特許第5971194号(P5971194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧

特許5971194電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法
<>
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000002
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000003
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000004
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000005
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000006
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000007
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000008
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000009
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000010
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000011
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000012
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000013
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000014
  • 特許5971194-電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971194
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法
(51)【国際特許分類】
   C25C 7/08 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   C25C7/08 A
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-113372(P2013-113372)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-231632(P2014-231632A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 進太郎
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−025094(JP,B1)
【文献】 実公昭49−016645(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 1/00−7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属が電着したカソードを搬送する搬送手段と、
前記カソードに電着した電着金属層を前記カソードから分離するための分離手段と、を備えた電着金属の剥離装置であって、
前記分離手段は、
前記カソードから前記電着金属層を分離する分離器と、
前記分離器に所望の振動を入力する加振手段と、
前記加振手段により振動する前記分離器を前記電着金属層と前記カソードとの間に挿入させる駆動機構とを有することを特徴とする電着金属の剥離装置。
【請求項2】
前記加振手段は、
超音波を発生する超音波発振器と、
前記駆動機構により前記分離器を前記カソードに電着された電着金属層を分離させる際に前記超音波発振器に駆動電流を出力する超音波制御部とを有することを特徴とする請求項1に記載の電着金属の剥離装置。
【請求項3】
前記分離器は、
前記電着金属層に接触する刃先が前記電着金属層の左右両端部から先に分離する主チス刃と、
前記主チス刃の両側に配置され、前記超音波発振器により発生された超音波が入力される一対の超音波チス刃と、
を有し、
前記主チス刃は、前記刃先側の縁部の左右端部より山型に形成された中間部を有することを特徴とする請求項2に記載の電着金属の剥離装置。
【請求項4】
前記主チス刃は、前記中間部から側方に角度40度〜80度の範囲の傾斜を有することを特徴とする請求項3に記載の電着金属の剥離装置。
【請求項5】
前記主チス刃は、前記中間部が、0.25m〜2.0mの曲率半径を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の電着金属の剥離装置。
【請求項6】
前記分離器は、
