特許第5971501号(P5971501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971501
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20160804BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20160804BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20160804BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160804BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20160804BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   H01L21/56 R
   H05B33/10
   H05B33/04
   H05B33/14 A
   H01L23/30 B
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-551198(P2014-551198)
(86)(22)【出願日】2013年1月7日
(65)【公表番号】特表2015-512138(P2015-512138A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】KR2013000110
(87)【国際公開番号】WO2013103284
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2014年9月2日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0002170
(32)【優先日】2012年1月6日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0001834
(32)【優先日】2013年1月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ギュン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ジ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】スク・キ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・シム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−260847(JP,A)
【文献】 特開2004−327623(JP,A)
【文献】 特開2008−108545(JP,A)
【文献】 特開2010−80293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/29
H01L 23/31
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着成分を含む第1の層と接着成分を含む第2の層が積層されている封止用フィルムを前記第2層が素子と接するように素子上に積層する工程、及び
第2の層が素子と接するように素子上に積層する前に、第1の層を上部基板に転写させる工程を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程は、第2の層及び素子を接触させて加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
第2の層が素子の全面を覆うように第2の層及び素子を接触させることを特徴とする請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
素子は、下部基板に形成されており、第2の層は、素子の全面及び下部基板の少なくとも所定部位を覆うように第2の層及び素子を接触させることを特徴とする請求項3に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
第2の層は、常温で固相または半固相であり、第2の層が素子と接触する時点では、10〜10Pa・sの粘度を維持するように加熱することを特徴とする請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
加熱は、40〜100℃で実行されることを特徴とする請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程は、真空状態で実行されることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程は、真空プレスで実行されることを特徴とする請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項9】
第2の層が素子と接するように素子上に積層した後に第2の層を硬化させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項10】
第2の層を硬化させる工程は、第2の層が硬化された後0℃以上のガラス転移温度を有するように実行されることを特徴とする請求項9に記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
第1の層を上部基板に転写する工程は、第1の層を上部基板と接触させて、ロールラミネーションして実行されることを特徴とする請求項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
素子は、有機発光素子であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子または装置は、水分または酸素などの外部的要因に敏感なので封止用フィルムにより保護される。封止用フィルムにより保護できる素子または装置には、例えば、有機電子装置、太陽電池またはリチウム二次電池などのような二次電池などがある。
【0003】
特に、前記素子または装置のうち有機電子装置は、水分または酸素などの外部的要因に脆弱である。有機電子装置は、機能性有機材料を含む装置である。有機電子装置または前記有機電子装置に含まれる有機電子素子では、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)及び有機発光素子(OLED;organic light emitting diode)などを挙げることができる。一般的に、有機電子装置は、水分などの外部的要因に脆弱である。例えば、有機発光素子は、通常的に金属や金属酸化物を含む一対の電極の間に存在する機能性有機材料の層を含むが、外部から浸透される水分により有機材料の層が電極との界面での水分の影響で剥離されるか、水分により電極が酸化して抵抗値が高くなるか、有機材料自体が変質されて発光機能の喪失または輝度の低下などのような問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、前記のような従来の諸問題点を解消するために提案されたものであって、本発明の目的は、電子装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの具現例は、第1の層及び第2の層が積層されている封止用フィルムを、前記第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程を含む電子装置の製造方法を提供する。前記電子装置の製造方法は、第1の層及び第2の層が積層されている封止用フィルムを利用することで水分遮断性が優れた装置を提供する。
【0006】
以下、前記封止用フィルムを説明する。
【0007】
前記封止用フィルムは、前記第1の層及び第2の層を各々一つ以上含むことができ、第1の及び第2の層の以外に別途の層をさらに含むことができる。
【0008】
一つの例示で、第1層は、粘着成分を含むことができ、第2の層は、接着成分を含むことができる。本明細書で、用語「粘着成分」は、常温で粘性を保有し、熱、水または溶剤などによる活性なしに圧力印加により接着することができ、接着後に強い維持力を示し、凝集力と弾性を保有する成分を意味する。本明細書で、用語「接着成分」は、粘着成分とは異なり一時的接合ではない永久的接合を提供することができる成分として、通常的に液状で接着に適用され、固化、冷却または硬化されて接着力が発揮され、接着後には接着された対象を分離する時に物理的破壊現象が発生できる成分を意味する。
