特許第5975365号(P5975365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5975365遮蔽層付きケーブル、及びそれを用いたモジュラープラグ付きコード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975365
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】遮蔽層付きケーブル、及びそれを用いたモジュラープラグ付きコード
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/17 20060101AFI20160809BHJP
   H01B 11/06 20060101ALI20160809BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20160809BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H01B7/18 D
   H01B11/06
   H01B7/00 306
   H05K9/00 L
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-190535(P2015-190535)
(22)【出願日】2015年9月29日
(62)【分割の表示】特願2014-157300(P2014-157300)の分割
【原出願日】2008年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-6796(P2016-6796A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−073534(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02432963(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/17
H01B 7/00
H01B 11/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数対の対撚り線、これら対撚り線の外周に設けられた内側外皮、該内側外皮の外周に設けられた遮蔽層および該遮蔽層の外周に設けられた外側外皮を備える遮蔽層付きケーブルであって、
前記複数対の対撚り線は、当該対撚り線全てまとめて捩じられ、
前記遮蔽層は、1つの絶縁性テープと、該絶縁性テープの片面上に形成された複数の導体部であって、複数のスリットによって該絶縁性テープの長手方向において互いに分断された不連続な複数の導体部と、を有する不連続導体遮蔽テープが、前記導体部が前記内側外皮と接するように該内側外皮の外周に巻きつけられることにより形成され、
前記遮蔽層付きケーブルの両端間で前記遮蔽層が導通短絡していないことを特徴とする遮蔽層付きケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽層付きケーブルの両端に、モジュラープラグが取り付けられていることを特徴とするモジュラープラグ付きコード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地作業が不要で、隣接ケーブル間における差動信号クロストークが小さい遮蔽層付きケーブル、及びそれを用いたモジュラープラグ付きコードに関する。
【背景技術】
【0002】
対型メタリックケーブルにおいては、10Gbpsの伝送速度を持つイーサネット(登録商標)の標準化が802.3標準化団体にて行われている。このように、物理層において差動信号を用いて高速な伝送をすることが、今後も予期される。差動信号で伝送をする分野では、複数のケーブル回線間に生じる隣接ケーブル間の差動信号クロストークを抑制することが重要である。
【0003】
隣接ケーブル間における差動信号クロストークは、同一ケーブル内での差動信号クロストークのようにLSI(Large Scale Integration)によるアクティブキャンセル機能による補償対象にならないため、ケーブルそのものにおいて抑圧する必要がある。
【0004】
しかし、そのためには、遮蔽層のない対型メタリックケーブルでは、隣接ケーブル同士の対撚り線間の離間距離を大きくする必要があり、ケーブルの直径を意図的に大きくするしかない。例えば、遮蔽層のない非シールドケーブルでは、対の撚りをより細かくし、非シールドケーブルの直径を意図的に大きくすることで、ある程度は隣接ケーブル間の差動信号クロストークを抑制できる。しかし、直径が大きくなるのは好ましくない。
【0005】
