(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一般式(1)において、Aが直接結合、炭素数1〜6のn価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜8のn価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のn価の芳香族炭化水素基、炭素数3〜17のn価の芳香族複素環基、又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素環及び炭素数3〜17の芳香族複素環から選ばれる芳香環から選ばれる芳香族環が2〜4つ連結されたn価の基の何れかである請求項1に記載の有機電界発光素子。
Aが、直接結合、n価の芳香族炭化水素基、n価の芳香族複素環基、又は芳香族環が2〜4つ連結されたn価の基の何れかであり、nは2又は3である請求項2に記載の有機電界発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を特定の層に含有する。一般式(1)において、Aは直接結合又はn価の基であるが、nは2、3又は4である。Aは、直接結合、-O-、-S-、-Se-、>N-、>N-R、>Si-(R)
2、>Ge-(R)
2、炭素数1〜12、好ましくは1〜6のn価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12、好ましくは3〜8のn価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のn価の芳香族炭化水素基、炭素数3〜17のn価の芳香族複素環基、又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素環、及び炭素数3〜17の芳香族複素環から選ばれる芳香族環が2〜4つ連結されたn価の基である。
ここで、上記n価の芳香族炭化水素基、n価の芳香族複素環基、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環は、置換基を有しても、有さなくともよい。
【0027】
好ましくは、Aは直接結合、上記n価の脂肪族炭化水素基、上記n価の脂環式炭化水素基、上記n価の芳香族炭化水素基、上記n価の芳香族複素環基、又は上記芳香族環が2〜4つ連結されたn価の基である。
【0028】
Aが炭素数1〜12のn価の脂肪族炭化水素基の場合、これは飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても、分岐していてもよい。具体例としては、メタン、エタン、エテン、エチン、プロパン、プロぺン、プロピン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ブチン、ペンタン、ペンテン、ペンチン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素からn個の水素を除いたn価の基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のn価の脂肪族炭化水素基である。より好ましくは、CmH2m+2で表される脂肪族炭化水素から2〜4個の水素を除いて生じる2〜4価の脂肪族炭化水素基である。ここで、mは1〜6である。
【0029】
Aが炭素数3〜12のn価の脂環式炭化水素基の場合、これは、飽和であっても不飽和であってもよく、分岐していてもよい。具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロブテン、シクロブタジエン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の飽和又は不飽和の脂環式炭化水素からn個の水素を除いたn価の基等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜8のn価の脂肪族炭化水素基である。より好ましくは、CmH2mで表される脂環式炭化水素から2〜4個の水素を除いて生じる2〜4価の脂肪族炭化水素基である。ここで、mは3〜8である。
【0030】
Aが炭素数6〜18のn価の芳香族炭化水素基、又は炭素数3〜17のn価の芳香族複素環基の場合、これらの基の具体的な例としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、キサンテン、オキサントレン、フェノキサジン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チオキサンテン、チアントレン、フェノキサチイン及びフェノチアジンから選ばれる芳香族化合物からn個の水素を除いて生じるn価の基等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、カルバゾール、アクリジン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、フェノキサジン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、及びフェノチアジンから選ばれる芳香族化合物からn個の水素を除いて生じるn価の基である。より好ましくは、ベンゼン、インドール、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、及びジベンゾチオフェンから選ばれる芳香族化合物からn個の水素を除いて生じるn価の基である。
【0031】
Aが炭素数6〜18の芳香族炭化水素環、及び炭素数3〜17の芳香族複素環から選ばれる芳香族環が2〜4つ連結されたn価の基の場合、上記芳香族炭化水素環及び芳香族複素環としては、Aが炭素数6〜18のn価の芳香族炭化水素基、又は炭素数3〜17のn価の芳香族複素環基の場合において説明した芳香族化合物が2〜4つ連結して生じる芳香族化合物からn個の水素を除いて生じるn価の基がある。
【0032】
上記芳香族環を与える芳香族化合物としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、カルバゾール、アクリジン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、フェノキサジン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、又はフェノチアジンが好ましい。より好ましくは、ベンゼン、インドール、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、又はジベンゾチオフェンがある。
【0033】
ここで、芳香族環が2〜4つ連結した芳香族化合物を構成する芳香族炭化水素環又は芳香族複素環は、同一であってもよく、異なってもよく、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の両者を含んでもよい。上記芳香族環が2〜4つ連結された芳香族化合物の具体例としては、例えばビフェニル、ターフェニル、ビピリジン、ビピリミジン、ビトリアジン、ビストリアジルベンゼン、ビナフタレン、フェニルピリジン、ジフェニルピリジン、ジフェニルピリミジン、ジフェニルトリアジン、フェニルカルバゾール、ジフェニルカルバゾール、ジカルバゾリルベンゼン、ピリジルカルバゾール、フェニルジベンゾフラン、又はフェニルジベンゾチオフェン等からn個の水素を除いて生じるn価の基が挙げられ、結合位置は限定されず、末端の環であっても中央部の環であっても構わない。