【0009】
封止用フィルムは、相異なっている物性及び/または相異なっている成分を有する第1の層と第2の層を含み、前記フィルムは、例えば、大面積の装置において素子の保護のために適用される場合にも気泡などの誘発なしに素子上に積層することができ、封止工程後に外部成分、例えば、水分などから素子を効果的に保護することができる。封止用フィルムは、多様な構造を有することができ、例えば、図1のように、第1の層12及び第2の層11が積層されている構造などが可能である。ここで、第1の層12及び第2の層11が積層されている構造には、第1の層12に第2の層11が直接的に付着されている構造;及び第1の層12に別途の他の層を媒介として第2の層11が間接的に付着されている構造が含まれる。
【0010】
封止用フィルムにおいて、第1の層は第2の層に比べて低い弾性率を有することができる。例えば、第1の層の引張弾性率は、第2の層の引張弾性率に比べて低い。本明細書で、引張弾性率は、特定しない限り、25℃の温度で測定した引張弾性率である。また、本明細書で、引張弾性率は、特定しない限り、硬化が可能な構成に対する引張弾性率は、硬化後に測定した引張弾性率である。
【0011】
第1の層の弾性率が第2の層の弾性率より低い場合、大面積の装置への適用に有利であり、水分除去剤の層間の割合の調節を通じてフィルムに効果的な水分遮断性を付与することが可能である。本明細書で、用語「水分除去剤(moisture scavenger)」は、例えば、封止用フィルムに浸透した水分及び湿気との化学的反応を通じてそれを除去することができる物質を意味する。通常的に、水分除去剤がフィルム内で水分と反応すれば、水分と反応したほど体積が膨脹して応力(stress)が発生する。したがって、水分除去剤の膨脹応力を緩和させることができるほどの十分な弾性を有しないようになれば、フィルムが被着剤から剥離されるか、多層構造のフィルムの場合、層間の剥離などが誘発される。例えば、フィルムの弾性率を低く調節すれば、前記応力による剥離などを防止することができるが、単純に硬化度の調節などを通じてガラス転移温度を低めて弾性率を制御した場合、フィルムの透湿度が増加することができる。しかし、前記のように弾性率がお互いに異なる2個の層を積層させて、その中で弾性率が低い層に水分除去剤を主に含ませれば、水分除去剤が相対的に少ない層、すなわち、弾性率が高い層を通じて浸透された水分が弾性率が低い層に拡散されて水分遮断性を向上させることができる。また、それと共にフィルムの耐久性のような諸般の物性も満たすことができる。一つの例示で、第1の層の引張弾性率は、0.001MPa〜100Mpa、0.001MPa〜80Mpa、0.001MPa〜60Mpa、0.001MPa〜40Mpa、0.001MPa〜20Mpa、0.001MPa〜10Mpa、0.001MPa〜5Mpa、0.001MPa〜3Mpa、0.001MPa〜1Mpa、0.005MPa〜100Mpa、0.01MPa〜100Mpa、0.05MPa〜100Mpa、0.1MPa〜100Mpa、0.2MPa〜100Mpa、0.3MPa〜100Mpa、0.005MPa〜80Mpa、0.01MPa〜60Mpa、0.05MPa〜40Mpa、0.05MPa〜20Mpa、0.1MPa〜10Mpa、0.1MPa〜5Mpa、0.2MPa〜3Mpaまたは0.3MPa〜1Mpa程度である。また、第2の層の引張弾性率は、200MPa〜1000Mpa、300MPa〜1000Mpa、300MPa〜900Mpa、300MPa〜800Mpa、300MPa〜700Mpa、400MPa〜1000Mpa、500MPa〜1000Mpa、550MPa〜1000Mpa、400MPa〜900Mpa、500MPa〜800Mpaまたは550MPa〜700Mpa程度である。上述のように、前記範囲で第1の層は第2の層に比べて低い弾性率を有することができる。例えば、前記第1の層の引張弾性率(M1)及び第2の層の引張弾性率(M2)の割合(M1/M2)は、1x10−6〜0.5、1x10−6〜0.4、1x10−6〜0.3、1x10−6〜0.2、10x10−6〜0.5、100x10−6〜0.5、200x10−6〜0.5、300x10−6〜0.5、400x10−6〜0.5、500x10−6〜0.5、10x10−6〜0.4、100x10−6〜0.4、200x10−6〜0.3、300x10−6〜0.3、400x10−6〜0.2または500x10−6〜0.2程度である。このような弾性率の関係において封止用フィルムは、例えば、大面積の装置にも効果的に適用することができ、層間の水分除去剤の割合の調節を容易に実行することができるので、フィルムの物性調節に有利である。
【0012】
一つの例示で、封止用フィルムは、水分除去剤を含むことができる。このような場合、第1の層は、第2の層に比べて多量の水分除去剤を含むことができる。第2の層は、第1の層に比べて少量の 水分除去剤を含むかあるいは含まなくてもよい。後述のように、前記のような構造において、例えば、第2の層が素子と接触するように封止構造を具現する場合には、素子の損傷を誘発しないと共に優れた水分及び湿気遮断性を具現することができる。例えば、第1の層は、前記粘着成分100重量部対比、5重量部以上、10重量部以上、20重量部以上または25重量部以上の水分除去剤を含むことができる。第1の層の水分除去剤の割合の上限は、目的する水分遮断特性によって変更されることで、特別に限定されないが、例えば、前記粘着成分100重量部対比、250重量部以下、230重量部以下または210重量部以下の水分除去剤が第1の層に含まれることができる。第2の層は、水分除去剤を含まないか、水分除去剤を含んでも微量の水分除去剤を含むことができる。第2の層は、例えば、第2の層の固形分100重量部対比、5重量部未満または3重量部未満の水分除去剤を含むことができる。第2の層は、水分除去剤を含まないことができるので、第2の層の水分除去剤の含量の下限は、0重量部である。本明細書で特定しない限り、単位重量部は重量の割合を意味する。
【0013】
第1の層及び第2の層の厚さは、フィルムに含まれる各層の数またはフィルムの用途などを考慮して制御することができる。例えば、フィルムが第1の層及び第2の層を各々一層ずつ含む場合、第1の層の厚さは、5〜100μm程度であり、第2の層の厚さは、2〜30μm程度である。このような範囲で水分遮断性と作業性及び耐久性などが優れたフィルムを提供することができる。
【0014】
一つの例示で、第1の層は、脱イオン水に対する接触角が80゜以上、85゜以上、90゜以上または95゜以上の粘着成分を含むことができる。前記接触角は、粘着成分を適切な溶剤に溶解させて製造した固形分が約15重量%程度の溶液をガラスにコーティングした後に乾燥して膜を形成し、約25℃程度で前記コーティング膜に脱イオン水を滴下して測定した接触角であり、前記過程を10回繰り返して測定した接触角の平均である。第1の層に接触角を前記のように調節した成分を含むことで水分遮断性及び耐久性が優れたフィルムを提供することができる。粘着成分の接触角の上限は、特別に限定されないが、例えば、150゜以下または120゜以下である。
【0015】
また、第1の層は、透湿度(WVTR;Water Vapor Transmission Rate)が50g/m・day以下または45g/m・day以下の粘着成分を含むことができる。前記透湿度は、粘着成分を100μm厚さのフィルム形態で製造し、100°F及び100%の相対湿度下で前記フィルムの厚さ方向に測定した透湿度である。粘着成分の透湿度を前記のように制御して優れた水分遮断性を示すフィルムを提供することができる。第1の層の透湿度は、低いほど優秀な水分遮断性を示すことができるので、その下限は、特別に限定されないが、例えば、粘着成分の透湿度の下限は、0g/m・dayである。
【0016】
一つの例示で、第1の層に含まれる粘着成分は、上述した接触角及び透湿度の範囲を全て満足するものである。このような前記範囲の接触角及び透湿度を有する成分を含むことで水分遮断性、撥水性などが優れたフィルムを提供することができる。
【0017】
粘着成分では、上述した接触角及び透湿度を満足させるか、上述した弾性率を満足する第1の層を提供することができるものであれば、特別に制限なしに当業界に知られた成分を使用することができる。また、前記接触角及び透湿度を満足しないものであっても組合せによって前記接触角及び透湿度を満足する場合は、粘着成分で使用することができる。
