特許第5974766号(P5974766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974766
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/08 20060101AFI20160809BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20160809BHJP
   C09J 131/04 20060101ALI20160809BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20160809BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20160809BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20160809BHJP
   B65D 73/02 20060101ALI20160809BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20160809BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20160809BHJP
   C09J 123/06 20060101ALN20160809BHJP
【FI】
   C09J123/08
   C09J11/08
   C09J131/04
   C09J7/02 Z
   C09K3/10 Z
   B65D65/40 D
   B65D73/02 B
   B65D77/20 K
   B65D85/38 M
   !C09J123/06
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-208464(P2012-208464)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-25047(P2014-25047A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年8月13日
(31)【優先権主張番号】特願2011-207858(P2011-207858)
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-141110(P2012-141110)
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森下 功
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−35645(JP,A)
【文献】 特表2007−519814(JP,A)
【文献】 特開2008−285687(JP,A)
【文献】 特開2005−325222(JP,A)
【文献】 特開2009−35646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 123/08
B65D 65/40
B65D 73/02
B65D 77/20
B65D 85/86
C09J 7/02
C09J 11/08
C09J 131/04
C09K 3/10
C09J 123/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)〜(E)の成分を含んでなる接着性樹脂組成物。
(A)エチレン残基単位93〜97重量%、酢酸ビニル残基単位3〜7重量%からなり、JIS K6924−1で測定したメルトマスフローレイトが8〜30g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体 39〜84.9重量%、
(B)エチレン残基単位80〜90重量%、酢酸ビニル残基単位10〜20重量%からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体 5〜20重量%、
(C)低密度ポリエチレン 5〜20重量%、
(D)粘着付与剤樹脂 5〜20重量%、及び
(E)帯電防止剤(E)0.1〜1重量%。
【請求項2】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)のJIS K6924−1で測定したメルトフローレイトが100〜3,000g/10分である請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物よりなることを特徴とする紙用接着剤。
【請求項4】
請求項3に記載の紙用接着剤からなるシーラント用接着剤。
【請求項5】
請求項4に記載のシーラント用接着剤からなる接着剤層及び支持基材層からなることを特徴とする易剥離性フィルム。
【請求項6】
電子部品搬送用の紙製容器である紙キャリア用の蓋材であることを特徴とする請求項5に記載の易剥離性フィルム。
【請求項7】
紙の表面に澱粉系サイズ剤又はポリビニルアルコール系サイズ剤が塗布された多層抄板紙からなる紙キャリア用の蓋材であることを特徴とする請求項6に記載の易剥離性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる接着性樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、紙との接着性に優れる接着性樹脂組成物、及び該樹脂組成物よりなる紙用接着剤、紙製容器に適した蓋材シーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品包装や工業用部品の包装にはポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどのプラスチック容器や紙を主体とした紙製容器が使用されている。そして、紙製容器の蓋材には、適度なヒートシール強度を持ち、且つ剥離時にはスムーズな剥離性能を示す易剥離性フィルムが使用されている。その中で紙製の食品容器用の蓋材や電子部品搬送用キャリアテープのカバーテープには、剥離強度に加え、剥離時に容器の紙が剥けて毛羽立つ、いわゆる紙剥けが無い剥離外観も要求される。近年では、高速充填適性のための短いシール時間で高い剥離強度が得ることができる短時間ヒートシール性や、非常に小さな電子部品がカバーテープに付着して部品の取り出し時に取り出し不良が起こらないための帯電防止性が要求される。
【0003】
また、紙製の電子部品搬送用キャリアテープのシール方式は、一度シールした後にキャリアをシールバーの長さより短いピッチで送り、再度同じシール部分を含めた部分にシールを行う方式のため、一か所のシール部分を2度打ち、又はそれ以上シールすることになる。そのため、シールバーの端部付近でシールされる部分(シールが重なる部分)はシール回数が多くなる、つまり合計のシール時間が長い部分となり、剥離強度がその他のシール部分と比較して剥離強度が大きくなる。剥離時には、そのシール時間の長い部分とその他の部分で、剥離強度が強くなったり弱くなったりして電子部品搬送用キャリアテープに剥離振動(ビビリ)が発生し、紙キャリア内の穴の中の電子部品やICチップが傾いたり飛び出すことがあるため、実装率低下の原因となっている。これを克服するため、剥離強度の振れ幅が小さいというシール強度安定性に優れること、および、シール時間によらず剥離強度が近い値を示すシール時間依存性が小さいことなどが要求される。
【0004】
近年益々チップ型電子部品が小型化し部品の重量も軽量化しているため、従来では問題にならなかった程度の剥離強度の差によっても剥離振動による電子部品の飛び出し等の問題が発生するようになっており、更に剥離強度の振れ幅の小さいヒートシール強度安定性に優れたもの、ヒートシール温度依存性が小さいものの要求が高くなってきている。
【0005】
