特許第5974784号(P5974784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JNC株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974784
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】インクジェットインク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/30 20140101AFI20160809BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20160809BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   C09D11/30
   B41M5/00 E
   B41M5/00 A
   G02B3/00 A
   G02B3/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-217167(P2012-217167)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70145(P2014-70145A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】中原 鉄舟
(72)【発明者】
【氏名】杉原 克幸
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−156443(JP,A)
【文献】 特開2006−323148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00〜11/54
B41J 2/01〜 2/21
B41M 5/00
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される(メタ)アクリルアミド(A)、下記式(2)で示される環状(メタ)アクリルアミド(B)、ウレタン(メタ)アクリレート(C)および光重合開始剤(D)を含んでなるインクジェットインクであって、
該インクジェットインクの総量に対し、(メタ)アクリルアミド(A)が5〜40重量%の量で、環状(メタ)アクリルアミド(B)が40〜85重量%の量で、ウレタン(メタ)アクリレート(C)が5〜20重量%の量で、光重合開始剤(D)が0.5〜20重量%の量で含まれる、インクジェットインク
【化1】
(式(1)中、R1は水素またはメチルであり、R2は炭素数1〜10の有機基または水酸基を含む炭素数1〜10の有機基であり、R3は水素、炭素数1〜10の有機基または水酸基を含む炭素数1〜10の有機基である。)
【化2】
(式(2)中、R4は水素またはメチルであり、R5は二価の有機基である。)
【請求項2】
式(1)中のR2が炭素数1〜5のアルキレン、R3が水素または炭素数1〜5のアルキルである、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項3】
式(2)中のR5が下記式(3)で示される基である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
―R6―X―R7― (3)
(式(3)中、R6およびR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレンであり、Xは酸素または硫黄である。)
【請求項4】
ウレタン(メタ)アクリレート(C)の25℃における粘度が5,000mPa・s以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
【請求項5】
光重合開始剤(D)が、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤、ベンゾイルギ酸系開始剤およびヒドロキシフェニルケトン系開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
【請求項6】
マイクロレンズ形成用である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインクを硬化させて得られるマイクロレンズ。
【請求項8】
請求項に記載のマイクロレンズを有する光学部品。
【請求項9】
請求項に記載の光学部品を有する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置などの光学機器に内蔵されるバックライトユニットの部材である導光板の製造に好適に用いられるインクジェットインクに関する。更に詳しくは、本発明は、基板の表面処理をしなくても、良好な形状のマイクロレンズを形成することができるインクジェットインクに関する。
【背景技術】
【0002】
かねてより、映像表示装置用導光板に形成されたマイクロレンズは、金型を使った射出成形により形成されていた。しかし、この方法を用いて少量多品種のマイクロレンズを製造する際には、製品設計毎に金型を作り直す必要があり、製造工程数の増加が問題となっていた。
【0003】
近年、設計自由度の高い製造方法としてインクジェット法を用いて、直接、基板表面上にマイクロレンズを形成する方法が行われている(例えば、特許文献1および2参照)。
このようなインクジェット法を用いたマイクロレンズの製造方法は、パソコンなどにより容易にパターニングを制御できるため、少量多品種のマイクロレンズの生産に対しても製造工程数が変わらず、製造コストを抑えることができる等の点から期待されている。
【0004】
しかしながら、従来のインクジェットインクを用いて導光板を構成する基板にマイクロレンズを直接形成した場合、基板表面とインクとの界面の自由エネルギーが小さいために、径が大きいマイクロレンズが形成されるという問題や、インクの基板表面での濡れ性にバラつきが見られるため、良好な形状でないマイクロレンズが形成されてしまうという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、マイクロレンズの径および高さの制御を目的として、マイクロレンズを形成する前に、基板表面に撥液性硬化膜を形成するなどの表面処理が行われている。しかしながら、この方法はマイクロレンズの形成において、製造工程数を増やし、タクトタイムを増加させてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−180605号公報
【特許文献2】特開2004−240294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記問題を解決する1つの手段として、従来のインクに代えて、基板の表面処理を行わなくても良好な形状のマイクロレンズを形成できるインクジェットインクの開発が考えられる。
【0008】
この場合、表面処理をしていない基板の表面自由エネルギーは低いため、良好な形状のマイクロレンズを形成するためには、インクの表面自由エネルギーが高いことが求められ、インクの表面自由エネルギーを高くするためには、原料として表面張力の高い化合物を用いることが考えられる。
【0009】
このような表面張力の高い化合物を含む組成物はいくつか知られている(特開2002−212244号公報や特開2011−132322号公報参照)。
しかしながら、これらの文献に記載の組成物は必ずしも基板との界面自由エネルギーが高いとはいえず、用いる化合物によっては、基板との界面自由エネルギーが低いものもあった。
【0010】
また、表面張力の高い光重合性化合物は、一般的に耐湿性が悪い傾向にあり、表面張力の高い光重合性化合物のみでマイクロレンズを形成すると、恒温恒湿試験後に光学特性が悪化する問題があった。
【0011】
本発明の目的は、基板の表面処理を行わなくても良好な形状のマイクロレンズを形成することができるインクジェットインクを提供することにある。特に、アクリル基板上において、表面処理を行わなくても、良好な形状を有し、かつ、恒温恒湿試験後でも光学特性が良好であるマイクロレンズを形成することが可能であるインクジェットインクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、ならびに、特定の構造を有する(メタ)アクリルアミドおよび環状(メタ)アクリルアミドを含んでなる光硬化性インクジェットインクによれば、例えば導光板を製造する際、基板を表面処理しなくても、良好な形状で、なおかつ恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化しにくいマイクロレンズを形成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の項を含む。
【0013】
[1] 下記式(1)で示される(メタ)アクリルアミド(A)、下記式(2)で示される環状(メタ)アクリルアミド(B)、ウレタン(メタ)アクリレート(C)および光重合開始剤(D)を含んでなるインクジェットインク。
