(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
無線通信の用途が高度かつ多様化するのにしたがい、多種多様な無線システムを統合的に収容するために複数の周波数帯域の信号を同時に送信できる送信機が検討されている。一般的に信号を送信する際に使用する増幅器や周波数変換器は非線形歪み特性を有するので、高品質かつ高電力効率な送信を行うためには歪み補償技術が必要である。また、さらに、装置の温度変化などの時変動に追従する、より高精度な補償を行う為には、フィードバック系を用いた適応的な歪み補償も必要となる。しかし、対応する無線システムの数が増加するほど、または周波数帯域が広くなるほど、各無線システムの送信系、および送信系に対応するフィードバック系に要する部品点数が増加するといった問題がある。
【0003】
このような問題に対して、複数の周波数帯域を同時に増幅することに対応した増幅器を用いて部品の共通化を図った送信機が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、複数の周波数帯域の信号を同時に送信する送信機であってフィードバック系においてアンダーサンプリングを用いて一括周波数変換を行い、フィードバックする構成の送信機も報告されている(例えば、非特許文献2、3参照)。非特許文献1には、
図6に示すような、バンドごとに対応するフィードバック系が並列に並べられた構成のマルチバンド適応型歪み補償技術を搭載した送信機が示されている。非特許文献2には、
図7に示すような、アンチエイリアシングフィルタとして、バンドごとのBPF(Band Pass Filter)80−1,…,80−Nを通した後、アンダーサンプリングによってLow−IF(Low-Intermediate Frequency)帯に所望の帯域を並べてダウンコンバートし、一括してフィードバックする構成が示されている。非特許文献3には、
図8に示すような、アンチエイリアシングフィルタとして、所望のRF(Radio Frequency)帯の全バンドを通過させるLPF(Low Pass Filter)83を通した後、非特許文献2と同様にアンダーサンプリングによってLow−IF帯に所望の帯域を並べて一括ダウンコンバートし、フィードバックする構成が示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S. A. Bassam, M. Helaoui, and F. M. Ghannouchi, “2-D digital predistortion (2-D-DPD) architecture for concurrent dual-band transmitters,” IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol. 59, no. 10, pp. 2547-2553, Oct. 2011.
【非特許文献2】A. Cidronali, I. Magrini, R. Fagotti, and G. Manes, “A new approach for concurrent dual-band IF digital predistortion: System design and analysis,” in Integr. Nonlinear Microw. Millimetre-Wave Circuits Workshop, pp. 127-130, Nov. 2008.
【非特許文献3】S. A. Bassam, A. Kwan, W.Chen, M.Helaoui, and F. M. Ghannouchi, “Subsampling Feedback Loop Applicable to Concurrent Dual-Band Linearization Architecture,” IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol. 60, no. 6, Jun. 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1及び2に記載の技術では、バンドごとにフィードバック系を必要としたり、また、バンドパスフィルタを必要としたりするため、対応するバンド数が増加すると、それに伴ってフィードバック系回路の部品点数が増加してしまうという問題がある。
また、非特許文献3に記載の技術では、所望のRF帯を全て通過させるローパスフィルタを用いて、アンダーサンプリングを行った場合、一括してダウンコンバートした後の帯域に重畳される歪み成分の電力レベルやノイズフロアレベルが高くなる恐れがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、バンド数が増加してもフィードバック系回路の部品点数を増加させず、かつ歪み成分の電力レベルやノイズフロアレベルを低く抑えることを可能とする送信機、及び送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、デジタル信号を生成する信号生成部と、歪み補償係数に基づいて、増幅する際に生じる前記デジタル信号の非線形歪みを抑圧して歪み補償するデジタル歪み補償部と、歪み補償された前記デジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換部と、局発信号を出力