(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
強化繊維とマトリックス樹脂組成物を含むシート状のプリプレグを切断し、得られたプリプレグの切断品を予備賦形することで、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状が分割された部分形状を有する複数の部分プリフォームを得る工程(A)と、
前記複数の部分プリフォームを組み合わせた後、一体化させることで、前記目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状を有するプリフォームを得る工程(B)と、
前記プリフォームを加圧成形することで、繊維強化複合材料成形品を得る工程(C)とを含む、繊維強化複合材料成形品の製造方法であって、
前記工程(B)が、前記複数の部分プリフォームの間に発泡性樹脂を配して組み合わせることを含む、繊維強化複合材料成形品の製造方法。
前記部分プリフォームが、前記プリプレグの切断品を複数枚積層させて積層体を形成した後、予備賦形されたものである、請求項1に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
前記工程(B)が、前記複数の部分プリフォームの端面同士を突き合せて組み合わせる工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
前記工程(B)が、前記複数の部分プリフォームの端部同士を重ね合わせて組み合わせる工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
前記工程(B)が、前記複数の部分プリフォームの端部同士を、前記発泡性樹脂を介して重ね合わせて組み合わせる工程を含む、請求項6に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
前記複数の部分プリフォームが、複数の部分プリフォーム群からなり、それぞれの前記複数の部分プリフォーム群は、それぞれ異なる分割線パターンにより分割されたものが採用され、一の前記複数の部分プリフォーム群の分割線と、他の前記複数の部分プリフォーム群の分割線とが、互いに同一線上に重ならないように配置された複数の部分プリフォーム群を含むものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの態様は、強化繊維とマトリックス樹脂組成物を含むシート状のプリプレグを切断し、得られたプリプレグの切断品を予備賦形することで、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状が分割された部分形状を有する複数の部分プリフォームを得る工程(A)と、前記複数の部分プリフォームを組み合わせた後、一体化させることで、前記目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状を有するプリフォームを得る工程(B)と、前記プリフォームを加圧成形することで、繊維強化複合材料成形品を得る工程(C)とを含む、繊維強化複合材料成形品の製造方法であって、前記工程(B)が、前記複数の部分プリフォームの間に発泡材を配して組み合わせることを含む、繊維強化複合材料成形品の製造方法である。
また、本発明の別の態様は、前記繊維強化複合材料成形品の製造方法により得られる繊維強化複合材料成形品である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
<繊維強化複合材料成形品の製造方法>
[工程(A)]
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法の1つの態様において、工程(A)は、強化繊維とマトリックス樹脂組成物を含むシート状のプリプレグを切断し、得られたプリプレグの切断品を予備賦形することで、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状が分割された部分形状を有する複数の部分プリフォームを得る工程である。
【0014】
(シート状のプリプレグ)
本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料成形品の製造方法に用いるシート状のプリプレグは、強化繊維とマトリックス樹脂組成物とを含むシート状のプリプレグである。
プリプレグの形態は、強化繊維が一方向に引き揃えられたUDプリプレグであってもよいし、強化繊維が製織された織物プリプレグであってもよい。また、強化繊維が一方向に引き揃えられた複数の強化繊維シートをそれぞれ異なる方向に重ねて補助繊維で一体化した、いわゆるノンクリンプファブリック(NCF)からなるプリプレグであってもよい。
シート状のプリプレグの厚みは、0.1mm〜5.0mmであることが好ましく、0.4mm〜2.0mmがより好ましい。プリプレグの厚みが0.1mm未満では、その厚みが薄すぎて、得られる部分プリフォームの形状保持が困難となる。また、プリプレグの厚みが5.0mmを超えると、その厚みが厚すぎて、賦形が困難となり、得られた賦形品にシワなどが発生する可能性がある。すなわち、プリプレグの厚みが0.1mm〜5.0mmであれば、部分プリフォームの形状保持が容易であり、更に、賦形品にしわ等が発生する可能性が低いため好ましい。また、後述するように、部分プリフォームとして、プリプレグの切断品を複数枚積層させて形成された積層体を使用する場合には、プリプレグの厚みとして、0.03〜1mmであることが好ましく、0.1〜0.5mmであることがより好ましい。プリプレグの厚みは、外側マイクロメーターやペーパマイクロメーターによって測定することができる。
また、使用されるシート状のプリプレグの大きさとしては、幅が0.1〜2m、長さが0.1〜200mであるプリプレグを例示することができる。
【0015】
(強化繊維)
本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料成形品の製造方法に用いる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、高強度ポリエステル繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、及びナイロン繊維などが挙げられる。これらの中でも比強度および比弾性に優れることから、炭素繊維が好ましい。
