(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自動露出制御部は、累積線量を縦軸、時刻を横軸とするグラフにおいて、累積線量0、時刻T0の原点と、累積線量S1、時刻T1の点を結んだ直線の延長線が目標線量の線と交わる時刻を時刻T2として求めることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出装置。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、放射線、例えばX線を利用したX線撮影システムが知られている。X線撮影システムは、X線を発生するX線発生装置と、X線を受けてX線画像を撮影するX線撮影装置とからなる。X線発生装置は、X線を被写体に向けて照射するX線源、X線源の駆動を制御する線源制御装置、およびX線の照射開始指示を入力するための照射スイッチを有している。X線撮影装置は、被写体を透過したX線を受けてX線画像を検出するX線画像検出装置、およびX線画像検出装置の駆動を制御するとともにX線画像を表示するコンソールを有している。
【0003】
最近、X線フイルムやイメージングプレート(IP)に代わり、フラットパネルディテクタ(FPD;flat panel detector)を検出パネルとして用いたX線画像検出装置が普及している。FPDには、X線の到達線量に応じた信号電荷を蓄積する画素がマトリックス状に配列されている。FPDは、画素毎に信号電荷を蓄積し、蓄積した信号電荷をTFT等のスイッチング素子を介して信号処理回路に読み出し、信号処理回路で電圧信号に変換することでX線画像を電気的に検出する。
【0004】
FPDを扁平な箱型をした筐体に内蔵した電子カセッテ(可搬型のX線画像検出装置)も実用化されている。電子カセッテは、専用の撮影台にセットされる他に、フイルムカセッテやIPカセッテ用の既存の撮影台に着脱可能に取り付けて使用される。さらには、据え付け型では撮影困難な部位を撮影するためにベッド上に置いたり被写体自身に持たせたりして使用される。また、自宅療養中の高齢者や、事故、災害等による急病人を撮影するため、撮影台の設備がない病院外で使用されることもある。
【0005】
FPDではX線画像へのノイズの影響を最小にするために、X線の非照射時にも発生する暗電荷や前回の撮影の残留電荷等による画素の不要蓄積電荷を掃き出すリセット動作を定期的に行っている。したがって一般的にFPDを有するX線画像検出装置の場合、X線の照射開始タイミングと、リセット動作を終了して信号電荷の蓄積動作を開始するタイミングとの同期をとる必要があり、例えば線源制御装置とX線画像検出装置に相互通信可能なインターフェース(I/F)を設け、線源制御装置がX線の照射を開始するタイミングを照射開始信号としてX線画像検出装置に送り、X線画像検出装置では照射開始信号をトリガに蓄積動作に移行する処理が行われる。
【0006】
また、FPDに到達するX線の線量を検出する線量検出センサを設けて、線量検出センサで検出した線量の積算値(累積線量)が予め設定した目標線量に達したら、または累積線量が目標線量に達すると予測される時刻を算出してその時刻となったら、X線源によるX線の照射を停止させ、X線画像検出装置では蓄積動作から読み出し動作に移行させる自動露出制御(AEC;Automatic Exposure Control)も行われている。
【0007】
さらに、線源制御装置との間に通信機能がない場合に対応するため、線量検出センサで検出した線量と閾値の比較結果に応じてX線の照射開始および/または終了を判定し、照射開始と判定したときには蓄積動作を開始し、照射終了と判定したときには蓄積動作から読み出し動作に移行する機能をもつX線画像検出装置もある。
【0008】
特許文献1には、X線画像検出用の画素と線量検出用の画素をもち、線量検出用の画素の出力に基づきX線の照射開始または終了判定、あるいはAECを行うX線画像検出装置が開示されている。線量検出用の画素は、電荷を信号処理回路に出力するためのスイッチング素子が短絡されており、線量検出用の画素で発生した電荷は常に信号処理回路に流入する。あるいは線量検出用の画素は、X線画像検出用の画素の画像読み出し用のスイッチング素子の走査線とは別の走査線で駆動するスイッチング素子を備え、X線画像検出用の画素とは独立して電荷を読み出すことが可能な構成である。
【0009】
特許文献2には、画素の一部を線量検出センサとして利用し、その画素の出力を元にAECを行うX線画像検出装置が開示されている。累積線量が目標線量に達したらX線の照射を停止させる第一実施形態と、累積線量が目標線量に達すると予測される時刻を算出してその時刻となったらX線の照射を停止させる第二実施形態とが記載されている。いずれの場合も線源制御装置からの照射開始信号の受信を契機に、線量検出センサとして利用する画素のスイッチング素子をオン状態としている。
【0010】
特許文献2の第二実施形態では、線量検出センサとして利用する画素の出力をX線照射中に二回サンプリングし、これら二点のデータから直線外挿により累積線量が目標線量に達すると予測される時刻を算出している。具体的には