する第1の局部発振器と、前記局発信号に基づいて前記アナログ信号をアップコンバートする周波数変換部と、アップコンバートされた信号を増幅して送信信号を出力する増幅器と、前記送信信号を2つに分配する分配部と、分配された一方の前記送信信号を送信するアンテナと、局発信号を出力する複数の第2の局部発振器と、前記複数の第2の局部発振器から出力される複数の局発信号に基づいて、分配された他方の前記送信信号を一括してダウンコンバートするマルチバンド一括周波数変換部と、前記マルチバンド一括周波数変換部が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部が出力するデジタル信号と、前記信号生成部が生成したデジタル信号とに基づいて、前記歪み補償係数を算出し、前記デジタル歪み補償部に前記歪み補償係数を更新させる解析部と、を備えることを特徴とする送信機である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記複数の第2の局部発振器ごとに備えられ、前記複数の第2の局部発振器が出力する局発信号の電力レベルを変更する複数のレベル制御部と、前記レベル制御部に対して前記局発信号の電力レベルを変更する指示信号を出力する制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記解析部は、前記AD変換部が出力する前記デジタル信号の周波数帯域ごとの電力レベルを検出して前記制御部に出力し、前記制御部は、前記デジタル信号の周波数帯域における電力レベルを揃える場合、当該電力レベルを揃えるために電力レベルの増減を必要とする周波数帯域に対応する前記レベル制御部に対して、必要とされる前記電力レベルの増減量に応じた前記局発信号の電力レベルの変更をさせる指示信号を出力する、こととしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記解析部は、前記AD変換部が出力するデジタル信号の周波数帯域ごとの電力レベルを検出して前記制御部に出力し、前記制御部は、予め定められる電力閾値と、前記解析部が検出した電力レベルとに基づいて、前記電力レベルを変更する必要があると判定した場合、当該電力レベルの変更を必要とする周波数帯域に対応する前記レベル制御部に対して、必要とされる前記電力レベルの変更に応じた前記局発信号の電力レベルの変更をさせる指示信号を出力する、こととしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記デジタル信号は複数の信号を含み、前記DA変換部、前記第1の局部発振器、前記周波数変換部は、前記複数の信号の数に応じて備えられ、前記増幅器、前記分配部、前記アンテナは、前記複数の信号の数、または、前記複数の信号を任意に組み合わせた場合の組み合わせの数に応じた個数が備えられることとしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記第1の局部発振器は、複数存在し、複数の前記第2の局部発振器の一部、または全ては、複数の前記第1の局部発振器であることとしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記デジタル歪み補償部が出力する歪み補償された前記デジタル信号のIch成分とQch成分とを直交変調により合成して前記DA変換部に出力するIQ合成部と、前記AD変換部が出力するアナログ信号をIch成分とQch成分に分離して前記解析部に出力するIQ分離部と、を備えることとしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、デジタル信号を生成し、歪み補償係数に基づいて、増幅する際に生じる前記デジタル信号の非線形歪みを抑圧して歪み補償し、歪み補償された前記デジタル信号をアナログ信号に変換し、局発信号に基づいて前記アナログ信号をアップコンバートし、増幅して送信信号を出力し、前記送信信号を2つに分配し、分配した一方の前記送信信号をアンテナにより送信し、複数の局発信号に基づいて、分配した他方の前記送信信号を一括してダウンコンバートし、ダウンコンバートしたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号と、生成した前記デジタル信号とに基づいて、前記歪み補償係数を算出し、前記歪み補償係数を更新することを特徴とする送信方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、バンド数が増加してもフィードバック系回路の部品点数を増加させず、かつ歪み成分の電力レベルやノイズフロアレベルを低く抑えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態による送信機1の構成を示すブロック図である。送信機1は、複数の無線帯域の信号を同時に増幅して送信する送信機である。送信機1において、信号生成部10は、IchとQchの成分を有するベースバンドのデジタル信号、もしくは、そのベースバンドの信号を中間周波数帯域にアップコンバートしたデジタル信号DS_1〜DS_Nを生成する。デジタル歪み補償部11は、デジタル信号DS_1〜DS_Nを整形し、増幅する際に生じる非線形歪みを抑圧するために、内部の記憶領域に記憶する歪み補償係数に基づいて、所定の演算により、信号生成部10が生成するデジタル信号DS_1〜DS_NのIchとQchの成分のそれぞれをIchとQchの成分を有するデジタル補償信号DSp_1〜DSp_Nに変換する。