本発明の1つの態様において、プリプレグ中の強化繊維の含有量は、プリプレグの総質量に対して、50〜80質量%であることが好ましく、65〜75質量%であることがより好ましい。
【0016】
(マトリックス樹脂組成物)
本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料成形品の製造方法に用いるマトリックス樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、及びベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、硬化後の強度を高くできることから、エポキシ樹脂が好ましい。
また、プリプレグ中には、上記のそれぞれの樹脂に適合した硬化剤(エポキシ樹脂であればアミン化合物等のエポキシ樹脂硬化剤)、ステアリン酸塩等の内部離型剤、シリコーンオイル等の脱泡剤、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、またはカーボンブラック、炭酸カルシウム微粒子、水酸化アルミニウム微粒子等の充填材などの各種添加剤などが含まれてもよい。
【0017】
(部分プリフォーム)
本発明の1つの態様において、部分プリフォームは、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状が分割された部分形状を有する。また、部分プリフォームは、本発明の工程(B)を経ることにより、プリフォームを得るためのものである。このような部分形状を有する部分プリフォームは、シート状のプリプレグを切断し、得られたプリプレグの切断品を予備賦形することで形成することができる。なお、部分プリフォームを製造するにあたって、プリプレグの切断品を複数枚積層させて積層体を形成した後、前記積層体を予備賦形することで形成してもよい。この場合の本発明の1つの態様において、部分プリフォームは、プリプレグを複数枚積層させた積層体から構成される。これらのような部分プリフォームの形成方法の一例を以下に示す。
(1)目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状から、シミュレーションにより部分形状を決定する。
(2)部分形状から平面形状を決定する。
(3)シート状のプリプレグを平面形状に合わせて切断して、プリプレグの切断品を得る。
(4)必要に応じて、プリプレグの切断品を複数枚積層させて、積層体を得る。
(5)プリプレグの切断品、若しくは積層体を予備賦形して部分プリフォームを得る。
なお、完成品である繊維強化複合材料成形品の強度を向上させることができるため、部分プリフォームは、プリプレグの切断品を複数枚積層させた積層体を予備賦形して製造されていることが好ましい。
【0018】
((1)部分形状の決定)
部分形状は、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状から、シミュレーションにより決定して得られる形状である。部分形状は、後にプリプレグの切断品、若しくはプリプレグの切断品を複数枚積層させて得た積層体を予備賦形して部分プリフォームを作製する際に、無理のない予備賦形が可能な形状が採用される。ここで目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状からシミュレーションして決定された複数の部分形状の切断ラインを「分割線」、そのパターンを「分割線パターン」と定義する。
より具体的には、前記プリプレグの切断品、若しくは積層体を多少伸ばしたり、突っ張らせたり(以下、この変形を「せん断変形」と言う。)させて予備賦形できる形状であれば、本発明の実施形態に係る部分形状として用いることができる。また、後の予備賦形をより容易にできることから、せん断変形をさせることなく、例えば折り曲げたり、湾曲させたりするのみで賦形できる形状を用いることがより好ましい。
【0019】
また部分形状の大きさとしては、前述のせん断変形が容易に行える大きさであればよく、特に限定されない。また、部分形状を全て組み合わせたときには、目的の繊維強化複合材料成形品の立体形状と同一となるように決定されることが好ましい。なお、本発明において、形状を有する、あるいは、形状が同一、と言う場合には、工程(C)における加圧成形を行った際に、例えば、製造された繊維強化複合材料成形品と同一の形状ならびに寸法(但し、成形品の板厚みを除く)を持つものが製造されうる形状ならびに寸法を有する、あるいは製造された繊維強化複合材料成形品の形状ならびに寸法(但し、成形品の板厚みを除く)と同一であることを意味する。即ち、ほぼそのような形状ならびに寸法(但し、成形品の板厚みを除く)を持つ形状ならびに寸法を有する、あるいは、ほぼその形状ならびに寸法(但し、成形品の板厚みを除く)が同一であることを意味する。
【0020】
従って、本発明において、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状からシミュレーションして決定された複数の部分形状は、全て組み合わされたとき、ほぼ目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状と同一となる。組み合わされたときにほぼ目的とする繊維強化複合材料成形品の形状と同一となる、これらの複数の部分形状の集合を、「部分形状群」と呼ぶ。つまり、前記部分形状群とは、一組の分割線パターンにより分割された複数の部分形状の集合を言う。また、部分形状群のそれぞれの形状に切断されたプリプレグ、若しくはそれらの積層体から製造された部分プリフォームの集合を「部分プリフォーム群」と呼ぶ。上記では、ある1つの方法による部分形状の決定方法について述べたが、それぞれの部分形状の一部、若しくは全部の形状が異なる、別の分割線パターンによって切断される部分形状群、若しくは部分プリフォーム群も想定しうる。この場合、異なる分割線パターンによって各々切断された複数の部分形状群は、それらの部分プリフォーム群同士を重ね合わせたときに、厚み方向にそれぞれの分割線が同一線上に重ならないように分割線を配置することが好ましい。言い換えると、複数の異なる分割線パターンを作成する場合は、それらから各々製造される、複数の部分プリフォーム群を重ね合わせたときに、厚み方向にそれぞれの分割線が同一線上に重ならないようにそれぞれ分割線が配置されていることが好ましい。
