(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面を被覆する有機物が酢酸もしくは没食子酸であり、前記有機物の被覆量が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、SEM像から算出した厚み方向の粒子径の平均値(dSEM−T)が10〜200nmであり、長手方向の粒子径の平均値(dSEM−L)が60〜2,000nmであり、前記長手方向の粒子径の平均値(dSEM−L)と前記厚み方向の粒径の平均値(dSEM−T)の比(dSEM−L/dSEM−T)であるアスペクト比が2〜100であることを特徴とする平板状の銀微粒子粉末。
水溶性の銀化合物と水溶性の錯化剤と、ソルビン酸カリウムもしくは没食子酸水和物からなる添加剤とを水に加え、アスコルビン酸もしくはその誘導体あるいは異性体、ギ酸、シュウ酸、アセトアルデヒド、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、二糖類であるマルトース(麦芽糖)、セロビオースから選択される1つの還元剤を添加して請求項1に記載された平板状の銀微粒子を生成させる、銀粒子粉末の製造方法。
表面を被覆する有機物が酢酸若しくは没食子酸であり、前記有機物の被覆量が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、SEM像から算出した厚み方向の粒子径の平均値(dSEM−T)が10〜200nmであり、長手方向の粒子径の平均値(dSEM−L)が60〜2,000nmであり、前記長手方向の粒子径の平均値(dSEM−L)と前記厚み方向の粒径の平均値(dSEM−T)の比(dSEM−L/dSEM−T)であるアスペクト比が2〜100であることを特徴とする平板状の銀微粒子粉末を含む銀ペースト。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、平板状の銀微粒子、平板状の銀微粒子の製造方法および導電性ペーストの最良の形態に関して説明する。
【0018】
<平板状の銀微粒子>
本発明における平板状の銀微粒子は、炭素数が2〜10の有機物で表面を被覆する。炭素数が10を超えるような高分子の有機物で被覆をしてしまうと、導電膜を形成する際に有機物を低温にて熱分解させることが難しくなる。結果、十分に抵抗値を下げることが出来ず好ましくない。表面を被覆する有機物は、好ましくは炭素数が2〜8、更に好ましくは炭素数が2〜6の有機物である。また、炭素数の少ない有機物であっても、被覆量が多くなってしまうと抵抗値を下げられないという前述したような問題が生じてしまう。被覆量については3.0質量%以下で0.1質量%以上が良く、好ましくは2.0質量%以下で0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以下で0.1質量%以上ある。
【0019】
また、本発明における平板状の銀微粒子は、d
SEM−Tが10〜200nmである。厚み方向の粒子径が変化すると、相対的に粒子の長手方向の大きさも変化するため、この範囲を外れると前記したようにペーストの粘度や充填性で不具合が生じてしまう。なお、d
SEM−Tの値としてより好ましくは、10〜190nmである。また、ここで「長手方向の大きさ」とは板状形状における板面部分の対角線のうちで、最も長く観測される長さをいう。
【0020】
更に、本発明における平板状の銀微粒子は、粒子のアスペクト比(d
SEM−L/d
SEM−T)が2〜100であることが好ましく、3〜50であることがより好ましい。アスペクト比がこの範囲にある平板状の銀微粒子と市販の銀粒子を混合することで、塗布膜における充填性が良くなり比抵抗を下げるのに有効である。また、接触面積が増加することにより、接触抵抗を下げるのにも有効となる。この時平板状の銀微粒子は、d
SEM−Lが60〜2,000nmであり、より好ましくは105〜1,900nmである。
【0021】
<平板状の銀微粒子の製造方法>
本発明における平板状の銀微粒子の製造法は、湿式還元法を採用しており、銀イオン分散液の調液工程、銀の還元工程、銀粒子の洗浄工程、銀粒子の乾燥工程によって平板状の銀微粒子を得る。以下に、本発明における銀微粒子の製造方法について詳細に説明する。
【0022】
(銀イオン分散液の調液工程)
本工程では、銀化合物、錯化物、炭素数が3〜10である有機物、を混合して銀イオン分散液を得る。本工程で用いられる物質について以下で詳細に説明をする。
【0023】
(銀化合物)