また、メタルケーブルで10Gbpsの伝送を行う10GBASE−Tなどは、隣接ケーブル間の差動信号クロストークが同一ケーブル内の差動信号クロストークより直接的に伝送品質に大きく影響を与える。このような通信方式のために専用に設計された、いわゆるAugmented Category6といわれるケーブルは、A社の製品同士、B社の製品同士のように製造者が同じケーブルの組み合わせにおいては隣接ケーブル間の差動信号クロストークを所定値内に抑えることができる。しかし、A社の製品とB社の製品のように製造者が異なるケーブルの組み合わせ、つまり設計が異なるケーブルが隣接する場合は、隣接ケーブル間の差動信号クロストークを抑圧できない。これは、製造業者が異なると、対撚りピッチ、集合ピッチ、シース厚等の条件組み合わせが異なり、これらの条件が隣接ケーブル間の差動信号クロストークに対してパラメータとして振る舞うからである。
【0006】
したがって、対型メタリックケーブルに隣接ケーブル間における不要な差動信号クロストークを低減させるための遮蔽層を設けるのが好ましい。
【0007】
図6及び図7に、従来の遮蔽層付き対型メタリックケーブル(以下、単に遮蔽層付きケーブルという)を示す。遮蔽層付きケーブル61は、1対ないし複数対の対撚り線67の外周に内側外皮68を有し、該内側外皮68の外周に遮蔽層66を有し、該遮蔽層66の外周に外側外皮69を有する。遮蔽層66は、切れ目のない連続な導体64からなる。対撚り線67は、2本の絶縁心線71を対にして撚り合わせたものである。遮蔽層66は、長手方向に連続した導体64からなるテープまたは金属箔で構成される。また、ポリエチレンのような絶縁性テープの面上にアルミ箔を圧着させたアルペットテープを遮蔽層66に用いる。2本の絶縁心線71の心線導体72には、例えば、差動信号を伝送させる。
【0008】
従来の遮蔽層付きケーブル61は、遮蔽層のない対型メタリックケーブルに比べて、隣接ケーブル間における差動信号クロストークが十分に小さい。
【0009】
従来の遮蔽層付きケーブル61は、遮蔽層66が切れ目のない連続な導体64からなるため、任意の長さに切り出された遮蔽層付きケーブル61の両端間で遮蔽層66が導通短絡している。これは、従来の遮蔽層付きケーブル61が差動信号クロストークの抑圧だけでなく、同相信号のノイズを抑圧することも意図して構成されているからである。
【特許文献1】特開2006−32193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の遮蔽層付きケーブルは、遮蔽層付きケーブルが敷設された電磁環境によっては、遮蔽層付きケーブルの片端もしくは両端において遮蔽層を確実に接地しなければならない。しかし、接地を確実に行うことは困難である。その理由は、接地の確認方法が目視検査やテスターによる導通検査しか確立されておらず、接地の品質を十分に確認できないためである。また、MHz以上の高周波信号伝送における接地は、直流や50〜60Hzの商用電源周波数における接地と同じでなく、高周波用の接地設備が必要であるが、日本国内では、建築躯体構造物に高周波の接地を行うことができるアースボンディング設備が完備されていないため、確実に接地ができない。
【0011】
また、従来の遮蔽層付きケーブルは、施工(布設)をする際に少なくとも片端における遮蔽層の接地作業が必要になるため、施工のコストが高くなる。すなわち、施工のコストは、工事費用が材料費の倍以上の大きな比重を占めるため、接地作業があると多大になる。
【0012】
しかし、接地作業をせずに遮蔽層を地電位から開放してしまうと、遮蔽層が高周波に対して予期せぬアンテナとして振る舞うことがある。また、遮蔽層付きケーブルが布設された環境に存在する電磁場の影響で、遮蔽層付きケーブルの両端間に電位差が生じた場合、電位差を解消するための電流還流が遮蔽層に生じることがある。
【0013】
以上の問題点をまとめると、隣接ケーブル間における差動信号クロストークを抑えるには遮蔽層が必要であるが、遮蔽層の接地作業が施工コスト高の要因となっているので、遮蔽層はあるが接地作業の必要がないケーブルには、潜在需要がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、接地作業が不要で、隣接ケーブル間における差動信号クロストークが小さい遮蔽層付きケーブル、及びそれを用いたモジュラープラグ付きコードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、複数対の対撚り線、これら対撚り線の外周に設けられた内側外皮、該内側外皮の外周に設けられた遮蔽層および該遮蔽層の外周に設けられた外側外皮を備える遮蔽層付きケーブルであって、前記複数対の対撚り線は、当該対撚り線全てまとめて捩じられ、前記遮蔽層は、1つの絶縁性テープと、該絶縁性テープの片面上に形成された複数の導体部であって、複数のスリットによって該絶縁性テープの長手方向において互いに分断された不連続な複数の導体部と、を有する不連続導体遮蔽テープが、前記導体部が前記内側外皮と接するように該内側外皮の外周に巻きつけられることにより形成され、前記遮蔽層付きケーブルの両端間で前記遮蔽層が導通短絡していない遮蔽層付きケーブルである。
【0016】
上記遮蔽層付きケーブルの両端に、モジュラープラグが取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0018】
(1)接地作業が不要である。
【0019】