このような方法によって部分形状を決定することで、成形品の繊維が、特定の部分プリフォームの端部で切断されていても、これに重ね合わされた他の部分プリフォームにおいて応力を分散させて伝達することができる。従って、得られた成形品の強度低下を防ぐことが可能となる。
【0021】
((2)部分形状から平面形状の決定)
平面形状とは、予備賦形によって前述の部分形状を作製することができる形状であって、部分形状が立体構造を有する場合には、その立体構造を平面上に展開した形状である。つまり、プリプレグの切断品、若しくはその積層体を予備賦形する前の形状である。平面形状の決定方法としては、例えば、あらかじめ大きくカットしたシート状のプリプレグ、若しくはそれらを複数枚積層させた積層体を、部分形状と同一の形状の型を用いて人手などで賦形した後、外周部分をトリミングして所望の部分形状を有する賦形品を得て、その後、前記賦形品を型から取り出し、引き伸ばして2次元形状に戻した後、その形状をスキャナーで取り込んだり、3次元測定機で外周形状を計測したりすることで、平面形状を決定する方法が挙げられる。
【0022】
また成形品の形状の3次元CADデータがあれば、当該3次元CADデータから所望の部分形状のデータを抽出し、その部分形状のデータを展開した平面形状データが作成できるようなソフトウェア(例えば、Siemens PLM Software社製、製品名:FiberSim)を用いることで、平面形状を決定することもできる。得られる平面形状の精度を高められることから、ソフトウェアを用いて平面形状を決定することが好ましい。
【0023】
((3)シート状のプリプレグの平面形状に合わせた切断)
シート状のプリプレグを上述した所望の平面形状が得られるように切断する方法としては、はさみなどを用いて切断してもよいし、2次元CADデータがあれば、カッティングプロッターを用いて前記データに基づいて切断してもよい。切断形状の精度を高めることができることから、カッティングプロッターを用いて切断することが好ましい。
【0024】
((4)切断したプリプレグの積層)
次に、後述の部分プリフォームとして、シート状のプリプレグを複数枚積層させた積層体を使用する場合には、プリプレグの切断品を積層させて所望の積層構成を有する積層体を得る。積層構成としては、一方向積層、直交積層、疑似等方積層など、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、積層体をせん断変形させやすい点から直交積層が好ましい。また、積層体を構成するプリプレグの枚数としては、2〜20枚を挙げることができる。好ましくは2〜10枚であり、3〜7枚であることが特に好ましい。
また、積層体の厚みとしては0.1mm〜5.0mmであることが好ましく、0.4mm〜2.0mmがより好ましい。積層体の厚みが0.1mm未満では、その厚みが薄すぎて、後に得られる部分プリフォームの形状保持が困難となるだけでなく、目的とする繊維強化複合材料成形品を得るために必要な部分プリフォームの数、および、積層作業の回数が増えることで作業効率が低下する。また、積層体の厚みが5.0mmを超えると、その厚みが厚すぎて、賦形が困難となり、得られた賦形品にシワなどが発生する可能性がある。すなわち、積層体の厚みが0.1mm〜5.0mmであれば、部分プリフォームの形状保持が容易であり、積層作業の作業効率が容易であり、更に、賦形品にしわ等が発生する可能性が低いため好ましい。積層体の厚みは、前述のプリプレグの厚みを測定する方法を使用することができる。
【0025】
((5)プリプレグの切断品、若しくは積層体の予備賦形)
そして、前記プリプレグの切断品、若しくは積層体を所望の方法によって予備賦形することで部分プリフォームを得る。即ち、本発明における「予備賦形」とは、平面形状を有するプリプレグの切断品、若しくは積層体を、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状からシミュレーションして決定された、立体形状を含む部分形状へと形状を変えることを意味する。
部分プリフォームを得るための方法としては、例えば、人手による型への貼り込みによりプリプレグの切断品、若しくは積層体を予備賦形してもよい。また、型にプリプレグの切断品、若しくは積層体を配置して、その上部からゴム膜などを配置した後に、内部を真空引きしてゴム膜を圧着させることでプリプレグの切断品、若しくは積層体を予備賦形してもよい。更に簡便な成形機に雄型及び雌型を配置し、雄型及び雌型でプリプレグの切断品、若しくは積層体を挟圧することで予備賦形してもよい。このうち、大きな形状であっても短時間で賦形できることから、雄型及び雌型で挟圧することによりプリプレグの切断品、若しくは積層体を予備賦形することが好ましい。
なお、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状が分割された部分形状を有する複数の部分プリフォームは、全てが同一の形状であってもよいし、一部が同一の形状であってもよいし、全てが異なる形状であってもよい。ある態様としては、前記複数の部分プリフォームは全てが同一の形状である。別の態様としては、前記複数の部分プリフォームは一部が同一の形状である。さらに別の態様としては、前記複数の部分プリフォームは全てが異なる形状である。さらに別の態様としては、前記複数の部分プリフォームは全てが同一の形状ではない。
さらに、簡便な成形機を複数機準備して、それを同時に稼働させる方法であれば、複数種類の部分プリフォームを同時に製作することができるため、大幅な工程短縮が可能であり、好ましい。
【0026】
[工程(B)]
本発明の1つの態様において、工程(B)は、工程(A)で得られた複数の部分プリフォームを組み合わせた後、一体化させることで、前記目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状を有するプリフォームを得る工程である。また、前記工程(B)は、前記複数の部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の間に発泡材を配して組み合わせることを特徴とする。