コストや安全性といった観点から本反応は水中で行われる事が好ましく、原料となる銀化合物も水溶性であると、反応の均一性から見れば好ましい。具体的には、水に対する溶解性を示す銀化合物としては硝酸銀、酢酸銀などが例示できるが、溶解されやすさからみて、硝酸銀が好ましい。また、ただし、銀そのものを酸で溶解した溶液を利用してもよい。
【0024】
(錯化剤)
錯化剤とは、金属イオンと結合して錯イオンを形成させるものをいう。錯化剤を用いる事により、安定に平板状の銀微粒子を生成する事が出来る。また、反応液を酸性側にする事により、粒子の形状を平板状に調整することが容易となる。そのため、水溶液中で酸性の錯化剤を使用することが好ましい。こうした錯化剤としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、蓚酸や、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのカルボン酸或いはオキシカルボン酸系の錯化剤、またEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)、IDA(イミノニ酢酸)、NTA(ニトリロ3酢酸)等のアミンカルボン酸系の錯化剤といったものを例示することができる。
【0025】
(被覆物用有機物)
炭素数3〜10である有機物は、還元析出される銀微粒子の立体障害として働き、粒子同士が凝集するのを防止する。炭素数が1、2では、立体障害としての働きが十分ではなく粒子が粗大化してしまう。一方、炭素数が10より大きくなってしまうと、有機物を低温にて熱分解させることが難しくなるため、導電性膜に成形した時に十分に抵抗値を下げる事が出来ず好ましくない。好ましくは炭素数3〜8、更に好ましくは炭素数が3〜6の有機物である。
【0026】
(銀の還元工程)
本工程では、前記調液工程において作製した銀イオン分散液に対し、還元剤を添加する事により銀微粒子を得る。本工程で用いられる還元剤について詳細に説明する。
【0027】
(還元剤)
均一な平板状の粒子を得るためには還元力の弱い還元剤を用いる必要がある。具体的には、有機物からなる還元剤であることが好ましい。さらに具体的にはアルデヒド基を有するような有機物であるギ酸、シュウ酸、アスコルビン酸、アセトアルデヒド、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、二糖類であるマルトース(麦芽糖)、セロビオー
スといったものが例示できる。
【0028】
(銀微粒子の回収および洗浄工程)
還元工程を経て得られた銀微粒子には、被覆されていない過剰の有機物が含有されている為、粒子を回収後に有機物を洗浄する必要がある。洗浄溶媒としては、純水を用いる事が好適である。回収および洗浄の方式としては、デカンテーションやフィルタープレスなどが上げられるがこれらに限定をするわけではない。
【0029】
(銀微粒子の乾燥工程)
洗浄後の粒子は多くの水分を含有している為、使用前に水分を除去する必要がある。水分除去の方法としては、真空乾燥とするのが好適である。温度は100℃以下とするのが好適で、80℃以下とするのがより好適である。あまり熱をかけてしまうと乾燥の時点で粒子同士が焼結してしまう為好ましくない。
【0030】
<銀微粒子の評価方法>
作製した平板状の銀微粒子は、以下の方法にて被覆物の付着量評価、被覆物の炭素数評価、粒子径の評価を実施した。
【0031】
(被覆物の付着量)
被覆物の付着量は、灰分測定用灰皿(角型50×30×10mm)に銀微粒子を、厚み1〜2mmとなるように入れ、該灰分測定用灰皿をマッフル炉(ヤマト科学株式会社製 FO310)にて焼成し、該焼成前後の質量から算出した。また、該焼成の条件は大気中で昇温速度10℃/minで25℃から700℃まで昇温し、その後自然冷却して室温まで冷却するという条件である。
【0032】
(被覆物の炭素数評価)
被覆物の炭素数は、例えば、得られた銀粒子をGC−MSにかけて、有機物成分を確認することにより行った。本発明においては、GC−MS装置(Aglent technologies株式会社製の7890A GC Systemおよび5975C inert XL EI/CI MSD)を用いて、ヘリウム雰囲気の元、350℃に銀粒子を加熱し、気化したガス成分を、カラム(J&W Scientific社製 DB−5HT 123−5731 流量2.0ml/分)を用いて、分離、捕集することにより、被覆物の評価を実施した。
【0033】
(粒子径評価)
