、高さ、長さ、最上部の隅の丸み、底部フッティング、および側壁角などからなるグループから選択される、請求項8に記載の方法。
半導体基板またはウェーハ上の反復構造の、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成する方法をデータ処理システムに行わせる、記憶された命令を有する機械アクセス可能記憶媒体であって、前記方法は、
第1のパラメータに対して第1の処理範囲を有する第1のライブラリを生成するステップと、
前記第1のパラメータに対して、前記第1の処理範囲と重複する第2の処理範囲を有する第2のライブラリを生成するステップと、
前記第2のライブラリを前記第1のライブラリにつなぎ合わせて、前記第1のパラメータに対して、前記第1の処理範囲および前記第2の各処理範囲より広い第3の処理範囲を有する第3のライブラリを生成するステップと、
前記第2の処理範囲が前記第1の処理範囲と重複している領域内の結合された関数の導関数に基づき、前記第1のライブラリおよび前記第2のライブラリの重複量を決定するステップと
を備える機械アクセス可能記憶媒体。
前記第1のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、前記第2のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、前記第3のライブラリは、前記第1のライブラリおよび前記第2のライブラリの前記サブライブラリのすべてを含む、請求項14に記載の記憶媒体。
前記第1のライブラリは1つまたは複数の追加パラメータを有し、前記第2のライブラリはまた、前記1つまたは複数の追加パラメータを有し、前記1つまたは複数の追加パラメータの前記処理範囲は、前記第1のライブラリと前記第2のライブラリの両方で同一である、請求項14に記載の記憶媒体。
前記第1のライブラリは、第2のパラメータに対して第4の処理範囲を有し、前記第2のライブラリは、前記第2のパラメータに対して第5の処理範囲を有し、前記第5の処理範囲は、前記第4の処理範囲と重複し、前記第3のライブラリは、前記第2のパラメータに対して第6の処理範囲を有し、前記第6の処理範囲は、前記第4の処理範囲および前記第5の各処理範囲より広い、請求項14に記載の記憶媒体。
前記第1のパラメータは、前記個々の特徴である幅、高さ、長さ、最上部の隅の丸み、底部フッティング、および側壁角などからなるグループから選択される、請求項21に記載の記憶媒体。
半導体基板またはウェーハ上の反復構造の、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成する方法をデータ処理システムに行わせる、記憶された命令を有する機械アクセス可能記憶媒体であって、前記方法は、
複数のパラメータのうち異なる1つにそれぞれ対応する複数の処理範囲を有する第1のライブラリを生成するステップと、
前記複数のパラメータのうち第1のパラメータに対して、前記複数のパラメータのうち前記第1のパラメータに対する前記第1のライブラリの前記処理範囲と異なるが重複する処理範囲を有する第2のライブラリを生成するステップと、
前記第2のライブラリを前記第1のライブラリにつなぎ合わせるステップと、
前記複数のパラメータの1つまたは複数の追加パラメータに対して前記生成するステップおよび前記つなぎ合わせるステップを反復して、最終ライブラリを提供するステップと
を備える機械アクセス可能記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成する方法について説明する。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、構造の非対称特性の例など、数多くの具体的な詳細を示す。本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施することができることが当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態を不必要に不明瞭にしないよいように、パターン形成された材料層の積層物を製作するステップなど、周知の処理ステップについて説明しない。さらに、図で示すさまざまな実施形態は例示的表現であり、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解されたい。
【0013】
最近のOCD(optical critical−dimension)用途では、広い処理範囲が望まれる場合がある、または処理の存続期間の間に範囲シフトが存在する場合がある。また、利用者は、2つの処理範囲をカバーするライブラリを構築することを望むことさえある。頻繁に、利用者は、最初の使用事例に対して1つまたは複数の狭い処理範囲で良好なライブラリを構築し、このライブラリをベースとして維持しようとする。本発明の一実施形態によれば、ベースライブラリに追加ライブラリを付加して、本発明の明細書に記されるライブラリのつなぎ合わせとする処理で、より広い処理範囲を後でカバーする。
【0014】
本発明の1つまたは複数の実施形態の一例では、比較的狭い処理範囲を有する良好なライブラリ(ライブラリA)を確立する。利用者は、他の処理をカバーするために、いくつかのパラメータに対して範囲を拡張することを望むことがあるが、この範囲内では結果が良好であり、かつ他の測定に適用可能であるので、以前の範囲に対してライブラリAを維持したい。したがって、一実施形態では、新しいライブラリを繰り返し構築する。繰り返しは、ベースライブラリまたはメインライブラリから開始して、追加ライブラリをベースライブラリに、またはベースライブラリから形成された最新のライブラリにつなぎ合わせることを伴ってもよい。最終ライブラリは、利用者の目的を達成するのに適した良好なライブラリを提供することができる。このような一実施形態では、各繰り返しにより、開始ライブラリの範囲の1つの次元だけが拡張される。
【0015】
一例として、一実施形態では、処理は、(a)必要に応じて複数の範囲であってもよい良好なライブラリ(ライブラリA)を識別するステップ、(b)同一工程表で新しいプロジェクトとして別の良好なライブラリ(ライブラリB)を構築するステップ(ライブラリBの範囲は、拡張が望まれる1つの次元を除くすべての次元で等しくてもよい。この1つの次元については、2ナノメートルなどの推定される重複量だけ、ライブラリAとの重複が提供される)、(c)その他のサイズを所望の量まで拡張するステップであって、重複量は重複領域内の結合された関数の導関数、および同じくライブラリAおよびライブラリBのライブラリ誤差推定値から推定される拡張するステップ、(d)別のライブラリCフォルダを設定し、ライブラリAおよびライブラリBを一緒につなぎ合わせて、AおよびB内のサブライブラリのすべてからなる複数の範囲のライブラリであるライブラリCを提供するステップ、(e)A=Cとおいて、(a)に戻って、別の次元を拡張して、別のライブラリBを構築し、つなぎ合わせてもう一つのライブラリCを形成するステップ、および(f)(e)を反復して、所望のすべての次元の拡張を完了するステップを含む。
【0016】