なお、本発明の1つの態様として、一の部分プリフォーム群と、異なる分割線パターンにより分割された他の部分プリフォーム群を一体化する工程において、それらの部分プリフォーム群の間に発泡材を配して組み合された態様を挙げることができる。
【0027】
(発泡材)
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法の1つの態様において、発泡材とは、発泡性を有する樹脂(以下、「発泡性樹脂」と言うことがある。)を含むものを挙げることができる。その態様としては、発泡性樹脂をフィルム状に成形したもの(以下、「発泡性を有する樹脂フィルム」又は「発泡性フィルム」と言うことがある。)であり、発泡させることで発泡体となるものであってもよいし、発泡性樹脂をそのまま塗布して、発泡させることで発泡体となるものであってもよいし、発泡性樹脂の塊を発泡させることで発泡体としてもよい。前記発泡材は、所望の温度で所望の発泡倍率を有する発泡材であることが好ましい。また、プリプレグの硬化温度で硬化可能であることが好ましい。ここで、「所望の温度」とは、プリフォームを成形型で圧縮成型する時の金型温度のことを指し、具体的には、120〜160℃の温度のことを指す。
発泡性フィルムは、フィルム状に成形されているため、前記部分プリフォームと部分プリフォームの間に配置して組み合わせることでプリフォームを容易に得ることができ、作業効率を向上させるため、発泡材として、発泡性フィルムを用いることが特に好ましい。また、発泡性樹脂をそのまま塗布する場合には、一方の部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の片面に発泡性樹脂を塗布し、この部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の発泡性樹脂を塗布した面に、さらに別の部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群を重ね合わせてプリフォームとすることができる。また、発泡性樹脂の塊を使用する場合には、部分プリフォーム間、若しくは部分プリフォーム群間に配置して、それを圧縮することにより発泡性樹脂の塊を押し広げ、さらに別の部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群を重ね合わせてプリフォームとすることができる。あるいは、部分プリフォーム間、若しくは部分プリフォーム群間に発泡性樹脂の塊を配置して、さらに別の部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群を重ね合わせてから圧縮することにより発泡性樹脂の塊を押し広げ、プリフォームとすることもできる。なお、部分プリフォーム間、若しくは部分プリフォーム群間に発泡性樹脂の塊を配置する場合には、発泡性樹脂をいくつかの塊に分けて、例えば等間隔に、あるいは間隔を変えて配置してもよい。また、発泡性樹脂の塊は、圧縮により押し広げられる程度の硬さであることが好ましく、例えば、1〜1000Pa・sの粘度で使用することが好ましい。
また、本発明において使用される発泡材は、発泡体がプリフォームにおける部分プリフォーム間の隙間を塞ぐことにより、強化繊維の蛇行やボイドの発生を抑制するため、適切な体積膨張倍率を示す必要がある。その体積膨張倍率としては、前記所望の温度における体積膨張倍率が1.1〜20倍、好ましくは1.5〜15倍、さらに好ましくは2〜10倍であることが好ましい。なお、体積膨張倍率は、常圧下において前記所望の温度において発泡材を発泡させたときの、発泡後の体積を発泡前の体積で除することにより求めることができる。発泡前、及び発泡後の発泡材の体積は、例えば、室温の液体中に発泡材を沈めた時の液体嵩の変化により求めることができる。
【0028】
(発泡性樹脂)
本発明の1つの態様において、前記発泡性樹脂は、熱硬化性樹脂と発泡剤とを含む樹脂組成物であることが好ましい。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。これら熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。このうち、発泡体の強度を高くできることから、エポキシ樹脂を主成分として含むエポキシ樹脂組成物であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、樹脂組成物の総質量に対して、50質量%以上含まれる成分のことを意味する。また、上述のシート状のプリプレグに含まれる樹脂組成物と、発泡材を構成する樹脂組成物とに含まれる樹脂成分としては、同一であっでも異なっていてもよいが、プリプレグと発泡材との接着強度を高められることから、同一の樹脂を主成分として含む樹脂組成物であることが好ましい。
【0029】
(発泡剤)
前記発泡剤としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、炭酸水素ナトリウム、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体などの加熱発泡剤、または、イソペンタン等の低沸点の炭化水素を熱可塑性樹脂のマイクロカプセルでくるんだ熱膨張性マイクロカプセルを用いることができる。このうち、成形性の観点から、熱膨張性マイクロカプセルを発泡剤として用いることが好ましい。
【0030】
(発泡材の発泡方法)
発泡材を発泡させる方法としては、発泡性樹脂が加熱発泡剤を含有する場合は、発泡剤の熱分解温度まで加熱する加熱発泡が好ましい。また、化学反応によって二酸化炭素等のガスを発生させることによって発泡させる化学発泡であってもよい。また、発泡性樹脂が熱膨張性マイクロカプセルを含有する場合は、マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂が軟化する温度まで加熱することが好ましい。
【0031】