ここで、所定の演算とは、例えば、ボルテラ級数展開や直交多項式展開などにより表現された回路の非線形歪み特性のモデル式の係数に歪み補償係数を適用し、このモデル式に基づいて入力信号を補償信号に変換する演算である。デジタル・アナログ(DA)変換部(以下、DAC(Digital Analog Converter)という)13−1−I,13−1−Q,…,13−N−I,13−N−Qは、デジタル補償信号DSp_1〜DSp_NのIchとQch成分をそれぞれIchとQchの成分を有するアナログ信号Sp_1〜Sp_Nに変換する。局部発振器VCO(Voltage Controlled Oscillator)1−1〜1−Nは、それぞれ周波数がF
Lo1_1〜F
Lo1_Nの局発信号LO1_1〜LO1_Nを出力する。90度位相器14−1〜14−2は、局部発振器VCO1−1〜1−Nが出力する局発信号LO1_1〜LO1_Nの位相を90度ずらした局発信号LO1q_1〜LO1q_Nを出力する。Qch成分用の周波数変換部MIX(Mixer)1−1−Q〜MIX1−N−Qは、90度位相器14−1〜14−Nが出力する90度位相がずれた局発信号LO1q_1〜LO1q_Nに基づいて、アナログ信号Sp_1〜Sp−NのQch成分を送信周波数帯域へアップコンバートする。Ich成分用の周波数変換部MIX1−1−I〜MIX1−N−Iは、局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nが出力する局発信号LO1_1
〜LO1_Nに基づいて、アナログ信号Sp_1〜Sp−NのIch成分を送信周波数帯域へアップコンバートする。加算器15は、アップコンバートされた信号を合成することで直交変調した合成信号Spを出力する。増幅器16は、合成信号Spを増幅し、増幅した送信信号Saを出力する。カプラ17は、送信信号Saを2つに分配する。アンテナ18は、カプラ17で分配された一方の送信信号Saを空中線に放射する。
【0018】
局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mは、それぞれ周波数がF
Lo2_1〜F
Lo2_Mの局発信号LO2_1〜LO2_Mを出力する。ここで、添え字Mは、マルチバンド一括周波数変換部20−1、20−2に与えられる局発信号の数によって定められる値であり、上述した送信するデジタル信号DS_1〜DS_Nの添え字Nが示す値とは必ずしも一致しない。レベル制御部23−1〜23−Mは、制御部33から与えられる指示信号にしたがって、局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mが出力する局発信号LO2_1〜LO2_Mの電力レベルを変化させて出力する。90度位相器22−1〜22−Mは、レベル制御部23−1〜23−Mが出力する信号の位相を90度ずらして出力する。加算器21−1は、レベル制御部23−1〜23−Mが出力する電力レベルが変更された局発信号LO2_1〜LO2_Mを合成して出力する。加算器21−2は、90度位相器22−1〜22−Mが出力する90度位相がずれた局発信号LO2q_1〜LO2q_Mを合成して出力する。マルチバンド一括周波数変換部20−1は、加算器21−1から出力される合成された局発信号LO2_1〜LO2_Mに基づいて、カプラ17が分配する他方の送信信号Saに含まれる周波数成分Sa_1〜Sa_MのうちIch成分に対応する信号をダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号Sd_1I〜Sd_MIを含む合成信号SdIを出力する。マルチバンド一括周波数変換部20−2は、加算器21−2から出力される合成された90度位相がずれた局発信号LO2q_1〜LO2q_Mに基づいて、カプラ17が分配する他方の送信信号Saに含まれる周波数成分Sa_1〜Sa_MのうちQch成分に対応する信号をダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号Sd_1Q〜Sd_MQを含む合成信号SdQを出力する。ここで、マルチバンド一括周波数変換部20−1、20−2とは、例えば、国際公開第2011/067016号に示される複数の局発信号に基づいて一括して周波数変換を行う周波数変換部である。
【0019】
ローパスフィルタ(以下、LPF(Low Pass Filter)という)30−1、及びLPF30−2は、それぞれ合成信号SdI、及び合成信号SdQに対して、解析対象となる帯域のみを通過させるフィルタリングを行う。アナログ・デジタル(AD)変換部(以下、ADC(Analog Digital Converter)という)31−1、31−2は、それぞれLPF30−1、30−2から出力されるフィルタリングされた後のアナログ信号である合成信号SdI、SdQをデジタル信号DSdI、DSdQに変換する。解析部32は、信号生成部10が出力するデジタル信号DS_1〜DS_Nを参照して、ADC31−1、31−2が出力するデジタル信号DSdI,DSdQをそれぞれ実部、虚部とするデジタル信号DSdを解析して歪み補償係数を算出する。また、解析部32は、算出したデジタル補償係数をデジタル歪み補償部11に出力してデジタル歪み補償部11が内部に記憶する歪み補償係数を新しい歪み補償係数に書き換えて更新させる。制御部33は、レベル制御部23−1〜23−Mに対して局発信号LO2_1〜LO2_Mの電力レベルを変更させる指示信号を出力する。
