(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(b)段階で製造されたナノシード粒子は、冷却段階、洗浄段階及び乾燥段階のうち選択される一つ以上の段階を経る請求項1に記載の炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
前記(a)段階、(b)段階または(c)段階で炭素コーティングのための有機化合物を添加する段階をさらに含む請求項1に記載の炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
前記(b)段階は、トリエタノールアミン(triethanolamine)の沸点以下の温度で進められる請求項1に記載の炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
前記有機化合物は、グルコース、スクロース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、澱粉、マンノース、リボース、アルドヘキソース及びケトヘキソースからなる群より選択される1または2以上の混合物である請求項3に記載の炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
前記有機化合物は、前記(b)段階で製造されたリチウムリン酸鉄ナノシードの全体重量を基準に0.1〜5wt%で添加される請求項3に記載の炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するに伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。このような二次電池のうち高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が常用化されて広く用いられている。
【0003】
従来のリチウム二次電池は、正極活物質の主成分としてリチウム含有コバルト酸化物(LiCoO
2)を用いたが、前記リチウム含有コバルト酸化物は安定性が低く高価であるため、リチウム二次電池を大量に生産し難いとの問題点があった。
【0004】
最近では、リチウム対比〜3.5V電圧、3.6g/cm
3の高い容積密度、170mAh/gの理論容量を有するとともに、コバルトに比べて高温安定性に優れるだけでなく、価格もまた低廉なリチウムリン酸鉄(LiFePO
4)化合物がリチウム二次電池の正極活物質として脚光を浴びている。
【0005】
前記リチウムリン酸鉄化合物の製造方法としては、固相法または水熱合成法及び超臨界水法などの液相法が知られており、最近にはエチレングリコールまたはジエチレングリコールなどの非水溶液を反応溶媒とするグリコサーマル(glycothermal)方法が開発されている。前記水熱合成法及び超臨界水法の場合、リチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造時に高温/高圧で反応が進められるため安全性に問題があり、前記グリコサーマル方法によって製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末は、粒子の大きさ及び粒度分布を制御し難いとの問題点があった。
【0006】
一方、前記リチウムリン酸鉄は、リチウムを含む他の正極活物質等に比べて電気伝導度が相対的に低いとの問題点がある。詳しくは、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)は、電気伝導度が10
-4S/cm、リチウムマンガン酸化物(LiMn
2O
4)は10
-5S/cmであるのに比べて、リチウムリン酸鉄は電気伝導度が10
-9S/cmで10,000倍以上小さい。よって、このようなリチウムリン酸鉄材料自体の低い電気伝導度を補完するため、正極材粒子をナノメートルの大きさに小さくしなければならず、電気伝導度の増進のために正極材粒子の表面に電気伝導度の良好な伝導性層を形成させる必要性がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0015】
本発明では、リチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造において、リチウムリン酸鉄ナノシード粒子を先ず製造した後、前記ナノシード粒子を熱処理する二段階の簡単な工程によって、粒子の大きさ及び粒度分布が制御されながら、粒子上に炭素コーティング層が形成されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を短時間に製造できるようになる。
【0016】
本発明の目的を達成するための一実施形態で、(a)トリエタノールアミン(triethanolamine)溶媒にリチウム前駆体、鉄前駆体及びリン前駆体を入れて混合溶液を製造する段階;(b)前記混合溶液を反応器内に投入して反応させ、非晶質のリチウムリン酸鉄ナノシード(seeds)を製造する段階;及び(c)前記製造されたリチウムリン酸鉄ナノシードを熱処理して粒子の表面に炭素が一部または全体にコーティングされたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を製造する段階;を含む炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法を提供する。
