特許第5973989号(P5973989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973989
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】内部寄生虫防除剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/166 20060101AFI20160809BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20160809BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20160809BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20160809BHJP
   A01N 37/20 20060101ALI20160809BHJP
   A01N 37/22 20060101ALI20160809BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20160809BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20160809BHJP
   A01P 7/00 20060101ALI20160809BHJP
   A01P 15/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   A61K31/166
   A61K31/44
   A61K31/4402
   A61P33/00 171
   A01N37/20
   A01N37/22 101
   A01N43/40 101
   A01N43/40 101A
   A01N43/40 101C
   A01N43/40 101E
   A01P5/00
   A01P7/00
   A01P15/00
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-502399(P2013-502399)
(86)(22)【出願日】2012年3月1日
(86)【国際出願番号】JP2012055190
(87)【国際公開番号】WO2012118139
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-45042(P2011-45042)
(32)【優先日】2011年3月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000232623
【氏名又は名称】日本農薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】北 潔
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 明之
【審査官】 鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/126922(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/108483(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/127718(WO,A1)
【文献】 Crop Prot.,2010年,Vol.29,pp.643-651
【文献】 感染・炎症・免疫,2011年 1月,Vol.40 No.4,pp.310-319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/166
A01N 37/20
A01N 37/22
A01N 43/40
A01P 5/00
A01P 7/00
A01P 15/00
A61K 31/44
A61K 31/4402
A61P 33/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
{式中、Aは同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。Qは酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルキルカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。);又は−CR(R)−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。)を示す。
Eは水素原子を示す。
Xは同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基を示す。
mは0〜2の整数を示す。
Yは同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;置換基群Bから選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基を示す。
置換基群Bはハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;(C−C)シクロアルキル基;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基を示す。
nは0〜の整数を示す(但し、ZがCYを示すとき、nは0又は1を示す)
Zは窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す。}
で表されるカルボキサミド誘導体又はその塩類を有効成分とする、安全性が高い、動物の体内の内部寄生虫防除剤。
【請求項2】
mが1又は2を示し、
Yが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を示し、
Zが窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す請求項1に記載の内部寄生虫防除剤。
【請求項3】
Aが同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基;又は(C−C)シクロアルキル基を示す。Qは酸素原子又は硫黄原子を示す。);又は−CR(R)−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示し、
mが1を示し、
Yが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基を示し、nが1〜3の整数を示し、
Zが窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す請求項1に記載の内部寄生虫防除剤。
【請求項4】
Yは同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;置換基群Bから選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基を示し、
置換基群Bはハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;(C−C)シクロアルキル基;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基を示し、
ZはCH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す請求項1に記載の内部寄生虫防除剤。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の内部寄生虫防除剤の有効量を、ヒト以外の哺乳類又は鳥類に、経口又は非経口投与することを特徴とする、安全性が高い、ヒト以外の哺乳類又は鳥類の体内の内部寄生虫の防除方法。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の内部寄生虫防除剤の有効量を、ヒト以外の哺乳類に経口又は非経口投与することを特徴とする、安全性が高い、ヒト以外の哺乳類又は鳥類の体内の内部寄生虫の防除方法。
【請求項7】
ヒト以外の哺乳類が家畜である請求項に記載の内部寄生虫の防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキサミド誘導体又はその塩類を有効成分として含有する内部寄生虫防除剤、及び当該防除剤を経口又は非経口投与することを特徴とする内部寄生虫の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種のカルボキサミド誘導体が殺菌活性を有することが知られている(例えば、特許文献1乃至12を参照。)。しかしながら、該文献に記載された化合物が哺乳類又は鳥類などの動物に寄生する内部寄生虫に対して有効であることは記載されていない。また、ある種のカルボキサミド誘導体が、農作物を加害するセンチュウに対して効果があることが知られている(例えば、特許文献4又は5を参照。)が、動物に寄生する内部寄生虫への効果に関しては、一切具体的に開示されてはいない。更に、内部寄生虫の呼吸系酵素の一つであるミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素を阻害する化合物が、内部寄生虫防除剤となりうることが報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01−151546号公報
【特許文献2】国際公開第2007/060162号パンフレット
【特許文献3】特開昭53−9739号公報