【0014】
【化1】
(式(1)中、R1は水素またはメチルであり、R2は炭素数1〜10の有機基または水酸基を含む炭素数1〜10の有機基であり、R3は水素、炭素数1〜10の有機基または水酸基を含む炭素数1〜10の有機基である。)
【0015】
【化2】
(式(2)中、R4は水素またはメチルであり、R5は二価の有機基である。)
【0016】
[2] インクジェットインクの総量に対し、(メタ)アクリルアミド(A)が5〜40重量%の量で、環状(メタ)アクリルアミド(B)が40〜85重量%の量で、ウレタン(メタ)アクリレート(C)が5〜20重量%の量で、光重合開始剤(D)が0.5〜20重量%の量で含まれる、[1]に記載のインクジェットインク。
【0017】
[3] 式(1)中のR2が炭素数1〜5のアルキレン、R3が水素または炭素数1〜5のアルキルである、[1]または[2]に記載のインクジェットインク。
【0018】
[4] 式(2)中のR5が下記式(3)で示される基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェットインク。
―R6―X―R7― (3)
(式(3)中、R6およびR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレンであり、Xは酸素または硫黄である。)
【0019】
[5] ウレタン(メタ)アクリレート(C)の25℃における粘度が5,000mPa・s以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェットインク。
【0020】
[6] 光重合開始剤(D)が、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤、ベンゾイルギ酸系開始剤およびヒドロキシフェニルケトン系開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェットインク。
【0021】
[7] マイクロレンズ形成用である、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェットインク。
【0022】
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェットインクを硬化させて得られるマイクロレンズ。
[9] [8]に記載のマイクロレンズを有する光学部品。
[10] [9]に記載の光学部品を有する装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明のインクジェットインクによれば、基板に表面処理しなくても、良好な形状を有し、なおかつ恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化しにくいマイクロレンズを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.インクジェットインク
本発明のインクジェットインク(以下「本発明のインク」ともいう。)は、下記式(1)で示される(メタ)アクリルアミド(A)、下記式(2)で示される環状(メタ)アクリルアミド(B)、ウレタン(メタ)アクリレート(C)および光重合開始剤(D)を含有する。
【0025】
本発明のインクは、上記の化合物を含有することで、基板表面に良好な形状のマイクロレンズを形成するための表面処理をしなくても、良好な形状のマイクロレンズを形成することができる。
また、本発明のインクは光硬化性に優れ、さらに、該インクによれば、恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化しにくいマイクロレンズを形成することができる。
【0026】
本発明のインクは、本発明の要旨を損なわない範囲で、必要に応じて有機溶媒、重合禁止剤、熱硬化性化合物、熱重合開始剤、酸化防止剤、着色剤、ならびに、(メタ)アクリルアミド(A)、環状(メタ)アクリルアミド(B)およびウレタン(メタ)アクリレート(C)以外のラジカル重合性二重結合を有する化合物(E)などのその他の成分を含んでもよい。
【0027】
本発明のインクは無色でも有色でもよい。発明の効果を妨げない範囲で、有色の化合物を微量含有してもよい。例えば、マイクロレンズの状態を検査する際に、基板との識別を容易にするため、着色剤を含んでもよい。
【0028】
本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの両者または一方を、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両者または一方を示すために用いられる。
【0029】
1−1.(メタ)アクリルアミド(A)
前記(メタ)アクリルアミド(A)は、下記式(1)の構造を有する化合物である。
下記式(1)の構造を有する(メタ)アクリルアミド(A)の表面張力はきわめて高く、この(メタ)アクリルアミド(A)を含むインクによれば、良好な形状のマイクロレンズを形成することができる。
【0030】
【化3】
(式(1)中、R1は水素またはメチルであり、R2は炭素数1〜10の有機基または水酸基を含む炭素数1〜10の有機基であり、R3は水素、炭素数1〜10の有機基または水酸基を含む炭素数1〜10の有機基である。)
【0031】
前記R2における炭素数1〜10の有機基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基がより好ましい。
炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、イソプロピリデン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどが挙げられ、好ましくはメチレン、ジメチレンである。
【0032】
本明細書中の炭化水素基における任意の−CH2−は、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR−(Rは水素、メチル、エチル、エトキシまたはメトキシである)、−CONH−、−NHCO−、で置き換えられてもよい。
【0033】
前記R2における水酸基を含む炭素数1〜10の有機基としては、水酸基を含む炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、水酸基を含む炭素数1〜6の炭化水素基がより好ましい。
【0034】
前記R3における炭素数1〜10の有機基および水酸基を含む炭素数1〜10の有機基としては、前記R2における炭素数1〜10の有機基および水酸基を含む炭素数1〜10の有機基として例示した基の1つの結合手に水素原子や水酸基が付加した基などが挙げられる。
【0035】
これらの中でも、R2が炭素数1〜5のアルキレンであり、R3が水素または炭素数1〜5のアルキルであると、恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化し難い化合物となるため好ましい。
【0036】
前記(メタ)アクリルアミド(A)としては、例えば、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチル−1−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチル−2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−1−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−エチル−2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−[1,2−ジヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル](メタ)アクリルアミド、N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル](メタ)アクリルアミド、N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル](メタ)アクリルアミド、N−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エチル](メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル](メタ)アクリルアミド、N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル](メタ)アクリルアミド、およびこれらの化合物の窒素原子に結合した水素原子を−CH3、−C25、−CH2OH、−C24−OH、−CH2CH(OH)2、−CH2−CH(OH)CH3などで置き換えた化合物を挙げることができる。
これらの中でも、入手容易性などの点から、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0037】
