(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0012】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
《通信システム全体の概略構成》
図1は、本発明の一実施の形態による通信システムにおいて、その全体の構成例を示す概略図である。
図1に示す通信システムは、ネットワークNWを介して接続された複数台(ここではn台)のスイッチ装置(又はネットワーク中継装置とも呼ぶ)SW1〜SWnを備える。SW1〜SWnのそれぞれは、ボックス型スイッチ装置によって構成される。NWは、主に通信回線によって構成されるが、その接続形態は特に問わない。NWは、例えば、SW1〜SWnがリング状に接続されるような接続形態を備えていても、メッシュ状に接続されるような接続形態を備えていてもよい。また、NWは、場合によっては、光伝送装置等を介して長距離で接続されるような接続形態を備えていてもよい。すなわち、NWは、SW1〜SWn間の通信経路を、直接的な形態、あるいはスイッチ装置や光伝送装置等を挟む間接的な形態で備えていればよい。
【0015】
図1のスイッチ装置SW1〜SWnは、仮想管理グループVGとして、管理用端末TM1から仮想的に1台のスイッチのように管理される。特に限定はされないが、例えば、TM1からVGに向けた管理命令に応じて、各SW1〜SWn(およびその中の各ポート)の稼働状態をTM1において一括して表示したり、SW1〜SWnに対して所定の設定(例えばVLANの設定等)を一括して行ったりすることなどが可能となっている。SW1〜SWnのそれぞれは、一般的なL3スイッチ(又はL2スイッチ)としての機能に加えて、このような一元管理を実現するために必要な各種機能を備えている。
【0016】
その一元管理機能の一つとして、
図1のスイッチ装置SW1〜SWnのそれぞれは、マスタモードMSR、バックアップモードBUP、メンバモードMEMのいずれか一つのモードで動作する機能を備える。ここでは第1スイッチ装置となるSW1がMSRで動作しており、第2スイッチ装置となるSW2がBUPで動作しており、単数または複数の第3スイッチ装置となるSW3〜SWnのそれぞれがMEMで動作している。MSRで動作するスイッチ装置SW1は、BUPで動作するスイッチ装置SW2およびMEMで動作する各スイッチ装置SW3〜SWnを管理する。例えば、仮想管理グループVGに設定された所定のIPアドレスを宛先として管理用端末TM1から管理命令が発行された場合、MSRで動作するスイッチ装置は、当該管理命令を解読し、BUPおよびMEMで動作する各スイッチ装置との間で適宜通信を行うことで当該管理命令に応じた処理を実行する。
【0017】
バックアップモードBUPで動作するスイッチ装置SW2は、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置SW1に障害が生じた場合に、SW1に代わってMSRで動作し、メンバモードMEMで動作する各スイッチ装置SW3〜SWnを管理する。MEMで動作する各スイッチ装置SW3〜SWnは、主に、MSRで動作するスイッチ装置からの命令を受けて、当該命令を解読し、当該命令に応じた処理を行う。
【0018】
ここで、
図1の各スイッチ装置SW1〜SWnは、予めユーザの設定によって、初期状態で(言い換えれば通信システムの立ち上げ時に)マスタモードMSR、バックアップモードBUP、メンバモードMEMのいずれで動作するかが定められている。これによって、初期状態でMSRで動作するスイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1に障害が生じた場合に、新たにMSRで動作するスイッチ装置(すなわち初期状態でBUPで動作する第2スイッチ装置SW2)を前述した特許文献2のような優先順位の処理等を用いずに定めることが可能になる。その結果、障害に対して迅速に対応することが可能となり、耐障害性の向上が図れる。
【0019】
《通信システム全体の初期期間での動作》
図2および
図3は、
図1の通信システムにおいて、通信の管理環境を構築するための初期期間での処理内容の一例を示す図である。まず、前提として、ここでは、
図1の通信システム内のマスタモードMSRで動作するスイッチ装置SW1は、識別子SWIDによってバックアップモードBUPおよびメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置SW2〜SWnを管理するものとする。このため、BUPおよびMEMで動作するSW2〜SWnのそれぞれは、MSRで動作するSW1に対して自身のSWIDを認識して貰う必要がある。また、その後、SW2〜SWnのそれぞれは、SW1との間で管理用の通信経路を構築する必要がある。
【0020】
さらに、前提として、ここでは、
