特許第5972364号(P5972364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972364電力貯蔵装置、これを用いた電力貯蔵システム、及び電力貯蔵システムの構成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972364
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】電力貯蔵装置、これを用いた電力貯蔵システム、及び電力貯蔵システムの構成方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20160804BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160804BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H02J7/00 302C
   H02J7/02 J
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-513436(P2014-513436)
(86)(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公表番号】特表2014-522629(P2014-522629A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】KR2012004263
(87)【国際公開番号】WO2012165858
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2013年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0051803
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0057215
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン−ス・カン
(72)【発明者】
【氏名】チャン−ミン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン−ボ・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン−ス・ハ
【審査官】 大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0158156(US,A1)
【文献】 特開2003−017134(JP,A)
【文献】 特開昭61−059135(JP,A)
【文献】 特開2004−086383(JP,A)
【文献】 特表2009−512144(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0295382(US,A1)
【文献】 特開2003−209932(JP,A)
【文献】 特開平08−140204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/10
10/42−10/48
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池の設置空間を画定するハウジングと、
前記ハウジングへ収納され、直列または並列で連結されている複数の二次電池と、
前記複数の二次電池に対する充放電制御及び電気的特性値のモニタリングを行うBMSと、
前記BMSのグループを設定するグループ設定スイッチと、
前記グループ設定スイッチによって設定されたグループのうち、同一グループ内に含まれるBMSに対し、マスターまたはスレーブの地位を設定する地位設定スイッチとを含み、
前記BMSは、通信ラインを通じて連結された他のBMSとデータを送受信することを特徴とする、電力貯蔵装置。
【請求項2】
前記地位設定スイッチが、前記BMSの地位をマスターまたはn番目のスレーブとして設定するスイッチであることを特徴とする、請求項1に記載の電力貯蔵装置。
【請求項3】
前記BMSが、前記地位設定スイッチに設定された値を自分の通信識別子として割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の電力貯蔵装置。
【請求項4】
前記地位設定スイッチが、ジャンパースイッチまたはDIPスイッチであることを特徴とする、請求項1に記載の電力貯蔵装置。
【請求項5】
前記BMSが、前記地位設定スイッチ及び前記グループ設定スイッチに設定された値を自分の通信識別子として割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の電力貯蔵装置。
【請求項6】
前記グループ設定スイッチが、ジャンパースイッチまたはDIPスイッチであることを特徴とする、請求項1に記載の電力貯蔵装置。
【請求項7】