【特許文献4】国際公開第2007/108483号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/126922号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2008/101975号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2008/101976号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2008/003745号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2008/003746号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2009/012998号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2009/127718号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2010/106071号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】北 潔,「感染」,Winter 2010,Vol.40−4,p.310〜319
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に寄生虫症は、寄生虫、即ち、単細胞の原生動物(原虫類)、多細胞の蠕虫類或いは節足動物等が動物宿主に寄生感染することにより引き起こされる。寄生虫症は、我が国では、環境衛生の改善により著明に減少したとされるが、世界的見地から見れば、特に開発途上国に於いて広く蔓延し、多大な被害を与えている。近年、これらの諸外国への長・短期旅行者による感染源の移入や輸入食品或いは冷凍、運搬技術の発達による生肉・魚肉飲食等からの感染、ペットからくる寄生虫症などが新たな増加傾向を見せ始めている。更に、免疫抑制剤、制ガン剤等の大量投与、AIDS感染などで免疫不全となり、従来、非病原性或いは低病原性であった寄生虫が病原性を獲得する日和見感染が問題となっている。また、寄生虫症は、豚、馬、牛、羊、犬、猫及び家禽等の家畜動物に於いて普遍的かつ重大な経済問題である。即ち、寄生虫の感染によって感染動物は貧血、栄養失調、衰弱、体重損失、腸管壁及び組織、器官の重大な損傷を起こし、飼料効率の低下や生産性低下の一因となっており、経済的な損失が大きい。従って、新規な駆虫剤或いは抗原虫剤等の内部寄生虫防除剤が常に求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体及びその塩類が、内部寄生虫に対して高い防除効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下の発明に関する。
【0007】
[1]一般式(I)
【化1】
{式中、Aは同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;同一又は異なってもよく、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルキルカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。)から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルケニレン基;同一又は異なってもよく、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは前記に同じ。)から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルケニレン基;同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキニレン基;又は同一若しくは異なってもよく、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは前記に同じ。)から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキニレン基を示す。また、Aが環状構造をとり得る場合は、Aは環状構造をとってもよい。
【0008】
Eは水素原子;(C−C)アルキル基;(C−C)シクロアルキル基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル基;又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。
【0009】
Xは同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルチオ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルフィニル基;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基を示す。
mは0〜5の整数を示す。
【0010】
Yは同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキニル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニルオキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキニルオキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルチオ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルフィニル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基;(C−C)アルコキシカルボニル基;(C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基; (C−C30)トリアルキルシリル基;ハロゲン原子により置換されていてもよいモノ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基;置換基群Bから選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基;置換基群Bから選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェノキシ基;置換基群Bから選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環基又は置換基群Bから選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環オキシ基を示す。
【0011】
置換基群Bはハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキニル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニルオキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキニルオキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルチオ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルフィニル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基;(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基を示す。
nは0〜5の整数を示す。
また、nが2〜5の整数である場合において、隣り合う2つのYが一緒になって(C−C)アルキレン基;(C−C)アルケニレン基;(C−C)アルキレンオキシ基又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキレンジオキシ基を示すことができる。
Zは窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す。}
で表されるカルボキサミド誘導体又はその塩類を有効成分とする内部寄生虫防除剤。
【0012】
[2]Aが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;又は同一若しくは異なってもよく、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは水素原子;(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルキルカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。)から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基を示す前記[1]に記載の内部寄生虫防除剤。
【0013】
[3]Aが同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。Qは酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは水素原子;(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルキルカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。);又は−CR(R)−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。)を示す前記[1]に記載の内部寄生虫防除剤。