前記超音波発振器により発生された超音波が入力され、前記電着金属層の左端部を分離する第1の超音波チス刃と、
前記超音波発振器により発生された超音波が入力され、前記電着金属層の右端部を分離する第2の超音波チス刃と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の電着金属の剥離装置。
【請求項7】
さらに、前記分離器は、
前記第1の超音波チス刃及び前記第2の超音波チス刃を水平方向に移動させ、前記第1の超音波チス刃と前記第2の超音波チス刃との離間距離を調整する水平駆動機構と、
前記第1の超音波チス刃及び前記第2の超音波チス刃を前記水平駆動機構と共に、昇降させて前記第1の超音波チス刃及び前記第2の超音波チス刃を前記電着金属層の左右両端部に接触させて前記電着金属層の左右両端部から先に分離する昇降駆動機構と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の電着金属の剥離装置。
【請求項8】
金属が電着したカソードを搬送する搬送工程と、
分離器により前記電着金属層と前記カソードとを分離するための分離工程と、を有する電着金属の剥離方法であって、
前記分離工程は、前記分離器に加振手段による所望の振動が入力されながら前記分離器の先端を前記カソードに電着した電着金属層と前記カソードとの間に挿入することを特徴とする電着金属の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカソードに電着した電着金属を剥離する電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、銅やニッケルなどの金属の電解精製は、電解液で満たされた電解槽内に、カソードとアノードを交互に並べた状態で通電し、カソードの両面に金属を電着させることにより行われる。カソードには繰り返し利用が可能なパーマネントカソードとしてステンレス製の薄板などが一般的に用いられ、カソードの両面に電着した金属は、電解槽から引き上げた後に剥がし取られる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、電着金属の剥がし取りは、以下のように行われていた。図1に示されるように、電解槽から引き上げられたカソード12は、電解槽に吊り下げるためのビーム14部分を上にして鉛直方向に立てた状態で、搬送装置(搬送手段)16にてカソード面(垂直面)と平行方向(X方向)に搬送され、カソードを押圧するフレキシング工程の位置で停止する。カソード12の平面(おもて面、裏面)には、電着金属層Kが密着している。また、カソード12は、搬送方向(X方向)の左右端部に搬送装置16から起立したエッジカバー17の上下端に取り付けられた4個のコ字固定具18によって垂直状態に保持されている。
【0004】
ここで、フレキシング装置20の動作について説明する。図2(A)に示されるように、例えば、フレキシング装置20は、直径φ50mmで水平方向長さが500mmを有する一対の丸棒状のフレキシング押し具22がカソード12の平面(おもて面及び裏面)に対向するように横架されている。
フレキシング押し具22は、カソード12の平面に対して垂直な水平方向(Y方向)に移動して当該カソード12の中央部を所定距離(例えば、50mmほど)押込む。このときカソード12は、図2(B)に示すようにフレキシング押し具22に押された水平方向(Y方向)に撓むため、搬送方向(X方向)から見ると、弓なりに湾曲し、カソード12の凸状湾曲面側の電着金属層Kの上側がカソード12から剥がれ、カソード12との間に隙間24が形成される。
【0005】
この剥離現象は、フレキシング押し具22の押圧動作によるフレキシング時に電着金属層Kの面内方向に発生する引っ張り応力が、電着金属層Kのカソード12に対する付着力より大きくなるために発現すると考えられる。このフレキシング工程により電着金属層Kの上側から剥がれる理由は、電着金属層Kの下側はカソード12下側を取り囲むように電着金属がつながっているため、カソード12の下側の付着力が上側より強いためと考えられる。フレキシング押し具22がカソード12から離れると、カソード12の湾曲変形は弾性変形のため、カソード12は元の平らな状態に戻る。フレキシング中にカソード12から離れた状態にあった電着金属層Kの上部は、カソード12が元の平らな状態に戻ると、カソード12と同様に平らになり、カソード12の平面とわずかに隙間24がある状態になる。以上のようなフレキシングの動作は、カソード12の両面(おもて面、裏面)に対して交互に同様に行われる。
【0006】
上記フレキシング工程が終了したカソード12は、搬送装置16により次のチゼリング装置30の前まで搬送され、一時停止する。チゼリング装置(分離手段)30は、図3(A)(B)に示されるような長方形状の板状に形成されたチス刃31を備えている。チス刃31は、下端に所定の傾斜角を有する刃先32が形成されている。
【0007】