図12に示すように、線源制御装置から照射開始信号を受信した時刻T0’から所定時間経過した時刻T1に線量検出センサとして利用する画素の出力S1をサンプリングし、さらに時刻T1から所定時間経過した時刻T2に線量検出センサとして利用する画素の出力S2をサンプリングする。そして、累積線量S1、時刻T1の点と、累積線量S1+S2、時刻T2の点を結んだ直線Lの延長線L’が目標線量である照射停止閾値の線と交わる時刻T3を累積線量が目標線量に達すると予測される時刻として求める。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1において、X線撮影システム2は、X線を放射するX線管を内蔵したX線源10と、X線源10の動作を制御する線源制御装置11と、X線の照射開始を指示するための照射スイッチ12と、被写体(患者)を透過したX線を検出してX線画像を出力する電子カセッテ13と、電子カセッテ13の動作制御やX線画像の画像処理を担うコンソール14と、被写体を立位姿勢で撮影するための立位撮影台15と、臥位姿勢で撮影するための臥位撮影台16とを有する。X線源10、線源制御装置11、および照射スイッチ12はX線発生装置2a、電子カセッテ13、およびコンソール14はX線撮影装置2bをそれぞれ構成する。この他にもX線源10を所望の方向および位置にセットするための線源移動装置(図示せず)等が設けられており、X線源10は立位撮影台15および臥位撮影台16で共用される。
【0028】
X線源10は、X線を放射するX線管と、X線管が放射するX線の照射野を限定する照射野限定器(コリメータ)とを有する。X線管は、熱電子を放出するフィラメントである陰極と、陰極から放出された熱電子が衝突してX線を放射する陽極(ターゲット)とを有している。照射野限定器は、例えば、X線を遮蔽する4枚の鉛板を四角形の各辺上に配置し、X線を透過させる四角形の照射開口が中央に形成されたものであり、鉛板の位置を移動することで照射開口の大きさを変化させて、照射野を限定する。
【0029】
図2に示すように、線源制御装置11は、トランスによって入力電圧を昇圧して高圧の管電圧を発生し、高電圧ケーブルを通じてX線源10に供給する高電圧発生器20と、X線源10が照射するX線のエネルギースペクトルを決める管電圧、単位時間当たりの照射量を決める管電流、およびX線の照射時間を制御する制御部21と、コンソール14との主要な情報、信号の送受信を媒介する通信I/F22とを備える。
【0030】
制御部21には照射スイッチ12とメモリ23とタッチパネル24が接続されている。照射スイッチ12は、放射線技師等のオペレータによって操作される例えば二段階押しのスイッチであり、一段階押しでX線源10のウォームアップを開始させるためのウォームアップ開始信号を発生し、二段階押しでX線源10に照射を開始させるための照射開始信号を発生する。これらの信号は信号ケーブルを通じて制御部21に入力される。制御部21は、照射スイッチ12から照射開始信号を受けたときに高電圧発生器20からX線源10への電力供給を開始させる。
【0031】
制御部21が照射開始信号を受けてから実際にX線が照射されるまではタイムラグがある(
図6の時刻T0’と時刻T0参照)。このタイムラグはX線源の製品毎に異なる。また、同種のX線源であっても個体差によって異なる。さらに撮影条件、X線源の経年劣化等にも左右される。
【0032】
メモリ23は、管電圧、管電流、照射時間あるいは管電流照射時間積等の撮影条件を予め数種類格納している。撮影条件はタッチパネル24を通じてオペレータにより手動で設定される。線源制御装置11は、設定された撮影条件の管電圧や管電流、照射時間でX線を照射しようとする。AECはこれに対してX線の累積線量が必要十分な目標線量に到達したことを検出すると、線源制御装置11側で照射しようとしていた照射時間あるいは管電流照射時間積以下であってもX線の照射を停止するように機能する。目標線量に達してAECによる照射停止の判断がされる前にX線の照射が終了して線量不足に陥ることを防ぐために、X線源10の撮影条件には照射時間または管電流照射時間積の最大値が設定される。なお、設定される照射時間または管電流照射時間積は、撮影部位に応じた値とすることが好ましい。
【0033】
照射信号I/F25は、電子カセッテ13の検出画素36b(
図4参照)の出力を元にX線の照射停止タイミングを規定する場合に電子カセッテ13と有線または無線接続される。この場合、制御部21は、照射スイッチ12からウォームアップ開始信号を受けたときに、照射信号I/F25を介して問い合わせ信号を電子カセッテ13に送信させる。電子カセッテ13は問い合わせ信号を受信すると自身が撮影可能な状態かどうかチェックを行い、撮影可能な状態である場合は照射許可信号を送信する。制御部21は、照射許可信号を照射信号I/F25で受け、さらに照射スイッチ12から照射開始信号を受けたときに高電圧発生器20からX線源10への電力供給を開始させる。また、制御部21は、電子カセッテ13から発せられる照射停止信号が照射信号I/F25で受信されたときに、高電圧発生器20からX線源10への電力供給を停止させ、X線の照射を停止させる。
【0034】
図3において、電子カセッテ13は、検出パネルであるFPD35とこれを収容する可搬型の筐体13aとからなる。電子カセッテ13の筐体13aはほぼ矩形状で偏平な形状を有し、平面サイズはフイルムカセッテやIPカセッテ(CRカセッテとも呼ばれる)と同様の大きさ(国際規格ISO4090:2001に準拠した大きさ)である。このため、フイルムカセッテやIPカセッテ用の既存の撮影台にも取り付け可能である。