【0014】
[4]Aが同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。Qは酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは水素原子;(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルキルカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。);又は−CR(R)−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。)を示し、
Eが水素原子;(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル基;又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示し、
Xが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルチオ基を示し、mが1又は2を示し、
【0015】
Yが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニルオキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよいモノ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基;ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェノキシ基;ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環基又はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環オキシ基を示し、nが0〜3の整数を示し、また、nが2又は3である場合において、隣り合う2つのYが一緒になって(C−C)アルキレンオキシ基又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキレンジオキシ基を示すことができ、
Zが窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す前記[1]に記載の内部寄生虫防除剤。
【0016】
[5]Aが同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基;又は(C−C)シクロアルキル基を示す。Qは酸素原子又は硫黄原子を示す。);又は−CR(R)−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示し、
Eが水素原子を示し、
Xが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基を示し、mが1を示し、
Yが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基を示し、nが1〜3の整数を示し、
Zが窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す前記[1]に記載の内部寄生虫防除剤。
【0017】
[6]前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の内部寄生虫防除剤の有効量を、ヒト以外の哺乳類又は鳥類に、経口又は非経口投与することを特徴とする内部寄生虫の防除方法。
[7]前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の内部寄生虫防除剤の有効量を、ヒト以外の哺乳類に経口又は非経口投与することを特徴とする内部寄生虫の防除方法。
[8]ヒト以外の哺乳類が家畜である前記[7]に記載の内部寄生虫の防除方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、従来技術に比べて優れた性能を有する内部寄生虫防除剤として有用な化合物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のカルボキサミド誘導体の一般式(I)の定義について以下に説明する。
「(C−C)アルキレン基」とはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基のように直鎖のC−Cアルキレン基を示し、「ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基」における各置換基はこれらアルキレン炭素上のいずれの位置に結合していてもよい。また、「酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基」は、前記置換されていてもよい直鎖(C−C)アルキレン基の末端ないし内部に列挙したヘテロ原子が挿入された基を表し、エチレンオキシ基、エチレンチオ基、エチレンスルフィニル基、エチレンスルホニル基、エチレンアミノ基、プロピレンオキシ基、プロピレンチオ基、プロピレンスルフィニル基、プロピレンスルホニル基、プロピレンアミノ基、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−S−CH−、−CH−CH−NH−CH−、などの基が具体的に挙げられる。
【0020】
「(C−C)アルケニレン基」とは、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ペンタジエニレン基、ヘキセニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘプテニレン基、ヘプタジエニレン基、オクテニレン基、オクタジエニレン基のように基中に1個または2個以上の二重結合を有している直鎖の(C−C)アルケニレン基を示し、「ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルケニレン基」における各置換基はこれらアルケニレン炭素上のいずれの位置に結合していてもよい。また、「酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルケニレン基」は、前記置換されていてもよい直鎖(C−C)アルケニレン基の末端ないし内部に列挙したヘテロ原子が挿入された基を表し、ビニレンオキシ基、ビニレンチオ基、ビニレンスルフィニル基、ビニレンスルホニル基、ビニレンアミノ基、プロペニレンオキシ基、プロペニレンチオ基、プロペニレンスルフィニル基、プロペニレンスルホニル基、プロペニレンアミノ基、−CH=CH−CHO−CH−、−CH=CH−CH−S−CH−、−CH=CH−CH−NH−CH−、などの基が具体的に挙げられる。
【0021】
「(C−C)アルキニレン基」とは、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ブタジイニレン基、ペンチニレン基、ペンタジイニレン基、ヘキシニレン基、ヘキサジイニレン基、ヘプチニレン基、ヘプタジイニレン基、オクチニレン基およびオクタジイニレン基のように基中に1個または2個以上の三重結合を有している直鎖のC−Cアルキニレン基を示し、「ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキニレン基」における各置換基はこれらアルキニレン炭素上のいずれの位置に結合していてもよい。また、「酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ途中に挟んだ、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキニレン基」は、前記置換されていてもよい直鎖(C−C)アルキニレン基の末端ないし内部に列挙したヘテロ原子が挿入された基を表し、エチニレンオキシ基、エチニレンチオ基、エチニレンスルフィニル基、エチニレンスルホニル基、エチニレンアミノ基、プロピニレンオキシ基、プロピニレンチオ基、プロピニレンスルフィニル基、プロピニレンスルホニル基、プロピニレンアミノ基、−C≡C−CH−O−CH−、−C≡C−CH−S−CH−、−C≡C−CH−NH−CH−、などの基が具体的に挙げられる。
【0022】
「ハロゲン原子」とは塩素原子、臭素原子、沃素原子又はフッ素原子を示す。「(C−C)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基、ノルマルヘキシル基等の直鎖又は分鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示す。
【0023】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基、ノルマルヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示し、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2,3−ジブロモプロピル基等を示す。
【0024】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニル基」とは、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニル基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニル基を示し、例えばフルオロビニル基、ジフルオロビニル基、パーフルオロビニル基、3,3−ジクロロ−2−プロペニル基、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル基等を示す。