図1の仮想管理グループVG内における管理用の通信は、TCP(Transmission Control Protocol)/IPプロトコル(言い換えればソケット通信)を用いて行われるものとする。バックアップモードBUPおよびメンバモードMEMで動作するスイッチ装置SW2〜SWnは、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置SW1との間の通信に際し、最初の通信ではIPアドレスが不明となる。そこで、ここでは、例えば、SW2〜SWnに対して予め仮のIPアドレスを共通に設定しておき、その後、SW2〜SWnのそれぞれとSW1との間の通信の過程でSW2〜SWnのそれぞれに対して接続用のIPアドレスを個別に設定し、仮のIPアドレスから接続用のIPアドレスに置き換える。MSRで動作するSW1は、BUPおよびMEMで動作するSW2〜SWnを実際に管理する際に、この接続用のIPアドレスを用いる。
【0021】
このような前提のもと、
図2において、まず、初期状態でバックアップモードBUPで動作するスイッチ装置(第2スイッチ装置)SW2は、初期状態でマスタモードMSRで動作するスイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1に向けて仮のIPアドレスを用いて識別子の取得要求IDRQを送信する。これに応じて、SW1は、SW2に対して識別子SWIDを割り当てた場合、識別子の取得通知IDRESを返信する。SW2は、IDRESを受信した場合、続いて、SW1に向けた接続要求CTRQの送信やSW1からの接続応答CTRESを含むハンドシェイクによってSW1との間でTCPコネクションを確立する。このTCPコネクションの中でSW2の接続用のIPアドレスが設定され、仮のIPアドレスから接続用のIPアドレスに置き換えられる。これによって、第2スイッチ装置となるSW2および第1スイッチ装置となるSW1の一方は、他方との間で管理用の通信経路を構築する。
【0022】
同様に、
図3において、まず、初期状態でメンバモードMEMで動作するスイッチ装置(第3スイッチ装置)SW3は、初期状態でマスタモードMSRで動作するスイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1に向けて仮のIPアドレスを用いて識別子の取得要求IDRQを送信する。これに応じて、SW1は、SW3に対して識別子SWIDを割り当てた場合、識別子の取得通知IDRESを返信する。SW3は、IDRESを受信した場合、続いて、SW1に向けた接続要求CTRQの送信やSW1からの接続応答CTRESを含むハンドシェイクによってSW1との間でTCPコネクションを確立する。このTCPコネクションの中でSW3の接続用のIPアドレスが設定され、仮のIPアドレスから接続用のIPアドレスに置き換えられる。
【0023】
これによって、第3スイッチ装置の一つとなるSW3および第1スイッチ装置となるSW1の一方は、他方との間で管理用の通信経路を構築する。図示は省略するが、
図1において第3スイッチ装置の他の一つとなるスイッチ装置SWnも、
図3の場合と同様の処理を行うことでマスタモードMSRで動作するSW1との間で相互に管理用の通信経路を構築する。
【0024】
なお、前述したように各スイッチ装置SW1〜SWnは、予めユーザ設定によって、初期状態でマスタモードMSR、バックアップモードBUP、メンバモードMEMのいずれで動作するかが定められる。特に限定はされないが、SW1〜SWnは、この他に、予めユーザ設定によって、初期状態での識別子SWIDや、管理用ポートとして使用するポート番号等も定められる。
【0025】
例えば、初期状態でバックアップモードBUPで動作するスイッチ装置SW2に対して、予めユーザ設定によって、動作モード=BUP、識別子SWID=ID2、ポート番号=xxのように設定しておく。この状態で通信システムを立ち上げると、SW2は、
図2の識別子の取得要求IDRQの中でスイッチ装置SW1に対してID2を使用したい旨を送信し、これを受けたSW1は、ID2を使用しているスイッチ装置が存在しない場合にはSW2に向けて識別子の取得通知IDRESを返信する。一方、SW1は、ID2を使用しているスイッチ装置が既に存在している場合には、その旨をユーザに認識させる。この場合、ユーザは、SW2の初期状態でのSWIDを再度設定することになる。
【0026】
また、
図2および
図3の処理内容は、特にこれに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。すなわち、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置がバックアップモードBUPおよびメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置をそれぞれ区別して管理することができ、かつそれぞれ個別に通信することができるような通信環境を構築する処理であればよい。
【0027】
《通信システム全体の通常期間での動作》
図4は、
図1の通信システムにおいて、通信の管理環境を構築した後の通常期間での処理内容の一例を示す図である。