【0018】
このような成分では、例えば、スチレン系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、炭化水素の混合物、ポリアミド系樹脂、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂またはこれらの混合物などを例示することができる。
【0019】
前記スチレン系樹脂では、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレートブロック共重合体(ASA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体またはこれらの混合物を例示することができる。前記オレフイン系樹脂では、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはこれらの混合物を例示することができる。前記熱可塑性エラストマーでは、例えば、エステル系熱可塑性エラストマー、オレフイン系熱可塑性エラストマーまたはこれらの混合物などを使用することができる。そのうちオレフイン系熱可塑性エラストマーとして、ポリブタジエン樹脂またはポリイソブテン樹脂などを使用することができる。前記ポリオキシアルキレン系樹脂では、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリオキシエチレン系樹脂またはこれらの混合物などを例示することができる。前記ポリエステル系樹脂では、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂またはこれらの混合物などを例示することができる。前記ポリ塩化ビニル系樹脂では、例えば、ポリ塩化ビニリデンなどを例示することができる。前記炭化水素の混合物では、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)またはパラフィンなどを例示することができる。前記ポリアミド系樹脂では、例えば、ナイロンなどを例示することができる。前記アクリレート系樹脂では、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどを例示することができる。前記エポキシ系樹脂では, 例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物などのビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型などのノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型などの含窒素環型;脂環式;脂肪族型;ナフタリン型、ビフェニル型などの芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型などのグリシジル型;ジシクロペンタジエン型などのジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型またはこれらの混合物などを例示することができる。前記シリコーン系樹脂では、例えば、ポリジメチルシロキサンなどを例示することができる。また、前記フッ素系樹脂では、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレンプロピレンまたはこれらの混合物などを例示することができる。
【0020】
前記樹脂は、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトして使用するか、羅列された他の樹脂または樹脂を製造するための単量体と共重合して使用することができ、その外に他の化合物により変性させて使用してもよい。前記他の化合物の例では、カルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などを挙げることができる。
【0021】
また、羅列した樹脂は、例えば、硬化されて適切な凝集力を付与するようにグリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱による硬化が可能な官能基または部位を一つ以上含むか、エポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような活性エネルギー線の照射により硬化が可能な官能基または部位を一つ以上含むことができる。
【0022】
一つの例示で、第1の層は、ポリイソブテン樹脂を含むことができる。ポリイソブテン樹脂は、疎水性を有するので低い透湿度及び低い表面エネルギーを示すことができる。具体的には、ポリイソブテン樹脂では、例えば、イソブチレン単量体の単独重合体;またはイソブチレン単量体と重合可能な他の単量体を共重合した共重合体などを使用することができる。ここで、前記イソブチレン単量体と重合可能な他の単量体は、例えば、1−ブテン、2−ブテン、イソプレンまたはブタジエンなどを含むことができる。
【0023】
前記粘着成分では、フィルム形状で成形が可能な程度の重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)を有する樹脂を使用することができる。一つの例示で、フィルム形状で成形が可能な程度の重量平均分子量の範囲は、約10万〜200万、10万〜150万または10万〜100万である。本明細書で、用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。
【0024】
また、粘着成分では、上述した構成の中で1種を使用するか、2種以上を使用してもよい。2種以上を使用する場合には、種類が異なる2種以上の樹脂を使用するか、重量平均分子量が相異なっている2種以上の樹脂を使用するかまたは種類及び重量平均分子量が全て相異なっている2種以上の樹脂を使用することができる。
【0025】
第1の層は、上述した粘着成分の外に水分除去剤をさらに含むことができる。これによって、第1の層の水分遮断性を一層向上させることができる。
【0026】
一つの例示で、水分除去剤は、粘着成分に均一に分散された状態で存在することができる。ここで、均一に分散された状態は、粘着成分の全ての部分で同一または実質的に同一な密度で水分除去剤が存在する状態を意味する。この時に使用可能な水分除去剤では、例えば、金属酸化物、硫酸塩または有機金属酸化物などを挙げることができる。具体的には、前記金属酸化物の例では、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムまたは酸化アルミニウムなどを挙げることができ、前記硫酸塩の例では、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸ニッケルなどを挙げることができ、前記有機金属酸化物の例では、アルミニウムオキサイドオクチレートなどを挙げることができる。第1の層に含むことができる水分除去剤では、上述した構成の中で1種を使用するか、2種以上を使用してもよい。一つの例示で、水分除去剤で2種以上を使用する場合、焼成ドロマイト(calcined dolomite)などを使用することができる。
【0027】
このような水分除去剤は、フィルムの使用用途によって適切なサイズで制御することができる。一つの例示で、水分除去剤の平均粒径は、10〜15000nm程度で制御することができる。前記範囲のサイズを有する水分除去剤は、水分との反応速度があまり速くなくて保管が容易であり、封止しようとする素子に損傷を与えないで、効果的に水分を除去することができる。
【0028】
水分除去剤の含量は、例えば、上述のように粘着成分100重量部対比5重量部〜250重量部の範囲で制御することができる。
【0029】
また、一つの例示で、第1の層は、水分除去剤が粘着成分に均一に分散されるように分散剤をさらに含むことができる。ここで、使用できる分散剤では、例えば、親水性である水分除去剤の表面と親和力があり、粘着成分との相溶性が良い非イオン性界面活性剤などを使用することができる。一つの例示で、非イオン性界面活性剤では、化学式1で表示される化合物を使用することができる。
【0030】
[化1]
R−X
【0031】