(メタ)アクリルアミド(A)は、公知の製造方法により製造したものであってもよく、市販品でもよい。
(メタ)アクリルアミド(A)の具体例としては、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(東京化成工業(株))、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド(商品名:HEAA、興人(株))、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド(関東化学(株))が挙げられる。
【0038】
本発明のインクに用いられる(メタ)アクリルアミド(A)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
本発明のインクにおいて、(メタ)アクリルアミド(A)の含有量が、該インク総量に対し、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%であると、恒温恒湿試験後でも光学特性変化が少なく、良好な形状のマイクロレンズを形成することができる。
【0039】
1−2.環状(メタ)アクリルアミド(B)
環状(メタ)アクリルアミド(B)は、下記式(2)の構造を有する化合物である。
下記式(2)の構造を有する環状(メタ)アクリルアミド(B)の表面張力はきわめて高く、また、恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化しにくい。これらの環状(メタ)アクリルアミド(B)を含むインクによれば、良好な形状であり、なおかつ恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化しにくいマイクロレンズを形成することができる。
【0040】
【化4】
(式(2)中、R4は水素またはメチルであり、R5は二価の有機基である。)
【0041】
前記R5における二価の有機基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、例えば、R2における炭素数1〜10の炭化水素基で例示した基が挙げられる。
なお、R5を含む環は、飽和または不飽和の脂環であってもよいし、芳香族環であってもよい。
【0042】
前記R5が、下記式(3)で示される基であると、恒温恒湿試験後でもより光学特性が悪化し難い化合物となるため好ましい。
―R6―X―R7― (3)
(式(3)中、R6およびR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレンであり、Xは酸素または硫黄である。)
【0043】
環状(メタ)アクリルアミド(B)は、公知の製造方法により製造したものであってもよく、市販品でもよい。
環状(メタ)アクリルアミド(B)の具体例としては、N−アクリロイルモルフォリン(商品名:ACMO、興人(株))、N−メタクリロイルモルフォリン、N−アクリロイルチオモルフォリンが挙げられる。
【0044】
本発明のインクに用いられる環状(メタ)アクリルアミド(B)は1種であっても2種以上を併用してもよい。
【0045】
本発明のインクにおいて、環状(メタ)アクリルアミド(B)の含有量が、該インク総量に対し、好ましくは40〜85重量%、より好ましくは60〜85重量%であると、得られるインクは、良好な形状であり、かつ、恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化しにくいマイクロレンズを形成することができるため好ましい。
さらに、環状(メタ)アクリルアミド(B)の含有量が前記範囲にあると、吐出性などの点で優れる、インクジェットインクに適した粘度を有するインクとなり、また、マイクロレンズを形成する際に求められる光硬化性にも優れるインクとなるため、好ましい。
【0046】
1−3.ウレタン(メタ)アクリレート(C)
ウレタン(メタ)アクリレート(C)を用いると、特に、恒温恒湿試験後であっても得られるマイクロレンズが高い光学特性を示すため好ましい。
【0047】
ウレタン(メタ)アクリレート(C)は特に限定されないが、25℃における粘度が、5,000mPa・s以上の化合物が好ましく、より好ましくは10,000mPa・s以上の化合物である。粘度がこの範囲にあると、基板上に吐出されたインクの濡れ広がりが抑えられ、より径の小さい、良好な形状のマイクロレンズを形成することができるため、好ましい。
なお、ウレタン(メタ)アクリレート(C)の粘度の上限は、3,000,000mPa・sであってもよい。
前記粘度は、R/Sプラスレオメータ(BROOKFIELD社)により測定することができる。
【0048】
ウレタン(メタ)アクリレート(C)は、公知の製造方法により製造したものであってもよく、市販品でもよい。
25℃における粘度が10,000mPa・s以上であるウレタン(メタ)アクリレート(C)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0049】
NKオリゴUA−1100H(11,000mPa・s、25℃)、同U−6LPA(149,000mPa・s、25℃)、同U−6HA(40,000mPa・s、50℃)(いずれも商品名:新中村化学工業(株))、CN9001(46,500mPa・s、60℃)、CN9893(1,120,000mPa・s、25℃)、CN990(60,000mPa・s、25℃)(いずれも商品名:サートマー(株))、KAYARAD UXE−1000(525,000mPa・s、25℃)(商品名:日本化薬(株))
【0050】
本発明のインクに用いられるウレタン(メタ)アクリレート(C)は1種であっても2種以上を併用してもよい。
【0051】
本発明の光硬化性インクジェットインクにおけるウレタン(メタ)アクリレート(C)の含有量が、該インク総量に対し、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%、さらに好ましくは5〜12重量%であると、インクジェットインクに適した粘度を有するインクとなり、該インクから得られるマイクロレンズは、恒温恒湿試験後でも光学特性の変化が少なくなるため好ましい。
【0052】
1−4.光重合開始剤(D)
光重合開始剤(D)は、紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することができる化合物であれば、特に限定されないが、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤、ベンゾイルギ酸系開始剤およびヒドロキシフェニルケトン系開始剤が好ましく、これらの中でも特にアシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤およびベンゾイルギ酸系開始剤が、インクの光硬化性および得られるマイクロレンズの光線透過率などの観点からより好ましい。
【0053】
紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することができる光重合開始剤(D)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステル、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン−1−(O−アセチルオキシム)を挙げることができる。
【0054】
この中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステルが好ましい。
【0055】
光重合開始剤(D)の市販品としては、Irgacure184、Irgacure651、Irgacure127、DAROCUR1173、Irgacure500、Irgacure2959、Irgacure754、DAROCUR MBF、LucirinTPO(いずれも商品名:BASFジャパン(株))などが好ましい。
【0056】
これらの中でも、Irgacure754、DAROCUR MBF、LucirinTPOを用いると、得られるマイクロレンズの光線透過率が最も高くなるため、より好ましい。
【0057】
光重合開始剤(D)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0058】
光重合開始剤(D)の含有量は、本発明のインク総量に対し、0.5〜20重量%であると、紫外線に対して高感度のインクが得られるため好ましく、より好ましくは2〜20重量%であり、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0059】
1−5.その他の成分
本発明のインクは、本発明の要旨を損なわない範囲で必要に応じて有機溶媒、重合禁止剤、熱硬化性化合物、熱重合開始剤、酸化防止剤、着色剤、ならびに、(メタ)アクリルアミド(A)、環状(メタ)アクリルアミド(B)およびウレタン(メタ)アクリレート(C)以外のラジカル重合性二重結合を有する化合物(E)などのその他の成分を含んでもよい。
【0060】
1−5−1.有機溶媒
