(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の導電膜形成用組成物および導電膜の製造方法の好適態様について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の特徴点としては、体積平均2次粒子径が所定の範囲にある酸化銅粒子を使用すると共に、水溶性高分子および界面活性剤からなる群から選ばれる分散剤と、溶媒として水を使用している点が挙げられる。体積平均2次粒子径が所定の範囲内にあることにより、導電膜形成用組成物より形成される加熱処理または光照射処理が施される前の塗膜(前駆体膜)中において、酸化銅粒子がより密にパッキングする。また、水溶性高分子および界面活性剤からなる群から選ばれる分散剤を使用することにより、酸化銅粒子のパッキングがさらに密に進行する。さらに、溶媒として水を使用することにより、溶媒や水溶性高分子などの水素結合などにより塗膜がより密な状態となりやすく、酸化銅粒子のパッキングを促進していると推測される。結果として、加熱処理または光照射処理の際に、酸化銅粒子間での熱伝導が向上し、酸化銅から金属銅への還元がより効率よく進行する。
また、本発明の導電膜形成用組成物は水を用いることから安全性に優れている。
【0011】
以下では、まず、導電膜形成用組成物の各種成分(酸化銅粒子、水溶性高分子および界面活性剤など)について詳述し、その後、導電膜の製造方法について詳述する。
【0012】
(酸化銅粒子)
導電膜形成用組成物には、酸化銅粒子が含まれる。酸化銅粒子は、後述する加熱処理または光照射処理によって還元され、導電膜中の金属銅を構成する。
本発明における「酸化銅」とは、酸化されていない銅を実質的に含まない化合物であり、具体的には、X線回折による結晶解析において、酸化銅由来のピークが検出され、かつ金属由来のピークが検出されない化合物のことを指す。銅を実質的に含まないとは、限定的ではないが、銅の含有量が酸化銅粒子に対して1質量%以下であることをいう。
【0013】
酸化銅としては、酸化銅(I)または酸化銅(II)が好ましく、安価に入手可能であること、安定であることから酸化銅(II)であることがさらに好ましい。
【0014】
酸化銅粒子の体積平均2次粒子径は、20〜240nmである。なかでも、形成される導電膜の導電性がより優れる点で、20〜180nmが好ましく、50〜160nmがより好ましい。
酸化銅粒子の体積平均2次粒子径が20nm未満の場合、導電膜形成用組成物中での酸化銅粒子の分散安定性が劣り、導電膜の導電性も低下する。また、酸化銅粒子の体積平均2次粒子径が240nm超の場合、形成される導電膜中に空隙が多く存在し、導電膜の取扱い性および耐久性が悪化し、導電性が低下する。
酸化銅粒子の体積平均2次粒子径の測定方法は、イオン交換水で酸化銅濃度が0.01wt%になるように導電膜形成用組成物を希釈し、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で動的光散乱法により測定する。
なお、酸化銅粒子の体積平均2次粒子径の制御方法は特に制限されず、例えば、使用される分散剤の種類を制御する方法や、分散剤と酸化銅粒子との混合条件(混合方法、混合手順)を制御する方法や、使用する分散機、分散時間を変更する方法や、酸化銅粒子と分散剤と溶媒(水)との混合割合を制御する方法など、公知の方法が選択される。
【0015】
酸化銅粒子の平均1次粒子径は特に制限されないが、100nm以下が好ましく、80nmがより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。なお、下限は特に制限されないが、1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
平均1次粒子径が1nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、組成物中で溶解することがなく、取扱い性に優れるため好ましい。また、100nm以下であれば、組成物をインクジェット用インク組成物やスクリーン印刷用ペースト組成物として用い、各種印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となり、組成物を導体化する際に、金属銅への還元が十分となり、得られる導電膜の導電性が良好であるため好ましい。
なお、平均1次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも400個以上の酸化銅粒子の円相当径を測定し、それらを算術平均して求める。円相当径とは、観察される酸化銅粒子の2次元形状と同じ面積に相当する円の直径を意味する。
酸化銅粒子の平均1次粒子径と体積平均2次粒子径は、平均1次粒子径/体積平均2次粒子径の比が0.1〜0.7であることが好ましく、形成される導電膜の導電性がより優れる点で0.25〜0.5であることがさらに好ましい。
【0016】
なお、上記酸化銅粒子は、市販品を使用しても、公知の製造方法で製造してもよい。
【0017】
(水)
導電膜形成用組成物には、水が含まれる。水は、酸化銅粒子の分散媒として機能する。溶媒として水を使用することは、安全性において優れており好ましい。また、上述したように、塗膜の形成の際に、溶媒や水溶性高分子などの水素結合などにより酸化銅粒子がより密にパッキングしやすく、結果として空隙が少ない、導電性に優れた導電膜が形成されると推測される。
水としては、イオン交換水のレベルの純度を有するものが好ましい。
なお、導電膜形成用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、水以外の他の溶媒(例えば、有機溶媒)を含んでいてもよい。
【0018】
(水溶性高分子、界面活性剤)