図4において、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1は、バックアップモードBUPで動作するスイッチ装置(第2スイッチ装置)SW2およびメンバモードMEMで動作するスイッチ装置(単数または複数の第3スイッチ装置)SW3〜SWnに向けてハローパケット(第1制御信号)BCHを送信する。具体的には、SW1は、例えば所定の期間毎(例えば1s程度毎)にBCHをブロードキャストで送信する。
【0028】
一方、バックアップモードBUPで動作するスイッチ装置(第2スイッチ装置)SW2およびメンバモードMEMで動作するスイッチ装置(単数または複数の第3スイッチ装置)SW3〜SWnは、それぞれマスタモードMSRで動作するスイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1に向けてハローパケット(第2制御信号)UCH2〜UCHnを送信する。具体的には、SW2〜SWnは、それぞれSW1に向けて所定の期間毎(例えば1s程度毎)にUCH2〜UCHnをユニキャストで送信する。SW1は、UCH2〜UCHnの受信の可否によってSW2〜SWnのそれぞれの稼働状態(すなわち障害の有無)を管理する。その逆に、SW2〜SWnは、ハローパケット(第1制御信号)BCHの受信の可否によってSW1の稼働状態(すなわち障害の有無)を認識する。
【0029】
なお、ここでは、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置SW1は、バックアップモードBUP又はメンバモードMEMで動作するスイッチ装置SW2〜SWnに向けてハローパケット(第1制御信号)BCHをブロードキャストで送信した。ただし、MSRで動作するスイッチ装置の障害に応じて、BUPで動作するスイッチ装置を新たにMSRで動作させることのみを考慮すると、少なくとも、BUPで動作するSW2がSW1の稼働状態を認識できればよい。すなわち、場合によっては、SW1がSW2に向けてBCHをユニキャストで送信するような動作であってもよい。
【0030】
ここでは、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置SW1と、メンバモードMEMで動作するスイッチ装置SW3〜SWnとの間で、それぞれ双方向通信が確立していることを保証するため、SW1は、SW2に加えてSW3〜SWnに対してもハローパケット(第1制御信号)BCHをブロードキャストで送信している。これによって、SW1がSW3〜SWnを所定の管理要求を介して確実に管理できる状態であることが保証される。
【0031】
《通信システム全体のマスタ障害発生時の動作》
図5〜
図7は、
図1の通信システムにおいて、マスタモードで動作するスイッチ装置に障害が生じた場合の処理内容の一例を示す図である。前述した
図4において、バックアップモードBUPで動作するスイッチ装置(第2スイッチ装置)SW2は、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1からのハローパケット(第1制御信号)BCHを所定の期間(例えば15s程度)に渡って受信しない場合にSW1に代わってMSRに遷移する。MSRに遷移したSW2は、まず、
図5に示すように、メンバモードMEMで動作するスイッチ装置(単数または複数の第3スイッチ装置)SW3〜SWnに向けて初期化信号INIRQを送信する。具体的には、SW2は、例えばINIRQをブロードキャストで送信する。
【0032】
メンバモードMEMで動作するスイッチ装置SW3は、初期化信号INIRQを受信した際に、このINIRQの送信元を通信相手として、
図6に示すような処理を行う。
図6に示す処理内容は、SW3の通信相手がバックアップモードBUPからマスタモードMSRに遷移したスイッチ装置SW2に代わることを除いて前述した
図3の処理内容と同じである。簡単に説明すると、
図6において、SW3は、まず、SW2に向けて仮のIPアドレスを用いて識別子の取得要求IDRQを送信し、SW2から識別子の取得通知IDRESを受信する。これによって、MSRで動作するSW2は、MEMで動作するSW3を識別子SWDIDを用いて管理することが可能になる。
【0033】
続いて、スイッチ装置SW3は、スイッチ装置SW2との間で接続要求CTRQおよび接続応答CTRESを含むハンドシェイクを行うことでSW2との間でTCPコネクションを確立する。このTCPコネクションの中でSW3の接続用のIPアドレスが設定され、仮のIPアドレスから接続用のIPアドレスに置き換えられる。これによって、第3スイッチ装置の一つとなるSW3および第2スイッチ装置となるSW2の一方は、他方との間で管理用の通信経路を構築する。同様に、メンバモードMEMで動作するスイッチ装置SWnも、初期化信号INIRQを受信した際に、このINIRQの送信元を通信相手として、
図7に示すような処理を行う。
図7では、
図6の場合と同様に、SWnとSW2との間で、ここではSW3を経由して識別子の取得要求IDRQおよび識別子の取得通知IDRESの処理と、接続要求CTRQおよび接続応答CTRESを含むハンドシェイクの処理が行われている。これによって、第3スイッチ装置の他の一つとなるSWnおよび第2スイッチ装置となるSW2の一方は、他方との間で管理用の通信経路を構築する。