前記化学式1において、Rは、飽和または不飽和炭化水素基であり、Xは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基または炭水化物残基である。
【0032】
前記化学式1において、Rは、炭素数4〜28、炭素数4〜24、炭素数4〜20または炭素数6〜20の飽和または不飽和炭化水素基である。
【0033】
また、化学式1において、Xが炭水化物残基である化合物は、炭水化物の水素のうちいずれの一つの水素がRに置換された化合物を意味する。前記炭水化物は、例えば、グルコースなどを挙げることができる。
【0034】
前記化学式1の化合物では、例えば、ステアリン酸(stearic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、オレイン酸(oleic acid)またはリノール酸(linoleic acid)などのような脂肪酸;セチルアルコール(cetyl alcohol)、ステアリルアルコール(stearyl alcohol)、セトステアリルアルコール(cetostearyl alcohol)またはオレイルアルコール(oleyl alcohol)などのような脂肪アルコール;またはオクチルグルコシド(octyl glucoside)、デシルグルコシド(decyl glucoside)またはラウリルグルコシド(lauryl glucoside) などのようなアルキルグルコシドなどを挙げることができる。
【0035】
このような分散剤の含量は、水分除去剤の種類及び/またはサイズによって制御することができる。具体的には、水分除去剤のサイズが小さいほど水分除去剤の表面積が広くなるので、多くの量の分散剤を使用して水分除去剤を均一に分散させることができる。一つの例示で、約40nm程度の平均粒径を有する水分除去剤を使用する場合、水分除去剤100重量部を基準として約5重量部以上の分散剤を使用することができる。他の例示で、約1000nm程度の平均粒径を有する水分除去剤を使用する場合、水分除去剤100重量部と基準として約0.05重量部以上の分散剤を使用することができる。したがって、上述した水分除去剤の種類及び/またはサイズを考慮すれば、水分除去剤100重量部を基準として0.01〜500重量部程度の分散剤を使用することができる。このような範囲でフィルムの接着力などの諸般の物性に影響を与えないながら水分除去剤を均一に分散させることができる。
【0036】
粘着成分に水分除去剤及び分散剤を含ませる方法は、当業界で利用する方法を制限なしに使用することができ、特別に限定されない。しかし、配合手順を調節して粘着成分に水分除去剤を均一に分散させる方法を例示すれば、次のようである。まず、分散剤を溶媒に分散して分散液を製造する。ここで、溶媒は、コーティング性、乾燥温度または粘着成分との相溶性などを基準で選定することができる。一つの例示で、粘着成分で上述したポリイソブテン樹脂を使用する場合、溶媒では、トルエンまたはキシレンなどのような芳香族溶媒を使用することができる。前記分散液に水分除去剤を投入して混合する。この時、水分除去剤を分散液と混合する工程は、水分除去剤の分散度を高めるために追加で物理的分散方法を利用してもよい。物理的分散方法は、例えば、シェーカーを利用する方法、音波処理(sonication)方法またはビーズミリング方法などを挙げることができる。水分除去剤及び分散剤が分散された溶液を粘着成分が含まれている溶液に投入して第1の層を製造するための組成物を得ることができる。前記水分除去剤及び分散剤が分散された溶液は、任意的にフィルタリングを経て、サイズが大きい粒子は濾過されて粘着成分が含まれた溶液に投入される。前記工程を通じて粘着成分に水分除去剤及び分散剤が均一に分散された第1の層を製造することができる。しかし、前記工程は、記載された内容に限定されないで、当業者によって単純な変更が可能である。
【0037】
また、第1の層は、水分遮断剤を含むことができる。本明細書で、用語「水分遮断剤(moisture blocker)」は、フィルムに浸透する水分との反応性がないか低いが、水分または湿気のフィルム内での移動を遮断するか妨害することができる物質を意味する。水分遮断剤では、例えば、クレイ、タルク、針状シリカ、板状シリカ、多孔性シリカ、ゼオライト、チタニアまたはジルコニアのうち1種または2種以上を使用することができる。また、水分遮断剤は、有機物が容易に浸透されるように有機改質剤などにより表面処理できる。このような有機改質剤では、例えば、ジメチルベンジル水素化牛脂第4級アンモニウム(dimethyl benzyl hydrogenated tallow quaternary ammonium)、ジメチル水素化牛脂第4級アンモニウム(dimethyl dehydrogenated tallow quaternary ammonium)、メチル牛脂ビス−2−2ヒドロキシエチル第4級アンモニウム(methyl tallow bis−2−hydroxyethyl quaternary ammonium)、ジメチル水素化牛脂2−エチルヘキシル第4級アンモニウム(dimethyl hydrogenated tallow 2−ethylhexyl quaternary ammonium)、ジメチル脱水素化牛脂第4級アンモニウム(dimethyl dehydrogenated tallow quaternary ammonium)またはこれらの混合物である有機改質剤などを使用することができる。
【0038】
第1の層に含まれる水分遮断剤の含量は、水分除去剤及び粘着成分のマトリックス構造との関係から適切に調節することができる。一つの例示で、水分遮断剤の含量は、粘着成分100重量部を基準として、0〜50重量部または1〜30重量部程度で調節することができる。このような範囲で、優秀な水分遮断性及び機械的物性を有するフィルムを提供することができる。
【0039】
一つの例示で、第1の層が水分除去剤及び水分遮断剤を全て含む場合にも第1の層の成分配合手順を制御して粘着成分に水分除去剤及び水分遮断剤を均一に分散させることができる。
【0040】
例えば、まず、水分遮断製を溶媒に投入して第1の分散液を製造することができる。この時、第1の分散液は、音波処理、ビーズミリング、ボールミリング、高速分散、高圧分散などの工程を通して均一に分散された分散液から得られる。これとは別途で、上述のように、水分除去剤及び/または分散剤が分散された第2の分散液を準備する。準備された第1の分散液と第2の分散液を粘着成分を含む溶液に投入して混合する。混合時に樹脂組成物の粘度調節及びコーティング性を考慮して追加で溶媒を投入してもよい。このような方法により水分除去剤及び遮断剤が均一に分散された第1の層を製造することができる。前記第1の層の製造方法は、当業者により自明な事項内で自由に変更が可能である。
【0041】
第1の層は、粘着付与剤を含むことができる。粘着付与剤では、例えば、石油樹脂を水素化して得られる水素化された石油樹脂を使用することができる。水素化された石油樹脂は、部分的または完全に水素化されることができ、このような樹脂の混合物であってもよい。このような粘着付与剤は、粘着成分との相溶性が良いと共に水分遮断性が優れたものを選択することができる。水素化された石油樹脂の具体的な例では、水素化されたテルペン系樹脂、水素化されたエステル系樹脂または水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂などを挙げることができる。前記粘着付与剤の重量平均分子量は、約200〜5,000である。前記粘着付与剤の含量は、必要によって適切に調節することができる。例えば、粘着付与剤は、粘着成分100重量部対比、5重量部〜100重量部の割合で第1の層に含まれることができる。
【0042】
第1の層には、上述した構成の外にもフィルムの用途及びフィルムの製造工程によって多様な添加剤を含むことができる。例えば、耐久性及び工程性などを考慮して、第1の層には硬化性物質をさらに含むことができる。ここで、硬化性物質は、上述した粘着成分の外に別途に含まれる熱硬化性官能基及び/または活性エネルギー線硬化性官能基を有する物質を意味する。また、第1の層に含まれる硬化性物質の含量は、フィルムの目的する物性によって調節することができる。
【0043】
