(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回路基板と、前記回路基板の表面側または裏面側に形成されたアンテナ回路と、前記アンテナ回路の一部に形成された端子部と、この端子部とは電気的に独立のダミー端子部と、前記端子部及びダミー端子部に搭載されたICチップと、を有する非接触式IC実装基板であって、
前記ICチップが搭載されるIC実装部の回路基板上に、放熱パターンが配置され、
前記IC実装部における、前記端子部とダミー端子部と放熱パターンとを合わせた導体パターン領域が、前記IC実装部とほぼ重なるように形成され、前記IC実装部における、端子部とダミー端子部と放熱パターンとを合わせた導体パターン領域の面積が、IC実装部の面積の70%以上である非接触式IC実装基板。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触式ICカードは、キャッシュカード(バンクカード)、クレジットカード、社員証カード、鉄道・バス等の交通機関やアミューズメントのサービスに使用するプリペイドカード等、幅広い業界に導入され、身近な生活からビジネスまで様々な分野で利用が始まっている。更に、公共機関のサービスに利用する住民基本台帳カードや運転免許証カード等、セキュリティー性の高い分野へも普及が始まっている。一方で、非接触式ICカードに搭載されるICチップは、コスト低減のための小型化と、メモリの増大や高セキュリティー性を保持するような高機能デバイス化に伴い、通信動作中にICチップ自体が発熱し易く、ICチップの破壊や通信機能を低下させる不具合が発生する危険性が高くなっている。
【0003】
ICチップが発熱する原理は、情報読取り書込み装置により発生する誘導磁界を非接触ICカードが受信する際、高出力の磁界強度を受信すると、非接触式ICカードに搭載されたICチップへ過大な電力が供給され、ICチップの発熱量が増大する。長時間にわたり発熱温度が半導体の上限温度を超え続けると、ICチップ内部の半導体素子が破壊したり、電気特性が低下し通信機能が停止することになる。
【0004】
一般的に、前記のようなICチップ発熱不具合を防止する有効な手段の1つとしては、非接触式ICカードのアンテナ受信感度を低下させ、ICチップへ過度な電力を供給しないことが実施されている。例えば、アンテナの線幅を細くする、アンテナの厚みを薄くする、アンテナのターン数(全長)を増やす、又はアンテナの材質を変更することによってアンテナ抵抗を増加させる。他には、アンテナの開口面積を小さくする、共振周波数をシフトさせる等により、受信感度を下げることができる。しかしながら、上記のような方法では、情報読取り書込み装置との通信距離低下や、送受信信号の変調波形がなまり、安定した通信動作を行えない可能性がある。
【0005】
また、特許文献1によれば、共振回路(本特許ではアンテナ回路にあたる)に並列に接続されたインピーダンスと、共振回路とインピーダンスとを接続/非接続にするスイッチと、感熱素子によって検知された温度によってスイッチをオン/オフにする制御手段とを備える非接触式ICカードが示されている。感熱素子によって検知された温度が所定のレベルを超えた場合、スイッチがオンとなりインピーダンスが共振回路と接続される。すると、共振周波数が変動又はQ値が低下し、すなわち受信感度が低下し、ICチップへの供給電力が低下することで、発熱を抑制することができる。しかしながら、通信動作中に通信特性が変化してしまい、安定した通信動作を行えないこと、及び上記手段を達成するためには、製造コストを増加させるデメリットが考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、対応する部分には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。又、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1から
図4は、本発明の非接触式IC実装基板の第1の実施形態を、
図5は、第2の実施形態を、