ここで、チゼリング装置30による電着金属層Kの剥離工程について説明する。図4(A)に示されるように、チゼリング装置30は、一対のチス刃31を有し、チゼリング工程が開始する際に、各チス刃31の刃先32をカソード12のおもて面及び裏面の上端に所定角度傾斜させて接触させるように構成されている。また、各チス刃31は、カソード12の搬送方向のほぼ中央部に接触するように取り付けられている。このとき、カソード12の平面に電着された電着金属層Kは、フレキシング工程により上端がカソード12から隙間24を介して離間している。
【0008】
次に、図4(B)に示されるように、チゼリング装置30は、一対のチス刃31を降下させる。各チス刃31の刃先32は、カソード12のおもて面及び裏面に接触したまま、降下するため、フレキシング工程により形成されたカソード12と電着金属層Kとの隙間24に挿入される。
【0009】
さらに、図4(C)に示されるように、各チス刃31は、刃先32をカソード12の中央部に向けて降下し、カソード12の中央部に付着した電着金属層Kを剥がす。
【0010】
また、電着金属の剥離装置10は、図5(A)(B)に示すようにチゼリング装置30を有する。チゼリング装置30は、チス刃31を上下方向に移動させるチェーン式駆動機構又は空気シリンダ等からなる昇降駆動機構33を有する。剥離工程において、チゼリング装置30は、チス刃31を降下させ、刃先31を電着金属層Kとカソード12の間に空いたわずかなすき間24の中央部に上から下に挿入する。尚、剥離工程では、通常はカソード12の両面(おもて面及び裏面)を一対のチス刃31により同時に剥離する。しかし電着金属層Kの上端に空いた隙間24が狭いために、1回目の剥離後に片面だけ残る場合は、カソード12の片面ずつ剥離する場合がある。図5(B)では、カソード12の片面に電着金属Kが付着している場合の剥離工程を示す。
【0011】
また、電着金属層Kは、各チス刃31が通過するカソード12の中央部から剥離されると共に、カソード12の取り付け角度によりカソード12の中央部を囲む両側もカソード12の降下に伴う引張り力により徐々に剥がされる。そして、電着金属層Kは、チス刃31がカソード12の中央付近まで降下したとき、カソード12から完全に剥ぎ取られる。
【0012】
このようにカソード12から剥離された電着金属層Kは、次の処理工程へ搬出される。また、電着金属層Kが剥離されたカソード12は、再び電解槽へ搬送されて再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2012−167340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の電着金属の剥離装置10においては、次のような現象が起きているとの知見を得た。すなわち、図5(A)(B)に示すチゼリング工程において、時折発生するカソード12の片面だけ電着金属層12が剥がれ、反対面に電着金属層Kが残っている場合に、密着力の比較的強い中央部の上方からチス刃31を挿入することで、カソード12の中央部がチス刃31を挿入した側に凹形状となる反りが生じ、カソード12の平坦性が悪化する懸念がある。
【0015】
また、カソード12の平坦性が悪化した場合、電解槽内で電着金属が析出する過程で発生するカソードとアノードの短絡問題が生じるおそれもある。また、カソード12は、繰り返し再利用されるため、カソード12の平坦性が悪化した場合には、カソード12の平坦性を修復しており、メンテナンスに手間を要していた。
【0016】
さらに、従来は、図2(B)に示すようにカソード12が、フレキシング押し具22に押されて水平方向(Y方向)に撓むため、フレキシング工程においてカソード12が変形してしまう場合がある。その場合、チゼリング工程において、チス刃31がカソード12の変形箇所に接触してカソード12が損傷させたり、あるいは電着金属層Kがカソード12から剥離できずに残ってしまうといった問題もある。
【0017】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、カソードの平坦性が悪化する可能性を低減できる電着金属の剥離装置及び電着金属の剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0019】
一つの案では、金属が電着したカソードを搬送する搬送手段と、
前記カソードに電着した電着金属層を前記カソードから分離するための分離手段と、を備えた電着金属の剥離装置であって、
前記分離手段は、
前記カソードから前記電着金属層を分離する分離器と、
前記分離器に所望の振動を入力する加振手段と、
前記加振手段により振動する前記分離器を前記電着金属層と前記カソードとの間に挿入させる駆動機構とを有する電着金属の剥離装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
一態様によれば、フレキシング工程が不要になるため、チゼリング工程の前工程でカソードが変形せず、チゼリング工程において、過剰な応力がカソードに加わることなく、容易に電着金属層をカソードから剥がすことができる。そのため、平坦性を維持したカソードを繰り返し操業で利用可能となり、電解槽内で電着金属が析出する過程で発生するカソードとアノードの短絡問題を抑制でき、電着金属層から得られる製品としての電気銅の電力原単位を低減できる。さらに、チゼリング工程によるカソードの変形がなくなり、その分カソードの修復のためのメンテナンスが不要になって電着金属の生産性をより高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】カソードが搬送装置によって搬送される様子を示す概略図である。