第2の層は、接着成分を含むことができる。また、第2の層は、ホットメルト型接着層であることができる。本明細書で、用語「ホットメルト型(hot melt type)接着層」は、常温では固相(solid)または半分固相(semi−solid)状態を維持し、適切な熱が印加されると、溶融(melting)されて粘着性を示し、硬化された後には、接着剤として対象物を堅く固定させることができる形態の層を意味する。また、本明細書で、用語「接着剤の硬化」は、対象物質が接着性を示すように変化する化学的または物理的作用または反応を意味する。また、用語「常温」は、加温または減温されない自然そのままの温度を意味し、例えば、約15℃〜35℃、約20℃〜25℃、約25℃〜23℃の温度を意味する。また、前記常温で固相または半固相の状態を維持するとのことは、対象物質が常温で約10ポイズ(poise)以上または約 10ポイズ以上の粘度を示すことを意味する。前記粘度は、ARES(Advanced Rheometric Expansion System)を使用して測定した粘度である。前記粘度の上限は、特別に限定されず、例えば、約10ポイズ以下である。
【0044】
例えば、第2の層は、接着成分などのように第2の層に含まれる成分が未硬化状態の場合であっても常温で固相または半固相の状態を維持することができる。したがって、第 2の層は、接着成分をフィルム形態で含むことができる。これを通じて取扱性が優れると共に封止工程などに適用時に素子に物理的または化学的損傷が加わることを防止し、円滑な作業を進行することができる。
【0045】
接着成分は、例えば、硬化性樹脂を含むことができる。硬化性樹脂では、この分野で公知されている熱硬化性、活性エネルギー線硬化性または混成硬化性樹脂を使用することができる。本明細書で「熱硬化性樹脂」は、適切な熱の印加または熟成(aging)工程を通じて、硬化されることができる樹脂を意味し、「活性エネルギー線硬化性樹脂」は、活性エネルギー線の照射によって硬化される樹脂を意味し、「混合硬化性樹脂」は、熱硬化性及び活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化メカニズムが同時にまたは順に進行されて硬化される樹脂を意味する。また、前記活性エネルギー線では、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びγ線は勿論、α−粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュ−トロンビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどを例示することができる。
【0046】
硬化性樹脂では、例えば、硬化されて接着性を示すことができる樹脂として、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱による硬化が可能な官能基または部位を一つ以上含むか、エポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような活性エネルギー線の照射により硬化が可能な官能基または部位を一つ以上含むものを使用することができる。硬化性樹脂では、前記のような官能基または部位を少なくとも一つ以上有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂またはエポキシ樹脂などを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
一つの例示で、前記硬化性樹脂では、エポキシ樹脂を使用することができる。前記エポキシ樹脂は、芳香族系または脂肪族系エポキシ樹脂であることができる。エポキシ樹脂では、熱硬化性エポキシ樹脂を使用するか、または活性エネルギー線硬化性、例えば、活性エネルギー線の照射による陽イオン重合反応によって硬化するエポキシ樹脂を使用することができる。
【0048】
一つの例示によるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が150g/eq〜2,000g/eq である。前記範囲のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を使用して、硬化物の接着性能及びガラス転移温度などの特性を効果的に維持することができる。
【0049】
一つの例示で、エポキシ樹脂は、芳香族系エポキシ樹脂である。本明細書で、「芳香族系エポキシ樹脂」は、樹脂の主鎖または側鎖にフェニレン構造のような芳香族コアやフェニル基のような芳香族基を一つ以上含むエポキシ樹脂を意味する。芳香族系エポキシ樹脂を使用すれば、硬化物が優れた熱的及び化学的安定性を有すると共に、低い吸湿量を示し、有機電子封止構造の信頼性を向上させることができる。芳香族系エポキシ樹脂では、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、クレゾール系エポキシ樹脂、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ザイロック系エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂及びアルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂などの一種または二種以上を例示することができるが、これに限定されるものではない。一つの例示で、エポキシ樹脂は、シラン変性エポキシ樹脂であることができる。シラン変性エポキシ樹脂では、例えば、上述したエポキシ樹脂のうち一つ以上のエポキシ樹脂とシラン化合物の反応物を使用することができる。前記シラン化合物では、例えば、下記化学式2で表示される化合物を例示することができる。
【0050】
[化2]
SiQ(4−n)
【0051】
前記化学式1において、Dは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アルコキシ基またはイソシアネート基であるか、前記のうちいずれか一つの官能基に置換されたアルキル基であり、Qは、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基であり、nは、1〜3の数である。
【0052】
化学式2の化合物において、官能基Dは、エポキシ樹脂に含まれる作用基と反応してシラン変性エポキシ樹脂を形成することができる。
【0053】
例えば、前記官能基がアミノ基である場合、アミノ基は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して「−CH(OH)CH−NH−」結合を形成して前記シラン化合物がエポキシ基に導入されることができる。
【0054】
また、官能基Dがイソシアネート基またはアルコキシ基の場合には、ヒドロキシ基(OH)を含むエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂などのようなビスフェノール型エポキシ樹脂と反応させてシラン化合物を導入してもよい。
【0055】
前記化学式2において、アルキル基では、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を例示することができる。前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状アルキル基である。
【0056】
前記化学式2において、ハロゲン原子では、フルオロ(F)、塩素(Cl)、ブロム(Br)またはヨード(I)などを例示することができる。
【0057】
また、前記化学式2において、アルコキシ基では、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を例示することができる。前記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。
【0058】
また、前記化学式2において、アリール基またはアリールオキシ基に含まれるアリール基には、アリール基は勿論、いわゆるアラルキル基(aralkyl group)などを含むことができる。例えば、前記アリール基は、一つ以上のベンゼン環を含むか、2個以上のベンゼン環が連結または縮合された構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味する。前記アリール基は、例えば、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜12のアリール基である。前記アリール基では、例えば、フェニル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などを例示することができる。