容器蓋材シーラント用接着剤としては、ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体に粘着付与剤を添加した組成物(例えば、特許文献1参照。)、低密度ポリエチレンまたはエチレン−不飽和エステル共重合体に非帯電性カリウムアイオノマーを添加した組成物(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。しかしながら、これら提案された組成物では高速化が進んだ充填機では短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性、毛羽立ち防止に満足できるものはなく、これらに加えて高温環境下で保管すると剥離強度が大きく増加し、毛羽立ちが発生してしまうため剥離特性の維持性においても満足できるものではなかった。
【0006】
上記のような背景に鑑み、高速充填適性である短時間シール性、ヒートシール強度安定性に優れ、ヒートシール時間依存性が少なく、剥離時の紙製容器の毛羽立ちが無いことに加えて、高温環境下で保管しても剥離強度の経時変化が小さいという剥離特性の維持性に優れた接着性樹脂組成物、接着剤、及び易剥離性フィルムが切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−105260号公報
【特許文献2】特開平9−175592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のいずれの方法も、紙製容器、特に紙基材からなる紙キャリアテープに対し、短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性、毛羽立ち防止に満足できるものは無いことに加えて、高温環境下で保管すると剥離強度が大きく増加し、毛羽立ちが発生してしまうため、剥離特性の維持性を含め全てを十分に満足できるものではなかった。
【0009】
本発明は、優れた短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性に優れ、ヒートシール時間依存性が小さく、剥離時の紙製容器の毛羽立ちが無いことに加えて、特に接着後に高温環境下で保管しても初期の剥離特性を維持する剥離特性の維持性に優れた接着性樹脂組成物、紙用接着剤、及び易剥離性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特定のエチレン−酢酸ビニル共重合体を2種類、低密度ポリエチレン、粘着付与剤樹脂及び帯電防止剤からなる接着性樹脂組成物が、短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性に優れ、ヒートシール時間依存性が小さく、剥離時の紙製容器の毛羽立ちを防止性能にも優れ、更に接着後に高温環境下で保管しても剥離特性を維持する剥離特性の維持性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、次の(A)〜(E)の成分を含んでなる接着性樹脂組成物に関する。
(A)エチレン残基単位93〜97重量%、酢酸ビニル残基単位3〜7重量%からなり、JIS K6924−1で測定したメルトマスフローレイトが8〜30g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体 39〜84.9重量%、
(B)エチレン残基単位80〜90重量%、酢酸ビニル残基単位10〜20重量%からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体 5〜20重量%、
(C)低密度ポリエチレン 5〜20重量%、
(D)粘着付与剤樹脂 5〜20重量%、及び
(E)帯電防止剤0.1〜1重量%。
【0012】
さらに、本発明は、上記接着性樹脂組成物からなる紙用接着剤、および、上記接着性樹脂組成物からなる接着層と支持基材層からなる易剥離性フィルムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性およびヒートシール時間依存性に優る。さらに、この接着性樹脂組成物からなる接着層を支持体上に形成してなる易剥離性フィルムは、例えば、紙製容器に接着した場合、剥離時に紙製容器に毛羽立ちを生じることがなく、また、接着後に高温環境下で保管しても初期の剥離特性を維持する特性に優る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の接着性樹脂組成物は、次の(A)〜(E)の成分を含んでなる接着性樹脂組成物に関する。〔(A)〜(E)成分の和は100重量%である〕
(A)エチレン残基単位93〜97重量%、酢酸ビニル残基単位3〜7重量%からなり、JIS K6924−1で測定したメルトマスフローレイトが8〜30g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体 39〜84.9重量%、
(B)エチレン残基単位80〜90重量%、酢酸ビニル残基単位10〜20重量%からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体 5〜20重量%、
(C)低密度ポリエチレン 5〜20重量%、
(D)粘着付与剤樹脂 5〜20重量%、及び
(E)帯電防止剤(E)0.1〜1重量%
〔(A)〜(E)成分の和は100重量%である〕
本発明の接着性樹脂組成物を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、エチレン残基単位93〜97重量%、好ましくは94〜96重量%、酢酸ビニル残基単位3〜7重量%、好ましくは、4〜6重量%からなるものである。このような組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)を用いることによって、短時間ヒートシール強度やヒートシール強度、初期強度の維持性、毛羽立ち防止に優れた接着性樹脂組成物が得られる。
【0016】
酢酸ビニル残基単位が3重量%未満の場合、得られる接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール強度に劣るものとなる。一方、酢酸ビニル残基単位が7重量%を超える場合、得られる接着性樹脂組成物は、巻取フィルム状態での耐ブロッキング性に劣るものとなる。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル残基単位の量は、JIS K 6924−1に準拠した方法により測定することができる。
【0017】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、押出ラミネート加工性、短時間ヒートシール性や紙容器の毛羽立ち防止に優れた接着性樹脂組成物となることから、JIS K 6924−1に準拠して温度190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレイトが8〜30g/10分の範囲にあるものであり、特に15〜30g/10分であることが好ましい。メルトマスフローレイトが8g/10分未満の場合、押出ラミネート加工時のドローダウン性が劣るものとなる。一方、メルトマスフローレイトが30g/10分を超える場合、得られる接着性樹脂組成物は、溶融膜が安定せず押出ラミネート加工安定性に劣る。
【0018】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、公知の製造方法により得ることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の具体的例示としては、例えば、ウルトラセン539(商品名;東ソー株式会社製)等を挙げることができる。
【0019】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の配合割合は、39〜84.9重量%、特に、短時間ヒートシール性とヒートシール強度、ヒートシール強度安定性、毛羽立ち防止のバランスに優れた接着性樹脂組成物となることから50〜70重量%であることが好ましい。ここで、39重量%未満の場合、得られる接着性樹脂組成物は、巻取フィルム状態での耐ブロッキング性に劣るものとなる。一方、84.9重量%を超える場合、得られる接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール性が不十分となる。