【0034】
上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環は、上記n価の芳香族炭化水素基、及びn価の芳香族複素環基と同様に置換基を有することができる。n価の芳香族炭化水素基、n価の芳香族複素環基、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が、置換基を有する場合、好ましい置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜13のアシル基又は炭素数12〜24のジアリールアミノ基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアシル基又は炭素数12〜20のジアリールアミノ基である。置換基を有する場合、置換基の総数は1〜10である。好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。また、上記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基又は芳香環が2つ以上の置換基を有する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。また、上記芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基又は芳香環の炭素数の計算において、置換基を有する場合、その置換基の炭素数を含まない。芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又は芳香族環が、置換芳香族炭化水素基、置換芳香族複素環基又は置換芳香族環である場合、その合計の炭素数は、置換芳香族炭化水素基又は置換芳香族炭化水素環である場合、6〜50が好ましく、6〜30がより好ましい。置換基芳香族複素環基又は置換芳香族芳香族環である場合、その合計の炭素数は、3〜50が好ましく、4〜30がより好ましい。
【0035】
ここで、芳香環が2〜4つ連結された芳香族化合物から生じるn価の基は、2価の基の場合、例えば、下記式で表される。
【0036】
(Ar
1〜Ar
4は芳香族環を表す。)
【0037】
Aが>N-R、>Si-(R)
2、又は>Ge-(R)
2である場合、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は炭素数3〜17の芳香族複素環基を表わし、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は炭素数3〜12の芳香族複素環基である。
【0038】
炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられ、直鎖であっても、分岐していても構わない。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基である。
【0039】
炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数3〜17の芳香族複素環基の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、キサンテン、オキサントレン、フェノキサジン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チオキサンテン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノチアジン等から水素を除いて生じる基等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、フルオランテン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、カルバゾール、アクリジン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、フェノキサジン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン等から水素を除いて生じる基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、キノリンから水素を除いて生じる基である。
【0040】
一般式(1)において、R’はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、好ましくは水素、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。アルキル基又はアルコキシ基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アルキル鎖は、直鎖であっても、分岐していても構わない。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基である。
【0041】
一般式(1)において、Eは酸素または硫黄を表す。nは2〜4の整数を表し、好ましくは2又は3である。
【0042】
一般式(1)で表される骨格のうち、EがOで表される骨格は、WO2009-145016号公報に示される合成例を参考にして、以下の反応式により合成することができる。
【0043】
また、EがSで表される骨格は、以下の反応式により合成することができる。
【0044】
前述の反応式で得られる各種化合物のヨウ素を、例えば鈴木カップリング等のカップリング反応により、対応する連結基に置換させることで、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。
【0045】
一般式(1)で表される化合物の具体的な例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0048】
上記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物は、基板上に、陽極、複数の有機層及び陰極が積層されてなる有機EL素子の少なくとも1つの有機層に含有させることにより、優れた有機電界発光素子を与える。含有させる有機層としては、発光層、正孔輸送層、電子輸送層または正孔阻止層が適する。より好ましくは、燐光発光ドーパントを含有する発光層のホスト材料として含有させることが良い。
【0049】
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
【0050】
本発明の有機EL素子は、基板上に積層された陽極と陰極の間に、少なくとも一つの発光層を有する有機層を有し、且つ少なくとも一つの有機層は、上記カルバゾール化合物を含む。有利には、燐光発光ドーパントと共に一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を発光層中に含む。
【0051】
次に、本発明の有機EL素子の構造について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機EL素子の構造は何ら図示のものに限定されるものではない。
【0052】