導電膜形成用組成物には、水溶性高分子および界面活性剤からなる群から選ばれる分散剤が含まれる。分散剤が含まれることにより、上述した酸化銅粒子の分散安定性が向上し、導電膜形成用組成物より形成される塗膜中での酸化銅粒子がより密にパッキングされ、また、金属銅への還元が効率よく起こり、結果として、形成される導電膜の空隙が減少すると共に、導電性が向上する。
【0019】
水溶性高分子の種類は特に制限されず、水に溶解可能な高分子であればよい。
水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子、微生物系高分子、合成/半合成高分子などがあり、植物系高分子としては、例えば、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等、微生物系高分子としては、例えば、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等が挙げられる。
【0020】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0021】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0022】
水溶性高分子の好適態様としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、およびアクリル系共重合体が挙げられる。これらの高分子であれば、形成される導電膜の導電性がより優れる。
ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は特に制限されないが、形成される導電膜の導電性がより優れる点で、2500〜160000が好ましく、8000〜160000がより好ましく、20000〜80000がさらに好ましい。
ポリエチレングリコールの重量平均分子量は特に制限されないが、形成される導電膜の導電性がより優れる点で、3000〜40000が好ましく、3000〜18000がより好ましく、5000〜18000がさらに好ましい。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は特に制限されないが、形成される導電膜の導電性がより優れる点で、2500〜40000が好ましく、3000〜20000がより好ましい。
アクリル系共重合体は、例えば、市販品であるビックケミー・ジャパン(株)社製、BYK−154やDISPERBYK−2010やDISPERBYK−2015などが挙げられる。
なお、上記重量平均分子量は、GPC法(溶媒:N−メチルピロリドン)により得られたポリスチレン換算値である。
【0023】
界面活性剤の種類は特に制限されず、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0024】
なお、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸単量体の重合体、不飽和二重結合を有するカルボン酸単量体と他の不飽和二重結合を有する単量体との共重合体およびそれらのアンモニウム塩やアミン塩等が挙げられる。ポリカルボン酸型高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸系分散剤が好ましく、共重合成分としてアクリル酸アンモニウム塩を構成単位とした高分子分散剤がより好ましい。
ポリカルボン酸型高分子界面活性剤の具体例としては、イソブチレンまたはジイソブチレンと無水マレイン酸との共重合物のナトリウム塩、無水マレイン酸とスチレンとの共重合物のナトリウム塩、アクリル酸重合物のナトリウム塩、無水マレイン酸とアクリル酸との共重合物のナトリウム塩、アンモニウム塩、イタコン酸とアクリル酸との共重合物のナトリウム塩、アンモニウム塩等がある。
【0025】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
より具体的には、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
【0026】
陽イオン性界面活性剤および両性界面活性剤の具体例としてはアルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
【0027】
上記の界面活性剤の中でも、形成される導電膜の導電性がより優れる点で、陰イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が好ましい。
なかでも、陰イオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤が好ましい。
また、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
【0028】
なお、導電膜形成用組成物には、水溶性高分子と界面活性剤の両者が含まれていてもよい。
また、導電膜形成用組成物に水溶性高分子が含まれる場合、種類の異なる2種以上の水溶性高分子が含まれていてもよく、例えば、本発明の効果がより優れる点で、重量平均分子量の異なる2種以上の水溶性高分子が含まれていることが好ましい。
また、導電膜形成用組成物に界面活性剤が含まれる場合、種類の異なる2種以上の界面活性剤が含まれていてもよい。
【0029】
(その他の成分)
導電膜形成用組成物には、上記酸化銅粒子、水、水溶性高分子および界面活性剤以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、導電膜形成用組成物の粘度を適正な範囲に制御するために、揺変剤が含まれていてもよい。揺変剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
揺変剤とは、分散媒に対して揺変性を付与する添加剤をいう。揺変性(thixotropy;チクソ性)とは、力が作用すると粘度が減少し、静置すると粘度が元に戻るといった流体の性状をいう。