(2)隣接ケーブル間における差動信号クロストークが小さい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態を示す遮蔽層付きケーブルの端末を側面から見た構造図である。
図2図1の遮蔽層付きケーブルに用いる不連続導体遮蔽テープの斜視図である。
図3】本発明の他の実施形態を示す遮蔽層付きケーブルの端末を側面から見た構造図である。
図4図3の遮蔽層付きケーブルに用いる不連続導体遮蔽テープの斜視図である。
図5】(a)(b)は、図4の不連続導体遮蔽テープの表側面と裏側面(透視)の図である。
図6】従来の遮蔽層付きケーブルの端末を側面から見た構造図である。
図7】従来の遮蔽層付きケーブルの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0022】
図1に示されるように、本発明に係る遮蔽層付きケーブル1は、絶縁性テープ2の面上に形成される導体部4と、導体部4を電気的に絶縁するスリット3とを有する不連続導体遮蔽テープ5が、導体部4で覆われない部分がないように重ね巻きされて遮蔽層6が形成されたものである。
【0023】
遮蔽層6の内側には、遮蔽の対象となる導体線を配置する。本実施形態では、遮蔽の対象となる導体線は対撚り線7である。遮蔽層付きケーブル1は、1対ないし複数対の対撚り線7の外周に内側外皮8を有し、該内側外皮8の外周に遮蔽層6を有し、該遮蔽層6の外周に外側外皮9を有する。
【0024】
対撚り線7は従来より知られているので、説明を省く。この対撚り線7の周囲にポリ塩化ビニルやポリエチレン等の熱可塑性プラスチックにて内側外皮8が形成されている。外側外皮9は、遮蔽層6の保護層となるものである。外側外皮9の材料は可撓性を有するプラスチックであるが、特に限定しない。外側外皮9の厚さは、特に限定しない。
【0025】
図2に示されるように、不連続導体遮蔽テープ5は、所定の幅を有し長手方向に延びた絶縁性テープ2の片面に、絶縁性テープ2を密に覆う導体部(導体がある部分)4と、絶縁性テープ2の縁に対して斜めに傾斜して反対縁まで延びた直線状のスリット(導体がない部分)3とを不連続導体遮蔽テープ5の長手方向に周期的に有する。この不連続導体遮蔽テープ5は、ポリエステルやポリイミド等を基材とする絶縁性テープ2の面上に、アルミや銅などの金属箔からなる導体部4が、該導体部4をテープ長手方向に分割して導通を遮断するためにスリット3を設けながら接着・圧着・エッチング・印刷などの工程により形成されたものである。絶縁性テープ2の厚さは特に限定しない。スリット3の形状、導体部4の形状は図示した平行四辺形に限定しない。個々の導体部4がスリット3によって分断されていればよい。導体部4の厚さは特に限定しない。
【0026】
この不連続導体遮蔽テープ5が内側外皮8の外周に巻き付けられている。不連続導体遮蔽テープ5は重ね巻きされている。
【0027】
ここで、内側外皮8に遮蔽層6の導体部4で覆われない部分がないようにするために図1の遮蔽層付きケーブル1では、図2の不連続導体遮蔽テープ5が重ね巻きされる。これにより、内側外皮8は露出する部分(径方向外方に向けて素通しになる部分)が遮蔽層付きケーブル1の全周・全長に1箇所もなくなる。
【0028】
仮に、このことを意図せずに不連続導体遮蔽テープ5を内側外皮8の外周に任意の螺旋状に巻き付けたとすると、その巻き付けたものには、導体部4で覆われない部分が周方向あるいは長手方向に所定の周期で存在してしまう。内側外皮8が露出していると、その部分による構造不均等に起因して対撚り線7にインピーダンスの変動又は反射減衰両特性の異常点が発生する。
【0029】
そこで、本発明では、内側外皮8に遮蔽層6の導体部4で覆われない部分がないようにする。具体的には、不連続導体遮蔽テープ5を内側外皮8の外周に一重に巻いたとき、不連続導体遮蔽テープ5のスリット3上に導体部4が重なるように二重目以降の不連続導体遮蔽テープ5を螺旋状に重ねて巻く。スリット3の幅は、遮蔽層付きケーブル1がスリット3の部分が重ならないよう容易に巻き付け製造できるように、導体部4の幅より十分小さくするのが好ましい。好適には、スリット3の幅を導体部4の幅に対して十分の一程度にする。
【0030】
図1の遮蔽層付きケーブル1は、絶縁性テープ2の片面に不連続な導体部4を有する不連続導体遮蔽テープ5によって遮蔽層6が形成されているため、任意の長さ(ただし、スリット3の離間ピッチより長い)に切り出された遮蔽層付きケーブル1の両端間で遮蔽層6が導通短絡していない。従って、施工時に遮蔽層6の接地作業をせずに遮蔽層6が地電位から開放されても、遮蔽層6が高周波に対して予期せぬアンテナとして振る舞うことがない。また、遮蔽層付きケーブル1が布設された環境に電磁場が存在しても、遮蔽層付きケーブル1の両端間に電位差が生じることがなく、電位差を解消するための電流還流が遮蔽層6に生じることがない。よって、遮蔽層6の接地作業は不要となる。
【0031】
また、図1の遮蔽層付きケーブル1は、内側外皮8に遮蔽層6の導体部4で覆われない部分がないので、隣接ケーブル間における差動信号クロストークを抑制することができる。
【0032】
