特許第5969904号(P5969904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969904
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ポテトサラダの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/12 20160101AFI20160804BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20160804BHJP
【FI】
   A23L19/12 A
   A23L35/00
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-257968(P2012-257968)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-103871(P2014-103871A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】辻 麻梨子
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−103873(JP,A)
【文献】 特開2002−101840(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3119413(JP,U)
【文献】 特開2007−020571(JP,A)
【文献】 特開2002−010745(JP,A)
【文献】 特開2003−180310(JP,A)
【文献】 特開平08−112075(JP,A)
【文献】 米国特許第05204135(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CiNii
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖を固形分換算で5〜60%含有する調味液を、前記蒸煮し破砕したじゃがいも100部に対して1〜20部含浸させ、
次いで、品温60〜80℃の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、
その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と乳化状調味料とを和えることを特徴とするポテトサラダの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを製造することができる、ポテトサラダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポテトサラダは、数あるサラダの種類の中で最もポピュラーなものの一つである。またスーパーマーケット、コンビニエンスストアーの他にもファミリーレストラン、ファーストフード店、持ち帰り弁当店等の外食産業の目覚しい発展に伴い、その販売数量が増えている。このような工業的に製造されるポテトサラダは、家庭で作る場合と異なり惣菜加工メーカーで一度に多量に製造される。その製造方法は、例えば、特許文献1(特開昭58−63360号公報)、特許文献2(特開平5−76321号公報)、特許文献3(特開平5−328948号公報)に開示されているように、通常、蒸煮し破砕したじゃがいもを10〜15℃に冷却し、これに予め準備していた具材とマヨネーズを加えて和えている。
【0003】
しかしながら、家庭で作る手作りのポテトサラダは、口に入れて咀嚼した時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するのに対し、従来の工業的に製造されるポテトサラダは、蒸したじゃがいも本来の風味が失われ、またモソモソとした食感を有し、手作りのポテトサラダに較べ、食味・食感が劣るという問題があった。そこで、このような問題に対し、例えば、特許文献4(特許第4052792号)、特許文献5(特開2002−165585)、といった工業的なポテトサラダの製造方法が検討されている。
【0004】
ところで、近年では販売店等において、消費期限切れによる食品の廃棄が多数発生していることから、より長い消費期限の設定が求められている。そして、前述した方法でポテトサラダを製造し、冷蔵で数日の保存を行った場合には、モソモソとした食味が発生してしまい、好ましい状態を保持することが困難であった。このことから、作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダが強く要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−63360号公報
【特許文献2】特開平5−76321号公報
【特許文献3】特開平5−328948号公報
【特許文献4】特許第4052792号公報
【特許文献5】特開2002−165585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを製造することができる、ポテトサラダの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべく配合原料や製造工程等について鋭意研究を重ねた結果、蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖を含有する調味液を含浸させ、次いで、熱い状態の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と乳化状調味料とを和えることでポテトサラダを製した。その結果、意外にも作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダが得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖を含有する調味液を含浸させ、次いで、熱い状態の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と乳化状調味料とを和えることを特徴とするポテトサラダの製造方法、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを提供することができる。したがって、惣菜売場などの販売形態における消費期限の延長が実現し、その結果、幅広い消費者への供給が可能となり、ポテトサラダの更なる需要の拡大が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0011】
