(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、果実集積システムの一実施形態について、
図1〜
図16に基づいて詳細に説明する。
図1には、果実集積システム100の概略構成が示されている。
【0016】
果実集積システム100は、
図1に示すように、全体フレーム90と、2軸直交マニュピレータ80と、吸着集積ユニット10と、を備える。
【0017】
全体フレーム90は、複数本(例えば4本)の柱部190と、柱部190に支持されたマニュピレータ保持板192及び容器保持板194と、を有する。なお、容器保持板194には、
図1に示すように、複数(本実施形態では、最大15個)のイチゴ200を載置可能な果実トレイ92と、イチゴの出荷用に用いられる出荷容器96とが載置される。なお、果実トレイ92には、不図示の装置又は人手により、大きさや等級が同一である複数のイチゴ200が、向きを揃えられた状態で載置された状態となっているものとする。出荷容器96は、PET(Polyethylene terephthalate)や紙製の容器であり、不図示の装置又は人手によって容器保持板194上に載置される。
【0018】
2軸直交マニュピレータ80は、X軸マニュピレータ82Xと、Z軸マニュピレータ82Zと、を有する。2軸直交マニュピレータ80によってX軸及びZ軸方向に移動する移動体83は、吊り下げ支持部材84を介して、吸着集積ユニット10を支持する。すなわち、2軸直交マニュピレータ80は、制御装置99(
図1では不図示、
図8参照)の指示の下、吸着集積ユニット10をX軸及びZ軸方向に移動する。
【0019】
吸着集積ユニット10は、吊り下げ支持部材84によって吊り下げ支持されたユニットフレーム12と、ブロワ14と、ユニット本体16と、を有する。
【0020】
ユニットフレーム12は、直方体状の骨組み形状を有しており、ブロワ14とユニット本体16とを保持する。ブロワ14は、制御装置99(
図8参照)の指示の下、負圧を発生する装置である。
【0021】
ユニット本体16は、複数(本実施形態では15個)の吸着管20と、複数(本実施形態では8個)のエアシリンダ40と、を有する。
図2は、ユニット本体16を取り出して示す斜視図であり、
図3は、ユニット本体16の平面図である。
【0022】
吸着管20は、
図2に示すようにX軸方向(列方向)に5列、Y軸方向(行方向)に3行のマトリクス状に配列されている。これら吸着管20それぞれは、
図1に示すようにチューブ30を介してブロワ14と接続されている。なお、
図2では、各吸着管20のX軸方向(列)とY軸方向(行)の位置を添え字にて示している(吸着管20
1,1〜20
5,3と表記している)。なお、
図2、
図3に示す吸着管20
1,1〜20
5,3の構成は全て同一となっている。したがって、以下の説明においては、吸着管20
1,1〜20
5,3の1つを代表的に採りあげて説明する場合には、「吸着管20」と表記するものとする。
【0023】
図4には、吸着管20の分解斜視図が示されている。吸着管20は、
図4に示すように、第2吸着管としての移動モジュール50と、第1吸着管としての吸着保持管60と、保持棒70と、を有する。
【0024】
移動モジュール50は、Z軸方向に貫通した第2吸気孔としての貫通孔52と、X軸及びY軸方向に交差する方向に貫通する保持棒用孔54a,54bと、X軸方向に貫通するガイド孔56X1,56X2と、Y軸方向に貫通するガイド孔56Y1,56Y2と、を有する。なお、貫通孔52の内径は、一例として、25mmとなっている。
【0025】
吸着保持管60は、
図4、及び吸着保持管60の断面図である
図5に示すように、吸着保持管本体62と、気密材64と、緩衝材66と、を有する。
【0026】
吸着保持管本体62は、アルミニウム等の金属を材料とし、径の異なる2部分を有するとともに、Z軸方向に貫通する貫通孔62bと、Z軸方向に直交する方向に貫通する長穴62aと、を有する。吸着保持管本体62は、一例として、径の大きい部分の外径が26mm、径の小さい部分の外径が19mmとなっている。
【0027】