揺変剤としては、有機系揺変剤および無機系揺変剤等が挙げられる。該有機系揺変剤としては、脂肪酸アマイド系揺変剤、水添ひまし油系揺変剤、酸化ポリオレフィン系揺変剤、ウレア系揺変剤、ウレタン系揺変剤等が挙げられる。より具体的には、ウレアウレタン、変性ウレア、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、ポリヒドロキシカルボン酸エステル、ウレア変性ポリアミド、酸化ポリエチレンアミド、酸化ポリエチレン、脂肪酸アミド等を挙げることができる。
また、上記脂肪酸アマイド系揺変剤の市販品としては、楠本化成社製のディスパロン6900−20X、6900−10X、A603−20X、A603−10X、6810−20X、6850−20X、FS−6010、PFA−131、PFA−231、6500、6650、6700、F−9020、F−9030、F−9040およびF−9050、並びにビックケミー社製のBYK−405等が挙げられる。上記水添ひまし油系揺変剤の市販品としては、楠本化成社製のディスパロン308および4300等が挙げられる。上記酸化ポリオレフィン系揺変剤の市販品としては、楠本化成社製のディスパロン4200−20、4200−10、PF−911、4401−25Xおよび4401−25M等が挙げられる。上記ウレア系揺変剤およびウレタン系揺変剤の市販品としては、ビックケミー社製のBYK−410、BYK−411、BYK−420、BYK−425、BYK−428、BYK−430およびBYK−431等が挙げられる。
【0030】
(導電膜形成用組成物)
導電膜形成用組成物には、上述した酸化銅粒子、水、および、分散剤が含まれる。
酸化銅粒子の含有量は、導電膜形成用組成物全質量に対して、10〜70質量%である。なかでも、形成される導電膜の導電性がより優れる点で、20〜70質量%が好ましく、30〜65質量%がより好ましく、40〜65質量%がさらに好ましい。
酸化銅粒子の含有量が10質量%未満の場合、形成される導電膜が不均一になりやすく、70質量%超の場合、形成される導電膜の導電性が劣る。
【0031】
水の含有量は特に制限されないが、導電膜形成用組成物の保存安定性が優れる点で、導電膜形成用組成物全質量に対して、15〜88質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましく、25〜55質量%がさらに好ましい。
【0032】
分散剤の含有量は特に制限されないが、導電膜形成用組成物の保存安定性が優れる点で、酸化銅粒子全質量に対して、4〜20質量%が好ましく、6〜15質量%がより好ましい。
また、導電膜形成用組成物中に水溶性高分子と界面活性剤の両者が含まれる場合、界面活性剤の含有量は、酸化銅粒子全重量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.5質量%以上の場合が多い。
【0033】
上述した揺変剤が導電膜形成用組成物に含まれる場合、揺変剤の含有量は特に制限されないが、形成された導電膜の空隙率が優れる点で、導電膜形成用組成物全質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0034】
導電膜形成用組成物のpHは特に制限されないが、酸化銅粒子の分散安定性がより優れる点で、9以下が好ましく、7以下がより好ましく、4以上が好ましく、5以上がより好ましい。
【0035】
導電膜形成用組成物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。
なかでも、上述した酸化銅粒子、水、分散剤、および、他の任意成分を混合して、導電膜形成用組成物を製造できる。
混合する方法は特に制限されないが、例えば、ホモジナイザー(例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー)、ミル(例えば、ビーズミル、ボールミル、タワーミル、3本ロールミル)、ミキサー(例えば、プラネタリーミキサー、ディスパーミキサー、ヘンシルミキサー、ニーダー、クレアミックス、自公転ミキサー(攪拌脱泡機))などを用いて混合分散させる方法が挙げられる。なかでも、酸化銅粒子の分散性がより優れる点で、超音波ホモジナイザーやビーズミルを用いることが好ましい。
なお、ビーズの材質、ビーズ量、ビーズ径としては、通常のビーズミルに用いられるものであれば特に限定されない。ビーズ径としては、0.05〜3mmφ程度が好ましい。
【0036】
(導電膜の製造方法)
本発明の導電膜の製造方法は、上述した導電膜形成用組成物を用いて基材上に塗膜を形成する工程(以後、適宜塗膜形成工程とも称する)と、加熱処理および/または光照射処理を施して導電膜を得る工程(以後、導電膜形成工程とも称する)とを有する。以下に、それぞれの工程について詳述する。
【0037】
(塗膜形成工程)
本工程は、上述した導電膜形成用組成物を基材上に付与して、塗膜を形成する工程である。本工程により還元処理が施される前の前駆体膜が得られる。
使用される導電膜形成用組成物については、上述の通りである。
【0038】
本工程で使用される基材としては、公知のものを用いることができる。基材に使用される材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、またはこれらの複合物が挙げられる。
