特許第5975941号(P5975941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975941
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】分包薬剤検査装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   A61J3/00 310K
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-130725(P2013-130725)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2015-2917(P2015-2917A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】高森 哲弥
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/147907(WO,A1)
【文献】 特開2004−167158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分包袋に分包される薬剤の調剤情報を得る調剤情報取得部と、
前記薬剤を分包袋に分包する分包機に投入される当該薬剤の薬種情報を得る投入薬種情報取得部と、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、前記分包機に投入される前記薬剤の薬種の正誤を判定する投入薬種正誤判定部と、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、分包袋毎に分包される1分包分毎の前記薬剤の外観別の個数を示す外観別個数情報を取得する外観別個数情報取得部と、
前記1分包分毎の前記薬剤をそれぞれ撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像により得られた前記薬剤の画像に基づいて、前記1分包分毎の前記薬剤の外観別の個数を計数する外観別計数部と、
前記外観別個数情報と前記外観別計数部の計数結果とを照合して、前記1分包分毎の前記薬剤の外観別の個数が正しいか否かを判定する外観別個数正誤判定部と、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、分包袋に入るべき前記薬剤の代わりに別種類の薬剤が入る取り違えの有無を判定可能か否かを判定する取り違え判定可能性判定部と、
前記外観別個数正誤判定部の判定結果と、前記取り違え判定可能性判定部の判定結果とに基づいて、分包袋毎に分包されている前記薬剤が正しいかどうかを判定する分包正誤判定部であって、前記外観別個数正誤判定部が正しいと判定し、かつ前記取り違え判定可能性判定部が前記取り違えの有無が判定可能であると判定した場合に前記薬剤が正しいと判定する分包正誤判定部と、
を備える分包薬剤検査装置。
【請求項2】
前記薬剤の薬種と、前記薬剤の包装に記録されている前記薬種情報とを対応づけて記憶した薬剤情報データベースを備えており、
前記投入薬種情報取得部は、前記包装から前記薬種情報を取得し、
前記投入薬種正誤判定部は、前記調剤情報及び前記薬種情報に基づき、前記薬剤情報データベースを参照して、前記薬種の正誤を判定する請求項1記載の分包薬剤検査装置。
【請求項3】
前記投入薬種情報取得部は、前記包装に記録されている文字、バーコード、電子的な識別情報の少なくとも一つを前記薬種情報として取得する請求項2記載の分包薬剤検査装置。
【請求項4】
前記薬剤情報データベースには、先発医薬品と後発医薬品との対応関係を示す情報が記憶されており、
前記投入薬種正誤判定部は、前記薬種情報に対応する前記薬剤が前記調剤情報で指定されている前記薬剤と同じ有効成分の薬剤である場合には、前記薬種は正しいと判定する請求項2または3記載の分包薬剤検査装置。
【請求項5】
前記薬種が誤っていると前記投入薬種正誤判定部が判定した場合に、当該薬種を表示する第1の表示部を備える請求項1から4のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項6】
前記薬剤の薬種と、前記薬剤の外観を示す薬剤外観情報とを対応づけて記憶した薬剤外観データベースを備え、
前記外観別個数情報取得部は、前記調剤情報及び前記薬種情報に基づき前記薬剤外観データベースを参照して、前記外観別個数情報を取得する請求項1から5のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項7】
前記取り違え判定可能性判定部は、前記薬剤外観データベースから前記薬剤の前記薬剤外観情報を取得し、前記薬剤外観情報と前記調剤情報と前記薬種情報とに基づき、分包される前記薬剤の中に同一または類似の外観を有する別種類の薬剤が含まれる場合に、前記取り違えの有無を判定不能と判定する請求項6記載の分包薬剤検査装置。
【請求項8】
前記取り違え判定可能性判定部が前記取り違えの有無を判定不能と判定した場合に、当該取り違え判定可能性判定部の判定結果を表示する第2の表示部を備える請求項7記載の分包薬剤検査装置。
【請求項9】
前記第2の表示部は、前記取り違えの有無を判定不能な薬剤を表示する請求項8記載の分包薬剤検査装置。
【請求項10】
前記薬剤外観情報には、少なくとも前記薬剤の大きさ、形、及び色のいずれか1つの項目を示す情報が含まれており、
前記外観別計数部は、前記薬剤の外観別の個数を、前記薬剤外観情報に対応する項目別に計数する請求項6から9のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項11】
前記外観別個数正誤判定部が誤っていると判定した場合に、当該外観別個数正誤判定部の判定結果を表示する第3の表示部を備える請求項1から10のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項12】