なお、上記の送信機1の構成において、信号生成部10から、デジタル歪み補償部11、DAC13−1−I,13−1−Q,…,13−N−I,13−N−Q,局部発振器VCO1−1〜VCO1−N、90度位相器14−1〜14−N、周波数変換部MIX1−1−I,MIX1−1−Q,…,MIX1−N−I,MIX1−N−Q、加算器15、増幅器16、カプラ17、アンテナ18に至るまでの構成を送信系という。また、マルチバンド一括周波数変換部20−1,20−2、加算器21−1,21−2、90度位相器22−1〜22−M、レベル制御部23−1〜23−M、局部発振器VCO2−1〜VCO2−M、LPF30−1,30−2、ADC31−1,31−2、解析部32、制御部33に至るまでの構成をフィードバック系という。
【0020】
次に、解析部32が歪み補償係数を算出する処理について説明する。まず、説明を簡単にするため、添え字MとNの関係をM>Nとする。ここで、添え字1〜Nの記号は、それぞれ送信するデジタル信号DS_1〜DS_Nの基本波成分に対応し、N+1〜Mは、基本波以外の歪み成分に対応する。解析部32は、ADC31−1,31−2が出力するデジタル信号DSdに含まれる、送信信号Saの周波数成分Sa_1〜Sa_Mのダウンコンバート後の成分である周波数成分DSd_1〜DSd_Mをそれぞれ帯域分割して、周波数シフトする。解析部32は、信号生成部10が出力するデジタル信号DS_1〜DS_Nを参照して、周波数シフトした信号を解析する。まず、解析部32は、デジタル信号DS_1〜DS_Nと周波数成分DSd_1〜DSd_Nの時間波形の一部、または全部の相互相関を算出することにより経路差による遅延時間を求める。次に、解析部32は、求めた遅延時間を用いて、信号の開始点を揃え、デジタル信号DS_1〜DS_Nと周波数成分DSd_1〜DSd_Nの誤差を算出する。ここで、添え字N+1〜Mで示される送信信号成分のない周波数帯域の周波数成分DSd_N+1〜DSd_Mは、誤差に含める。次に、解析部32は、算出した誤差を最小化するため、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムなどの最適化アルゴリズムを用いて歪み補償係数を算出し、算出した歪み補償係数をデジタル歪み補償部11に出力する。デジタル歪み補償部11は、内部の記憶領域に記憶している歪み補償係数を解析部32が出力した新たな歪み補償係数に書き換えて更新する。
【0021】
次に、制御部33の処理について説明する。制御部33は、送信信号Saに電力レベル差が存在する場合、その電力レベル差を小さくする制御を行う。まず、解析部32は、上述したようにデジタル信号DSdを解析して、送信信号Saの周波数成分Sa_1〜Sa_Mの電力レベルを示す値を制御部33に出力する。制御部33は、出力された電力レベルを示す値に基づいて、送信信号Saに電力レベル差があるか否かを判定する。制御部33は、送信信号Saの周波数成分Sa_1〜Sa_Mに電力レベル差があると判定した場合、解析対象の周波数帯域に対応する電力レベル制御部23−1〜23−Mに対して、送信信号Saの周波数成分Sa_1〜Sa_Mの電力レベルを揃えるように各周波数成分Sa_1〜Sa_Mの増減量を算出する。例えば、その時点での電力レベルの平均値を下回っている周波数成分については増加させ、その時点での電力レベルの平均値を上回っている周波数成分については減少させるなどの周波数成分Sa_1〜Sa_Mの電力レベルの増減量を算出する。そして、制御部33は、算出した周波数成分Sa_1〜Sa_Mの電力レベルの増減量に応じて局発信号LO2_1〜LO2_Mの電力レベルを変更させる指示信号を送信する。これにより、送信信号Saの周波数成分Sa_1〜Sa_Mの電力レベル差を小さくしてダイナミックレンジを確保することができる。すなわち、電力レベルの高い送信信号成分と電力レベルの低い歪み成分の電力レベル差が小さくなるように制御することで、解析対象の周波数帯域の歪み成分に対するダイナミックレンジを確保することができ、ADC31−1,31−2によるデジタル信号への変換後の歪み成分のフィードバック情報の精度、及びそのフィードバック情報を用いた歪み補償性能を向上させることができる。電力レベルを揃える際、または解析対象外の周波数帯域を除く際に、局発信号LO2_1〜LO2_Mのうち解析対象外の周波数帯域に対応する使用しない局発信号が1つ以上存在する場合、使用しない局発信号の電力レベルを0にする指示信号を出力する。また、使用しない局発信号の電力レベルを0にするのではなく、制御部33から、局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mに制御線を接続し、使用しない局発信号に対応する局部発振器の電源を切るようにしてもよい。
【0022】