気密材64は、吸着保持管本体62と、移動モジュール50との間の隙間における気体の流通を抑制するとともに、吸着保持管60の移動モジュール50に対する動き(Z軸に傾斜する方向の動き(姿勢変化))を許容するものである。気密材64としては、エプトシーラ(登録商標)などの気密性を有する弾性部材を用いることができる。なお、気密材64は、移動モジュール50側(貫通孔52を形成する壁面)に固定されていてもよい。
【0028】
緩衝材66は、イチゴ200を吸着する際にイチゴ200と接触する略環状部材であり、イチゴ200と接触した場合のイチゴ200の損傷を抑制する部材である。緩衝材66としては、気密材64と同様、エプトシーラ(登録商標)などの弾性部材を用いることができる。緩衝材66には、Z軸方向に貫通する貫通孔66aが形成されている。
【0029】
上記のように構成される吸着保持管60は、移動モジュール50の貫通孔52に+Z端側が挿入されるようになっている。
【0030】
保持棒70は、移動モジュール50の保持棒用孔54a,54bと、吸着保持管本体62の長穴62aとを貫通した状態で、吸着保持管60に固定される。この場合、移動モジュール50は、
図5に示すように保持棒70を介して吸着保持管60を吊り下げ支持する。
【0031】
図6(a)は、吸着保持管60がイチゴ200に接触した状態を示し、
図6(b)、
図6(c)は、吸着保持管60がイチゴ200を吸着保持した状態を示している。吸着保持管60がイチゴ200に接触した状態(
図6(a))から、ブロワ14が駆動されると、チューブ30を介して、移動モジュール50及び吸着保持管60内部が負圧になるため、吸着保持管60は、
図6(b)に示すように、移動モジュール50に対して上昇する(+Z方向へ移動する)。そして、吸着保持管60がイチゴ200を吸着保持した状態で、横方向の力を受けると、吸着保持管60は、
図6(c)のように、Z軸方向に傾斜する方向に姿勢を変更する。この場合、吸着保持管60と移動モジュール50とは、気密材64にて接触しているので、吸着保持管60と移動モジュール50との間の隙間における気体の流通を抑制しつつ、吸着保持管60の姿勢が変更されることになる。なお、吸着保持管60の長穴62aと保持棒70との間には隙間があるため、吸着保持管60は、Z軸に傾斜する様々な方向に傾くことができるようになっている。
【0032】
図3に戻り、各吸着管20
1,1〜20
5,3それぞれには、2〜4本のガイド棒44が貫通した状態となっている。以下、具体的に説明する。
【0033】
1列目の吸着管20
1,1〜20
1,3は、ガイド孔56Y1(
図4参照)において、ガイド棒44X1が貫通した状態となっている。2列目の吸着管20
2,1〜20
2,3は、ガイド孔56Y1において、ガイド棒44X2が貫通した状態となっている。3列目の吸着管20
3,1〜20
3,3は、ガイド孔56Y1、56Y2において、ガイド棒44X3a、44X3bが貫通した状態となっている。4列目の吸着管20
4,1〜20
4,3は、ガイド孔56Y2において、ガイド棒44X4が貫通した状態となっている。また、5列目の吸着管20
5,1〜20
5,3は、ガイド孔56Y2において、ガイド棒44X5が貫通した状態となっている。なお、ガイド棒44X3a,44X3bの両端部は、
図1のユニットフレーム12に固定されたフレーム固定具42Y1,42Y2に固定された状態となっている。
【0034】
また、1行目の吸着管20
1,1〜20
5,1は、ガイド孔56X2において、ガイド棒44Y1が貫通した状態となっている。2行目の吸着管20
1,2〜20
5,2は、ガイド孔56X1、56X2において、ガイド棒44Y2a,44Y2bが貫通した状態となっている。また、3行目の吸着管20
1,3〜20
5,3は、ガイド孔56X1において、ガイド棒44Y3が貫通した状態となっている。なお、ガイド棒44Y2a,44Y2bの両端部は、
図1のユニットフレーム12に固定されたフレーム固定具42X1,44X2に固定された状態となっている。
【0035】
エアシリンダ40としては、本実施形態では、2つのY軸エアシリンダ40Y1、40Y2と、6つのX軸エアシリンダ40X1、40X2、40X3a,40X3b、40X4a、40X4bと、を含んでいる。
【0036】
Y軸エアシリンダ40Y1は、フレーム固定具42Y1に設けられており、吸着管20
3,1にY軸方向の力を作用させることで、1行目の吸着管20
1,1〜20
5,1全てをY軸方向に移動させる。
【0037】