より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのメタクリル系樹脂;ポリスチレン、ABS、ASなどのポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレートなど)、ナイロン樹脂およびナイロン共重合体から選ばれるポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリオキシメチレン;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂;フッ素樹脂;セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体基材;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体基材;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基材、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂基材、ポリカーボネート樹脂基材、ポリイミド樹脂基材、ポリエーテルイミド樹脂基材が好ましく使用される。
【0039】
導電膜形成用組成物を基材上に付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法などの塗布法が挙げられる。
塗布の形状は特に制限されず、基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
基材上への導電膜形成用組成物の塗布量としては、所望する導電膜の膜厚に応じて適宜調整すればよいが、通常、塗膜の膜厚は0.01〜5000μmが好ましく、0.1〜1000μmがより好ましく、1〜100μmがさらに好ましい。
【0040】
本工程においては、必要に応じて、導電膜形成用組成物を基材へ塗布した後に乾燥処理を行い、溶媒である水を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する導電膜形成工程において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、導電膜の導電性および導電膜と基材との密着性の点で好ましい。
乾燥処理の方法としては温風乾燥機などを用いることができ、温度としては、40℃〜200℃で加熱処理を行うことが好ましく、50℃以上150℃未満で加熱処理を行なうことがより好ましく、70℃〜120℃で加熱処理を行うことがさらに好ましい。
乾燥時間は特に限定されないが、基材と導電膜との密着性がより良好になることから、1〜60分であることが好ましい。
【0041】
(導電膜形成工程)
本工程は、上記塗膜形成工程で形成された塗膜に対して加熱処理および/または光照射処理を行い、金属銅を含有する導電膜を形成する工程である。
加熱処理および/または光照射処理を行うことにより、酸化銅粒子中の酸化銅が還元され、さらに融着して金属銅が得られる。より具体的には、酸化銅が還元されて金属銅粒子が形成され、生成した金属銅粒子が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して銅を含有する導電性薄膜を形成する。
【0042】
加熱処理の条件は、使用される酸化銅粒子や分散剤の種類によって適宜最適な条件が選択される。なかでも、短時間で、空隙が少なく導電性により優れる導電膜を形成することができる点で、加熱温度は100〜500℃が好ましく、150〜450℃がより好ましく、また、加熱時間は5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
本発明では、比較的低温の加熱処理により導電膜の形成が可能であり、従って、プロセスコストが安いという利点を有する。
【0043】
光照射処理は、上述した加熱処理とは異なり、室温にて塗膜が付与された部分に対して光を短時間照射することで金属銅への還元および焼結が可能となり、長時間の加熱による基材の劣化が起こらず、導電膜の基材との密着性がより良好となる。
【0044】
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
【0045】
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、パルス光照射(例:Xeフラッシュランプによるパルス光照射)であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、塗膜を付与した部分の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm
2が好ましく、1〜30J/cm
2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒がさらに好ましい。
【0046】
上記加熱処理および光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
【0047】
上記加熱処理および光照射処理を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性雰囲気下、または還元性雰囲気下などが挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
なかでも、不活性雰囲気下または還元性雰囲気下で行うことが好ましく、特に加熱処理では還元性雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0048】
(導電膜)
上記工程を実施することにより、金属銅を含有する導電膜(金属銅膜)が得られる。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な膜厚が調整される。なかでも、プリント配線基板用途の点からは、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
導電膜の体積抵抗値は、導電特性の点から、100μΩ・cm未満が好ましく、50μΩ・cm未満がより好ましい。
体積抵抗値は、導電膜の表面抵抗値を四探針法にて測定後、得られた表面抵抗値に膜厚を乗算することで算出することができる。
【0049】
