(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該錯化剤が、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、マンデル酸、クエン酸、糖酸、タルトロン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グリシン、馬尿酸、EDTA、アラニン、バリン、ロイシン又はイソロイシンから選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
該担体上への該溶液(L)の適用後に、乾燥工程、か焼工程、コンディショニング工程、成形工程、還元工程又は不動態化工程から選択される、少なくとも1種の更なる工程を実施する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
モノアミノジグリコール(ADG)及びモルホリンを、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとの反応により製造する、請求項15から19までのいずれか1項記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、硝酸スズと、少なくとも1種の錯化剤とを含有する溶液(L)を使用して、担持スズ含有(Sn含有)触媒を製造する方法に関し、その際に、該溶液(L)は、固体を有しないか、又は極めて僅かな固形分のみを有する。更に、本発明は、該担持スズ含有触媒それ自体並びにアミンの製造方法におけるこの担持スズ含有触媒の使用に関する。
【0002】
WO 2011/067199は、酸化アルミニウム、スズ、銅、ニッケル及びコバルトを含有する触媒に関し、並びに第一級又は第二級のアルコール、アルデヒド及び/又はケトンを、水素及びアンモニア、第一級及び第二級のアミンの群から選択される窒素化合物と、この酸化アルミニウム、スズ、銅、ニッケル及びコバルトを含有する触媒の存在下で反応させることによるアミンの製造方法に関する。
【0003】
WO 2011/067199に記載の触媒中に含まれている金属成分、特にスズ(Sn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)は、該触媒製造の際に、まず最初に塩の形で使用され、かつWO 2011/067199に記載の方法において該触媒担体(好ましくは酸化アルミニウム)上へ、沈殿プロセスにより適用される。ニッケル、コバルト及び銅が、それらの硝酸塩の形で使用することができるのに対し、スズは、塩化スズの形でのみ使用される。硝酸スズの使用は、WO 2011/067199において該触媒製造の際に開示されておらず、かつそこに記載される触媒製造条件下では不可能でもある、それというのも、硝酸スズ溶液は準安定であり、かつスズは、そのような溶液から極めて迅速に沈殿し始めるからである。しかしながら、WO 2011/067199において触媒製造のために記載された塩化スズ溶液は、該塩化物もしくはそれから該スズ沈殿中に又はスズ沈殿に引き続き形成される塩素が、既に痕跡量で高腐食性であり、このことが、該触媒の製造プロセスの際並びに後での触媒使用の際の腐食の問題をまねくという欠点と結びついている。例えば、そうすると孔食又は点食が起こりうる。
【0004】
学術文献において、スズが、塩化スズから出発して、クエン酸又はタルトロン酸と、錯体も形成することができることは既に知られている。そして、例えばP. R. Deacon et al., J. Chem. Soc. Dalton Trans. 1997, pp. 3705-3712並びにT. D. Smith, J. Chem. Soc. 1965, pp. 2145-2149には、そのようなスズ錯体の製造並びにそれらの分光学的特性評価が開示されている。該スズ錯体の製造の際の硝酸スズの使用並びに触媒の製造のためのそれらの使用又はアミンの製造のためのそのような触媒の使用は、しかしながら、これらの刊行物のどこにも開示されていない。
【0005】
本発明の基礎となる課題は、スズ含有触媒を製造する新規方法及び/又は該スズ含有触媒それ自体を提供することにある。
【0006】
前記課題は、担持スズ含有触媒の本発明による製造方法により解決され、該方法は、硝酸スズと、少なくとも1種の錯化剤とを含有する溶液(L)を、その担体上へ適用し、その際に、該溶液(L)が、固体を含有しないか、又は溶解される成分の全量を基準として、最大0.5質量%の固形分を含有することにより特徴づけられる。
【0007】
本発明による方法により、単純かつ有利な方法で、スズを金属成分として、触媒中へ導入することができ、もしくは該触媒担体上へ適用することができる。錯化剤を有する使用される硝酸スズ溶液は、極めて長い期間にわたって持続する高い安定性の点で優れている。該安定性は、これらの溶液(L)が、澄明なままであり、かつ沈殿されたスズの形での沈殿及び/又は濁りが形成されないか又は量的に極めて僅かにのみ形成されることによって明らかになる。該溶液(L)は、すなわち、固体を含有しないか、又は極めて僅かな量の固形分を含有する。
【0008】
硝酸スズを含有する該溶液(L)への少なくとも1種の錯化剤の添加に基づき、そのうえ、該硝酸スズ溶液が室温又はより高い温度でも安定であることが保証される。錯化剤なしでの硝酸スズ溶液は、室温又はより高い温度で準安定又は不安定である、それというのも、該溶液は、沈殿するスズに基づき迅速に濁ってくるからである。錯化剤なしでの硝酸スズ溶液、特に硝酸スズ水溶液の安定性は、さもなければ、これらの溶解が、極めて低い温度、通例0℃未満又は好ましくは−10℃未満で実施される場合にのみ、高めることができる。このようにして、確かに、より安定な硝酸スズ溶液が製造されうる。しかしながら、更なる触媒製造工程は、より高い温度と結びついているので、錯化剤を有しない著しく冷却された硝酸スズ溶液を使用することは、技術的に極めて繁雑である。少なくとも1種の錯化剤の添加により、安定な硝酸スズ溶液を、工業的に重要な条件下で、すなわち室温で及びそれを上回ってでも、有利には数日間〜数週間保管することができ、並びに触媒製造に使用することができる。