【0035】
電子カセッテ13はX線撮影システム2が設置される撮影室一部屋に複数台、例えば立位撮影台15、臥位撮影台16用に二台配備され、二台の電子カセッテ13のうち使用する電子カセッテ13が撮影前にコンソール14で選択される。電子カセッテ13は、FPD35の撮像面37(
図4参照)がX線源10と対向する姿勢で保持されるよう、立位撮影台15、臥位撮影台16のホルダ15a、16aに着脱自在にセットされる。電子カセッテ13は、立位撮影台15や臥位撮影台16にセットする他に、被写体が仰臥するベッド上に置いたり被写体自身に持たせたりして単体で使用することもある。
【0036】
コンソール14は、有線方式や無線方式により電子カセッテ13と通信可能に接続されており、キーボード等の入力デバイス14aを介したオペレータからの入力操作に応じて電子カセッテ13の動作を制御する。電子カセッテ13からのX線画像はコンソール14のディスプレイ14bに表示される他、そのデータがコンソール14内のストレージデバイスやメモリ、あるいはコンソール14とネットワーク接続された画像蓄積サーバ等のデータストレージに記憶される。
【0037】
コンソール14は、患者の性別、年齢、撮影部位、撮影目的等の情報が含まれる検査オーダの入力を受け付けて、検査オーダをディスプレイ14bに表示する。検査オーダは、HIS(病院情報システム)やRIS(放射線情報システム)等の患者情報や放射線検査に係る検査情報を管理する外部システムから入力されるか、オペレータにより手動入力される。検査オーダには、頭部、胸部、腹部等の撮影部位、正面、側面、斜位、PA(X線を被写体の背面から照射)、AP(X線を被写体の正面から照射)等の撮影方向が含まれる(本例では撮影部位と撮影方向をまとめて撮影部位という)。オペレータは、検査オーダの内容をディスプレイ14bで確認し、その内容に応じた撮影条件をディスプレイ14bに映された操作画面を通じて入力する。
【0038】
図4において、電子カセッテ13には、線源制御装置11およびコンソール14と有線方式または無線方式で通信するための通信部30が設けられている。通信部30は、線源制御装置11およびコンソール14と制御部32の画像データを含む各種情報、信号の送受信を媒介する。また、電子カセッテ13にはバッテリ(図示せず)が内蔵されている。バッテリは電源回路を通じて電子カセッテ13の各部に所定の電圧の電力を供給する。バッテリは、薄型の電子カセッテ13内に収まるよう比較的小型のものが使用され、電子カセッテ13から外部に取り出して専用のクレードルにセットして充電することも可能である。バッテリを電子カセッテ13に装着したまま無線給電可能な構成としてもよい。
【0039】
通信部30は、バッテリの残量不足等で電子カセッテ13とコンソール14との無線通信が不可能になった場合にコンソール14と有線接続される。通信部30にコンソール14からのケーブルを接続した場合、コンソール14との有線通信が可能になる。この際、コンソール14からの電力を電源回路から電子カセッテ13の各部に給電してもよい。
【0040】
FPD35は、TFTアクティブマトリクス基板を有し、この基板上にX線の到達線量に応じた電荷を蓄積する複数の画素36を配列してなる撮像面37を備えている。複数の画素36は、所定のピッチで二次元にn行(x方向)×m列(y方向)、例えば1024行×1024列のマトリクス状に配列されている。
【0041】
FPD35は、X線を可視光に変換するシンチレータ(蛍光体)を有し、シンチレータによって変換された可視光を画素36で光電変換する間接変換型である。シンチレータは、CsI:Tl(タリウム賦活ヨウ化セシウム)やGOS(Gd
2O
2S:Tb、ガドリウムオキシサルファイド)等からなり、画素36が配列された撮像面37の全面と対向するように配置されている。なお、シンチレータとTFTアクティブマトリクス基板は、X線の入射する側からみてシンチレータ、基板の順に配置されるPSS(Penetration Side Sampling)方式でもよいし、逆に基板、シンチレータの順に配置されるISS(Irradiation Side sampling)方式でもよい。また、シンチレータを用いず、X線を直接電荷に変換する変換層(アモルファスセレン等)を用いた直接変換型のFPDを用いてもよい。
【0042】
画素36は、可視光の入射によって電荷(電子−正孔対)を発生する光電変換素子であるフォトダイオード38、フォトダイオード38が発生した電荷を蓄積するキャパシタ(図示せず)、およびスイッチング素子であるTFT39を備える。
【0043】
フォトダイオード38は、電荷を発生する半導体層(例えばPIN型)とその上下に上部電極および下部電極を配した構造を有している。フォトダイオード38は、下部電極にTFT39が接続され、上部電極にはバイアス線が接続されている。バイアス線は画素36の行数分(n行分)設けられて一本の母線に接続されている。母線はバイアス電源に繋がれている。母線とその子線のバイアス線を通じて、バイアス電源からフォトダイオード38の上部電極にバイアス電圧が印加される。バイアス電圧の印加により半導体層内に電界が生じ、光電変換により半導体層内で発生した電荷(電子−正孔対)は、一方がプラス、他方がマイナスの極性をもつ上部電極と下部電極に移動し、キャパシタに電荷が蓄積される。
【0044】