<本発明の特徴>
本発明のポテトサラダの製造方法は、蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖を含有する調味液を含浸させ、次いで、熱い状態の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と乳化状調味料とを和えることを特徴とする。これにより、作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを提供することができる。
【0012】
1.じゃがいも破砕物に対し調味液を含浸する工程
<本発明に用いる原料じゃがいも>
本発明のポテトサラダの製造方法において、ポテトサラダに用いる原料のじゃがいもとしては、特に限定されないが、種々の品種のじゃがいもを用いることができる。じゃがいもとしては、生での水分含量が76〜82%のものが挙げられる。
【0013】
<じゃがいも破砕物>
本発明のじゃがいも破砕物は、洗浄したじゃがいもを皮付きのまま蒸煮し、熱いうちに皮を剥いたもの、あるいは皮を剥き、必要に応じ適当な大きさにカットした後、蒸煮する等したものを、破砕することにより製造することができる。蒸煮の程度としては、具体的には、例えば、蒸煮機で30〜90分間蒸煮し、品温が80〜100℃程度となるようにすると良い。また、カットしたじゃがいもを蒸煮する場合、その大きさは、ホールのじゃがいもの大きさによるが、例えば、ダイスカットで、2cm程度以上とすることができる。これより小さくカットとすると、蒸煮時間は短縮されるものの、じゃがいもの旨味が流出し美味しいポテトサラダが得られ難いためである。
【0014】
じゃがいもを破砕する方法としては、任意の方法を用いることができるが、例えば、蒸煮したじゃがいもを目開き10〜40mm程度のメッシュに押圧し破砕することができる。破砕したじゃがいもは、1〜4cmの大きさの塊状物が少なくとも20%以上含有させることができ、さらに、30%以上含有させることができる。塊状物が20%より少なかったり、あるいは1cmより小さい、または4cmより大きいと、例えば、その後の調味液やマヨネーズと和える過程で塊状物が破砕されてしまい、ポテトサラダ特有の食味が得られにくいため好ましくない。ここで1〜4cmの大きさの塊状物とは、塊状物の一番大きい幅の部分が1〜4cmであることを意味する。なお、カット後、蒸煮したじゃがいもにおいては、その大きさが1〜4cm程度の場合は、破砕工程を省略してもよく、本発明の「蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物」に含まれる。
【0015】
<調味液の含浸>
本発明においては、上述した蒸煮し破砕した熱い状態のじゃがいも破砕物に対し、オリゴ糖を含有する調味液を含浸させ、含浸済みじゃがいも破砕物とする。ここで、調味液を含浸させる際のじゃがいも破砕物の品温は、60〜95℃であり、より好ましくは、75〜95℃とすることができる。じゃがいもの品温が前記範囲外の状態で調味液を混合した場合は、十分な量のオリゴ糖がじゃがいも破砕物に含浸せず、その結果、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを製造することができない。なお、含浸は、蒸煮し破砕した熱い状態のじゃがいも破砕物に、調味液をかけたり、調味液に熱い状態のじゃがいも破砕物を浸漬させる等により行うことができる。
【0016】
<調味液に含有するオリゴ糖>
じゃがいも破砕物に含浸させる前記調味液として、オリゴ糖を含有する調味液を使用する。ここで、用いるオリゴ糖は、グルコースを単位として3〜10分子が結合した糖類であり、例えばα−1.4グルコシド結合したマルトオリゴ糖などを挙げることができる。また、オリゴ糖の形態も、市販されているものであれば、特に限定するものではないが、液状、シロップ状、粉末状、顆粒状、スラリー状のものなどを用いることができる。なお、本発明に用いる3〜10糖類のオリゴ糖は、得られたポテトサラダを冷蔵保存後において咀嚼した場合であっても、クリーミーな食味が得られるようにする点から、好ましくは3〜5糖類が糖組成の40%以上、より好ましくは3〜4糖類が糖組成の40%以上を占めるオリゴ糖を用いると良い。
【0017】
<調味液中のオリゴ糖含有量>
調味液中のオリゴ糖含有量は、固形分換算で、好ましくは5〜60%とすることができ、さらに好ましくは10〜50%とすることができる。調味液中のオリゴ糖含有量が前記範囲より多い場合には、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを得られにくいほか、ポテトサラダとしての食味に影響を及ぼすため好ましくない。一方、前記範囲より低い場合にも、冷蔵保存後においてもクリーミーな食味を有するポテトサラダは得られにくい。
【0018】
<調味液中の油脂含有量>
本発明に用いる調味液は、含浸済みじゃがいも破砕物を真空冷却処理する次工程において、水分を減少させ難い場合があることから、調味液中の油脂含有量を10%以下とすると良い。
【0019】
<調味液の添加量>