前記撮像部は、前記薬剤が分包袋毎に分包される前の状態と、分包袋毎に分包された後の状態との少なくともいずれか一方で前記薬剤を撮像する請求項1から11のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項13】
前記撮像部は、前記薬剤の撮像を黒背景上で行う請求項1から12のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項14】
前記撮像部は、分包後の前記薬剤を撮像する場合に、分包袋の透明な面側から当該分包袋の内部を撮像する請求項1から13のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項15】
前記撮像部が前記薬剤の撮像を行う前に、当該薬剤に対して衝撃を与える衝撃付与部を備える請求項1から14のいずれか1項記載の分包薬剤検査装置。
【請求項16】
前記1分包分毎の前記薬剤の重量を測定する重量測定部と、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、前記1分包分毎の前記薬剤
の重量を示す重量情報を取得する重量情報取得部と、
前記重量情報と前記重量測定部の測定結果とを照合して、前記1分包分毎の前記薬剤の
重量が正しいか否かを判定する重量正誤判定部と、を備え、
前記分包正誤判定部は、前記重量正誤判定部の判定結果に基づき、分包袋毎に分包され
ている前記薬剤が正しいかどうかを判定する請求項1記載の分包薬剤検査装置。
【請求項17】
分包袋に分包される薬剤の調剤情報を得る調剤情報取得ステップと、
前記薬剤を分包袋に分包する分包機に投入される当該薬剤の薬種情報を得る投入薬種情報取得ステップと、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、前記分包機に投入される前記薬剤の薬種の正誤を判定する投入薬種正誤判定ステップと、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、分包袋毎に分包される1分包分毎の前記薬剤の外観別の個数を示す外観別個数情報を取得する外観別個数情報取得ステップと、
前記1分包分毎の前記薬剤をそれぞれ撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップで得られた前記薬剤の画像に基づいて、前記1分包分毎の前記薬剤の外観別の個数を計数する外観別計数ステップと、
前記外観別個数情報と前記外観別計数ステップでの計数結果とを照合して、前記1分包分毎の前記薬剤の外観別の個数が正しいか否かを判定する外観別個数正誤判定ステップと、
少なくとも前記調剤情報及び前記薬種情報に基づいて、分包袋に入るべき前記薬剤の代わりに別種類の薬剤が入る取り違えの有無を判定可能か否かを判定する取り違え判定可能性判定ステップと、
前記外観別個数正誤判定ステップの判定結果と、前記取り違え判定可能性判定ステップの判定結果とに基づいて、分包袋毎に分包されている前記薬剤が正しいかどうかを判定する分包正誤判定ステップであって、前記外観別個数正誤判定ステップで正しいと判定し、かつ前記取り違え判定可能性判定ステップで前記取り違えの有無が判定可能であると判定した場合に前記薬剤が正しいと判定する分包正誤判定ステップと、
を有する分包薬剤検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分包袋に分包される薬剤を検査する分包薬剤検査装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院等では、例えば服用時期(朝食後、昼食後、夕食後など)が異なる複数種類の薬剤を患者に処方する際に、一回服用分の複数種の薬剤(錠剤、カプセル剤など)を1つの分包袋に分包する一包化調剤を行うことが多い。一包化調剤は、薬剤師が処方箋に従ってピッキングした各薬剤を分包機のトレイ(タブレットケースともいう)に一回服用分毎にセットした後、この分包機にてトレイ内の薬剤を自動的に各分包袋に分包することにより行われる。このような一包化調剤では、薬剤のピッキングやトレイへのセットは薬剤師が手作業で行う場合があるので、処方箋の指示とは異なる種類や数の薬剤が間違って分包される可能性がある。また、薬剤の選択とセットを自動的に行う機器の場合でも、機器内に薬剤が引っ掛かってしまうことがあり、処方箋の指示とは異なる種類や数の薬剤が間違って分包される可能性がある。
【0003】
特許文献1に記載の自動錠剤包装機は、分包袋に分包される前の薬剤を撮像して、撮像により得られた画像を解析して得られた薬剤の薬種情報と、情報処理装置・端末から予め入力された薬種情報とを比較することで、分包袋に分包される薬剤の正誤を検査する。
【0004】
特許文献2に記載の検薬装置は、自動または手動で各分包袋に分包された薬剤を1分包分毎に撮像して、撮像により得られた画像を解析して長さや面積を算出するとともに、画素毎のRGBの濃度値をそれぞれ算出する。そして、この検薬装置は、画像の解析結果と、個々の薬剤の基準画像データとを比較した結果に基づき、分包された薬剤が処方箋による薬剤と一致するか否かの照合を行う。
【0005】
特許文献3に記載の認識及び確認システムは、薬剤入りの容器の内容物を撮像して、撮像により得られた画像を解析することで、薬剤の色、形状、サイズ、マーキング等を含む薬剤の特徴を抽出する。そして、この認識及び確認システムは、抽出した特徴と、データベースに予め格納されている薬剤の特徴とを対比することで、容器内に調合された薬剤が処方箋に合致するものであるか否かを判定する。
【0006】
特許文献4及び5に記載の薬剤監査支援装置は、分包袋内の薬剤のシルエット撮像及びカラー撮像を行い、各撮像により得られた画像を解析して得られた薬剤の形状や色と、データベースに登録されている薬剤の形状や色とを照合することで、分包袋内の薬剤名を特定する一次検査を行う。そして、この薬剤監査支援装置は、一次検査で薬剤名を特定できなかった薬剤については分光スペクトル解析により薬剤名を特定する二次検査を行う。
【0007】