Y軸エアシリンダ40Y2は、フレーム固定具42Y2に設けられており、吸着管20
3,3にY軸方向の力を作用させることで、3行目の吸着管20
1,3〜20
5,3全てをY軸方向に移動させる。
【0038】
X軸エアシリンダ40X1は、フレーム固定具42X1に設けられており、吸着管20
1,2にX軸方向の力を作用させることで、1列目の吸着管20
1,1〜20
1,3全てをX軸方向に移動させる。
【0039】
X軸エアシリンダ40X2は、フレーム固定具42X2に設けられており、吸着管20
5,2にX軸方向の力を作用させることで、5列目の吸着管20
5,1〜20
5,3全てをX軸方向に移動させる。
【0040】
X軸エアシリンダ40X3a、40X3bは、2列目の吸着管20
2,1、20
2,3に接続されている。このX軸エアシリンダ40X3a、40X3bにより、2列目の吸着管20
2,1〜20
2,3全てがX軸方向に移動する。また、X軸エアシリンダ40X4a、40X4bは、4列目の吸着管20
4,1、20
4,3に接続されている。このX軸エアシリンダ40X4a、40X4bにより、4列目の吸着管20
4,1〜20
4,3全てがX軸方向に移動する。
【0041】
なお、X軸エアシリンダ40X1、40X2のストロークは、例えば100m
mであり、その他のエアシリンダのストロークは、例えば50m
mであるものとする。本実施形態では、エアシリンダ40が、吸着管20をすべて離間させる方向に移動させることで、吸着管20は、
図2や
図3に示す位置(例えば、吸着管20間のX軸及びY軸方向の間隔が80mmとなる位置)に位置決めされる。一方、エアシリンダ40が、吸着管20をすべて接近させる方向に移動させることで、吸着管20は、
図7に示すような位置(例えば、吸着管20間のX軸及びY軸方向の間隔が30mmとなる位置)に位置決めされる。
【0042】
図8には、吸着集積システム100の制御系がブロック図にて示されている。この
図8に示すように、吸着集積システム100の制御系は、制御装置99と、ブロワ14と、エアシリンダ40と、圧力センサ38と、2軸直交マニュピレータ80と、を有する。
【0043】
圧力センサ38は、吸着管20内部の圧力を検出するセンサである。制御装置99は、圧力センサ38の検出結果をモニタすることで、吸着管20によってイチゴ200が吸着されたか否かを判定することができる。
【0044】
制御装置99は、圧力センサ38の検出結果をモニタするとともに、ブロワ14やエアシリンダ40の動作を制御する。また、2軸直交マニュピレータ80が有する位置センサの検出結果に基づいて、2軸直交マニュピレータ80の駆動を制御する。
【0045】
次に、本実施形態の吸着集積システム100による動作について、
図9のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。なお、
図9の処理は、制御装置99に対して、作業者が作業開始の指示を出した段階から開始される。
【0046】
図9の処理では、まず、ステップS10において、制御装置99が、イチゴ200を並べた果実トレイ92及び出荷容器96が所定位置(
図1の位置)にセットされるまで待機する。この場合、果実トレイ92及び出荷容器96のセットは、専用の装置(コンベヤやロボットなど)が行うこととしてもよいし、作業者が行うこととしてもよい。また、果実トレイ92及び出荷容器96が所定位置にセットされたことは、位置センサなどを用いて検出するようにすればよい。
【0047】
果実トレイ92及び出荷容器96が所定位置にセットされると、ステップS12に移行し、制御装置99は、配置パターンの入力を受け付ける。ここで、配置パターンとは、果実トレイ92上に配列されているイチゴ200の個数を意味する。なお、
図10の配置パターンは、15個となっている。なお、配置パターンとしては、12個,9個、8個、6個、4個があるものとする。ステップS12における配置パターンの入力は、作業者が行うこととしてもよいし、制御装置99が、果実トレイ92を不図示のカメラで撮影した結果に基づいて、配置パターンを検出することとしてもよい。
【0048】
次いで、ステップS14では、制御装置99が、吸着管20の間隔を全て広げる。この場合、制御装置99は、
図2、
図3に示すような状態となるように、エアシリンダ40を制御する。
【0049】