また、制御部33は、解析対象の周波数帯域ごとの電力レベルの制御を行う。まず、解析部32が、解析対象となっている周波数帯域ごとのデジタル信号DSdの電力レベルを測定し、測定した周波数帯域ごとの電力レベルを制御部33に出力する。制御部33は、予め定められる電力閾値を記憶しており、解析部32が出力する電力レベルと、電力閾値を比較し、解析部32が出力する電力レベルが、電力閾値を下回る場合、電力レベルが電力閾値に到達するように局発信号LO2_1〜LO2_Mの電力レベルを変更させる指示信号をレベル制御部23−1〜23−Mに送信する。これにより、解析対象となっている周波数帯域の電力レベルを電力閾値に示される電力レベルにすることができ、例えば、同時に解析する解析対象帯域ごとの電力レベル差を小さくしてダイナミックレンジを確保することが可能となる。また、制御部33に、電力閾値を複数記憶させておき、解析部32が出力する電力レベルと、複数の電力閾値とを比較し、その比較結果に対応した電力レベルに到達するように局発信号の電力レベルを変更させてもよい。例えば、第1電力閾値、第2電力閾値、第3電力閾値の順に値が大きくなっているとする。このとき、解析部32が出力する電力レベルが、第2電力閾値と第3電力閾値の間に存在する場合、制御部33は、解析対象の周波数帯域の電力レベルを大きいほうの第3電力閾値に到達させるように局発信号の電力レベルを変更させる。これにより、解析対象の周波数帯域の電力レベルを閾値の判定結果に応じた特定の電力レベルにするといったことができる。また、解析部32が出力する電力レベルが、第2電力閾値と第3電力閾値の間に存在する場合、予め定められる固定値、例えば、電力レベルが第2電力閾値と第3電力閾値の平均値になるように局発信号の電力レベルを変更させるようにしてもよい。また、第1電力閾値を下回る場合にその周波数帯域を解析対象外と判定し、解析対象外の周波数帯域に対応する使用しない局発信号の電力レベルを0にする指示信号を出力するか、制御部33から、局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mに制御線を接続し、使用しない局発信号に対応する局部発振器の電源を切るようにしてもよい。
【0023】
また、制御部33は、予め定められる間隔、あるいは、操作者の操作を受けて解析対象の周波数帯域を切り替えるようにする指示信号をレベル制御部23−1〜23−Mに送信するようにしてもよい。これにより、解析対象の周波数帯域を切り替えて異なるタイミングで解析することができ、また、送信信号の基本波成分や歪み成分を含む解析対象帯域を切り替えて選択して解析するといったことも可能となる。また、制御部33は、局発信号の電力レベルとして予め定められる複数の固定値を切り替えて選択し、選択した固定値に電力レベルを変更させる指示信号をレベル制御部23−1〜23−Mに送信するようにしてもよい。これにより、各々の固定値に応じた解析を行うことができ、解析に適切な局発信号の電力レベルを特定しやすくなる。
【0024】
上記の第1実施形態の構成により、マルチバンド一括周波数変換部20−1、20−2を備えることで、マルチバンド一括周波数変換部20−1、20−2が、複数の周波数に基づいて、送信信号Saをダウンコンバートする。そのため、様々なバンドの送信信号に対するフィードバック系を共通化することができ、バンド数が増加してもフィードバック系回路の部品点数を増加させないようにすることができる。したがって、第1実施形態による送信機1を非特許文献1及び2に示す送信機の構成と比較した場合、第1実施形態による送信機1は、より少ない部品点数でフィードバック系回路を構成することが可能となる。
【0025】
また、上記の第1実施形態の構成により、マルチバンド一括周波数変換部20−1、20−2を備えることで、局発信号LO2_1〜LO2_Mの高調波成分は、基本波成分に比べて電力レベルが低いため、非特許文献3に示されている電力レベルを変化させずに折り返すアンダーサンプリングを行う構成よりも重畳される成分の電力レベルを低くすることができる。特に高いRF周波数を利用する場合、非特許文献3に示されているアンダーサンプリングを行う構成よりも、第1実施形態の構成の方が重畳する帯域数を削減することができる。この場合、折り返し周波数は、ミキシングの局発信号LO2_1〜LO2_Mの周波数成分の組み合わせに依存することになる。したがって、第1実施形態の構成では、非特許文献3に示す技術よりも歪み成分の電力レベルやノイズフロアレベルを低く抑えることが可能となる。
【0026】
また、上述した非特許文献3に記載の技術では、バンドパスフィルタによる帯域制限を行わずにアンダーサンプリングを行っているため、各送信信号の基本波成分や歪み成分を含む解析対象の周波数帯域を個別に選択して解析することができない。これに対して、第1実施形態の構成では、局発信号LO2_1〜LO2_Mをレベル制御部23−1〜23−Mにより電力レベルを変更することにより信号成分を抑えて、歪み成分を解析対象としたりするなど、解析対象の帯域を選択してダウンコンバートすることにより、解析対象を選択して解析を行うことができる。
【0027】
また、非特許文献1及び2に示されている技術では、フィードバックを行う周波数帯域が限定されているのに対して、第1実施形態の構成では、フィードバックを行う周波数帯域が限定されていないため、歪み成分の発生の状況に応じて広帯域に亘る様々な帯域からフィードバック情報を収集し、精度の高い歪み補償係数を算出することが可能となる。
また、上記の第1実施形態の構成では、制御部33が、レベル制御部23−1〜23−Mに指示信号を送信して局発信号LO2_1〜LO2_Mの電力レベルを増減させて解析対象の周波数帯域の選択や、解析対象の周波数帯域の電力レベルを変化させる。これにより、対象とする帯域のみを選択してダウンコンバートし、解析対象にすることができ、歪み補償性能の向上が期待できる。また、これにより、高調波、相互変調歪み、混変調歪みの発生を適応的に抑圧して、歪み補償係数を算出するマルチバンド適応型歪み補償を行うことが可能となる。