特許文献6に記載の分包薬剤検査システムは、分包袋内の薬剤を撮像し、撮像により得られた画像を解析することで分包袋に分包された薬剤が処方箋通りであるか否かを判定するが、薬剤の撮像を行う前に薬剤の重なり等を除去している。これにより、分包袋内の薬剤を正確に撮像することができる。
【0008】
特許文献7に記載の薬剤払出装置は、分包前の1分包分の薬剤に振動を加えて重なりを除去した状態で薬剤を撮像し、この撮像により得られた画像を解析して1分包分の薬剤の数を計数して、この計数結果と処方情報とを比較することで調剤監査を実施する。
【0009】
特許文献8に記載の薬剤認識装置は、薬剤師がピッキングした薬剤の包装等を撮像して得られた画像と、薬剤の薬剤名を認識するために予め記憶部に記憶させておいた複数の参照画像とを照合することで、薬剤の薬剤名を認識する。また、この薬剤認識装置は、撮像により得られた画像と類似の参照画像が2以上ある場合には、薬剤師に薬剤名を特定させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−337168号公報
【特許文献2】特開2008−18230号公報
【特許文献3】特表2003−517335号公報
【特許文献4】特開2013−017745号公報
【特許文献5】特開2012−245032号公報
【特許文献6】特開2013−55970号公報
【特許文献7】特開2011−104077号公報
【特許文献8】特開2004−167158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1から3に記載のように薬剤の撮像を行う際に、薬剤種(薬種)の同定に欠かせない刻印やマーキングが裏側に隠れたり、あるいは薬剤同士が重なったりした場合には、良好な薬剤の画像が得られず正確な判定が難しいという問題がある。さらに、引用文献2及び3に記載のように、分包袋内や容器内の薬剤を撮像する場合には、分包袋等の表面の反射や、分包袋等の内部で薬剤が垂直に立つことにより、良好な薬剤の画像が得られない場合がある。
【0012】
上記特許文献6及び7に記載の発明を特許文献1から3に記載の発明に組み合わせることで、コストは増加するが、薬剤同士の重なりや薬剤が分包袋内で立つことは防止可能である。しかしながら、同一または類似の外観を有する複数種類の薬剤を1つの分包袋内に入れた場合には、撮影画像を解析しても薬剤の識別ができないおそれがある。その結果、薬剤の薬種や個数を正確に判定することができないので、分包袋に分包された薬剤の正誤を正確に検査することはできない。すなわち、各種の画像処理技術、画像解析技術、画像認識技術を用いたとしても分包された薬剤の正誤を正確に判定することはできない。このため、薬剤師は、全ての分包袋内の薬剤の監査を行う必要があるため、薬剤師の調剤監査(薬剤監査または監査ともいう)の負担を減らすことはできなかった。
【0013】
また、分光スペクトル解析を行う特許文献4及び5に記載の発明と、薬剤同士の重なり等を防止する特許文献6及び7に記載の発明とを組み合わせた場合には、薬剤の正誤を正確に判定することができる。しかしながら、この場合には、重なり等を防止する機能、及び分光スペクトルを解析する機能の両方を検査装置に設ける必要があるので、検査装置の製造コストが著しく増加してしまう。
【0014】
特許文献8に記載の発明によれば、ピッキングされた薬剤が処方通りの正しいものであるか否かを判定することができる。しかしながら、ピッキングされた薬剤が正しいものであったとしても、シート等の包装から薬剤を取り出して分包機のトレイにセットする際に薬剤の取り違えが発生するおそれがある。このため、特許文献8に記載の発明を上記特許文献1から7の発明と組み合わせたとしても、分包袋に分包される薬剤の正誤を正確に判定することはできないので、薬剤師の調剤監査の負担を減らすことはできない。
【0015】
本発明の目的は、分包された薬剤が正しいかどうかを低コストに正確に判定することができる分包薬剤検査装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的を達成するための分包薬剤検査装置は、分包袋に分包される薬剤の調剤情報を得る調剤情報取得部と、薬剤を分包袋に分包する分包機に投入される薬剤の薬種情報を得る投入薬種情報取得部と、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、分包機に投入される薬剤の薬種の正誤を判定する投入薬種正誤判定部と、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、分包袋毎に分包される1分包分毎の薬剤の外観別の個数を示す外観別個数情報を取得する外観別個数情報取得部と、1分包分毎の薬剤をそれぞれ撮像する撮像部と、撮像部の撮像により得られた薬剤の画像に基づいて、1分包分毎の薬剤の外観別の個数を計数する外観別計数部と、外観別個数情報と外観別計数部の計数結果とを照合して、1分包分毎の薬剤の外観別の個数が正しいか否かを判定する外観別個数正誤判定部と、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、分包袋に入るべき薬剤の代わりに別種類の薬剤が入る取り違えの有無を判定可能か否かを判定する取り違え判定可能性判定部と、外観別個数正誤判定部の判定結果と、取り違え判定可能性判定部の判定結果とに基づいて、分包袋毎に分包されている薬剤が正しいかどうかを判定する分包正誤判定部であって、外観別個数正誤判定部が正しいと判定し、かつ取り違え判定可能性判定部が取り違えの有無が判定可能であると判定した場合に薬剤が正しいと判定する分包正誤判定部と、を備える。
【0017】
本発明によれば、各分包袋に分包された薬剤が正しいどうかを正確に判定することができるので、正しいと判定されたものについては、薬剤師による調剤監査を適宜省略あるいは減らすことができる。また、分包薬剤検査装置を低コストに構成することができる。
【0018】
薬剤の薬種と、薬剤の包装に記録されている薬種情報とを対応づけて記憶した薬剤情報データベースを備えており、投入薬種情報取得部は、包装から薬種情報を取得し、投入薬種正誤判定部は、調剤情報及び薬種情報に基づき、薬剤情報データベースを参照して、薬種の正誤を判定することが好ましい。これにより、薬剤の包装に記録された薬種情報に基づき、分包機に投入される薬剤の薬種の正誤を判定することができる。