次いで、ステップS16では、制御装置99が、ブロワ14をONにする。すなわち、ブロワ14による吸気を開始する。
【0050】
次いで、ステップS18では、制御装置99が、2軸直交マニュピレータ80(X軸マニュピレータ82X)を介して、吸着集積ユニット10(ユニット本体16)を果実トレイ92上に移動する。また、移動が終了した段階で、制御装置99は、2軸直交マニュピレータ80(Z軸マニュピレータ82Z)を介して、吸着集積ユニット10(ユニット本体16)を下降させる。なお、
図10には、ユニット本体16が果実トレイ92上に移動した状態が示されている。また、
図11(a)には、ユニット本体16が下降した状態が示されている。なお、
図11(a)では、図示の便宜上、イチゴ200を破線にて示している(
図11(b)〜
図13(a)も同様)。また、
図10〜
図13では、図示の便宜上、エアシリンダ40は省略している。
【0051】
次いで、ステップS20では、制御装置99が、果実トレイ92上のイチゴ200を吸着する。この場合、制御装置99は、吸着管20内の気圧を検出する圧力センサ38(
図8参照)の検出結果に基づいて、吸着管20がイチゴ200を吸着保持したことを検出する。そして、制御装置99は、イチゴ200が吸着管20によって吸着保持された段階で、2軸直交マニュピレータ80(Z軸マニュピレータ82Z)を介して、吸着集積ユニット10(ユニット本体16)を上昇させる。
図11(b)には、ユニット本体16がイチゴ200を保持したまま上昇した状態が示されている。
【0052】
次いで、ステップS22では、制御装置99が、エアシリンダ40を介して、吸着管20を移動し、ステップS12において入力された配置パターンに応じた位置に位置決めする。なお、本実施形態では、配置パターンが15個であるので、15個全ての吸着管20が接近するように(
図12(a)の状態となるように)、吸着管20が移動される。ここで、本実施形態では、吸着管20が前述したような構造を有している、すなわち、吸着保持管60が移動モジュール50に対する姿勢(Z軸に傾斜する方向の姿勢)を変更できる構造を有しているので、
図14に示すように、イチゴ200を保持した吸着管20同士が接近し、イチゴ200が接触するような場合であっても、吸着保持管60の姿勢が変更されることにより、イチゴ200の損傷が抑制されるようになっている。また、吸着保持管60は、気密材64を有しているので、上記のように吸着保持管60の姿勢が変更されても、吸着保持管60と移動モジュール50との間の隙間における気体の流通が抑制され続けるようになっている。これにより、吸着保持管60の姿勢が変更された場合における吸着管20によるイチゴ200の吸着保持力の低下が抑制されているので、イチゴ200の落下を抑制することができる。
【0053】
次いで、ステップS24では、制御装置99が、2軸直交マニュピレータ80(X軸マニュピレータ82X)を介して、吸着集積ユニット10(ユニット本体16)を移動させ、出荷容器96上に位置決めする(
図12(b)参照)。そして、制御装置99は、2軸直交マニュピレータ80(Z軸マニュピレータ82Z)を介して、吸着集積ユニット10(ユニット本体16)を所定距離だけ下降させる。この下降により、ユニット本体16(吸着管20)に吸着保持されている15個のイチゴ200は、
図13(a)に示すように、出荷容器96内に入るようになっている。
【0054】
次いで、ステップS26では、制御装置99が、ブロワ14をOFFにする。すなわち、ユニット本体16(吸着管20)によるイチゴ200の吸着が解除される。これにより、出荷容器96内に15個のイチゴ200が収容されることになる。
【0055】
次いで、ステップS28では、制御装置99が、2軸直交マニュピレータ80(Z軸マニュピレータ82Z)を介して、吸着集積ユニット10(ユニット本体16)を上昇させる。
図13(b)には、ユニット本体16が、イチゴ200が収容された出荷容器96の上方に位置している状態が示されている。
【0056】
次いで、ステップS30では、制御装置99は、継続するか否かを判断する。この場合、制御装置99は、例えば、作業者が作業中止ボタンを押していなければ、継続すると判断する。ステップS30の判断が肯定された場合には、ステップS10に戻り、上述した処理が繰り返されることになる。一方、ステップS30の判断が否定された場合には、