図2】フレキシングにより湾曲したカソードから電着金属の上端が剥がれた様子を側方から見た説明図である。
図3】従来の剥離装置に付属するチス刃を示す概略図である。
図4】従来の剥離装置における、チス刃の動きを示す説明図である。
図5】カソードの片面だけに電着金属が付いている場合に、従来の剥離装置におけるチス刃をカソードと電着金属間に挿入した様子を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態1における、山型の主チス刃と超音波チス刃とを有する電着金属の剥離装置を示す概略図である。
図7】実施形態1の主チス刃の構成を示す図である。
図8】実施形態1の各チス刃の動きと電着金属の剥離状態を示す正面図である。
図9】実施形態1の各チス刃の動きと電着金属の上端の剥離状態を示す横断面図である。
図10】本発明の実施形態2における、曲率を有した山型の主チス刃と超音波チス刃とを有する電着金属の剥離装置を示す概略図である。
図11】実施形態2の主チス刃の構成を示す図である。
図12】本発明の実施形態3における、左右に一対の超音波チス刃に超音波を伝搬する電着金属の剥離装置を示す概略図である。
図13】実施形態3の超音波チス刃の構成を示す図である。
図14】実施形態3の超音波チス刃を移動させる駆動機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
〔実施形態1〕
図6は本発明の実施形態1における、山型の主チス刃と超音波チス刃とを有する電着金属の剥離装置を示す概略図である。尚、図6において、従来と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
図6に示されるように、電着金属の剥離装置100は、前述した搬送装置(搬送手段)16と、電着金属層Kの左右両端部から先に分離するチゼリング装置(分離手段)110とを有する。チゼリング装置110は、主チス刃(分離器)200と、主チス刃200の左右両側に配置された一対の超音波チス刃210A、210B(分離器)と、主チス刃200及び超音波チス刃210A、210Bを上下方向(Z方向)に昇降させる昇降駆動機構220と、加振装置(加振手段)230とを有する。
【0025】
加振装置230は、超音波制御部240と、一対の超音波発振器250A、250Bとを有する。一対の超音波発振器250A、250Bは、それぞれ一対の超音波チス刃210A、210Bの上端に搭載されている。また、超音波発振器250A、250Bは、例えば、円筒状の筐体内部に振動発生源となる圧電素子(ピエゾ素子など)が組み込まれている。そして、超音波制御部240は、超音波チス刃210A、210Bが電着金属層Kを剥離する剥離工程のときに超音波発振器250A、250Bに駆動電流を入力する。
【0026】
超音波発振器250A、250Bは、入力された交流電圧により所定周波数で軸方向(Z方向)に振動する。そして、所定周波数(例えば、21KHz±1.5KHz)の超音波が上下方向(Z方向)の振動波として超音波チス刃210A、210Bに伝搬される。これにより、超音波チス刃210A、210Bは、Z方向に高速で振動しながら電着金属Kをカソード12から剥離することが可能になる。また、超音波による振動は、人間の聴覚で識別することが難しいため、電着金属層Kをカソード12から剥離させる際の騒音を低減することが可能になり、騒音対策としての効果も得られる。
【0027】
尚、加振装置230の超音波発振器250A、250Bから発生される超音波は、上記周波数に限るものではなく、任意の周波数に適宜調整することが可能である。また、人間の可聴域の上限周波数は、16KHz〜18KHz程度とされているが、16KHz以下の周波数の振動を超音波チス刃210A、210Bに入力した場合でも電着金属層Kの剥離を効率良く行うことができる。そのため、加振装置230においては、超音波以外の振動周波数(例えば、16KHz以下の周波数)を有する振動を加振するように設定しても良い。
【0028】
昇降駆動機構220は、主チス刃200の上端202に連結された一対の支柱222と、支柱222より側方(X方向)に延在して超音波発振器250A、250Bに連結された一対の腕部224とを有する。そのため、主チス刃200及び超音波チス刃210A、210Bは、昇降駆動機構220により同時に上下方向(Z方向)に移動する。
【0029】
超音波チス刃210A、210Bは、垂下方向に直線的に延在する板状に形成されており、上端が超音波発振器250A、250Bに直結され、下端に刃先212A、212Bが設けられている。また、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bは、主チス刃200の刃先204、206よりも下方に突出している。そのため、昇降駆動機構220により主チス刃200及び超音波チス刃210A、210Bが同時に降下する際、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bが主チス刃200の刃先204,206よりも先に電着金属層Kとカソード12との間に挿入される。