【0017】
本発明のさらに他の一実施形態で、前記(b)段階で製造されたナノシード粒子は冷却段階、洗浄段階及び乾燥段階のうち選択される一つ以上の段階を経ることができる。
【0018】
以下、本発明を段階別に詳しく説明する。
【0019】
混合溶液の製造段階(段階a)
先ず、リチウム前駆体、鉄前駆体及びリン前駆体を準備し、これを反応溶媒であるトリエタノールアミン(triethanolamine)に入れて均一な混合溶液を製造する。
【0020】
前記投入されるリチウム前駆体は、リチウムアセテートジハイドレート(CH
3COOLi・2H
2O)、リチウムヒドロキシドモノハイドレート(LiOH・H
2O)、リチウムヒドロキシド(LiOH)、リチウムカーボネート(Li
2CO
3)、リチウムホスフェート(Li
3PO
4)、リチウムホスフェートドデカハイドレート(Li
3PO
4・12H
2O)及びリチウムオキサレート(Li
2C
2O
4)からなる群より選択される1または2以上の混合物であり得る。
【0021】
前記投入される鉄前駆体は、クエン酸第二鉄(FeC
6H
5O
7)、クエン酸第二鉄水和物(FeC
6H
5O
7・nH
2O)、硫酸第一鉄七水和物(FeSO
4・7H
2O)、シュウ酸鉄二水和物(FeC
2O
4・2H
2O)、鉄アセチルアセトネート(Fe(C
5H
7O
2)
3)、リン酸第二鉄二水和物(FePO
4・2H
2O)及び水酸化第二鉄(FeO(OH))からなる群より選択される1または2以上の混合物であり得る。
【0022】
前記投入されるリン前駆体は、トリ-アンモニウムホスフェートトリハイドレート((NH
4)
3PO
4・3H
2O)、アンモニウムホスフェート((NH
4)
2HPO
4)、アンモニウムジハイドロジェンホスフェート(NH
4H
2PO
4)、及びリン酸(H
3PO
4)からなる群より選択される1または2以上の混合物であり得る。
【0023】
一方、前記混合溶液を製造する際に、リチウム、鉄及びリン前駆体の投入割合は特に制限されないが、例えば0.1〜10:1:0.1〜10に該当するモル比で投入され得る。
【0024】
また、反応溶媒であるトリエタノールアミン(triethanolamine)の量を1重量部を基準にしたとき、約0.005から10重量部の鉄前駆体が投入されてもよく、リチウム前駆体及びリン前駆体は前記鉄前駆体に対応する前記モル比で投入されてよい。
【0025】
前記混合溶液を製造する際に、リチウム、鉄及びリン前駆体等が反応溶媒であるトリエタノールアミン(triethanolamine)内に均一に分散されるように撹拌する段階をさらに含むことができる。
【0026】
一方、本発明での反応溶媒は、非水溶液として沸点が比較的高いトリエタノールアミン(triethanolamine)であり得る。
【0027】
前記トリエタノールアミン(triethanolamine)の沸点は約290℃程度である。
【0028】
一方、リチウムリン酸鉄ナノ粉末は、約150℃以上の温度条件で合成され得るものと確認され、前記リチウムリン酸鉄粉末の前駆体であるナノシード粒子は約120℃以上の温度条件で合成され得るものと確認された。
【0029】
すなわち、本発明ではリチウムリン酸鉄ナノ粉末の合成のために優先的にナノシード粒子を製造し、前記のような反応溶媒を用いる場合、シード粒子が約120〜335℃近傍で合成され得るので、(b)段階が反応溶媒の沸点(335℃)以下の温度においても反応を進めさせ得るようになり、これによって反応溶媒が気化される程度が少なくなる。これによって、反応が進められる間に気化される溶媒による圧力上昇が、従来の水熱合成法などに比べて非常に少なくなる。これによって工程全般の安全性が向上する。
【0030】
また、前記トリエタノールアミン(triethanolamine)は非水溶液なので、還元剤を用いなくとも鉄の酸化問題を解決することができるとの長所がある。
【0031】
リチウムリン酸鉄ナノシード粒子の製造段階(段階b)
次に、前記混合溶液を反応器内に投入して反応させる。前記段階では、非晶質のリチウムリン酸鉄ナノシード(seeds)粒子が製造される。
【0032】
前記反応器は、当該技術分野においてリチウムリン酸鉄ナノ粉末を製造するために通常用いられる反応器を用いることができ、その種類は特に制限されない。例えば、開放型反応器または密閉型反応器であり得る。
【0033】
前記(b)段階は、前記用いられる反応溶媒の沸点以下の温度、例えば120〜335℃温度範囲で進められてよく、0.1〜48時間の間進められてもよい。
【0034】
一方、前記反応は、結晶化されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を合成するのではなく、この前駆体物質であるリチウムリン酸鉄ナノシードを合成するものであるため、長い結晶化時間が求められない。よって、前記シードを製造するための(b)段階の反応時間は短時間であるのが好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態で、前記反応溶媒としてトリエタノールアミンを用いる場合、前記(b)段階は120〜335℃の温度範囲で0.1〜24時間の間進められてよく、さらに詳しくは150〜335℃の温度範囲で0.1〜5時間の間進められてもよい。
【0036】