【0019】
投入薬種情報取得部は、包装に記録されている文字、バーコード、電子的な識別情報の少なくとも一つを薬種情報として取得することが好ましい。これにより、薬剤の包装に記録された文字、バーコード、RFタグ等に記録されている電子的な識別情報に基づき、分包機に投入される薬剤の薬種の正誤を判定することができる。
【0020】
薬剤情報データベースには、先発医薬品と後発医薬品との対応関係を示す情報が記憶されており、投入薬種正誤判定部は、薬種情報に対応する薬剤が調剤情報で指定されている薬剤と同じ有効成分の薬剤である場合には、薬種は正しいと判定することが好ましい。これにより、調剤情報で指定されている薬剤の代わりに後発医薬品などの同じ有効成分の薬剤を用いる場合でも、分包機に投入される薬剤の薬種の正誤を判定することができる。
【0021】
薬種が誤っていると投入薬種正誤判定部が判定した場合に、薬種を表示する第1の表示部を備えることが好ましい。これにより、分包機に投入される薬剤の薬種が誤っている旨の警告を行うことができる。
【0022】
薬剤の薬種と、薬剤の外観を示す薬剤外観情報とを対応づけて記憶した薬剤外観データベースを備え、外観別個数情報取得部は、調剤情報及び薬種情報に基づき薬剤外観データベースを参照して、外観別個数情報を取得することが好ましい。薬剤外観データベースを設けることで、分包薬剤情報に基づき外観別個数情報を容易に取得することができる。
【0023】
取り違え判定可能性判定部は、薬剤外観データベースから薬剤の薬剤外観情報を取得し、薬剤外観情報と調剤情報と薬種情報とに基づき、分包される薬剤の中に同一または類似の外観を有する別種類の薬剤が含まれる場合に、取り違えの有無を判定不能と判定することが好ましい。薬剤外観情報に基づき、取り違えの有無が判定可能か否かを判定することができる。
【0024】
取り違え判定可能性判定部が取り違えの有無を判定不能と判定した場合に、取り違え判定可能性判定部の判定結果を表示する第2の表示部を備えることが好ましい。これにより、別種類の薬剤の取り違えの有無が判定不能である旨の警告を行うことができる。
【0025】
第2の表示部は、取り違えの有無を判定不能な薬剤を表示することが好ましい。これにより、調剤監査等を行う薬剤師に対して、取り違えの有無を判定不能な薬剤についての注意を与えることができる。
【0026】
薬剤外観情報には、少なくとも薬剤の大きさ、形、及び色のいずれか1つの項目を示す情報が含まれており、外観別計数部は、薬剤の外観別の個数を、薬剤外観情報に対応する項目別に計数することが好ましい。これにより、外観別個数情報と外観別計数部の計数結果とを照合して、1分包分毎の薬剤の外観別の個数が正しいか否かを判定することができる。
【0027】
外観別個数正誤判定部が誤っていると判定した場合に、外観別個数正誤判定部の判定結果を表示する第3の表示部を備えることが好ましい。これにより、1分包分毎の薬剤の外観別の個数が誤っている旨の警告を行うことができる。
【0028】
撮像部は、薬剤が分包袋毎に分包される前の状態と、分包袋毎に分包された後の状態との少なくともいずれか一方で薬剤を撮像することが好ましい。
【0029】
撮像部は、薬剤の撮像を黒背景上で行うことが好ましい。これにより、より正確な外観別計数部の計数結果が得られる。
【0030】
撮像部は、分包後の薬剤を撮像する場合に、分包袋の透明な面側から分包袋の内部を撮像することが好ましい。
【0031】
撮像部が薬剤の撮像を行う前に、薬剤に対して衝撃を与える衝撃付与部を備えることが好ましい。これにより、薬剤が重なった状態や垂直に立った状態で撮像部により撮像されることが防止されるため、より正確な外観別計数部の計数結果が得られる。
【0032】
1分包分毎の薬剤の重量を測定する重量測定部と、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、1分包分毎の薬剤の重量を示す重量情報を取得する重量情報取得部と、重量情報と重量測定部の測定結果とを照合して、1分包分毎の薬剤の重量が正しいか否かを判定する重量正誤判定部と、を備え、分包正誤判定部は、重量正誤判定部の判定結果に基づき、分包袋毎に分包されている薬剤が正しいかどうかを判定することが好ましい。これにより、各分包袋に分包された薬剤が正しいかどうかの判定をより正確に行うことができる。
【0033】
本発明の目的を達成するための分包薬剤検査方法は、分包袋に分包される薬剤の調剤情報を得る調剤情報取得ステップと、薬剤を分包袋に分包する分包機に投入される薬剤の薬種情報を得る投入薬種情報取得ステップと、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、分包機に投入される薬剤の薬種の正誤を判定する投入薬種正誤判定ステップと、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、分包袋毎に分包される1分包分毎の薬剤の外観別の個数を示す外観別個数情報を取得する外観別個数情報取得ステップと、1分包分毎の薬剤をそれぞれ撮像する撮像ステップと、撮像ステップで得られた薬剤の画像に基づいて、1分包分毎の薬剤の外観別の個数を計数する外観別計数ステップと、外観別個数情報と外観別計数ステップでの計数結果とを照合して、1分包分毎の薬剤の外観別の個数が正しいか否かを判定する外観別個数正誤判定ステップと、少なくとも調剤情報及び薬種情報に基づいて、分包袋に入るべき薬剤の代わりに別種類の薬剤が入る取り違えの有無を判定可能か否かを判定する取り違え判定可能性判定ステップと、外観別個数正誤判定ステップの判定結果と、取り違え判定可能性判定ステップの判定結果とに基づいて、分包袋毎に分包されている薬剤が正しいかどうかを判定する分包正誤判定ステップであって、外観別個数正誤判定ステップで正しいと判定し、かつ取り違え判定可能性判定ステップで取り違えの有無が判定可能であると判定した場合に薬剤が正しいと判定する分包正誤判定ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0034】