本発明のインクは、吐出性を調整する目的で有機溶媒を含有してもよい。溶媒を含むことで、インクの粘度や表面張力の微調整が可能であり、吐出性を調整できる。
前記有機溶媒としては、特に制限されないが、沸点が100℃〜300℃の有機溶媒であることが好ましい。
【0061】
沸点が100〜300℃である有機溶媒の具体例としては、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジオキサン、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−プロピル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
【0062】
本発明のインクに用いられうる有機溶媒は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0063】
有機溶媒の含有量は、本発明のインク総量に対し、0.1〜20重量%であると、吐出性と他の特性のバランスが良いインクが得られるため好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜8重量%であり、特に好ましくは1〜5重量%である。
【0064】
1−5−2.重合禁止剤
本発明のインクは、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエンおよびフェノチアジンが挙げられる。これらの中でもフェノチアジンを用いると、長期の保存においても粘度の増加が小さいインクが得られるため好ましい。
【0065】
本発明のインクに用いられうる重合禁止剤は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0066】
重合禁止剤の含有量が、本発明のインク総量に対し、0.01〜1重量%であると、長期の保存においても粘度の変化が小さいインクが得られるため好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.01〜0.5重量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.1重量%である。
【0067】
1−5−3.(メタ)アクリルアミド(A)、環状(メタ)アクリルアミド(B)およびウレタン(メタ)アクリレート(C)以外のラジカル重合性二重結合を有する化合物(E)
本発明のインクは、該インクの特性を損なわない範囲で粘度を調整するなどの点から、(メタ)アクリルアミド(A)、環状(メタ)アクリルアミド(B)およびウレタン(メタ)アクリレート(C)以外のラジカル重合性二重結合を有する化合物(E)を含んでもよい。
【0068】
化合物(E)としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、チオグリシジル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヒドロキシエチルイソシアヌレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、ポリスチレンマクロモノマー、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、酸変性(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレートおよびビスフェノールSエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0069】
本発明のインクに用いられうる化合物(E)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0070】
本発明のインクが、前記化合物(E)を含む場合、該化合物(E)の配合量は、好ましくは本発明のインク総量に対し、1〜40重量%であり、本発明のインクに用いられる他材料とのバランスを考慮すると、特に好ましくは1〜15重量%である。
【0071】
1−5−4.熱硬化性化合物
本発明のインクは、得られるマイクロレンズの恒温恒湿試験後でも光学特性を低下し難くさせるために、熱硬化性化合物を含んでもよい。熱硬化性化合物としては、熱硬化させることが可能な官能基を有する化合物であれば特に限定されず、エポキシ化合物、エポキシ硬化剤、ビスマレイミド、フェノール樹脂、フェノール性水酸基を含有する樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0072】
本発明のインクに用いられうる熱硬化性化合物は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0073】
熱硬化性化合物の含有量が、本発明のインク総量に対し、0.01〜10重量%であると、得られる硬化膜の恒温恒湿試験後でも光学特性が悪化し難いため好ましく、より好ましくは0.1〜8重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
【0074】
1−5−4−1.エポキシ化合物
エポキシ化合物は、1分子中に少なくとも1つの下記式(4−1)または式(4−2)で表される構造を有する化合物であれば、特に限定されない。
【0075】
【化5】
【0076】
エポキシ化合物の具体例は、ノボラック型(フェノールノボラック型およびクレゾールノボラック型)エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、脂環式および複素環式エポキシ樹脂、ならびに、ジシクロペンタジエン骨格やナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられ、好ましくはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂である。
【0077】
エポキシ化合物としては公知の方法で製造したエポキシ樹脂を用いてもよいし、また市販品を用いてもよい。
【0078】
市販品の例としては、jER828、同834、同1001、同1004(いずれも商品名:三菱化学(株))、エピクロン840、同850、同1050、同2055、(いずれも商品名:DIC(株))、エポトートYD−011、同YD−013、同YD−127、同YD−128(いずれも商品名:新日鐵化学(株))、D.E.R.317、同331、同661、同664(いずれも商品名:ダウ・ケミカル日本(株))、アラルダイト6071、同6084、同GY250、同GY260(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))、スミ−エポキシESA−011、同ESA−014、同ELA−115、同ELA−128(いずれも商品名:住友化学工業(株))、A.E.R.330、同331、同661および同664(いずれも商品名:旭化成イーマテリアルズ(株))等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;
jER152、154(いずれも商品名:三菱化学(株))、D.E.R.431、同438(いずれも商品名:ダウ・ケミカル日本(株))、エピクロンN−730、同N−770、同N−865(いずれも商品名:DIC(株))、エポトートYDCN−701、同YDCN−704(いずれも商品名:新日鐵化学(株))、アラルダイトECN1235、同ECN1273、同ECN1299(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))、XPY307、EPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306(いずれも商品名:日本化薬(株))、スミ−エポキシESCN−195X、同ESCN−220(いずれも商品名:住友化学工業(株))、A.E.R.ECN−235および同ECN−299(いずれも商品名:旭化成イーマテリアルズ(株))等のノボラック型エポキシ樹脂;
エピクロン830(商品名:DIC(株))、jER807(商品名:三菱化学(株))、エポトートYDF−170(商品名:新日鐵化学(株))、YDF−175、YDF−2001、YDF−2004およびアラルダイトXPY306(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;
エポトートST−2004、同ST−2007および同ST−3000(いずれも商品名:新日鐵化学(株))等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;
セロキサイド2021P(商品名:(株)ダイセル)、アラルダイトCY175および同CY179(いずれも商品名:ハンツマン・ジャパン(株))等の脂環式エポキシ樹脂;
YL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名:三菱化学(株))等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;