【0025】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキニル基」とは、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニル基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニル基を示し、例えばフルオロエチニル基、パーフルオロプロピニル基、4,4,4−トリフルオロ−2−ブチニル基等を示す。
【0026】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基」とは、例えばメトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を示し、例えばトリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、1−ブロモエトキシ基、2,3−ジブロモプロポキシ基等を示す。
【0027】
「(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基」とは、例えばメトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、1−メトキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、1−エトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜6個の直鎖もしくは分枝鎖状のアルコキシ基において置換可能な部位が、炭素原子数1〜6個の直鎖もしくは分枝鎖状のアルコキシ基で置換された基を示す。
【0028】
「(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基」とは、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の、炭素原子数1〜6個の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基において置換可能な部位が、炭素原子数1〜6個の直鎖もしくは分枝鎖状のアルコキシ基で置換された基を示す。
【0029】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニルオキシ基」とは、例えばプロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニルオキシ基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニルオキシ基を示し、例えばフルオロビニルオキシ基、ジフルオロビニルオキシ基、パーフルオロビニルオキシ基、3,3−ジクロロ−2−プロペニルオキシ基、4,4−ジフルオロ−3−ブテニルオキシ基等を示す。
【0030】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキニルオキシ基」とは、例えばプロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニルオキシ基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニルオキシ基を示し、例えばフルオロエチニルオキシ基、パーフルオロプロピニルオキシ基、4,4,4−トリフルオロ−2−ブチニルオキシ基等を示す。
【0031】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルチオ基」とは、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基を示し、例えばトリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、パーフルオロエチルチオ基、パーフルオロイソプロピルチオ基、クロロメチルチオ基、ブロモメチルチオ基、1−ブロモエチルチオ基、2,3−ジブロモプロピルチオ基等を示す。
【0032】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルフィニル基」とは、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ノルマルプロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ノルマルブチルスルフィニル基、セカンダリーブチルスルフィニル基、ターシャリーブチルスルフィニル基、ノルマルペンチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、ノルマルヘキシルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルフィニル基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルフィニル基を示し、例えばトリフルオロメチルスルフィニル基、ジフルオロメチルスルフィニル基、パーフルオロエチルスルフィニル基、パーフルオロイソプロピルスルフィニル基、クロロメチルスルフィニル基、ブロモメチルスルフィニル基、1−ブロモエチルスルフィニル基、2,3−ジブロモプロピルスルフィニル基等を示す。
【0033】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基」とは、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ノルマルプロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ノルマルブチルスルホニル基、セカンダリーブチルスルホニル基、ターシャリーブチルスルホニル基、ノルマルペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ノルマルヘキシルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルホニル基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルホニル基を示し、例えばトリフルオロメチルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、パーフルオロエチルスルホニル基、パーフルオロイソプロピルスルホニル基、クロロメチルスルホニル基、ブロモメチルスルホニル基、1−ブロモエチルスルホニル基、2,3−ジブロモプロピルスルホニル基等を示す。
【0034】
「(C−C)アルキルカルボニル基」とは、例えばメチルカルボニル基、エチルカルボニル基、ノルマルプロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ノルマルブチルカルボニル基、ターシャリーブチルカルボニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルカルボニル基を示す。
【0035】
「(C−C)アルコキシカルボニル基」とは、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ノルマルプロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ノルマルブトキシカルボニル基、ターシャリーブトキシカルボニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシカルボニル基を示す。
【0036】
「(C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基」とは、例えばメトキシイミノメチル基、エトキシイミノメチル基、ノルマルプロポキシイミノメチル基、イソプロポキシイミノエチル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシイミノ(C−C)アルキル基を示す。
【0037】
「(C−C30)トリアルキルシリル基」とはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等の直鎖又は分岐鎖状の総炭素原子数3〜30個のアルキルシリル基を示す。
【0038】
「ハロゲン原子により置換されていてもよいモノ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基とは、例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルホニルアミノ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のモノアルキルスルホニルアミノ基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のモノアルキルスルホニル基を示し、例えば、トリフルオロメチルスルホニル基等を示す。
【0039】
、R、R、Rが一緒になって形成される「(C−C)シクロアルカン」およびとR、R、R、R、R、Rが一緒になって形成される「(C−C)シクロアルカン」としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0040】
「(C−C)アルキレンオキシ基」としては、−CH−CH−O−、−CH−C(CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−CH−O−等が挙げられる。