TFT39は、ゲート電極が走査線40に、ソース電極が信号線41に、ドレイン電極がフォトダイオード38にそれぞれ接続される。走査線40と信号線41は格子状に配線されており、走査線40は画素36の行数分(n行分)、信号線41は画素36の列数分(m列分)それぞれ設けられている。走査線40はゲートドライバ42に接続され、信号線41は信号処理回路45に接続される。
【0045】
ゲートドライバ42は、TFT39を駆動することにより、X線の到達線量に応じた信号電荷を画素36に蓄積する蓄積動作と、画素36から信号電荷を読み出す読み出し(本読み)動作と、リセット(空読み)動作とを行わせる。制御部32は、ゲートドライバ42によって実行される上記各動作の開始タイミングを制御する。
【0046】
蓄積動作ではTFT39がオフ状態にされ、その間に画素36に信号電荷が蓄積される。読み出し動作では、ゲートドライバ42から同じ行のTFT39を一斉に駆動するゲートパルスG1〜Gnを所定の間隔Δt(
図6参照)で順次発生して、走査線40を一行ずつ順に活性化し、走査線40に接続されたTFT39を一行分ずつオン状態とする。画素36のキャパシタに蓄積された電荷は、TFT39がオン状態になると信号線41に読み出されて、信号処理回路45に入力される。
【0047】
信号処理回路45は、積分アンプ46、CDS回路(CDS)47、マルチプレクサ(MUX)48、およびA/D変換器(A/D)49等を備える。積分アンプ46は、各信号線41に対して個別に接続される。積分アンプ46は、オペアンプ46aとオペアンプ46aの入出力端子間に接続されたキャパシタ46bとからなり、信号線41はオペアンプ46aの一方の入力端子に接続される。オペアンプ46aのもう一方の入力端子はグランド(GND)に接続される。キャパシタ46bにはリセットスイッチ46cが並列に接続されている。積分アンプ46は、信号線41から入力される電荷を積算し、アナログ電圧信号V1〜Vmに変換して出力する。各列のオペアンプ46aの出力端子には、増幅器50、CDS47を介してMUX48が接続される。MUX48の出力側には、A/D49が接続される。
【0048】
CDS47はサンプルホールド回路を有し、積分アンプ46の出力電圧信号に対して相関二重サンプリングを施してノイズを除去するとともに、サンプルホールド回路で積分アンプ46の出力電圧信号を所定期間保持(サンプルホールド)する。MUX48は、シフトレジスタ(図示せず)からの動作制御信号に基づき、パラレルに接続される各列のCDS47から順に一つのCDS47を電子スイッチで選択し、選択したCDS47から出力される電圧信号V1〜VmをシリアルにA/D49に入力する。A/D49は、入力された電圧信号V1〜Vmをデジタル電圧信号に変換して、電子カセッテ13に内蔵されるメモリ51、または照射開始判定部52、AEC部53に出力する。なお、MUX48とA/D49の間に増幅器を接続してもよい。
【0049】
MUX48によって積分アンプ46からの一行分の電圧信号V1〜Vmが読み出されると、制御部32は、積分アンプ46に対してリセットパルスRSTを出力し、リセットスイッチ46cをオンする。これにより、キャパシタ46bに蓄積された一行分の信号電荷が放電されてリセットされる。積分アンプ46をリセットした後、再度リセットスイッチ46cをオフして所定時間経過後にCDS47のサンプルホールド回路の一つをホールドし、積分アンプ46のkTCノイズ成分をサンプリングする。その後、ゲートドライバ42から次の行のゲートパルスが出力され、次の行の画素36の信号電荷の読み出しを開始させる。さらにゲートパルスが出力されて所定時間経過後に次の行の画素36の信号電荷をCDS47のもう一つのサンプルホールド回路でホールドする。これらの動作を順次繰り返して全行の画素36の信号電荷を読み出す。
【0050】
全行の読み出しが完了すると、一画面分のX線画像を表す画像データがメモリ51に記録される。この画像データはメモリ51から読み出され、制御部32で各種画像処理を施されたのち通信部30を通じてコンソール14に出力される。こうして被写体のX線画像が検出される。
【0051】
フォトダイオード38の半導体層には、X線の入射の有無に関わらず暗電荷が発生する。この暗電荷はバイアス電圧が印加されているために画素36のキャパシタに蓄積される。画素36において発生する暗電荷は、画像データに対してはノイズ成分となるので、これを除去するために所定時間間隔でリセット動作が行われる。リセット動作は、画素36において発生する暗電荷を、信号線41を通じて掃き出す動作である。
【0052】
リセット動作は、例えば、一行ずつ画素36をリセットする順次リセット方式で行われる。順次リセット方式では、信号電荷の読み出し動作と同様、ゲートドライバ42から走査線40に対してゲートパルスG1〜Gnを所定の間隔Δtで順次発生して、画素36のTFT39を一行ずつオン状態にする。TFT39がオン状態になっている間、画素36から暗電荷が信号線41を通じて積分アンプ46のキャパシタ46bに流れる。リセット動作では、読み出し動作と異なり、MUX48によるキャパシタ46bに蓄積された電荷の読み出しは行われず、各ゲートパルスG1〜Gnの発生と同期して、制御部32からリセットパルスRSTが出力されてリセットスイッチ46cがオンされ、キャパシタ46bに蓄積された電荷が放電されて積分アンプ46がリセットされる。
【0053】