図8は第3の実施形態を示すものである。本発明において、非接触式IC実装基板とは、非接触式ICカードを構成する部材として用いられるものであり、回路基板1と、前記回路基板1の表面側または裏面側に形成されたアンテナ回路2と、前記アンテナ回路2の一部に形成された端子部3と、この端子部3とは電気的に独立のダミー端子部13と、前記端子部3及びダミー端子部13に搭載されたICチップ4と、を有するものが挙げられる。
図1は、第1の実施形態の非接触式IC実装基板の全体を、表面側から見た平面図であり、
図2は、
図1の非接触式IC実装基板のICチップ4を実装する領域(以下、ICチップ4を実装する回路基板1上の領域を「IC実装部」という。)を、表面側から見た拡大平面図であり、
図3は、
図2のIC実装部を16、裏面側から見た拡大平面図であり、
図4は、
図3の破線箇所A−A’の断面を説明する図である。
図5は、第2の実施形態の非接触式IC実装基板のIC実装部16を、表面側から見た拡大平面図である。
図8は、第3の実施形態の非接触式IC実装基板のIC実装部16を、表面側から見た拡大平面図である。
【0013】
図1から
図4、
図5及び
図8に示すように、本発明の第1から第3の実施形態の非接触式IC実装基板は、回路基板1と、前記回路基板1の表面側に形成されたアンテナ回路2と、前記アンテナ回路2のパターンの一部に配置された端子部3と、この端子部3とは電気的に独立のダミー端子部13と、前記端子部3及びダミー端子部13にフェースダウン実装方式で搭載されたICチップ4とを有し、前記ICチップ4が実装されるIC実装部16における、前記端子部とダミー端子部と放熱パターンとを合わせた導体パターン領域が、前記IC実装部16(ICチップ4の表面積エリア)とほぼ重なるように形成される。
【0014】
本発明において、回路基板1とは、アンテナ回路2を支持する基板をいう。回路基板1としては、アンテナ回路2等の導体パターンを支持できるベース基材となるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド等のフィルム基材を用いることができる。アンテナ回路2とは、回路基板1上に設けられる導体パターンであって、ICチップ4からの電流を電波に変換して外部に送信したり、外部からの電波を受信して電流に変換しICチップ4に伝えるものをいう。アンテナ回路2は、例えば、
図1に示すように、螺旋状に周回するように設けられ、端子部3にICチップ4を接続することにより、閉回路とされる。アンテナ回路2には、銅やアルミニウム等の金属薄膜、又は銀ペースト等の導電性塗料等を用いることができる。本発明において、端子部3とは、回路基板1上に設けられる導体パターンであって、ICチップ4のバンプ部7と電気的に接続するアンテナ回路2の一部をいう。端子部3は、例えば、アンテナ回路2の端部に一対の対向する端子として形成することができる。ここで、端子部3と電気的に接続するICチップ4のバンプ部7は、ICチップ4の動作に必要なバンプ部7である。ICチップ4には、回路基板1への搭載のために、動作に不要なバンプ部(以下、「ダミーバンプ部」という。)を設けることがあるが、このダミーバンプ部14と接続する回路基板1の端子は、本発明において、ダミー端子部13といい、本発明の端子部3には含まれない。
【0015】
図1のようにアンテナ回路2が螺旋状に周回する場合は、閉回路にするために、アンテナ回路2の一部を跨ぐためのジャンパー配線6が必要となる。ジャンパー配線6の方法としては、回路基板1にスルーホール(図示しない。)を形成し、回路基板1裏面にジャンパー配線6をする方法や、アンテナ回路2の一部に絶縁層(図示しない。)を設け、その上にジャンパー配線6をする方法等が用いられる。
【0016】
ICチップ4は、回路基板1の端子部3と電気的に接続するためのバンプ部7及びダミー端子部13と接続するためのダミーバンプ部14が形成されているものを用いることが好ましい。バンプ部7とダミーバンプ部14は、それぞれ、2個ずつ設けられるのが一般的である。ICチップ4のバンプ部7とアンテナ回路2の端子部3を電気的に接続する方法には、異方導電性接着剤8を用いた接続方法や、超音波接合等の方法が用いられる。
【0017】
次に本発明の放熱パターン5とは、ICチップ4から発生した熱を放熱し易くするために設けられる導体パターンをいう。放熱パターン5は、