EBPS−200(商品名:日本化薬(株))、EPX−30(商品名:(株)ADEKA)およびEXA−1514(商品名:DIC(株))等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;
jER157S(商品名:三菱化学(株))等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;
YL−931(商品名:三菱化学(株))およびアラルダイト163(商品名:ハンツマン・ジャパン(株))等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;
アラルダイトPT810(商品名:ハンツマン・ジャパン(株))およびTEPIC(商品名:日産化学工業(株))等の複素環式エポキシ樹脂;
HP−4032、EXA−4750およびEXA−4700(いずれも商品名:DIC(株))等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;
HP−7200、HP−7200HおよびHP−7200HH(いずれも商品名:DIC(株))等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;
テクモアVG3101L(商品名:三井化学(株))、YL−933(商品名:三菱化学(株))、EPPN−501およびEPPN−502(いずれも商品名:日本化薬(株))等のトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0079】
本発明のインクに用いられうるエポキシ化合物は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0080】
1−5−4−2.エポキシ硬化剤
エポキシ硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤および触媒系硬化剤などが好ましい。
【0081】
前記酸無水物系硬化剤としては、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、およびスチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0082】
前記ポリアミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、ケチミン化合物、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、およびジアミノジフェニルスルフォンなどが挙げられる。
【0083】
前記触媒系硬化剤としては、3級アミン化合物およびイミダゾール化合物が挙げられ、その具体例として、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2−フェニルイミダゾリン、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
【0084】
本発明のインクに用いられうるエポキシ硬化剤は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0085】
1−5−4−3.ビスマレイミド
ビスマレイミドとしては、例えば、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0086】
【化6】
【0087】
前記式(5)中、R8およびR10はそれぞれ独立に、水素またはメチルであり、R9は下記式(6)で表される二価の基である。
―R11―Y―R12― (6)
【0088】
前記式(6)中、R11およびR12はそれぞれ独立に、連続しない(隣り合わない)任意のメチレンが酸素で置き換えられてもよい炭素数1〜18のアルキレン、置換基を有してもよい芳香環を有する二価の基、または置換基を有してもよいシクロアルキレンである。前記置換基としては、例えば、カルボキシル、ヒドロキシ、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシが挙げられる。耐熱性の高い硬化膜が得られる点で、R11およびR12はそれぞれ独立に下記群(b)から選ばれる1種の二価の基であることが好ましい。
【0089】
【化7】
【0090】
前記式(6)中、Yは下記群(c)から選ばれる1種の二価の基である。
【0091】
【化8】
【0092】
本発明のインクに用いられうるビスマレイミドは、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0093】
1−5−4−4.フェノール樹脂またはフェノール性水酸基を含有する樹脂
フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とアルデヒド類との縮合反応により得られるノボラック樹脂が好ましく用いられ、フェノール性水酸基を含有する樹脂としては、ビニルフェノールの単独重合体(水素添加物を含む)、および、ビニルフェノールとこれと共重合可能な化合物とのビニルフェノール系共重合体(水素添加物を含む)などが好ましく用いられる。
【0094】
フェノール性水酸基を有する芳香族化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テルペン骨格含有ジフェノール、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、およびβ−ナフトールなどが挙げられる。
【0095】
アルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられる。
【0096】
ビニルフェノールと共重合可能な化合物としては、(メタ)アクリル酸またはその誘導体、スチレンまたはその誘導体、無水マレイン酸、酢酸ビニル、およびアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0097】
フェノール樹脂の具体例としては、レヂトップPSM−6200(商品名:群栄化学工業(株))、ショウノールBRG−555(商品名:昭和電工(株))、フェノール性水酸基を含有する樹脂の具体的な例としては、マルカリンカーM S−2G、マルカリンカーCST70およびマルカリンカーPHM−C(いずれも商品名:丸善石油化学(株))が挙げられる。
【0098】
本発明のインクに用いられうるフェノール樹脂またはフェノール性水酸基を含有する樹脂は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0099】
1−5−4−5.メラミン樹脂
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により製造される樹脂であれば特に限定されず、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、メチロールベンゾグアナミンおよびエーテル化メチロールベンゾグアナミン等の縮合物などが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化膜の耐薬品性が良好となる点で、エーテル化メチロールメラミンの縮合物が好ましい。
【0100】
メラミン樹脂の具体例としては、ニカラックMW−30、同MW−30HM、同MW−390、同MW−100LM、同MX−750LM(商品名:三和ケミカル(株))が挙げられる。
【0101】
本発明のインクに用いられうるメラミン樹脂は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0102】
1−5−5.熱重合開始剤
本発明のインクは、加熱工程によりインクの硬化性を向上させるために熱重合開始剤を含有してもよい。熱重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、サンエイドSI−60L、同SI−80L、同SI−100L、同SI−110L、同SI−180L、同SI−110、同SI−180(商品名:三新化学工業(株))を挙げることができる。これらの中でも2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。
【0103】
本発明のインクに用いられうる熱重合開始剤は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0104】
熱重合開始剤の含有量は、好ましくは本発明のインク総量に対し、10重量%以下であり、添加効果および吐出安定性等の観点からより好ましくは0.005〜10重量%である。
【0105】
1−5−6.酸化防止剤
本発明のインクは、得られる硬化膜等の酸化を防止するために、酸化防止剤を含有してもよい。
【0106】
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル等のヒンダードフェノール化合物、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等のアミン化合物などが挙げられる。