順次リセット方式に代えて、配列画素の複数行を一グループとしてグループ内で順次リセットを行い、グループ数分の行の暗電荷を同時に掃き出す並列リセット方式や、全行にゲートパルスを入れて全画素の暗電荷を同時に掃き出す全画素リセット方式を用いてもよい。並列リセット方式や全画素リセット方式によりリセット動作を高速化することができる。
【0054】
画素36には通常画素36aと検出画素36bがある。各画素36a、36bはフォトダイオード38等の基本的な構成は全く同じであるが、検出画素36bはTFT39のソース電極とドレイン電極が短絡されている。このため検出画素36bのフォトダイオード38で発生した電荷は、TFT39のオン/オフに関わらず信号線41に流れ出す。通常画素36aは従来の役割通りX線画像を生成するために用いられる。一方検出画素36bは撮像面37へのX線の到達線量を検出するセンサとして機能し、X線の照射開始判定およびAECのために用いられる。なお、図では検出画素36bのフォトダイオード38にハッチングを施し通常画素36aと区別している。
【0055】
検出画素36bは、撮像面37内で局所的に偏ることなく撮像面37内に満遍なく散らばるよう配置される。検出画素36bは撮像面37内の画素36の数ppm〜数%程度を占める。検出画素36bは、同じ信号線41が接続された画素36の列に複数個設けられ、検出画素36bが設けられた列は、検出画素36bが設けられない列を複数列挟んで設けられる。画素36が1024行×1024列のマトリクス配置であった場合、例えば128列毎の8本の信号線41に対して16個ずつ均等に検出画素36bを配置すれば、検出画素36bの占める割合は約0.01%(10ppm)となる。検出画素36bの位置はFPD35の製造時に既知であり、FPD35は全検出画素36bの位置(座標)を不揮発性のメモリ(図示せず)に予め記憶している。なお、本実施形態とは逆に検出画素36bを局所に集中して配置してもよく、検出画素36bの配置は適宜変更可能である。例えば乳房を撮影対象とするマンモグラフィ装置では胸壁側に集中して検出画素36bを配置するとよい。
【0056】
検出画素36bはTFT39のソース電極とドレイン電極が短絡されているので、同じ列にある通常画素36aがTFT39をオフ状態とされ、信号電荷を蓄積する蓄積動作中であっても検出画素36bで発生した電荷を読み出すことが可能である。このとき検出画素36bが接続された信号線41上の積分アンプ46のキャパシタ46bには、検出画素36bで発生した電荷が流入する。蓄積動作中、積分アンプ46に蓄積された検出画素36bからの電荷はA/D49に出力され、A/D49でデジタル電圧信号に変換される。
【0057】
制御部32には、メモリ51のX線画像データに対してオフセット補正、感度補正、および欠陥補正の各種画像処理を施す回路(図示せず)が設けられている。オフセット補正回路は、X線を照射せずにFPD35から取得したオフセット補正画像をX線画像から画素単位で差し引くことで、信号処理回路45の個体差や撮影環境に起因する固定パターンノイズを除去する。
【0058】
感度補正回路はゲイン補正回路とも呼ばれ、各画素36のフォトダイオード38の感度のばらつきや信号処理回路45の出力特性のばらつき等を補正する。感度補正は被写体がいない状態で所定の線量のX線を照射して得た画像から上記オフセット補正画像を差し引いた画像を元に生成した感度補正データに基づき行う。感度補正データは、被写体がいない状態で所定の線量のX線を照射したときに、オフセット補正後のX線画像に乗算することで各画素出力が一律同じになるよう、基準値からのずれを補正する係数を画素毎にもつ。例えば画素Aの出力が基準の1であるのに対して画素Bの出力が0.8であった場合、画素Bの係数は1.25(1/0.8=1.25)となる。
【0059】
欠陥補正回路は、出荷時に添付される欠陥画素情報に基づき、欠陥画素の画素値を周囲の正常な画素の画素値で線形補間する。また、X線の照射開始判定とAECに用いられる検出画素36bがある列の画素値も同様に補間する。
【0060】
オフセット補正画像、感度補正データは、例えば電子カセッテ13の出荷時に取得されるか、定期メンテナンス時にメーカのサービスマンが、あるいは病院の始業時間帯にオペレータが取得し、制御部32の内部メモリに記録されて補正時に読み出される。なお、上記の各種画像処理回路をコンソール14に設け、各種画像処理をコンソール14で行ってもよい。
【0061】
照射開始判定部52およびAEC部53は、制御部32により駆動制御される。照射開始判定部52およびAEC部53は、検出画素36bが接続された信号線41からのデジタル電圧信号(以下、線量検出信号という)をA/D49から取得し、取得した線量検出信号に基づいて、X線源10から実際にX線が照射されてFPD35に到達し、これをFPD35が感知したか否かを判定する照射開始判定およびAECをそれぞれ行う。
【0062】
照射開始判定部52は、線源制御装置11からの照射開始信号を受けてFPD35がリセット動作を繰り返す待機モードから蓄積動作を開始する撮影モードに切り替わったときに線量検出信号のモニタリングを開始する。そして、全検出画素36b、あるいは特定の列、例えばX線が被写体を透過せずに直接照射される素抜け領域にあたるFPD35の両端部の複数列からの線量検出信号の平均値、最大値、最頻値、または合計値と、予め設定された照射開始閾値(