【0009】
このようにして製造される触媒は、使用されるスズが安定であり、かつ完全に該触媒担体上へ結合されている点で優れている。本発明による触媒は、そのうえ、ハロゲン含有(特に塩素含有)である及び/又は準安定な硝酸スズ溶液(錯化剤を有しない)が使用される触媒よりも選択的である。この選択率の利得は、特に大工業的な方法/プラントの場合に決定的に重要である、それというのも、そこでは既に、より小さな選択率増加が、大きなコストの利点を生じさせるからである。
【0010】
触媒製造のための更なる加工前に、従来の硝酸スズ溶液の、冷却不足又は錯化剤添加無しによるスズの早すぎる沈殿は、後での触媒の性能に不利な影響を及ぼす。おそらく、該硝酸スズが安定な溶液の形で用意されない場合に、該スズの分散性もしくは後での触媒中の(場合により存在している)他の活性成分との相互作用が不利な影響を受ける。
【0011】
塩化スズの代わりの硝酸スズの使用のために、触媒中に残留している塩化物残留物もしくは塩素残留物による、該触媒製造の際もしくはアミンの製造のためのこれらの触媒の使用の際の腐食の問題も起こらない。こうして、使用されるプラント中で、特に孔食又は点食の発生は、阻止することができる。
【0012】
以下に、本発明は、更に簡明に説明される。
【0013】
該担持スズ含有触媒の製造に使用される溶液(L)は、硝酸スズと、少なくとも1種の錯化剤とを含有する。該溶液(L)は、固体を含有しないか、又は溶解される成分の全量を基準として、最大0.5質量%の固形分を含有する。該溶液(L)が、固形分を有する場合には、この固形分は、溶解される成分の全量を基準として、好ましくは最大0.1質量%、特に最大0.01質量%である。上記で既に説明されるように、該溶液(L)は、安定な、特に澄明な、硝酸スズ溶液である、それというのも、該溶液は、固体を有さないか、又は極めて僅かな固形分のみを有するからである。該固体は、存在している場合には、通例、該溶液(L)中に含まれている成分、例えば沈殿された硝酸スズ、場合により沈殿された更なる塩又は沈殿された錯化剤並びにそれらの混合物又は該個々の成分の反応生成物のうち1種以上を含む。
【0014】
好ましくは、該溶液(L)は、対応する溶液の製造後、少なくとも1日〜最大30日の期間にわたって安定(澄明)であり、特に、該時間枠は、少なくとも5日〜最大15日である。更に、該溶液(L)が、−20℃〜最大120℃、好ましくは10℃〜70℃の温度範囲内で、特に好ましくは室温(20〜25℃)で安定(澄明)であることが好ましい。
【0015】
該溶液(L)用の溶剤として、塩、特に硝酸スズ、及び/又は錯化剤の溶解に適している、当業者に知られた原則的にあらゆる溶剤を使用することができる。好ましくは、該溶液(L)は水溶液である。
【0016】
硝酸スズそれ自体は、当業者に知られている。好ましくは、硝酸スズは、アルカリ性のスズ(スズ粒)を硝酸中に溶解させることにより、その場で製造される。更に、該硝酸スズが、低い温度、好ましくは<0℃、特に好ましくは<−10℃で、製造されることが好ましい。特に好ましくは、その際に、硝酸スズ水溶液が製造され、その際に、その含水量は、氷、冷却水及び/又は希硝酸の添加により調節される。
【0017】
錯化剤として、スズと、好ましくは酸化状態+2のスズと、錯体を形成することができる、当業者に知られた原則的にあらゆる錯化剤が適している。場合により、2種以上の異なる錯化剤を使用してもよい。好ましい錯化剤は、少なくとも二座のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、多官能性カルボン酸、アミノカルボン酸又は前記の酸の塩から選択されている。
【0018】
より好ましくは、該錯化剤は、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、マンデル酸、クエン酸、糖酸、タルトロン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グリシン、馬尿酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、アラニン、バリン、ロイシン又はイソロイシンから選択されている。
【0019】
特に好ましくは、該錯化剤はクエン酸である。
【0020】
更に、該溶液(L)は、更なる成分を含有してよい。これらの更なる成分は、好ましくは、金属成分が同様に該担持スズ含有触媒中へ導入される金属塩である。好ましくは、少なくとも1種の金属塩は、ニッケル塩、コバルト塩及び/又は銅塩から選択されている。場合により、更なる塩、例えばレニウム塩、ルテニウム塩、鉄塩又は亜鉛塩も使用してよい。更に、該金属塩及び/又は該溶液(L)が、ハロゲン化物、特に塩化物を含有しないことが好ましい。より好ましくは、更なる金属塩として、前記の金属塩の対応する硝酸塩が使用される。特に好ましくは、該更なる金属塩は、硝酸ニッケル、硝酸コバルト及び/又は硝酸銅から選択される少なくとも1種の金属塩である。
【0021】
該溶液(L)中に、該個々の成分は互いに任意の比で存在してよい。好ましくは、硝酸スズ並びに場合により存在している更なる金属塩が、1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%で、該溶液(L)中、特に水中に、存在する(該質量の記載は、該溶液(L)の全質量に対する全ての塩の和を基準としている)。好ましくは、該溶液(L)中で、錯化剤とスズとのモル比は、少なくとも1.5:1、特に好ましくは2:1である(スズは、その際に、硝酸スズとして存在する)。特に、クエン酸対スズのモル比は2:1である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様において、該溶液(L)は、硝酸スズ、硝酸ニッケル、硝酸コバルト、硝酸銅及びクエン酸を含有する。
【0023】