図1の遮蔽層付きケーブル1は、隣接ケーブル間における差動信号クロストークを抑制する遮蔽効果を有しつつ、接地作業が不要な遮蔽層付きケーブルである。また、この遮蔽層付きケーブルは、構造不均等が存在しない遮蔽層付きケーブルである。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
【0034】
図3に示されるように、本発明に係る遮蔽層付きケーブル31は、絶縁性テープ32の面上にスリット33によって分割された不連続な導体部34を有する不連続導体遮蔽テープ35が縦添え巻きされて遮蔽層36が形成されている。
【0035】
遮蔽層36の内側には、遮蔽の対象となる導体線を配置する。本実施形態では、遮蔽の対象となる導体線は対撚り線37である。遮蔽層付きケーブル31は、1対ないし複数対の対撚り線37の外周に内側外皮38を有し、該内側外皮38の外周に遮蔽層36を有し、該遮蔽層36の外周に外側外皮39を有する。
【0036】
この実施形態では、不連続導体遮蔽テープ35が縦添え巻きされていることに加え、不連続導体遮蔽テープ35の表裏両面上にそれぞれスリット33によって分割された不連続な導体部34を有し、表裏のスリット33が互いに重ならない点と、不連続導体遮蔽テープ35が導体部34を覆う絶縁部41を有する点を特徴とする。
【0037】
図4に示されるように、不連続導体遮蔽テープ35は、所定の幅を有し長手方向に延びた絶縁性テープ32の両面に、絶縁性テープ32を密に覆う導体部(導体がある部分)34と、絶縁性テープ32の縁に対して斜めに傾斜した直線状のスリット(導体がない部分)33とを不連続導体遮蔽テープ35の長手方向に周期的に有する。この不連続導体遮蔽テープ35は、ポリエステルやポリイミド等を基材とする絶縁性テープ32の表側面と裏側面の面上に、アルミや銅などの金属箔からなる導体部34が、該導体部34をテープ長手方向に分割して導通を遮断するためにスリット33を設けながら接着・圧着・エッチング・印刷などの工程により形成されたものである。表側面のスリット33を形成する位置と裏側面のスリット33を形成する位置がわずかでも重ならないようにすることで先述の構造不均等による対撚り線の特性低下を防ぐことができる。すなわち、図5(a)及び図5(b)に示されるように、表側面にスリット33がある位置には、裏側面に必ず導体部34があり、裏側面にスリット33がある位置には、表側面に必ず導体部34がある。
【0038】
また、図4に示されるように、不連続導体遮蔽テープ35の片面には、その縁に沿って導体部34の縁近傍を覆う絶縁部41を長手方向全長にわたって有する。絶縁部41は、塗装や別途の絶縁性テープの貼り付けにより形成する。絶縁部41の幅は、不連続導体遮蔽テープ35の幅と内側外皮38の外周長との差以上にしておく。絶縁部41の幅がこれより短いと表裏面の導体部34が接触する。
【0039】
この不連続導体遮蔽テープ35が内側外皮38の外周に縦添えに巻き付けられている。
【0040】
不連続導体遮蔽テープ35は表裏に導体部34を有するため、内側外皮38の外周に縦添え巻きした場合、表裏の導体部34が相互に接触して、任意の長さに切り出された遮蔽層付きケーブルの両端間で遮蔽層36が導通短絡してしまうことが生じ得る。そこで、本発明では、不連続導体遮蔽テープ35の片面に導体部34を覆う絶縁部41を設ける。不連続導体遮蔽テープ35を縦添え巻きしたとき、導体部34同士が直接接して重なることなく、絶縁部41を介して重なるので、電気的な隔離を維持することができる。
【0041】
図3の遮蔽層付きケーブル31は、隣接ケーブル間における差動信号クロストークを抑制する遮蔽効果を有しつつ、接地作業が不要な遮蔽層付きケーブルである。また、この遮蔽層付きケーブルは、構造不均等が存在しない遮蔽層付きケーブルである。
【0042】
上記実施形態では、遮蔽層付きケーブル1、31は、複数対の対撚り線7、37の外周に内側外皮8、38を有し、該内側外皮8、38の外周に不連続導体遮蔽テープ5、35からなる遮蔽層6、36を有し、該遮蔽層6、36の外周に外側外皮9、39を有するものとしたが、本発明はこの構造に限定されない。例えば、内側外皮8、38を省略し、不連続導体遮蔽テープ5、35の絶縁性テープ2、32を適宜な厚さとし、内側外皮8、38の代わりとすることができる。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、隣接ケーブル間における差動信号クロストークを抑制することができ、しかも、接地作業が不要となるため施工のコストが遮蔽層のないケーブルの施工コストと同等程度に低減される。
【0044】
本発明に係る遮蔽層付きケーブルは、高速差動信号伝送システムに利用できる。
【0045】
本発明に係る遮蔽層付きケーブルは、JISX5150に代表されるようなトポロジーの配線システムに使用されると共に、両端モジュラープラグ付きコード用のケーブルとしても使用される。
【符号の説明】
【0046】
1、31 遮蔽層付きケーブル
2、32 絶縁性テープ
3、33 スリット
4、34 導体部
5、35 不連続導体遮蔽テープ
6、36 遮蔽層
7、37 対撚り線
8、38 内側外皮
9、39 外側外皮
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7