【0030】
尚、チゼリング装置110は、カソード12のおもて面、裏面に対する主チス刃200のY方向の傾斜角度を調整するチス刃取付角度調整機構(図示せず)も有する。
【0031】
ここで、主チス刃200の構成について説明する。図7(A)(B)に示されるように、主チス刃200は、電着金属層Kとカソード12との密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左右両端部から先に分離するように山型(逆V字状)に形成されている。
【0032】
主チス刃200の搬送方向(X方向)の幅寸法は、カソード12の幅寸法より狭くなっている。また、主チス刃200と超音波チス刃210A、210Bとを合計した搬送方向(X方向)の幅寸法は、カソード12の幅寸法とほぼ同じである。
【0033】
主チス刃200の下端部は、電着金属層Kの左右両端部に接触する一対の刃先204、206を有する。さらに、主チス刃200は、一対の刃先204、206の中間部に山型(逆V字状)に形成された傾斜刃208、209を有する。また、主チス刃200は、側方からみると、楔形状に形成されている。
【0034】
傾斜刃208、209は、中間部のZ方向の中心線に対して側方(X方向)に傾斜しており、その傾斜角θが80°以下に設定されており、望ましくは傾斜角θ=40°〜80°である。また、主チス刃200は、カソード12のおもて面、裏面に対するY方向の傾斜角度が所望の角度に調整されているので、刃先204、206がカソード12のおもて面、裏面に接触するとき、傾斜刃208、209はカソード12から僅かに離間している。
【0035】
〔主チス刃200及び超音波チス刃210A、210Bの動き〕
図8は実施形態1の各チス刃の動きと電着金属の剥離状態を示す正面図である。図9は実施形態1の各チス刃の動きと電着金属の上端の剥離状態を示す横断面図である。
【0036】
図8(A)及び図9(A)に示されるように、主チス刃200及び超音波チス刃210A、210Bは、カソード12の上方から下方(Z方向)に降下すると共に、密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左右両端部に超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bが接触し、カソード12と電着金属層Kと間に挿入される。その際、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bは、超音波発振器250A、250Bより入力された超音波により上下方向(Z方向)に高速で振動(例えば、周波数が16KHz以上の振動)しており、電着金属層Kをカソード12から容易に剥離して電着金属層Kとカソード12との間に隙間を形成する。
【0037】
そして、主チス刃200の左右両端部の刃先204、206は、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bによって形成されたカソード12と電着金属層Kとの間に形成された隙間24に挿入される。そのため、主チス刃200の左右両端部の刃先204、206は、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bによって形成された隙間24に殆ど抵抗なく挿入される。
【0038】
このような超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212B、続いて主チス刃200の左右両端部の刃先204、206が電着金属Kとカソード12の間に上方から挿入されると、まず電着金属Kの上端とカソード12の密着力が中央部に対して比較的弱い左右両端部から先に剥離を開始する。その際、剥離開始時の電着金属層Kによる負荷が比較的小さいため、剥離動作がスムーズに行える。
【0039】
図8(B)及び図9(B)に示されるように、さらに超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bが先行して上記隙間24を拡張する。続いて、主チス刃200が下方(Z方向)に降下すると共に、主チス刃200の傾斜刃208、209がカソード12の中間部分に付着した電着金属Kをカソード12から容易に剥離する。このとき、電着金属層Kは、左右両端部が超音波チス刃210A、210Bにより少しずつ剥離され、さらに主チス刃200の刃先204、206により剥がされ、続いて中間部分の傾斜刃208、209の傾斜角度θによる傾斜面に沿うようにして連続的に剥がされる。
【0040】
図8(C)及び図9(C)に示されるように、さらに超音波チス刃210A、210B及び主チス刃200がカソード12の上方から下方(Z方向)に降下すると、カソード12から剥がされた電着金属層Kの全体がスムーズに剥離される。すなわち、超音波チス刃210A、210B及び主チス刃200が降下するとともに、主チス刃200の傾斜刃208、209がカソード12の左右端部から中央部に向かうことで電着金属槽Kは、カソード12から完全に剥がされる。
