(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連動レバーは、前記光軸と平行な第1軸線回りに回動自在に支持され、前記第1軸線を挟んで一端側に前記回転筒のカム部と係合する第1係合部及び他端側に第2係合部を有し、
前記補正レバーは、前記光軸と平行な第2軸線回りに回動自在に支持され、前記第2軸線を挟んで一端側に前記連動レバーの第2係合部と離脱可能に係合する第3係合部及び他端側に前記光学要素を保持する保持部を有し、
前記視差補正機構は、前記連動レバーの第1係合部を前記回転筒に係合させる向きに回転付勢する第1付勢バネと、前記補正レバーの第3係合部を前記連動レバーの第2係合部に係合させると共に前記補正レバーを前記補正位置に向けて回転付勢する第2付勢バネを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のファインダ補正装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、少ない部品点数にて、構造の簡素化、小型化等を図りつつ、ファインダの設置の自由度を高めつつ撮影光学系とファインダ光学系とにおける視差(パララックス)補正を行うことができる視差(パララックス)補正機構を備え、特に、近接撮影時において視差(パララックス)補正を行えるファインダ補正装置
及びこのファインダ補正装置を備えたカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のファインダ補正装置は、ベース部材と、レンズの光軸を中心として回転可能にベース部材に設けられたレンズ鏡筒を含む撮影光学系と、撮影光学系から独立してベース部材に設けられたファインダ光学系と、撮影光学系に対するファインダ光学系の視差を補正する視差補正機構と、を備えたファインダ補正装置であって、上記視差補正機構は、視差補正用の光学要素を保持すると共に光学要素をファインダ光学系に臨ませて視差補正する補正位置とファインダ光学系から退避した非補正位置との間を移動自在にベース部材に設けられた補正レバーと、レンズ鏡筒が休止位置にあるとき補正レバーを非補正位置に位置付けかつレンズ鏡筒が所定回転位置にあるときに補正レバーを補正位置に位置付けるようにレンズ鏡筒に連動して補正レバーを回動させるべくベース部材に回動自在に設けられた連動レバーを含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、撮影光学系を構成するレンズ鏡筒が、休止位置にあるとき補正レバー(及び光学要素)は非補正位置に位置付けられ、休止位置から所定回転位置まで移動する際に連動レバーを介して補正レバー(及び光学要素)は移動して補正位置に位置付けられる。したがって、レンズ鏡筒が所定回転位置にある状態で、撮影光学系に対するファインダ光学系の視差を補正することができる。
ここでは、視差補正機構として、光学要素を保持した補正レバー、レンズ鏡筒に連動して補正レバーを移動させる連動レバーの二つのレバーを採用するだけであるため、視差補正機構において、少ない部品点数で、構造の簡素化、小型化等を達成することができ、又、補正レバー及び連動レバーの寸法等を適宜選定することにより、ファインダ(ファインダ光学系)の設置の自由度を高めることができ、カメラの仕様及び形態に適合させつつ視差補正を行うことができる。
【0007】
上記構成において、レンズ鏡筒は、ベース部材に固定された固定筒と、固定筒に対して回動自在にかつ光軸方向に繰り出し自在に設けられた回転筒を含み、回転筒は、休止位置から光軸方向に繰り出して近接撮影時に対応する所定回転位置に至る際に連動レバーを補正位置に対応する位置に回転させるカム作用を及ぼすカム部を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、ベース部材に固定された固定筒に対して、回転筒が回転しつつ光軸方向に繰り出して所定回転位置に至る際に、回転筒に設けられたカム部が連動レバーにカム作用を及ぼして連動レバーが回転し、この連動レバーの回転に連動して、補正レバー(光学要素)が回転して補正位置に位置付けられる。
このように、レンズ鏡筒に含まれる回転筒のカム作用を利用して、連動レバー及び補正レバーを駆動するため、レンズ鏡筒が近接撮影の位置に至ると同時に自動的に視差補正を行うことができる、すなわち、レンズ鏡筒の近接撮影位置への位置付けに同期させて確実に補正レバー(光学要素)を補正位置へ位置付けることができる。