図6参照)とを比較する。線量検出信号が照射開始閾値を上回った場合、照射開始判定部52は、X線源10から実際にX線が照射されてFPD35に到達したと判定する。
【0063】
AEC部53は、照射開始判定部52でX線が実際にFPD35に到達したと判定したときに線量検出信号のモニタリングを開始する。AEC部53は少なくとも一回線量検出信号をモニタリングし、そのときの全検出画素36b、あるいは特定の列、例えば診断時に最も注目すべき関心領域にあたる中央の複数列からの線量検出信号の平均値、最大値、最頻値、または合計値に基づき、FPD35へのX線の累積線量(到達線量の積算値)が目標線量(照射停止閾値)に達するであろう時刻を直線外挿により予測演算する(
図7参照)。AEC部53は予測演算した時刻がセットされるタイマーをもち、予測演算した時刻となったことをタイマーが計時したときに制御部32を介して通信部30に照射停止信号を出力する。
【0064】
通信部30には、照射信号I/F54が設けられている。照射信号I/F54には線源制御装置11の照射信号I/F25が有線または無線接続される。照射信号I/F54は、問い合わせ信号の受信、問い合わせ信号に対する照射許可信号の送信、照射開始信号の受信の他、AEC部53から出力される照射停止信号の送信を行う。なお、照射停止信号ではなく予測演算した時刻の情報を線源制御装置11に送信してもよい。
【0065】
図5に示すように、コンソール14では入力デバイス14aにより撮影部位毎に撮影条件を設定可能である。撮影条件には、管電圧、管電流、照射停止閾値、およびAEC時のサンプリング期間ΔT(
図6参照)等が記憶されている。照射開始閾値は撮影部位によらず同じ値が設定される。撮影条件の情報はストレージデバイスに格納されており、入力デバイス14aで指定された撮影部位に対応する撮影条件がストレージデバイスから読み出されて電子カセッテ13に提供される。線源制御装置11の撮影条件は、オペレータがこのコンソール14の撮影条件を参照して同様の撮影条件を手動設定する。
【0066】
AEC時のサンプリング期間ΔTは、照射開始判定部52でX線が実際にFPD35に到達したと判定してから積分アンプ46に蓄積された検出画素36bからの電荷に基づく線量検出信号を出力するまでの時間である。サンプリング期間ΔTは、短すぎるとAEC部53で直線外挿により予測演算する時刻に信頼性がおけなくなり、長すぎるとその間に累積線量が目標線量に達してしまうおそれがあるため、必要十分な長さの値が設定されている。
【0067】
X線撮影システム2においてX線撮影を行う場合は、まず、被写体を立位撮影台15の前の所定の位置に立たせるか臥位撮影台16に仰臥させ、立位または臥位撮影台15、16にセットされた二台の電子カセッテ13のうち、撮影に使用する電子カセッテ13の高さや水平位置を調節して、被写体の撮影部位と位置を合わせる。また、電子カセッテ13の位置および撮影部位の大きさに応じて、X線源10の高さや水平位置、照射野の大きさを調整する。次いで使用する電子カセッテ13をコンソール14で選択し、線源制御装置11とコンソール14に撮影条件を設定する。
【0068】
図6において、X線撮影前の待機モードでは、制御部32はFPD35にリセット動作を繰り返し行わせている。また、照射信号I/F25からの問い合わせ信号を照射信号I/F54で待ち受けている。照射スイッチ12が一段階押しされて照射信号I/F25から問い合わせ信号が送信され、これが照射信号I/F54で受信されると、状態チェックが行われた後照射信号I/F54から照射許可信号が送信される。
【0069】
程なくして照射スイッチ12が二段階押しされて照射信号I/F25から照射開始信号が送信され、これが照射信号I/F54で受信されると(時刻T0’)、FPD35は、リセット動作を終えて蓄積動作を開始し、待機モードから撮影モードに切り替わる。
【0070】
撮影モードではFPD35は蓄積動作に移行し、通常画素36aで発生した電荷はフォトダイオード38に蓄積されるが、検出画素36bで発生した電荷はTFT39が短絡されているため信号線41から積分アンプ46のキャパシタ46bに流入する。検出画素36bで発生した電荷は、リセット動作および読み出し動作時のゲートパルスG1〜Gnの発生間隔Δtと同じサンプリング期間でA/D49に出力され、A/D49により線量検出信号に変換される。
【0071】
撮影モードへの切り替わりと同時に照射開始判定部52で線量検出信号のモニタリングが開始される。照射開始信号を受信した時刻T0’から実際にX線が照射されるまではタイムラグがあり、その間の線量検出信号は検出画素36bに発生した暗電荷に基づく極めて低い値となる。実際にX線源10からX線が照射されてFPD35に到達すると、検出画素36bが感応して発生電荷量が増え、そのときの線量検出信号S0も高い値となり照射開始閾値を上回る。こうして照射開始判定部52によりX線が実際にFPD35に到達したと判定される(時刻T0)。
【0072】
積分アンプ動作クロックの行に楕円の点線で示すように、照射開始判定部52でX線が実際にFPD35に到達したと判定された場合、制御部32は、積分アンプ46をリセットした後、直ちに積分アンプ46に信号線41から入力される検出画素36bからの電荷の積算を開始させる。制御部32は、時刻T0から予め設定されたサンプリング期間ΔT経過後の時刻T1に、積分アンプ46で積算した電荷をA/D49に読み出させて線量検出信号S1に変換させる。