図1は一般的な有機EL素子の構造例を示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。本発明の有機EL素子では発光層と隣接して励起子阻止層を有してもよく、また、発光層と正孔注入層との間に電子阻止層を有しても良い。励起子阻止層は発光層の陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。本発明の有機EL素子では、基板、陽極、発光層及び陰極を必須の層として有するが、必須の層以外の層に、正孔注入輸送層、電子注入輸送層を有することがよく、更に発光層と電子注入輸送層の間に正孔阻止層を有することがよい。なお、正孔注入輸送層は、正孔注入層と正孔輸送層のいずれか又は両者を意味し、電子注入輸送層は、電子注入層と電子輸送層のいずれか又は両者を意味する。
【0053】
なお、
図1とは逆の構造、すなわち、基板1上に陰極7、電子輸送層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、この場合も、必要により層を追加したり、省略したりすることが可能である。
【0054】
−基板−
本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機EL素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英などからなるものを用いることができる。
【0055】
−陽極−
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO
2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In
2O
3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0056】
−陰極−
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al
2O
3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al
2O
3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0057】
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0058】
−発光層−
発光層は燐光発光層であり、燐光発光ドーパントとホスト材料を含む。燐光発光ドーパント材料としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体を含有するものがよい。具体的には以下の特許公報に記載されている化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されない。以下に、特許公報等の番号を記す。
【0059】
WO2009-073245号公報、WO2009-046266号公報、WO2007-095118号公報、WO2008-156879号公報、WO2008-140657号公報、US2008-261076号公報、特表2008-542203号公報、WO2008-054584号公報、特表2008-505925号公報、特表2007-522126号公報、特表2004-506305号公報、特表2006-513278号公報、特表2006-50596号公報、WO2006-046980号公報、WO2005113704号公報、US2005-260449号公報、US2005-2260448号公報、US2005-214576号公報、WO2005-076380号公報、US2005-119485号公報、WO2004-045001号公報、WO2004-045000号公報、WO2006-100888号公報、WO2007-004380号公報、WO2007-023659号公報、WO2008-035664号公報、特開2003-272861号公報、特開2004-111193号公報、特開2004-319438号公報、特開2007-2080号公報、特開2007-9009号公報、特開2007-227948号公報、特開2008-91906号公報、特開2008-311607号公報、特開2009-19121号公報、特開2009-46601号公報、特開2009-114369号公報、特開2003-253128号公報、特開2003-253129号公報、特開2003-253145号公報、特開2005-38847号公報、特開2005-82598号公報、特開2005-139185号公報、特開2005-187473号公報、特開2005-220136号公報、特開2006-63080号公報、特開2006-104201号公報、特開2006-111623号公報、特開2006-213720号公報、特開2006-290891号公報、特開2006-298899号公報、特開2006-298900号公報、WO2007-018067号公報、WO2007/058080号公報、WO2007-058104号公報、特開2006-131561号公報、特開2008-239565号公報、特開2008-266163号公報、特開2009-57367号公報、特開2002-117978号公報、特開2003-123982号公報、特開2003-133074号公報、特開2006-93542号公報、特開2006-131524号公報、特開2006-261623号公報、特開2006-303383号公報、特開2006-303394号公報、特開2006-310479号公報、特開2007-88105号公報、特開2007-258550号公報、特開2007-324309号公報、特開2008-270737号公報、特開2009-96800号公報、特開2009-161524号公報、WO2008-050733号公報、特開2003-73387号公報、特開2004-59433号公報、特開2004-155709号公報、特開2006-104132号公報、特開2008-37848号公報、特開2008-133212号公報、特開2009-57304号公報、特開2009-286716号公報、特開2010-83852号公報、特表2009-532546号公報、特表2009-536681号公報、特表2009-542026号公報等。
【0060】
好ましい燐光発光ドーパントとしては、Ir等の貴金属元素を中心金属として有するIr(ppy)3等の錯体類、Ir(bt)2・acac3等の錯体類、PtOEt3等の錯体類が挙げられる。これらの錯体類の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されない。
【0062】
前記燐光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%の範囲にあることがより好ましい。
【0063】
発光層におけるホスト材料としては、前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を用いることが好ましい。しかし、該カルバゾール化合物を発光層以外の他の何れかの有機層に使用する場合は、発光層に使用する材料はカルバゾール化合物以外の他のホスト材料であってもよい。また、カルバゾール化合物と他のホスト材料を併用してもよい。更に、公知のホスト材料を複数種類併用して用いてもよい。
【0064】
使用できる公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する化合物であることが好ましい。
【0065】