前記(b)段階を介して製造されたリチウムリン酸鉄ナノシード粒子は非晶質である。前記ナノシード粒子は、引続く熱処理過程(段階c)を介してリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子に結晶化できるものであれば特に制限されない。
【0037】
一方、前記リチウムリン酸鉄ナノシード粒子は、例えば50nm以下の粒子の大きさ(以下、粒径)を有し得る。
【0038】
一方、前記(b)段階で製造されたナノシード粒子は、冷却段階、洗浄段階及び乾燥段階のうち選択される一つ以上の段階を経る。
【0039】
例えば、前記製造されたナノシード粒子は先に冷却された後、アセトンとメタノールを順次用いて洗浄することができる。
【0040】
また、前記洗浄されたナノシード粒子は乾燥段階を経ることができ、前記乾燥段階で乾燥方法は特に制限されず、例えば20〜160℃の温度で2〜40時間の間進められてもよい。
【0041】
リチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造段階(段階c)
前記(b)段階を経て製造されたリチウムリン酸鉄ナノシード粒子を、非活性雰囲気下で熱処理すると、粒子の表面に炭素が一部または全体にコーティングされたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を製造することができる。
【0042】
前記熱処理は、400〜900℃の温度範囲で加熱して進められてよく、熱処理時間は特に制限されないが、例えば0.5〜5時間以内であり得る。
【0043】
一方、前記熱処理段階は非活性雰囲気下で進められてよく、例えば、アルゴン(Ar)または窒素(N
2)雰囲気下で進められてよい。
【0044】
前記(c)段階で製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末は、(b)段階で製造された非晶質のナノシードが前記熱処理によって結晶化されたものであって、前記結晶化によって粉末粒子として形成される。
【0045】
また、前記結晶化と同時に前記形成された粉末粒子の表面の一部または全体に炭素コーティング層が形成される。
【0046】
詳しくは、前記炭素コーティング層の前駆体は、粒子の表面に残留している用いられた反応溶媒であり得る。詳しくは、前記用いられた反応溶媒であるトリエタノールアミン(triethanolamine)が乾燥段階以後にも粒子の表面に一部残っていることがあり得るが、これらは400〜900℃の温度範囲で加熱される熱処理過程を介して炭化されることにより、粒子の表面に炭素コーティング層として形成されるものである。
【0047】
一方、前記炭素コーティング層の前駆体として別途の有機化合物が用いられてもよく、前記別途の有機化合物がリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子の表面に炭素コーティング層を形成するために投入される段階は特に制限されない。
【0048】
本発明の一実施形態で、前記有機化合物はリチウム前駆体、鉄前駆体、リン前駆体とともに溶媒に入れて混合溶液を製造する際に共に投入され得る。
【0049】
一方、さらに他の一実施形態で、前記有機化合物はリチウムリン酸鉄ナノシード粒子が形成された後に投入されてもよい。
【0050】
さらに進んで、さらに他の実施例では、前記形成されたリチウムリン酸鉄ナノシード粒子が洗浄及び乾燥段階を経た後にこれに投入されてもよく、前記(c)段階の熱処理時に投入されてもよい。
【0051】
前記有機化合物は特に制限されないが、例えばグルコース、スクロース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、澱粉、マンノース、リボース、アルドヘキソース、ケトヘキソース及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1または2以上の混合物であり得る。
【0052】
一方、前記投入される有機化合物は、前記ナノシード粒子の全体重量を基準に0.1〜5wt%に添加されるものであり得、前記範囲を超過して添加される場合、炭素コーティング層が不要に厚くなり得るとの問題点がある。
【0053】
前記段階を介して製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子の表面に形成される炭素コーティング層は、厚さが10nm以下に形成されてよく、例えば1〜5nm厚さで形成されてよい。
【0054】
リチウムリン酸鉄粉末は電気伝導度が低いため、製造された微細な大きさのリチウムリン酸鉄粉末粒子の一部の表面または全面に前記のように炭素コーティング層を形成する場合、リチウムリン酸鉄粉末の不足な電気伝導度を補完する効果がある。
【0055】
前記一連の段階を介して合成されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末粒子はオリビン構造を有し、粒子の表面の一部または全体に炭素コーティング層が形成されている。
【0056】
一方、前記製造される粒子の粒径及び粒度分布は、一次的に前記(b)段階の反応温度と反応時間及びリチウム前駆体、鉄前駆体、リン前駆体の種類を異にして制御することができ、二次的には前記(c)段階の熱処理温度と熱処理時間を介して制御することができる。一般的に、熱処理温度が高いか熱処理時間が長くなるとき、粒子が大きくなる。
【0057】