【0073】
図7に示すように、AEC部53では、累積線量0、時刻T0の原点と累積線量S1、時刻T1の点を結んだ直線Lの延長線L’が目標線量である照射停止閾値の線と交わる時刻T2が求められる。この時刻T2がFPD35への累積線量が目標線量に達するであろう時刻である。なお、ここでは時刻T0の累積線量を0としたが実際はS0であるので、時刻T2の予測演算により正確を期すため、累積線量S0、時刻T0の点と累積線量S0+S1、時刻T1の点を結んだ直線を外挿して時刻T2を求めてもよい。
【0074】
時刻T2に達するとAEC部53から照射停止信号が出力される。これにより照射信号I/F54から照射信号I/F25に向けて照射停止信号が送信される。線源制御装置11では照射停止信号を受けてX線源10によるX線の照射が停止される。
【0075】
照射停止信号を送信してから所定時間経過後、制御部32は、FPD35の動作を蓄積動作から読み出し動作へ移行させる。これにて一回の撮影が終了する。FPD35はリセット動作を行う待機モードに戻る。なお、照射停止信号を送信してから所定時間経過後に蓄積動作から読み出し動作に移行させるのは、X線の波尾を吸収するためである。
【0076】
制御部32の各種画像処理回路により、読み出し動作でメモリ51に出力されたX線画像データに対して各種画像処理が行われ、一枚分のX線画像が生成される。X線画像は通信部30を介してコンソール14に有線または無線送信され、ディスプレイ14bに表示されて診断に供される。
【0077】
以上説明したように、本発明によれば、照射開始判定部52で実際にX線がFPD35に到達したことを判定したときに、AECのために積分アンプ46による検出画素36bの電荷の積算を開始し、これにより得られた線量検出信号に基づいてAEC部53で累積線量が目標線量に達するであろう時刻を予測演算するので、AECに掛かる処理時間を短くすることができる。
【0078】
直線外挿には少なくとも二点のデータが必要である。この二点のデータを特許文献2記載の従来技術ではX線の照射開始からある程度時間が経ってから取得するのに対し、本発明では照射開始時、つまり時刻T0で累積線量がほぼ0である原点と、時刻T0からサンプリング期間ΔT経過した時刻T1とそのときの累積線量S1の点の二点を取得する。また、照射開始信号が発せられてから実際にX線が照射されるまでのタイムラグは撮影条件等により変化するため、このタイムラグの幅に対応するため従来技術では照射開始信号が発せられてから一回目のデータサンプリングまでの時間、つまりサンプリング期間ΔTにマージンをもたせる必要があるが、本発明では実際にX線がFPD35に到達した時刻T0が分かるためサンプリング期間ΔTは必要十分な長さの値とすることができる。したがって直線外挿のための二点のデータを従来技術よりも早く取得することができ、結果としてAECに掛かる処理時間が短縮化される。
【0079】
直線外挿のための二点のデータの取得が遅くAECに掛かる処理時間が長引くと、累積線量が目標線量に達していて本来X線の照射を停止させる時刻が過ぎているにも関わらずAECの処理が終わらず、その間被写体が無用な被曝に晒されるおそれがあるが、本発明ではこうした事態に陥る可能性は従来技術よりも少なくなる。
【0080】
実際にX線がFPD35に到達した時刻T0から検出画素36bからの電荷を積分アンプ46で積算しはじめるので、暗電荷成分がほとんどない線量検出信号S1を得ることができる。したがって累積線量が目標線量に達すると予測される時刻T2の演算結果の信頼性を高めることができる。
【0081】
X線の照射開始判定およびAECのための線量検出センサを検出画素36bが兼用するので、各センサを別々に設ける場合よりもコストを低く抑えることができる。
【0082】
上記実施形態では、TFT39のソース電極とドレイン電極が短絡された検出画素36bを例示したが、TFT39自体がなくフォトダイオード38が直接信号線41に接続された画素を検出画素としてもよい。または
図8に示すFPD70のように、TFT39を駆動するための走査線40およびゲートドライバ42とは別の走査線71およびゲートドライバ72により駆動されるTFT73がTFT39に加えて接続された画素74を検出画素としてもよい。
【0083】
走査線71は検出画素74がある行に走査線40と平行に設けられている。各走査線71はゲートドライバ72の手前で一本の母線75に接続され、母線75はゲートドライバ72に繋がれている。ゲートドライバ72から母線75に対してゲートパルスg1を与えると、全TFT73がオン状態となり検出画素74で発生した電荷が信号線41を通じて積分アンプ46のキャパシタ46bに流れる。ゲートドライバ72はゲートドライバ42とは独立して駆動することが可能であり、TFT39がオフ状態で通常画素36aが蓄積動作中であっても、検出画素74で発生した電荷を読み出すことができる。なお、検出画素74はTFT39をなくしてTFT73のみとしてもよい。
【0084】
この場合は
図9に示すように、照射開始判定時はゲートドライバ72から母線75に対してゲートパルスg1を与え続けてTFT73をオン状態とし、検出画素74で発生した電荷を、信号線41を介して積分アンプ46のキャパシタ46bに流入させる。そして、上記実施形態と同様、ゲートパルスG1〜Gnの発生間隔Δtと同じサンプリング期間で、検出画素74で発生した電荷を線量検出信号に変換する。