【0020】
本発明の接着性樹脂組成物を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、エチレン残基単位80〜90重量%、好ましくは85〜90重量%、酢酸ビニル残基単位10〜20重量%、好ましくは10〜15重量%、からなるものである。このような組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)を用いることによって、短時間ヒートシール性や、ヒートシール強度安定性に優れた接着性樹脂組成物が得られる。
【0021】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、公知の製造方法により製造できる。
【0022】
ここで、酢酸ビニル残基単位が10重量%未満の場合、得られる接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール強度に劣るものとなる。一方、20重量%を超える場合、ヒートシール強度安定性やヒートシール強度依存性が劣るものとなる。
【0023】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)としては、特に押出加工性と短時間ヒートシール強度、ヒートシール強度安定性を考慮すると、JIS K6924−1に準拠し測定したメルトフローレイトが3〜30,000g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。更に、短時間ヒートシール強度、ヒートシール強度安定性、毛羽立ち防止に加え、特に剥離強度の維持性を含めたバランスに優れた接着性樹脂組成物となることから、メルトフローレイトが100〜3,000g/10分、特に200〜2,000g/10分であることがより好ましい。この範囲のメルトマスフローレイトであると、剥離強度の維持性、短時間ヒートシール強度、押出ラミ成形加工性が一段と向上する。
【0024】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の配合割合は、5〜20重量%であり、特に短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性のバランスに優れた接着性樹脂組成物となることから5〜10重量%であることが好ましい。ここで、5重量%未満の場合、得られる接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール性に劣るものとなる。一方、20重量%を超える場合、得られる接着性樹脂組成物は、ヒートシール強度安定性やヒートシール時間依存性が劣る。
【0025】
本発明の接着性樹脂組成物を構成する低密度ポリエチレン(C)は、公知の製造方法により得られる低密度ポリエチレン(LDPE)である。低密度ポリエチレン(C)は、押出ラミネート加工性、ヒートシール強度安定性やヒートシール時間依存性に優れたものとなることから、JIS K6922−1に準拠し測定したメルトフローレイトが3〜45g/10min、密度916〜935kg/mのものが好ましい。
【0026】
低密度ポリエチレン(C)の配合割合は、5〜20重量%であり、特に短時間ヒートシール性とヒートシール強度安定性のバランスに優れた接着性樹脂組成物となることから10〜20重量%であることが好ましい。ここで、5重量%未満の場合、得られる接着性樹脂組成物は、ヒートシール強度安定性やヒートシール時間依存性に劣る。一方、20重量%を超える場合、得られる接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール強度が劣る。
【0027】
本発明の接着性樹脂組成物を構成する粘着付与剤樹脂(D)は、粘着付与剤の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、粘着付与剤として短時間ヒートシール性、ヒートシール強度を付与するものであれば良い。粘着付与剤樹脂(D)としては、例えば、合成石油樹脂系粘着付与剤である石油樹脂系、クマロン樹脂系、スチレン系などや、天然樹脂系粘着付与剤であるロジン系樹脂、メチルエステル系樹脂、グリセリンエステル系樹脂、ペンタエリストールエステル系樹脂、テルペン系樹脂及びそれらの変性物、などが挙げられる。これら粘着付与剤のうち合成石油樹脂系粘着付与剤には脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、共重合系石油樹脂などがある。これらは、単独、又は2種以上を併用して使用できる。
【0028】
粘着付与剤樹脂(D)の配合割合は、5〜20重量%であり、特に短時間ヒートシール性、ヒートシール強度の安定性、毛羽立ち防止に優れた接着性樹脂組成物となることから、10〜15重量%であることが好ましい。5重量%未満の場合、得られる接着性樹脂組成物は短時間ヒートシール性が劣る。一方、20重量%を超える場合、ヒートシール強度安定性が悪化し、剥離時の紙製容器に毛羽立ちが発生する。
【0029】
本発明の接着性樹脂組成物を構成する帯電防止剤(E)は、帯電防止剤の範疇に属し、易剥離性フィルムの帯電を防止する機能を有するものであれば、如何なるものを用いることも可能である。帯電防止剤(E)としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール粗暴酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル酸化エチレン付加アマイド、アルキルアミン、ステアリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を併用して使用できる。
【0030】
帯電防止剤(E)の配合割合は、0.1〜1重量%であり、特に帯電防止性能とヒートシール強度に優れたものとなることから、0.3〜0.6重量%であることが好ましい。0.1重量%未満の場合は、得られる接着性樹脂組成物は帯電防止効果に劣る。一方、1重量%を超える場合、ブリード量過多により白化しフィルム外観を悪化させるだけでなく、ヒートシール強度も低下する。
【0031】
本発明の接着性樹脂組成物は、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、低密度ポリエチレン(C)、粘着付与剤樹脂(D)及び帯電防止剤(E)を合計100重量%含むものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の熱可塑性樹脂やゴム、及び光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤等が用いられても良い。
【0032】
本発明の接着性樹脂組成物の調製方法は、接着性樹脂組成物の調製が可能であれば如何なる方法であってもよい。代表的な調製方法としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、低密度ポリエチレン(C)、粘着付与剤樹脂(D)及び帯電防止剤(E)を同時にヘンシェルミキサー又はタンブラー等の混合機により予備ブレンドしておき、単軸又は二軸の押出機で溶融混練する方法が挙げられる。
【0033】
帯電防止剤(E)については、予めポリオレフィン系樹脂に高濃度で練り込んでマスターバッチとしておき、そのマスターバッチを押出ラミネーション加工時に添加することも可能である。マスターバッチのベースとなるポリオレフィン系樹脂はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましく、更には、本発明に使用のエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)であることが特に好ましい。
【0034】
本発明の接着性樹脂組成物は、紙用接着剤として用いることができる。詳しくは、接着性樹脂組成物を適宜な溶剤、もしくは溶剤及び希釈剤を用いて溶解するか、もしくは分散させて、公知の塗布方法、例えばグラビアコーティング法などを利用して対象となる被塗布紙の部分に積層することができる。あるいは、溶剤や希釈剤等を用いることなく、接着性樹脂組成物を加熱して溶融させ、押出コーティング、アプリケーターを使用したホットメルトコーティング、加熱して溶融してフィルム状に押出しフィルム化したもの等を紙用接着剤として用いることができる。
