(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、携帯電話、PDAなどにおいて使用されるLCDにはバックライトユニット(BLU)が含まれており、その輝度と均一な照明機能を行う部品として導光板が備えられている。
【0003】
前記導光板は、熱可塑性樹脂の射出成形によって製造することができる。
【0004】
従来、導光板用熱可塑性樹脂として、ポリメチルメタクリレート樹脂や芳香族ポリカーボネート樹脂などが使用されたが、ポリメチルメタクリレート樹脂は、耐熱性が低いため、コンピュータ、携帯電話、PDAなどの機器の内部から発生する熱に脆弱であるという問題があり、芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的特性、電気的特性、耐候性に優れているが、光線透過率(輝度)、色調の均一性などが劣るという問題がある。
【0005】
そこで、特許文献1では、脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネートを導入して光線透過率(輝度)を改善しようとしたが、耐熱性が低下するという欠点がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本記載の末端変性ポリオキシアルキレングリコールは、下記化学式1
【0018】
(R
1、R
2は、C1〜C20のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、R
3は、水素またはメチル基であり、10≦n+m≦100であり、nとmは、0または正の整数である)で表されることを特徴とする。
【0019】
前記nは、一例として、1〜100の整数、または15〜50の整数である。
【0020】
前記mは、一例として、0〜99の整数、または12〜45の整数である。
【0021】
前記末端変性ポリオキシアルキレングリコールの2つの単位体の配列は、特に制限されず、一例として、ブロック、交互またはランダム共重合体であってもよい。
【0022】
前記末端変性ポリオキシアルキレングリコールは、一例として、数平均分子量が400〜8,000g/mol、500〜4,000g/mol、または1,000〜3,000g/molであってもよく、この範囲内で、ポリカーボネート樹脂に適用時に移行性が低く、透過率に優れるという効果がある。
【0023】
前記R
1、R
2は、一例として、炭素数が2〜20であるアルキル基、または炭素数が3〜10であるアルキル基であってもよく、この範囲内で、透過率及び加工性に優れるという効果がある。
【0024】
本記載のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂及び下記化学式1
【0026】
(R
1、R
2は、C1〜C20のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、R
3は、水素またはメチル基であり、10≦n+m≦100であり、nとmは、0または正の整数である)で表される末端変性ポリオキシアルキレングリコールを含むことを特徴とする。
【0027】
前記末端変性ポリオキシアルキレングリコールは、一例として、前記ポリカーボネート樹脂100重量部を基準として、0.05〜5重量部、0.1〜3重量部、0.1〜1.5重量部、または0.2〜1重量部含まれてもよく、この範囲内で、透過率及び加工性に優れるという効果がある。
【0028】
前記ポリカーボネート樹脂は、特に制限されないが、一例として、芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよく、この場合、導光板用途に適した物性を有する。
【0029】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジオール化合物及びカーボネート前駆体を含んで重合されたポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0030】
前記芳香族ジオール化合物は、一例として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、α,ω−ビス[3−(ο−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、ビスフェノールAである。
【0031】
前記カーボネート前駆体は、一例として、下記化学式2
【0033】
(X
1、X
2は、独立して、ハロゲン、ハロアルキル基、ハロシクロアルキル基、ハロアリール基、アルコキシ基またはハロアルコキシ基である)で表される化合物であり、この範囲内で、ポリカーボネート樹脂の本質的特性を付与するという効果がある。
【0034】
他の例として、前記カーボネート前駆体は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジ−m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン及びビスハロホルメートからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、トリホスゲンまたはホスゲンである。
【0035】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、一例として、分子量調節剤をさらに含んで重合されたものであってもよい。
【0036】
前記分子量調節剤は、一例として、モノ−アルキルフェノールである。
【0037】
前記モノ−アルキルフェノールは、一例として、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール及びトリアコンチルフェノールからなる群から選択された1種以上であり、好ましくは、para−tert−ブチルフェノールである。
【0038】
前記ポリカーボネート樹脂は、一例として、重量平均分子量が12,000〜40,000g/mol、13,000〜30,000g/mol、または14,000〜25,000g/molであり、この範囲内で、加工性及び透過率に優れた導光板を得ることができる。
【0039】
本記載のコポリカーボネート樹脂の製造方法は、一例として、界面重合方法であってもよく、この場合、常圧と低い温度で重合反応が可能であり、分子量の調節が容易であるという効果がある。
【0040】
前記界面重合方法は、一例として、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で芳香族ジオール化合物及びカーボネート前駆体を反応させる方法であってもよい。
【0041】
前記界面重合方法は、一例として、予備重合(pre−polymerization)後、カップリング剤を投入した後、再び重合させるステップを含むことができ、この場合、高分子量のポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0042】
前記界面重合に用いられるその他の物質は、ポリカーボネートの重合に用いることができる物質であれば特に制限されず、その使用量も必要に応じて調節することができる。