全体的に、本明細書で説明する処理および手順は、大きな処理範囲に対して良好なライブラリを構築する革新的な方法を提供することができる。毎回1つの次元範囲を拡張し、次いで、ライブラリを一緒につなぎ合わせて、大きなライブラリ範囲を有するライブラリを提供することにより、ライブラリを繰り返し構築してもよい。重複領域の決定、および2つのこのようなライブラリをつなぎ合わせる方法について、以下で詳細に説明する。説明する手法は、良好な精度を有する、大きな範囲のライブラリの構築を可能にすることができる。
【0017】
本明細書で説明するライブラリをつなぎ合わせる方法は、利用者が良好なライブラリを構築して、繰り返す手法により大きな処理範囲をカバーする手助けをすることができる。手順は、個々の利用者の必要および所望のタイミングの両方を考慮して次元を拡張することに関して柔軟性がある。たとえば、利用者は、ライブラリが整合性のある結果を提供した以前の範囲に対して、以前のライブラリを保持してもよい。この場合、使用される任意の新しいライブラリは、大きいが正確な範囲で与えられる。
【0018】
本明細書で詳細に説明する手法は、ライブラリが断片に分割されてもよく、次いで、断片が再度一緒に付加される従来の分割と区別される。代わりに、一実施形態では、ライブラリは、ベースライブラリまたはメインライブラリから構築され、追加の重複するライブラリにつなぎ合わされる。本手法は、広い範囲をカバーする単一ライブラリを最初に構築する難題に対処することができる。一緒につなぎ合わされた複数のライブラリからの全体的応答は、無視できない寄与を伴うサブライブラリの加重総和を提供することができる。したがって、ライブラリの追加は、関数的に平滑なやり方で行われてもよい。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成するための例示的な一連の動作を表すフローチャート100を示す。
【0020】
フローチャート100の動作102を参照すると、第1のパラメータに対して第1の処理範囲を有する第1のライブラリを生成する。次いで、フローチャート100の動作104を参照すると、第1のパラメータに対して第2の処理範囲を有する第2のライブラリを生成する。第2の処理範囲は、第1の処理範囲と重複する。次いで、フローチャート100の動作106を参照すると、第2のライブラリを第1のライブラリにつなぎ合わせて、第1のパラメータに対して第3の処理範囲を有する第3のライブラリを生成する。第3の処理範囲は、第1および第2の処理範囲の各々より広い。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、話を簡単にするために、つなぎ合わせは、2つの重複するライブラリを結合することと理解することができる。たとえば、所与の範囲のパラメータ値に対するスペクトル信号に対して所与のスカラパラメータ変数xをとる2つのライブラリ関数f
1(x)およびf
2(x)を決定する。このような重複するライブラリのつなぎ合わせについては、スペクトル信号が、式1で提供される、2つの関数の凸結合により与えられる範囲が存在する:
f(x)=c(x)f
1(x)+(1−c(x))f
2(x)。 (1)
2つのライブラリ関数を混合するために使用する関数c(x)は、式2により提供されるロジスティックシグモイドに基づく:
【数1】
(2)
ここで、κ=13.82であり、ρは重複領域長であり、x
0は重複領域の中間である。類似の手法をサブライブラリに適用することができる。たとえば、一実施形態では、フローチャート100を再度参照すると、第1のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、第2のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、第3のライブラリは、第1および第2のライブラリのサブライブラリのすべてを含む。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、フローチャート100を再度参照すると、第1のライブラリは1つまたは複数の追加パラメータを有する。第2のライブラリは、同じく1つまたは複数の追加パラメータを有する。1つまたは複数の追加パラメータに対する処理範囲は、第1のライブラリと第2のライブラリの両方で同一である。このような一実施形態では、第1および第2のライブラリは、第1および第2の処理範囲だけが異なる。しかしながら、代替の一実施形態では、第1および第2のライブラリの処理範囲は、1つまたは複数の追加パラメータが異なり、重複さえしない。これらのパラメータについては、出来上がったライブラリは非連結の範囲を含む。
【0023】
一実施形態では、第1および第2のライブラリは、重複量だけ重複する。このような一実施形態では、フローチャート100に関連して説明する方法は、第2の処理範囲が第1の処理範囲と重複している領域内の結合された関数の導関数に基づき重複量を決定する動作をさらに含む。決定する動作はまた、第1および第2のライブラリの各々に対するライブラリ誤差推定値に基づく。
【0024】
重複領域の決定に関しては、重複する量は、2つの領域の関数の各々の特性、および結合された関数の特性に基づく。一例では、重複領域を決定することができる1つの方法は、一実施形態では、式3で提供される、結合された関数の導関数に基づく:
∇f=(c∇f
1+(1−c)∇f
2)+∇c(f
1−f
2)。 (3)
重複範囲の中間は、結合する関数
【数2】
による導関数への寄与が補間関数の導関数より小さいように課されてもよい。換言すれば、式3の第1項は第2項を支配する。式2で定義したロジスティック関数を使用して、式4を得ることができる:
【数3】
(4)
ここで、
【数4】
である。重複領域に対して式4を解くと、式5を得る:
【数5】
(5)
ライブラリを計算する前には、重複領域の中間で誤差のノルムを利用できないため、所望の誤差信号E
fは、一般にライブラリに置き換えられる。この手法により式6を得る:
【数6】
(6)
【0025】
上記は1つの可能な例だけを表すことを理解されたい。たとえば、混合関数のために使用してもよいシグモイド関数が多数存在してもよい。一実施形態では、余弦squasherシグモイド関数を使用する。上式(1)は、どのようなシグモイド関数を使用しても変化なしであるが、式(2、4、5、6)は、それに従って変化する。使用可能なシグモイド関数の例は、論文「Universal Approximation by Ridge Computational Models and Neural Networks:A Survey」(M.Sanguineti、The Open Applied Mathematics Journal、2008年、31〜58ページ)、および「Approximation theory of the MLP model in neural networks」(A.Pinkus、Acta Numerica(1999年)、143〜195ページ、Cambridge University Press)で得ることができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、フローチャート100を再度参照すると、方法は、第1のパラメータに対して第4の処理範囲を有する第4のライブラリを生成する動作をさらに含む。第4の処理範囲は、第3の処理範囲と重複する。さらに、第4のライブラリを第3のライブラリにつなぎ合わせて、第1のパラメータに対して第5の処理範囲を有する第5のライブラリを生成する動作を行う。第5の処理範囲は、第3および第4の各処理範囲より広い。