電力ライン連結端子及び通信ライン連結端子をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電力貯蔵装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の複数の電力貯蔵装置を含む、電力貯蔵システム。
【請求項9】
複数の前記電力貯蔵装置を連結する電力ラインの一端に連結された電力インバーターをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の電力貯蔵システム。
【請求項10】
前記電力貯蔵システム内でマスターとして地位が設定された前記BMSを含む前記電力貯蔵装置と外部モニタリング装置とを連結する外部通信ラインをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の電力貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力貯蔵装置、これを用いた電力貯蔵システム、及びこれを用いた電力貯蔵システムの構成方法に関するものであって、さらに詳しくは、マスターまたはスレーブの設定が容易である電力貯蔵装置、これを用いた電力貯蔵システム、及び電力貯蔵システムの構成方法に関する。
【0002】
本出願は、2011年5月31日出願の韓国特許出願第10‐2011‐0051803号及び2012年5月30日出願の韓国特許出願第10‐2012‐0057215号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書および図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
製品群に対する適用性がよく、高いエネルギー密度などの電気的特性を持つ二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気車両(EV、Electric Vehicle)またはハイブリッド車両(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生されないという点で、環境にやさしいながらもエネルギーの効率性を向上させることができる新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
二次電池は、正極集電体、負極集電体、セパレーター、活物質、電解液などを含み、構成要素間の電気化学的反応によって充放電が可能な構造を持つ。一方、近来、エネルギー貯蔵源としての活用を始めとして大容量構造に対する必要性が高まるにつれて、複数個の二次電池が直列または並列などで連結されるマルチモジュール構造を持つ二次電池パックが普遍的に用いられている。
【0005】
上記二次電池パックは、複数個の二次電池セルが集合された二次電池モジュール及びパックケースを含む。このような基本的な構造に加え、二次電池パックには、負荷に対する電力供給の制御、電流または電圧などの電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化(equalization)制御、SOC(State Of Charge)の推定などのためのアルゴリズムが適用されて、二次電池セルまたは二次電池モジュールの状態をモニタリングし制御するBMS(Battery Management System)などが追加的に含まれて構成される。
【0006】
一方、多様な電圧と容量との要求条件を満たすために、上記のような二次電池パックを複数個含む小容量の電力貯蔵用単位ラックを直列または並列で組み合わせて電力貯蔵システムを構成する場合がある。
【0007】
このような電力貯蔵システムを運用するためには、各電力貯蔵用単位ラックの電圧、電流、温度、充電量(SOC)などを持続的にモニタリングしなければならない。それぞれの電力貯蔵用単位ラックの状態をモニタリングして効率的に制御するために、上記電力貯蔵用単位ラックに含まれたBMSの中でいずれか1つをマスターBMSとして設定し、残りの電力貯蔵用単位ラックに含まれたBMSをスレーブBMSとして相互関係を設定する。そして、上記マスターBMSが上記スレーブBMSを制御して電力貯蔵システムを統合的に運用及び制御する方法が使われている。
【0008】
最近は、スマートグリッドに対する関心が高まるにつれて、知能型電力網を構築するために、遊休電力を貯蔵する大容量の電力貯蔵システムの必要性が高まっている。このような大容量の電力貯蔵システムを構築するためには、複数の電力貯蔵用単位ラックが使われ、その容量に比例して設置及び管理するための時間及びコストが必要とされる。したがって、上記電力貯蔵用単位ラックのような電力貯蔵装置においてマスターBMSとスレーブBMSとを容易に設定可能な技術に対する開発必要性が台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような従来技術に鑑みてなされたものであり、マスターまたはスレーブの設定が容易である電力貯蔵装置、これを用いた電力貯蔵システム、及び電力貯蔵システムの構成方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するための本発明による電力貯蔵装置は、耐久性のある材質からなり、複数の二次電池の設置空間を画定するハウジングと、前記ハウジングへ収納され、直列または並列で連結されている複数の二次電池と、前記複数の二次電池に対する充放電制御及び電気的特性値のモニタリングを行うBMSと、前記BMSの地位を設定する地位設定スイッチとを含む。