図3(第1の実施形態)のように、アンテナ回路2、端子部3及びダミー端子部13とは別の、電気的に独立した導体パターンとして設けることもできるし、
図5(第2の実施形態)及び
図8(第3の実施形態)のように、アンテナ回路2、端子部3又はダミー端子部13の何れかを、平面視においてICチップ4と重なる領域を拡大するようにして設けることもできる。放熱パターン5が設けられることにより、ICチップ4からの放熱効果を高めることが可能になり、非接触式の情報読取り書き込み装置から、高出力の誘導磁界が印加されてもICチップの発熱を抑制でき、通信特性の変化を抑制可能になる。
【0018】
放熱パターン5は、アンテナ回路2、端子部3、ダミー端子部13と同様に、回路基板1上に設けられた金属箔を用いて形成するのが好ましい。例えば、回路基板1上に設けられた銅やアルミニウム等の金属薄膜を用いると、放熱効果が得られるうえに、エッチング等によって、アンテナ回路2、端子部3、ダミー端子部13等の導体パターンと同時に形成することができ、製造コストを増加させることなく形成できる。
【0019】
また、IC実装部16において、端子部3とダミー端子部13と放熱パターン5とを合わせた導体パターン領域は、IC実装部16(平面視でICチップ4と重なる回路基板1上の領域)とほぼ重なるように形成する。このように、放熱パターン5を、IC実装部16とほぼ重なるように設けることで、ICチップ4から発生した熱を放熱させる効果を得ることができる。ここで、IC実装部16において、導体パターン領域が、IC実装部16とほぼ重なるというのは、IC実装部16において、端子部3、ダミー端子部13、放熱パターン5を合わせた導体パターンの面積が、IC実装部16の面積に対して70%以上であることをいい、導体パターンの面積がIC実装部16の面積に対して80%以上であればより好ましく、導体パターンの面積がIC実装部16の面積に対して90%以上であれば更に好ましい。
【0020】
但し、端子部3、ダミー端子部13、放熱パターン5の位置、形状によっては、ICチップ4に設けられたバンプ部7同士の短絡により、通信機能に不具合を起こす場合もあるため、端子部3の両端同士が短絡しないよう配置することは勿論、使用されるICチップ4の制約事項を考慮して導体パターンを設計する必要がある。そのためには、
図3(第1の実施形態)に示すように、端子部3、放熱パターン5、ダミー端子部13が何れも短絡しないように、それぞれの間に間隙(スリット)を形成したり、
図5(第2の実施形態)に示すように、端子部3を拡大して形成した放熱パターン5とダミー端子部13とが短絡しないように、それぞれの間に間隙を形成したり、
図8(第3の実施形態)に示すように、端子部3を拡大して形成した放熱パターン5と、ダミー端子部13を拡大して形成した放熱パターン5とが短絡しないように、それぞれの間に間隙を形成するのが好ましい。ここでいう間隙は、少なくとも絶縁性を確保可能な幅以上を有すればよく、且つできるだけ狭い方が、放熱パターン5の面積をより拡大できる点で好ましい。例えば、金属箔を用いて、放熱パターン5等をエッチング等によって形成する場合、間隙の幅は、エッチング残りが生じないよう、金属箔の厚みの2倍程度以上の幅にするのが好ましい。具体的には、9〜35μmの金属箔を用いた場合、間隙の幅は、20〜70μm程度以上であるのが好ましい。このように、必要な間隙を設けることを考慮すると、導体パターンの面積は、IC実装部16の面積に対して、70〜95%程度であるのが好ましい。
【0021】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る非接触式IC実装基板の概略構成を示すものであり、IC実装部16を、裏面側から見た拡大平面図である。IC実装部16の回路基板1上に配置された放熱パターン5が、端子部3を拡大して形成され、その結果、IC実装部16における、端子部3、ダミー端子部13、放熱パターン5を合わせた導体パターン領域が、IC実装部16とほぼ重なるように形成される。これにより、放熱パターン5が端子部3と連続して設けられ、これら両者の間に間隙を設ける必要がないので、その分、第1の実施形態に比べて、IC実装部16における、導体パターン領域の割合が大きくなり、より放熱効果を高めることができる。なお、第2の実施形態では、端子部3の方を拡大して放熱パターン5を形成したが、ダミー端子部13の方を拡大して放熱パターンを形成しても、同様に放熱効果を高めることができる。