該溶液(L)は、当業者に知られた方法を用いて、例えば該個々の成分の逐次の添加、少なくとも2種の成分の予備混合によるか又は全ての成分の同時の混合により、製造することができる。好ましくは、該溶液(L)は、i)最大5℃の温度での硝酸中へのスズの溶解及び引き続き少なくとも1種の錯化剤の添加によるか、又はii)0℃〜50℃の温度で、好ましくは室温での硝酸中への少なくとも1種の錯化剤の溶解及び引き続きスズの添加により、製造される。
【0024】
本発明によれば、該担持スズ含有触媒は、上記で記載された溶液(L)が、当業者に知られた方法により、該触媒担体上へ適用されることによって製造される。場合により、該触媒担体は、既に1種以上の金属活性成分を含有してよい。担体(担体材料)として、当業者に知られた原則的に全ての担体が考慮に値する。好ましくは、該担体は、酸化アルミニウムである。場合により、酸化アルミニウム及び他の担体材料の混合物、例えばケイ素含有及び/又はジルコニウム含有の担体を、使用してもよい。更に適した担体、塩含有溶液を適用する方法並びに担持触媒それ自体の製造のための更なるプロセス工程は、例えばWO 2011/067199に開示されている。
【0025】
好ましくは、該触媒担体上への該溶液(L)の適用は、例えばWO 2011/067199に記載されているような沈殿法により行われる。この沈殿法において、該硝酸スズ、少なくとも1種の錯化剤及び場合により少なくとも1種の更なる金属塩は、少なくとも1種の塩基(B)の添加により、該溶液(L)から該担体上へ沈殿される。
【0026】
好ましくは、該塩基(B)は、水溶液として添加される。該塩基(B)が、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム又はアルカリ金属不含の塩基、例えばアンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、ウロトロピン又は尿素から選択されていることが好ましく、好ましくは、該塩基(B)は炭酸ナトリウムである。
【0027】
例えば、本発明による方法において、本発明による触媒は、それらの全ての成分の共同沈殿(混合沈殿)を通じて製造することができる。そのためには、好都合には、該触媒成分を含有する塩水溶液は、熱時でかつ撹拌しながら、該沈殿が完了するまで、水性の塩基―例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又は水酸化カリウム―が加えられる。アルカリ金属不含の塩基、例えばアンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、ウロトロピン、尿素等を用いて操作することもできる。使用される塩の種類は、一般的に重要ではない:この手順の際にとりわけ、該塩の水溶性が重要であるので、1つの基準は、これらの比較的濃く濃縮される塩溶液の製造に必要な、それらの塩の良好な水溶性である。該個々の成分の塩の選択の際にもちろん、望ましくない沈殿を引き起こすことによってか又は錯化により該沈殿を困難にするか又は妨げることによって妨害をまねくことのないアニオンを有する塩のみが選択されることは、当然であるとみなされる。
【0028】
これらの沈殿反応の際に得られる沈殿は、一般的に化学的に不均質であり、とりわけ、使用される金属の酸化物、水和酸化物(Oxidhydrate)、水酸化物、炭酸塩及び不溶性かつ塩基性の塩の混合物からなる。該沈殿のフィルタラビリティのためには、該沈殿がエージングされる場合に、すなわち該沈殿後に更に数(einige)時間、場合により熱時で又は空気を導通しながら、放置する場合に、好都合であることが判明しうる。
【0029】
この沈殿法により得られる沈殿は、通常通り、更に加工することができる。まず最初に、該沈殿は洗浄される。該洗浄過程の期間を通じて、及び該洗浄水の温度及び量を通じて、沈殿剤として場合により使用される(鉱物)塩基により供給されたアルカリ金属の含量は影響を受けうる。一般的に、該洗浄時間の延長又は該洗浄水の温度の増加により、アルカリ金属の含量は低下する。該洗浄後に、該沈殿物は、一般的に80〜200℃で、好ましくは100〜150℃で、乾燥され、その後、か焼される。該か焼(か焼工程)は、一般的に300〜800℃の温度で、好ましくは400〜600℃、特に420〜550℃で実施される。
【0030】
更に、該担体上への該溶液(L)の適用後に、乾燥工程、か焼工程、コンディショニング工程、成形工程、還元工程又は不動態化工程から選択される、少なくとも1個の更なる工程が実施されることが好ましい。
【0031】
上記で記載された更なる工程の具体的な実施は、例えばWO 2011/067199に開示されている。該乾燥工程並びに該か焼工程のための具体的な温度範囲は、そのうえ、上記の本文において、例示的に記載される沈殿法の範囲内で挙げられている。
【0032】
本発明の好ましい実施態様において、該錯化剤は、該か焼工程中に又は該か焼工程に引き続き、該担持スズ含有触媒から除去される。特に好ましくは、これは、該錯化剤が、該か焼工程中に、酸化的な焼き切りにより、該担持スズ含有触媒から除去されることによって行われる。好ましくは、該錯化剤は残留物不含に(完全に)、該か焼工程の範囲内で、該触媒から除去される。
【0033】
本発明の更なる対象は、上記で記載された方法により製造可能な、担持スズ含有触媒それ自体である。
【0034】
好ましくは、本発明による担持スズ含有触媒は、SnOとして計算して、スズを0.2〜5質量%含有する。更に、本発明による触媒が、銅、ニッケル及び/又はコバルトから選択される、少なくとも1種の追加的な金属成分を含有することが好ましい。同様に、該触媒担体が酸化アルミニウムであることが好ましい。
【0035】
本発明による触媒は好ましくは、触媒活性材料と、該触媒が成形体として使用される場合には、場合により成形助剤(例えば黒鉛又はステアリン酸)とのみからなる、すなわち更なる触媒活性な随伴物質を含有しない触媒の形で使用される。これに関連して、該酸化物担体材料、好ましくは酸化アルミニウム(Al
2O
3)は、該触媒活性材料に属しているとみなされる。
【0036】