本発明の分包薬剤検査装置及び方法は、分包された薬剤が正しいかどうかを低コストに正確に判定することができるので、薬剤師による調剤監査の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】薬剤処方作業の概略図である。
図2】分包薬剤検査装置の検査装置本体の電気的構成を示すブロック図である。
図3】投入薬種正誤判定部による正誤判定処理を説明するための説明図である。
図4】外観別個数正誤判定部による正誤判定処理を説明するための説明図である。
図5】取り違え判定可能性判定部による判定処理を説明するための説明図である。
図6】薬剤の取り違えを説明するための説明図である。
図7】外観別個数正誤判定部が誤りと判定した場合の警告表示の一例を説明するための説明図である。
図8】取り違え判定可能性判定部が取り違えの有無を判定不能と判定した場合の警告表示の一例を説明するための説明図である。
図9】薬剤処方作業における分包薬剤検査装置の検査処理の流れを示したフローチャートである。
図10】分包正誤判定部による判定処理の流れを示したフローチャートである。
図11】分包前及び分包後の薬剤を撮像する第2実施形態の分包薬剤検査装置の概略図である。
図12】黒背景上で薬剤の撮像を行う第2実施形態の分包薬剤検査装置の別実施形態の概略図である。
図13】1分包分の薬剤の重量の正誤を判定する第3実施形態の分包薬剤検査装置の概略図である。
図14】取り違え判定可能性判定部による他の判定処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[薬剤処方作業の概略]
図1に示すように、病院や薬局などで行われる薬剤処方作業10は、大別して、処方箋入力・印刷作業11と、ピッキング作業12と、自動分包作業13と、調剤監査作業14と、服薬指導・処方作業15とを含む。
【0037】
処方箋入力・印刷作業11では、処方箋に記載されている調剤情報(患者の氏名・年齢、薬剤の薬種(薬剤の名称)・分量・用法・用量など)を、薬剤師がレセプトコンピュータ18に入力する。次いで、薬剤師は、レセプトコンピュータ18を操作して、このレセプトコンピュータ18に接続しているプリンタ19から調剤情報を出力する。また、レセプトコンピュータ18は、分包薬剤検査装置20に対して調剤情報22を出力する。
【0038】
ピッキング作業12では、プリンタ19から出力された調剤情報に基づき、薬剤師が薬剤棚24から調剤情報に対応する薬剤(錠剤、カプセル等)25をピッキングする。なお、ピッキング作業12には、例えば、レセプトコンピュータ18に入力された調剤情報に基づき薬剤を自動的にピッキングする自動ピッキング装置を用いてもよい。
【0039】
自動分包作業13では、ピッキング作業12でピッキングされた各薬剤25を薬剤師が分包機26のトレイに1分包分毎にセットした後、分包機26がトレイ内の薬剤25を自動的に複数の分包袋27に分包する。なお、分包機26は公知であるので、その構成についての具体的な説明は省略する。
【0040】
調剤監査作業14では、薬剤師が各分包袋27に分包された薬剤25の薬種や個数が正しいか否か(すなわち、調剤情報22に従ったものであるか否か)を目視で確認する調剤監査を行う。
【0041】
服薬指導・処方作業15では、薬剤師は、調剤監査後に患者に対する服薬指導、並びに分包された薬剤25の処方を行う。
【0042】
[分包薬剤検査装置の構成]
薬剤処方作業10では、分包薬剤検査装置20を用いて、分包機26にて各分包袋27に分包された薬剤25が正しいかどうかを判定する。ここで、「薬剤25が正しいかどうかを判定」とは、各分包袋27にそれぞれ分包された1種類以上の薬剤25の薬種や個数が調剤情報22に対応した正しいものであるか、あるいは正しくない可能性があるまたは誤っているものであるかを判定することである。
【0043】
分包薬剤検査装置20は、大別して、第1カメラ31と、第2カメラ(撮像部)32と、検査装置本体33と、表示部(第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部)34とを備えている。
【0044】
第1カメラ31は、薬剤師によりピッキングされた薬剤25の包装36(PTPシート、ボトル、ビンなど)に記録されている薬種情報37を撮像する。薬種情報37は、バーコード、文字、RFタグ等に記録されている電子的な識別情報などの薬種を示す情報である。なお、薬種情報37がバーコードである場合には、第1カメラ31としてバーコードリーダを用いてもよい。また、薬種情報37がRFタグに記録されている電子的な識別情報である場合には、第1カメラ31の代わりにRFタグリーダを用いてもよい。
【0045】
第2カメラ32は、分包前の各1分包分の薬剤25をそれぞれ撮像する。例えば、第2カメラ32は、分包機26のトレイ上に複数セットされた1分包分の薬剤25をそれぞれ撮像する。この際に、図中では第2カメラ32が分包機26と別体に配置されているが、例えば、分包機26内に第2カメラ32を設けてもよい。
【0046】
なお、第2カメラ32は分包前の薬剤25の撮像を行うが、例えば、分包後の各1分包分の薬剤25を第2カメラ32aで撮像してもよい。第2カメラ32aも本発明の撮像部に相当するものであり、分包袋27の透明な面側からその内部の薬剤25を撮像する。
【0047】
検査装置本体33は、例えばパーソナルコンピュータであり、前述のレセプトコンピュータ18、第1カメラ31、及び第2カメラ32に接続している。検査装置本体33は、レセプトコンピュータ18から入力された調剤情報22と、第1カメラ31及び第2カメラ32から入力された画像データとに基づき、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいかどうかを判定する。また、検査装置本体33は、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいと判定しなかった場合に、その旨を示す判定結果を表示部34へ出力する。なお、図中では検査装置本体33が分包機26と別体に設けられているが、例えば、分包機のコンピュータ(制御部を含む)を検査装置本体33として用いてもよい。