【0035】
本発明の紙用接着剤は、シーラント用接着剤として用いることができる。すなわち、本発明の紙用接着剤は、蓋材やカバーテープ構成とした場合のヒートシール工程の作業性がよいことから、ポリエステルなど高剛性、高耐熱性の熱可塑性樹脂からなるフィルム支持基材や金属箔などの支持基材と予め積層し、そのシーラント層用の接着剤として用いることが望ましい。支持基材と積層させる方法としては、予めインフレーションやキャスト法により得られた単層接着剤フィルムや最内層に接着剤層を持つ多層接着剤フィルムを、ドライラミネートなどにより積層する方法や、押出ラミネート法のように、ウレタン系アンカーコート剤等を設けて支持基材層に溶融状態で積層させる方法などが挙げられる。
【0036】
本発明の易剥離性フィルムは、支持基材層と、その上に形成された上記接着性樹脂組成物からなるシーラント接着剤層とを含んで構成される。支持基材層を構成する支持基材としては、自己支持性を有するものであれば良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酸共重合樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されたプラスチックフィルム、和紙、複合紙などの紙、アルミニウムなどの金属で構成された金属箔、これらの単独又は積層体などが挙げられる。支持基材層の厚みは、機械的強度、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜100μm程度、好ましくは10〜50μmである。
【0037】
本発明の接着性樹脂組成物で構成されるシーラント接着剤層の厚みは、接着性、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜50μm程度、好ましくは10〜30μmである。
【0038】
本発明では、前記支持基材層とシーラント接着剤層との間に、両層の密着性を高めるため、中間層を設けることもできる。この中間層は、例えば、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどで構成できる。これらの成分は単独又は2種以上混合して使用できる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレンやエチレン共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体など)やその変性物などが挙げられる。中間層には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、導電剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤等が用いられても良い。
【0039】
中間層の厚みは、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜20μm程度である。
【0040】
本発明では、前記支持基材層とシーラント接着剤層との間、又は前記支持基材層と中間層との間に、両層の密着性を高めるためアンカーコート層を設けることもできる。
【0041】
本発明の易剥離性フィルムは、主な材質が紙製である容器、例えば、クレープ紙、和紙、合成紙、複合紙などからなる容器や、葦、サトウキビなどからなるパルプモールド容器などの紙製容器の蓋材として好適である。
【0042】
本発明の易剥離性フィルムは、主な材質が紙製である電子部品搬送用の紙製容器、例えば、広葉樹パルプや針葉樹パルプなどの木材パルプを主体とした多層抄板紙や、それらの表面に表面サイズ剤を塗布した多層抄板紙などからなる電気部品搬送用紙キャリアの蓋材(カバーテープ)に好適である。表面サイズ剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、スチレンアクリル樹脂、ロジン系樹脂、樹脂ポリマーなどが挙げられ、これらのいずれか一つ又は複数の樹脂を配合して成るものが挙げられる。これら表面サイズ剤の中でも、特に、澱粉を主剤とする澱粉系サイズ剤、およびポリビニルアルコールを主剤とするポリビニルアルコール系サイズ剤が好ましい。
【0043】
電気部品搬送用紙キャリアの蓋材に用いる場合、支持基材層は、耐熱性に優れるためにポリエチレンテレフタレート樹脂で構成することが好ましい。
【0044】
支持基材層の厚みは15〜25μm程度、また、シーラント接着剤層の厚みは10〜25μm程度が好ましい。
【0045】
易剥離性フィルムの製造方法は、特に限定されることはなく、例えば、シーラント接着剤を押出ラミネートする方法、および予めシーラント接着剤を少なくとも1層含む多層フィルムを成形し、支持基材フィルムと積層する方法などが挙げられる。より詳しくは、例えば、(1)支持基材フィルムにアンカーコート剤を塗布し、接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(2)支持基材フィルムにアンカーコート剤を塗布し、中間層を溶融押出した後、その上に接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(3)支持基材フィルムに、支持基材との接着性に優れた中間層を溶融押出した後、その上に接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(4)支持基材フィルムにアンカーコート剤を塗布し、中間層と接着剤層を同時に溶融押出する共押出ラミネート方法、(5)予めインフレーション成形法やキャスト成形法によりシーラント接着剤を少なくとも1層含む多層フィルムを成形し、アンカーコート剤を塗布した支持基材フィルムに貼り合わせる方法、(6)アンカーコート剤を塗布した支持基材フィルムとシーラント接着剤を少なくとも1層含む多層フィルムを押出ラミネートを用いて中間層を溶融押出すことにより積層する押出ラミネート方法などが挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
(1)重合体のメルトマスフローレイト(MFR)の測定
重合体成分(A)、(B)および(C)のメルトマスフローレイト(MFR)は、次の方法で測定した。
【0048】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)のMFRは、JIS K6924−1に準拠して測定した。低密度ポリエチレン(C)のMFRは、 JIS K6922−1に準拠して測定した。
【0049】
JIS K6924−1はエチレン−酢酸ビニル共重合体を材料とする場合の関連規格であり、JIS K6922−1はポリエチレンを材料とする場合の関連規格である。両者の測定においては、試験温度と公称荷重は同じ条件で、メルトインデクサー(タカラ工業(株)社製)を用いてISO 1133の試験方法で測定した。MFRが25未満の場合はA法(所定の時間に押し出された樹脂をカットしその樹脂重量から求める方法)を使用し、MFRが25以上の場合にはB法(ピストンが所定の距離を移動した時間から求める方法)を使用した。
【0050】
A法の測定方法は、試料6gを190℃に設定したメルトインデクサーのシリンダーに入れピストンをセットし、190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けてオリフィス2.095mmを通過し所定の時間に流れ出た樹脂をカットし、その重量を測定する。その重量を10分間に流れ出た重量に換算しMFRを求めた。
【0051】
B法の測定方法は、予め樹脂の溶融密度を求めるためにA法と同様の方法で190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けて、ピストンが所定の距離を移動した時に流れ出た樹脂をカットし、その重量を測定する。
【0052】