該触媒は、粉末に粉砕された該触媒活性材料を該反応容器中へ導入するようにして、又は該触媒活性材料を、粉砕、成形助剤との混合、成形及び熱処理後に、触媒成形体として―例えばタブレット、球、リング、押出物(例えばロッド)として―該反応器中に配置するようにして、使用される。
【0037】
該触媒の成分の濃度の記載(単位:質量%)は、それぞれ―他に示されない場合には―その最後の熱処理後かつその水素での還元前の完成した触媒の触媒活性材料を基準としている。
【0038】
その最後の熱処理後かつその水素での還元前の該触媒の触媒活性材料は、該触媒活性成分及び前記の触媒担体材料の成分の和として定義されており、かつ本質的には、以下の成分:酸化アルミニウム(Al
2O
3)、該スズの含酸素化合物及び場合により該銅、ニッケル及び/又はコバルトの含酸素化合物を含有する。
【0039】
該触媒活性材料の前記の成分の和は、通常、70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更により好ましくは>95質量%〜100質量%、特に好ましくは>98質量%〜100質量%、殊に>99質量%〜100質量%、例えばちょうど100質量%である。
【0040】
本発明による、及び本発明による方法において使用される触媒の触媒活性材料は更に、周期表の第IA〜VIA及びIB〜VIIB及びVIII族から選択される、1種以上の元素(酸化状態0)又はそれらの無機又は有機の化合物を含有してよい。
【0041】
そのような元素もしくはそれらの化合物の例は、次のものである:遷移金属、例えばMnもしくはMnO
2、Wもしくは酸化タングステン、Taもしくは酸化タンタル、Nbもしくは酸化ニオブ又はシュウ酸ニオブ、Vもしくは酸化バナジウムもしくはピロリン酸バナジル;ランタニド、CeもしくはCeO
2又はPrもしくはPr
2O
3;アルカリ土類金属酸化物、例えばSrO;アルカリ土類金属炭酸塩、例えばMgCO
3、CaCO
3及びBaCO
3;酸化ホウ素(B
2O
3)。
【0042】
該触媒の触媒活性材料は、好ましくは、その水素での還元前に、該スズの含酸素化合物を、SnOとして計算して、0.2〜5.0質量%の範囲内、特に0.4〜4.0質量%の範囲内、更に特に0.6〜3.0質量%の範囲内、更に特に好ましくは0.7〜2.5質量%の範囲内で含有する。
【0043】
該触媒の触媒活性材料は、場合により、その水素での還元前に、該コバルトの含酸素化合物を、CoOとして計算して、好ましくは5.0〜35質量%の範囲内、特に10〜30質量%の範囲内、更に特に12〜28質量%、極めて特に15〜25質量%の範囲内で含有する。
【0044】
該触媒の触媒活性材料は、場合により、本発明の実施態様において、その水素での還元前に、更に好ましくは、該アルミニウムの含酸素化合物を、Al
2O
3として計算して、15〜80質量%、特に30〜70質量%、更に特に35〜65質量%の範囲内で、該銅の含酸素化合物を、CuOとして計算して、1〜20質量%、特に2〜18質量%、更に特に5〜15質量%の範囲内で、及び該ニッケルの含酸素化合物を、NiOとして計算して、5〜35質量%、特に10〜30質量%、更に特に12〜28質量%、極めて特に15〜25質量%の範囲内で、含有する。
【0045】
存在している場合には、銅に対するニッケルのモル比は、好ましくは1より大きく、特に好ましくは1.2より大きく、更に特に好ましくは1.8〜8.5の範囲内である。
【0046】
本発明による、及び本発明による方法において使用される触媒のBET表面積(ISO 9277:1995)は、好ましくは30〜250m
2/gの範囲内、特に90〜200m
2/gの範囲内、更に特に130〜190m
2/gの範囲内である。これらの範囲は、400〜600℃、特に420〜550℃の範囲内の該触媒製造の際のか焼温度により、特に達成される。
【0047】
本発明の好ましい実施態様において、本発明による触媒は、
i)スズ0.2〜5質量%、
ii)アルミニウム15〜80質量%、
iii)銅1〜20質量%、
iv)ニッケル5〜35質量%、及び
v)コバルト5〜35質量%
を含有し、その際に、成分i)〜v)の質量の記載は、か焼工程後かつ水素での還元工程前の酸化物として決定される。
【0048】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、本発明による触媒は、ハロゲン(例えばハロゲン化物の形の)、特に塩素(例えば塩化物又はその他の含塩素化合物の形の)を含有しない。
【0049】
本発明の更なる対象は、上記の説明に記載の、本発明による触媒の存在下でのアミン(A)の製造方法である。アミンの製造方法は、当業者に原則的に知られている。以下の本文において、まず最初に、一般的なプロセス条件、例えば圧力、温度、出発物質比等が記載される。それに引き続き、具体的に使用可能な出発物質、例えば第一級アルコール又は含窒素化合物(S)並びに本発明による方法において得られる生成物(アミン(A))の説明が続く。出発物質として使用される含窒素化合物(S)は、アミノ化剤又はアミン成分と呼ぶこともできる。アミノ化は、そのような含窒素化合物(S)を、更なる出発物質、例えば第一級アルコール又はアルデヒドと反応させてアミン(A)を得ることであると理解される。
【0050】
該アミン(A)の本発明による製造方法は、連続的又は不連続に実施することができる。好ましいのは、連続運転方式である。
【0051】
気相中での合成のためには、該出発物質は、目的に合わせて、好ましくは循環ガス流中で、蒸発され、かつガスとして該反応器に供給される。気相合成に適したアミンは、それらの沸点及びそれらの出発物質の沸点に基づき、プロセス工学的に、該プロセスパラメーターの範囲内で該気相中に維持することができるアミンである。該循環ガスは、一方では該出発物質の蒸発に、かつ他方では該アミノ化のための反応相手として、利用される。
【0052】
該循環ガス運転方式において、該出発物質(アルコール、アルデヒド及び/又はケトン、水素及び該窒素化合物)は、循環ガス流中で蒸発され、かつガスとして該反応器に供給される。
【0053】