【0008】
上記構成において、連動レバーは、光軸と平行な第1軸線回りに回動自在に支持され、第1軸線を挟んで一端側に回転筒のカム部と係合する第1係合部及び他端側に第2係合部を有し、補正レバーは、光軸と平行な第2軸線回りに回動自在に支持され、第2軸線を挟んで一端側に連動レバーの第2係合部と離脱可能に係合する第3係合部及び他端側に光学要素を保持する保持部を有し、視差補正機構は、連動レバーの第1係合部を回転筒に係合させる向きに回転付勢する第1付勢バネと、補正レバーの第3係合部を連動レバーの第2係合部に係合させると共に補正レバーを補正位置に向けて回転付勢する第2付勢バネを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、回転筒の回転により、そのカム部が連動レバーの第1係合部にカム作用を及ぼすと、連動レバーが、第1付勢バネの付勢力に抗しつつ光軸に平行な第1軸線回りに回転して、その第2係合部が補正レバーの第3係合部に係合した状態で補正レバーの回転を許容し、補正レバーは第2付勢バネの付勢力により光軸に平行な第2軸線回りに回転して補正位置に位置付けられる。
このように、連動レバー(の第1係合部)と回転筒とは第1付勢バネにより常時係合するように付勢され、かつ、連動レバー(の第2係合部)と補正レバー(の第3係合部)とは第2付勢バネにより常時係合するように付勢されているため、ガタツキを防止しつつ円滑な連動動作を得ることができ、又、連動レバー及び補正レバーが光軸に平行な軸線回りに回動するように形成されているため、光軸方向において視差補正機構の薄型化を達成することができる。
さらに、第1軸線及び第2軸線の配置場所及び連動レバー及び補正レバーの腕長さを適宜選定することにより、ファインダ(ファインダ光学系)の設置場所の自由度を高めつつ、視差補正を確実に行うことのできる視差補正機構を成立させることができる。
【0009】
上記構成において、連動レバーの第2係合部と補正レバーの第3係合部とは、互いにインボリュート曲線をなす係合面を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、連動レバーと補正レバーとが、インボリュート曲線をなす係合面によりお互いに係合して駆動力の伝達を行うため、第2係合部及び第3係合部の相互間の滑り等を防止して、駆動力の伝達効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成をなすファインダ補正装置によれば、少ない部品点数で、構造の簡素化、小型化等を達成でき、ファインダの設置の自由度を高めることができると共に撮影光学系とファインダ光学系とにおける視差(パララックス)補正を行うことができ、特に近接撮影時において視差(パララックス)補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のファインダ補正装置を示す外観斜視図であり、(a)はレンズ鏡筒がカメラボディに対して沈胴位置(休止位置)にある状態を示す外観斜視図、(b)はレンズ鏡筒がカメラボディから繰り出した位置にある状態を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明のファインダ補正装置において、カメラボディを省略した内部のカメラユニットを示すものであり、レンズ鏡筒が繰り出して視差補正機構が(視差補正を行う)補正位置にある状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明のファインダ補正装置において、カメラボディ及び(レンズ鏡筒の一部をなす)固定筒を省略したカメラユニットを示すものであり、レンズ鏡筒が沈胴位置にあって視差補正機構が(視差補正を行わない)非補正位置にある状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明のファインダ補正装置において、カメラボディ及び(レンズ鏡筒の一部をなす)固定筒を省略したカメラユニットを示すものであり、レンズ鏡筒が繰り出して視差補正機構が(視差補正を行う)補正位置にある状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明のファインダ補正装置に含まれるレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【