調味液の量は、前記蒸煮し破砕したじゃがいも100部に対し、1〜20部とすることができ、3〜15部とすることができる。調味液の量が前記範囲より少ない場合には、じゃがいも全体に均一に添加することが難しく、一方、前記範囲より多い場合には、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを得られにくい。なお、冷蔵保存後においてもクリーミーな食味を有するポテトサラダを製造する本願発明の効果が得られやすい点から、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の水分含量は、原料じゃがいもの水分含量や調味液の量にもよるが、好ましくは70〜85%とすることができる。
【0020】
2.じゃがいも破砕物を真空冷却処理する工程
<真空冷却処理>
熱い状態で調味液を含浸させた前記含浸済みじゃがいも破砕物は、真空冷却処理を施す。この処理により、調味液含浸後と比較して水分含量を7%以上減少させて水分含量を65〜75%に調整し、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物とすることができる。なお、冷蔵保存後においてもクリーミーな食味を有するポテトサラダを製造する本願発明の効果が得られやすい点から、前記水分含量の減少率は好ましくは8%以上、より好ましくは9%以上であることができる。
これに対し、水分含量の減少率が7%より少ない場合は、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有するポテトサラダを得られにくいため、好ましくない。なお、真空冷却処理の方法としては、常法により真空冷却機を用いて行うことができ、例えば、ステンレス製のバットに適量のじゃがいも破砕物を充填後、真空冷却装置を用いて一度に15℃以下に冷却する方法などが挙げられる。なお、理由は定かではないが、真空冷却処理を施して上記水分含量に調整することにより、じゃがいも破砕物全体が適度に締まり、冷蔵保存後においてもクリーミーな食味を有するポテトサラダを製造する本願発明の効果が得られやすくなるものであると考えられる。
【0021】
<じゃがいも破砕物の水分含量測定方法>
ここで、じゃがいも破砕物の水分含量は、減圧加熱乾燥法(「食品衛生検査指針」厚生労働省監修、社団法人
日本食品衛生協会、2005年3月31日発行)により測定することができる。
【0022】
3.乳化状調味料と和える工程
<乳化状調味料との混合>
上述のようにして得られた前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物は、次いで乳化状調味料と和える。ここで乳化状調味料とは、通常マヨネーズと称されるものは勿論のこと、サラダドレッシングと称されるもの等も含まれる。また、前記混合工程においては具材と混合することができる。具材とは、ポテトサラダに用いられているものであれば、特に制限はなく、例えば、にんじん、きゅうり、キャベツ、レタス、玉ねぎ、コーン、ハム、コンビーフ、ツナ肉、キクラゲ等が挙げられる。また配合割合は、従来のポテトサラダと同程度であり、具体的には、蒸煮したじゃがいも破砕物に調味液を含浸させて水分含量を65〜75%に調整したものが40〜80部、具材が10〜30部、乳化状調味料が10〜30部とすると良い。
【0023】
<その他の原料>
また、その他の調味液原料については、ポテトサラダの風味を損なうものでなければ特に制限はなく、例えば、食塩水、食酢、卵黄、糖液、ブイヨン、アミノ酸溶液等の1種又は2種以上の混合調味液などが挙げられる。また、必要に応じて調味液にグリシン、酢酸ナトリウム、卵白リゾチーム、プロタミン、ポリリジン等の静菌剤を含有させても良い。
【0024】
<容器詰めの形態>
以上の方法により製されたポテトサラダは、プラスチック製の蓋付トレイ容器やポリ袋等の容器に充填し、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売される、業務用のポテトサラダとして供給することができる。
【0025】
以下、本発明のポテトサラダの製造方法について、実施例、及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
皮を剥き芽取り済みのじゃがいも120kg(原料じゃがいもの水分含量80%)を100℃で60分間蒸煮した。この蒸煮したじゃがいもを目開き30mmのメッシュに押圧して破砕し、1〜4cmの破砕物を約50%含有するものが得られた。この蒸煮し破砕した熱い状態(品温90℃)のじゃがいも100kgをミキサーに移し、塊状物が崩れない速度でゆっくり撹拌させながら下記の配合割合の調味液8kgを全体に添加し全体が均一となるように撹拌させて調味液を含浸させることにより、含浸済みじゃがいも破砕物を得た。なお、調味液中のオリゴ糖含有量は固形分換算で20%、油脂含有量は1.5%、蒸煮し破砕したじゃがいも100部に対する調味液の混合量は8部であった。また、調味液含浸後のじゃがいも破砕物は、品温80℃、水分含量は82%であった。
【0027】
[表1]
<調味液の配合>
オリゴ糖(3〜4糖類が糖組成の40%以上) 20%
生卵黄 5%
食塩 3%
醸造酢(酸度5%) 3%
清水 残余
計 100%
【0028】
調味液含浸後の前記じゃがいも破砕物は、ステンレス製のバットに高さが10cmとなるように充填後、直ちに真空冷却器に移し、次いで熱い状態(品温80℃)の前記じゃがいも破砕物に真空冷却処理を施すことにより、真空冷却済みじゃがいも破砕物を得た。真空冷却処理に要した時間は30分であり、処理後のじゃがいも破砕物の水分含量は72%、品温は15℃であった。また、調味液含浸済みじゃがいも破砕物と比較して、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物は水分含量が10%減少した。次に、この真空冷却処理済みじゃがいも70kgをミキサーに移し、撹拌させながら市販のマヨネーズ(キユーピー(株)製)15kg、水煮した1cm大の薄切りのにんじん6kg、薄切りの玉ねぎ3kg及び軽く塩もみした輪切りのきゅうり6kg、食塩0.5kgを順次添加してほぼ均一となるまで和えた。得られたポテトサラダ200gをプラスチック製の密封トレー容器に充填し、10℃で冷蔵保存した。