【0041】
「ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキレンジオキシ基」としては、−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−O−等の炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基;及び同一又は異なってもよい1以上のハロゲン原子により置換された当該アルキレンジオキシ基を示し、例えば、−O−CF−O−、−O−CF−CF−O−、−O−CCl−O−等を示す。
【0042】
「ヘテロ環基」としては、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する5または6員の単環式芳香族ヘテロ環基又は3ないし6員の単環式非芳香族ヘテロ環基、並びに該単環式の芳香族又は非芳香族ヘテロ環がベンゼン環と縮合した縮合ヘテロ環基、又は該単環式の芳香族又は非芳香族ヘテロ環同士(ヘテロ環は異なっていてもよい)が縮合した縮合ヘテロ環基が挙げられる。
【0043】
「芳香族ヘテロ環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル等の単環式芳香族ヘテロ環基;キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、ピロロピラジニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピラジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロチエニル、ピラゾロトリアジニル等の芳香族縮合ヘテロ環基等が挙げられる。
【0044】
「非芳香族ヘテロ環基」としては、例えば、オキシラニル、チイラニル、アジリジニル、オキセタニル、チエタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、イミダゾリニル、ジオキソリル、ジオキソラニル、ジヒドロオキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、チオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−オキシドテトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキシドテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフリル、ジオキサニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロトリアゾリル、テトラヒドロトリアゾリル等の単環式非芳香族ヘテロ環基;ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾジオキセピニル、テトラヒドロベンゾフラニル、クロメニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロフタラジニル等の非芳香族縮合ヘテロ環基等が挙げられる。
【0045】
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体の塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の無機酸塩類、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩類、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、トリメチルアンモニウム等の無機又は有機の塩基との塩類を例示することができる。
【0046】
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体において、好ましくは、Aが同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基;又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。Qは酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)アルキルカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示す。));又は−CR(R)−CR(R)−CR(R6)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。また、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ一緒になって(C−C)シクロアルカンを形成してもよい。)を示し、
【0047】
Eが水素原子;(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル基;又は(C−C)アルコキシカルボニル基を示し、Xが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルチオ基を示し、mが1又は2を示し、
【0048】
Yが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルケニルオキシ基;ハロゲン原子により置換されていてもよいモノ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基;ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいフェノキシ基;ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環基;又はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基、ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環オキシ基を示し、nが0〜3の整数を示し、また、nが2又は3である場合において、隣り合う2つのYが一緒になって(C−C)アルキレンオキシ基又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキレンジオキシ基を示すことができ、
Zが窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す化合物であり、
【0049】
更に好ましくは、Aが同一又は異なってもよく、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基で置換されていてもよい(C−C)アルキレン基;−CR(R)−CR(R)−Q−(式中、R、R、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基;又は(C−C)シクロアルキル基を示す。Qは酸素原子又は硫黄原子を示す。);又は−CR(R)−CR(R)−CR(R6)−Q−(式中、R、R、R、R及びQは前記に同じくし、R及びRは同一又は異なってもよく、水素原子;(C−C)アルキル基;又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示し、
【0050】
Eが水素原子を示し、Xが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;又はハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基を示し、mが1を示し、Yが同一又は異なってもよく、ハロゲン原子;ハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキル基を示し、nが1〜3の整数を示し、Zが窒素原子;CH;又はCY(Yは前記に同じ。)を示す化合物である。
【0051】
本発明の一般式(I)で表される化合物は公知化合物であり、特開平01−151546号公報、国際公開第2007/060162号パンフレット、特開昭53−9739号公報、及び国際公開第2007/108483号パンフレット、国際公開第2008/101975号パンフレット、国際公開第2008/101976号パンフレット、国際公開第2008/003745号パンフレット、国際公開第2008/003746号パンフレット、国際公開第2009/012998号パンフレット、国際公開第2009/127718号パンフレット、国際公開第2010/106071号パンフレットに記載の製造方法、若しくは新実験化学講座14(丸善、昭和52年12月20日発行)に記載された方法、又はそれらの方法に準じた方法等によって製造できる。
【0052】
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体の代表例を第1表に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。第1表において、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「Ph」はフェニル基を、「c−」はシクロ、「i−」はイソ、「t−」はターシャリーを示す。なお、物性は融点(℃)を示す。
【0053】
第1表中、物性欄に「Paste」と記載した化合物についてはそのHNMRスペクトルデータを第5表に示した。またQ〜Qは、下記に記載の構造を示す。
【0054】
【化2】

【0055】
【化3】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【化4】