該出発物質(アルコール、アルデヒド及び/又はケトン、水素及び該窒素化合物)は、水溶液として蒸発してもよく、かつ該循環ガス流と共に該触媒床上へ導くこともできる。
【0054】
好ましい反応器は管形反応器である。循環ガス流を有する適した反応器の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., Vol. B 4, pp. 199-238,“Fixed-Bed Reactors”に見出される。
【0055】
選択的に、該反応は有利に、管束反応器中又はシングルストリームプラント(Monostranganlage)中で行われる。
【0056】
シングルストリームプラントの場合に、該反応が行われる管形反応器は、複数の(例えば2又は3個の)個々の管形反応器の直列接続からなっていてよい。任意に、ここでは有利に、フィード(該出発物質及び/又はアンモニア及び/又はH
2を含有する)及び/又は循環ガス及び/又は後接続された反応器からの反応器排出物の中間供給が可能である。
【0057】
該循環ガス量は、好ましくは40〜1500m
3(運転圧力で)/[m
3 触媒(床体積)・h]の範囲内、特に100〜700m
3(運転圧力で)/[m
3 触媒(床体積)・h]の範囲内である。
【0058】
該循環ガスは、好ましくは少なくとも10体積%、特に50〜100体積%、極めて特に80〜100体積%のH
2を含有する。
【0059】
液相中での合成のためには、難蒸発性であるか又は熱的に不安定である、全ての出発物質及び生成物が適している。これらの場合に、更なる利点として、本プロセスにおける該アミンの蒸発及び再凝縮を放棄することができることが、更に加わる。
【0060】
アミン(A)の本発明による製造方法は、好ましくは連続的に実施され、その際に、上記で記載された触媒は、好ましくは固定床として該反応器中に配置されている。その際に、上から並びに下からの、該触媒固定床への流入が可能である。該ガス流は、その際に、温度、圧力及び量により、沸点がより重い(高沸点の)反応生成物も、気相中に残留しているように調節される。
【0061】
該含窒素化合物(S)は、アルコール性ヒドロキシル基もしくはアルデヒド基もしくはケト基を少なくとも1個有するアミノ化されうる化合物に関して、化学量論量、化学量論を下回る量又は化学量論を上回る量で、使用することができる。
【0062】
好ましくは、第一級又は第二級のアミンでのアルコール、アルデヒド又はケトンのアミノ化の場合に、該アミンは、アミノ化されうるアルコール性ヒドロキシル基、アルデヒド基又はケト基の1molあたり、ほぼ化学量論量又はごく僅かに化学量論を上回る量で使用される。
【0063】
該アミン成分(含窒素化合物(S))は、それぞれ使用されるアルコール、アルデヒド及び/又はケトンを基準として、好ましくは0.90〜100倍のモル量で、特に1.0〜10倍のモル量で、使用される。
【0064】
殊に、アンモニア(含窒素化合物(S)として)は、反応されうるアルコール性ヒドロキシル基、アルデヒド基又はケト基1molあたり、一般的に1.5〜250倍、好ましくは2〜100倍、特に2〜10倍の、モル過剰量で、使用される。
【0065】
アンモニア並びに第一級又は第二級のアミンのより多い過剰量が可能である。
【0066】
好ましくは、5〜800ノルマル立方メートル/h、特に20〜300ノルマル立方メートル/hの排ガス量で運転される。(ノルマル立方メートル=標準状態に換算した体積)。
【0067】
該出発物質の第一級又は第二級のアルコール基、アルデヒド基又はケト基のアミノ化は、液相中又は気相中で実施することができる。
【0068】
液相中での操作の場合に、該出発物質(アルコール、アルデヒド又はケトン+アンモニア又はアミン)は、同時に液相中で 一般的に5〜30MPa(50〜300バール)、好ましくは5〜25MPa、特に好ましくは15〜25MPaの圧力、及び一般的に80〜350℃、特に100〜300℃、好ましくは120〜270℃、特に好ましくは130〜250℃、殊に170〜230℃の温度で、水素を含め、好ましくは外から加熱される固定床反応器中に通常存在する該触媒に、導かれる。その際に、流下運転方式(Rieselfahrweise)並びに昇流運転方式(Sumpffahrweise)が可能である。該触媒負荷は一般的に、触媒1リットル(床体積)及び1時間あたり、アルコール、アルデヒド又はケトン0.05〜5kg、好ましくは0.1〜2kg、特に好ましくは0.2〜0.6kgの範囲内である。場合により、適した溶剤、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン又はエチレングリコールジメチルエーテルでの該出発物質の希釈を行っていてよい。該反応物を既に該反応容器への供給前に温める、しかも好ましくは該反応温度に温めることは好都合である。
【0069】
気相中での操作の場合に、ガスとしての該出発物質(アルコール、アルデヒド又はケトン+アンモニア又はアミン)は、蒸発のために十分に大きく選択されるガス流、好ましくは水素中で、一般的に0.1〜40MPa(1〜400バール)、好ましくは0.1〜10MPa、特に好ましくは0.1〜5MPaの圧力で、水素の存在下で、該触媒に導かれる。アルコールのアミノ化のための温度は、一般的に80〜350℃、特に100〜300℃、好ましくは120〜270℃、特に好ましくは160〜250℃である。アルデヒド及びケトンの水素化アミノ化の際の反応温度は、一般的に80〜350℃、特に90〜300℃、好ましくは100〜250℃である。その際に、上から並びに下からの、該触媒固定床への流入が可能である。必要なガス流は、好ましくは、循環ガス運転方式により得られる。
【0070】
該触媒負荷は一般的に、触媒1リットル(床体積)及び1時間あたり、アルコール、アルデヒド又はケトン0.01〜2kg、好ましくは0.05〜0.5kgの範囲内である。
【0071】
該水素は、該反応に、アルコール成分、アルデヒド成分又はケトン成分1molあたり、一般的に5〜400lの量で、好ましくは50〜200lの量で供給され、その際に該リットルの記載はそれぞれ、標準状態に換算したものである(S.T.P.)。