【0107】
本発明のインクに用いられうる酸化防止剤は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0108】
酸化防止剤の含有量は、本発明のインク総量に対し、好ましくは3重量%以下であり、添加効果および吐出安定性等の観点からより好ましくは0.005〜2重量%である。
【0109】
1−5−7.着色剤
本発明のインクは、着色であっても無色であってもよいが、例えば、該インクを基板に塗布等して硬化させることにより得られるマイクロレンズの状態を検査する際に、マイクロレンズと基板との識別を容易にするために、着色剤を含んでもよい。着色剤としては、染料および顔料が好ましい。
【0110】
本発明のインクに用いられうる着色剤は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0111】
着色剤の含有量は、本発明のインク中の固形分100重量部に対し、0.1〜5重量部であると、該インクから得られるマイクロレンズの検査が容易になるので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.1〜1重量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0112】
1−6.インクの保存
本発明のインクは、5〜25℃で保存すると保存中の粘度変化が小さく、保存安定性が良好である。
【0113】
1−7.インクの粘度
本発明のインクの、E型回転粘度計で測定した25℃における粘度は2〜200mPa・sであることが好ましく、より好ましくは2〜100mPa・sである。粘度がこの範囲にあると、インクジェット装置による吐出性が良好となる。
【0114】
1−8.インクの調製方法
本発明のインクは、原料となる各成分を公知の方法により混合することで調製することができる。
特に、本発明のインクは、前記(メタ)アクリルアミド(A)、環状(メタ)アクリルアミド(B)、ウレタン(メタ)アクリレート(C)および光重合開始剤(D)、ならびに必要に応じてその他の成分を混合し、得られた溶液を例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターを用いてろ過して脱気することにより調製されることが好ましい。このようにして調製されたインクは、吐出性に優れる。
【0115】
1−9.インクジェット法によるインクの塗布
本発明のインクは、公知のインクジェット法を用いて塗布することができる。インクジェット法としては、例えば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクをインクジェットヘッドから吐出させるピエゾ方式、およびインクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる塗布方法(いわゆるサーマル方式)が挙げられる。
【0116】
インクジェット法を用いることにより、本発明のインクを予め定められたパターン状に容易に塗布することができ、均一なパターンを大きな基板上に形成することができる。
【0117】
インクジェットヘッドとしては、例えば、金属および/または金属酸化物からなる発熱部を有するものが挙げられる。金属および/または金属酸化物の具体例としては、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、およびこれらの金属の酸化物が挙げられる。
【0118】
本発明のインクを用いて塗布を行う際に用いる好ましい塗布装置としては、例えば、インクが収容されるインク収容部を有するインクジェットヘッド内のインクに、塗布信号に対応したエネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させながら、前記塗布信号に対応した塗布(描画)を行う装置が挙げられる。
【0119】
前記インクジェット塗布装置は、インクジェットヘッドとインク収容部とが分離されているものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。また、インク収容部はインクジェットヘッドに対し分離可能または分離不能に一体化されて、キャリッジに搭載されるものでもよく、装置の固定部位に設けられてもよい。後者の場合、インク供給部材、例えばチューブを介してインクジェットヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0120】
2.マイクロレンズ
本発明のマイクロレンズは、上述した本発明のインクから形成され、具体的には、本発明のインクをインクジェット法により基板表面に塗布した後に、該インクに紫外線や可視光線等の光を照射して硬化させることで得られるマイクロレンズが好ましい。
本発明のマイクロレンズは、前記本発明のインクを硬化させることで得られるため、良好な形状を有し、かつ、恒温恒湿試験後でも光学特性が良好であるマイクロレンズである。
【0121】
紫外線や可視光線等を照射する場合、照射する露光量は、前記インクの組成に応じて適宜選択すればよいが、100〜5,000mJ/cm2程度が好ましく、150〜2,000mJ/cm2程度がより好ましく、180〜1,000mJ/cm2程度がさらに好ましい。また、照射する紫外線や可視光線等の波長は、200〜500nmが好ましく、250〜450nmがより好ましい。
なお、本発明において、露光量はウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PD(商品名)を取り付けた積算光量計UIT−201(商品名)で測定した値である。
【0122】
なお、露光機としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、無電極ランプ等を搭載し、200〜500nmの範囲で、紫外線や可視光線等を照射する装置であることが好ましい。
【0123】
また、必要に応じて、光の照射により硬化したマイクロレンズをさらに加熱・焼成してもよく、80〜250℃で10〜60分間加熱・焼成をすることによって、マイクロレンズをより強固に硬化させることができる。
【0124】
本発明のインクが塗布される「基板」は、本発明のインクが塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状等であってもよい。
【0125】
前記基板としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)などからなるポリエステル系樹脂基板;ポリエチレンおよびポリプロピレンなどからなるポリオレフィン樹脂基板;ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリイミドなどからなる有機高分子フィルム;セロハンからなる基板;金属箔;ポリイミドと金属箔との積層フィルム;目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、ポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷんまたはカルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙;およびガラス基板を挙げることができる。
本発明のインクによれば、アクリル系樹脂基板上においても、基板の表面処理を行わずに良好な形状のマイクロレンズを形成することができるため好ましい。
【0126】
前記基板としては、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および/または電磁波防止剤などの添加剤を含有した基板を用いてもよい。また、前記基板としては、基板の表面の少なくとも一部に、必要によりコロナ処理、プラズマ処理またはブラスト処理など表面処理を施した基板であってもよく、表面に易接着層やカラーフィルター用保護膜、ハードコート膜を設けた基板であってもよい。
【0127】
上述のように、本発明のインクによれば、基板の表面処理を行わなくても良好な形状のマイクロレンズを形成することができるが、より径が小さく高さの高いマイクロレンズを得るなどの目的で、必要により、基板表面を撥液処理してもよい。
なお、本発明のインクを、基板、特にアクリル基板上に吐出する場合、該基板の表面状態は、ムラがない(部分的に極端に親液であったり、撥液でない)ことが好ましい。従って、基板表面のムラをなくす目的で、基板表面を表面処理しておくことが好ましい。
【0128】
前記基板の厚さは特に限定されないが、通常、10μm〜4mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、50μm〜2mmが好ましく、100μm〜1mmがさらに好ましい。
【0129】
前記マイクロレンズのレンズ径(D)に対するレンズ高さ(H)の比(H/D)は、所望の用途に応じ適宜選択すればよく特に限定されないが、光の取り出し効率に優れる光学部品等を製造できる点から、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.16以上である。