溶融密度(g/cm)を、樹脂重量(g)/(0.711×所定の距離(cm))の式から求める。シリンダ、ピストンとオリフィスを掃除し、再度試料6gを190℃に設定したメルトインデクサーのシリンダーに入れピストンをセットし、190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けてピストンの下部標線がシリンダの上端に達した時に自動測定を開始し、標線で示す所定の距離(2.486cm)をピストンが移動する時間を測定する。MFRは、(426×2.486×溶融密度)/測定時間(秒)にて計算して得た。
【0053】
(2)接着性樹脂組成物の調製
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、低密度ポリエチレン(C)、粘着付与剤樹脂(D)および帯電防止剤(E)を同時にタンブラー混合機により予備ブレンドしておき、同方向回転の二軸押出機(東芝機械(株)社製、商品名TEM50B)を使用して溶融混練し、接着性樹脂組成物のペレットを得た。
【0054】
溶融混練温度は、溶融樹脂温度である180℃とした。接着性樹脂組成物には、熱安定性を考慮しフェノール系酸化防止剤(BASF(株)社製、商品名イルガノックス1010)を、接着性樹脂組成物100重量部に対し0.05重量部添加した。
【0055】
(3)易剥離性フィルムの作成
上記接着性樹脂組成物ペレットから、次の方法により、易剥離性フィルムを作成した。
【0056】
予め二軸延伸されたポリエステルフィルム(東洋紡(株)社製、商品名E5100、25μm厚み)にウレタン系のアンカーコート剤(武田薬品工業(株)社製、商品名A3210、A3072、酢酸エチル、固形分濃度7重量%)を使用して低密度ポリエチレン(東ソー(株)社製、商品名ペトロセン203)を樹脂温度310℃で15μmの厚みに押出ラミネーション加工をして基材を作成した。その基材の低密度ポリエチレン側に、上記接着性樹脂組成物を樹脂温度180℃の条件で15μm厚みに押出ラミネーション加工を行い、易剥離性フィルムを得た。
【0057】
(4)易剥離性フィルムの特性の評価
易剥離性フィルムについて、短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性、および剥離外観(毛羽立ち)を以下の方法により測定した。
【0058】
〜短時間ヒートシール性の測定〜
易剥離性フィルムの接着剤面とキャリアテープとなる2種の紙基材(ポリビニルアルコール系紙キャリア(大王製紙製)、澱粉系紙キャリア(台湾製))とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて140℃、0.1MPa、0.1秒、シールピッチ8mmの条件でシールバーの端部分が少し重なり合うように連続して加圧加熱接着した。
【0059】
放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて、シール強度を150mm長さ分連続して測定して、その平均値を求めた。短時間ヒートシール性は、0.2N/mm以上が良好と評価される。
【0060】
〜ヒートシール強度安定性の測定〜
易剥離性フィルムの接着剤面とキャリアテープとなる2種の紙基材(ポリビニルアルコール系紙キャリア(大王製紙製)、澱粉系紙キャリア(台湾製))とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて、0.1MPa、シールピッチ8mmの条件でシールバーの端部分が少し重なり合うようにし、平均ヒートシール強度が約0.25N/mmとなるようにヒートシール時間を調整し、連続して加圧加熱接着した。
【0061】
放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて、シール強度を150mm長さ分連続して測定して、その測定値の最大値と最小値の差を計算しヒートシール強度安定性とした。ヒートシール強度安定性は、0.2N/mm以下が良好とみなされる。
【0062】
〜ヒートシール時間依存性の測定〜
易剥離性フィルムの接着剤面とキャリアテープとなる2種の紙基材(ポリビニルアルコール系紙キャリア(大王製紙製)、澱粉系紙キャリア(台湾製))とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて140℃、0.1MPa、0.1秒、0.2秒、0.3秒、シールピッチ8mmの条件で、シールバーの端部分が少し重なり合うように連続して加圧加熱接着した。
【0063】
放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて、シール強度を150mm長さ分連続して測定し、その平均値を求めた。ヒートシール時間依存性として、シール時間0.3秒の平均値からシール時間0.1秒の平均値を引いた値を用いた。ヒートシール時間依存性は、0.15N/mm以下が良好と評価される。
【0064】
〜剥離外観〜
易剥離性フィルムの接着剤面とキャリアテープとなる2種の紙基材(ポリビニルアルコール系紙キャリア(大王製紙製)、澱粉系紙キャリア(台湾製))とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)を用いてヒートシール強度が0.3N/mmとなるようにヒートシール条件を調整し加圧加熱接着した。
【0065】
放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて剥離を行い、易剥離性フィルムの接着剤面、及びキャリアテープ表面の目視確認を行ない、剥離状態を2段階評価した。
【0066】
○:キャリアテープに毛羽立ちは無く、フィルム表面にも紙繊維の付着が見られない(良好)
×:キャリアテープに毛羽立ちがあり、フィルム表面に紙繊維の付着がある(不良)
〜剥離特性の維持性の測定(経時変化量)〜
易剥離性フィルムの接着剤面とキャリアテープとなる紙基材(大王製紙製)を重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて140℃、0.1MPa、0.1秒、シールピッチ8mmの条件でシールバーの端部分が少し重なり合うように連続して加圧加熱接着した。貼り合わせた試料を50℃オーブン中に30日保管し、30日後に試料を取り出して放冷した後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にてシール強度を150mm長さ分連続して測定し、その平均値を求めた。
【0067】
剥離強度の維持性として、初期強度平均値(オーブン保管前)から30日後の剥離強度平均値(オーブン保管後)を引いた値(経時変化量)を用いた。経時変化量が、0以上、0.1N/mm以下のものが良好と評価される。
【0068】
〜剥離特性の維持性の測定(経時後の剥離外観)〜
易剥離性フィルムの接着剤面とキャリアテープとなる紙基材(大王製紙製)を重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて140℃、0.1MPa、0.1秒、シールピッチ8mmの条件でシールバーの端部分が少し重なり合うように連続して加圧加熱接着した。貼り合わせた試料を50℃オーブン中に30日保管した。
【0069】
30日後に試料を取り出して放冷した後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて、剥離した易剥離性フィルムの接着剤面及びキャリアテープ表面の目視確認を行ない、剥離状態を2段階評価した。
【0070】
○:キャリアテープに毛羽立ちは無く、フィルム表面にも紙繊維の付着が見られない(良好)
×:キャリアテープに毛羽立ちがあり、フィルム表面に紙繊維の付着がある(不良)