【0072】
アルデヒドもしくはケトンのアミノ化は、アルコールのアミノ化の実施とは、アルデヒド及びケトンのアミノ化の際に、少なくとも化学量論量の水素が存在していなければならない点で相違する。
【0073】
液相中での操作並びに気相中での操作の際に、より高い温度及びより高い全圧及び触媒負荷の適用が可能である。示される温度で該アミノ化剤、該アルコール、アルデヒドもしくはケトン及び形成される反応生成物並びに場合により併用される溶剤の分圧の和から得られる、反応容器中の圧力は好都合には、水素の押し込みにより、所望の反応圧に高められる。
【0074】
液相中での連続操作並びに気相中での連続操作の場合に、過剰のアミノ化剤は、該水素と一緒に循環することができる。
【0075】
該触媒が、固定床として配置されている場合には、該反応の選択率にとって、該触媒成形体を反応器中で不活性充填物と混合する、いわばこれらを“希釈する”ことが有利でありうる。そのような触媒調製物中の該充填物の割合は、20〜80体積部、好ましくは30〜60体積部及び特に好ましくは40〜50体積部であってよい。
【0076】
該反応の過程で形成される反応水(反応されるアルコール基、アルデヒド基もしくはケト基1molあたり、それぞれ1mol)は、一般的に、該反応率、該反応速度、該選択率及び該触媒耐用寿命を妨げる作用はなく、ゆえに好都合には、該反応生成物の後処理の際にはじめて、この反応生成物から、例えば蒸留により、除去される。
【0077】
該反応排出物から、この反応排出物が好都合には放圧された後に、過剰の水素及び場合により存在している過剰のアミノ化剤が除去され、かつ得られた反応粗生成物が、例えば分別精留により、精製される。適した後処理方法は、例えばEP 1 312 600 A及びEP 1 312 599 A(双方ともBASF AG)に記載されている。過剰のアミノ化剤及び該水素は、有利に再び、該反応帯域へ返送される。同じことは、場合により完全に反応されないアルコール成分、アルデヒド成分もしくはケトン成分に当てはまる。
【0078】
未反応の出発物質及び場合により生じる適した副生物は、再び該合成へ返送することができる。未反応の出発物質は、不連続又は連続的な運転方式で、分離器中での該生成物の凝縮後に、該循環ガス流中で改めて該触媒床に流すことができる。
【0079】
本発明による方法を用いて、当業者に知られた原則的に全てのアミンを製造することができる。適宜、該製造方法の際に使用される出発物質に当てはまる。出発物質として、アミノ化剤としての含窒素化合物(S)並びにアミノ化されうる化合物、例えば第一級アルコール又はアルデヒドが使用される。更にまた、通例、水素が出発物質として使用される。適した出発物質並びにこの方法の場合に形成される生成物(アミン(A))は、例えばWO 2011/067199に開示されている。
【0080】
好ましくは、アミン(A)の本発明による製造方法は、第一級アルコール、第二級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンを、水素及び含窒素化合物(S)と反応させることによって実施される。該含窒素化合物(S)は、好ましくはアンモニア、第一級アミン及び/又は第二級アミンである。更に、該第一級アルコール、該第二級アルコール、該アルデヒド、該ケトン及び/又は該含窒素化合物(S)が水溶液として使用されることが好ましい。
【0081】
アルコールとして、脂肪族OH官能基を有する、前記の必要条件下で事実上全ての第一級及び第二級のアルコールが適している。該アルコールは、直鎖状、分枝鎖状又は環状であってよい。第二級アルコールは、第一級アルコールと同じようにアミノ化される。該アルコールは、更に置換基を有してよく、又は官能基を含有してよく、これらは該水素化アミノ化の条件下で不活性に挙動し、例えばアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であるか、
又は場合により該水素化アミノ化の条件下でも水素化され、例えばCC−二重結合又は三重結合である。多価アルコール、例えばジオール又はトリオール、特にグリコールが、アミノ化される場合には、該反応条件の制御を通じて、好ましくはアミノアルコール、環状アミン又はポリアミノ化された生成物を得ることができる。
【0082】
1,2−ジオールのアミノ化は、該反応条件の選択に応じて、特に、1−アミノ−2−ヒドロキシ化合物又は1,2−ジアミノ化合物をもたらす。
【0083】
1,4−ジオールのアミノ化は、該反応条件の選択に応じて、1−アミノ−4−ヒドロキシ化合物、1,4−ジアミノ化合物をもたらすか、又は窒素原子を有する五員環(ピロリジン類)をもたらす。
【0084】
1,6−ジオールのアミノ化は、該反応条件の選択に応じて、1−アミノ−6−ヒドロキシ化合物、1,6−ジアミノ化合物をもたらすか、又は窒素原子を有する七員環(ヘキサメチレンイミン類)をもたらす。
【0085】
1,5−ジオールのアミノ化は、該反応条件の選択に応じて、1−アミノ−5−ヒドロキシ化合物、1,5−ジアミノ化合物をもたらすか、又は窒素原子を有する六員環(ピペリジン類、1,5−ジ−ピペリジニル−ペンタン類)をもたらす。
【0086】
ジグリコール(DEG)からは、それに応じてNH
3でのアミノ化により、モノアミノジグリコール(=ADG=H
2N−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−OH)、ジアミノジグリコール(H
2N−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−NH
2)又はモルホリンを得ることができる。特に好ましいのは、ここでは、プロセス生成物としての該ADGである。
【0087】
ジエタノールアミンからは、対応して、特に好ましくはピペラジンが得られる。トリエタノールアミンからは、N−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンを得ることができる。