【0028】
図2は、第1実施形態の送信機1の他の実施形態である送信機1aの構成を示すブロック図である。なお、同図では、Ichの成分とQchの成分のブロック構成をまとめて表しており、実際には、
図1に示すようにIchの成分の構成と、Qch成分の構成が存在する。DAC13−1〜13−Nは、それぞれ
図1におけるDAC13−1−I及び13−1−Q〜DAC13−N−I及び13−N−Qに対応する。また、局部発振器VCO1−1〜VCO1−N、及び周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nの構成は、
図1における局部発振器VCO1−1〜VCO1−N、90度位相器14−1〜14−N、及び周波数変換部MIX1−1−I,MIX1−1−Q〜MIX1−N−I,MIX1−N−Qの構成に対応する。また、マルチバンド一括周波数変換部20は、マルチバンド一括周波数変換部20−1,20−2に対応し、これに、加算器21、レベル制御部23−1〜23−M、及び局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mを加えた構成は、
図1におけるマルチバンド一括周波数変換部20−1,20−2、加算器21−1,21−2、90度位相器22−1〜22−M、レベル制御部23−1〜23−M、及び局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mの構成に対応する。また、LPF30は、LPF30−1,30−2に対応し、ADC31は、ADC31−1,31−2に対応する。
【0029】
図1に示す送信機1では、複数のデジタル信号DS_1〜DS_Nに対して共通の増幅器16、カプラ17、アンテナ18を用いている。これに対して、
図2に示す送信機1aでは、デジタル信号DS_1〜DS_Nごとに個別の増幅器16−1〜16−N、カプラ17−1〜17−N、アンテナ18−1〜18−Nを用いる構成となっている。なお、デジタル信号DS_1〜DS_Nごとに増幅器16−1〜16−N、カプラ17−1〜17−N、アンテナ18−1〜18−Nを備えるのではなく、2つのデジタル信号に対して1つの増幅器、カプラ、及びアンテナを用いるなど、対応させる数は任意に選択してもよい。
【0030】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態による送信機2の構成を示すブロック図である。第2実施形態では、送信系とフィードバック系で用いる局部発振器を共通化する構成を有している。
図3においても、
図2と同じく、Ichの成分とQchの成分のブロック構成をまとめて表しており、実際には、
図1に示すようにIchの成分の構成と、Qch成分の構成が存在する。また、
図3において、
図1の送信機1と同一の構成については、同一の符号を付す。送信機2において、信号生成部10は、IchとQchの成分を有するベースバンドを中間周波数帯域にアップコンバートしたIchとQchの成分を有するデジタル信号DS_1〜DS_Nを生成し、デジタル歪み補償部11へ出力する。デジタル歪み補償部11は、内部の記憶領域に記憶している歪み補償係数を用いて、デジタル信号DS_1〜DS_NのIchとQchの成分のそれぞれをIchとQchの成分を有するデジタル補償信号DSp_1〜DSp_Nに変換し、DAC13−1〜13−Nにそれぞれ出力する。DAC13−1〜13−Nは、デジタル補償信号DSp_1〜DSp_NのIchとQchの成分をそれぞれアナログ信号に変換し、変換したIchとQchの成分を有するアナログ信号Sp_1〜Sp_Nを周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nに出力する。局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nは、それぞれ周波数がF
LO1_1〜F
LO1_Nの局発信号LO1_1〜LO1_Nを周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nに出力する。周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nは、局発信号LO1_1〜LO1_Nに基づいてアナログ信号Sp_1〜Sp_NのIch成分の周波数変換を行う。また、周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nは、局発信号LO1_1〜LO1_Nの各々を90度位相器に通すことにより90度位相をずらした局発信号LO1q_1〜LO1q_Nに基づいてアナログ信号Sp_1〜Sp_NのQchの成分の周波数変換を行う。すなわち、周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nは、この2つの周波数変換によりアナログ信号Sp_1〜Sp_Nに対して送信周波数帯域へアップコンバートする。加算器15は、アップコンバートされた信号を合成することで直交変換した合成信号Spを出力する。増幅器16は、合成信号Spを増幅し、増幅した送信信号Saを出力する。カプラ17は、送信信号Saを2つに分配する。アンテナ18は、カプラ17で分配された一方の送信信号Saを空中線に放射する。
【0031】