【0022】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る非接触式IC実装基板の概略構成を示すものであり、IC実装部16を、裏面側から見た拡大平面図である。IC実装部16の回路基板1上に配置された放熱パターン5が、端子部3及びダミー端子部13の両者を拡大して形成され、その結果、IC実装部16における、端子部3、ダミー端子部13、放熱パターン5を合わせた導体パターン領域が、IC実装部16とほぼ重なるように形成される。これにより、放熱パターン5が端子部3と連続して設けられ、これら両者の間に間隙を設ける必要がないので、その分、第1の実施形態に比べて、IC実装部16における、導体パターン領域の割合が大きくなり、より放熱効果を高めることができる。また、端子部3とダミー端子部13の両者の面積が拡大するので、第1及び第2の実施形態に比べて、ICチップ4との位置合せが容易になるため、簡易な位置合せを採用することができ、装置コストを低減できる。さらに、実装時のICチップ4の位置ずれによる不良が低減するため、高歩留まりが実現でき、低コスト化を図ることが可能になる。
【0023】
図6は、上記の第1〜第3の実施形態の非接触式IC実装基板を用いて作製した非接触式ICカードを、表面上から見た平面図である。
図7は、第1の実施形態をの非接触式IC実装基板を用いて作製した非接触式ICカードの場合を例として、
図6の破線箇所B−B’の断面図を示す。
【0024】
図7に示すように、本発明の非接触式ICカードは、上記第1〜3の実施形態に係る非接触式IC実装基板と、回路基板の表面側に積層された接着剤A9と、更に前記接着剤A9の外側に積層された表皮基材A10と、回路基板の裏面側に積層された接着剤B11と、更に前記接着剤B11の外側に積層された表皮基材B12とから構成される。
【0025】
接着剤A9,接着剤B11は、IC実装基板と表皮基材A10、表皮基材B12とを接着できるものであれば特に制約するものではないが、例えばポリエステル系の熱可塑性接着剤や、ポリウレタン系の湿気反応型接着剤等を用いることができる。表面側に積層される接着剤A9は、ICチップ4の厚みより厚く積層しておくことが好ましく、カード成形時に熱プレスや熱ラミネートを行う際、接着剤A9が溶融、流動することで、ICチップ4への圧力負荷の低減や、カード表面の平滑性を良好にすることができる。
【0026】
表皮基材A10、表皮基材B12は、カードの必要特性を満足するものであれば特に制約するものではないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやアモルファスPETフィルム等のプラスチック材料を用いる。経済性の点では、発泡タイプのPETフィルムや、塩化ビニール、ポリプロピレン、紙基材等を用いることも可能である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の請求項に係る実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
まず回路基板1となる厚み50μmの透明PETの片面に、厚み9μmのアルミ箔を接着し、エッチング加工により螺旋状に周回するアンテナ回路2、端子部3、ダミー端子部13及び放熱パターン5を形成した。なお、アンテナ回路2線幅は0.75mm、端子部3及びダミー端子部13は縦0.75mm、横0.75mmとした。
【0029】
次に、アンテナ回路2の最外周部と最内周部の一部にスルーホールを設け、その後、回路基板1裏面に銀ペースト導電塗料でジャンパー配線6を印刷方式で形成し表面のアンテナ回路2と導通させた。
【0030】
次に、アンテナ回路2のICチップ4との接続部、すなわち端子部3の先端部に異方導電性接着剤8をポッティングし、その上に厚さ200μm、外周サイズ3mm×3mmのICチップ4を搭載し、熱圧着することにより端子部3とICチップ4を接続し、非接触式IC実装基板を形成した(