【0027】
つなぎ合わせる動作は、所与の時間に、単一パラメータに限定する必要がないことを理解されたい。代わりに、単一のつなぎ合わせる処理で2つ以上のパラメータを修正してもよい。たとえば、一実施形態では、フローチャート100を再度参照すると、第1のライブラリはまた、第2のパラメータに対して第4の処理範囲を有し、第2のライブラリはまた、第2のパラメータに対して第5の処理範囲を有し、第5の処理範囲は、第4の処理範囲と重複し、第3のライブラリはまた、第2のパラメータに対して第6の処理範囲を有し、第6の処理範囲は、第4および第5の各処理範囲より広い。
【0028】
フローチャート100に関連して説明する第1のパラメータは、一実施形態では、2次元または3次元の格子構造の個々の特徴からなってもよい。用語「3次元格子構造」は、本明細書では、z方向の深さに加えて2次元で変化するx−yプロファイルを有する構造を指すために使用する。たとえば、
図2Aは、本発明の一実施形態による、x−y平面内で変化するプロファイルを有する周期格子200を示す。周期格子のプロファイルは、x−yプロファイルの関数としてz方向で変化する。
【0029】
用語「2次元格子構造」は、本明細書では、z方向の深さに加えて1次元だけで変化するx−yプロファイルを有する構造を指すために使用する。たとえば、
図2Bは、本発明の一実施形態による、x方向で変化するがy方向では変化しないプロファイルを有する周期格子202を示す。周期格子のプロファイルは、xプロファイルの関数としてz方向で変化する。2次元構造ではy方向で変化が無限にないことが必要であるのではなく、パターンの任意のずれが、長距離で考慮される、たとえば、y方向でのパターンからの任意のずれが、x方向でのパターンのずれより実質的にさらに間隔を置いて配置されることを理解されたい。
【0030】
個々の特徴が2次元または3次元の格子構造からなるこのような一実施形態では、第1のパラメータは、限定することなく、個々の特徴である幅、高さ、長さ、最上部の隅の丸み、底部フッティング、または側壁角などのうち1つの特徴である。
【0031】
一実施形態では、フローチャート100を再度参照すると、第3のライブラリは、シミュレートされたスペクトルを含み、フローチャート100に関連して説明する方法は、シミュレートされたスペクトルをサンプルスペクトルと比較する動作をさらに含む。一実施形態では、シミュレートされたスペクトルを、1セットの空間高調波次数から得る。一実施形態では、限定することなく、物理的基準サンプルまたは物理的製造サンプルなどの構造からサンプルスペクトルを収集する。一実施形態では、回帰計算を使用することにより、比較を行う。一実施形態では、計算で、1つまたは複数の非微分信号を同時に使用する。1つまたは複数の非微分信号は、限定することなく、方位角、入射角、偏光子/検光子の角度、または追加の測定ターゲットなどの非微分信号であってもよい。
【0032】
本発明の一様態では、ライブラリのつなぎ合わせは、元のライブラリ内の2つ以上のパラメータの範囲を拡大するために使用されてもよい。たとえば、
図3は、本発明の一実施形態による、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成するための他の例示的な一連の動作を表すフローチャート300を示す。
【0033】
フローチャート300の動作302を参照すると、複数の処理範囲を有する第1のライブラリを生成する。各処理範囲は、複数のパラメータのうち異なる1つに対応する。フローチャート300の動作304を参照すると、複数のパラメータのうち第1のパラメータに対して処理範囲を有する第2のライブラリを生成する。第2のライブラリの処理範囲は、複数のパラメータのうち第1のパラメータに対する第1のライブラリの処理範囲と異なるが、重複する。フローチャート300の動作306を参照すると、上述のように、第2のライブラリを第1のライブラリにつなぎ合わせる。
【0034】
フローチャート300の動作308を参照すると、複数のパラメータの1つまたは複数の追加パラメータ(複数のパラメータのうち第1のパラメータと異なる)に対して、たとえばサイクル310により、生成するステップおよびつなぎ合わせるステップを反復して、最終ライブラリを提供する。本発明の一実施形態によれば、最終ライブラリの各処理範囲は、第1のライブラリの複数の処理範囲の対応する処理範囲以上の広さである。一実施形態では、最終ライブラリはシミュレートされたスペクトルを含む。このような一実施形態では、フローチャート300の方法は、上述のように、シミュレートされたスペクトルをサンプルスペクトルと比較する動作をさらに含む。
【0035】
フローチャート100および300の方法から提供される、つなぎ合わせられたライブラリの使用に関して、一実施形態では、このような方法は、つなぎ合わせられたライブラリ内のシミュレートされたパラメータとの一致または不一致に基づき、処理ツールのパラメータを改変するステップを含む。処理ツールのパラメータを改変するステップは、限定することなく、フィードバック技法、フィードフォワード技法、およびその場での制御技法などの技法を使用することにより行われてもよい。一実施形態では、つなぎ合わせられたライブラリを使用して、CD計測ツールのレシピでデバイス構造プロファイルおよび幾何形状をより正確に設定することができる。一実施形態では、つなぎ合わせられたライブラリを、CD計測ツールの検証、診断および特性解析の一部として使用する。
【0036】
本明細書で企図する計測の、上述の実施形態の1つまたは複数の例示的な一実装形態として、サイドライブラリ拡張処理について説明する。
図4Aは、本発明の一実施形態による、サイドライブラリと重複し、サイドライブラリにつなぎ合わせられたメインライブラリを表す構成図を示す。
【0037】
図4Aを参照すると、ライブラリ400は、既存のライブラリ402につなぎ合わせられたサイドライブラリ404からなり、拡張されている次元を除き、すべての次元でメインライブラリから範囲を継承する。上述のように、継承されない次元のサイドライブラリ404の範囲は、メインライブラリ402内の対応する範囲と同一ではなく、実際には重複する。したがって、元の範囲と新しく拡張された範囲の間で出来上がった境界線として示すが、実際には、上述のように、2つのライブラリ間には重複領域406が存在する。
【0038】
一実装形態では、「拡張」ボタンを押した後、すべての次元に対するメインライブラリの範囲と共にGUIウィンドウがポップアップする。利用者は、パラメータ範囲の1つの値を1つの次元で変更することができ、その後、すべての他のパラメータ範囲が固定される。範囲がサイドライブラリに対応するように修正されたことを除き、同一ライブラリ設定の新しいプロジェクトが生成される。サイドライブラリは、自動的に生成されてもよい。具体的な一実施形態では、3つの独立したライブラリは、サイドライブラリおよびメインライブラリの境界近傍の測定値シフトについての試験を容易にする。