導電膜は基材の全面、または、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、上記導電膜形成用組成物をパターン状に基材に付与して、上記加熱処理および/または光照射処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
【0050】
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁層(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、ソルダーレジスト)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
【0051】
絶縁膜の材料は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂など挙げられる。
これらの中でも、密着性、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、または液晶樹脂を含有するものであることが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂である。具体的には、味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13などが挙げられる。
【0052】
また、配線保護のために用いられる絶縁層の材料の一種であるソルダーレジストについては、例えば、特開平10−204150号公報や、特開2003−222993号公報等に詳細に記載され、ここに記載の材料を所望により本発明にも適用することができる。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、具体的には、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200G、などが挙げられる。
【0053】
上記で得られた導電膜を有する基材(導電膜付き基材)は、種々の用途に使用することができる。例えば、プリント配線基板、TFT、FPC、RFIDなどが挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
<実施例1>
(分散体2)
酸化第二銅粒子(シーアイ化成(株)製、NanoTek CuO、平均1次粒子径(48nm))116質量部と、ポリビニルピロリドン(東京化成(株)製、PVP K15)7質量部と、イオン交換水77質量部とを混合し、レディーミル分散機(アイメックス社製のビーズミル分散機)を用いて、ビーズ径0.05mmφのジルコニアビーズにより、所望の体積平均2次粒子径を得るまで分散し、分散体2を得た。
分散体の体積平均2次粒子径は、分散体2をイオン交換水で酸化第二銅濃度が0.01wt%になるように希釈し、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で動的光散乱法により測定したところ、130nmであった。また、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は表1の水溶性高分子の重量平均分子量欄に記載したとおり、3000であった。
【0056】
(導電膜形成用組成物2の調製)
上記分散体2、水溶性高分子(ポリビニルピロリドン(東京化成(株)製、PVP K15))、水、および、BYK-425(揺変剤、ビックケミー・ジャパン(株)社製、固形分濃度40質量%)を表2の組成になるよう混合し、自転公転ミキサー(THINKY(株)社製、あわとり練太郎ARE-310)で2000rpm、5分間攪拌処理することで導電膜形成用組成物2を得た。なお、表中のポリビニルピロリドンの量は、分散体2に含まれるポリビニルピロリドンと、導電膜形成用組成物2調製時に添加するポリビニルピロリドンを合計した値である。また、導電膜形成用組成物中の体積平均2次粒子径は、上記分散体2と同様にして測定した。
【0057】
導電膜形成用組成物2を乾燥後膜厚が5μmになるようPI基材上にバー塗布し、100℃で10分間乾燥させることで塗膜を得た。
得られた塗膜にパルス光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m
2、パルス幅2m秒)を行うことで導電膜を得た。
【0058】
(空隙率評価)
得られた導電膜の断面をSEM(倍率1000倍)で観察し、得られた画像を処理して空隙率を求めた。より具体的には、導電膜表面に対して垂直方向の導電膜断面(横方向:幅300μm、縦方向:導電膜中、支持体側とは反対側の表面(露出表面)より導電膜の全体厚みの25/100に相当する深さ位置(深さA)から、支持体側とは反対側の表面より導電膜の全体厚みの75/100に相当する深さ位置(深さB)までの領域)をSEMで観察し、空隙部分の面積率(%)[(空隙部分の面積/全観察面積)×100]を求めた。上記面積率の測定を任意5箇所で行い、それらを算術平均して、空隙部分の面積率(空隙率)を計算した。得られた空隙率(%)を以下の基準に従って、評価した。なお、実用上、A〜Cであることが求められる。
A:空隙率25%未満
B:空隙率25%以上45%未満
C:空隙率45%以上70%未満
D:空隙率70%以上
E:膜がもろく評価不能
【0059】
(導電性評価)
得られた導電膜について、四探針法抵抗率計を用いて体積抵抗率を測定し、導電性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、実用上、AまたはBであることが求められる。
A:体積抵抗率が50μΩ・cm未満
B:体積抵抗率が50μΩ・cm以上100μΩ・cm未満
C:体積抵抗率が100μΩ・cm以上
【0060】
<実施例2〜32、比較例1〜6>
(分散体1)