【0088】
特に好ましいアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、脂肪アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)エタノール、N−メチルジエタノールアミン―及び2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノールである。
【0089】
本発明による方法において使用可能なケトンとして、前記の必要条件下で、事実上全ての脂肪族及び芳香族のケトンが適している。該脂肪族ケトンは、直鎖状、分枝鎖状又は環状であってよく、該ケトンは、ヘテロ原子を有してよい。該ケトンは、更に置換基を有してよく、又は官能基を含有してよく、これらは、該水素化アミノ化の条件下で不活性に挙動し、例えばアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であるか、又は場合により該水素化アミノ化の条件下でも水素化され、例えばCC−二重結合又は三重結合である。多価ケトンがアミノ化される場合には、該反応条件の制御を通じて、アミノケトン、アミノアルコール、環状アミン又はポリアミノ化された生成物を得ることができる。
【0090】
好ましくは、以下のケトンが、アミノ化水素化される:
アセトン、エチルメチルケトン、メチルビニルケトン、イソブチルメチルケトン、ブタノン、3−メチルブタン−2−オン、ジエチルケトン、テトラロン、アセトフェノン、p−メチル−アセトフェノン、p−メトキシ−アセトフェノン、m−メトキシ−アセトフェノン、1−アセチル−ナフタレン、2−アセチルナフタレン、1−フェニル−3−ブタノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロペンテノン、シクロヘキサノン、シクロヘキセノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロドデカノン、アセチルアセトン、メチルグリオキサール及びベンゾフェノン。
【0091】
本発明による方法において使用可能なアルデヒドとして、前記の必要条件下で事実上全ての脂肪族及び芳香族のアルデヒドが適している。該脂肪族アルデヒドは、直鎖状、分枝鎖状又は環状であってよく、該アルデヒドは、ヘテロ原子を有してよい。該アルデヒドは、更に置換基を有してよく、又は官能基を含有してよく、これらは該水素化アミノ化の条件下で不活性に挙動し、例えばアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であるか、又は場合により該水素化アミノ化の条件下でも水素化され、例えばCC−二重結合又は三重結合である。多価のアルデヒド又はケトアルデヒドがアミノ化される場合には、該反応条件の制御を通じて、アミノアルコール、環状アミン又はポリアミノ化された生成物を得ることができる。
【0092】
好ましくは、以下のアルデヒドがアミノ化水素化される:
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ピバルアルデヒド、n−ペンタナール、n−ヘキサナール、2−エチルヘキサナール、2−メチルペンタナール、3−メチルペンタナール、4−メチルペンタナール、グリオキサール、ベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、(p−メトキシ−フェニル)アセトアルデヒド、(3,4−ジメトキシフェニル)−アセトアルデヒド、4−ホルミルテトラヒドロピラン、3−ホルミルテトラヒドロフラン、5−ホルミルバレロニトリル、シトロネラール、リスメラール、アクロレイン、メタクロレイン、エチルアクロレイン、シトラール、クロトンアルデヒド、3−メトキシプロピオンアルデヒド、3−アミノプロピオンアルデヒド、ヒドロキシピバルアルデヒド、ジメチロールプロピオンアルデヒド、ジメチロールブチルアルデヒド、フルフラール、グリオキサール、グルタルアルデヒド並びにヒドロホルミル化されたオリゴマー及びポリマー、例えばヒドロホルミル化されたポリイソブテン(ポリイソブテンアルデヒド)又は1−ペンテンとシクロペンテンとのメタセシスにより得られ、かつヒドロホルミル化されたオリゴマー。
【0093】
アミノ化剤としてのアンモニアの使用の際に、該アルコール性ヒドロキシル基もしくは該アルデヒド基もしくは該ケト基は、まず最初に該第一級アミノ基(−NH
2)へ変換される。こうして形成される第一級アミンは、更なるアルコールもしくはアルデヒドもしくはケトンと反応して、対応する第二級アミンを得ることができ、かつこれがそしてまた更なるアルコールもしくはアルデヒドもしくはケトンと反応して、好ましくは対称性の、対応する第三級アミンを得ることができる。該反応バッチ又は該出発物質流(連続運転方式の場合)の組成に応じて及び使用される反応条件―圧力、温度、反応時間(触媒負荷)―に応じて、このようにしてそれぞれ希望に応じて、好ましくは第一級、第二級又は第三級のアミンを製造することができる。
【0094】
本発明による方法を用いて特に好ましくは製造されるアミンは、例えば、モルホリン(モノアミノジグリコールから)、モノアミノジグリコール、モルホリン及び/又は2,2′−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)(DEG及びアンモニアから)、6−ジメチルアミノヘキサノール−1(ヘキサンジオール及びジメチルアミン(DMA)から)、トリエチルアミン(エタノール及びジエチルアミン(DEA)から)、ジメチルエチルアミン(エタノール及びDMAから)、N−(C
1〜4−アルキル)モルホリン(DEG及びモノ(C
1〜4−アルキル)アミンから)、N−(C
1〜4−アルキル)ピペリジン(1,5−ペンタンジオール及びモノ(C