【0039】
別の実施形態では、2つのライブラリ(AおよびB)を取り上げて、これらのライブラリを連結して第3のライブラリにするMatlabプロトタイプが存在する。ライブラリBはAのコピーであり、1つの範囲が変更され、サイドライブラリになる。ライブラリCは、拡張されたライブラリである。このプロトタイプは、作業ライブラリを作り出す。元のライブラリ対サイドライブラリのサンプル数の比は、ライブラリ範囲の規模の比である。ライブラリを連結する仕組みは、わずかに重複するサブライブラリを結合して、メインライブラリを形成するライブラリ分割の仕組みに類似してもよい。重複は、メインライブラリから自動的に継承される、または必要に応じて、再計算される。ライブラリを拡張する処理は、無期限に反復されてもよいが、具体的な一実施形態では、最大反復は4回である。別の具体的な実施形態では、最大反復は式7により与えられる:
ライブラリ拡張の最大反復=2・N
DOF、 (7)
ここで、N
DOFは自由度の数であり、ライブラリ内の範囲の数と同義語である。
【0040】
別の実装形態では、サイドライブラリ拡張処理は、以下の例示的動作を使用して行われる。例は、積層膜の単純な2自由度モデルから始まる。第1の動作では、ベースライブラリを生成し、たとえば、良好な試験は、粗いライブラリ設定を伴う単純な2膜プロジェクトである。次に、粗い設定を使用して、ベースライブラリを生成する。この動作が完了すると、ライブラリが拡張されてもよい。次の動作で、サイドライブラリを生成する。利用者は、パラメータの範囲を拡張するオプションを有してもよい。次の動作で、ベースライブラリおよびサイドライブラリを連結する。次の動作で、ライブラリを結合し、結合後に新しいプロジェクトを生み出してもよい。
【0041】
一実施形態では、すべての新しいライブラリは、各パラメータ範囲に対して重複長を自動的に計算され、ライブラリが分割されていない場合でさえ記憶される。この手法は、ライブラリ拡張アルゴリズムを著しく簡略化する。また、一実施形態では、ライブラリ設定とGUIでの設定の間に少なくともいくつかの調和が存在する。一実施形態では、設定を変更した場合、サイドライブラリを許可しない。サイドライブラリは、いくつかのやり方でサイドライブラリとして指定されてもよく、サイドライブラリが生成されたベースライブラリとだけサイドライブラリを連結することができるようになる。その後、GUIでの設定のすべてを再構築するのに十分な情報がライブラリファイル内に存在してもよい。
【0042】
サイドライブラリ拡張処理は、複数回繰り返して行われてもよい。
図4Bは、本発明の一実施形態による、複数のサイドライブラリと重複し、複数のサイドライブラリにつなぎ合わせられた、増大するメインライブラリを表す構成図を示す。
【0043】
図4Bを参照すると、ライブラリ450はベースライブラリ452からなる。サイドライブラリは、ベースライブラリ452(または以前の繰り返しから出来上がる新しいライブラリ)につなぎ合わせられる。たとえば、順序としては、ベースライブラリ452の1つの次元が重なり、拡張されている次元を除きすべての次元でベースライブラリ452から範囲を継承するサイドライブラリ454を構築する。次いで、新しいライブラリ(1+2)の1つの次元が重なり、拡張されている1つの次元を除きすべての次元で新しいライブラリ(1+2)から範囲を継承するサイドライブラリ456を構築する。次いで、新しいライブラリ(1+2+3)の1つの次元で重なり、拡張されている次元を除きすべての次元で新しいライブラリ(1+2+3)から範囲を継承するサイドライブラリ458を構築する。次いで、新しいライブラリ(1+2+3+4)の1つの次元で重なり、拡張されている次元を除きすべての次元で新しいライブラリ(1+2+3+4)から範囲を継承するサイドライブラリ460を構築する。最後に、新しいライブラリ(1+2+3+4+5)の1つの次元で重なり、拡張されている次元を除きすべての次元で新しいライブラリ(1+2+3+4+5)から範囲を継承するサイドライブラリ462(6)を構築する。
【0044】
上述のように、継承されない次元の各サイドライブラリ(454、456、458、460または462)の範囲は、以前に繰り返したライブラリの、対応する範囲と同一であるのではなく、実際には重複する。したがって、元の範囲と新しく拡張された範囲の間で出来上がった境界線として示すが、実際には上述のように、図示する、隣接する各ライブラリ間には重複領域が存在する。
【0045】
本明細書で説明する、つなぎ合わせられたライブラリは、回折信号の次数に基づく、シミュレートされたスペクトルを含んでもよい。次数は、周期構造から得られているとしてシミュレートされてもよい。ゼロ次数は、周期構造の法線Nを基準にした、仮説入射ビームの入射角に等しい角度で回折信号を表す。高次の回折次数は、+1、+2、+3、−1、−2、−3などとして指定される。消えていく次数として知られる他の次数は、同じく考慮されてもよい。本発明の一実施形態によれば、光学計測で使用するために、シミュレートされた回折信号を生成する。たとえば、光学計測で使用するために、構造側壁角などのプロファイルパラメータをモデル化してもよい。光学計測で使用するために、同じく、ウェーハ構造における材料の光学的性質、たとえば屈折率および消光率(nおよびk)をモデル化してもよい。
【0046】
上述のように、つなぎ合わせられたライブラリを使用することは、シミュレートされたスペクトルをサンプルスペクトルと比較するステップを含んでもよい。一実施形態では、1セットの回折次数をシミュレートして、2次元または3次元の格子構造から偏光解析光学計測システムにより生成される回折信号を表す。このような光学計測システムについて、
図7に関連して以下で説明する。しかしながら、同一概念および原理が反射率測定システムなどの他の光学計測システムに同様に適用されることを理解されたい。表される回折信号は、限定することなく、プロファイル、次元または材料組成などの、2次元または3次元の格子構造の特徴を考慮してもよい。
【0047】
計算ベースの、シミュレートされた回折次数は、パターン形成された膜の、たとえばパターン形成された半導体膜またはフォトレジスト層のプロファイルパラメータを示してもよく、自動処理または設備制御を較正するために使用されてもよい。
図5は、本発明の一実施形態による、自動処理および設備制御のための構造パラメータを、たとえばプロファイルパラメータを決定し、利用するための例示的な一連の動作を表すフローチャート500を示す。
【0048】
フローチャート500の動作502を参照すると、つなぎ合わせられたライブラリまたはトレーニングされた機械学習システム(MLS)を開発して、測定された1セットの回折信号からプロファイルパラメータを抽出する。動作504では、つなぎ合わせられたライブラリまたはトレーニングされたMLSを使用して、構造の少なくとも1つのプロファイルパラメータを決定する。動作506では、処理ステップを行うように構成された製作クラスタに少なくとも1つのプロファイルパラメータを送信し、処理ステップは、測定ステップ504が行われる前または後に、半導体製造処理フローで実行されてもよい。動作508では、少なくとも1つの送信されたプロファイルパラメータを使用して、製作クラスタにより行われる処理ステップに対する処理変数または設備設定を修正する。