【0085】
線量検出信号が照射開始閾値を上回り、照射開始判定部52によりX線が実際にFPD35に到達したと判定されたとき(時刻T0)、ゲートパルスg1の出力を止めて検出画素74を蓄積動作状態とする。この状態をサンプリング期間ΔT経過後の時刻T1までキープする。時刻T1となったら再びゲートパルスg1を与えてサンプリング期間ΔTの間に検出画素74に発生した電荷を積分アンプ46のキャパシタ46bに流入させ、これに基づく線量検出信号S1をAEC部53に出力させる。その後の処理は上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0086】
なお、全走査線71を一本の母線75でまとめて一つのゲートパルスg1のみで全検出画素74からの電荷を読み出し可能としているが、母線75をなくして、ゲートドライバ42と同様、各走査線71にゲートパルスを与える構成としてもよい。あるいは
図10に示すFPD90のように、隣接する複数行の走査線71を母線91でまとめて一つのグループとし、各グループの母線91にゲートドライバ92からゲートパルスを与える構成としてもよい。ここでは撮像面37を横に八等分した8グループの母線91にゲートパルスg1〜g8を与える構成を例示している。
【0087】
図10の構成によれば、照射開始判定の際にゲートパルスg1のみを与えて上端のグループから選択的に線量検出信号を出力させたり、AECの際に例えばゲートパルスg4、g5のみを与えて中央のグループから選択的に線量検出信号を出力させる等、用途に応じて線量検出信号を出力させる領域を変更することが可能となる。
【0088】
また、本番のX線撮影に先立って低線量のX線を被写体に照射するプレ撮影を行い、プレ撮影の結果に基づいてAECの際に線量検出信号を出力させるグループを決定してもよい。具体的には、プレ撮影後にゲートパルスg1〜g8を順次発生させて検出画素74の電荷を読み出して電圧信号に変換する。そして、例えば撮像面37を縦横に八等分したブロック93毎にこの電圧信号の平均値を求め、
図11に示す線量マップ100を作成する。
【0089】
線量マップ100はFPD90が受けたX線の線量の大きさをブロック93毎に表したものであり、X線が被写体を透過せずに直接照射される素抜け領域にあたるブロック93は濃いハッチングで示すように値が大きくなり、比較的被写体の体厚が厚い部分を透過したX線が照射される領域にあたるブロック93は白抜きで示すように値が小さくなる。素抜け領域と被写体の境界や比較的被写体の体厚が薄い領域にあたるブロック93は薄いハッチングで示すように中間の値をとる。本番のX線撮影でAECを行う際には、この線量マップ100を参照して、例えば白抜きで示すブロック93の属するグループから選択的に線量検出信号を出力させる。
【0090】
上記実施形態では、一回の線量検出信号のモニタリングの結果に基づきAEC部53で直線外挿により時刻T2を予測演算しているが、予測演算の確度を高めるために複数回線量検出信号をモニタリングしてもよい。ただし、複数回モニタリングを行うとそれだけ時間が掛かり、AECの処理時間を短くすることができるという本発明の効果が薄まるので、二回か三回のモニタリングでとどめておくことが好ましい。
【0091】
あるいは、普段は一回の線量検出信号のモニタリングで済ませておき、線量検出信号が予め設定された下限値以下であった場合のみ二回目のモニタリングを実行してもよい。下限値は、線量検出信号がそれ以下であると時刻T2の予測演算の確度が許容範囲を超えてしまう値が設定されている。予測演算には一回目と二回目のモニタリングの結果を取り入れてもよいし、一回目は誤検出と判断して破棄し、二回目のモニタリングの結果のみを取り入れてもよい。こうすれば、一回目のモニタリングで得られた線量検出信号が下限値よりも大きい場合はAECの処理時間が短くなるという効果を発揮し、下限値以下の場合は時刻T2の予測演算の確度を高めることができる。
【0092】
なお、線量検出センサは画素36の一部を利用した上記実施形態の検出画素36bや検出画素74に限らず、画素36とは別に構成が異なり出力が独立した線量検出センサを設けてもよい。例えば電子カセッテとは別体で従来周知のイオンチャンバ(電離箱)等のセンサを用いた場合も本発明は有効である。
【0093】
また、各画素にバイアス電圧を供給するバイアス線に画素で発生する電荷に基づく電流が流れることを利用して、ある特定の画素に繋がるバイアス線の電流をモニタリングして線量を検出してもよく、全てのTFTをオフ状態にしたときに画素から漏れるリーク電荷に基づき線量を検出してもよい。
【0094】
上記実施形態では、線源制御装置と電子カセッテ間で照射停止信号等を遣り取りする態様を記載しているが、電子カセッテからコンソールを経由して線源制御装置と照射停止信号等を遣り取りしてもよい。
【0095】
上記実施形態では、コンソール14と電子カセッテ13が別体である例で説明したが、コンソール14は独立した装置である必要はなく、電子カセッテ13にコンソール14の機能を搭載してもよい。同様に線源制御装置11とコンソール14を一体化した装置としてもよい。また、可搬型のX線画像検出装置である電子カセッテに限らず、撮影台に据え付けるタイプのX線画像検出装置に適用してもよい。
【0096】
さらに本発明は、X線に限らず、γ線等の他の放射線を使用する撮影システムにも適用することができる。