【0060】
【表5】
【0061】
【化5】
【0062】
【表6】
【0063】
【化6】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
本発明の内部寄生虫防除剤は、優れた抗内部寄生虫効果を示し、内部寄生虫に対して的確な防除効果を発揮する。本発明の内部寄生虫防除剤が適用できる動物とは、ヒト、ヒト以外の哺乳類又は鳥類に属する動物である。ヒト以外の哺乳類としては、例えば、豚、馬、牛、羊、山羊、兎、ラクダ、水牛、鹿、ミンク、チンチラなどの家畜、犬、猫、小鳥、猿などのペット、ラット、マウス、ゴールデンハムスター、モルモットなどの実験動物等が挙げられ、鳥類としては、鶏、カモ、合鴨、ウズラ、アヒル、ガチョウ、七面鳥などの家禽が挙げられる。
【0066】
本発明の内部寄生虫防除剤が有効な、ヒトに寄生する内部寄生虫は、原虫類及び蠕虫類に大別される。原虫類としては、例えば、赤痢アメーバなどのアメーバ類(Rhizopoda)、リーシュマニア、トリパノソーマ、トリコモナス等の鞭毛虫類(Mastigophora)、マラリア原虫、トキソプラズマなどの胞子虫類(Sporozoea)、大腸バランチジウムなどの繊毛虫類(Ciliophora)が挙げられ、蠕虫類としては、例えば、蛔虫、アニサキス、イヌ蛔虫、毛様線虫、蟯虫、鉤虫(ズビニ鉤虫、アメリカ鉤虫、ブラジル鉤虫など)、住血線虫、顎口虫、糸状虫(フィラリア、バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫など)、回施糸状虫(オンコセルカ)、メジナ虫、施毛虫、糞線虫などの線虫類(Nematoda)、大鉤頭虫などの鉤頭虫類(Acannthocephala)、ハリガネムシなどの鉄線虫類(Gordiacea)、チスイビルなどのヒル類(Hirudinea)、日本住血吸虫、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、肝吸虫、異形吸虫、蛭状吸虫、肺吸虫などの吸虫類(Trematoda)、広節烈頭条虫、マンソン狐虫、芽殖狐虫、大複殖門条虫、テニア属条虫、(無鉤条虫、有鉤条虫、包虫(エキノコックス)など)、模様条虫、瓜実条虫、有線条虫、サル裸頭条虫、ニベリン条虫などの条虫類(Cestoda)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の内部寄生虫防除剤が有効な、ヒト以外の哺乳類又は鳥類に属する動物に寄生する内部寄生虫は、原虫類及び蠕虫類に大別される。原虫類としては、アピコンプレックス類(Apicomplexa)として、コクシジウム(Eimeria)、イソスポラ(Isospora)、トキソプラズマ(Toxoplasma)、ネオスポラ(Neospora)、サルコシスチス(Sarcocystis)、ベスノイチア(Besnoitia)、ハモンディア(Hammondia)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、カリオスポラ(Caryospora)などのコクシジウム類(Cocidia)、ロイコチトゾーン(Leucocytozoon)、マラリア原虫(Plasmodium)などの住血胞子虫類(Haemosporina)、ピロプラズマ(Theileria)、アナプラズマ(Anaplasma)、エペリスロゾーン(Eperythrozoon)、ヘモバルトネラ(Heamobartonella)、エールリッヒア(Rhrlichia)などのピロプラズマ類(Piroplasma)など、その他のアピコンプレックス類として、ヘパトゾーン(Hepatozoon)、ヘモグリガリナ(Haemogregarina)など、微胞子虫類(Microspora)として、エンケファリトゾーン(Encephalitozoon)、ノセマ(Nosema)など、鞭毛虫類(Mastigophora)として、トリパノソーマ(Trypanosoma)、リーシュマニア(Leishmania)などのトリパノソーマ類(Trypanosimatina)、キロマスティクス(Chilomastix)、トリコモナス(Tritrichomonas)、モノセルコモナス(Monocercomonas)、ヒストモナス(Histomonas)などのトリコモナス類(Trichomonadida)、ヘキサミタ(Hexamita)、ジアルジア(Giardia)、などのディプロモナス類(Diplomonadida)、肉質虫類(Sarcodina)として、赤痢アメーバ(Entamoeba)などのアメーバ類など、繊毛虫類(Ciliophora)として、大腸バランチジウム(Balantidium)、バクストネラ(Buxtonella)、ルーメン内繊毛虫(Entodinium)など、
【0068】
蠕虫類としては、例えば、線虫類として、豚蛔虫(Ascaris)、犬蛔虫および猫蛔虫(Toxocara)、犬小蛔虫(Toxascaris)、馬蛔虫(Parascaris)、鶏蛔虫(Ascaridia)、鶏盲腸虫(Heterakis)、アニサキス(Anisakis)などの回虫類(Ascarida)、馬蟯虫(Oxyuris)、ウサギ蟯虫(Passalurus)などの蟯虫類(Oxyurida)、馬円虫(Strongylus)、捻転胃虫(Haemonchus)、牛のオクテルターグ胃虫(Ostertagia)、蛇状毛様線虫(Trichostrongylus)、点状毛様線虫(Cooperia)、細頸毛様線虫(Nematodirus)、紅色毛様線虫(Hystrongylus)、牛腸結節虫(Oesophagostomum)、大口腸線虫(Chabertia)、犬鉤虫(Ancylostoma)、狭頭鉤虫(Uncinaria)、アメリカ鉤虫(Necator)、牛鉤虫(Bunostomum)、牛肺虫(Dictyocaulus)、豚肺虫(Metastrongylus)、犬肺虫(Filaroides)、猫肺虫(Aelurostrongulus)、広東住血線虫(Angiostrongylus)、気管開嘴虫(Syngamus)、豚腎虫(Stephanurus)などの円虫類(Strongylida)、糞線虫(Strongyloides)、ミクロネマ(Micronema)などの桿線虫類(Rhabditida)、ロデシア眼虫(Thelazia)、マンソン眼虫(Oxyspirura)、血色食道虫(Spirocerca)、美麗食道虫(Gongylonema)、大口馬胃虫(Draschia)、小口馬胃虫(Habronema)、類円豚胃虫(Ascarops)、猫胃虫(Physaloptera)、有棘顎口虫(Gnathostoma)などの旋尾線虫類(Spirurida)、犬糸条虫(Dirofilaria)、馬糸条虫(Setaria)、ディペタロネマ(Dipetalonema)、多乳頭糸状虫(Parafilaria)、頸部糸状虫(Onchocerca)などの糸状虫類(Filariida)、パラフィラリア(Parafilaria)、沖縄糸状虫(Stephanofilaria)、犬鞭虫(Trichuris)、牛毛細線虫(Capillaria)、ネズミ膀胱毛細線虫(Trichosomoides)、旋毛虫(Trichinella)、腎虫(Dioctophyma)などのエノプリダ類(Enoplida)など、吸虫類として、肝蛭(Fasciola)、肥大吸虫(Fasciolopsis)などの肝蛭類(Fasciolata)、平腹双口吸虫(Homalogaster)などの双口吸虫類(Paramphistomatidae)、膵蛭(Eurytrema)、槍形吸虫(Dicrocoelium)などの二腔吸虫類(Dicrocoelata)、壺形吸虫(Pharyngostomum)、アラリア(Alaria)などの重口吸虫類(Diplostomata)、浅田棘口吸虫(Echinostoma)、エキノカスムス(Echinochasmus)、などの棘口吸虫類(Echinostomata)、肺吸虫(Paragonimus)、サケ中毒吸虫(Nanophyetus)などの住胞吸虫類(Troglotrematoidea)、肝吸虫(Clonorchis)などの後睾吸虫類(Opisthorchiida)、異形吸虫(Heterophyes)、横河吸虫(Metagonimus)などの異形吸虫類(Heterophyida)、鶏卵吸虫(Prosthogonimus)などの斜睾吸虫類(Plagiorchiida)、日本住血吸虫(Schistoma)などの住血吸虫類(Schistosoma)など、条虫類として、日本海裂頭条虫(Diphyllobothrium)、マンソン裂頭条虫(Spirometra)などの擬葉類(Pseudophylidea)、葉状条虫(Anoplocephara)、乳頭条虫(Paranoplocephala)、ベネデン条虫(Moniezia)、犬条虫(Dipylidium)、有線条虫(Mesocestoides)、豆状条虫、胞状条虫(Tenia)、猫条虫(Hydatigera)、多頭条虫(Multiceps)、単包条虫(Echinococcus)、多包条虫(Echinococcus)、有鉤条虫(Taenia)、無鉤条虫(Taeniarhynchus)、縮小条虫(Hymenolepis)、小形条虫(Vampirolepis)、方形条虫(Raillietina)、楔形条虫(Amoebotaenia)などの円葉類(Cyclophyllidea)など、鉤頭虫類として、犬鉤頭虫(Macracanthorhynchus)、鎖状鉤頭虫(Moniliformis)など、舌虫類として、犬舌虫(Linguatula)など、その他種々の寄生虫が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