【0049】
機械学習システムおよびアルゴリズムのより詳細な説明については、2003年6月27日に出願された、「OPTICAL METROLOGY OF STRUCTURES FORMED ON SEMICONDUCTOR WAFERS USING MACHINE LEARNING SYSTEMS」と題する米国特許第7,831,528号明細書を参照し、全体が参照により本明細書に組み入れられる。2次元反復構造に対する回折次数最適化の説明については、2006年3月24日に出願された、「OPTIMIZATION OF DIFFRACTION ORDER SELECTION FOR TWO−DIMENSIONAL STRUCTURES」と題する米国特許第7,428,060号明細書を参照し、全体が参照により本明細書に組み入れられる。分割された機械学習システムの説明については、全体が参照により本明細書に組み入れられる、2005年3月31日に出願された、「SPLIT MACHINE LEARNING SYSTEMS」と題する米国特許第7,421,414号明細書を参照のこと。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態による、自動処理および設備制御のための構造パラメータを、たとえばプロファイルパラメータを決定し、利用するためのシステム600の例示的構成図である。システム600は、第1の製作クラスタ602および光学計測システム604を含む。システム600はまた、第2の製作クラスタ606を含む。
図6では、第2の製作クラスタ606を第1の製作クラスタ602に続いているとして示すが、システム600では(およびたとえば、製造処理フローでは)、第2の製作クラスタ606を第1の製作クラスタ602の前に配置することができることを理解すべきである。
【0051】
第1の製作クラスタ602を使用して、フォトリソグラフィ処理を、たとえばウェーハに適用されるフォトレジスト層の露光および現像を行うことができる。例示的な一実施形態では、光学計測システム604は、光学計測ツール608およびプロセッサ610を含む。光学計測ツール608は、構造から得られる回折信号を測定するように構成される。測定された回折信号およびシミュレートされた回折信号が一致する場合、プロファイルパラメータの1つまたは複数の値は、シミュレートされた回折信号に関連するプロファイルパラメータの1つまたは複数の値であると決定される。
【0052】
例示的な一実施形態では、光学計測システム604はまた、複数のシミュレートされた回折信号、および複数のシミュレートされた回折信号に関連する1つまたは複数のプロファイルパラメータの複数の値を有する、つなぎ合わせられたライブラリ612を含むことができる。上述のように、つなぎ合わせられたライブラリをあらかじめ生成することができる。計測プロセッサ610は、構造から得られた、測定された回折信号を、つなぎ合わせられたライブラリ内の複数のシミュレートされた回折信号と比較することができる。一致する、シミュレートされた回折信号が見つかったとき、つなぎ合わせられたライブラリ内の一致する、シミュレートされた回折信号に関連するプロファイルパラメータの1つまたは複数の値は、この構造を製作するウェーハ用途で使用されるプロファイルパラメータの1つまたは複数の値であるとみなされる。
【0053】
システム600はまた、計測プロセッサ616を含む。例示的な一実施形態では、プロセッサ610は、1つまたは複数のプロファイルパラメータの1つまたは複数の値を計測プロセッサ616に送信することができる。次いで、計測プロセッサ616は、光学計測システム604を使用して、決定された1つまたは複数のプロファイルパラメータの1つまたは複数の値に基づき、第1の製作クラスタ602の1つまたは複数の処理パラメータまたは設備設定を調節することができる。計測プロセッサ616はまた、光学計測システム604を使用して、決定された1つまたは複数のプロファイルパラメータの1つまたは複数の値に基づき、第2の製作クラスタ606の1つまたは複数の処理パラメータまたは設備設定を調節することができる。上記で指摘したように、製作クラスタ606は、製作クラスタ602の前または後にウェーハを処理することができる。別の例示的な実施形態では、プロセッサ610は、機械学習システム614への入力として1セットの想定された回折信号を、および機械学習システム614の期待される出力としてプロファイルパラメータを使用して、機械学習システム614をトレーニングするように構成される。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態による、半導体ウェーハ上の構造のプロファイルを決定するための光学計測の利用を示すアーキテクチャ図である。光学計測システム700は、ウェーハ708のターゲット構造706に計測ビーム704を投射する計測ビーム源702を含む。ターゲット構造706に向かって計測ビーム704を入射角θで投射する。計測ビーム受信機712により回折ビーム710を測定する。回折ビームデータ714をプロファイル・アプリケーション・サーバ716に送信する。プロファイル・アプリケーション・サーバ716は、ターゲット構造の最小線幅と分解能の変化する組合せを表す、シミュレートされた回折ビームデータのつなぎ合わせられたライブラリ718と、測定された回折ビームデータ714を比較する。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、シミュレートされた回折ビームデータの少なくとも部分は、2つ以上の方位角に対して決定された差に基づく。本発明の別の実施形態によれば、シミュレートされた回折ビームデータの少なくとも部分は、2つ以上の入射角に対して決定された差に基づく。例示的な一実施形態では、測定された回折ビームデータ714と最もよく一致する、つなぎ合わせられたライブラリ718のインスタンスを選択する。概念および原理を例示するために、回折スペクトルまたは回折信号のつなぎ合わせられたライブラリ、および関連する仮説プロファイルをしばしば使用するが、本発明は、回帰、ニューラルネットワーク、およびプロファイル抽出のために使用される類似の方法などにおいて、シミュレートされた回折信号、および関連するプロファイルパラメータのセットを含む、つなぎ合わせられたデータ空間に同様に適用されることを理解されたい。選択された、つなぎ合わせられたライブラリ716のインスタンスの仮説プロファイルおよび関連する最小線幅は、ターゲット構造706の特徴の実際の断面プロファイルおよび最小線幅に対応するとみなされる。光学計測システム700は、反射率計、偏光解析装置、または他の光学計測デバイスを利用して、回折ビームまたは回折信号を測定してもよい。
【0056】