【0059】
また、前記化学式2において、アシルオキシ基では、炭素数1〜20、炭素数1〜16または炭素数1〜12のアシルオキシ基を例示することができる。
【0060】
また、前記化学式2において、アルキルチオ基では、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキルチオ基を例示することができ、アルキレンオキシチオ基では、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレンオキシチオを例示することができる。
【0061】
前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基などは任意的に一つ以上の置換基に置換されていることができる。前記置換基では、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、チオール基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリール基またはイソシアネート基などを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0062】
前記化学式2において、官能基Dは、例えば、前記物質のうちアルコキシ基、アミノ基またはイソシアネート基である。
【0063】
また、前記化学式2において、官能基Qのうち少なくとも一つ、二つ以上または三つは、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基などであるか、またはアルコキシ基であることができる。
【0064】
シラン変性エポキシ樹脂では、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して、約0.1重量部〜約10重量部、約0.1重量部〜約9重量部、約0.1重量部〜約8重量部、約0.1重量部〜約7重量部、約0.1重量部〜約6重量部、約0.1重量部〜約5重量部、約0.1重量部〜約4重量部、約0.1重量部〜約3重量部、約0.3重量部〜2重量部または約0.5重量部〜約2重量部のシラン化合物が導入されたエポキシ樹脂を使用することができる。一つの例示で、前記シラン化合物が導入されるエポキシ樹脂は、芳香族系エポキシ樹脂であることができる。芳香族系エポキシ樹脂では、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂などのようなビスフェノール型エポキシ樹脂を例示することができる。
【0065】
シランに変性されて構造内にシリル基を含むエポキシ樹脂は、電子装置の封止層が基板などと優れた接着性を示すと共に、卓越な水分遮断性、耐久性及び信頼性を示す。
【0066】
また、第2の層は、硬化性樹脂の種類によって、硬化性樹脂と反応して架橋構造などを形成することができる硬化剤または前記樹脂の硬化反応を開始させることができる開始剤をさらに含むことができる。
【0067】
硬化剤は、硬化性樹脂またはその樹脂に含まれる官能基の種類によって適切な種類を選択及び使用することができる。
【0068】
一つの例示で、硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤では、この分野で公知されているエポキシ樹脂の硬化剤として、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、燐硬化剤または酸無水物硬化剤などの一種または二種以上を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0069】
一つの例示で、前記硬化剤では、常温で固相であり、融点または分解温度が80℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。このような化合物では、例えば、2−メチレンイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0070】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、硬化性樹脂の種類や割合によって選択することができる。例えば、硬化剤は、硬化性樹脂100重量部に対して、1重量部〜20重量部、1重量部〜10重量部または1重量部〜5重量部で含むことができる。しかし、前記重量の割合は、硬化性樹脂またはその樹脂の官能基の種類及び割合、または具現しようとする架橋密度などによって変更することができる。
【0071】
硬化性樹脂が活性エネルギー線の照射によって硬化されるエポキシ樹脂の場合、開始剤では、例えば、陽イオン光重合開始剤を使用することができる。
【0072】
陽イオン光重合開始剤では、オニウム塩(onium salt)または有機金属塩(organometallic salt)系列のイオン化陽イオン開始剤または有機シランまたは潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系列や非イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。オニウム塩系列の開始剤では、ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホニウム塩(triarylsulfonium salt)またはアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などを例示することができ、有機金属塩系列の開始剤では、鉄アレーン(iron arene)などを例示することができ、有機シラン系列の開始剤では、o−ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o−nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルペルオキシド(triaryl silyl peroxide)またはアシルシラン(acyl silane)などを例示することができ、潜在性硫酸系列の開始剤では、α−フルホニルオキシケトンまたはα−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0073】
一つの例示で、陽イオン開始剤では、イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。
【0074】
開始剤の含量は、硬化剤の場合のように硬化性樹脂またはその樹脂の官能基の種類及び割合、または具現しようとする架橋密度などによって変更されることができる。例えば、前記開始剤は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部または0.1重量部〜3重量部の割合で配合することができる。開始剤の含量が過度に少ない場合、十分な硬化が進行されない恐れがあり、過度に多いと、硬化後にイオン性物質の含量が増加して接着剤の耐久性が落ちるか、開始剤の特性上共役酸(conjugate acid)が形成され光学耐久性側面で不利であり、また、基材によっては腐食が発生できるので、このような点を考慮して適切な含量範囲を選択することができる。
【0075】
第2の層は、バインダー樹脂をさらに含むことができる。バインダー樹脂は、第2の層をフィルムまたはシート形状で成形する時に成形性を改善する役目をする。
【0076】
バインダー樹脂の種類は、硬化性樹脂などの他の樹脂との相溶性を有するものであれば、特別に限定されない。バインダー樹脂では、フェノキシ樹脂、アクリレート樹脂または高分子量エポキシ樹脂を使用することができる。前記高分子量エポキシ樹脂は、例えば、重量平均分子量が約2,000〜70,000または4,000〜6,000程度である樹脂を意味する。高分子量エポキシ樹脂では、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂または固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを例示することができる。バインダー樹脂では、高極性(high polarity)官能基含有ゴムや高極性(high polarity)官能基含有反応性ゴムなどのゴム成分を使用してもよい。一つの例示で、バインダー樹脂では、フェノキシ樹脂を使用することができる。
【0077】