酸化第二銅粒子(シーアイ化成(株)社製、NanoTek、CuO、平均1次粒子径(48nm))58質量部と、ポリビニルピロリドン(Polysciences, Inc. 社製 カタログ番号24737−250)3.5質量部と、イオン交換水38.5質量部とを混合し、自転公転ミキサー(THINKY(株)社製、あわとり練太郎ARE-310)で2000rpm、5分間攪拌処理することで、比較例1中の分散体1を得た。
分散体の体積平均2次粒子径は、実施例1の分散体2と同様に分散体1をイオン交換水で酸化第二銅濃度が0.01wt%になるように希釈し、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で動的光散乱法により測定した。また、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量を測定したところ、1000であった。
(分散体3〜4、13〜27)
組成を後述する表1に従って変更した以外は、実施例1中の分散体2の製造方法と同様の手順に従って、分散体3〜4、13〜27を調製した。
(分散体5、7〜8、28)
組成を後述する表1に従って変更した以外は、上記分散体1の製造方法と同様の手順に従って、分散体5、7〜8、28を調製した。
(分散体6)
ビーズ径0.1mmφのジルコニアビーズの代わり、0.3mmφのジルコニアビーズを使用した以外は、実施例1中の分散体2の製造方法と同様の手順に従って、分散体6を調製した。
(分散体9〜12)
組成を後述する表1に従って変更し、使用するジルコニアビーズをビーズ径0.1mmφのものに変更した以外は、実施例1中の分散体2の製造方法と同様の手順に従って、分散体9〜12を調製した。
【0061】
(導電膜形成用組成物1、3〜38の調製)
使用する分散体の種類や成分の種類やそれらの量を表2に記載に従って変更した以外は、実施例1中の導電膜形成用組成物2の製造方法と同様の手順に従って、導電膜形成用組成物1、3〜38を調製した。
得られた導電膜形成用組成物1、3〜38を用いて、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
【0062】
表1中、酸化第二銅粒子Aは酸化第二銅(シーアイ化成(株)社製、NanoTek(登録商標)、平均1次粒子径(48nm))を意図し、酸化第二銅粒子Bは酸化第二銅(シグマアルドリッチ、ナノパウダー(平均1次粒子径:35nm))を意図する。
また、表1および表2中、「水溶性高分子の重量平均分子量」欄は、GPC法(溶媒:N−メチルピロリドン)により得られたポリスチレン換算値を意図する。
また、表1および表2中の「%」は「質量%」を意図する。
また、表1および表2中の「残部」は、各分散体または各組成物中の成分の合計が「100質量%」となるように、溶媒が含まれることを意図する。
また、表1および表2中、「PEG1000(Wako)、PEG4000(Wako)、PEG8000(Wako)、PEG20000(Wako)」は、それぞれ「ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール20000、いずれも和光純薬工業(株)社製を意図する。「BYK−154」は、ビックケミー・ジャパン(株)社製、BYK−154を意図する。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
上記表2に示すように、本発明の導電膜形成用組成物を使用した場合、形成された導電膜は空隙が少なく、導電性にも優れることが確認された。
なかでも、実施例1〜3の比較からわかるように、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が8000以上の場合、導電膜の導電性がより優れることが確認された。
また、実施例3と4との比較からわかるように、重量平均分子量の異なるポリビニルピロリドンを使用した場合、導電膜の空隙がより低減することが確認された。
また、実施例4、6および7の比較からわかるように、体積平均2次粒子径が180nm以下の場合、導電膜の空隙がより低減することが確認され、さらに体積平均2次粒子径が160nm以下の場合、導電膜の空隙がさらに低減することが確認された。
また、実施例8〜11の比較からわかるように、ポリエチレングリコールの重量平均分子量が3000以上18000以下の場合、体積平均2次粒子径の小さな酸化銅分散体が得られ、導電膜の空隙がより低減することが確認され、さらに重量平均分子量が5000以上18000以下の場合、導電膜の導電性がより優れることが確認された。
また、実施例14〜16の比較から分かるように、導電性組成物中の酸化銅粒子濃度が高い方が、空隙が低減することが確認された。
また、比較例2と実施例12との比較からわかるように、分散剤として水溶性高分子に加えて界面活性剤を使用した場合、体積平均2次粒子径の小さな酸化銅分散体が得られ、導電膜の空隙がより少なく、導電性にも優れることが確認された。
また、実施例17と18の比較、および、実施例24と25の比較から分かるように、界面活性剤の量が酸化銅粒子の全質量に対して5質量%以下であると、導電膜の空隙が低減し、導電性が優れることが確認された。
また、実施例19と実施例20の比較から、分子量20000以上のポリビニルピロリドンと界面活性剤とを含有することにより、導電膜の空隙がより低減することが確認された。
また、実施例12と実施例31の比較および実施例4と実施例32の比較により、揺変剤を含有することにより、導電膜の空隙がより低減し導電性がより優れることが確認された。
【0070】
一方、比較例1〜3、5〜6に示すように、酸化銅粒子の体積平均2次粒子径が所定範囲外の場合、導電膜中に空隙が多く、導電性にも劣ることが確認された。
また、比較例4に示すように、溶媒として有機溶媒を使用した場合、導電膜中に空隙が多く、導電性にも劣ることが確認された。なお、比較例4の態様は、上述した特許文献1の態様に該当する。