このような他のホスト材料は、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することができる。ホスト材料の具体例としては、特に限定されるものではないが、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8―キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体、ポリシラン系化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
【0066】
−注入層−
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
【0067】
−正孔阻止層−
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0068】
正孔阻止層には一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を用いることが好ましいが、カルバゾール化合物を他の何れかの有機層に使用する場合は、公知の正孔阻止層材料を用いてもよい。また、正孔阻止層材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
【0069】
−電子阻止層−
電子阻止層とは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料から成り、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔が再結合する確立を向上させることができる。
【0070】
電子阻止層の材料としては、後述する正孔輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。電子阻止層の膜厚は好ましくは3〜100nmであり、より好ましくは5〜30nmである。
【0071】
−励起子阻止層−
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。
【0072】
励起子阻止層の材料としては、例えば、1,3−ジカルバゾリルベンゼン(mCP)や、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラトアルミニウム(III)(BAlq)が挙げられる。
【0073】
−正孔輸送層−
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0074】
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。正孔輸送層には一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を用いることが好ましいが、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アリールアミン誘導体を用いることが好ましく、アリールアミン誘導体を用いることがより好ましい。
【0075】
−電子輸送層−
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0076】
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。電子輸送層には本発明に係る一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を用いることが好ましいが、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0077】
以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明は勿論、これらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、種々の形態で実施することが可能である。
【0078】
以下に示すルートにより燐光発光素子用材料となるカルバゾール化合物を合成した。尚、化合物番号は、上記例示化合物に付した番号に対応する。
【0080】
窒素雰囲気下、2-メトキシフェニルボロン酸 18.84 g (0.124 mol)、1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼン 24.00 g (0.124 mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 7.72 g (0.00496 mol)、トルエン 600 ml、エタノール 100 mlを加え、室温で撹拌しながら、2M 水酸化ナトリウム水溶液 200 mlを加えた。90℃で5時間撹拌した後、室温まで冷却し、有機層を蒸留水(300 ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、白色固体として中間体(A1)10.01 g (0.0455 mol, 収率 38%)を得た。
【0081】
窒素雰囲気下、中間体(A1) 10.00 g (0.0454 mol)、ジクロロメタン 100 mlを加え0℃で撹拌しながら、三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液 20 mlを加えた。室温で6時間撹拌した後、水を加えた。有機層を蒸留水(30 ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、無色液体として中間体(A2) 8.62 g(0.0418 mol, 収率 92%)を得た。
【0082】
窒素雰囲気下、中間体(A2) 8.62 g (0.0418 mol)、N-メチル-ピロリドン 230 mlを加え、室温で撹拌しながら炭酸カリウム 11.56 g(0.0836 mol)を加えた。180℃で3時間撹拌した後、室温まで冷却し、炭酸カリウムをろ別した。ろ液に蒸留水 900 mlを加え、室温で撹拌した後、析出した固体をろ別した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、有機層を蒸留水(30 ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、白色固体として中間体(A3) 7.02 g (0.0377 mol, 収率 90%)を得た。
【0084】
窒素雰囲気下、カルバゾール 35 g (0.209 mol)、酢酸 300 mlを加え、室温で撹拌しながらヨウ化カリウム 24.24 g (0.146 mol)、ヨウ素酸カリウム 31.24 g (0.146 mol)を加えた。80℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却した。亜硫酸水素ナトリウム水溶液 300 ml、テトラヒドロフラン 300 mlを加え、室温で撹拌した。トルエン 300 mlを加え、有機層を蒸留水 (200 ml×2)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を再結晶により精製することで白色固体として中間体(A4) 20.75 g (0.0708 mol)を得た。
【0085】