【0011】
本発明において、前記地位設定スイッチは、前記BMSの地位をマスターまたはスレーブとして設定するスイッチである。このとき、前記地位設定スイッチは、前記BMSの地位をマスターまたはn番目のスレーブとして設定するスイッチであり得る。
【0012】
本発明の実施例によれば、前記BMSは、前記地位設定スイッチに設定された値を自分の通信識別子として割り当て得る。
【0013】
本発明の実施例によれば、前記地位設定スイッチは、ジャンパースイッチまたはDIPスイッチとなり得る。
【0014】
本発明による電力貯蔵装置は、前記BMSのグループを設定するグループ設定スイッチをさらに含み得る。この場合、前記BMSは、前記地位設定スイッチ及び前記グループ設定スイッチに設定された値を自分の通信識別子として割り当て得る。
【0015】
本発明の実施例によれば、前記グループ設定スイッチは、ジャンパースイッチまたはDIPスイッチとなり得る。
【0016】
本発明による電力貯蔵装置は、電力ライン連結端子及び通信ライン連結端子をさらに含み得る。
【0017】
本発明による電力貯蔵装置は、複数の電力貯蔵装置を含む電力貯蔵システムの一構成要素となり得る。
【0018】
本発明による電力貯蔵システムは、複数の電力貯蔵装置を連結する電力ラインの一端に連結された電力インバーターをさらに含み得る。
【0019】
本発明による電力貯蔵システムは、前記電力貯蔵システム内でマスターとして地位が設定されたBMSを含む電力貯蔵装置と外部モニタリング装置とを連結する外部通信ラインをさらに含み得る。
【0020】
前記技術的課題を達成するための本発明による電力貯蔵システムの構成方法は、BMS及び前記BMSの地位を設定する地位設定スイッチを含む電力貯蔵装置を用いて電力貯蔵システムを構成する方法であって、(a)少なくとも2つ以上の電力貯蔵装置を配列するステップと、(b)それぞれの電力貯蔵装置に含まれた地位設定スイッチを通じてそれぞれの電力貯蔵装置に含まれたBMSの地位を設定するステップと、(c)前記電力貯蔵装置の電力ライン及び通信ラインを連結するステップとを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面によれば、簡単なBMSの設定によって電力貯蔵システムの構成が容易である。また、何れかの電力貯蔵装置に故障が発生した場合、故障した電力貯蔵装置を管理者が目で容易に区別できることから、メンテナンスが容易である。
【0022】
本発明の他の側面によれば、各BMSに設定された地位情報またはグループ情報を各BMSの通信識別子として使用した場合、別途の通信識別子を予め貯蔵するか、別途の識別子割り当てアルゴリズムを必要としないことから、電力貯蔵装置の製作が容易である。
【0023】
本発明のまた他の側面によれば、マスターBMSとスレーブBMSとを区別して別途の電力貯蔵装置として構成する必要がない。したがって、電力貯蔵装置の製造コストが低減でき、マスター電力貯蔵装置とスレーブ電力貯蔵装置とを区分せずに、電力貯蔵装置の設置及び管理が可能である。ひいては、電力貯蔵装置の故障が発生したとき、代替が容易であることから、電力貯蔵システムのメンテナンスが容易である。
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例による二次電池ラックの分解斜視図である。
図2】地位設定スイッチ140及びグループ設定スイッチ150を共に含む二次電池ラック100の他の実施例を示す斜視図である。
図3】地位設定スイッチまたはグループ設定スイッチの一実施例として使用できるDIPスイッチの例示図である。
図4】本発明による電力貯蔵装置が直列で連結された電力貯蔵システムの例示図である。
図5】本発明による電力貯蔵装置が並列で連結された電力貯蔵システムの例示図である。
図6】本発明の実施例による電力貯蔵システムの構成方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常の意味や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。従って、本明細書に記載された実施例は本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想の全てを代弁するものではないため、本出願時点においてこれらに代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0027】
図1は、本発明の実施例による二次電池ラック100の分解斜視図である。
【0028】
本発明による電力貯蔵装置は、その容量または大きさが多様であり得る。複数の二次電池モジュールを含む二次電池パックを電力貯蔵システムの単位装置として選択した場合、二次電池パックが本発明による電力貯蔵装置となり得る。また、複数の二次電池パックを含む二次電池ラックを電力貯蔵システムの単位装置として選択した場合、二次電池ラックが本発明による電力貯蔵装置となり得る。図1に示す二次電池ラック100は、電力貯蔵システムの単位装置に該当する電力貯蔵装置として使用され、本発明の一実施例に過ぎないことを理解しなければならない。