本発明において、「良好な形状のマイクロレンズ」とは、例えば、略真円状であり、レンズ径に対するレンズ高さの比が前記範囲にあるようなマイクロレンズのことをいう。
【0130】
前記マイクロレンズは、波長400nmにおける光透過率が好ましくは98%以上、より好ましくは98.5%以上である。
【0131】
3.光学部品
本発明の光学部品は、前記マイクロレンズを有すれば特に制限されないが、基板上に前記マイクロレンズが設けられたものが好ましい。
このような光学部品としては、導光板などが挙げられる。
【0132】
4.装置
本発明の装置は、前記光学部品を有する。
このような装置としては、ディスプレイおよび照明などが挙げられる。
前記導光板をバックライトに組み込むことで、例えば、液晶表示素子用の液晶ディスプレイを作製することができ、導光板と高輝度LEDを内蔵したLED光源部を導光板の両端に備えた構成とすることで、LED照明を作成することができる。
【実施例】
【0133】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下では、実施例で得られたインクジェットインクを単にインクと呼ぶことがある。すなわち、例えばインクジェットインク1をインク1と呼ぶことがある。
【0134】
[実施例1]
(メタ)アクリルアミド(A)として、N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミドであるHEAA(商品名:興人(株))、環状(メタ)アクリルアミド(B)として、N−アクリロイルモルフォリンであるACMO(商品名:興人(株))、ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、CN9893(商品名:サートマー(株)、二官能のウレタン(メタ)アクリレート)および光重合開始剤(D)として、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルとの混合物であるIRGACURE754(商品名:BASFジャパン(株)、以後「Ir754」と略す。)を下記組成割合にて混合し、完全溶解させた後、超高分子量ポリエチレン(UPE)製のメンブレンフィルター(0.2μm)でろ過し、ろ液(インク1)を得た。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 78.00g
(C)CN9893 12.00g
(D)Ir754 7.00g
【0135】
E型粘度計(東機産業(株) TV−22、以下同じ)を用い、25℃におけるインク1の粘度を測定した結果、44mPa・sであった。
【0136】
[実施例2]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、KAYARAD UXE−1000(商品名:日本化薬(株)、4官能のウレタン(メタ)アクリレート。以後「UXE−1000」と略す。)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク2を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 78.00g
(C)UXE−1000 12.00g
(D)Ir754 7.00g
【0137】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク2の粘度を測定した結果、48mPa・sであった。
【0138】
[実施例3]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、U−6LPA(商品名:新中村化学工業(株)、6官能のウレタン(メタ)アクリレート)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク3を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 80.00g
(C)U−6LPA 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0139】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク3の粘度を測定した結果、48mPa・sであった。
【0140】
[実施例4]
(メタ)アクリルアミド(A)として、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(以後「HMAA」と略す。)を用い、ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、CN9001(商品名:サートマー(株)、2官能のウレタン(メタ)アクリレート)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク4を調製した。
(A)HMAA 10.00g
(B)ACMO 80.00g
(C)CN9001 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0141】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク4の粘度を測定した結果、41mPa・sであった。
【0142】
[実施例5]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、CN2302(商品名:サートマー(株)、16官能のウレタン(メタ)アクリレート。25℃における粘度:300mPa・s)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク5を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 70.00g
(C)CN2302 20.00g
(D)Ir754 7.00g
【0143】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク5の粘度を測定した結果、38mPa・sであった。
【0144】
[比較例1]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)を使用せず、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク6を調製した。
(A)HEAA 20.00g
(B)ACMO 80.00g
(D)Ir754 7.00g
【0145】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク6の粘度を測定した結果、33mPa・sであった。
【0146】
[比較例2]
(メタ)アクリルアミド(A)を使用せず、代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以後「HEMA」と略す。)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク7を調製した。
(その他)HEMA 10.00g
(B)ACMO 80.00g
(C)CN9893 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0147】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク7の粘度を測定した結果、25mPa・sであった。
【0148】
[比較例3]
(メタ)アクリルアミド(A)を使用せず、代わりに、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド(以後「BMAA」と略す。)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク8を調製した。
(その他)BMAA 10.00g
(B)ACMO 80.00g
(C)CN9893 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0149】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク8の粘度を測定した結果、29mPa・sであった。
【0150】
[比較例4]
環状(メタ)アクリルアミド(B)を使用せず、代わりに、N,N−ジエチルアクリルアミド(以後「DEAA」と略す。)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク9を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(その他)DEAA 80.00g
(C)CN9893 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0151】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク9の粘度を測定した結果、8mPa・sであった。