図6】本発明のファインダ補正装置に含まれるレンズ鏡筒の一部をなす固定筒を示す斜視図である。
【
図7】本発明のファインダ補正装置に含まれるレンズ鏡筒の一部をなす回転筒を示す斜視図である。
【
図8】本発明のファインダ補正装置に含まれる視差補正機構の一部をなす連動レバーを示すものであり、(a)は正面図であり、(b)が正面側から視た斜視図である。
【
図9】本発明のファインダ補正装置に含まれる視差補正機構の一部をなす補正レバーを示すものであり、(a)は正面図であり、(b)が正面側から視た斜視図である。
【
図10】本発明のファインダ補正装置に含まれる視差補正機構の動作を説明する模式図であり、(a)は補正レバー(視差補正用の光学要素)がファインダ光学系から退避して非補正位置にある状態を示す模式図であり、(b)は補正レバー(視差補正用の光学要素)がファインダ光学系に臨んで補正位置にある状態を示す模式図である。
【
図11】本発明のファインダ補正装置に含まれるファインダ光学系及びその光線を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この実施形態に係るファインダ補正装置は、撮影光学系とファインダ光学系を備えた二眼レフ式のカメラに係り、
図1(a),(b)に示すように、カメラボディ1、カメラボディ1の内部に収容されたカメラユニットU(
図2参照)に設けられてカメラボディ1の前面から光軸L方向の前方に繰り出すレンズ鏡筒20を含む撮影光学系S1、測距部2、ストロボ3、対物窓4を含むファインダ光学系S2等を備えている。
【0013】
カメラユニットUは、
図2ないし
図4に示すように、略矩形状をなしカメラボディ1の内部に固定されるベース部材10、レンズの光軸Lを中心として回転可能にベース部材10に設けられた撮影光学系S1に含まれるレンズ鏡筒20、撮影光学系S1から独立してベース部材10に設けられたファインダ光学系S2、撮影光学系S1に対するファインダ光学系S2の視差(パララックス)を補正する視差補正機構M(連動レバー30、補正レバー40、第1付勢バネ50、第2付勢バネ60、カバー部材70)等を備えている。
【0014】
レンズ鏡筒20は、
図2ないし
図4に示すように、ベース部材10に固定された固定筒21、固定筒21に対して回動自在にかつ光軸L方向に繰り出し自在に設けられた回転筒22、回転筒22を回転駆動するべく固定筒21の外側に固定された駆動源23、回転筒22の内側に配置された第1キー筒24、回転筒22及び第1キー筒24の内側に配置されて光軸L回りに回転しつつ光軸L方向に移動自在に保持されたカム筒25、カム筒25の内側に配置された第2キー筒26、カム筒25及び第2キー筒26の内側に配置されて光軸L方向に移動自在に保持された直進筒27、直進筒27に保持されたレンズG,シャッタ機構(不図示),絞り機構(不図示),及びバリヤ機構BM等を備えている。
【0015】
固定筒21は、
図5及び
図6に示すように、その内周面において、ヘリコイド21a、光軸L方向に伸長して第1キー筒24の係合片24aを受け入れるガイド溝21b、駆動源23の駆動歯車23aを受け入れる開口部21c、視差補正機構Mに含まれる連動レバー30の一端側(第1係合部32を含む領域)を揺動可能に受け入れる開口部21d等を備えている。
回転筒22は、
図5及び
図7に示すように、その外周後方領域において固定筒21のヘリコイド21aに螺合すると共に駆動歯車23aに螺合する歯付ヘリコイド22a、視差補正機構Mに含まれる連動レバー30の第1係合部32に係合するカム部22b、その内周面においてカム筒25の突出ピン25bを受け入れて光軸L方向にガイドする3つのガイド溝22c等を備えている。
そして、回転筒22は、駆動源23により回転力が及ぼされることで、光軸L回りに回転しつつ固定筒21に対して光軸L方向に移動するように形成されている。
すなわち、回転筒22は、休止位置(沈胴位置)から光軸L方向に繰り出して近接撮影時に対応する所定回転位置に至る際に、そのカム部22bが連動レバー30(の第1係合部32)にカム作用を及ぼして連動レバー30を補正位置に対応する位置に回転させ、一方、所定回転位置から休止位置に向けて逆回転する際に、そのカム部22bのよるカム作用が解除されて連動レバー30が非補正位置に対応する位置に回転するのを許容するようになっている。
【0016】