バインダー樹脂が含まれる場合、その割合は、目的物性によって調節することで、特別に限定されない。例えば、バインダー樹脂は、硬化性接着成分100重量部に対して、約200重量部以下、約150重量部以下または約100重量部以下の量で含まれることができる。バインダー樹脂の割合が200重量部以下であれば、第2の層の各成分との相溶性を効果的に維持し、接着層としての役目も実行することができる。
【0078】
前記第2の層は、追加で水分遮断剤を含むことができる。水分除去剤の場合、水分と化学的反応を起こして、有機物を含む素子に接触される場合に素子に損傷を与えることができる。これによって、第2の層は、水分除去剤は含まないか微量の水分除去剤のみを含むことができる。第2の層が微量の水分除去剤を含む場合、水分除去剤の含量は上述の通りである。しかし、水分遮断剤は、水分の移動経路を長くして水分を遮断し、水分除去剤に比べて反応性が少なくて素子に損傷を与える恐れが少ない。第2の層に含まれることができる水分遮断剤の含量は、例えば、硬化性樹脂100重量部と基準として、0.01〜50重量部または1〜30重量部程度である。水分遮断剤の具体的な種類及び硬化性樹脂に分散する方法は、第1の層に含まれる水分遮断剤及び水分遮断剤を含む方法を参考することができる。
【0079】
また、第2の層は、目的する効果に影響を与えない範囲で、可塑剤;紫外線安定剤及び/または酸化防止剤のような添加剤をさらに含むことができる。
【0080】
フィルムは、例えば、基材をさらに含むことができる。基材は、例えば、フィルムの一面または両面に配置されることができる。前記基材は、例えば、離型処理されている離型基材であることができ、このような基材は、当業界で使用することを制限なしに使用することが可能である。
【0081】
前記フィルムは、多様な対象を封止して保護するために適用することができる。特に、外部成分、例えば、水分または湿気に敏感な素子を含む対象を製造するときに前記フィルムを適用することができる。
【0082】
以下、上述したフィルムを利用して電子装置を製造する方法を説明する。前記フィルムを利用して製造できる電子装置の例では、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter) または有機発光素子(OLED:organic light emitting diode)などのような有機電子装置;太陽電池;または二次電池などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0083】
電子装置の製造方法は、フィルムの第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程を含む。前記素子は、電子装置のいずれか一つの部品を意味することができる。
【0084】
一つの例示で、前記フィルムの第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程は、第2の層及び素子を接触させる工程を含む。前記フィルムの第2の層は、例えば、フィルムが素子の全面を覆うように適用することができる。フィルムが素子の全面を覆うように適用する場合、フィルムの上部から見れば、素子が観察されないで、全面が水分などから保護を受けることができる。また、上述のように、第2の層は、素子に損傷を与えることができる水分除去剤を微量含むかまたは全然含まないので素子と接しても素子の機能に影響を及ぼさない。
【0085】
他の例示で、素子が下部基板に形成されている場合、フィルムの第2の層が素子の全面及び下部基板の少なくともいずれかの部位を覆うように適用することができる。例えば、フィルムが下部基板の少なくともいずれの部位を覆うように適用する場合、フィルム及び下部基板の面積を素子の面積より広く製作してフィルムが素子の全面を覆ってその外に素子の縁部に沿って下部基板を覆うように適用することができる。また、上述のように、第2の層は、段差の充填性を有しているので、素子が形成された下部基板のように高さ差がある面にも浮き上り及び/または気泡なしに付着が可能である。したがって、フィルム、素子及び下部基板の間の界面接着力が優れた電子装置を提供することができる。
【0086】
一つの例示で、前記フィルムの第2の層が素子と接するように素子上に積層する方法は、第2の層及び素子を接触させて、加熱する工程を含むことができる。これは、例えば、フィルムの第2の層及び素子を接触させて、第2の層を加熱して流動性を付与した状態で素子に圧着して実行する。一つの例示で、第2の層は、常温で固相または半固相であり、素子と接触する時点では、第2の層の65℃及び1Hzの条件で、粘度を10〜10Pa・sの範囲で維持するように加熱することができる。第2の層が、例えば、上述のホットメルト型接着層である場合、素子が形成されている基板のように高さ差がある表面にも浮き上り及び/または気泡なしに付着することが可能である。したがって、大面積の電子装置であっても気泡などにより装置の性能低下がない電子装置を提供することができる。
【0087】
前記加熱は、第2の層が熱硬化性樹脂を含む場合、前記過程で硬化反応が過度に行われて封止層の密着力または接着力が減少する恐れがあるので、工程温度を約40℃〜100℃、工程時間を1分〜20分以内で制御することができる。
【0088】
また、前記圧着は、素子と第2の層の間に気泡などが発生することを防止するために真空状態で実行することができる。一つの例示で、第2の層が素子と接するように素子上に積層する工程は、真空プレスなどを使用して実行することができる。
【0089】
また、前記製造方法は、フィルムの第2の層が素子と接するように素子上に積層した後に第2の層を硬化する工程を含むことができる。硬化工程は、例えば、硬化性樹脂の硬化方式によって適切な加熱チャンバまたは紫外線チャンバで進行することができる。加熱条件または活性エネルギー線の照射条件は、電子素子の安全性と硬化性樹脂組成物の硬化性などを考慮して適切に選択することができる。
【0090】
一つの例示で、硬化は、第2の層が0℃以上、50℃以上、70℃以上、85℃以上または100℃以上のガラス転移温度を有するように実行することができる。第1の層は、多量の水分除去剤を含むことができるので、水分除去剤が水分と反応して生成されるイオンが第2の層に移動することができる。しかし、第2の層は、素子と接しているので、第1の層から第2の層に移動されたイオンは、素子の性能に影響を及ぼすことができる。したがって、第2の層を十分に硬化して第1の層から第2の層にイオンが移動することを防止し、素子の性能が劣化されることを防止することができる。すなわち、第2の層が前記範囲のガラス転移温度を有するように硬化が進行される場合、第1の層のイオンが第2の層に移動することを防止して上述した効果を示すことができる。
【0091】
一つの例示で、フィルムは、素子に積層される前に電子装置の上部基板にあらかじめ転写された状態である。図2のように、フィルムは、第1の層12及び第2の層11を含み、上部基板21には、フィルムの第1の層12が転写される。一つの例示で、前記第1の層12が粘着特性を有する層である場合、所定の圧力により上部基板21と付着される。これによって、第1の層の転写は、例えば、前記第1の層と前記上部基板21を接触させて、ロールラミネーションして実行することができる。その後、上述のようにフィルムの第2の層11が素子23と積層される。
【0092】
上述した電子装置の製造方法によって上部基板;下部基板;及び前記上部基板と下部基板の間で素子を封止しているフィルムを含む封止層を有する電子装置を提供することができる。
【0093】
一つの例示で、前記電子装置の製造方法は、有機電子装置の製造に適用することができる。前記フィルムが硬化されて形成された封止層は、有機電子装置で優れた水分遮断特性及び光学特性を示すと共に、上部基板と下部基板を効果的に固定及び支持することができる。また、前記封止層は、例えば、水分除去剤をナノ単位のサイズで製造し、樹脂に均一に分散させて優れた透明性を示すことで、前面発光(top emission)または背面発光(bottom emission)などの有機電子装置の形態と関係なく安定的な封止層で形成することができる。
【0094】