【0041】
ここで、電着金属層Kとカソード12との密着力が中央部より左右両端部の方が弱い理由は、電着した金属がカソード電着面内方向に圧縮応力を与え、中央部から外周に向けた径方向に大きくなるせん断応力を生じるためである。
【0042】
また、カソード12の上部のビーム14の中央部から垂直に下した仮想平面(X方向とZ方向の2辺を有する垂直なX−Z平面)からの最大変位量をひずみ量とした場合、チゼリング工程で増加するひずみ量は、従来のチス刃31で平均2mmだったものが、本発明による超音波チス刃210A、210B及び山型の主チス刃200を用いたことで平均1mmまで低減した。
【0043】
上記超音波チス刃210A、210B及び主チス刃200を用いたチゼリング工程においては、フレキシング工程が不要になると共に、過剰な応力がカソード12に加わることなく、容易に電着金属層Kをカソード12から剥がすことが可能になる。そのため、平坦性を維持したカソード12を繰り返し操業で利用可能となり、電解槽内で電着金属が析出する過程で発生するカソードとアノードの短絡問題を抑制することが可能になる。さらに、その結果として製品である電気銅の電力原単位を低減することができる。
【0044】
また、超音波チス刃210A、210Bの及び主チス刃200を用いることで剥離工程の効率が高まり、剥離工程における時間も20%程度短縮することが可能になる。さらに、フレキシング工程が無くなることで、フレキシング工程によるカソード12の損傷が抑制されるため、カソード12の修復作業も不要になり、カソード12のメンテナンスも容易に行える。
【0045】
〔実施形態2〕
図10は本発明の実施形態2における、曲率を有した山型のチス刃と超音波チス刃とを有する電着金属の剥離装置を示す概略図である。図11は実施形態2のチス刃の構成を示す図である。尚、図10において、従来と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図10に示されるように、電着金属の剥離装置300は、電着金属層Kの左右両端部から先に分離するチゼリング装置(分離手段)310を有する。チゼリング装置310は、電着金属層Kとカソード12との密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左右両端部から先に分離する主チス刃(分離器)400と、主チス刃200の左右両側に配置された一対の超音波チス刃210A、210B(分離器)と、主チス刃200及び超音波チス刃210A、210Bを上下方向(Z方向)に昇降させる昇降駆動機構410と、加振装置(加振手段)230とを有する。
【0047】
尚、チゼリング装置310は、カソード12のおもて面、裏面に対する主チス刃400の傾斜角度を調整するチス刃取付角度調整機構(図示せず)も有する。また、昇降駆動機構410は、実施形態1の昇降駆動機構220と同様に、主チス刃400の上端402に連結された一対の支柱412と、支柱412より側方(X方向)に延在して超音波発振器250A、250Bに連結された一対の腕部414とを有する。そのため、主チス刃400及び超音波チス刃210A、210Bは、昇降駆動機構410により同時に上下方向(Z方向)に移動する。
【0048】
また、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bは、主チス刃400の刃先404、406よりも下方に突出している。そのため、昇降駆動機構410により主チス刃400及び超音波チス刃210A、210Bが同時に降下する際、超音波チス刃210A、210Bの刃先212A、212Bが主チス刃400の刃先404、406よりも先に電着金属層Kとカソード12との間に挿入される。
【0049】
ここで、主チス刃400の構成について説明する。図11(A)(B)に示されるように、主チス刃400の上端部402は、搬送方向(X方向)の幅寸法がカソード12の幅寸法とほぼ同じである。主チス刃400の搬送方向(X方向)の幅寸法は、カソード12の幅寸法より狭くなっている。また、主チス刃400と超音波チス刃210A、210Bとを合計した搬送方向(X方向)の幅寸法は、カソード12の幅寸法とほぼ同じである。
【0050】
主チス刃400の下端部は、密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左右両端部に接触する一対の刃先404、406を有する。さらに、主チス刃400は、一対の刃先404、406の中間部に山型(逆U字状)に形成された傾斜刃407、408と、傾斜刃407、408の間を接続する湾曲刃409とを有する。また、主チス刃400は、側方からみると、楔形状に形成されている。
【0051】
傾斜刃407、408は、縦方向の中心線に対する傾斜角θが80°以下に設定されており、望ましくは傾斜角θ=40°〜80°である。また、電着金属層Kを引き剥がす際、カソード12に作用する応力を考慮すると、傾斜刃407、408に中間部に形成された湾曲刃409の曲率半径は0.25m〜2.0mの範囲内であることが望ましい。
【0052】