発泡材の発泡倍率としては、発泡材が発泡性フィルムである場合、発泡性フィルムの厚み方向に対して1.0〜10倍であることが好ましく、1.0〜5.0倍であることがより好ましい。発泡倍率が1.0倍未満では、発泡による上述の効果が得られず、10倍を超えると、成形時にプリプレグ中の強化繊維が屈曲されてしまい、最終的に得られる成形品の強度が損なわれる恐れがある。すなわち、発泡性フィルムの発泡倍率が上記範囲内であれば、発泡体が部分プリフォーム間の隙間を埋めて、強化繊維の蛇行やボイドの発生を抑制し、かつ最終的に得られる成形品の強度を損なうことがないため好ましい。この好ましい発泡倍率は、発泡性樹脂を塗布した場合、発泡性樹脂の塊を用いた場合にも同様である。
なお、発泡材の発泡倍率とは、プリフォームを加圧成形した際の発泡材の厚みの、加圧成形前後の変化を意味し、発泡材が発泡性フィルムである場合、成型後の発泡性フィルム、すなわち発泡体の厚みを、成型前の発泡性フィルムの厚みで除した値のことを指す。また、発泡体の厚みは、発泡性フィルムを用いた成形品の厚みから、その厚みを測定した部位に含まれるプリプレグのみを同様の条件で圧縮成形して得られる成形物の厚みを差し引いた値として求めることができるが、発泡体を含む成形品の断面が得られるように、成形品をダイヤモンドカッターで切断し、その切断面を光学顕微鏡(例えば、キーエンス社製マイクロスコープVHX−100)を用いて観察して、発泡体部分の厚みを測定することによっても求めることができる。発泡材として発泡性樹脂を塗布する場合には、上記と同様にして、発泡体の厚みを、成形前の発泡性樹脂の厚みで除して求めることができる。また、発泡材として発泡性樹脂の塊を用いる場合にも、上記と同様に、発泡体の厚みを、成形前の発泡性樹脂の厚み(部分プリフォーム間、若しくは部分プリフォーム群間に発泡性樹脂の塊を配置し、圧縮して部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の発泡性樹脂を行き渡らせた状態における発泡性樹脂の厚み)で除して求めることができる。
【0032】
(発泡材の製造方法)
本発明の1つの態様において、発泡性フィルムは、前述の熱硬化性樹脂と発泡剤とを含む樹脂組成物を、発泡、及び硬化が行われない温度にまで加温した後、コーターを用いてフィルム成形される。このような方法で得られた発泡性フィルムの厚みとしては、0.01mm〜10.0mmであることが好ましく、0.2mm〜5.0mmであることが好ましい。発泡性フィルムの厚みが、0.01mm未満では、発泡性フィルムの厚みが薄すぎて取り扱い性に劣り、10.0mmを超えると、積層体の厚みに対して発泡性フィルムが厚すぎるため、最終的に得られる成形品の強度が損なわれる恐れがある。すなわち、発泡性フィルムの厚みが上記範囲内であれば、最終的に得られる成形品の強度を損なわず、発泡性フィルムの取り扱い性も良好であるため好ましい。
発泡材として発泡性樹脂を塗布して使用する場合には、前述の樹脂組成物を、発泡、及び硬化が行われない温度にまで加温した後、コテ、ヘラ、またはハケを用いて部分プリフォーム上に直接塗布してもよいし、または、カートリッジガンなどの吐出装置を用いて部分プリフォーム上に吐出塗布してもよい。塗布される発泡性樹脂の厚みとしては、0.01mm〜10.0mmであることが好ましく、0.2mm〜5.0mmであることが好ましい。塗布された発泡性樹脂の厚みが、0.01mm未満では、塗布された発泡性樹脂の厚みが薄すぎて本発明の効果を発揮しにくく、10.0mmを超えると、積層体の厚みに対して塗布された発泡性樹脂が厚すぎるため、最終的に得られる成形品の強度が損なわれる恐れがある。すなわち、塗布された発泡性樹脂の厚みが上記範囲内であれば、最終的に得られる成形品の強度を損なわず、本発明の効果を十分に発揮することができるため好ましい。
発泡材として発泡性樹脂の塊を使用する場合には、前述の樹脂組成物を、前記部分プリフォーム間、若しくは部分プリフォーム群間に配置し、発泡、及び硬化が行われない温度にまで加温した後、人手により、若しくは、発泡性樹脂の塊を配置した部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群を型に配置して、その上部からゴム膜などを配置した後に、内部を真空引きしてゴム膜を圧着させることにより押し広げる。押し広げられた発泡性樹脂の厚みとしては、0.01mm〜10.0mmであることが好ましく、0.2mm〜5.0mmであることが好ましい。圧縮された発泡性樹脂の厚みが、0.01mm未満では、圧縮された発泡性樹脂の厚みが薄すぎて本発明の効果を発揮しにくく、10.0mmを超えると、積層体の厚みに対して圧縮された発泡性樹脂が厚すぎるため、最終的に得られる成形品の強度が損なわれる恐れがある。すなわち、圧縮された発泡性樹脂の厚みが上記範囲内であれば、最終的に得られる成形品の強度を損なわず、本発明の効果を十分に発揮することができるため好ましい。
【0033】
(発泡性を有する樹脂フィルムの賦形)
また、本発明の1つの態様において、発泡性フィルムは後に部分プリフォームと組み合わせることを考慮して、予め所望の形状に賦形しておくことが好ましい。
賦形の方法としては、人手ないしは機械による型への貼り込みであってもよく、発泡性フィルムを型に配置して、その上部からゴム膜などを配置した後に、型の内部を真空引きしてゴム膜を圧着させることで賦形する方法であってもよい。また、簡便な成形機に雄雌型を配置し、これら雄雌型で狭圧することで賦形する方法であってもよい。
【0034】
(プリフォーム)
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法において、プリフォームは、目的とする繊維強化複合材料成形品の立体形状を有するものであって、前述の複数の部分プリフォームに発泡材を配して組み合わせた後、一体化させることによって得ることができる。
部分プリフォームを組み合わせる際、一部の部分プリフォームに欠けがあったり、厚さ方向と直交する方向において隣り合う部分プリフォームの端部同士が、厚さ方向に大きく重なっていたり、大きく隙間が開いていたりすると、プリフォームの厚みが不均一な部分が発生する。そのため、圧縮成型時に前記部分に加わる圧力が不均一になることで、得られる成形品には、大きな強化繊維の蛇行が発生し、その結果、成形品の強度が大きく低下するという問題があるため、そのような問題が発生しないように部分プリフォームを組み合わせることが好ましい。
本発明の1つの態様において、部分プリフォームを組み合わせる方法としては、複数の部分プリフォームの端面同士を突き合せて組み合わせる方法であってもよく、複数の部分プリフォームの端部同士を重ねあわせて組み合わせる方法であってもよい。