【0043】
前記酸結合剤は、一例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、またはピリジンなどのアミン化合物である。
【0044】
前記有機溶媒は、通常、ポリカーボネートの重合に用いられる溶媒である場合であれば特に制限されず、一例として、メチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素であってもよい。
【0045】
前記界面重合は、一例として、反応の促進のために、トリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドなどの3次アミン化合物、4次アンモニウム化合物、4次ホスホニウム化合物などのような反応促進剤をさらに使用することができる。
【0046】
前記界面重合の反応温度は、一例として、0〜40℃、反応時間は、一例として、10分〜5時間であり、反応中のpHは、一例として、9以上または11以上に維持することが好ましい。
【0047】
前記界面重合方法は、分子量調節剤をさらに含んで重合させる方法であってもよい。
【0048】
前記分子量調節剤は、一例として、重合開始前、重合開始中または重合開始後に投入することができる。
【0049】
本記載のポリカーボネート樹脂組成物は、一例として、300℃、1.2kgの重量でASTM D1238で測定した溶融指数(MI)が、10〜300g/10分、15〜260g/10分、または30〜200g/10分であってもよく、この範囲内で、加工性に優れ、導光板用途に適した物性を有するという効果がある。
【0050】
本記載のポリカーボネート樹脂組成物は、一例として、15cmの厚さで測定した透過率が最小77%以上、81%以上または83%以上であり、この場合、導光板用途に適するという効果がある。
【0051】
前記ポリカーボネート樹脂組成物は、一例として、酸化防止剤、滑剤、蛍光増白剤及び顔料からなる群から選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0052】
本記載の導光板は、前記ポリカーボネート樹脂組成物で製造されることを特徴とする。
【0053】
前記導光板は、一例として、前記ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形あるいは押出成形して製造することができる。
【0054】
以下、本記載の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、下記の実施例は本記載を例示するものに過ぎず、本記載の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変形及び修正が可能であるということは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然なものである。
【0057】
20Lのガラス(Glass)反応器にビスフェノールA(BPA)978.4g、NaOHの32%水溶液1,620g、蒸留水7,500gを入れ、窒素雰囲気でBPAが完全に溶解したことを確認した後、メチレンクロライド3,650g、p−tert−ブチルフェノール(PTBP、p−tert−butylphenol)49.7gを投入して混合した。これに、トリホスゲン515gを溶解させたメチレンクロライド溶液4,165g(メチレンクロライド:3,650g)を1時間滴下した。このとき、NaOH水溶液をpH12に維持した。滴下完了後、15分間熟成し、トリエチルアミン10gをメチレンクロライドに溶解させて投入した。15分後、1Nの塩酸水溶液でpHを1に合せた後、蒸留水で3回水洗した後、メチレンクロライド相を分離した後、メタノールに沈殿させて、粉末状のポリカーボネート樹脂(PC−1)を得た。
【0059】
前記製造例1において、PTBPを41g投入したこと以外は、前記製造例1と同様の方法で実施して粉末状のポリカーボネート樹脂(PC−2)を得た。
【0061】
2LのThree−neck Flakeに、分子量1,000であるPolypropylene glycol(PPG)1kgとKOH1g(0.1wt%)を投入した後、N
2雰囲気で攪拌(stirring)しながら80℃まで温度を上げた。その後、Butylglycidyl ether(BGE)300gを投入して2時間(hr)反応させた後、25℃に温度を下げた後、リン酸を投入して中和させ、残留物は減圧蒸留して除去することで、BGE−PPG1を製造した。このとき、BGE−PPG1の収率は92%であった。
【0063】
前記製造例3において、分子量2,000g/molであるPolypropylene glycol(PPG)1.2kg、及びBGE180gを使用したこと以外は、前記製造例3と同様の方法で実施してBGE−PPG2を製造した。このとき、BGE−PPG2の収率は91%であった。
【0065】
前記製造例3において、分子量2,000g/molであるPolypropylene glycol(PPG)1.2kg、及び2−Ethylhexyl glycidyl ether(EHGE)253gを使用したこと以外は、前記製造例3と同様の方法で実施してEHGE−PPGを製造した。このとき、EHGE−PPGの収率は88.7%であった。
【0067】
下記の表1に記載された物質を、下記の表2に提示した組成比に従って同方向二軸押出機(スクリュー直径27mm、L/D=48)で溶融混練して、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを製造した。製造されたペレットを乾燥させた後、射出成形機を用いて試片を作製した。ここで、全ての組成物には酸化防止剤(Irgafos 168)を一定量(500ppm)投入し、通常の技術者に自明な一般的な事項は、その記載を省略した。
【0071】
前記実施例1〜6及び比較例1〜5で製造されたポリカーボネート樹脂組成物の試片の特性を下記の方法で測定し、その結果を下記の表3に示した。
【0072】
*重量平均分子量:PC StandardにしてGPC方法で測定した。
*数平均分子量:GPC方法で測定した。
*溶融指数(MI):ASTM D1238方法に準拠して300℃、1.2kgの条件下で測定した。
*耐熱性(ASTM D1925):横×縦×厚さ=60mm×40mm×3mmの試片を250℃及び320℃でそれぞれ射出成形して、YI値を比較した。
*長波長光透過率(T%)及び長波長光色調(YI):横×縦×厚さ=150mm×80mm×4mmの試片を射出成形して、Hitachi社のspectrophotometer U−4100で厚さに対して直角方向に照射して、その透過率(長波長光透過率)及び色調安定性(長波長光色調)を測定した。
【0074】
前記表3に示したように、本記載のポリカーボネート樹脂組成物(実施例1〜6)は、本発明に係る末端変性ポリオキシアルキレングリコールを含まないポリカーボネート樹脂組成物(比較例1〜5)と比較して、加工性、耐熱性、色調の均一性及び透過率がいずれも優れていることが確認できた。