また、主チス刃400は、カソード12のおもて面、裏面に対するY方向の傾斜角度が所望の角度に調整されているので、刃先404、406がカソード12のおもて面、裏面に接触するとき、傾斜刃407、408及び湾曲刃409はカソード12から僅かに離間している。
【0053】
上記主チス刃400の動きは、前述した実施形態1の主チス刃200の場合と同様であるので、図8及び図9に示すように動作して電着金属層Kを効率良くカソード12から剥がすことが可能になる。
【0054】
また、カソード12の上部のビーム14の中央部から垂直に下した仮想平面(X方向とZ方向の2辺を有する垂直なX−Z平面)からの最大変位量をひずみ量とした場合、チゼリング工程で増加するひずみ量は、従来のチス刃31で平均2mmだったものが、本発明による山型の主チス刃400及び音波チス刃210A、210Bを用いたことで平均1mmまで低減した。
【0055】
上記超音波チス刃210A、210B及び主チス刃400を用いたチゼリング工程においては、フレキシング工程が不要になると共に、過剰な応力がカソード12に加わることなく、容易に電着金属層Kをカソード12から剥がすことが可能になる。そのため、平坦性を維持したカソード12を繰り返し操業で利用可能となり、電解槽内で電着金属が析出する過程で発生するカソードとアノードの短絡問題を抑制することが可能になる。さらに、その結果として製品である電気銅の電力原単位を低減することができる。
【0056】
また、超音波チス刃210A、210B及び主チス刃400を用いることで剥離工程の効率が高まり、剥離工程における時間も20%程度短縮することが可能になる。さらに、フレキシング工程が無くなることで、フレキシング工程によるカソード12の損傷が抑制されるため、カソード12の修復作業も不要になり、カソード12のメンテナンスも容易に行える。
【0057】
〔実施形態3〕
図12は本発明の実施形態3における、左右に一対の超音波チス刃を備えた電着金属の剥離装置を示す概略図である。尚、図12において、従来と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
図12に示されるように、電着金属の剥離装置500は、電着金属層Kの左右両端部から先に分離するチゼリング装置(分離手段)510を有する。すなわち、チゼリング装置510は、一対の超音波チス刃(第1、第2の超音波チス刃)600A、600Bと、一対の超音波チス刃600A、600Bを水平方向に移動させる水平駆動機構610と、水平駆動機構610と共に一対の超音波チス刃600A、600Bを昇降させる昇降駆動機構620と、加振装置(加振手段)230とを有する。
【0059】
実施形態3では、主チス刃が無く、超音波発振器250A、250Bより入力された超音波により一対の超音波チス刃600A、600Bを上下方向に振動させながら、カソード12と電着金属層Kとの間に挿入し、且つ一対の超音波チス刃600A、600Bを水平方向に駆動して電着金属層Kを剥離する。
【0060】
尚、チゼリング装置510は、カソード12のおもて面、裏面に対する超音波チス刃600A、600BのY方向の傾斜角度を調整するチス刃取付角度調整機構(図示せず)も有する。また、昇降駆動機構620は、従来の昇降駆動機構33と同様な構成であるので、詳細は省略する。
【0061】
図13は実施形態3のチス刃の構成を示す図である。図13(A)(B)に示されるように、超音波チス刃600A、600Bは、左右対称な構成になっており、電着金属層Kとカソード12との密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左右両端部から先に分離するように分散配置されている。また、それぞれ密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左端部、右端部に接触する一対の刃先602A、602Bを有する。さらに、超音波チス刃600A、600Bは、傾斜刃604A、604Bを有する。また、超音波チス刃600A、600Bは、側方からみると、楔形状に形成されている。
【0062】
傾斜刃604A、604Bは、Z方向の中心線に対する傾斜角θが80°以下に設定されており、望ましくは傾斜角θ=40°〜80°である。
【0063】
また、超音波チス刃600A、600Bは、カソード12のおもて面、裏面に対する傾斜角度が所望の角度に調整されているので、刃先602A、602Bがカソード12のおもて面、裏面に接触するとき、傾斜刃604A、604Bはカソード12から僅かに離間している。
【0064】
上記チス刃604A,604Bの降下動作は、前述した実施形態1の超音波チス刃210A、210Bの場合と同様であるので、図8及び図9に示すように密着力が中央部に対して比較的弱い電着金属層Kの左右両端部から先に分離するように動作して電着金属層Kを効率良くカソード12から剥がすことが可能になる。
【0065】