カプラ17で分配された他方の送信信号Saは、フィードバック系のマルチバンド一括周波数変換部20に与えられる。レベル制御部23−1〜23−Nは、送信系の局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nが出力する局発信号LO1_1〜LO1_Nを受けて、制御部33からの指示信号に応じて局発信号LO1_1〜LO1_Nの電力レベルを変更し、加算器21に出力する。また、送信系の局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nとは別に、フィードバック系においてのみ備えられる局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mは、それぞれ周波数がF
LO2_1〜F
LO2_Mの局発信号LO2_1〜LO2_Mを出力する。レベル制御部24−1〜24−Mは、制御部33からの指示信号に応じて局発信号LO2_1〜LO2_Mの電力レベルを変更し、加算器21に出力する。加算器21は、局発信号LO1_1〜LO1_Nと、局発信号LO2_1〜LO2_Mとを合成して、マルチバンド一括周波数変換部20に出力する。マルチバンド一括周波数変換部20は、局発信号LO1_1〜LO1_N及び局発信号LO2_1〜LO2_Mと、90度位相器により、90度位相をずらされた局発信号LO1q_1〜LO1q_N及び局発信号LO2q_1〜LO2q_Mとに基づいて、送信信号Saに含まれる周波数成分Sa_1〜Sa_L(L=N+M)をダウンコンバートする。また、マルチバンド一括周波数変換部20は、ダウンコンバートした信号Sd_1〜Sd_Lを含むIchとQchの成分を有する合成信号SdをLPF30に出力する。LPF30は、合成信号SdのIchとQchの成分の各々に対して、解析対象となる帯域のみを通過させるフィルタリングを行い、ADC31に出力する。ADC31は、フィルタリングされた後のアナログ信号のIch成分とQch成分のそれぞれをIchとQchの成分を有するデジタル信号DSdに変換して解析部32に出力する。解析部32及び制御部33により、第1実施形態と同様の処理が行われる。
なお、送信機2では、局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mを備える構成としているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られず、送信系の局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nを利用してダウンコンバートができる場合は、局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mを備えない構成としてもよい。
【0032】
上記の第2実施形態の構成により、第1実施形態の送信機1が奏する効果に加えて、送信系に備える局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nをフィードバック系のダウンコンバートの処理において共通化することで、第1実施形態の送信機1に比べて、バンド数が増加するに応じて増加する局部発振器の数、すなわちフィードバック系回路の部品点数を削減することが可能となる。
【0033】
なお、第2実施形態の送信機2においても、複数のデジタル信号DS_1〜DS_Nに対して1つの増幅器16、カプラ17、アンテナ18を用いるのではなく、
図2に示すようにデジタル信号DS_1〜DS_Nごとに個別の増幅器、カプラ、アンテナを用いる構成としてもよく、また、2つのデジタル信号に対して1つの増幅器、カプラ、及びアンテナを用いるなど、対応させる数は任意の数としてもよい。
【0034】
図4は、第2実施形態の送信機2の他の実施形態である送信機2aの構成を示すブロック図である。
図4においても、
図3と同じく、Ichの成分とQchの成分のブロック構成をまとめて表しており、実際には、
図1に示すようにIchの成分の構成と、Qch成分の構成が存在する。また、
図4において、
図3の送信機2と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
図4では、送信系の構成において、多段の周波数変換を行う構成となっている。送信機2aにおいて、局部発振器VCO3−1〜VCO3−Nは、それぞれ周波数F
IF1〜F
IFNの局発信号IF_1〜IF_Nを出力する。周波数変換部MIX2−1〜2−Nは、局発信号IF_1〜IF_Nと、局発信号IF_1〜IF_Nの各々を90度位相器に通すことにより90度位相をずらした局発信号IFq_1〜IFq_Nを用いて、アナログ信号Sp_1〜Sp_Nを直交変調してアップコンバートする。周波数変換部MIX1−1〜MIX1−Nは、局発信号LO1_1〜LO1_Nと、局発信号LO1_1〜LO1_Nの各々を90度位相器に通すことにより90度位相をずらした局発信号LO1q_1〜LO1q_Nを用いて、周波数変換部MIX2−1〜2−Nによってアップコンバートされた信号を送信周波数帯域へアップコンバートする。なお、可変増幅器35−1〜35−N、36−1〜36−N、37−1〜37−Nは、それぞれ、DAC13−1〜13−N、周波数変換部MIX2−1〜MIX2−N、周波数変換部MIX1−1〜1−Nが出力する信号を任意に選択される増幅率に応じて増幅して出力する。
【0035】