本発明の実施形態は、さまざまな積層膜に適している場合がある。たとえば、一実施形態では、積層膜は単一の層または複数の層を含む。また、一実施形態では、解析されたまたは測定された格子構造は、3次元成分も2次元成分も含む。たとえば、構造全体および構造の解析データに対する2次元成分の寄与がより単純であることを利用することにより、シミュレートされた回折データに基づく計算効率を最適化しもよい。
【0057】
本発明の実施形態の説明を容易にするために、偏光解析光学計測システムを使用して、上記の概念および原理を示す。同一の概念および原理が反射率測定システムなどの他の光学計測システムに同様に適用されることを理解されたい。類似のやり方で、半導体ウェーハを利用して、概念の適用を示してもよい。この場合も、方法および処理は、反復構造を有する他の製作品に同様に適用される。一実施形態では、光学散乱測定法(optical scatterometry)は、限定することなく、光学的分光偏光解析法(spectroscopic ellipsometry、SE)、ビームプロファイル反射率計(beam profile reflectometry、BPR)、および強化紫外線反射率計(enhanced ultra−violet reflectometry、eUVR)などの技法である。
【0058】
本発明は、本発明による処理を行うようにコンピュータシステム(または他の電子デバイス)をプログラムするために使用してもよい命令を記憶した機械可読媒体を含んでもよい、コンピュータプログラム製品またはソフトウェアとして提供されてもよい。機械可読媒体は、機械(たとえばコンピュータ)により読取可能な形で情報を記憶または送信するための任意の仕組みを含む。たとえば、機械可読(たとえばコンピュータ可読)媒体は、機械(たとえばコンピュータ)可読記憶媒体(たとえば、読出し専用メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイスなど)、機械(たとえばコンピュータ)可読伝送媒体(電気、光、音響または他の形態の伝搬信号(たとえば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など))などを含む。
【0059】
図8は、本明細書で説明する手順の任意の1つまたは複数を機械に行わせる1セットの命令を実行してもよいコンピュータシステム800の例示的な形態で、機械の概略表示を示す。代替実施形態では、機械はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット内の他の機械に接続(たとえば、ネットワーク接続)されてもよい。機械は、クライアント・サーバ・ネットワーク環境でサーバまたはクライアントの機械の立場で、またはピア・ツー・ピア(または分散)ネットワーク環境でピア機械として動作してもよい。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セット・トップ・ボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブ家電、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはこの機械が行う活動を指定する1セットの命令を(順次にまたは他の方法で)実行することができる任意の機械であってもよい。さらに、単一の機械だけを示すが、用語「機械」はまた、本明細書で説明する手順の任意の1つまたは複数を行う1セットの(または複数セットの)命令を個々に、または共同で実行する機械(たとえばコンピュータ)の任意の集合を含むと理解すべきである。
【0060】
例示的コンピュータシステム800は、プロセッサ802、メインメモリ804(たとえば、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、たとえば同期DRAM(SDRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)など)、スタティックメモリ806(たとえば、フラッシュメモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)など)、およびバス830を介して互いに通信する2次メモリ818(たとえば、データ記憶デバイス)を含む。
【0061】
プロセッサ802は、1つまたは複数の汎用処理デバイス、たとえばマイクロプロセッサ、中央処理装置、または同種のものを表す。より詳細には、プロセッサ802は、CISC(complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、RISC(reduced instruction set computing)マイクロプロセッサ、VLIW(very long instruction word)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組合せを実装するプロセッサであってもよい。プロセッサ802はまた、1つまたは複数の専用処理デバイス、たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、または同種のものであってもよい。プロセッサ802は、本明細書で説明する動作を行うための処理ロジック826を実行するように構成される。
【0062】
コンピュータシステム800は、ネットワーク・インタフェース・デバイス808をさらに含んでもよい。コンピュータシステム800はまた、ビデオディスプレイ装置810(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)またはブラウン管(CRT))、英数字入力デバイス812(たとえばキーボード)、カーソル制御デバイス814(たとえばマウス)、および信号発生デバイス816(たとえばスピーカ)含んでもよい。
【0063】
2次メモリ818は、本明細書で説明する手順または関数の任意の1つまたは複数を具体化する1セットまたは複数セットの命令(たとえばソフトウェア822)を記憶する機械アクセス可能記憶媒体(または具合的にはコンピュータ可読記憶媒体)831を含んでもよい。ソフトウェア822はまた、また、機械可読記憶媒体を構成するコンピュータシステム800、メインメモリ804およびプロセッサ802によりソフトウェア822を実行する間に、メインメモリ804内部および/またはプロセッサ802内部に完全に、または少なくとも部分的に常駐してもよい。ソフトウェア822はさらに、ネットワーク・インタフェース・デバイス808を介してネットワーク820上で送信または受信されてもよい。
【0064】