【0029】
[比較例1]
実施例1において、蒸煮後のじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖を含有する調味液を含浸させるのではなく、蒸煮後のじゃがいも破砕物を品温15℃まで冷却した後に調味液と混合した以外は、実施例1と同様の方法でポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
【0030】
[比較例2]
実施例1において、調味液に配合するオリゴ糖を清水に置き換えた以外は、同様の方法でポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
【0031】
[比較例3]
実施例1において、調味液混合後のじゃがいも破砕物に対して、真空冷却処理による水分含量の減少工程を行わずに、15℃の冷蔵庫で2時間冷却処理を施した以外は同様にポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
【0032】
[試験例1]
実施例1、並びに比較例1乃至3のポテトサラダの製造工程において、調味液含浸済みじゃがいも破砕物の水分含量を測定した。また、真空冷却処理を施したものについては、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量を測定し、調味液含浸後と比較した水分含量が減少率を測定した。さらに、得られたポテトサラダを冷蔵(10℃)で4日保存後の食味について、パネラー10名が下記の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
【0033】
[表2]
【0034】
≪評価基準≫
ポテトサラダの食味の評価基準
A:じゃがいも咀嚼時に乳化状調味料と一体となったクリーミーな食味を有しており、大変好ましいものであった。
B:クリーミーな食味がやや不足しているが、問題のない程度であり好ましい。
C:クリーミーな食味が損なわれており、好ましくない。
【0035】
表2より、実施例1の製造方法により製したポテトサラダは、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有しており、大変好ましいことが理解される。これに対して、冷却後のじゃがいも破砕物に調味液を混合した場合(比較例1)、調味液にオリゴ糖を配合しない場合(比較例2)、調味液混合後のじゃがいも破砕物に対し、真空冷却処理による水分含量の減少工程を行わない場合(比較例3)は、冷蔵保存後に、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味が損なわれており、好ましくなかった。
【0036】
[試験例2]
実施例1において、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の品温をそれぞれ60℃、75℃に変更し、さらに、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の真空冷却処理による水分含量の減少工程において、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量が表3に示す数字となるように真空冷却処理条件を変えた以外は同様にして2種類のポテトサラダを製造した。なお、真空冷却処理後のじゃがいも破砕物の水分含量が表3に示す数字となるように真空冷却処理条件をそれぞれ調整した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例2、3)。結果を表3に示す。
【0037】
[試験例3]
実施例1において、調味液中のオリゴ糖含有量を下記の表3に準じて変更した以外は同様にして2種類のポテトサラダを製した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例4、5)。結果を表3に示す。
【0038】
[試験例4]
実施例1において、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の真空冷却処理による水分含量の減少工程において、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量が表3に示す数字となるように真空冷却処理条件を変えた以外は同様にして4種類のポテトサラダを製した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例6〜9)。結果を表3に示す。
【0039】
[表3]
【0040】
表3の試験例2〜4より、実施例3〜9で得られたポテトサラダは、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有し、大変好ましいことが理解される。
【0041】
[実施例10]
実施例1において、じゃがいも破砕物に対する調味液の添加量を3%に変更し、さらにオリゴ糖として3〜5糖類が糖組成の40%以上のオリゴ糖を用いる以外は、同様の方法でポテトサラダを製造した。次いで、実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存した。
【0042】
[実施例11]
実施例1において、じゃがいも破砕物に対する調味液の添加量を15%に変更する以外は、同様の方法でポテトサラダを製造した。次いで、実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存した。
【0043】
実施例10および実施例11で得られたポテトサラダの食味を評価したところ、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となったクリーミーな食味を有し、大変好ましかった。