また、本発明において、長手方向および厚み方向の粒子径の算出方法としては、以下に示すとおりである。走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製のS−4700)を用いて粒子表面の観察を実施した。観察における拡大倍率は、粒子サイズがおおよそ500nm以下の際は30,000倍、500〜2,000nmの際は10,000倍、2,000nm以上の際は3,000倍とした。観察により得られた50個以上の任意の粒子について、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製のA像くん(登録商標))を用いる事により粒子径を算出した。
【0034】
<平板状の銀微粒子を含有したペースト>
本発明に記載の平板状の銀微粒子を用いて作製した導電性ペーストについて詳細に説明する。
【0035】
(銀粒子)
銀粒子には、本発明に記載の平板状の銀微粒子を用いる事を特徴とする。また、公知の方法にて作製した銀粒子を混合して使用しても良いが、一般的に混合する銀粒子の形状としては、平板状の銀粒子が好ましい。
【0036】
混合する銀粒子は、D
SEM―Lが2.5〜15.0μmであり、かつ本発明に記載している平板状の銀微粒子のd
SEM―Lの3〜50倍であることが好ましい。より好ましくは、D
SEM―Lが3.0〜10.0μmであり、かつ平板状の銀微粒子のd
SEM―Lの5〜20倍である。このように大きさの異なる2種類の銀粉末を混合することで、充填性が良くなり比抵抗および接触抵抗が良好となる。
【0037】
(分散媒)
本発明における導電性ペーストに使用する分散媒は、極性溶媒である事が好ましい。極性溶媒を選択すれば、蒸気圧が低いため取り扱いには好適である。特に各種の樹脂と相溶する性質を有するものを使用すれば問題ないが、エステル系、エーテル系、ケトン系、エーテルエステル系、アルコール系、炭化水素系、アミン系などの有機溶剤を使用するのが好ましい。
【0038】
(分散剤)
本発明における導電性ペーストには銀粒子をほどよく分散させる分散剤を添加しても良い。こうした分散剤を使用することで、ペースト中では粒子の独立性を確保することができる。その性質としては、粒子表面と親和性を有すると共に分散媒に対しても親和性を有するものであればよく、市販汎用のものであってもよい。例えば、また、単独の種類のみならず、併用使用しても構わない。この添加量は、銀粒子の質量に対して3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、一層好ましくは0.5質量%以下である。
【0039】
(樹脂)
本発明における導電性ペーストに添加されるべき樹脂は、広く知られている熱硬化型もしくは熱可塑型のいずれの樹脂も採用することができる。具体例としては、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、イソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂などから選択することができる。また、熱可塑樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などから選択することができる。樹脂の添加量としては、銀粒子の質量に対して2〜20質量%、好ましくは2〜15質量%とするのがよい。添加する樹脂量が多すぎると、焼成後に樹脂が必要以上に配線中に残ってしまい、導電性に多大な影響を与えるため好ましくない。一方添加量を少なくすると配線と基板との密着性が確保できないため、少なくとも2質量%程度の添加は必要である。
【0040】
導電性ペーストには、一般的に熱硬化型のエポキシ樹脂が多く用いられており、エポキシ樹脂の中でも、貯蔵安定性を高めるという観点から、多価エポキシ化合物が好ましい。また、多価エポキシ樹脂の中でも、生産性が圧倒的に高いグリシジル型エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくは、硬化物の接着性や耐熱性に優れる事から、多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が好ましい。いっそう好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂であることがよく、とりわけ、ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂とビスフェノールFをグリシジル化したエポキシ樹脂がよい。
【0041】
また、樹脂の形態としては液状を呈しているものが好ましい。なお、エポキシ当量としては300以下であることが好ましい。エポキシ当量が300よりも大きい値になると、組成物が固形になり抵抗値が高くなるとともに使用する際に取扱が不便であるので好ましくない。
【0042】