【0034】
なお、前述した
図4において、スイッチ装置(第1スイッチ装置)SW1は、ハローパケット(第1制御信号)BCHをメンバモードMEMで動作するスイッチ装置(単数または複数の第3スイッチ装置)SW3〜SWnに対しても送信している。SW3〜SWnのそれぞれは、SW1からのBCHを所定の期間に渡って受信しない場合、管理用の通信経路を構築する前の初期状態に遷移する。そして、初期状態に遷移したSW3〜SWnは、マスタモードMSRで動作する新たなスイッチ装置を検索する。このように、SW3〜SWnの初期状態への遷移と、
図5に示したように新たにMSRで動作するスイッチ装置SW2からの初期化信号INIRQとを併用することで、SW3〜SWnのそれぞれは、SW1に障害が有ることに関して自身とSW2で合意していることを認識できる。これによって、MSRで動作するスイッチ装置を新たに切り替えること自体の正当性を検証でき、より信頼性を高めることが可能になる。
【0035】
《スイッチ装置(ネットワーク中継装置)の構成》
図8は、
図1の通信システムにおいて、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置が持つ管理テーブルの構成例を示す図である。
図2および
図3で述べたように、MSRで動作するスイッチ装置(ネットワーク中継装置)は、バックアップモードBUPおよびメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置(ネットワーク中継装置)を識別子SWIDによって管理する。そこで、MSRで動作するスイッチ装置は、例えば、
図8に示すような管理テーブルMTBLを生成する。
図8のMTBLには、管理情報として、各識別子SWID毎に、その動作モード、ポート番号、稼働状態等が示されている。なお、管理情報は、これに限らず、その他、管理に必要な項目が適宜含まれる。
【0036】
例えば、識別子SWIDが「ID2」のスイッチ装置(
図1のSW2)の管理情報を例とすると、動作モードはバックアップモードBUPであり、ポート番号にはSW2と管理用の通信を行うための宛先ポートが示され、稼働状態は「稼働中」となっている。また、仮に、
図1のスイッチ装置SWnのSWIDが「IDn」であるものとして、SWnが故障した場合、
図8に示すように、「IDn」に対応する稼働状態は「停止中」となる。この状況は、例えば
図4において、スイッチ装置SW1がSWnからのハローパケット(第2制御信号)UCHnを所定の期間に渡って受信できない場合に生じる。
【0037】
図9は、
図1の通信システムにおいて、その各スイッチ装置の主要部の概略構成例を示すブロック図である。
図9に示すスイッチ装置(ネットワーク中継装置)SWは、複数(ここではm個)のポートP1〜Pmと、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLと、管理制御部MCTLとを備える。P1〜Pmのそれぞれは、L3レベル(又はL2レベル)における規格上の通信プロトコルに基づいてユーザのデータパケットの送信または受信を行う一般ポートで構成される。FFCTLは、ルーティングテーブルやMAC(Media Access Control)アドレステーブル等に基づきP1〜Pm間でのパケット(フレーム)の転送を制御する。
【0038】
管理制御部MCTLは、動作モード保持部MDと、制御パケット(フレーム)生成部CFGと、制御パケット(フレーム)検出部CFDを含む。動作モード保持部MDには、前述したマスタモードMSR、バックアップモードBUP、メンバモードMEMのいずれかが保持される。MCTLは、このMDによって保持される動作モードに応じて、それぞれ異なる動作を行う。CFGは、動作モードに応じて
図4に示したハローパケットBCH,UCHの生成や、
図5に示した初期化信号INIRQの生成等を行う。CFDも、動作モードに応じてBCH,UCHの検出や、INIRQの検出等を行う。
【0039】
ここで、管理用のポートは、一般ポートであるポートP1〜Pmの中からユーザ設定によって任意に選択することが可能となっている。そして、この一般ポートを用いて
図2および
図3で述べたような処理を実行することで、管理用の通信経路が構築される。通常、一元管理を実現するための管理用のポートは、前述した特許文献1および特許文献2に示されるように、専用ポートとなるスタックポートが使用される。ただし、この場合、各スイッチ装置間の接続形態が限定されたり、あるいは各スイッチ装置間を接続する距離が限定される恐れがある。一般ポートを用いれば、このような問題を解決することができ、様々な接続形態を持つ通信システムを一元管理することが可能になる。
【0040】
《スイッチ装置(ネットワーク中継装置)の動作》
図10は、
図9のスイッチ装置において、マスタモードMSR時の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。