第1キー筒24は、その外周後方端において径方向に突出すると共に固定筒21のガイド溝21bに係合する係合片24aを備え、又、その内周面において、ヘリコイド24b、第2キー筒26の係合片26bを受け入れて光軸L方向にガイドするガイド溝(不図示)、カム筒25の突出ピン25bを通して回転筒22のガイド溝22cに導くべく形成された3つの傾斜長孔24d等を備えている。
そして、第1キー筒24は、固定筒21により光軸L回りの回転が規制されつつ回転筒22と一体的に光軸L方向に移動するように形成されている。
【0017】
カム筒25は、その外周において、第1キー筒24のヘリコイド24bと螺合するヘリコイド25a、第1キー筒24の傾斜長孔24dを通して回転筒22のガイド溝22cに挿入される複数(3つ)の突出ピン25bを備え、その内側において、直進筒27(のフォロワピン27a)に対して光軸L方向にカム作用を及ぼす複数(6つ)のカム溝25cを備えている。そして、カム筒25は、回転筒22の回転により、ガイド溝22c→突出ピン25bに駆動力が及ぼされて光軸L回りに回転しつつ、光軸L方向に移動するように形成されている。
ここで、複数(6つ)のカム溝25cは、光軸L方向におけるカム作用が全て同一となるプロフィルをなすと共に、フォロワピン27aを、挿入側から奥に移行するに連れて、沈胴位置→遠景撮影位置→近景撮影位置→近接撮影(マクロ撮影)位置に位置付けるように形成されている。
【0018】
第2キー筒26は、
図5に示すように、フォロワピ27aを受け入れると共に光軸L方向に伸長して形成された6つのガイド長孔26a、第1キー筒24のガイド溝(不図示)に挿入される3つの係合片26b等を備えている。ここで、6つのガイド長孔26aにおいては、3つのガイド長孔26が3つのフォロワピン27aの付け根部に設けられた拡径部をそれぞれ摺動自在に嵌め込んで光軸L方向に案内するように形成され、他の3つのガイド長孔26aは、フォロワピン27aを所定の隙間をおいて挿入するように形成されている。そして、第2キー筒26は、固定筒21及び第1キー筒24を介して光軸L回りの回転が規制されつつ、カム筒25と一体的に光軸L方向に移動するようになっている。
【0019】
直進筒27は、
図5に示すように、円筒状に形成されており、その外周後方側において、光軸Lに垂直な径方向外向きに突出する6つのフォロワピン27a、3つのフォロワピン27aの付け根領域に形成された3つの拡径部、その内側に保持されたレンズG,シャッタ機構(不図示),絞り機構(不図示),及びバリヤ機構BM等を備えている。
【0020】
上記構成をなすレンズ鏡筒20においては、駆動源23が起動すると、
図1(a)及び
図3に示す沈胴位置(休止位置)から、回転筒22、カム筒25、及び直進筒27がそれぞれ光軸L方向に繰り出して、遠景撮影位置→近景撮影位置を経て、
図1(b)及び
図4に示すように所定回転位置において近接撮影位置に位置付けられるようになっている。
【0021】
ファインダ光学系S2は、
図11に示すように、撮影光学系S1の光軸Lに平行な光軸FLを画定するように配置されており、被写体側から後方に向けて、順に、対物窓4、口径板5、対物レンズ6、口径板7、プリズム8、接眼レンズ9等を備えている。
そして、被写体の光線は、対物窓4→口径板5→対物レンズ6→口径板7→プリズム8→接眼レンズ9を通して、撮影者の眼に至るようになっている。
また、ファインダ光学系S2においては、
図11に示すように、対物レンズ6の前方で対物窓4の後方において、補正レバー40に保持された視差補正用の光学要素40aが挿入及び離脱される空間Sが設けられている。
【0022】
視差補正機構Mは、
図2ないし
図4、
図8ないし
図10に示すように、連動レバー30、補正レバー40、第1付勢バネ50、第2付勢バネ60、カバー部材70等を備えている。
連動レバー30は、
図8に示すように、光軸Lと平行な第1軸線L1を画定するベース部材10の支軸11を通す円筒部31、円筒部31を挟んで一端側に回転筒22のカム部22bと係合する第1係合部32及び他端側に第2係合部33、第1付勢バネ50の自由端部51を掛止させる掛止部34を備え、光軸Lと平行な第1軸線L1回りにおいて回動自在にベース部材10に支持されている。
そして、連動レバー30は、レンズ鏡筒20が休止位置にあるとき、
図10(a)に示すように、補正レバー40(の光学要素40a)を非補正位置(ファインダ光学系S2の空間Sから退避した位置)に位置付け、かつ、レンズ鏡筒20が近接撮影時に対応する所定回転位置にあるとき、