樹脂にエポキシ樹脂を使用する場合は、硬化剤を併用する必要があり、硬化剤の種類としては、市販汎用のものであってもよい。また、単独の種類のみならず、併用使用しても構わない。硬化剤の種類としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール類、ルイス酸、ブレンステッド酸、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0043】
<導電性ペーストの製造>
銀粒子および分散媒、樹脂などの成分を混合した後、混練脱泡機へ導入して該成分の混練物を形成させる。その後、場合によって機械的分散処理を行ってペーストを形成させる。
【0044】
上記の機械的分散処理には銀粒子の著しい改質を伴わないという条件下において、公知のいずれの方法も採用することが可能である。具体的には、超音波分散、ディスパー、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、二軸ニーダー、自公転式攪拌機などが例示でき、これらは単独あるいは複数を併用して使用することも可能である。
【0045】
<導電膜の評価>
作製した導電性ペーストの評価として、比抵抗および接触抵抗の測定を実施した。
【0046】
(比抵抗)
膜厚30μmのメタルマスクを使用し、10mm□のパターンでアルミナ基板上にベタ印刷した。得られた印刷基板を焼成炉(ヤマト科学株式会社製のDKM400)にて、大気中200℃60分間で熱処理したものについて、比抵抗の算出を行った。
【0047】
導電膜の表面抵抗を四端子型抵抗率計(三菱化学株式会社製のロレスタ GP MCP―T610型)で測定し、導電膜の厚みを表面粗度計(東京精密株式会社製のサーフコム1500D型)で測定し、下記(1)式より比抵抗を算出した。
比抵抗(μΩ・cm)=表面抵抗(Ω/□)×膜厚(μm)×100 ・・・(1)
【0048】
(接触抵抗)
スクリーン印刷機(マイクロテック株式会社製のMT―320T)を用いて、
図1のパターンにて、ITOガラス基板(ジオマテック株式会社製の0006)上に印刷した。得られた印刷基板を焼成炉(ヤマト科学株式会社製のDKM400)にて、大気中200℃60分間で熱処理したものについて、接触抵抗の測定を実施した。従って、以下の実施例において接触抵抗を測定しているということは、印刷回路を形成することができると見なせる。
【0049】
図1に示すパターンは、それぞれ(1)300μm、(2)500μm、(3)1,000μm、(4)2,000μmと間隔があいており、間隔の異なるパターンで抵抗値を測定する事により、接触抵抗を算出した。具体的には、パターンの間隔を横軸、実測抵抗値を縦軸に取った際に得られるグラフのY切片の半分を接触抵抗とした。
【実施例】
【0050】
<実施例1>
(銀微粒子Aの作製方法)
純水1,000gに対して、銀化合物としての硝酸銀結晶(東洋化学工業株式会社製の特級品)51.0gと、錯化剤としてのクエン酸一水和物(和光純薬工業株式会社製の特級品)50.2gと、被覆用有機物としてソルビン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製の特級品)7.7gを加えた後、50℃に加温し銀イオン分散液を得た。
【0051】
次いで、純水1,000gに対して、還元剤としてのL(+)−アスコルビン酸(和光純薬工業株式会社製の特級品)26.6gを溶解し、50℃に加温し還元剤分散液を得た。
【0052】
窒素雰囲気の元で、前記銀イオン分散液を攪拌したまま、還元剤分散液を定量送液ポンプ(東京理科器械株式会社製のRP−2100)を用いて33ml/分の速度で添加した。その後、液温を50℃に保ち、60分間保持して銀微粒子を得た。
【0053】
得られた銀微粒子に対して純水を流しながら、吸引ろ過をすることにより粒子を洗浄し、余分な不純物を取り除いた。その後、30℃で12時間真空乾燥をすることにより銀微粒子の乾燥粉を得た。なお、銀微粒子Aの製造方法および特性を表1に示す。また、以後の銀微粒子(B乃至I)についても同じく表1に示す。
【0054】
乾燥粉をSEMにて観察したところ、平板状の銀微粒子であり、そのd
SEM−Lは635nm、d
SEM−Tは142nm、アスペクト比4.5であった。
【0055】
乾燥粉のGC−MSスペクトル結果を
図2に示す。観察されたピークは酢酸であることが確認された。横軸は時間(秒)であり、縦軸はアバンダンスである。
【0056】
<実施例2>
(銀微粒子Bの作製方法)
銀イオン分散液に対して、pH調節の目的で60質量%硝酸(和光純薬工業株式会社製の特級品)を4.2g添加した以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。