【0035】
本発明の1つの態様において、部分プリフォームに発泡材を配置する方法は、プリフォーム全体に発泡材が行き渡るように、部分プリフォームと部分プリフォームとの間、若しくは部分プリフォーム群と部分プリフォーム群との間に挿入して配置する方法であってもよい。この際、これらの部分プリフォーム群は、それぞれ異なる分割線パターンにより分割されたものを採用し、一の部分プリフォーム群の分割線と、他の部分プリフォーム群の分割線とが、互いに同一線上に重ならないように配置されていることが好ましい。部分プリフォームと部分プリフォームの間に挿入して配置する場合、具体的には、型に配置した部分プリフォームの表面(すなわち、外気と接する側の面)に発泡材を、部分プリフォームの形状に沿うように配置する方法であってもよい。即ち、発泡性フィルムを用いる場合には、型に配置した部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の形状に沿って、予め賦形した発泡性フィルムを配置してもよい。また、発泡性樹脂を塗布する場合には、型に配置した部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の全面に発泡性樹脂を塗布してもよい。また、発泡性樹脂の塊を使用する場合には、適切な位置(複数箇所であってもよい。)に、発泡性樹脂の塊を配置し、前述した賦形方法により、型に配置した部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群の全面に発泡性樹脂が行き渡るように押し広げてもよい。また、発泡性フィルムは、組み合される前の部分プリフォームの表面に配置されてもよく、複数の部分プリフォームを組み合わせて得られる1つの部分プリフォーム群の表面に配置されてもよい。
また、本発明の1つの態様において、複数の部分プリフォームの端面同士を突き合せる際に、突き合せ部分とその周辺部にのみ発泡材を配置してもよい。また複数の部分プリフォームの端部同士を重ねあわせる際に、その重ね合わせ部分とその周辺部にのみ発泡材を配置してもよい。ここで、「周辺部」とは、複数の部分プリフォームの端面同士を突き合せる箇所、または複数の部分プリフォームの端部同士を重ねあわせる箇所から、10mmまでの範囲のことを指す。
また、本発明の1つの態様においては、複数の部分プリフォームの端部同士を重ね合わせる際に、複数の部分プリフォームの端部同士を、発泡材を介して重ね合わせて組み合わせる方法であってもよい。また、発泡性フィルムは上記重なり部分と同じ形状ならびに寸法にカットして、上記重なり部分に挟み込むことが好ましい。このように、部分プリフォームの端部同士を重ね合わせる際に、発泡性フィルムを介して重ね合わせることで、部分プリフォームの隙間を塞ぐのに必要な発泡性フィルムの量を低減できるため好ましい。また、発泡性樹脂を塗布する場合においても、前記突き合わせ部分とその周辺部にのみ、又は前記重ね合わせ部分とその周辺部にのみ発泡性樹脂を塗布すれば、部分プリフォームの隙間を塞ぐのに必要な発泡性樹脂の量を低減できるため好ましい。また発泡性樹脂の塊を使用する際にも、前記突き合わせ部分とその周辺部にのみ、又は前記重ね合わせ部分とその周辺部にのみ発泡性樹脂が行き渡るように発泡性樹脂の塊を配置すれば、部分プリフォームの隙間を塞ぐのに必要な発泡性樹脂の量を低減できるため好ましい。
【0036】
本発明の1つの態様によれば、このように発泡材と部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群を組み合わせることにより、部分プリフォーム、若しくは部分プリフォーム群を組み合わせる際、隣り合う若しくは重なり合う部分プリフォーム同士の間にわずかな隙間が生じた場合であっても、プリフォームの圧縮成型時に発泡材が上記隙間を塞ぐように発泡することで、強化繊維の蛇行やボイドの発生を抑制することができる。
また、不均一な厚みを有するプリフォームを圧縮成型する際、プリプレグの厚みがばらつくことによって、プリフォームの厚みと金型のクリアランスが合わなかったとしても、発泡材が上記クリアランスとプリフォームの厚みとの差を塞ぐように発泡することで、成形不良を防ぎ、得られた繊維強化複合材料成形品の品質を安定して確保することができる。
【0037】
また、部分プリフォームに発泡材を配して組み合わせた後、これら部分プリフォームを一体化させる方法としては、例えば、ただ単に、人手によって全ての部分プリフォームを配置して一体化させる方法であってもよく、型に全ての部分プリフォームを配置して、その上部からゴム膜などを配置した後、内部を真空引きして、ゴム膜を部分プリフォームを介して型に圧着させることでプリフォームを製作してもよい。また、簡便な成形機に雄型及び雌型を配置し、片方の型に部分プリフォームを全て配置した後、もう片方の型を閉じて、雄型及び雌型で部分プリフォームを挟圧させることでプリフォームを製作してもよい。部分プリフォームの間にある空気を除去しやすいことから、真空引きして、ゴム膜を部分プリフォームを介して型に圧着させる方法が好ましい。ここで、一体化させるとは、目的とする繊維強化複合材料成形品と同一の立体形状になるように組み合された前記複数の部分プリフォームと発泡材とを、工程(C)である加圧成形工程を行える程度に一つのまとまりとすることを意味する。この際、工程(C)への移送に際して、一体化された前記複数の部分プリフォームと発泡材とがずれを生じない程度に一つのまとまりとなっていることが好ましい。
【0038】
[工程(C)]
工程(C)は、上記工程(B)にて制作したプリフォームを、プリフォームの厚みに応じたクリアランスが設定されている金型内に投入し、プレス機を用いて所望の温度、圧力によって加熱加圧することでプリフォームを硬化させて、目的とする繊維強化複合材料成形品を得る工程である。
その際、金型は所望の温度に調温しておき、加圧成形した後、その温度のまま成形品を取り出すことが好ましい。このように行うことで、金型の昇降温をする必要が無くなり、成形サイクルを短縮することができる。従って、生産性を高くすることができる。
【0039】
<繊維強化複合材料成形品>