図10(b)に示すように、補正レバー40(の光学要素40a)を補正位置(ファインダ光学系S2の空間Sに臨む位置)に位置付ける(保持部43の一部をストッパS´に当接させて位置決めする)ように、すなわち、レンズ鏡筒20の回転筒22に補正レバー40を連動させるように形成されている。
【0023】
補正レバー40は、
図9に示すように、光軸Lと平行な第2軸線L2を画定するベース部材10の支軸12を通すと共にその周りに第2付勢バネ60のコイル部61を嵌め込んで保持する円筒部41、円筒部41を挟んで一端側に連動レバー30の第2係合部33と係合する第3係合部42及び他端側に光学要素40aを保持する保持部43、第2付勢バネ60の一端部62を掛止させる掛止部44を備え、光軸Lと平行な第2軸線L2回りにおいて回動自在にベース部材10に支持されている。
そして、補正レバー40は、
図10(b)に示すように、視差補正用の光学要素40aを保持すると共に光学要素40aをファインダ光学系S2の空間Sに臨ませて視差補正する補正位置と、
図10(a)に示すように、ファインダ光学系S2の空間Sから退避した非補正位置との間を移動自在に形成されている。
【0024】
ここで、連動レバー30の第2係合部33と補正レバー40の第3係合部42とは、互いにインボリュート曲線をなす係合面を有するように形成されている。
これによれば、連動レバー30と補正レバー40とが、インボリュート曲線をなす係合面によりお互いに係合して駆動力の伝達を行うため、第2係合部33及び第3係合部42の相互間の滑り等を防止して、駆動力の伝達効率を高めることができる。
【0025】
第1付勢バネ50は、
図3、
図4、
図10に示すように、片持ち梁状の板バネであり、その自由端部51が連動レバー30の掛止部34に掛止され、その固定部52がベース部材10の固定部13に固定されている。
そして、第1付勢バネ50は、連動レバー30の第1係合部32を回転筒22(のカム部22b)に係合させる向きに回転付勢するように形成されている。
【0026】
第2付勢バネ60は、
図3、
図4、
図10に示すように、コイル部61、一端部62、及び他端部63を備えた捩りバネであり、コイル部61が補正レバー40の円筒部41に外嵌されて保持され、その一端部62が補正レバー40の掛止部44に掛止され、その他端部63がベース部材10の掛止部14に掛止されている。
そして、第2付勢バネ60は、補正レバー40の第3係合部42を連動レバー30の第2係合部33に係合させると共に補正レバー40(の光学要素40a)を補正位置に向けて回転付勢するように形成されている。
【0027】
カバー部材70は、
図2に示すように、ベース部材10に対して、連動レバー30、補正レバー40、第1付勢バネ50、及び第2付勢バネ60が組み付けられた状態において、それらの脱落を防止するべく前側から覆うようにベース部材10に組み付けられるように形成されている。
【0028】
上記構成をなす視差補正機構Mによれば、回転筒22の回転により、そのカム部22bが連動レバー30の第1係合部32にカム作用を及ぼすと、連動レバー30が、第1付勢バネ50の付勢力に抗しつつ光軸Lに平行な第1軸線L1回りに回転して、その第2係合部33が補正レバー40の第3係合部42に係合した状態で補正レバー40の回転を許容し、補正レバー40は第2付勢バネ60の付勢力により光軸Lに平行な第2軸線L2回りに回転して補正位置に位置付けられる。
このように、連動レバー30(の第1係合部32)と回転筒22とは第1付勢バネ50により常時係合するように付勢され、かつ、連動レバー30(の第2係合部33)と補正レバー40(の第3係合部42)とは第2付勢バネ60により常時係合するように付勢されているため、ガタツキを防止しつつ円滑な連動動作を得ることができ、又、連動レバー30及び補正レバー40が光軸Lに平行は支軸11,12回りに回動するように形成されているため、光軸L方向において視差補正機構Mの薄型化を達成することができる。
さらに、第1軸線L1(支軸11)及び第2軸線L2(支軸12)の配置場所及び連動レバー30及び補正レバー40の腕長さを適宜選定することにより、ファインダ(ファインダ光学系S2)の設置場所の自由度を高めつつ、視差補正を確実に行うことのできる視差補正機構Mを成立させることができる。
【0029】