【0057】
乾燥粉をSEMにて観察したところ、平板状の銀微粒子であり、そのd
SEM−Lは885nm、d
SEM−Tは176nm、アスペクト比5.0であった。
【0058】
<実施例3>
(銀微粒子Cの作製方法)
銀イオン分散液に対して、pH調節の目的で60質量%硝酸(和光純薬工業株式会社製の特級品)を10.5g添加した以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。
【0059】
乾燥粉をSEMにて観察したところ、平板状の銀微粒子であり、そのd
SEM−Lは1132nm、d
SEM−Tは138nm、アスペクト比8.2であった。
【0060】
<実施例4>
(銀微粒子Dの作製方法)
大気雰囲気の元で反応を実施し、還元剤添加後の保持時間を3時間とした以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。
【0061】
乾燥粉をSEMにて観察したところ、平板状の銀微粒子であり、そのd
SEM−Lは873nm、d
SEM−Tは46nm、アスペクト比19.0であった。
【0062】
<実施例5>
(銀微粒子Eの作製方法)
添加剤をソルビン酸カリウムから没食子酸水和物(東京化成工業株式会社製の特級品)に変更した以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。
【0063】
乾燥粉をSEMにて観察したところ、平板状の銀微粒子であり、そのd
SEM−Lは280nm、d
SEM−Tは40nm、アスペクト比7.2であった。
【0064】
<比較例1>
(銀微粒子Fの作製方法)
添加剤をソルビン酸カリウムからゼラチン(シグマアルドリッチ社製)に変更した以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。この銀微粒子の作製方法は、特許文献2に記載の実施例と同じである。しかしながら、本条件においては粒子の水に対する親和性が非常に良く吸引ろ過による洗浄および回収が出来なかった。これはゼラチンの主成分がたんぱく質であるために、カルボキシル基やアミノ基といった官能基を数多く有している為であると考えられる。
【0065】
<比較例2>
(銀微粒子Gの作製方法)
銀粉Fに対してゼラチンの量を1/4に変更した以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。本条件においては粒子表面に吸着しているゼラチンが銀微粒子Eに比べて少なかった為回収をする事が可能であった。
【0066】
乾燥粉をSEMにて観察したところ、平板状の銀微粒子であり、そのd
SEM−Lは628nm、d
SEM−Tは91nm、アスペクト比6.9であった。
【0067】
乾燥粉をGC−MSにて測定したところ、
図3のようにいくつかのピークが確認された。すなわち、添加剤にゼラチンを用いた銀微粒子Gは、高分子の保護剤が用いられていることが確認できる。
【0068】
<比較例3>
(銀微粒子Hの作製方法)
添加剤にソルビン酸カリウムから酢酸(関東化学株式会社製の特級品)に変更した以外は銀微粒子Aの場合と同様のことを行った。しかしながら本条件においては、得られた粒子は凝集粉であり、目的としていた平板状のものを得ることが出来なかった。
【0069】
<比較例4>
(銀微粒子Iの作製方法)
還元剤をアスコルビン酸からヒドラジン(和光純薬工業株式会社製の特級品)に変更した以外は銀微粒子Aの場合と同様の事を行った。しかしながら本条件においては、得られた粒子は凝集粉であり、目的としていた平板状のものを得ることが出来なかった。
【0070】
【表1】
【0071】
(ペースト評価)
表1で示した銀微粒子A、G、Hを用いてペーストの評価を実施した。
【0072】
<実施例11>
分散溶媒としてテルピネオール(和光純薬工業株式会社製の特級品)1.9g、分散剤として高分子系顔料分散剤アジスパーPA−111(味の素ファインテクノ株式会社製)0.1g、樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂のJER807(三菱化学株式会社製)4.6g、硬化剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(和光純薬工業株式会社製)0.2gをそれぞれ添加して混合した。さらに、銀微粒子Aを93.2g混合した後、自公転式真空攪拌ミキサー(株式会社EME製のV−mini300)にて30秒攪拌した。
【0073】