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン残基単位94重量%、酢酸ビニル残基単位6%、MFRが28g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン539)57.5重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)としてエチレン残基単位85重量%、酢酸ビニル残基単位15%、MFRが14g/10分であるのエチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン625)10重量%、低密度ポリエチレン(C)として密度が918g/m、MFRが24g/10分である低密度ポリエチレン(東ソー(株)社製、商品名ペトロセン202)20重量%、粘着付与剤樹脂(D)として水添石油樹脂(荒川化学(株)社製 商品名アルコンP125)12重量%、帯電防止剤(E)として 帯電防止剤(花王(株)社製、商品名エレクロストリッパーTS−3B)0.5重量%を用いた。これらの成分をタンブラー混合機で予備ブレンドしておき、二軸押出機を用い180℃で溶融混練し本接着性樹脂組成物のペレットを得た。
【0071】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0072】
あらかじめ押出ラミネーションで作成しておいた二軸延伸されたポリエステルフィルム(25μm厚み)と低密度ポリエチレン(15μm厚み、東ソー(株)社製 商品名ペトロセン203)からなる貼り合わせ基材の低密度ポリエチレン側に、押出ラミネーター(プラコー(株)社製 、スクリュー径25mmΦ)を用い、上記接着性樹脂組成物のペレットを加工温度180℃で15μmの厚みで押出ラミネーションして、易剥離性フィルムを得た。
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。紙基材1(ポリビニルアルコール系紙キャリア)に対する評価結果を表2に、紙基材2(澱粉系紙キャリア)に対する評価結果を表3に示す。(以下の実施例、比較例においても、同じ、紙基材1および紙基材2を用いて評価した)
実施例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、公知の製造方法を用いて製造したエチレン残基単位97重量%、酢酸ビニル残基単位3%、MFRが28g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)57.5重量%を用いた他は、実施例1と同様にして、接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0073】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0074】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0075】
実施例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン残基単位94重量%、酢酸ビニル残基単位6%、MFRが8g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A3)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン537)57.5重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0076】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0077】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0078】
実施例4
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン残基単位90重量%、酢酸ビニル残基単位10%、MFRが9.0g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン541)10重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0079】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0080】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0081】
実施例5
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン残基単位80重量%、酢酸ビニル残基単位20%、MFRが8g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B3)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン637)10重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0082】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0083】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0084】
実施例6
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)47.5重量%を用い、かつ、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)20重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0085】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0086】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0087】
実施例7
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)67.5重量%を用い、かつ、低密度ポリエチレン(C)20重量%の代わりに、低密度ポリエチレン(C)10重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物、及び易剥離性フィルムを得た。
【0088】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0089】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0090】
実施例8
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)49.5重量%を用い、かつ、粘着付与剤樹脂(D)12重量%の代わりに粘着付与剤樹脂(D)20重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0091】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0092】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。
【0093】
比較例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)67.5重量%を用い、かつ、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)を用いなかった他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0094】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0095】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。得られた易剥離性フィルムは、短時間シール性に劣り、また、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性にも劣るものであった。
【0096】