前記過程で製造される炭素がコーティングされたリチウムリン酸鉄ナノ粉末の粒子の大きさは特に制限されないが、例えば30〜300nmであり得、粒度分布もまた特に制限されないが、例えば粒径平均値の50%以下であり得る。
【0058】
リチウム二次電池の具現
さらに、本発明では前記オリビン結晶構造のリチウムリン酸鉄ナノ粉末を含む正極活物質を提供することができる。前記正極活物質としては、前記リチウムリン酸鉄粉末の外にも選択的に導電材、バインダ及び充填剤などをさらに含んで構成され得る。
【0059】
前記導電材は電池に化学的変化を誘発せず且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられ得る。
【0060】
前記導電材は、通常正極活物質を含む混合物全体重量を基準に1から30重量%で含まれ得る。
【0061】
前記バインダは活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合に助力する成分であれば特に制限されず、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0062】
前記バインダは、通常正極活物質を含む混合物全体重量を基準に1から30重量%で含まれ得る。
【0063】
前記充填剤は、電極の膨張を抑制する成分として選択的に用いられ得、当該電池に化学的変化を誘発しない繊維状材料であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が用いられ得る。
【0064】
また、本発明の一実施形態で、前記正極活物質が集電体上に塗布されているリチウム二次電池用正極を提供する。
【0065】
前記リチウム二次電池用正極は、例えば前記正極活物質を溶媒に溶解してスラリーを作製し、これを集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延して製造され得る。
【0066】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せずとも導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられ得る。
【0067】
一方、前記集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられ得る。
【0068】
また、本発明の一実施形態で、前記正極活物質を含む正極と、負極、分離膜、及びリチウム塩含有非水電解液で構成されたリチウム二次電池を提供することができる。
【0069】
前記負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質を含んでいる負極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、前記負極合剤には、必要に応じて、前記で説明したような導電材、バインダ、充填剤などの成分等が含まれ得る。
【0070】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず且つ高い導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられ得る。
【0071】
一方、前記集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられ得る。
【0072】
前記分離膜は正極と負極との間に介在され、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が用いられ得る。
【0073】
分離膜の気孔直径は一般的に0.01から10μmであり、厚さは一般的に5から300μmであり得る。
【0074】
前記分離膜は、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作製されたシートや不織布などが用いられ得る。
【0075】
電解質としてポリマーなどの固体電解質が用いられる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0076】
前記リチウム塩含有非水系電解液は、電解液とリチウム塩からなり、前記電解液としては非水系有機溶媒または有機固体電解質などが用いられる。
【0077】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1, 2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2-メチルテトラハイドロフラン、ジメチルスルホキシド、1, 3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、硝酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1, 3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラハイドロフラン誘導体、エーテル、ピロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられ得る。
【0078】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などが用いられ得る。
【0079】