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム 3.03 g (0.0752 mol)、ジメチルホルムアミド(DMF) 20 mlを加え、室温で撹拌しながら、中間体(A4) 20.00 g (0.0682 mol)を溶解させたDMF溶液 20 mlを加えた。室温で30分間撹拌し、中間体(A3) 7.00 g (0.0376 mol)を溶解させたDMF溶液 20 mlを加えた。120℃で7時間撹拌した後、室温まで冷却した。蒸留水 300 mlを加え室温で撹拌した。析出した固体をろ別した。得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させ、蒸留水 200 mlを加えた。トルエン (100 ml×3)で抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、白色固体として中間体(A5) 16.74 g (0.0364 mol, 収率 97%)を得た。
【0086】
窒素雰囲気下、塩化ニッケル(II)6水和物 4.16 g (0.0152 mol)、トリフェニルホスフィン 16.34 g(0.0623 mol)、ジメチルホルムアミド 50 mlを加え、脱気した。亜鉛1.29 g(0.0198 mol)を加え、60℃で20分間撹拌した。中間体(A5) 5.84g(0.0127 mol)を溶解させたジメチルホルムアミド溶液 50 mlを加え、90℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、水 300mlに注ぎ込み室温で2時間撹拌した。析出物をろ別し、テトラヒドロフランに溶解させ、水 150 mlを加えた。トルエン 50 ml×3で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶で精製することで、白色固体として化合物(1) 0.17 g (0.000256 mol, 収率 2%)を得た。
APCI-TOFMS, m/z 665 [M+1]、1H-NMR測定結果(測定溶媒:THF-d8)を
図2に示す。
【0088】
窒素雰囲気下、(A5) 18.00 g (0.0392 mol)、ビスピナコラトジボロン11.94g(0.0470mol)、酢酸カリウム11.54g(0.1176mol)、ジメチルスルホキシド(DMSO) 200mlを加え、60℃で30分間撹拌した。その後1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド-ジクロロメタン錯体0.96g(0.00118mol)を加え、80℃で6時間攪拌した後、室温まで冷却した。冷却した反応溶液を水に注ぎ込み、室温で6時間攪拌した後、析出した固体をろ別した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、白色固体として中間体(A7) 9.99 g (0.0217 mol, 収率 55%)を得た。
【0089】
窒素雰囲気下、(A7) 9.50 g (0.0207 mol)、1,3-ジヨードベンゼン3.10g(0.0094mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.58g(0.000376mol)、トルエン 300ml、エタノール50mlを加え、室温で撹拌しながら、2M 水酸化ナトリウム水溶液 15 mlを加えた後、70℃で9時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却し、有機層を蒸留水(100 ml×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶で精製することで、白色固体として化合物(40)2.08 g ( 0.00281mol, 収率 30%)を得た。
APCI-TOFMS, m/z 741 [M+1]、1H-NMR測定結果(測定溶媒:THF-d8)を
図3に示す。
【0090】
実施例3
膜厚110nmのITO基板からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度4.0×10
-5Paで積層させた。まず、ITO上にCuPcを20 nmの厚さに形成した。次に、正孔輸送層としてNPBを20 nmの厚さに形成した。次に、正孔輸送層上に、ホスト材料としての化合物(1)とドーパントとしてのIr(ppy)
3とを異なる蒸着源から、共蒸着し、30 nmの厚さに発光層を形成した。この時、Ir(ppy)
3の濃度は10 wt%であった。次に電子輸送層としてAlq3を40 nmの厚さに形成した。更に、電子輸送層上に、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)を1nmの厚さに形成した。最後に、電子注入層上に、電極としてアルミニウム(Al)を70nmの厚さに形成し、有機EL素子を作製した。
【0091】
得られた有機EL素子に外部電源を接続し直流電圧を印加したところ、表1に示すような発光特性を有することが確認された。表1において、輝度、電圧及び発光効率は、20 mA/cm
2での駆動時の値を示す。素子発光スペクトルの極大波長は540 nmであり、Ir(ppy)
3からの発光が得られていることがわかった。
【0092】
実施例4〜11
実施例1と同様に、化合物8、11、17、18、20、及び31を合成し、実施例3の発光層のホスト材料として、化合物1に代えて化合物8、11、17、18、20、31、又は40を用いた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作成した。各々の素子発光スペクトルの極大波長は540 nmであり、Ir(ppy)
3からの発光が得られていることがわかった。
【0093】
実施例12〜13(比較)
実施例3における発光層のホスト材料としてCBP、又は化合物H-1を用いた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作成した。素子発光スペクトルの極大波長は535 nm(例12)又は530 nm(例13)であり、Ir(ppy)
3からの発光が得られていると同定された。
【0096】
実施例3は実施例12及び13(比較)に対して初期特性が向上している。これによりジベンゾチオフェンもしくはジベンゾフランの1位にカルバゾールを有し、かつカルバゾールの2位〜7位の位置に特定の置換基を有する化合物を有機EL素子に使用することで、有機EL素子特性が改善することが分かる。同様に実施例4〜11のEL素子特性は良好であり、ここでも一般式(1)で表されるカルバゾール化合物の優位性が示される。
【0097】
本発明の有機電界発光素子に使用する一般式(1)で表されるカルバゾール化合物は、ジベンゾチオフェンもしくはジベンゾフランの1位にカルバゾールのN位で結合した骨格を、カルバゾールの3位で2〜4個連結することにより、正孔、電子移動度の微調整、ならびにイオン化ポテンシャル(IP)、電子親和力(EA)、三重項エネルギー(T1)の各種エネルギー値の制御が可能となると考えられる。また、該カルバゾール化合物は酸化、還元、励起の各活性状態で安定性を向上させることが可能であると考えられ、同時に良好なアモルファス特性を有する。以上のことから駆動寿命が長く、耐久性の高い有機EL素子を実現できる。
【0098】
本発明による有機EL素子は、発光特性、駆動寿命ならびに耐久性において、実用上満足できるレベルにあり、フラットパネルディスプレイ(携帯電話表示素子、車載表示素子、OAコンピュータ表示素子やテレビ等)、面発光体としての特徴を生かした光源(照明、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板や標識灯等への応用において、その技術的価値は大きいものである。