本発明のその他の態様は、前述の繊維強化複合材料成形品の製造方法によって得られる繊維強化複合材料成形品である。本発明の繊維強化複合材料成形品は、複数の部分プリフォームの間の少なくとも一部に、発泡体が配置されていることを特徴とする。なお、前述の通り、「発泡体」とは、発泡材に含まれる発泡性樹脂中の発泡剤が、上記の加熱加圧によるプリフォームの硬化の際に発泡して形成された発泡材に相当する部分である。
このように複数の部分プリフォームの間の少なくとも一部に、発泡体が配置されていることにより、本発明の繊維強化複合材料成形品は、強化繊維の蛇行やボイドの発生が抑制され、安定した物性を示すことができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、
図1に示した形状を有する成形品1を得るための繊維強化複合材料成形品の製造方法について記載する。
まずは、成形品1の形状を
図2に示すように部分形状2と部分形状3に分割した。また、
図3に示すように部分形状4と部分形状5に分割した。これらが各々、一組の部分形状群である。
部分形状2と部分形状3から得られる分割線と部分形状4と部分形状5から得られる分割線は同一の線上に重ならないように設定されている。
【0041】
その後、成形品1の3次元CADデータから、部分形状2、部分形状3、部分形状4、及び部分形状5の3次元CADデータを抽出した。
【0042】
次に、
図4、
図5に示すように、部分形状2の3次元CADデータから平面形状作成ソフトウェア(Siemens PLM Software社製、製品名:FiberSim)を用いて、平面形状20を作成した。同様に、部分形状3から平面形状30を、部分形状4から平面形状40を、部分形状5から平面形状50を作成した。
【0043】
次に一方向に引き揃えた炭素繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸したプリプレグシート(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR391E250S、1枚あたりの厚み:0.22mm)を準備した。
【0044】
カッティングプロッターを用いて前記プリプレグシートを、
図4の矢印方向が、炭素繊維の配向方向と一致するように、すなわち、炭素繊維の配向角度が0°となるように、平面形状20と同一の形状に3枚切断した。更に、
図4の矢印方向が、炭素繊維の配向方向と直交するように、すなわち、炭素繊維の配向角度が90°となるように、平面形状20と同一の形状に2枚切断した。
この切断したプリプレグシートを炭素繊維の配向方向が0°/90°/0°/90°/0°となるように積層して、積層体6を作製した。
【0045】
次に、
図6の(a)に示す、平面形状20の形状を有する積層体6を、部分形状2に予備賦形するために必要な雄雌型(雌型7、雄型8)と、それを作動させるための成形機9を準備して、成形機9に雌型7と雄型8を配置した。ここで、「雌型」、および「雄型」とは、一方の型の凸部、または凹部に、他方の型の凸部、または凹部が対応する一対の型のことを意味する。本明細書においては、積層体6の上部に位置する可動型を雌型7とし、下型の固定型を雄型8として記載する。
【0046】
続いて、
図6の(b)に示すように、積層体6を、雄型8の上に配置した後、赤外線ヒーター10にて積層体6の表面温度が約60℃となるように加熱した。加熱した後、
図6の(c)に示すように雌型7を下降させて雄雌型を閉じて、積層体6を予備賦形した。
【0047】
引き続き、雄雌型にエアーを吹き付けて積層体6を冷却した後、雌型7を上昇させて、
図6の(d)に示すように、雄型8から部分形状2に予備賦形された部分プリフォーム21を取り出した。
また、部分形状3、4、5についても、上記と同様の操作を行って部分プリフォーム31、41、51を得た。これらのうち、部分プリフォーム21及び部分プリフォーム31が一組の部分プリフォーム群であり、部分プリフォーム41及び部分プリフォーム51が別の一組の部分プリフォーム群である。
【0048】
次に、所定温度で所定倍率まで発泡するように調整された発泡エポキシ樹脂組成物(ナガセケムテックス株式会社製 HAP−0)を30℃に調温し、その後、コーターにて0.5mmの厚みに製膜して、発泡性フィルムを作成した。
【0049】
その後、成形品1の形状を有するプリフォーム型11を準備し、その上から前記発泡性フィルムを配置し、プリフォーム型11と同一形状となるように人手で賦形した。これにより、所望の形状を有する発泡性フィルム12を得た。
発泡性フィルムは非常に柔らかいため、容易に所望の形状へ賦形することが可能であった。
【0050】
次に、
図7の(a)に示すように、プリフォーム型11を準備し、その上に部分プリフォーム21、31を配置した。この際、部分プリフォームを組み合わせる際のばらつきを想定して、意図的に部分プリフォーム21と31との隙間が5mm程度形成されるように配置した。
その上から先ほど賦形した発泡性フィルム12を配置し、またその上から部分プリフォーム41、51を配置した。このときは、隣り合う部分プリフォームどうしが大きく重なったり、大きく隙間が開いたりしないように配置した。
【0051】
その後、プリフォームの上部からゴム膜を配置した後、内部を真空引きしてゴム膜を圧着させることで部分プリフォームどうしを一体化させて、
図7の(b)に示すようにプリフォーム60を得た。
図8に本実施例の形態に係るプリフォームの斜視図を示す。また、
図9に、
図8のプリフォームをA−A線に沿って切断した際の断面図を示す。
【0052】
その後、プリフォーム60の厚みに合わせたクリアランスが設けられた成形型を用意し、それを140℃まで加熱した。その後、成形型の下型にプリフォーム60を配置し、これを上型で挟み10分間保持して、加熱加圧を行うことで、繊維強化樹脂成形品を得た。
成形時に発泡性フィルムが発泡し、あらかじめ部分プリフォーム21、31との間に形成されていた隙間70を発泡体13が埋めることで、得られた成形品には強化繊維の蛇行やボイドが見られなかった。
図10に本実施例の形態に係る成形品の斜視図を示す。また、
図11に、
図10の成形品をB−B線に沿って切断した際の断面図を示す。
【0053】
(実施例2−1)
本実施例では、
図12に示した肉厚変化部を有する成形品100を得るための繊維強化複合材料成形品の製造方法について記載する。
【0054】