また、実施形態3では、一対の超音波チス刃600A、600Bは、水平駆動機構610により水平方向(X方向)に移動可能に支持されている。水平駆動機構610は、図14に示されるように、超音波チス刃600A、600Bの上端に結合された支持棒606A、606Bと、支持棒606A、606Bに固定されたスライダ608A、608Bと、スライダ608A、608Bに連結されたタイミングベルト609A、609Bとを有する。さらに、水平駆動機構610は、昇降駆動機構620の空気シリンダのロッド622A、622Bにより昇降可能に支持された昇降ベース612と、昇降ベース612の正面に設けられ、タイミングベルト609A、609Bに噛合するギヤ614〜617とを有する。各ギヤ614〜617は、昇降ベース612に設けられたモータに回転駆動される。
【0066】
そのため、水平駆動機構610は、モータの回転方向を制御することによりスライダ608A、608Bを水平方向(X方向)に移動させることができるので、例えば、一対の超音波チス刃600A、600Bの昇降動作(Z方向動作)と連動して一対の超音波チス刃600A、600Bの水平方向の間隔(X方向の離間距離)を任意の距離に調整することが可能である。
【0067】
また、一対の超音波チス刃600A、600Bの刃先602A、602Bは、超音波発振器250A、250Bから入力された超音波により上下方向に高速振動しながらカソード12の左右端部に位置する離間距離に調整される。そのため、一対の超音波チス刃600A、600Bは、カソード12の上端で電着金属Kとの隙間24に挿入されるとき、高速振動しながらZ方向へ降下すると共に、X方向の離間距離を徐々に狭くして中央部の剥離を促進する。
【0068】
すなわち、超音波により加振された一対の超音波チス刃600A、600Bは、フレキシング工程が無くても電着金属層Kとカソード12との間に上方から同時に挿入されると、電着金属層Kとカソード12との密着力が中央部に対して比較的弱い左右両端部から容易に剥離を開始する。そして、各超音波チス刃600A、600BがZ方向へ降下するとともに各超音波チス刃600A、600Bをカソード12の中央部方向(近接方向)に向けて水平移動させることで、電着金属層Kは左右両側から挟まれるように剥がされてカソード12から完全に分離される。
【0069】
また、各超音波チス刃600A、600Bは、超音波発振器250A、250Bにより超音波が入力されて上下方向に高速で振動しながらZ方向へ降下と共に、上記水平方向(X方向)の近接・離間動作を繰り返すことでカソード12の全面から全ての電着金属層Kを分離させることが可能になる。
【0070】
さらに、左右に分散配置された一対の超音波チス刃600A、600Bは、各々独立した駆動機構で制御されているため、カソード12の位置が多少ずれている、またはカソード12が若干変形している場合にも、スムーズに電着金属層Kをカソード12から剥離することができる。
【0071】
また、カソード12の上部のビーム14の中央部から垂直に下した仮想平面(X方向とZ方向の2辺を有する垂直なX−Z平面)からの最大変位量をひずみ量とした場合、チゼリング工程で増加するひずみ量は、従来のチス刃31で平均2mmだったものが、本発明による一対の超音波チス刃600A、600Bを用いたことで平均1mmまで低減した。
【0072】
上記超音波チス刃600A、600Bを用いたチゼリング工程においては、フレキシング工程が不要になると共に、過剰な応力がカソード12に加わることなく、容易に電着金属層Kをカソード12から剥がすことが可能になる。そのため、平坦性を維持したカソード12を繰り返し操業で利用可能となり、電解槽内で電着金属が析出する過程で発生するカソードとアノードの短絡問題を抑制することが可能になる。さらに、その結果として製品である電気銅の電力原単位を低減することができる。
【0073】
また、超音波チス刃600A、600Bを用いることで剥離工程の効率が高まり、剥離工程における時間も20%程度短縮することが可能になる。さらに、フレキシング工程が無くなることで、フレキシング工程によるカソード12の損傷が抑制されるため、カソード12の修復作業も不要になり、カソード12のメンテナンスも容易に行える。
【0074】
尚、上記水平駆動機構610は、モータ、ギヤ、タイミングベルト等の組み合わせた駆動機構により一対の超音波チフ刃600A、600Bを水平方向(X方向)に移動させて離間距離を任意の距離に調整する構成としたが、これに限らず、他の形式(例えば、空気シリンダを水平方向に配置した駆動機構)でも良い。
【符号の説明】
【0075】
K 電着金属層
12 カソード
24 隙間
100、300、500 電着金属の剥離装置
110、310、510 チゼリング装置(分離手段)
200、400 主チス刃(分離器)
202、402 上端部
204、206、404、406、602A、602B、212A、212B 刃先
208、209、407、408、604A、604B 傾斜刃
210A、210B、600A、600B 超音波チス刃(分離器)
220、420、620 昇降駆動機構
230 加振装置
240 超音波制御部
250A、250B 超音波発振器
409 湾曲刃
606A、606B 支持棒
608A、608B スライダ
609A、609B タイミングベルト
610 水平駆動機構
612 昇降ベース
614〜617 ギヤ
622A、622B ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14