図1及び2)。
【0031】
ここで、IC実装部16を裏面側から見た回路基板1の拡大平面図を
図3に示す。端子部3、放熱パターン5、ダミー端子部13が何れも短絡しないように、それぞれの間に0.3mmの間隙を形成した。つまり、放熱パターン5は、アンテナ回路2、端子部3及びダミー端子部13とは別の、電気的に独立した導体パターンとして設けた。このとき、IC実装部16における、端子部3とダミー端子部13と放熱パターン5とを合わせた導体パターン領域は、IC実装部16(ICチップ4の表面積エリア)の約80%であり、ほぼ重なるように形成されている。
【0032】
(実施例2)
まず回路基板1となる厚み50μmの透明PETの片面に、厚み9μmのアルミ箔を接着し、エッチング加工により螺旋状に周回するアンテナ回路2、端子部3、ダミー端子部13及び放熱パターン5を形成した。なお、アンテナ回路2線幅は0.75mm、ダミー端子部13は縦0.75mm、横0.75mmとし、端子部3はダミー端子部13と0.3mmの間隙を有するようにしつつ、IC搭載部16の全体に拡大した。つまり、端子部3は、放熱パターン5と一体化されている。これ以外は、実施例1と同様にして、非接触式IC実装基板を形成した。
【0033】
ここで、IC実装部16を裏面側から見た回路基板1の拡大平面図を
図5に示す。端子部3を拡大して形成した放熱パターン5と、ダミー端子部13とが短絡しないように、これらの間に0.3mmの間隙を形成した。このとき、IC実装部16における、端子部3とダミー端子部13と放熱パターン5とを合わせた導体パターン領域は、IC実装部16(ICチップ4の表面積エリア)の約76%であり、ほぼ重なるように形成されている。
【0034】
(実施例3)
まず回路基板1となる厚み50μmの透明PETの片面に、厚み9μmのアルミ箔を接着し、エッチング加工により螺旋状に周回するアンテナ回路2、端子部3、ダミー端子部13及び放熱パターン5を形成した。なお、アンテナ回路2線幅は1.50mm、端子部3は、縦4.50mm、横2.50mm、ダミー端子部13は縦4.50mm、横2.50mmとし、端子部3及びダミー端子部13は、互いに0.3mmの間隙を有するようにしつつ、IC搭載部16の全体に拡大した。つまり、端子部3及びダミー端子部13は、それぞれ放熱パターン5と一体化されている。これ以外は、実施例1と同様にして、非接触式IC実装基板を形成した。
【0035】
ここで、IC実装部16を裏面側から見た回路基板1の拡大平面図を
図8に示す。端子部3を拡大して形成した放熱パターン5と、ダミー端子部13を拡大して形成した放熱パターン5とが短絡しないように、それぞれの間に0.3mmの間隙を形成した。このとき、エッチングでパターン形成された端子部3とダミー端子部13と放熱パターン5とを合わせた導体パターン領域は、IC実装部16(ICチップの表面積エリア)の約80%であり、ほぼ重なるようにアルミ箔が形成されている。ICチップ4の中心から伸びた0.3mm幅の十字線状の間隙と、IC搭載部16の4隅に設けた0.5mm×0.5mmの正方形の箇所は、アルミ箔を取り除いている。これは、ICチップ4の実装位置や実装に用いる異方導電性接着剤8の充填量を、回路基板1となる透明PETの裏面から外観検査するために設けたものである。
【0036】
また比較例として、従来から実施されている、IC実装部16を裏面側から見た回路基板1の拡大平面図を
図9に示す。エッチングでパターン形成された端子部3とダミー端子部13とを合わせた導体パターン領域は、IC実装部16(ICチップの表面積エリア)の約16%であり、ICチップの表面積エリアとほぼ重なるようには形成されていない。
【0037】
上記によって製造された実施例1〜3と比較例の非接触式IC実装基板を、情報読取り書き込み装置により高出力の誘導磁界を印加し、ICチップ温度、通信機能及び最大通信距離を比較評価した結果を表1に示す。これらの評価結果から、比較例の非接触式IC実装基板と比較して、実施例1〜3の非接触式IC実装基板は、ICチップの発熱を25℃から30℃抑制することができ、通信特性が変化することなく安定して通信動作できることを実証できた。
【0038】
【表1】