【0152】
[比較例5]
環状(メタ)アクリルアミド(B)を使用せず、代わりに、テトラヒドロフルフリルアクリレート(以後「THFA」と略す。)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク10を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(その他)THFA 80.00g
(C)CN9893 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0153】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク10の粘度を測定した結果、12mPa・sであった。
【0154】
[比較例6]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)を使用せず、代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートであるIRR214−K(商品名:ダイセル・サイテック(株))を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク11を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 80.00g
(その他)IRR214−K 10.00g
(D)Ir754 7.00g
【0155】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク11の粘度を測定した結果、18mPa・sであった。
【0156】
[比較例7]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)を使用せず、代わりに、EBECRYL 140(商品名:ダイセル・サイテック(株)。以後「EB−140」と略す。)を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク12を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 75.00g
(その他)EB−140 15.00g
(D)Ir754 7.00g
【0157】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク12の粘度を測定した結果、16mPa・sであった。
【0158】
[比較例8]
ウレタン(メタ)アクリレート(C)を使用せず、代わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであるDPHA(商品名:日油(株))を用い、下記割合とした以外は、実施例1と同様にして、インク13を調製した。
(A)HEAA 10.00g
(B)ACMO 75.00g
(その他)DPHA 15.00g
(D)Ir754 7.00g
【0159】
E型粘度計を用い、25℃におけるインク13の粘度を測定した結果、27mPa・sであった。
【0160】
<インク、マイクロレンズおよび硬化膜の評価>
上記で得られたインクをインクジェット吐出して得られるマイクロレンズの形状評価およびH/Dの評価、また、上記で得られたインクより得られる硬化膜の400nmでの光線透過率とL***表色系におけるb*の値の測定、恒温恒湿試験後の400nmの光線透過率とL***表色系におけるb*の値の測定および膜厚測定を行った。
【0161】
(マイクロレンズの形成)
上記で得られたインク(1〜13)をインクジェットカートリッジに注入し、10pl(ピコリットル)用のインクジェットヘッドを用いて、インクジェット装置DMP−2831(商品名:FUJIFILM Dimatix Inc.)に装着し、吐出電圧(ピエゾ電圧)、吐出温度は、共にインク粘度に応じて表1に記載のとおり設定した。駆動周波数5kHzで、アクリル基板デラグラスAD999(商品名:旭化成テクノプラス(株))上に150μm間隔で1ドットずつ吐出した。その後、ドットパターンが等間隔で形成されたアクリル基板にUV照射装置J−CURE1500(商品名:(株)ジャテック)を用いて積算露光量1,000mJ/cm2の光を照射し、インク(1〜13)を硬化させることで、マイクロレンズが形成されたアクリル基板(1a〜13a)を得た。このアクリル基板(1a〜13a)を用いて、以下の測定および評価を行った。
【0162】
(形状の評価)
上記のようにして得られたマイクロレンズが形成された基板(1a〜13a)上のマイクロレンズの形状を、光学式顕微鏡BX51(商品名:OLYMPUS(株))を用いて観察することで、マイクロレンズの形状を表1に記載のとおり評価した。
なお、マイクロレンズの形状の評価基準は以下の通りである。
◎:全てのマイクロレンズの形状が略真円状である
○:殆どのマイクロレンズの形状が略真円状だが、極まれに略真円状でないマイクロレンズが見られる
△:マイクロレンズの形状が略真円状であるものとないものが入り混じっている
×:全てのマイクロレンズの形状がいびつである
【0163】
本発明における「略真円状」とは、基板上に形成されたマイクロレンズの平面図(マイクロレンズが形成された基板をマイクロレンズの上方から基板方向(マイクロレンズの高さ方向)に向かって見た場合の図)において、該マイクロレンズが円形(または楕円形)状に見える場合、好ましくは該マイクロレンズの輪郭がなめらかな円(または楕円)を描くような形状である場合のことをいい、円の一部が削り取られたような形状であったり、円の一部が飛び出しているような形状であったり、該マイクロレンズの輪郭が凸凹している場合を、マイクロレンズの形状が略真円状でないとか、いびつであるという。
【0164】
(H/Dの評価)
上記のマイクロレンズのレンズ径を、光学式顕微鏡BX51(商品名:OLYMPUS(株))用いて測定した。レンズ径の値には、任意の3つのマイクロレンズの径の平均値を用いた。その後、上記のマイクロレンズのレンズの高さを、KLA−Tencor Japan(株)製、触針式膜厚計P−15(商品名)を使用して測定した。レンズの高さの値には任意の3つのマイクロレンズの高さの平均値を用いた。
【0165】
上記のように得られた、マイクロレンズの高さを、マイクロレンズの径で割り、H/D(Height/Diameter)の値を算出した。(1a〜13a)上のマイクロレンズのH/Dの値を、表1に示す。
【0166】
(硬化膜の形成)
4cm角のガラス基板(厚さ:0.7mm)に、表2に記載の回転数に設定したスピンコーターで、インク(1〜13)を塗布した。その後、インク(1〜13)が塗布されたガラス基板を、マイクロレンズ形成と同様の積算露光量1,000mJ/cm2の光を照射し、インク(1〜13)を硬化させることで、硬化膜形成基板(1b〜13b)を得た。この硬化膜形成基板(1b〜13b)を用いて、以下の測定および評価を行った。
【0167】
(光学特性評価)
得られた硬化膜形成基板(1b〜13b)を用い、波長400nmでの光線透過率、およびb*の値を測定した。光線透過率測定およびb*の値は、透過率測定装置V−670(商品名:日本分光(株))を用いて測定した。
なお、リファレンスとして、硬化膜を形成していない4cm角のガラス基板を用いた。硬化膜形成基板(1b〜13b)の400nmでの光線透過率と、b*の値を表2に示す。
【0168】
(恒温恒湿試験後の光学特性評価)
上記の硬化膜形成基板(1b〜13b)を、炉内温度50℃、相対湿度90%の条件に設定した、小型恒温恒湿試験機SH−641(商品名:エスペック(株))中に、65時間静置した。その後、硬化膜形成基板(1b〜13b)を小型恒温恒湿試験機から取り出し、恒温恒湿試験前と同様に波長400nmでの光線透過率、およびb*の値を測定した。
恒温恒湿試験後の硬化膜形成基板(1b〜13b)の400nmでの光線透過率と、b*の値を表2に示す。
【0169】
(膜厚の測定)
上記恒温恒湿試験後の硬化膜付ガラス基板(1b〜13b)の硬化膜の一部をカッターで削り、段差部分の膜厚をKLA−Tencor Japan(株)製、触針式膜厚計P−15(商品名)を使用して測定し、3箇所の測定の平均値を算出した。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
表1および表2から分かるとおり、実施例1〜5では、マイクロレンズのH/Dの値が大きく、恒温恒湿試験後でも光学特性が良好であった。実施例5は、粘度の低いウレタン(メタ)アクリレート(C)を用いたので、若干H/Dが低下した。
【産業上の利用可能性】
【0173】
以上、説明したように、本発明によれば、基板に対してマイクロレンズを容易に形成するための表面処理をしなくても、良好な形状のマイクロレンズを形成することができる。また、本発明のインクより得られるマイクロレンズの光学特性は、恒温恒湿試験後でも光学特性に優れる。
したがって、本発明のインクは、導光板等の光学部品およびそれを有するディスプレイや照明などの装置を製造するために好適に用いることができる。