図9の全処理を終了する。
【0057】
以上のような処理を行うことで、イチゴ200の損傷を抑制しつつ、イチゴ200の出荷容器96への収容を自動で行うことが可能となっている。
【0058】
なお、
図9の処理のうち、同時並行的に実行可能なステップについては、同時に行うこととしてもよい。例えば、ステップS14(吸着管20の間隔を広げる)と、ステップS16(ブロワON)と、ステップS18(ユニット本体16の移動)を同時に行うこととしてもよい。また、その他のステップの組み合わせを同時に行うこととしてもよい。
【0059】
なお、
図9では、1つの出荷容器96に対して、イチゴ200の収容動作が1回行われる場合について説明したが、これに限らず、収容動作は複数回行われてもよい。これにより、出荷容器96に対してイチゴ200を複数段収容することが可能となる。この場合、各収容動作において、イチゴ200の個数(配置パターン)を変更することができる。これにより、イチゴ200を出荷容器96に対して効率よく詰めることが可能となる。
【0060】
ここで、配置パターンが、12個,9個、8個、6個、4個となった場合の、ユニット本体16の動作(ステップS22の動作)について、
図15、
図16に基づいて説明する。
【0061】
イチゴ200が果実トレイ92上に12個並べられていた場合(配置パターンが12個であった場合)には、制御装置99は、ステップS22において、X軸エアシリンダ40X2のみを動作させないようにすることで、
図15(a)のように吸着管20を12個接近させる。なお、
図15(a)の状態では、接近していない3つの吸着管20は、イチゴ200を吸着保持していない。これは、果実トレイ92の当該3つの吸着管20に対応する位置にイチゴ200が配置されていなかったためである。
【0062】
また、イチゴ200が果実トレイ92上に9個並べられていた場合(配置パターンが9個であった場合)には、制御装置99は、ステップS22において、X軸エアシリンダ40X1、40X2を動作させないようにすることで、
図15(b)のように吸着管20を9個接近させる。
【0063】
また、イチゴ200が果実トレイ92上に8個並べられていた場合(配置パターンが8個であった場合)には、制御装置99は、ステップS22において、X軸エアシリンダ40X2及びY軸エアシリンダ40Y1を動作させないようにすることで、
図16(a)のように吸着管20を8個接近させる。
【0064】
また、イチゴ200が果実トレイ92上に6個並べられていた場合(配置パターンが6個であった場合)には、制御装置99は、ステップS22において、X軸エアシリンダ40X1、40X2及びY軸エアシリンダ40Y1を動作させないようにすることで、
図16(a)のように吸着管20を6個接近させる。
【0065】
なお、イチゴ200が果実トレイ92上に4個並べられていた場合(配置パターンが4個であった場合)には、制御装置99は、ステップS22において、
図16(b)の状態から、更にY軸エアシリンダ40X4a、40X4b(又は40X3a、40X3b)を動作させないようにすることで、吸着管20を4個接近させる。
【0066】
このように、本実施形態では、出荷容器96に収容すべきイチゴ200の数に応じて、駆動するエアシリンダ40を変更することで、イチゴ200の吸着保持に用いない吸着管20が邪魔になることなく、出荷容器96に所望の数だけイチゴ200を収容することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、制御装置99とエアシリンダ90とにより、複数の吸着管20の間隔を変更する間隔変更部としての機能が実現されている。