【0029】
図1を参照すれば、本発明の実施例による二次電池ラック100は、二次電池パック110、ラックハウジング120、BMS130、及び地位設定スイッチ140を含む。
【0030】
複数の二次電池パック110は、ラックハウジング120に収納され、直列または並列で連結される。二次電池パック110の連結は、求められる出力電圧または電力容量によって多様に設定できる。二次電池パック110は、1つ以上の二次電池セルを含むものであって、二次電池セルの種類は特に限定されない。二次電池セルは、再充電可能なリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などで構成し得る。
【0031】
ラックハウジング120は、耐久性のある材質からなり、複数の二次電池パック110に対する設置空間を画定する。一例として、ラックハウジング120は、金属からなる。ラックハウジング120は、複数の二次電池パック110が多段で収容される全体収容領域を限定できる形態で構成されたラックアセンブリー121を含む。そして、ラックハウジング120は、二次電池パック110の下部底面を支持できるようにラックアセンブリー121に多段で一対ずつ配置されて結合される複数のレールフレーム122を含む。また、ラックハウジング120は、ハウジングカバー123をさらに含み得る。ラックハウジング120は、本発明による二次電池ラック100の一実施例に過ぎず、ラックハウジング120の構造、材質などは多様な変形が可能である。
【0032】
BMS130は、二次電池パック110の電流または電圧などの電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化制御、SOCの推定、二次電池ラック100の負荷に対する電力供給の制御、モニタリング、エラー表示、on/off制御などを選択的に含んで当業者のレベルで適用可能な多様な制御ロジックが実行できる。また、BMS130は、二次電池ラック100を単位装置として電力貯蔵システムを構成したとき、隣接する二次電池ラックのBMSと通信ラインを通じてデータを送受信できる。特に、電力貯蔵システム内に含まれたそれぞれの二次電池ラックに含まれたBMSに対してマスターとしての地位とスレーブとしての地位のうちいずれか1つが設定されれば、それぞれのBMSは設定された地位によって制御ロジックを実行できる。
【0033】
地位設定スイッチ140は、BMS130の地位を設定するのに使われる。BMSの地位設定とは、複数の二次電池ラック100から構成された電力貯蔵システムにおいて、いずれか1つの二次電池ラックに含まれたBMSをマスターBMSとして設定し、残りの二次電池ラックに含まれたBMSをスレーブBMSとして設定することを意味する。
【0034】
図1に示した実施例において、地位設定スイッチ140は、ジャンパースイッチである。ジャンパースイッチは、カップリング部材141の結合及び未結合の組み合わせパターンを電気的に認識するスイッチである。ジャンパースイッチは、複数のジャンパーピン142を含んでいる。ジャンパースイッチは、複数のジャンパーピン142のうちカップリング部材141が結合されたジャンパーピン142に該当する識別情報を提供する。ジャンパースイッチは、当業界の公知の技術であることから、更なる詳細な説明は省略する。
【0035】
図1に示したジャンパースイッチは、全部で8つのジャンパーピン142を含んでいる。ジャンパースイッチは、上下対応するジャンパーピンが1つの対をなして全部で4対のジャンパーピンを含む。それぞれのジャンパーピン対は、マスタージャンパーピン(M)、第1スレーブジャンパーピン(S1)、第2スレーブジャンパーピン(S2)、及び第3スレーブジャンパーピン(S3)であって、BMSの地位情報を示す。各ジャンパーピン対のうち、いずれか1つのジャンパーピン対にカップリング部材141が結合されれば、ジャンパーピン対に該当するBMSの地位が設定される。
【0036】
図1に示した実施例において、カップリング部材141は、マスタージャンパーピン(M)に結合されている。したがって、二次電池ラックのBMS130はマスターBMSとして設定されたことが確認できる。もし、カップリング部材141がスレーブピン(S1〜S3)のうち何れか1つのジャンパーピン対に結合されれば、二次電池ラックのBMS130は、上述とは反対にスレーブBMSとして設定できる。
【0037】
地位設定スイッチ140がジャンパースイッチで構成された場合、BMS130は、ジャンパースイッチと電気的にカップリングされてジャンパースイッチに設定されたBMSの地位情報が識別できる。このために、BMS130は、ジャンパースイッチと電気的にカップリングされるコネクターを含み得る。一方、場合によっては、BMS130がジャンパースイッチと電気的にカップリングされたとき、ジャンパースイッチが能動的にBMSの地位情報をBMS130側に出力し得る。