前記製造方法を有機電子装置の製造方法に適用することにおいて、上述したフィルムで有機発光素子を封止することの除外は、当業界の通常の方法を採用することができる。例えば、有機発光素子が形成された下部基板を製造するために、ガラス、金属または高分子フィルムのような基板上に真空蒸着またはスパタッリングなどの方法で透明電極を形成し、前記透明電極上に有機材料層を形成することができる。前記有機材料層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層及び/または電子輸送層を含むことができる。次に、前記有機材料層上に第2電極をさらに形成して有機発光素子が形成された下部基板を製造することができる。有機発光素子が形成された下部基板は、前述した方法により有機電子装置で製造することができる。
【0095】
以上、電子装置の製造方法の一つの例示を言及したが、前記電子装置の製造方法は、これに限定されるものではなくて、前記のような方式で装置の製造を進行するが、工程順序または条件などを変更することができる。
【発明の効果】
【0096】
本発明の例示的な電子装置の製造方法は、優れた水分遮断性及び耐久性を有する電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】一つの例示によるフィルムを概略的に示した図である。
図2】一つの例示による電子装置の製造方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、本発明による実施例及び比較例を通じて電子装置の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例に限定されるものではない。
【0099】
以下、実施例及び比較例の物性を下記の方式で評価した。
【0100】
1. 接触角の測定
接触角は、測定対象成分を希釈可能な溶媒に溶解して固形分15重量%の溶液を製造し、製造された溶液をガラスに10μmの厚さでコーティングした後に乾燥して塗膜を形成して前記塗膜に対して測定した。具体的には、前記塗膜に約25℃程度で脱イオン水を滴下してKRUSS社のDSA100で接触角を測定し、同一過程を10回繰り返してその平均を接触角で求めた。
【0101】
2. 透湿度の測定
実施例で使用された第1の層の成分または比較例で使用された樹脂を溶媒に溶解して樹脂組成物を製造した。前記樹脂組成物を厚さ38μmの基材フィルム(離型ポリエステルフィルム、RS−21G、SKC(製))に塗布した。次に、110℃で10分間乾燥し、厚さが100μmのフィルム形状の層を製造した。その後、基材フィルムを剥離し、フィルム形状の層を100°F及び100%の相対湿度に位置させた状態で、前記フィルム形状の層の厚さ方向に対する透湿度を測定した。前記透湿度は、ASTM F1249での規定によって測定した。
【0102】
3. 引張弾性率の測定
実施例または比較例で製造した第1の層または第2の層を溶媒に溶解して樹脂組成物を製造した。前記樹脂組成物を厚さ38μmの基材フィルム(離型ポリエステルフィルム、RS−21G、SKC(製))に塗布した。次に、110℃で10分間乾燥し、厚さが40μmのコーティング膜を製造した。製造されたコーティング膜を製造時のコーティング方向を長手方向として、50mm×10mm(長さ×幅)のサイズで裁断して試片を製造した後、前記試片を長手方向に25mmのみを残して両端をテーピングした。その後、テーピング部分を取って25℃で18mm/minの速度で引張しながら引張弾性率を測定した。
【0103】
4. 水分遮断性の評価
実施例または比較例で製造した試片を85℃及び85%相対湿度の恒温恒湿チャンバで約500時間維持しながら、前記カルシウム蒸着部分が酸化されて透明に変化した長さを測定した。カルシウムは、一方向への総長さが10mmであるので、カルシウムの一側先端から酸化された部分の長さが5mmになればカルシウムは全て酸化される。
【0104】
5. 耐久信頼性の評価
実施例及び比較例で製造した試片を85℃及び85%相対湿度の恒温恒湿チャンバで約500時間維持しながら、ガラス基板と封止層の間の界面で浮き上りが発生したかを観察した。
【0105】
6. パネル適用性の評価
実施例または比較例で製造した試片の内部に気泡が発生したかを肉眼で観察した。
【0106】
<実施例 1>
(1) 封止用フィルムの製造
1) 第1の層溶液の製造
水分除去剤として焼成ドロマイト(calcined dolomite)100g及び分散剤としてステアリン酸0.5gをトルエンに固形分50重量%の濃度で投入して水分除去剤溶液を製造した。また、これとは別に、常温で反応器に第1の総の粘着成分としてポリイソブテン樹脂(重量平均分子量45万)65g及びマレイン酸無水物グラフトされたスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(MA−SEBS、商品名:FG−1901X、製造社:Kraton)5gを投入して、粘着付与剤として水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂(軟化点125℃)30gを投入した後、トルエンで固形分が20重量%程度になるように希釈した。前記溶液にあらかじめ準備した水分除去剤溶液を焼成ドロマイトの含量が第1の層の粘着成分100重量部対比30重量部になるように投入し、混合して第1の層の溶液を製造した。
【0107】
2) 第2の層溶液の製造
常温で反応器にシラン変性エポキシ樹脂(KSR−177、KUKDO化学製)200g及びフェノキシ樹脂(YP−50、東都化成)150gを投入し、メチルエチルケトンで希釈した。前記均質化された溶液に硬化剤であるイミダゾール(四国化成)4gを投入した後、1時間の間高速撹拌して第2の層の溶液を製造した。
【0108】
3) フィルムの製造
前記準備した第1の領域の溶液を離型PETの離型面に塗布し、110℃で10分間乾燥し、厚さが40μmの第1の層を形成した。
【0109】
前記準備した第2の領域の溶液を離型PETの離型面に塗布し、130℃で3分間乾燥し、厚さが15μmの第2の層を形成した。
【0110】
前記第1の層及び第2の層を合板して多層のフィルムを製造した。
【0111】
(2) 試片の製造
12mm×12mm(長さ×幅)サイズのガラス基板にカルシウム(Ca)を10mm×10mm(長さ×幅)サイズで蒸着した。これとは別途で、前記製造したフィルムを12mm×12mm(長さ×幅)サイズで裁断した。次に、フィルムの第1の層または片面をカバーガラスに転写させた。その後、フィルムのカバーガラスが存在する面の反対面を前記ガラス基板のカルシウム上にラミネートし、真空プレス(vacuum press)を使用して80℃で2分間加熱圧着し、100℃で3時間の間硬化させて封止層を形成して試片を製造した。
【0112】
実施例2
フィルムの第1の層の粘着成分としてポリイソブテン樹脂65g及びMA−SEBS5gの代わりに、ポリイソブテン樹脂60g及びMA−SEBS10gを使用したことの以外は、実施例1と同一にフィルム及び試片を製造した。
【0113】
実施例3
フィルムの第1の層の粘着成分としてポリイソブテン樹脂65g及びMA−SEBS5gの代わりに、ポリイソブテン樹脂55g及びMA−SEBS15gを使用したことの以外は、実施例1と同一にフィルム及び試片を製造した。
【0114】
実施例4
第1の層の粘着成分の中でMA−SEBSの代わりに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS、商品名:D−1101、製造社:Kraton)を使用したことの以外は、実施例2と同一にフィルム及び試片を製造した。
【0115】
実施例5
第1の層の粘着成分の中でMA−SEBSの代わりに、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS、商品名:D−1107、製造社:Kraton)を使用したことの以外は、実施例2と同一にフィルム及び試片を製造した。
【0116】
実施例6
第1の層の粘着成分としてポリイソブテン樹脂60g及びMA−SEBS10gの代わりに、ポリイソブテン樹脂70gを使用したことの以外は、実施例2と同一にフィルム及び試片を製造した。
【0117】
比較例1
フィルムの第2の層を上部基板と接触させたことの以外は、実施例1と同一に試片を製造した。
【0118】
比較例2
上部基板に第1の層を付着する前に、カルシウムが形成された下部基板とフィルムの第2の層を接触させて、加熱圧着及び硬化したことの以外は、実施例1と同一に試片を製造した。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【符号の説明】
【0121】
11 第2の層
12 第1の層
21 上部基板
23 素子
図1
図2