図10において、スイッチ装置(ネットワーク中継装置)SWは、まず、
図2および
図3に示したように、バックアップモードBUPやメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置(ネットワーク中継装置)との間で管理用の通信経路を構築する(ステップS101)。具体的には、
図9の管理制御部MCTLが備える所定の初期設定アルゴリズムに基づいて、
図2および
図3に示したような処理が順次実行される。
【0041】
続いて、スイッチ装置SWは、ユーザ(すなわち
図1の管理用端末TM1)からの管理命令を待ち(ステップS102)、管理命令を受信した場合、それに応じた処理を実行する(ステップS103)。具体的には、
図9の管理制御部MCTLは、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して受信した管理命令を解読し、その解読結果に応じて例えばバックアップモードBUPやメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置との間で適宜通信等を行う。
【0042】
また、スイッチ装置SWは、ステップS102の処理と並行して、ステップS104の処理とステップS105の処理を行う。ステップS104において、SWは、
図4に示したように、バックアップモードBUPやメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置に向けて所定の期間毎にハローパケット(第1制御信号)BCHを送信する。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)生成部CFGは、ブロードキャスト用のBCHを生成し、それをパケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して所定の管理用のポートから送信する。BCHは、各スイッチ装置の管理用のポートによって構成されたネットワーク内を伝送し、BUPやMEMで動作する各スイッチ装置に到達する。
【0043】
ステップS105において、スイッチ装置SWは、
図4に示したように、バックアップモードBUPやメンバモードMEMで動作する各スイッチ装置から所定の期間毎に送信された各ハローパケット(第2制御信号)UCHを監視する。そして、SWは、この監視結果に応じて
図8の管理テーブルMTBLを適宜更新する(ステップS106)。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)検出部CFDは、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して各UCHの受信の可否を監視する。そして、CFDは、所定の期間に渡って受信できないUCHがある場合には、管理制御部MCTL内に保持されるMTBLにおいて、当該UCHに対応するスイッチ装置の稼働状態を「停止中」にする。
【0044】
図11は、
図9のスイッチ装置において、バックアップモードBUP時の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。
図11において、スイッチ装置(ネットワーク中継装置)SWは、まず、
図2に示したように、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置(ネットワーク中継装置)との間で管理用の通信経路を構築する(ステップS201)。具体的には、
図9の管理制御部MCTLが備える所定の初期設定アルゴリズムに基づいて、
図2に示したような処理が順次実行される。
【0045】
続いて、スイッチ装置SWは、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置からの管理要求を待ち(ステップS202)、管理要求を受信した場合、それに応じた処理を実行する(ステップS203)。具体的には、
図9の管理制御部MCTLは、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して受信した管理要求を解読し、その解読結果に応じた処理を行い、例えばMSRで動作するスイッチ装置に向けて適宜返信等を行う。
【0046】
また、スイッチ装置SWは、ステップS202の処理と並行して、ステップS204の処理とステップS205の処理を行う。ステップS204において、SWは、
図4に示したように、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置に向けて所定の期間毎にハローパケット(第2制御信号)UCHを送信する。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)生成部CFGは、ユニキャスト用のUCHを生成し、それをパケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して所定の管理用のポートから送信する。
【0047】
ステップS205において、スイッチ装置SWは、