【0038】
本発明の他の実施例によれば、地位設定スイッチ140は、複数のスレーブジャンパーピン142を含んでいるので、BMS130をスレーブBMSとして設定するとき、スレーブジャンパーピンの位置によってスレーブBMSの順序も共に設定し得る。
【0039】
本発明のまた他の側面によれば、BMS130は、地位設定スイッチ140に設定された値を自分の通信識別子として割り当て得る。電力貯蔵システム内でそれぞれのBMSは、通信ラインを通じて連結された他のBMSとデータを送受信することができる。このとき、それぞれのBMSは、通信ライン上で自分を識別させることができる識別子を持つようになる。そして、識別子は互いに重複してはいけない。地位設定スイッチ140に設定された値はマスターまたはn番目のスレーブとして重複しないように設定される。したがって、各BMS130は、地位設定スイッチ140に設定された値を自分の通信識別子として割り当て、これを通信ライン上の識別子として使用できる。この場合、BMS130は、通信識別子を予め割り当てる必要がなく、通信識別子を割り当てるための別途のアルゴリズムも必要ない。したがって、BMS130の製作、メンテナンスが容易である。
【0040】
一方、求められる電力貯蔵システムの容量または出力が増加すればするほど、複数の電力貯蔵装置が必要である。しかし、1つのマスターBMSが電力貯蔵システム内のすべてのスレーブBMSを制御する方式で電力貯蔵システムを運用する場合、電力貯蔵装置の個数が増加すればするほど、マスターBMSが処理しなければならないデータの量が多くて効率的な制御が難しい。したがって、複数の電力貯蔵装置を2つ以上のグループに分け、各グループ内でさらにマスターBMSとスレーブBMSとを設定してグループ毎に電力貯蔵装置を制御することがより効率的である。したがって、二次電池ラック100は、選択的にBMS130のグループ設定を可能にするグループ設定スイッチをさらに含み得る。
【0041】
図2は、地位設定スイッチ140及びグループ設定スイッチ150を共に含む二次電池ラック100の他の実施例を示す斜視図である。
【0042】
図2を参照すれば、本発明の他の実施例による二次電池ラック100は、地位設定スイッチ140とグループ設定スイッチ150とを共に含む。一例として、地位設定スイッチ140とグループ設定スイッチ150とは、ジャンパースイッチからなり得、二次電池ラック100の正面ハウジングカバーの左側や右側にそれぞれ設置され得る。グループ設定スイッチ150は、前述の地位設定スイッチ140と同じく、カップリング部材151が結合されるジャンパーピン152の位置によってBMS130のグループが設定される。
【0043】
図2に示したグループ設定スイッチ150には第2グループピン(G2)にカップリング部材151が結合されており、地位設定スイッチ140には第2スレーブピン(S2)にカップリング部材141が結合されている。したがって、二次電池ラック100に含まれたBMS130は、第2グループの第2スレーブBMSとして、その地位が設定されたことが分かる。
【0044】
グループ設定スイッチ150がジャンパースイッチで構成された場合、BMS130は、ジャンパースイッチと電気的にカップリングされてジャンパースイッチに設定されたBMSのグループ情報を識別し得る。このために、BMS130は、ジャンパースイッチからなるグループ設定スイッチ150と電気的にカップリングされるコネクターを含み得る。一方、場合によっては、BMS130がグループ設定スイッチ150と電気的にカップリングされたとき、グループ設定スイッチ150が能動的にBMSのグループ情報をBMS130側に出力することもできる。
【0045】
BMS130は、前述のように、地位設定スイッチ140及びグループ設定スイッチ150に設定された値を自分の固有な通信識別子として割り当て、他のBMSと通信を行うことでデータを送受信できる。
【0046】
本発明の他の実施例によれば、地位設定スイッチ140またはグループ設定スイッチ150は、DIPスイッチで具現できる。
【0047】
図3は、地位設定スイッチ140またはグループ設定スイッチ150の一実施例として使用できるDIPスイッチの例示図である。
【0048】
図3に示したDIPスイッチ(Dual In‐line Package switch)は、2個の情報が入力できる。したがって、グループまたは地位は、重畳しないように最大256個をそれぞれ設定できる。DIPスイッチの大きさ及び個数は、電力貯蔵システムの容量などによって多様であり得る。
【0049】
地位設定スイッチ140またはグループ設定スイッチ150がDIPスイッチで構成された場合、BMS130は、DIPスイッチと電気的にカップリングされてDIPスイッチに設定されたBMSの地位情報またはグループ情報を識別し得る。このために、BMS130は、DIPスイッチと電気的にカップリングされるコネクターを含み得る。一方、場合によっては、BMS130がDIPスイッチと電気的にカップリングされたとき、DIPスイッチが能動的にBMSの地位情報またはグループ情報をBMS130側に出力することもできる。
【0050】