【0068】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、保持棒70を介して移動モジュール50によって吊り下げ支持された吸着保持管60がZ軸方向に対して傾斜する方向に姿勢を変更することができるようになっている。これにより、イチゴ200を吸着保持した状態の複数の吸着管20が接近して、イチゴ200同士が接触するような場合であっても、吸着保持管60は、イチゴ同士の接触によって生じる反力を受けて、イチゴ200の損傷を抑制するように姿勢を変更するので、イチゴ200の形状にばらつきがあったり、イチゴ200同士を極力接近させなければならないような場合であっても、イチゴ200同士の接触による損傷を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、移動モジュール50と吸着保持管60の間に気密性及び弾性を有する気密材64が設けられているので、移動モジュール50に対する吸着保持管60の姿勢の変更を許容しつつ、吸着保持管60と移動モジュール50の隙間における気体の流通を抑制することができる。これにより、吸着保持管60の姿勢が変更された場合であっても、吸着管20によるイチゴ200の吸着保持力を維持することが可能である。
【0070】
ここで、移動モジュール50と吸着保持管60の間の気体の流通を抑制する部材としては、ベローズ構造の部材を用いるのが一般的である。しかしながら、ベローズ構造を本実施形態の移動モジュール50と吸着保持管60の間に設けた場合、イチゴ200を吸着保持した状態では負圧によりベローズが縮むため、イチゴ200を保持していない状態と同じような柔軟性を発揮することができない。これに対し、本実施形態のように気密材64を用いることで、イチゴ200を吸着保持しているか否かにかかわらず、一定の柔軟性を確保することができるので、イチゴ200同士が接触した場合のイチゴ200の損傷を効果的に抑制することが可能である。
【0071】
また、本実施形態では、移動モジュール50は、保持棒70を介して、吸着保持管60のZ軸方向の移動を許容した状態で吸着保持管60を吊り下げ支持するので、吸着保持管60がイチゴ200に接近する場合に、吸着保持管60の下端部がイチゴ200に接触しても、吸着保持管60のZ軸方向の移動により、イチゴ200の損傷を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、モジュール本体16が出荷容器96に収容するイチゴ200の数を変更することができるので、出荷容器96の大きさやイチゴ200の大きさに適切に対応することができる。また、出荷容器96に対するイチゴ200の複数段詰めが可能となる。ここで、イチゴのパック詰め作業は見栄えが重視されるため、手作業で行われるのが一般的である。しかし、手作業の場合、イチゴを整然と並べるため、詰めたイチゴを押さえながら次のイチゴを隙間に押し込むことが多い。このようにイチゴを手で触れる頻度が高くなると、果実が損傷しやすくなる(イチゴの表皮は温度が高くなると損傷しやすくなるため)。これに対し、本実施形態では、手でイチゴに触れる頻度及び積算時間が大幅に短縮されるため、果実損傷の発生が低減し、衛生面からも優れていると考えられる。
【0073】
なお、上記実施形態では、2軸直交マニュピレータ80が、X軸マニュピレータ82XとZ軸マニュピレータ82Zを有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、果実トレイ92及び出荷容器96をZ軸方向(上下方向)に移動する装置を果実集積システム100が備えている場合には、Z軸マニュピレータ82Zを省略することとしてもよい。また、例えば、果実トレイ92及び出荷容器96をX軸方向に移動する装置を果実集積システム100が備えている場合には、Z軸マニュピレータ82Zを省略することとしてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態では、ユニット本体16が、
図2のような構成である場合について説明したが、これに限らず、複数の吸着管20が接近したり離間したりすることが可能な種々の構成を採用することが可能である。また、上記実施形態では、ユニット本体16が15個の吸着管20を有する場合について説明したが、これに限らず、取り扱うイチゴの数に応じて種々設計変更することが可能である。
【0075】
なお、上記実施形態では、果実集積システム100が、イチゴを出荷容器96内に収容する例について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、果実集積システム100が扱う果実としては、イチゴ以外の果実で、出荷容器内に接近した状態で収容される果実を採用することができる。
【0076】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。