【0048】
表示部34は、検査装置本体33から入力された判定結果を表示する。なお、表示部34として、例えば、分包機26のモニタを用いてもよい。
【0049】
図2に示すように、検査装置本体33には、投入薬種情報取得部40と、薬剤情報データベース(以下、薬剤情報DBと略す)41と、投入薬種正誤判定部42と、薬剤外観データベース(以下、薬剤外観DBと略す)43と、外観別個数情報取得部44と、外観別計数部45と、外観別個数正誤判定部46と、取り違え判定可能性判定部47と、分包正誤判定部48と、通信インタフェース(調剤情報取得部)49と、を備える。
【0050】
投入薬種情報取得部40は、第1カメラ31とともに本発明の投入薬種情報取得部を構成するものである。投入薬種情報取得部40は、第1カメラ31から入力された薬種情報37の画像データ(バーコードの読取情報を含む)から、薬種情報37として例えば包装36に記録されたバーコード及び文字の少なくとも一方を抽出する。そして、投入薬種情報取得部40は、薬種情報37を投入薬種正誤判定部42へ出力する。なお、投入薬種情報取得部40は、検査装置本体33に設ける代わりに第1カメラ31内に設けてもよい。
【0051】
図3に示すように、薬剤情報DB41には、薬剤25の薬種と、薬種情報37と、先発医薬品及び後発医薬品(ジェネリック医薬品)の対応関係を示す後発医薬情報とが予め対応づけて記憶されている。図中の薬種欄に記載されている「A、A1、A2、・・・、B、B1、B2、・・・、C、C1、C2、・・・」は、薬剤25の薬種を示している。また、薬剤A1、A2は薬剤Aの後発医薬品であり、薬剤B1、B2は薬剤Bの後発医薬品であり、薬剤C1、C2は薬剤Cの後発医薬品である。以下、薬剤25と記載した場合には全ての薬種を含み、薬剤A、B、・・・と記載した場合にはその薬種を示す。
【0052】
図中の「薬剤識別情報」欄には、包装36の薬種情報37が記録されている。「後発医薬品情報」欄には、薬剤25が後発医薬品である場合にはその先発医薬品の薬種(薬種情報37でも可)が記録されている。これにより、薬剤情報DB41を参照することで、薬種情報37から薬剤25の薬種が明らかになり、さらに、薬剤25の先発医薬品または後発医薬品(同一の有効成分を有する薬剤)を判別することができる。
【0053】
投入薬種正誤判定部42は、レセプトコンピュータ18から通信インタフェース49を介して入力される調剤情報22と、投入薬種情報取得部40から入力される薬種情報37とに基づき、薬剤情報DB41を参照して、分包機26に投入される薬剤25の薬種の正誤を判定する。
【0054】
具体的に、投入薬種正誤判定部42は、調剤情報22に基づき分包機26に投入されるべき薬剤25の薬種を判別する。また、投入薬種正誤判定部42は、薬種情報37に基づき、薬剤情報DB41を参照して、ピッキング作業12でピッキングされ且つ分包機26に投入される薬剤25(図中で投入薬剤と表示)の薬種を判別する。そして、投入薬種正誤判定部42は、調剤情報22で指定されている薬剤25の薬種と、分包機26に投入される薬剤25の薬種とを照合することで、分包機26に投入される薬剤25の薬種の正誤を判定する。投入薬種正誤判定部42は、分包機26に投入される各薬剤25の薬種の中で、調剤情報22で指定されている薬剤25の薬種と一致するものは正しいと判定し、一致しないものは誤っていると判定する。
【0055】
この際に、投入薬種正誤判定部42は、薬種情報37に対応する薬剤25が、調剤情報22で指定されている薬剤25と同一の有効成分を有する後発医薬品(先発医薬品でも可)である場合には、両者の薬種が一致しない場合であっても薬種は正しいと判定する。なお、投入薬種正誤判定部42は、薬種情報37に対応する薬剤25が、調剤情報22で指定されている薬剤25の後発医薬品等でなくても同一の有効線分を有する同種同効薬剤である場合には、薬種は正しいと判定する。この場合には、同種同効薬剤の対応関係を示す情報を薬剤情報DB41に予め格納しておく。
【0056】
投入薬種正誤判定部42は、分包機26に投入される薬剤25の薬種が誤っていると判定した場合に、該当する薬種の情報を含む判定結果J1を表示部34へ出力する。これにより、表示部34は、分包機26に投入される薬剤25の薬種が誤っている旨、及びその薬種を表示する。例えば、調剤情報22で指定されてない薬剤25(ここでは薬剤E)の包装36の薬種情報37を第1カメラ31で撮像した場合には、投入薬種正誤判定部42から表示部34へ「薬剤E」が誤っている旨の判定結果J1が出力される。そして、表示部34は、例えば「薬剤Eが誤ってピッキングされています」という警告情報を表示する。なお、この警告表示の表示態様は適宜変更してもよい。
【0057】
図2に戻って、投入薬種正誤判定部42には、分包薬剤情報取得部50が設けられている。分包薬剤情報取得部50は、調剤情報22と、ピッキングされた各薬剤25の薬種情報37とに基づき、薬剤情報DB41を参照して、分包機26にて各分包袋27(分包1、分包2、・・・)に分包される薬剤25の薬種及び薬種毎の個数を示す分包薬剤情報51を取得する(図4参照)。分包薬剤情報取得部50は、分包薬剤情報51を外観別個数情報取得部44及び取り違え判定可能性判定部47にそれぞれ出力する。
【0058】
図4に示すように、薬剤外観DB43には、各薬剤25の薬種と、薬剤の外観を示す薬剤外観情報とが対応づけて記憶されている。薬剤外観情報には、薬剤25の大きさ(面積、径、長軸及び/または短軸の長さなど)、形(円形、三角形、楕円形、カプセル形状など)、色(例えば、RGB値)を示す情報が含まれている。なお、各薬剤A、B、C、D、・・・のそれぞれの大きさを示すL1、L2、L3、L4、・・・、それぞれの形を示すS1、S2、S3、S4、・・・、それぞれの色を示すC1、C2、C3、C4、・・・は、既知の値である。
【0059】