本発明による電力貯蔵装置は、電力ラインが連結できる電力ライン連結端子及び通信ラインが連結できる通信ライン連結端子をさらに含み得る。
【0051】
図1及び図2に示す二次電池ラック100は、一例として、正面ハウジングカバーの下端に設けられた電力ライン連結端子160及び通信ライン連結端子170を含み得る。
【0052】
電力ライン連結端子160は、二次電池ラック100を隣接する他の二次電池ラックと直列及び/または並列で連結するとき使用し得る。電力ライン連結端子160は、一例として高電位端子と低電位端子とが1つのプラグに結合された構造を有するが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0053】
BMS130は、通信ライン連結端子170を通じて連結された隣接二次電池ラックと互いに通信できる。通信方式としては、CAN通信、デイジーチェーン(daisy chain)通信など、当業界に広く知られた多様な方式の通信方式が使用され得る。通信ライン連結端子170は、本発明による電力貯蔵装置の通信方式によってその模様及び個数が多様に変わり得る。したがって、本発明は、通信ライン連結端子170の構造によって限定されない。
【0054】
BMS130は、前述の多様な制御ロジックを行うため、本発明が属する技術分野に知られたプロセッサ、ASIC(application‐specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを含み得る。また、上述した制御ロジックがソフトウェアとして具現されるとき、BMS130はプログラムモジュールの集合として具現され得る。このとき、プログラムモジュールはメモリに貯蔵され、プロセッサによって実行され得る。ここで、メモリはプロセッサの内部または外部にあり得、周知の多様な手段によってプロセッサと連結され得る。
【0055】
本発明による電力貯蔵装置は、複数の電力貯蔵装置を含む電力貯蔵システムの構成要素となり得る。
【0056】
図4は、本発明による電力貯蔵装置が直列で連結された電力貯蔵システムの例示図である。
【0057】
図4を参照すれば、電力貯蔵システム200は、前述の二次電池ラック100を単位装置として含んでいる。複数の二次電池ラック100は、地位設定スイッチ140を用いてそれぞれマスター(MASTER)と第1スレーブ(SLAVE1)ないし第3スレーブ(SLAVE3)として設定されている。そして、それぞれの二次電池ラック100は、電力ライン210を通じて直列で連結される。それぞれの二次電池ラック100は、通信ライン220を通じて相互通信が可能に連結されている。図4に示した通信ラインは、直列通信網であって、デイジーチェーンであり得る。本発明が属する技術分野においてデイジーチェーンは広く知られた技術であることから、詳細な説明は省略する。
【0058】
本発明による電力貯蔵システム200は、マスターBMSが含まれている電力貯蔵装置と外部モニタリング装置とを連結する外部通信ライン230をさらに含み得る。外部モニタリング装置は、電力貯蔵システム200の状態を使用者または管理者に表示し、使用者または管理者が入力した制御信号をマスターBMSに伝送する装置であり得る。
【0059】
本発明による電力貯蔵システム200は、複数の電力貯蔵装置を連結する電力ラインの一端に連結された電力インバーター240をさらに含み得る。電力インバーター240は、電力網系統の商用交流電流を所定の電圧レベルを持つ直流電流に変換して電力貯蔵装置に印加し得る。逆に、電力貯蔵装置から出力される直流電流を所定の電圧レベルを持つ交流電流に変換して電力網系統に印加し得る。図4には、マスター地位が設定された二次電池ラック(MASTER)と電力インバーター240とが連結された実施例を示したが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0060】
図5は、本発明による電力貯蔵装置が並列で連結された電力貯蔵システムの例示図である。
【0061】
図5に示す電力貯蔵システム200は、図4に示す電力貯蔵システムと比べたとき、二次電池ラック100が並列で連結されたことや通信ライン220が並列通信ラインであることを除いては、各構成はすべて同一である。通信ラインは、CAN通信網であり得る。本発明が属する技術分野においてCAN通信網は広く知られた技術であることから、詳細な説明は省略する。
【0062】
図4及び図5に示す本発明による電力貯蔵システム200は、あくまで一実施例に過ぎない。電力貯蔵装置は、二次電池ラック100ではなく、二次電池パックとなり得る。また、電力ライン210の連結方式は、求められる電力貯蔵システムの容量または出力電力によって直列、並列、または直/並列など多様であることは自明である。また、通信ラインの連結、通信方式なども多様であることは自明である。したがって、図4及び図5に示す電力貯蔵システム200は、本発明による電力貯蔵システムの一実施例に過ぎず、本発明の範囲を制限しない。
【0063】
以下では、上述の電力貯蔵装置を用いて電力貯蔵システム200を構成する方法を開示する。但し、前述した電力貯蔵装置の構成などに対する重複した説明は省略する。
【0064】