このようにして得られた混合物を三本ロール(EXAKT Apparatebaus社製のM−80S型)にて、5回パスさせることで導電性ペーストを作製した。得られた導電性ペーストを基板に印刷し、200℃で60分の条件で加熱処理して導電膜を形成させた。
【0074】
このようにして得られた導電膜の比抵抗および接触抵抗を測定した結果、比抵抗は17.3μΩ・cmであり、接触抵抗は0.161Ωであった。比抵抗、接触抵抗共に低い導電膜が得られた。
【0075】
<比較例11>
実施例11において、使用した銀微粒子を銀微粒子Gとした以外は実施例11を繰り返した。この結果、得られた導電膜の比抵抗は35.1μΩ・cmであり、接触抵抗は0.166Ωであった。
【0076】
<比較例12>
実施例11において、使用した銀微粒子を銀微粒子Hとした以外は実施例11を繰り返した。この結果、得られた導電膜の比抵抗は32.6μΩ・cmであり、接触抵抗は0.231Ωであった。
【0077】
これより、添加剤としてゼラチンのような高分子のものを使用した場合、焼結性が阻害され、比抵抗が高くなってしまう。一方、添加剤の炭素数が少なすぎると、分散性が悪くなり凝集粒子となることで、ペースト作製、印刷、硬化後の塗膜において、充填性が悪くなり、比抵抗および、接触抵抗が悪くなる。したがって、凝集体ではなく、低温焼結性を有した平板状の銀微粒子を作製するためには、添加剤として炭素数が3〜10のものを使用するのがよい。
【0078】
本発明により得られた平板状の銀微粒子は、単独でペースト化しても良いが、公知の銀粒子と混合することで、比抵抗、接触抵抗共に低いペーストが得られる。そこで、公知の銀粒子との混合ペーストについての実施例を記載する。混合に使用した公知の銀粒子(銀粒子I乃至銀粒子L)を表2に示す(なお、D
SEM−LはSEM像から算出した長手方向の粒子径の平均値、D
SEM−TはSEM像から算出した厚み方向の粒子径の平均値、アスペクト比はD
SEM−L/D
SEM−Tで算出される値である)。
【0079】
なお、銀粒子においては、必ずしも板状でない物も含まれる。銀粒子の形状が板状でない場合は、D
SEM−LはSEM像から算出した粒子の長軸長さの平均値であり、D
SEM−TはSEM像から算出した短軸長さの平均値を表す。
【0080】
【表2】
(ペースト作製)
表1、2で示した銀微粒子A乃至Iと銀粒子J乃至Mを用いて混合ペーストの評価を実施した。なお、銀微粒子と銀粒子をまとめて若しくはどちらか一方を呼ぶ場合は銀粉末ともよぶ。
【0081】
<実施例12〜17>
実施例11において、使用した銀粉末を表3に記載の組み合わせとし、実施例11において銀微粒子Aを93.2gであったところを、銀微粒子および銀粒子の混合量をそれぞれ46.6g、合計93.2gとした以外は、実施例11を繰り返した。得られた比抵抗、接触抵抗を表3に合わせて記載している。
【0082】
<比較例13、14>
実施例11において、使用した銀粉末を表3に記載の銀粉末(1種類の銀粒子)に変更した以外は、実施例11を繰り返した。得られた比抵抗、接触抵抗を表3に合わせて記載している。
【0083】
<比較例15、16>
実施例11において、使用した銀粉末を表3に記載の組み合わせとし、銀粉末の混合量を各46.6g、合計93.2gとした以外は、実施例11を繰り返した。得られた比抵抗、接触抵抗を表3に合わせて記載した。
【0084】
【表3】
【0085】
比較例13および14で示すようにミクロンサイズの銀粒子を単独で用いてペーストを作製した場合、比抵抗、接触抵抗共に高い事が分かる。これに対して、実施例12〜17および比較例15〜16に示すように、大きさの異なる2種類の銀粉末を混合してペースト化する事で、比抵抗、接触抵抗共に低くなる結果となっている。
【0086】
混合する微粒子に関して、比較例15のように平板状の銀粒子用いた場合、比抵抗を低くすることは可能であるが、接触抵抗は十分に低いとは言えない。また、比較例16のように球状の銀粒子を用いた場合、接触抵抗を低くすることは可能であるが、比抵抗は十分に低いとは言えない。
【0087】
実施例12〜17のように、混合する微粒子を本明細書に記載の平板状の銀微粒子とすることで、比抵抗、接触抵抗共に低くすることが可能である。また、実施例17のように混合するミクロンサイズの銀粒子を球状としても同様に比抵抗、接触抵抗共に低くすることが可能となっている。この結果を
図4にグラフで示す。
【0088】
図4は比抵抗と接触抵抗の関係を示すグラフである。縦軸は接触抵抗(Ω)であり、横軸は比抵抗(μΩ・cm)である。なお、横軸は対数軸である。黒菱形が実施例であり、白四角が比較例である。黒菱形の実施例は比抵抗および接触抵抗共に低かったが、白四角の比較例は、いずれか一方若しくは両方の特性が高い結果であった。