図4に示したように、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置からのハローパケット(第1制御信号)BCHを監視し、それを所定の期間に渡って受信できない場合(ステップS205)、MSRに遷移する(ステップS206)。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)検出部CFDは、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介してBCHの受信の可否を監視し、それを所定の期間に渡って受信できない場合、動作モード保持部MDの動作モードをMSRに変更する。
【0048】
次いで、マスタモードMSRに遷移したスイッチ装置SWは、
図5に示したように、メンバモードMEMで動作する各スイッチ装置に向けて初期化信号INIRQをブロードキャストで送信する(ステップS207)。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)生成部CFGは、ブロードキャスト用のINIRQを生成し、それをパケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して所定の管理用のポートから送信する。INIRQは、各スイッチ装置の管理用のポートによって構成されたネットワーク内を伝送し、MEMで動作する各スイッチ装置に到達する。なお、マスタモードMSRに遷移したスイッチ装置は、その後、前述した
図10の処理を行う。
【0049】
図12は、
図9のスイッチ装置において、メンバモードMEM時の主要な処理内容の一例を示すフロー図である。
図12において、スイッチ装置(ネットワーク中継装置)SWは、まず、
図3に示したように、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置(ネットワーク中継装置)との間で管理用の通信経路を構築する(ステップS301)。具体的には、
図9の管理制御部MCTLが備える所定の初期設定アルゴリズムに基づいて、
図3に示したような処理が順次実行される。
【0050】
続いて、スイッチ装置SWは、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置からの管理要求を待ち(ステップS302)、管理要求を受信した場合、それに応じた処理を実行する(ステップS303)。具体的には、
図9の管理制御部MCTLは、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して受信した管理要求を解読し、その解読結果に応じた処理を行い、例えばMSRで動作するスイッチ装置に向けて適宜返信等を行う。
【0051】
また、スイッチ装置SWは、ステップS302の処理と並行して、ステップS304の処理とステップS305の処理を行う。ステップS304において、SWは、
図4に示したように、マスタモードMSRで動作するスイッチ装置に向けて所定の期間毎にハローパケット(第2制御信号)UCHを送信する。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)生成部CFGは、ユニキャスト用のUCHを生成し、それをパケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介して所定の管理用のポートから送信する。
【0052】
ステップS305において、スイッチ装置SWは、
図5に示したように、マスタモードMSRに遷移したスイッチ装置からの初期化信号INIRQを監視する。具体的には、
図9の制御パケット(フレーム)検出部CFDは、パケット(フレーム)転送制御部FFCTLを介してINIRQの受信の有無を監視する。そして、SWは、INIRQを受信した際にはステップS301に戻り、
図6および
図7に示したように、MSRに遷移したスイッチ装置との間で管理用の通信経路を構築する。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0054】
例えば、ここでは、予めユーザ設定によってバックモードBUPで動作するスイッチ装置を1台定め、単一障害に対応する場合を例に説明を行った。この場合、例えば、初期状態でマスタモードMSRで動作するスイッチ装置に障害が発生し、その障害が復旧した後は、当該スイッチ装置を再びMSRで動作させ、初期状態でBUPで動作し、かつMSRに遷移しているスイッチ装置を再びBUPに戻せばよい。ただし、更にシステムの信頼性が必要とされる場合、初期状態でMSRで動作するスイッチ装置と初期状態でBUPで動作するスイッチ装置の両方に障害(すなわち二重障害)が生じることを想定して、予めユーザ設定によって第2のBUPで動作するスイッチ装置を定めることも可能である。この場合、第2のBUPで動作するスイッチ装置は、現在MSRで動作しているスイッチ装置(
図4のSW1又は
図5のSW2)から送信される筈のハローフレーム(
図4のBCH)を受信できない場合に、MSRに遷移すればよい。