前記リチウム塩は前記非水系電解質に溶解されやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10C
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4-フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが用いられ得る。
【0080】
また、電解液には充放電特性、難燃性などの改善を目的に、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N, N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されることもある。場合によっては、不燃性を付与するため、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもあり、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0081】
前記したように、本発明の炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末の製造方法は、非水溶液として新規の反応溶媒であるトリエタノールアミン(triethanolamine)を反応溶媒として用いることにより、従来の水熱合成法、超臨界水法及びグリコサーマル方法と比較するとき、相対的な低圧条件で反応を進めさせることができるようになり、これによって高温/高圧反応器を用いないため、工程の安全性と経済性を確保しながらも、均一な粒子の大きさを有する粒度分布が制御されたリチウムリン酸鉄ナノ粉末を容易に製造することができる。
【0082】
また、ナノシード粒子を先に製造した後、これを熱処理する簡単な二段階の工程だけでも、粒子の大きさ及び粒度分布が制御されたナノ粉末を製造するとともに、別途の熱処理段階なしで粒子上に炭素コーティング層を形成するようになるので、工程が経済的で且つ量産に有利な点がある。また、前記方法によって製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末は、不足な電気伝導度まで補完して正極活物質としての特性が改善されるので産業的に有用である。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明に係る実施例はいくつかの異なる形態に変形され得、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0084】
実施例1(1a、1b及び1c)
リチウムヒドロキシドハイドレート(LiOH・H
2O)2.52g、クエン酸第二鉄水和物(FeC
6H
5O
7・nH
2O)14.7g及びリン酸(H
3PO
4)5.88gをトリメタノールアミン300mlに入れて充分に撹拌させて混合溶液を製造した。
【0085】
充分に撹拌された前記混合溶液を500ml反応器に投入した後、220℃で50分の間反応させた。
【0086】
前記反応後に残っている反応液を冷却して、これをアセトン及びメタノールで順次洗浄した。
【0087】
洗浄が終わった後、真空乾燥器で生成物を乾燥させた。
【0088】
前記洗浄/乾燥が終わった後に得られた反応生成物をX線回折分光法及び電子顕微鏡を用いて分析した結果、前記反応生成物は非晶質のリチウムリン酸鉄ナノシード粒子であることが確認できた(
図1及び
図2参照)。
【0089】
次に、前記得られた非晶質のリチウムリン酸鉄ナノシード粒子をアルゴン(Ar)雰囲気の炉(furnace)で、それぞれ600℃(a)(実施例1a)、650℃(b)(実施例1b)、700℃(c)(実施例1c)で2時間の間熱処理した。
【0090】
前記熱処理で得られた生成物をX線回折分光法及び電子顕微鏡を用いて分析した結果、それぞれ直径が約30nmである均一な一次粒子(
図3(a)及び
図4(a)参照)(実施例1a)、直径が約70nmである均一な一次粒子(
図3(b)及び
図4の(b)参照)(実施例1b)、直径が約100nmである均一な一次粒子(
図3(c)及び
図4の(c)参照)(実施例1c)からなる炭素コーティングリチウムリン酸鉄ナノ粉末が得られたことを確認した。
【0091】
比較例1
リチウムヒドロキシドハイドレート(LiOH・H
2O)0.42g、クエン酸第二鉄水和物(FeC
6H
5O
7・nH
2O)2.45g及びリン酸0.98gをエチレングリコール50mlに入れて充分に撹拌させて混合溶液を製造した。
【0092】
充分に撹拌された前記混合溶液を100mLの高温/高圧水熱反応器に投入した後、210℃で18時間の間反応させた。
【0093】
前記反応後に残っている反応液を冷却して、これをアセトン及びメタノールで順次洗浄した。
【0094】
洗浄が終わった後、真空乾燥器で生成物を乾燥させた。
【0095】
前記洗浄/乾燥が終わった後に得られた反応生成物をX線回折分光法及び電子顕微鏡を用いて分析した結果、前記反応生成物は直径が200〜1000nmであるリチウムリン酸鉄粉末で、個別粒子が大きく、均一性の低い粒度分布を有する炭素コーティングされたリチウムリン酸鉄粉末が得られたことを確認した(
図5参照)。
【0096】
前記実施例及び比較例を介して確認できるように、本発明の方法によって製造されるリチウムリン酸鉄ナノ粉末は粒子の大きさが小さくて均一であり、粒度分布の特性に優れる。