外観別個数情報取得部44は、分包薬剤情報取得部50から入力された分包薬剤情報51に基づき、薬剤外観DB43を参照して、各分包袋27にそれぞれ分包される薬剤25の外観別の個数(外観別個数)を示す外観別個数情報53を取得する。例えば、外観別個数情報取得部44は、「分包1」の分包袋27に対応する分包薬剤情報51が「A×1、B×1、C×1」である場合には、薬剤外観DB43の薬剤A,B,Cに対応する薬剤外観情報を参照して、「分包1」の外観別個数情報53を決定する。この場合に、「分包1」の外観別個数情報53は、「(L1:S1:C1)×1、(L2:S2:C2)×1、(L3:S3:C3)×1)」となる。これにより、分包1の分包袋27内には、外観が(L1:S1:C1)、(L2:S2:C2)、(L3:S3:C3)をそれぞれ満たす薬剤25が1個ずつ入ることが判る。
【0060】
以下同様に外観別個数情報取得部44は、「分包2、分包3、・・・」の分包袋27に対応する外観別個数情報53を決定する。そして、外観別個数情報取得部44は、各分包袋27の外観別個数情報53を外観別個数正誤判定部46へ出力する。なお、本実施形態では、外観別個数情報取得部44が分包薬剤情報取得部50から取得した分包薬剤情報51に基づき外観別個数情報53を取得しているが、分包薬剤情報取得部50の機能を外観別個数情報取得部44に持たせてもよい。すなわち、分包薬剤情報取得部50を設けることなく、外観別個数情報取得部44が、投入薬種正誤判定部42などから取得した調剤情報22及び薬種情報37に基づき、薬剤情報DB41を参照して分包薬剤情報51を取得してもよい。これにより、外観別個数情報取得部44は、少なくとも調剤情報22及び薬種情報37に基づき、外観別個数情報53を取得することができる。
【0061】
外観別計数部45は、第2カメラ32から入力される分包前の各1分包分(分包1、分包2、・・・)の薬剤25の画像データを解析して、各分包袋27にそれぞれ分包される薬剤25の外観別個数を計数する。すなわち、外観別計数部45は、薬剤外観情報(大きさ、形、色)に対応する項目別に薬剤25の個数を計数する。なお、外観別計数部45は、第2カメラ32と一体に設けてもよい。
【0062】
具体的に、外観別計数部45は、画像データに対して公知のエッジ抽出処理やセグメンテーション処理を行い、画像内の薬剤25の輪郭を抽出することで、画像内の薬剤25の大きさ、形を判別可能である。また、外観別計数部45は、画像データがカラー画像データである場合には、画像データに基づき画像内の薬剤25の色を判別可能である。なお、画像データに基づく薬剤25の外観別個数の計数方法は、特に限定されるものではなく、公知の各種方法を用いてもよい。外観別計数部45は、外観別個数の計数結果を示す外観別個数実測情報(以下、単に実測情報と略す)55を、外観別個数正誤判定部46へ出力する。
【0063】
実測情報55は前述の外観別個数情報53と基本的に同じ形式の情報であり、この実測情報55には、1分包分毎の計数結果「外観1(大きさ、形、色)×個数、外観2(大きさ、形、色)×個数、・・・」が記録されている。
【0064】
外観別個数正誤判定部46は、外観別個数情報取得部44から入力された外観別個数情報53と、外観別計数部45から入力された実測情報55とを照合する。そして、外観別個数正誤判定部46は、実測情報55が外観別個数情報53に一致するか否かに基づき、各分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が正しいか否かを判定し、この判定結果J2を分包正誤判定部48へ出力する。この際に、外観別個数正誤判定部46は、分包袋27に投入される薬剤25の外観別個数が誤っている場合には、該当する分包袋27を示す情報を含む判定結果J2を分包正誤判定部48へ出力する。
【0065】
図5に示すように、取り違え判定可能性判定部47は、分包薬剤情報取得部50から入力された分包薬剤情報51に基づき、薬剤外観DB43を参照して、薬剤25の取り違えの有無が判定可能か否かを判定する。
【0066】
ここで、図6(A),(B)に示すように、薬剤25の「取り違え」とは、個々の分包袋27に入るべき薬剤25の代わりに別種類(先発医薬品、後発医薬品は除く)の薬剤25が入ることである。具体的には、分包2の分包袋27に入るべき「薬剤D」が分包3の分包袋27に入り、逆に分包3の分包袋27に入るべき「薬剤C」が分包2の分包袋27に入る分包間の取り違えが例として挙げられる。また、「取り違え」は分包間のみで発生するものではなく、例えば、分包2の分包袋27内に本来入るべき「薬剤D」の代わりに「薬剤C」が入り、この「薬剤D」は他の分包袋27のいずれにも入らない同一分包内の取り違えも例として挙げられる。このような「取り違え」は、薬剤師による分包機26のトレイへの薬剤25のセットミス、分包機26のエラーなどによって発生する。
【0067】
「取り違えの有無を判定可能か否か」とは、前述の「取り違え」の有無を薬剤25の外観から判定可能か否かということである。例えば、図6(B)に示したような、分包2及び分包3の分包袋27における「薬剤C」と「薬剤D」との取り違えが発生した場合に、「薬剤C」及び「薬剤D」の外観が異なれば、外観別個数正誤判定部46にて分包2、3の分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が誤っていると判定される。従って、この場合には取り違えの有無を判定することができる。なお、図6(B)の分包1の分包袋27は、薬剤Cが1個余分に入った例を示している。
【0068】
一方、「薬剤C」及び「薬剤D」の外観が同一または類似である場合には、外観別計数部45が「薬剤C」及び「薬剤D」を区別して計数することができない可能性がある。このような場合に「薬剤C」と「薬剤D」との取り違えが発生していても、この取り違えが実測情報55に反映されないため、外観別個数正誤判定部46にて薬剤25の外観別個数の正誤を正確に判定することができない。従って、この場合には取り違えの有無を判定することができないので、外観別個数正誤判定部46が正しいと判定した場合でも別種類の薬剤25の取り違えの可能性があることになる。このように「取り違えの有無を判定可能か否か」は、分包機26に投入される薬剤25の中に外観が同一または類似のものが2種以上含まれているか否かによって決まる。