また、上記のように、視差補正機構Mが、連動レバー30、補正レバー40、第1付勢バネ50、及び第2付勢バネ60等により構成されているため、視差補正機構としての構造の簡素化、小型化等を達成することができ、又、レンズ鏡筒20に含まれる回転筒22のカム作用を利用して、連動レバー30及び補正レバー40を駆動するため、レンズ鏡筒20が近接撮影の位置に至ると同時に自動的に視差補正を行うことができる、すなわち、レンズ鏡筒20の近接撮影位置への位置付けに同期させて確実に補正レバー40(光学要素40a)を補正位置へ位置付けることができる。
【0030】
次に、上記構成をなすファインダ補正装置の動作について説明する。
先ず、カメラの休止状態において、レンズ鏡筒20は、
図1(a)及び
図3に示すように沈胴位置に位置している。このとき、連動レバー30は回転筒22のカム部22bから離脱してカム作用を受けておらず、補正レバー40(光学要素40a)は、
図3及び
図10(a)に示すように、ファインダ光学系S2から退避した非補正位置に位置付けられている。
【0031】
続いて、カメラの撮影モードが選択されて、レンズ鏡筒20は沈胴位置から光軸L方向に繰り出すと遠景撮影モードに移行し、さらに光軸L方向に繰り出すと近景撮影モードに移行し、
図4に示すようにさらに光軸L方向に繰り出すと近接撮影モードに移行する。
この近接撮影時に移行する際、すなわち、回転筒22が所定回転位置に至る際に、そのカム部22bが連動レバー30の第1係合部32にカム作用を及ぼし、連動レバー30は第1付勢バネ50の付勢力に抗しつつ光軸Lに平行な第1軸線L1回りに回転して、第2係合部33が補正レバー40の第3係合部42に係合した状態で補正レバー40の回転を許容し、補正レバー40(光学要素40a)は、
図4及び
図10(b)に示すように、第2付勢バネ60の付勢力により光軸Lに平行な第2軸線L2回りに回転して補正位置に位置付けられる。
この状態で、ファインダ光学系S2においては、
図11に示すように、近接撮影時のファインダ視野は、通常撮影時のファインダ視野に比べて光軸Lに近づく向きに視差補正される。
【0032】
一方、レンズ鏡筒20が光軸L方向において繰り出し位置から沈胴位置に向けて移動するように回転筒22が逆回転すると、撮影レンズ光学系S1(レンズ鏡筒20)においては、近接撮影モード→近景撮影モード→遠景撮影モードを経て、沈胴位置(休止位置)に至り、補正レバー40(光学要素40a)は、近接撮影モードから近景撮影モードに移行する際の回転筒22の回転に連動して、
図3及び
図10(a)に示すように、ファインダ光学系S2から退避した非補正位置に位置付けられる。
【0033】
以上述べたように、上記構成をなす視差補正機構Mを採用することで、撮影光学系S1を構成するレンズ鏡筒20の回転に連動して撮影光学系S1に対するファインダ光学系S2の視差を補正することができ、又、視差補正機構Mとして、光学要素40aを保持した補正レバー40、レンズ鏡筒20に連動して補正レバー40を移動させる連動レバー30の二つのレバーを採用するだけであるため、視差補正機構において、少ない部品点数で、構造の簡素化、小型化等を達成することができ、又、補正レバー40及び連動レバー30の寸法等を適宜選定することにより、ファインダ(ファインダ光学系S2)の設置の自由度を高めることができ、カメラの仕様及び形態に適合させつつ視差補正を行うことができる。
【0034】
上記実施形態においては、レンズ鏡筒として、固定筒21、回転筒22、第1キー筒24、カム筒25、第2キー筒26、直進筒27を含む構成を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、光軸L回りに回転する回転筒を含む構成であれば、その他の構成をなすレンズ鏡筒を採用することができる。
上記実施形態においては、視差補正機構として、連動レバー30、補正レバー40の他に、第1付勢バネ50及び第2付勢バネ60を含む構成を示したが、これに限定されるものではなく、付勢バネを廃止して、連動レバーと補正レバーとをリンク結合により連結する構成、あるいは、その他の構成を採用してもよい。
上記実施形態においては、連動レバー30の第2係合部33と補正レバー40の第3係合部42とが、インボリュート曲線をなす係合面として形成されている場合を示したが、これに限定されるものではなく、駆動力の伝達を行えるものであれば、その他の形態をなす係合部を採用してもよい。