図6は、本発明の実施例による電力貯蔵システムの構成方法の流れを示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS300において、電力貯蔵装置を配列する。電力貯蔵装置は、二次電池パック、二次電池ラックなど電力貯蔵システム200の単位装置の形態によって多様であることは上述済みである。また、電力貯蔵装置の配列は、電力貯蔵システム200に求められる容量または出力電力によって、電力貯蔵装置の仕様または個数が決まる。但し、説明の便宜上、図1ないし図5で説明した二次電池ラック100を、電力貯蔵システム200の単位装置として説明する。
【0066】
次いで、ステップS310において、各電力貯蔵装置の地位設定スイッチ140を通じて各BMS130の地位を設定する。本ステップは、地位設定スイッチ140を通じて各BMSをマスターまたはスレーブとして設定するステップである。ここで、スレーブ設定は、スレーブの順番設定を含み得る。
【0067】
本発明による電力貯蔵システムの構成方法は、BMS130が地位設定スイッチ140に設定された値を自分の通信識別子として割り当てるステップをさらに含み得る。
【0068】
電力貯蔵装置がグループ設定スイッチ150を含む場合、本発明による電力貯蔵システムの構成方法は、グループ設定スイッチ150を通じて各BMSのグループを設定するステップをさらに含み得る。この場合、本発明による電力貯蔵システムの構成方法は、BMS130が地位設定スイッチ140及びグループ設定スイッチ150に設定された値を自分の通信識別子として割り当てるステップをさらに含み得る。
【0069】
各BMSの地位設定及びグループ設定、地位設定スイッチ140及びグループ設定スイッチ150に設定された値を自分の通信識別子として割り当てることに対しては前述済みであるので、その具体的な説明は省略する。
【0070】
最後に、ステップS320において、電力貯蔵装置の電力ライン210及び通信ライン220を連結する。本ステップでは、電力貯蔵システム200に求められる容量または出力電力によって電力ライン210を通じて電力貯蔵装置が直列、並列、または直/並列で連結され得る。
【0071】
電力貯蔵システム200が電力インバーター240を含む場合、本発明による電力貯蔵システムの構成方法は、複数の電力貯蔵装置を連結する電力ラインの一端に電力インバーター240を連結するステップをさらに含み得る。
【0072】
本発明による電力貯蔵システムの構成方法は、電力貯蔵システム内でマスターBMSが含まれた電力貯蔵装置と外部モニタリング装置とを外部通信ラインを通じて連結するステップをさらに含み得る。
【0073】
各電力貯蔵装置の電力ラインまたは通信ラインの連結に対しては前述済みであるので、その具体的な説明は省略する。
【0074】
本発明によれば、簡単なBMSの設定によって電力貯蔵システムの構成が容易である。また、何れの電力貯蔵装置に故障が発生した場合、故障した電力貯蔵装置を管理者が目で容易に区別できることから、メンテナンスが容易である。また、各BMSに設定された地位情報またはグループ情報を各BMSの通信識別子として使用した場合、別途の通信識別子を予め貯蔵するか、別途の識別子割り当てアルゴリズムを必要としないことから、電力貯蔵装置の製作が簡単である。さらに、マスターBMSとスレーブBMSとを区別して別途の電力貯蔵装置として構成する必要がない。したがって、電力貯蔵装置の製造コストが低減でき、マスター電力貯蔵装置とスレーブ電力貯蔵装置とを区分せずに、電力貯蔵装置の設置及び管理が可能である。ひいては、電力貯蔵装置の故障が発生したとき、代替が容易であることから、電力貯蔵システムのメンテナンスが容易である。
【0075】
一方、本発明の説明において、図3及び図4に示された本発明による電力貯蔵システムに関する各構成は、物理的に区分される構成要素というよりは論理的に区分される構成要素であると理解せねばならない。
【0076】
すなわち、それぞれの構成は、本発明の技術思想を実現するための論理的な構成要素に該当するため、それぞれの構成要素が統合または分離されても本発明の論理構成が行う機能さえ実現できれば、本発明の範囲内であると解釈され、同一または類似の機能を果たす構成要素であればその名称の一致性とは関係なく、本発明の範囲内であると解釈されなければならない。
【0077】
以上のように、本発明は、例として限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
100 二次電池ラック
110 二次電池パック
120 ラックハウジング
121 ラックアセンブリー
122 レールフレーム
123 ハウジングカバー
130 BMS
140 地位設定スイッチ
141 カップリング部材
142 ジャンパーピン
150 グループ設定スイッチ
151 カップリング部材
152 ジャンパーピン
160 電力ライン連結端子
170 通信ライン連結端子
200 電力貯蔵システム
210 電力ライン
220 通信ライン
230 外部通信ライン
240 電力インバーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6