まずは、成形品100の形状を幾つかの部分形状に分割して、前記部分形状となるような部分プリフォーム200、300、400、500と所望の形状を有した発泡性フィルム600を製作した。
使用したプリプレグシート、積層構成、部分プリフォームの製作方法は実施例1と同様に行った。また、使用した発泡エポキシ樹脂組成物、発泡性フィルムの製作及び賦形方法も実施例1と同様に行った。
【0055】
前記部分形状プリフォームと所望の形状を有した発泡性フィルムを
図13に示した断面形状を有するように組み合わせてプリフォーム700を製作した。部分プリフォームと発泡性フィルムとを一体化させる方法としては実施例1と同様に行った。
また、
図13に示したプリフォーム700の各部位の厚みを表1に示す。
【0056】
その後、
図14に示した断面形状を有し、厚み方向に対して表1に示したクリアランスが設けられた成形型800を用意した。それを140℃まで加熱した後、
図15に示すように、下型810にプリフォーム700を配置した後、上型820で挟み10分間保持して、加熱加圧を行うことで、繊維強化樹脂成形品を得た。得られた成形品には強化繊維の蛇行やボイドが見られなかった。
成形品の各部位の厚みと成形時における金型のクリアランスを表1に示す。
表1において、厚み測定部位A及びCは、得られたプリフォームの各端面から、25mmの位置であり、厚み測定部位Bは部分プリフォーム重ね合わせ部の中央の位置である。
また、プリフォームの厚みとは、プリフォームのそれぞれの測定部位における厚みを、測定面が6.35φの平面であり、ねじピッチ0.5mmのスピンドルを持つ外側マイクロメーターを用いて測定した値である。成形品の厚みとは、成形品のそれぞれの測定部位における厚みを、同じ外側マイクロメーターを用いて測定した値である。
一方、プリフォームにおけるプリプレグ部分の厚みとは、それぞれの部分プリフォームの、厚み測定部位A、BおよびCに対応する部位の厚みを、同じ外側マイクロメーターを用いて測定した値を合計した値であり、発泡性フィルム部分の厚みとは、部分プリフォームの間に配置する前の発泡性フィルムの厚みを、予め、測定面が14.3φの平面であり、8.02±08Nの定圧装置を備えた直進式スピンドルを持つペーパマイクロメーター(株式会社ミツトヨ製 PPM−25)を用いて測定した値である。
また、成形品におけるプリプレグ部分の厚みとは、それぞれの実施例および比較例に用いたものと同一ロットのプリプレグを用いて作成した部分プリフォームを、発泡性フィルムを用いずに組み合わせてプリフォームとした後に圧縮成形して得られた対照用成形品の厚みを同じ外側マイクロメーターを用いて測定した値であり、発泡体の厚みとは、成形品の厚みから成形品におけるプリプレグ部分の厚みを差し引いた値である。
【0057】
(実施例2−2)
プリプレグ製造時のばらつきを想定し、プリプレグに使用されている炭素繊維とエポキシ樹脂組成物の量を減らして作製した、1枚あたり0.20mmの厚みを有するプリプレグシートを使用すること以外は、実施例2−1と同様の方法で繊維強化樹脂成形品を得た。
成形型を閉めた直後の成形型と、プリフォームの断面図を
図16に、成形型を開く直前の成形型と、成形品の断面図を
図17に示す。また、このときのプリフォームの各部位の厚み、成形品の各部位の厚み、成形時における金型のクリアランスを表1に示す。
図17表1に示すように、成形時に発泡性フィルムが発泡し、プリフォームの厚みと金型のクリアランスを合わせられたことで、プリプレグの厚みが大きくばらついても、強化繊維の蛇行やボイドがない成形品が得られた。また、発泡性フィルムの発泡倍率は1.4倍であった。
【0058】
(実施例3−1)
使用する成形型の厚み方向のクリアランスを表1のように変更したこと、成形型に投入するプリフォーム710を、
図18に示すように部分プリフォーム210、310、410、510と所望の形状を有した発泡性フィルム610を組み合わせて、表1に示した厚みとなるように製作したこと以外は、実施例2−1と同様の方法で繊維強化樹脂成形品を得た。得られた成形品には強化繊維の蛇行やボイドが見られなかった。
成形型を開く直前の成形型と、プリフォームの断面図を
図19に示す。また、成形品の各部位の厚みと成形時における金型のクリアランスを表1に示す。
【0059】
(実施例3−2)
プリプレグ製造時のばらつきを想定し、プリプレグに使用されている炭素繊維とエポキシ樹脂組成物の量を減らして作製した、1枚あたり0.20mmの厚みを有するプリプレグシートを使用すること以外は、実施例3−1と同様の方法で繊維強化樹脂成形品を得た。
成形型を閉めた直後の成形型と、プリフォームの断面図を
図20に、成形型を開く直前の成形型と、成形品の断面図を
図21に示す。また、このときのプリフォームの各部位の厚み、成形品の各部位の厚み、成形時における金型のクリアランスを表1に示す。
図21、表1に示すように、成形時に発泡性フィルムが発泡し、プリフォームの厚みと金型のクリアランスを合わせられたことで、プリプレグの厚みが大きくばらついても、強化繊維の蛇行やボイドがない成形品が得られた。また、発泡性フィルムの厚み方向の発泡倍率は1.4倍であった。
【0060】
(比較例1)
発泡性フィルム12を使用しないこと以外は実施例1と同様の方法で繊維強化樹脂成形品を得た。得られた成形品には部分プリフォーム21、31との間に予め形成されていた隙間70の部分に、強化繊維の蛇行やボイドが大きく発生していた。
【0061】
(比較例2−1)
使用する圧縮成形用成形型の厚み方向のクリアランスを表1のように変更したこと、発泡性フィルム600を使用しなかったこと以外は、実施例2−1と同様の方法で繊維強化樹脂成形品を得た。得られた成形品には強化繊維の蛇行やボイドが見られなかった(
図22)。
【0062】
(比較例2−2)
次に、プリプレグ製造時のばらつきを想定し、実施例3−2に用いたのと同じプリプレグシートを使用すること以外は、比較例2−1と同様の方法で繊維強化樹脂成形品を得た。その結果、得られた成形品には肉厚が変化している部分にて強化繊維の蛇行やボイドが確認された。
このように発泡性フィルムを使用せずに得たプリフォームより成形された繊維強化樹脂成型品は、使用しているプリプレグの厚みがばらついたときには、プリフォームの厚みと金型のクリアランスが合わなくなり、そのため、部分的に成形不良が発生してしまった(
図23)。
【0063】
【表1】