更に蠕虫類として別呼称では、例えば、線虫類のエノプリダ属(Enoplida)として、鞭虫種(Trichuris spp.)、カピラリア種(Capillaria spp.)、トリコモソイデス種(Trichomosoides spp.)、トリキネラ種(Trichinella spp.)などが挙げられ、ラブディティア属(Rhabditia)として、例えば、ミクロネマ種(Micronema spp.)及びストロンギロイデス種(Strongyloides spp.)などが挙げられ、ストロンギリダ属(Strongylida)として、例えば、ストロニルス種(Stronylus spp.)、トリオドントホルス種(Triodontophorus spp.)、オエソファゴドントウス種(Oesophagodontus spp.)、トリコネマ種(Trichonemaspp.)、ジアロセファルス種(Gyalocephalus spp.)、シリンドロフアリンクス種(Cylindropharynx spp.)、ポテリオストムム種(Poteriostomum spp.)、シクロコセルクス種(Cyclococercus spp.)、シリコステファヌス種(Cylicostephanus spp.)、オエソファゴストムム種(Oesophagostomum spp.)、カベルチア種(Chabertia spp.)、ステファヌルス種(Stephanurus spp.)、鉤虫種(Ancylostoma spp.)、有鉤虫種(Uncinaria spp.)、ブノストムム種(Bunostomum spp.)、グロボセファルス種(Globocephalus spp.)、シンガムス種(Syngamus spp.)、シアトストマ種(Cyathostoma spp.)、メタストロンギルス種(Metastrongylus spp.)、ジクチオカウルス種(Dictyocaulus spp.)、ムエレリウス種(Muellerius spp.)、プロトストロンギルス種(Protostrongylus spp.)、ネオストロンギルス種(Neostrongylus spp.)、シストカウルス種(Cystocaulus spp.)、ニューモストロンギルス種(Pneumostrongylus spp.)、スピコカウルス種(Spicocaulus spp.)、エラフォストロンギルス種(Elaphostrongylus spp.)、パレラフォストロンギルス種(Parelaphostrongylus spp.)、クレノソマ種(Crenosoma spp.)、パラクレノソマ種(Paracrenosoma spp.)、アンジオストロンギルス種(Angiostrongylus spp.)、アエルロストロンギルス種(Aelurostrongylus spp.)、フィラロイデス種(Filaroides spp.)、パラフィラロイデス種(Parafilaroides spp.)、トリコストロンギルス種(Trichostrongylus spp.)、ヘモンクス種(Haemonchus spp.)、オステルタギア種(Ostertagia spp.)、マーシャラギア種(Marshallagia spp.)、クーペリア種(Cooperia spp.)、ネマトディルス種(Nematodirus spp.)、ヒオストロンギルス種(Hyostrongylus spp.)、オベリスコイデス種(Obeliscoides spp.)、アミドストムム種(Amidostomum spp.)及びオルラヌス種(Ollulanus spp.)などが挙げられ、
【0070】
蟯虫属(Oxyurida)として、例えば、オキシウリス種(Oxyuris spp.)、エンテロビウス種(Enterobius spp.)、パサルルス種(Passalurus spp.)、サイファシア種(Syphacia spp.)、アスピキュルリス種(Aspiculuris spp.)及びヘテラキス種(Heterakis spp.)などが挙げられ、蛔虫科(Ascaridia)として、例えば、アスカリス種(Ascaris spp.)、トキサスカリス種(Toxascaris spp.)、トキソカラ種(Toxocara spp.)、パラスカリス種(Parascaris spp.)、アニサキス種(Anisakis spp.)及びアスカリディア種(Ascaridia spp.)などが挙げられ、スピルリダ属(Spiruride)として、例えば、顎口虫種(Gnathosma spp.)、フィサロプテラ種(Physaloptera spp.)、テラジア種(Thelazia spp.)、ゴンギロネマ種(Gongylonema spp.)、ハブロネマ種(Habronema spp.)、パラグロネマ種(Parabronema spp.)、ドラシア種(Draschia spp.)及びドラクンクルス種(Dracunculus spp.)などが挙げられ、フィラリイダ属(Filariida)として、例えば、ステファノフィラリア種(Stephanofilaria spp.)、パラフィラリア種(Parafilaria spp.)、セタリア種(Setaria spp.)、ロア種(Loa spp.)、デイロフィラリア種(Dirofilaria spp.)、リトモソイデス種(Litomosoides spp.)、ブルギア種(Brugia spp.)、ウチエレリア種(Wuchereria spp.)、オンコセルカ種(Onchocerca spp.)などが挙げられ、
【0071】
鉤頭虫類 (Acanthocephala)として、例えば、フィリコリス種(Filicollis spp.)、モニリホルミス種(Moniliformis spp.)、マクラカントルヒンクス種(Macracanthorhynchus spp.)、プロステノルチス種(Prosthenorchis spp.)などが挙げられ、吸虫類の単生類(Monogenea)の亜綱として、例えば、ジロダクチルス種(Gyrodactylus spp.)、ダクチロギルス種(Dactylogyrus spp.)及びポリストマ種(Polystoma spp.)などが挙げられ、二生類の亜綱として、例えば、ディプロストムム種(Diplostomum spp.)、ポストディプロストムム種(Posthodiplostomum spp.)、住血吸虫種(Schistosoma spp.)、トリコビルハルジア種(Trichobilharzia spp.)、オルニトビルハルジア種(Ornithbilharzia spp.)、オーストロビルハルジア種(Austrobilharzia spp.)、ジガントビルハルジア種(Gigantobilharzia spp.)、ロイコクロリジウム種(Leucochloridium spp.)、ブラキライマ種(Brachylaima spp.)、棘口吸虫種(Echinostoma spp.)、エノキパリフィウム種(Echinoparyphium spp.)、エノキカスムス種(Echinochasmus spp.)、ヒポデレウム種(Hypoderaeum spp.)、ファスキオラ種(Fasciola spp.)、ファスキオリデス種(Fasciolides spp.)、肥大吸虫種(Fasciolopsis spp.)、シクロコエルム種(Cyclocoelum spp.)、チフロコエルム種(Typhlocoelum spp.)、パラムフィストムム種(Paramphistomum spp.)、カリコフオロン種(Calicophoron spp.)、コチロホロン種(Cotylophoron spp.)、ジガントコチレ種(Gigantoctyle spp.)、フィスコエデリウム種(Fischoederius spp.)、ガストロチラクス種(Gastrothylacus spp.)、ノトコチルス種(Notocotylus spp.)、カタトロピス種(Catatropis spp.)、プラジオルキス種(Plagiorchis spp.)、プロストゴニムス種(Prosthogonimus spp.)、ジクロコエリウム種(Dicrocoelium spp.)、ユーリトレマ種(Eurytema spp.)、トログロトレマ種(Troglotrema spp.)、肺吸虫種(Paragonimus spp.)、コリリクルム種(Collyriclum spp.)、ナノフィエトウス種(Nanophyetusspp.)、オピストルキス種(Opisthorchis spp.)、クロノルキス種(Clonorchis spp.)、メトルキス種(Metorchis spp.)、異形吸虫種(Heterophyes spp.)及びメタゴニムス種(Metagonimus spp.)などが挙げられ、
【0072】
条虫類の擬葉目(Pseudophyllidea)として、例えば、裂頭条虫属種(Diphyllobothrium spp.)、スピロメトラ種(Spirometra spp.)、シストセファルス種(Schistocephalus spp.)、リグラ条虫種(Ligula spp.)、ボトリジウム種(Bothridium spp.)及び大複殖門条虫種(Diplogonoporus spp.)が挙げられ、円葉目(Cyclophyllidea)として、例えば、メソセストイデス種(Mesocestoides spp.)、裸頭条虫種(Anoplocephala spp.)、パラノプロセフアラ種(Paranoplocehala spp.)、モニエジア種(Moniezia spp.)、チサノソムサ種(Thysanosomsa spp.)、チサニエジア種(Thysaniezia spp.)、アビテリナ種(Avitellina spp.)、ステレシア種(Stilesia spp.)、シトテニア種(Cittotaenia spp.)、アンディラ種(Andyra spp.)、ベルチエラ種(Bertiella spp.)、チーニア種(taenia spp.)エキノコッカス種(Echinococcus spp.)、ヒダチゲラ種(Hydatigera spp.)、ダヴェネア種(Davainea spp.)、方形条虫種(Raillietina spp.)、模様条虫種(Hymenolepis spp.)、エキノレビス種(Echinolepis spp.)、エキノコチレ種(Echinocotyle spp.)、ジオルキス種(Diorchis spp.)、ジピリジウム種(Dipylidium spp.)、ジョイオイキシェラ種(Joyeuxiella spp.)及びジプロピリジウム種(Diplopylidium spp.)などの種に属する寄生虫や、その他鉤頭虫類、舌虫類に属する種々の寄生虫が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
