【実施例】
【0045】
以下、製造例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0046】
〔製造例1〕キンモクセイ花部抽出物の製造
キンモクセイの花部の粗粉砕物150gに50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比=1:1)1500mLを加え、穏やかに攪拌しながら80℃にて2時間保ち、熱時濾過した。続いて、残渣に50質量%エタノール1500mLを加え、穏やかに攪拌しながら80℃にて2時間保ち、熱時濾過した。得られた濾液を合わせて減圧下にて濃縮し、減圧乾燥機で乾燥してキンモクセイ花部抽出物(71.4g,試料1)を得た。
【0047】
〔製造例2〕アクテオシドの製造
製造例1により得られたキンモクセイ花部抽出物(試料1)8.9gをクロロホルム/メタノール/水=10:5:1の混合溶液に溶解し、シリカゲル(商品名:シリカゲル60,メルク社製)を充填したガラス製のカラム上部より流入して、シリカゲルに吸着させた。ガラス製のカラムに移動層としてクロロホルム/メタノール/水=10:5:1を流し、その溶出液を集め、溶媒を留去して、精製物(2.5g,試料2)を得た。
【0048】
上記のようにして精製して得られた精製物について、マススペクトル分析、
1H−NMR分析及び
13C−NMR分析を行った。かかる分析結果を下記に示す。
【0049】
<マススペクトル(ESI−MS)>
[M−H]
− m/z 623(理論値:C
29H
36O
15−H=623)
[M+Na]
+ m/z 647(理論値:C
29H
36O
15+Na=647)
【0050】
<
1H−NMRケミカルシフトδ(帰属水素)>
6.69 (1H, d, J=2.0 Hz, H-2), 6.67 (1H, d, J=8.1 Hz, H-5), 6.55 (1H, dd, J=2.0, 8.1Hz, H-6), 2.78 (2H, t-like, H-7), 4.01 (1H, overlapped, H-8a), 3.70 (1H, overlapped, H-8b), 7.05 (1H, d, J=2.2 Hz, H-2’), 6.77 (1H, d, J=8.3 Hz, H-5’), 6.94 (1H, dd, J=2.2, 8.3Hz, H-6’), 7.58 (1H, d, J=15.9 Hz, H-7’), 6.27 (1H, d, J=15.9 Hz, H-8’), 4.36 (1H, d, J=7.8Hz, GlcH-1), 3.39 (1H, dd, J=7.8, 8.1Hz, GlcH-2), 3.80(1H, br.t, J=9.0 Hz, Glc H-3), 4.88 (1H, br.t, J=9.2 Hz, Glc H-4), 3.58 (1H, overlapped, Glc H-5), 3.48 (2H, overlapped, Glc H-6), 5.18( 1H, br.s, Rha H-1), 3.90 (1H, m, Rha H-2), 3.58 (2H, overlapped, Rha-H-3 and Rha H-5), 3.30(1H, overlapped, Rha-H-4), 1.08.(3H, d, J=6.1 Hz, Rha H-6)
【0051】
<
13C−NMRケミカルシフトδ(帰属炭素)>
131.1(s, C-1), 116.1(d, C-2), 146.5(s, C-3), 144.3(s, C-4), 116.8(d, C-5), 121.0(d, C-6), 36.4(t, C-7), 72.0(t, C-8), 127.3(s, C-1’), 114.9(d, C-2’), 145.8(s, C-3’), 149.4(s, C-4’), 116.2(d, C-5’), 122.9(d, C-6’), 147.7(d, C-7’), 114.4(d, C-8’), 167.9(s, C-9’), 103.9(d, Glc C-1), 75.9(d, Glc C-2), 81.4(d, Glc C-3), 70.7(d, Glc C-4), 75.8(d, Glc C-5), 62.1(t, Glc C-6), 102.7(d, Rha C-1), 72.1(d, Rha C-2), 71.8(d, Rha C-3), 73.5(d, Rha C-4), 70.2(d, RhaC-5), 18.3(q, Rha C-6)
【0052】
以上の分析結果から、キンモクセイ花部抽出物から得られた化合物が、下記式(I)で表されるアクテオシド(Acteoside)であることが確認された。
【0053】
【化2】
【0054】
〔試験例1〕AGEs形成抑制作用試験
製造例1及び2により得られたキンモクセイ花部抽出物(試料1)、及びアクテオシド(試料2)について、以下のようにして最終糖化生成物(AGEs)の形成抑制作用を試験した。
【0055】
96ウェルのI型コラーゲンコートプレート(旭硝子社製)に、PBS緩衝液にて調製した0.2MのD(−)−リボース及び被験試料(試料1及び2,試料濃度は表1を参照)の混合液、陰性対照としてPBS緩衝液のみ、又は陽性対照としてPBS緩衝液にて調製した0.2M D(−)−リボース溶液をそれぞれ100μLずつ各ウェルに添加した後、37℃で2週間静置し、AGEsを形成させた。2週間後、抗AGEs抗体(トランスジェニック社製)を用いたELISA法によりAGEs量を測定し、AGEs形成抑制作用を評価した。得られた結果から、下記式によりAGEs形成抑制率(%)を算出した。
【0056】
AGEs形成抑制率(%)={(B−C)/(B−A)}×100
式中、Aは「陰性対照の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「陽性対照の波長405nmにおける吸光度」を表し、Cは「被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、試料1及び2はいずれも濃度依存的にAGEsの形成を抑制した。したがって、キンモクセイ花部抽出物、及びアクテオシドが優れたAGEs形成抑制作用を有していると認められた。
【0059】
〔試験例2〕AGEs分解促進作用試験
製造例1及び2により得られたキンモクセイ花部抽出物(試料1)、及びアクテオシド(試料2)について、以下のようにして最終糖化生成物(AGEs)の分解促進作用を試験した。
【0060】
96ウェルのI型コラーゲンコートプレート(旭硝子社製)に、PBS緩衝液にて調製した0.2MのD(−)−リボース溶液、又は陰性対照としてPBS緩衝液のみをそれぞれ100μLを添加し、37℃で2週間静置し、AGEsを形成させた。2週間後、PBS緩衝液にて調製した被験試料(試料1及び2,終濃度は表2を参照)の溶液、陽性対照としてPBS緩衝液のみ、又は陰性対照として引き続きPBS緩衝液のみをそれぞれ100μLずつ添加し、さらに37℃で2週間静置した。反応終了後、抗AGEs抗体(トランスジェニック社製)を用いたELISA法によりAGEs量を測定し、AGEs分解促進作用を評価した。得られた結果から、下記式によりAGEs分解促進率(%)を算出した。
【0061】
AGEs分解促進率(%)={(B−C)/(B−A)}×100
式中、Aは「陰性対照の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「陽性対照の波長405nmにおける吸光度」を表し、Cは「被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2に示すように、試料1及び2はいずれもAGEsの分解を促進した。したがって、キンモクセイ花部抽出物、及びアクテオシドが優れたAGEs分解促進作用を有していると認められた。