例示的な一実施形態では、機械アクセス可能記憶媒体831を単一の媒体として示すが、用語「機械可読記憶媒体」は、1セットまたは複数セットの命令を記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型もしくは分散型のデータベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むと理解すべきである。用語「機械可読記憶媒体」はまた、機械により実行するための1セットの命令を記憶または符号化することができ、かつ本発明の手順の任意の1つまたは複数を機械に行わせる任意の媒体を含むと理解すべきである。用語「機械可読記憶媒体」は、それに応じて、限定することなく、ソリッド・ステート・メモリ、ならびに光学媒体および磁気媒体を含むと理解すべきである。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、機械アクセス可能記憶媒体は、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成する方法をデータ処理システムに行わせる、この媒体上に記憶された命令を有する。方法は、第1のパラメータに対して第1の処理範囲を有する第1のライブラリを生成するステップを含む。第1のパラメータに対して第2の処理範囲を有する第2のライブラリを生成する。第2の処理範囲は、第1の処理範囲と重複する。第2のライブラリを第1のライブラリにつなぎ合わせて、第1のパラメータに対して第3の処理範囲を有する第3のライブラリを生成する。第3の処理範囲は、第1および第2の各処理範囲より広い。
【0066】
一実施形態では、第1のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、第2のライブラリは1つまたは複数のサブライブラリを有し、第3のライブラリは、第1および第2のライブラリのサブライブラリのすべてを含む。
【0067】
一実施形態では、第1のライブラリは1つまたは複数の追加パラメータを有し、第2のライブラリはまた、1つまたは複数の追加パラメータを有し、1つまたは複数の追加パラメータの処理範囲は、第1のライブラリと第2のライブラリの両方で同一である。このような一実施形態では、第1および第2のライブラリは、第1および第2の処理範囲だけが異なる。
【0068】
一実施形態では、第1および第2のライブラリは、重複量だけ重複する。このような一実施形態では、方法は、第2の処理範囲が第1の処理範囲と重複している領域内の結合された関数の導関数に基づき重複量を決定するステップをさらに含む。決定するステップはまた、第1および第2の各ライブラリに対するライブラリ誤差推定値に基づく。
【0069】
一実施形態では、方法は、第1のパラメータに対して第4の処理範囲を有する第4のライブラリを生成するステップを含む。第4の処理範囲は、第3の処理範囲と重複する。このような一実施形態では、方法はまた、第4のライブラリを第3のライブラリにつなぎ合わせて、第1のパラメータに対して第5の処理範囲を有する第5のライブラリを生成するステップを含む。第5の処理範囲は、第3および第4の各処理範囲より広い。
【0070】
一実施形態では、第1のライブラリは、第2のパラメータに対して第4の処理範囲を有し、第2のライブラリは、第2のパラメータに対して第5の処理範囲を有し、第5の処理範囲は、第4の処理範囲と重複し、第3のライブラリは、第2のパラメータに対して第6の処理範囲を有し、第6の処理範囲は、第4および第5の各処理範囲より広い。
【0071】
一実施形態では、第1のパラメータは、2次元または3次元の格子構造の個々の特徴からなる。このような一実施形態では、第1のパラメータは、限定することなく、個々の特徴である幅、高さ、長さ、最上部の隅の丸み、底部フッティング、または側壁角などのうち1つである。
【0072】
一実施形態では、第3のライブラリはシミュレートされたスペクトルを含む。このような一実施形態では、方法は、シミュレートされたスペクトルをサンプルスペクトルと比較するステップをさらに含む。
【0073】
本発明の別の実施形態によれば、機械アクセス可能記憶媒体は、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成する別の方法をデータ処理システムに行わせる、この媒体上に記憶された命令を有する。方法は、複数の処理範囲を有する第1のライブラリを生成するステップを含む。各処理範囲は、複数のパラメータのうち異なる1つに対応する。複数のパラメータのうち第1のパラメータに対して処理範囲を有する第2のライブラリを生成する。第2のライブラリの処理範囲は、複数のパラメータのうち第1のパラメータに対する第1のライブラリの処理範囲と異なるが、重複する。第2のライブラリを第1のライブラリにつなぎ合わせる。次いで、複数のパラメータの1つまたは複数の追加パラメータに対して、生成するステップおよびつなぎ合わせるステップを反復して、最終ライブラリを提供する。
【0074】
一実施形態では、最終ライブラリの各処理範囲は、第1のライブラリの複数の処理範囲の対応する処理範囲以上の広さである。一実施形態では、最終ライブラリは、シミュレートされたスペクトルを含み、方法は、シミュレートされたスペクトルをサンプルスペクトルと比較するステップをさらに含む。
【0075】
任意の適切なニューラルネットワークを使用して、フローチャート100および300に関連して説明した1つまたは複数の手法を行ってもよい。一例として、ニューラルネットワークは、誤差逆伝播アルゴリズムを使用する。ニューラルネットワークは、入力層、出力層、および、入力層と出力層の間の隠れ層を含む。入力層および隠れ層を、リンクを使用して接続する。隠れ層および出力層を、リンクを使用して接続する。しかしながら、ニューラルネットワークは、ニューラルネットワーク技術で一般に公知のさまざまな構成で接続された、任意の数の層を含むことができることを認識されたい。
【0076】
入力層は、1つまたは複数の入力ノードを含んでもよい。例示的一実装形態では、入力層内の入力ノードは、ニューラルネットワークの中に入力される、プロファイルモデルのプロファイルパラメータに対応する。したがって、入力ノードの数は、プロファイルモデルを特徴づけるために使用されるプロファイルパラメータの数に対応する。たとえば、プロファイルモデルが、2つのプロファイルパラメータ(たとえば、最上部および底部の最小線幅)を使用して特徴づけられる場合、入力層は2つの入力ノードを含み、第1の入力ノードは、第1のプロファイルパラメータ(たとえば、最上部の最小線幅)に対応し、第2の入力ノードは、第2のプロファイルパラメータ(たとえば、底部の最小線幅)に対応する。
【0077】
ニューラルネットワークでは、出力層は、1つまたは複数の出力ノードを含む。例示的な一実装形態では、各出力ノードは線形関数である。しかしながら、各出力ノードをさまざまなタイプの関数とすることができることを認識されたい。さらに、例示的な本実装形態では、出力層内の出力ノードは、ニューラルネットワークから出力される、シミュレートされた回折信号の次元に対応する。したがって、出力ノードの数は、シミュレートされた回折信号を特徴づけるために使用する次元の数に対応する。たとえば、シミュレートされた回折信号が、たとえば5つの異なる波長に対応する5つの次元を使用して特徴づけられる場合、出力層は5つの出力ノードを含み、第1の出力ノードは、第1の次元(たとえば第1の波長)に対応し、第2の出力ノードは、第2の次元(たとえば第2の波長)に対応するなどである。さらに、性能を高めるために、ニューラルネットワークは、シミュレートされた回折信号の別個の成分、および/またはシミュレートされた回折信号の成分の次元に基づき、複数のサブネットワークに分離することができる。