カプラ17によって分配され、フィードバック系に与えられる送信信号Saは、マルチバンド一括周波数変換部20によりダウンコンバートされる。マルチバンド一括周波数変換部20が用いる局発信号は、3つの局発信号が合成された信号となる。2つは、送信系に備えられる局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nと局部発振器VCO3−1〜VCO3−Nが出力する局発信号LO1_1〜LO1_Nと局発信号LO3_1〜LO3_Nである。最後の1つは、フィードバック系に備えられる局部発振器VCO2−1〜VCO2−Mが出力する局発信号LO2_1〜LO2_Mである。これらの局発信号が、それぞれレベル制御部23−1〜23−N、25−1〜25−N、24−1〜24−Mにより制御部33からの指示信号に応じて電力レベルが変更され、電力レベル変更後の局発信号が加算器21により合成されてマルチバンド一括周波数変換部20に与えられる。
上記のように送信機2aの構成では、多段の周波数変換を行う構成においても、送信系に備える局部発振器VCO1−1〜VCO1−N、VCO3−1〜VCO3−Nをフィードバック系のダウンコンバートの処理において共通化することで、送信機2と同様に、バンド数が増加するに応じて増加するフィードバック系回路の部品点数を削減することが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態による送信機3の構成を示すブロック図である。
図5において、
図1の送信機1と同じ構成については同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。第3実施形態による送信機3は、送信系において、IchとQchの成分を合成した上でデジタル・アナログ変換してアップコンバートし、フィードバック系においては、ダウンコンバートしてアナログ・デジタル変換した後にIchとQchの成分を分離する。IQ合成部40−1〜40−Nは、デジタル歪み補償部11が出力する歪み補償されたデジタル補償信号DSp_1〜DSp_Nの各々のIch成分とQch成分を直交変調して出力する。DAC41−1〜41−Nは、Ich成分とQch成分が合成されたデジタル補償信号DSp_1〜DSp_Nをアナログ信号Sp1_1〜Sp_Nに変換する。周波数変換部MIX3−1〜MIX3−Nは、局部発振器VCO1−1〜VCO1−Nが出力するそれぞれ周波数がF
LO1_1〜F
LO1_Nの局発信号LO1_1〜LO1_Nに基づいてアナログ信号Sp1_1〜Sp_Nを送信周波数帯域へアップコンバートする。アップコンバートされた信号は加算器15により合成され、増幅器16により増幅されて送信信号Saとなる。送信信号Saは、カプラ17により2つに分配され、分配された一方の送信信号は、アンテナ18により空中線に放射される。
【0037】
カプラ17により分配された他方の送信信号Saは、マルチバンド一括周波数変換部50に与えられる。加算器51は、レベル制御部23−1〜23−Mが出力する電力レベルが変更された局発信号LO2_1〜LO2_Mを合成して出力する。マルチバンド一括周波数変換部50は、加算器51から出力される合成された局発信号LO2_1〜LO2_Mに基づいて、カプラ17が分配した他方の送信信号Saに含まれる周波数成分Sa_1〜Sa_Mの信号をダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号Sd_1〜Sd_Mを含む合成信号Sdを出力する。LPF60は、合成信号Sdに対して、解析対象となる帯域のみを通過させるフィルタリングを行う。ADC61は、フィルタリングされた後のアナログ信号である合成信号Sdをデジタル信号DSdに変換する。IQ分離部62は、デジタル信号DSdに対してヒルベルト変換を行い、Ich成分とQch成分に分離した後に解析部32に出力する。
【0038】
上記の第3実施形態の構成により、第1実施形態の送信機1が奏する効果に加えて、送信系及びフィードバック系でそれぞれ必要としていたIch成分用の構成と、Qch成分用の構成を1つにまとめることができるため、送信系およびフィードバック系のアナログ回路を周波数バンド毎にIchとQch成分を合わせた1系統に統合することができ、回路規模を小さくすることが可能となる。
【0039】
なお、上記の第3実施形態の構成において、IQ合成部40−1〜40−NとIQ分離部62を備えず、IQ合成部40−1〜40−Nが行うIchとQch成分の合成の処理をデジタル歪み補償部11が行い、IQ分離部62が行うIchとQch成分の分離の処理を解析部32が行うようにしてもよい。
また、第3実施形態の送信機3においても、複数のデジタル信号DS_1〜DS_Nに対して1つの増幅器16、カプラ17、アンテナ18を用いるのではなく、
図2に示すようにデジタル信号DS_1〜DS_Nごとに個別の増幅器、カプラ、アンテナを用いる構成としてもよく、また、2つのデジタル信号に対して1つの増幅器、カプラ、及びアンテナを用いるなど、対応させる数は任意の数としてもよい。
また、上記の各実施形態の構成においてカプラ17、及びカプラ17−1〜17−Nは、信号を分配する分配回路のようなものであればどのようなものでもよく、例えば、ディバイダ(divider)などであってもよい
【0040】
上述した実施形態における送信機1、1a、2、2a、及び3をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。