比較例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)77.5重量%を用い、かつ、低密度ポリエチレン(C)20重量%の代わりに、低密度ポリエチレン(C)を用いなかった他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0097】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0098】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。得られた易剥離性フィルムは、短時間シール性に劣り、また、ヒートシール強度安定性およびヒートシール時間依存性にも劣っていた。
【0099】
比較例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)を用いず、かつ、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)67.5重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0100】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0101】
得られた易剥離性フィルムは、巻き取り状態でブロッキングが大きく、測定用試料が採取不可であった。
【0102】
比較例4
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)42.5重量%を用い、かつ、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)25重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0103】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0104】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。得られた易剥離性フィルムは、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性、剥離外観に劣っていた。
【0105】
比較例5
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)47.5重量%を用い、かつ、低密度ポリエチレン(C)20重量%の代わりに、低密度ポリエチレン(C)30重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0106】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0107】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。得られた易剥離性フィルムは、短時間シール性、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性のいずれも劣っていた。
【0108】
比較例6
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン残基単位94重量%、酢酸ビニル残基単位6%、MFRが2.5g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A4)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン515)57.5重量%を用いた他は、を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。
【0109】
得られた樹脂組成物は、流動性に乏しく、押出ラミ時のドローダウン性に劣るため、測定用試料フィルムは採取不可であった。
【0110】
比較例7
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)57.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)44.5重量%を用い、かつ、粘着付与剤樹脂(D)12重量%の代わりに粘着付与剤樹脂(D)25重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0111】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0112】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2、3に示す。得られた易剥離性フィルムは、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性、剥離外観に劣っていた。
【0113】
比較例8
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン残基単位72重量%、酢酸ビニル残基単位28%、MFRが5.7g/10分であるであるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B4)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン751)10重量%を用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0114】
接着性樹脂組成物の配合を表1に示す。
【0115】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表2、3に示す。得られた易剥離性フィルムは、ヒートシール強度安定性、ヒートシール時間依存性、剥離外観に劣っていた。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
実施例9
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)67.5重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)としてエチレン残基単位80重量%、酢酸ビニル残基単位20%、MFRが160g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン680)10重量%、低密度ポリエチレン(C)として密度が918g/m、MFRが24g/10分である低密度ポリエチレン(東ソー(株)社製、商品名ペトロセン202)10重量%、粘着付与剤樹脂(D)として水添石油樹脂(荒川化学(株)社製 商品名アルコンP125)を12重量%、帯電防止剤(E)として 帯電防止剤(花王(株)社製、商品名エレクロストリッパーTS−3B)0.5重量%を用いた。これらの成分をタンブラー混合機で予備ブレンドしておき、二軸押出機を用い180℃で溶融混練して、接着性樹脂組成物のペレットを得た。
【0119】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0120】
あらかじめ押出ラミネーションで作成しておいた二軸延伸されたポリエステルフィルム(25μm厚み)と低密度ポリエチレン(15μm厚み、東ソー(株)社製 商品名ペトロセン203)からなる貼合わせ基材の低密度ポリエチレン側に、押出ラミネーター(プラコー(株)社製、スクリュー径25mmΦ)を用い、接着性樹脂組成物のペレットを加工温度180℃で15μmの厚みで押出ラミネーションして、易剥離性フィルムを得た。
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0121】
実施例10
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位80重量%、酢酸ビニル残基単位20%、MFRが350g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B6)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン681)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0122】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0123】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0124】