【0078】
ニューラルネットワークでは、隠れ層は、1つまたは複数の隠れノード含む。例示的な一実装形態では、各隠れノードは、シグモイド伝達関数または放射基底関数である。しかしながら、各隠れノードをさまざまなタイプの関数とすることができることを認識されたい。さらに、例示的な本実装形態では、隠れノードの数は、出力ノードの数に基づき決定される。より詳細には、隠れノードの数(m)は、所定の比(r=m/n)により出力ノードの数(n)に関係がある。たとえば、r=10であるとき、各出力ノードに対して隠れノードが10存在する。しかしながら、所定の比を、隠れノードの数に対する出力ノードの数の比(すなわち、r=n/m)とすることができることを認識されたい。さらに、所定の比に基づき隠れノードの初期数を決定した後に、ニューラルネットワーク内の隠れノードの数を調節することができることを認識されたい。さらに、ニューラルネットワーク内の隠れノードの数は、所定の比に基づくのではなく、経験および/または実験に基づき決定することができる。
【0079】
測定されたスペクトルの解析は、一般に、測定されたサンプルスペクトルを、シミュレートされたスペクトルと比較して、測定されたサンプルを最もよく記述する、モデルのパラメータ値を演繹するステップを伴う。たとえば、一実施形態では、第1の動作で、利用者が1セットの材料ファイルを定義して、測定されたサンプルの特徴が形成される1つまたは複数の材料の特性(たとえば、n、kの値)を指定する。
【0080】
第2の動作で、散乱測定法の利用者は、材料ファイルの1つまたは複数を選択して、測定すべき周期格子特徴に存在する材料の積層物に対応する材料の積層物を組み立てることにより、期待されるサンプル構造の公称モデルを定義する。このユーザ定義モデルは、測定されている特徴の形状を特徴づけるモデルパラメータの、たとえば厚さ、CD、SWA、HT、縁の粗さ、隅の丸み半径などの公称値を定義することにより、さらにパラメータ化されてもよい。2次元モデル(すなわちプロファイル)または3次元モデルを定義するかどうかに応じて、30〜50以上のこのようなパラメータを有することは珍しいことではない。
【0081】
パラメータ化されたモデルから、所与の1セットの格子パラメータ値に対してシミュレートされたスペクトルは、精密な回折モデリングアルゴリズム、たとえば厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis、RCWA)を使用して計算されてもよい。次いで、第3の動作で、あらかじめ定義された一致基準に測定された回折スペクトルを一致させる、シミュレートされたスペクトルに対応する最終プロファイルモデル(2次元に対する)を特徴づける1セットのパラメータ値に、パラメータ化されたモデルが収束するまで、回帰分析を行う。一致する、シミュレートされた回折信号に関連する最終プロファイルモデルは、モデルが生成された構造の実際のプロファイルを表すと想定される。
【0082】
次いで、第4の動作で、一致する、シミュレートされたスペクトル、および/または関連する、最適化されたプロファイルモデルを利用して、パラメータ化された最終プロファイルモデルの値に摂動を起こさせることにより、シミュレートされた回折スペクトルのライブラリを生成することができる。次いで、出来上がった、シミュレートされた回折スペクトルのライブラリを、製造環境で動作している散乱測定法測定システムにより利用して、その後測定された格子構造が仕様に従って製作されたかどうかを判定してもよい。ライブラリ生成には、いくつかのプロファイルの各々に対してシミュレートされたスペクトル情報を生成し、各プロファイルは1セットの1つまたは複数のモデル化されたプロファイルパラメータを含む、ニューラルネットワークなどの機械学習システムが含まれてもよい。ライブラリを生成するために、機械学習システム自体は、スペクトル情報のトレーニング・データ・セットに基づき何らかのトレーニングを受けなければならない場合がある。このようなトレーニングは計算負荷が高い場合がある、ならびに/または異なるモデルおよび/もしくはプロファイル・パラメータ・ドメインについて反復しなければならない場合がある。トレーニング・データ・セットのサイズに関する利用者の判断により、ライブラリを生成する計算負荷にかなりの効率の悪さが導入される場合がある。たとえば、過度に大きなトレーニング・データ・セットを選択することにより、トレーニングのために不要な計算が生じる場合があるが、不十分なサイズのトレーニング・データ・セットを用いたトレーニングにより、ライブラリを生成するために再トレーニングが必要となる場合がある。
【0083】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、機械学習システムをトレーニングする際に使用するトレーニング・データ・セットのサイズを自動的に決定することを含む。一般に、トレーニング・データ・セットは、データセットを特徴づける測定基準の収束に基づきサイズ設定され、最終解誤差の推定値にさらに基づいてもよい。トレーニング・データ・セットを増分で拡大し、試験して収束を識別し、ある種の実施形態では、このようなサンプルサイズが提供する最終解誤差を推定する。収束基準が満たされるまで、および/または最終解誤差の推定値がしきい値を満たすまで、増分拡大および試験を行う。
【0084】
本明細書で説明するトレーニング・マトリックス・サイズ設定法は、別個のトレーニングを必要としなくてもよいので、ニューラル・ネットワーク・トレーニング用の良好なトレーニング・データ・サンプル・セットは、迅速に、効果的に、最終解誤差を良好に制御して識別される。トレーニング・データ・サンプル・セットが識別されると、次いで、機械学習システムをトレーニングして、所望のターゲット関数情報を生成してもよい。特定の一実施形態では、機械学習システムをトレーニングして、散乱測定システムで測定される未知のサンプル(たとえば回折格子、またはウェーハの周期構造)のパラメータを演繹するために利用されてもよい、シミュレートされたスペクトル情報(たとえば回折信号)のライブラリを生成する。
【0085】
上記の手順は、本発明の実施形態の精神および範囲内でさまざまな状況の下で適用されてもよいことを理解されたい。たとえば、一実施形態では、上述の方法は、半導体、太陽光を利用したもの、発光ダイオード(LED)、または関連する製作工程で行われる。一実施形態では、上述の方法は、スタンドアロンで、または一体化された計測ツールで使用される。一実施形態では、上述の方法は、単一の、または複数の測定ターゲット回帰で使用される。
【0086】
このように、広い処理範囲の計測用ライブラリを生成する方法について開示した。本発明の一実施形態によれば、方法は、第1のパラメータに対して第1の処理範囲を有する第1のライブラリを生成するステップを含む。第1のパラメータに対して第2の処理を有する第2のライブラリを生成する。第2の処理範囲は、第1の処理範囲と重複している。第2のライブラリを第1のライブラリにつなぎ合わせて、第1のパラメータに対して第3の処理を有する第3のライブラリを生成する。第3の処理範囲は、第1および第2の各処理範囲より広い。