1〜4−アルキル)アミンから)、ピペラジン及び/又はジエチレントリアミン(DETA)(N−(2−アミノエチル)−エタノールアミン(AEEA)及びアンモニアから)、N−メチルピペラジン(ジエタノールアミン及びMMAから)、N,N′−ジメチルピペラジン(N−メチルジエタノールアミン及びMMAから)、1,2−エチレンジアミン(EDA)及び/又はジエチレントリアミン(DETA)及び/又はPIP(モノエタノールアミン(MEOA)及びアンモニアから)、2−エチルヘキシルアミン及びビス(2−エチルヘキシル)アミン(2−エチルヘキサノール及びNH
3から)、トリデシルアミン及びビス(トリデシル)アミン(トリデカノール及びNH
3から)、n−オクチルアミン(n−オクタノール及びNH
3から)、1,2−プロピレンジアミン(2−ヒドロキシ−プロピルアミン及びNH
3から)、1−ジエチルアミノ−4−アミノペンタン(1−ジエチルアミノ−4−ヒドロキシペンタン及びNH
3から)、N,N−ジ(C
1〜4−アルキル)シクロヘキシルアミン(シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノール及びジ(C
1〜4−アルキル)アミンから)、例えばN,N−ジメチル−N−シクロヘキシルアミン(DMCHA)、ポリイソブテンアミン(PIBA;例えばn 約1000を有する)(ポリイソブテンアルデヒド及びNH
3から)、N,N−ジイソプロピル−N−エチルアミン(ヒューニッヒ塩基)(N,N−ジイソプロピルアミン及びアセトアルデヒドから)、N−メチル−N−イソプロピルアミン(MMIPA)(モノメチルアミン及びアセトンから)、n−プロピルアミン類(例えばモノ−/ジ−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−N−n−プロピルアミン(DMPA))(プロピオンアルデヒド及び/又はn−プロパノール及びNH
3もしくはDMAから)、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアミン(DMIPA)(イソプロパノール及び/又はアセトン及びDMAから)、N,N−ジメチル−N−ブチルアミン類(1−、2−又はイソ−ブタノール及び/又はブタナール、イソブタナール又はブタノン及びDMA)、2−(2−ジ(C
1〜4−アルキル)アミノエトキシ)エタノール及び/又はビス(2−ジ(C
1〜4−アルキル)アミノエチル)エーテル(DEG及びジ(C
1〜4−アルキル)アミンから)、1,2−エチレンジアミン(EDA)、モノエタノールアミン(MEOA)、ジエチレントリアミン(DETA)及び/又はピペラジン(PIP)(モノエチレングリコール(MEG)及びアンモニアから)、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサ−オクタン及び/又は1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサ−オクタン(トリエチレングリコール(TEG)及びアンモニアから)、1−メトキシ−2−プロピルアミン(1−メトキシ−イソプロピルアミン、MOIPA)(1−メトキシ−2−プロパノール及びアンモニアから)、N−シクロドデシル−2,6−ジメチルモルホリン(ドデモルフ)(シクロドデカノン及び/又はシクロドデカノール及び2,6−ジメチルモルホリンから)、ポリエーテルアミン(対応するポリエーテルアルコール及びアンモニアから)である。該ポリエーテルアルコールは、例えば、200〜5000g/molの範囲内の分子量を有するポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールであり、対応するポリエーテルアミンは、例えばPEA D230、D400、D2000、T403又はT5000の商品名でBASFから入手可能である。
【0095】
特に好ましくは、該アミン(A)は、モノアミンジグリコール(ADG)、モルホリン、N−(C
1〜4−アルキル)−モルホリン、2−(2−ジ(C
1〜4−アルキル)−アミノエトキシ)エタノール、ビス(2−ジ(C
1〜4−アルキル)アミノエチル)エーテル、モノエタノールアミン(MEOA)、1,2−エチレンジアミン(EDA)、ポリエーテルアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)又はポリイソブテンアミン(PIBA)から選択される少なくとも1種のアミンである。
【0096】
本発明の好ましい実施態様において、モノアミノジグリコール(ADG)及びモルホリンは、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとの反応により製造される。
【0097】
本発明の更に好ましい実施態様において、N−(C
1〜4−アルキル)モルホリンは、ジエチレングリコール(DEG)とモノ(C
1〜4−アルキル)アミンとの反応により製造される。
【0098】
本発明の更に好ましい実施態様において、2−(2−ジ(C
1〜4−アルキル)アミノエトキシ)エタノール及び/又はビス(2−ジ(C
1〜4−アルキル)アミノエチル)エーテルは、ジエチレングリコール(DEG)とジ(C
1〜4−アルキル)アミンとの反応により製造される。
【0099】
本発明の更に好ましい実施態様において、モノエタノールアミン(MEOA)及び/又は1,2−エチレンジアミン(EDA)は、モノエチレングリコール(MEG)とアンモニアとの反応により製造される。
【0100】
本発明の更に好ましい実施態様において、1,2−エチレンジアミン(EDA)は、モノエタノールアミン(MEOA)とアンモニアとの反応により製造される。
【0101】
本発明の更に好ましい実施態様において、ポリエーテルアミンは、対応するポリエーテルアルコールとアンモニアとの反応により製造される。
【0102】
本発明の更に好ましい実施態様において、ピペラジン及び/又はジエチレントリアミン(DETA)は、N−(2−アミノエチル)−エタノールアミン(AEEA)とアンモニアとの反応により製造される。
【0103】
本発明の更に好ましい実施態様において、ポリイソブテンアミン(PIBA)は、ポリイソブテンアルデヒドとアンモニアとの反応により製造される。
【0104】
以下に、本発明は、実施例に基づいてより詳細に説明される。