実施例11
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位80重量%、酢酸ビニル残基単位20%、MFRが850g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B7)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン683)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物、及び易剥離性フィルムを得た。
【0125】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0126】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0127】
実施例12
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位80重量%、酢酸ビニル残基単位20%、MFRが2,000g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B8)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン684)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0128】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0129】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0130】
実施例13
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位85重量%、酢酸ビニル残基単位14%、MFRが2500g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B9)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン685)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0131】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0132】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0133】
実施例14
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)67.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)72.5重量%を用い、かつ、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)5重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0134】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0135】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0136】
比較例9
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)67.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)77.5重量%を用い、かつ、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B1)を用いなかった他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0137】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0138】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。得られた易剥離性フィルムは、短時間ヒートシール性、剥離特性の維持性に劣っていた。
【0139】
実施例15
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位80重量%、酢酸ビニル残基単位20%、MFRが20g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B10)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン633)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0140】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0141】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0142】
得られた易剥離性フィルムは、剥離特性の維持性に劣っていた。
【0143】
実施例16
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位86重量%、酢酸ビニル残基単位14%、MFRが30,000g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B11)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン7A55A)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0144】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0145】
得られた易剥離性フィルムを前記方法で評価した。その結果を表5に示す。
【0146】
比較例10
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B5)10重量%の代わりに、エチレン残基単位72重量%、酢酸ビニル残基単位28%、MFRが2200g/10分であるであるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B12)((東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン727)10重量%を用いた他は、実施例9と同様にして接着性樹脂組成物及び易剥離性フィルムを得た。
【0147】
接着性樹脂組成物の配合を表4に示す。
【0148】
【表4】
【0149】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の接着性樹脂組成物は、短時間ヒートシール性、ヒートシール強度安定性およびヒートシール時間依存性に優るという特性を有し、紙用接着剤、特に紙製容器の蓋材シーラント用の接着剤として有用である。
【0151】
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層を支持基材上に形成してなる易剥離性フィルムは、紙製容器に接着した場合、剥離時に紙製容器に毛羽立ちを生じることがなく、また、接着後に高温環境下で保管しても初期の剥離特性を維持する性能に優る。そのため、この易剥離性フィルムは、電子部品搬送用の紙製容器である紙キャリア用の蓋材として有用である。特に、澱粉系サイズ剤、ポリビニルアルコール系サイズ剤などの表面サイズ剤が塗布された多層抄板紙からなる紙キャリア用の蓋材として好適である。