本発明の内部寄生虫防除剤は、中間宿主及び終宿主の体内に生息する寄生虫だけでなく、保虫宿主生体内の寄生虫にも効果を発現する。また、本発明の一般式(I)で表される化合物は、寄生虫のすべての発育段階に於いて効果を発現する。例えば、原虫類では嚢子、前被嚢型、栄養型或いは無性生殖期の分裂体、アメーバ体、有性生殖期の生殖母体、生殖体、融合体、胞子体などである。線虫類では、卵、幼虫、成虫である。更に、本発明に係わる化合物は、生体内の寄生虫を駆除するだけでなく、感染経路となる環境中に施用する事で予防的に寄生虫の感染を防ぐことが可能である。たとえば、畑、公園の土壌からの土壌伝播感染、河川、湖沼、湿地、水田などの水系からの経皮感染、イヌ、ネコ等の動物の糞からの経口的感染、海水魚、淡水魚、甲殻類、貝類、家畜の生肉などからの経口的感染、蚊、アブ、ハエ、ゴキブリ、ダニ、ノミ、シラミ、サシガメ、ツツガムシ等からの感染などを未然に予防することが可能である。
【0074】
本発明の内部寄生虫防除剤は、ヒト、ヒト以外の哺乳類又は鳥類に属する動物の医薬品として寄生虫症の治療または予防の目的で投与することが可能である。投与方法は、経口投与または非経口投与のいずれも可能である。経口投与の場合は、例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ、腸溶剤、懸濁剤、ペースト或いは動物用の液体飲料または飼料中に配合することにより、投与することが可能である。非経口投与の場合は、例えば、注射剤、点滴剤、座薬、乳剤、懸濁剤、滴下剤、軟膏剤、クリーム剤、液剤、ローション剤、スプレー剤、エアゾル剤、パップ剤、テープ剤として、粘膜または経皮吸収が維持できるような剤型で投与される。
【0075】
本発明の内部寄生虫防除剤をヒト、ヒト以外の哺乳類又は鳥類に属する動物の医薬品として使用する場合、有効成分の最適量(有効量)は治療または予防の別、感染寄生虫の種類、感染の型及び程度、剤型などにより変化するが、一般に経口投与の場合は、1日当たり約0.0001から10000mg/kg体重の範囲である。非経口投与の場合は、1日当たり約.0001から10000mg/kg体重の範囲であり、単回或いは分割して投与される。
【0076】
本発明の内部寄生虫防除剤中の有効成分の濃度は、一般に0.001〜100質量%、好ましくは0.001〜99%、更に好ましくは0.005〜20質量%程度である。本発明の内部寄生虫防除剤は、そのまま投与する組成物でもよく、使用時に適当な濃度に希釈して使用される高濃度な組成物でもよい。
【0077】
また、本発明の内部寄生虫防除剤の効果を補強又は補完する目的で既存の内部寄生虫防除剤を併用することもできる。併用にあたっては投与前に2種以上の有効成分を混合した製剤でもよく、異なる2種以上の製剤を別々に投与してもよい。
【実施例】
【0078】
次に本発明の内部寄生虫防除剤の製剤例及び試験例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、以下の製剤例及び試験例により本発明の範囲は何ら限定されるものではない。
【0079】
製剤例 1 (乳剤)
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体を10部、ソルポール355S(東邦化学製、界面活性剤)6部、ソルベッソ150(エクソン製)84部、以上を均一に攪拌混合して乳剤を得る。
【0080】
製剤例 2 (軟膏剤)
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体を1部、サラシミツロウ50部、白色ワセリン49部を十分混合し軟膏剤を得る。
【0081】
製剤例 3 (錠剤)
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体を2部、植物油(オリーブ湯)10部、結晶セルローズ3部、ホワイトカーボン20部、カオリン65部を十分混合し、打錠し錠剤を得る。
【0082】
製剤例 4 (注射剤)
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体を10部、食品添加物用プロピレングリコール10部、植物油(コーンオイル)80部を混合し注射剤を得る。
【0083】
製剤例 5 (液剤)
本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体を5部、界面活性剤20部、イオン交換水75部を十分混合し液剤を得る。
【0084】
試験例1 (ブタ回虫ミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素阻害活性の測定 in vitro試験)
50mM リン酸カリウム pH7.4 −0.1%(w/v)スクロースモノラウレート 溶液に電子受容体であるユビキノン−2(UQ)を終濃度60マイクロMを加えて25℃で20分静置した。これにシアン化カリウムを(終濃度2mM) を添加し、ブタ回虫成虫の筋肉より調製したミトコンドリアを加えてよく混和し、そこに種々の濃度の阻害剤を加えて、25℃で3分間放置した。コハク酸カリウム(終濃度10mM) の添加により酵素反応を開始し、UQの吸光度変化 (ε=1.5×10-1cm-1)を278nmで測定することにより酵素活性を算出し、阻害剤の濃度と阻害の度合いからIC50を求めた。
【0085】
試験例2 (ブタミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素阻害活性の測定 in vitro試験)
50mM リン酸カリウム pH7.4 − 0.1%(w/v)スクロースモノラウレート 溶液に電子受容体であるユビキノン−2(UQ)を終濃度60マイクロMで加えて25℃で20分静置した。これにシアン化カリウムを(終濃度2mM) を添加し、ブタ心臓の筋肉より調製したミトコンドリアを加えてよく混和し、そこに種々の濃度の阻害剤を加えて、25℃で3分間放置した。コハク酸カリウム(終濃度10mM) の添加により酵素反応を開始し、UQの吸光度変化 (ε=1.5×10-1cm-1)を278nmで測定することにより酵素活性を算出し、阻害剤の濃度と阻害の度合いからIC50を求めた。
【0086】
結果を第5表に示す。なお、表中「−」は試験未実施を示し、Ascaris sunm IC50値(A)はブタ回虫のミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素阻害活性に対するIC50値(50%阻害濃度)を示し、この呼吸系の酵素を阻害することにより寄生虫防除活性を予測することができる。ブタミトコンドリアIC50値(B)は宿主であるブタミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素阻害活性に対するIC50値を示し、この呼吸系の酵素を阻害することにより宿主に対する影響を予測することができる。選択性B/Aはその数値が大きいほど宿主に対する安全性が高いことを示す。
【0087】
【表9】
【0088】
第5表の結果から、本発明の一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体及びその塩類は、寄生虫のミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素に対し強い阻害活性(IC50値で127nMから1.21nM)を)を示し、一方、宿主であるブタミトコンドリア複合体IIのコハク酸-ユビキノン酸化還元酵素活性に対してはほとんど影響がない(1,000倍以上の選択性)。よって、本発明の内部寄生虫防除剤は、高い寄生虫防除活性を有するとともに宿主に対する安全性に優れていることがわかる。
【0089】
試験例3 (捻転胃虫 Haemonchus contortusに対する活性 in vivo試験)
幼虫移動阻害試験(LIMA法:Larval migration inhibition assays,Demeler ら, 2010年)に準じて試験を行った。捻転胃虫(Haemonchus contortus)の3期幼虫が20マイクロLあたり100〜120頭になるように幼虫懸濁液を調整し、飼育プレート上の各ウェルに所定濃度に調整した薬液1780マイクロL中に20マイクロLを加えた。飼育プレートを28℃で24時間保持・飼育した。一方、幼虫移動観察用プレートに400マイクロLの1.5%寒天を入れて凝固させ、飼育プレートから幼虫移動観察用プレートに篩を通して幼虫を移動させ、さらに28℃で24時間保持・飼育した。移動した幼虫および移動しなかった幼虫を計数し、移動阻害率を算出し、下記の基準で活性順位を表した。1区2連制、結果を第7表に示す。なお、表中「−」は試験未実施を表す。

移動阻害率:70−100%・・・・A
40− 69%・・・・B
10− 39%・・・・C
10% 未満・・・・D
【0090】
【表10】
【0091】
第7表の結果から、in vitro試験において強い活性を示した化合物は、in vivo試験においても強い活性を示し、本願化合物が内部寄生虫防除剤として有効であることがわかる。