【0069】
図5に戻って、取り違え判定可能性判定部47は、分包薬剤情報取得部50から入力された分包薬剤情報51に基づき、薬剤外観DB43を参照して、薬剤25の取り違えの有無が判定可能か否かを示す取り違え可能性情報58を取得する。具体的に、取り違え判定可能性判定部47は、分包薬剤情報51に基づき薬剤外観DB43を参照して、分包薬剤情報51内の各薬剤25に対応する薬剤外観情報を取得する。なお、取り違え可能性情報58の「分包」欄には、薬剤25がどの分包袋27(分包1、分包2、・・・)に投入されるかを示す情報が記憶されている。
【0070】
次いで、取り違え判定可能性判定部47は、取り違え可能性情報58に基づき、各分包袋27に分包される薬剤25の取り違えの有無を判定可能であるか否かを判定する。具体的に、取り違え判定可能性判定部47は、異なる分包袋27にそれぞれ投入される別種類の薬剤25(分包間で種類の異なる薬剤25)の外観が下記の第1の条件から第3の条件を満たす否かを判定する。なお、これら条件の数は、外観別個数のパラメータ(大きさ、形、色)の数に応じて増減する。
【0071】
第1の条件は、前述の別種類の薬剤25の形の差が小さいことである。例えば、取り違え判定可能性判定部47は、別種類の薬剤25の形を外接円と内接円の直径の差で表した場合の薬剤間差が0.1mm未満の場合、あるいは形を外接円と外縁との最大距離で表した場合の薬剤間差が0.1mm未満の場合に、別種類の薬剤25の形の差が小さいと判定する。
【0072】
第2の条件は、前述の別種類の薬剤25の大きさの差が小さいことである。例えば、取り違え判定可能性判定部47は、別種類の薬剤25の直径の薬剤間差が0.1mm未満の場合、あるいは薬剤25の中心(外縁の全周からの距離の合計が最も短くなる点)から外縁までの最短距離の薬剤間差が0.05mm未満の場合に、薬剤25の大きさの差が小さいと判定する。
【0073】
第3の条件は、前述の別種類の薬剤25の色と明るさの差が小さいことである。例えば、取り違え判定可能性判定部47は、標準光源下での薬剤間色差(ΔE)<2.0の場合、あるいはRGB値の薬剤間差が全色10%未満の場合に、前述の別種類の薬剤25の色と明るさの差が小さいと判定する。なお、色差の算出方法は、国際照明委員会(CIE)などが定める公知技術を用いてよい。
【0074】
取り違え判定可能性判定部47は、取り違え可能性情報58に基づき、異なる分包袋27にそれぞれ投入される別種類の薬剤25の外観が第1の条件から第3の条件を満たす場合には、薬剤25の取り違えの有無を判定不能と判定する。そして、取り違え判定可能性判定部47は、別種類の薬剤25の取り違えの有無が判定不能である場合に、これら別種類の薬剤25の薬種を含む判定結果J3(図8参照)を生成する。
【0075】
一方、取り違え判定可能性判定部47は、異なる分包袋27にそれぞれ投入される別種類の薬剤25の外観が第1の条件から第3の条件のいずれかを満たさない場合には、取り違えの有無を判定可能と判定し、その判定結果J3を生成する。
【0076】
また、取り違え判定可能性判定部47は、同一の分包袋27に投入される別種類の薬剤25が第1の条件から第3の条件を満たすか否かについても同様に判定を行い、その判定結果J3を生成する。なお、取り違え判定可能性判定部47が別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定不能と判定した場合に、これら別種類の薬剤25の薬種が判定結果J3に含まれる。
【0077】
取り違え判定可能性判定部47は、判定結果J3を分包正誤判定部48へ出力する。なお、本実施形態では、取り違え判定可能性判定部47が分包薬剤情報取得部50から取得した分包薬剤情報51に基づき取り違え可能性情報58を取得して、薬剤25の取り違えの有無を判定可能であるか否かを判定しているが、分包薬剤情報取得部50の機能を取り違え判定可能性判定部47に持たせてもよい。すなわち、分包薬剤情報取得部50を設けることなく、取り違え判定可能性判定部47が、投入薬種正誤判定部42などから取得した調剤情報22及び薬種情報37に基づき、薬剤外観DB43を参照して取り違え可能性情報58を取得してもよい。これにより、取り違え判定可能性判定部47は、少なくとも調剤情報22及び薬種情報37に基づき、薬剤25の取り違えの有無を判定可能であるか否かを判定することができる。
【0078】
分包正誤判定部48は、外観別個数正誤判定部46の判定結果J2と、取り違え判定可能性判定部47の判定結果J3とに基づき、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいかどうかを判定する。具体的に、分包正誤判定部48は、各分包袋27に投入される薬剤25の外観別個数が正しく、かつ薬剤25の取り違えの有無が判定可能である場合に、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいと判定する。
【0079】
一方、分包正誤判定部48は、分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が誤っている場合に、該当する分包袋27に分包された薬剤25に誤りがあると判定する。そして、図7に示すように、分包正誤判定部48は、外観別個数が誤っている分包袋27を示す判定結果J2を表示部34へ出力する。これにより、表示部34には、外観別個数が誤っている分包袋27(例えば、図6(B)の分包1)を示す警告情報が表示される。
【0080】
また、分包正誤判定部48は、別種類の薬剤25の取り違えの有無が判定不能である場合に、各分包袋27に分包された薬剤25が正しくない可能性があると判定する。そして、図8に示すように、分包正誤判定部48は、取り違えの有無が判定不能な薬剤25の薬種を示す判定結果J3を表示部34へ出力する。これにより、表示部34には、取り違えの有無を判定不能な薬剤25の薬種(例えば、図6(B)の薬剤C、薬剤D)を示す警告情報が表示される。
【0081】
なお、分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が誤っており、さらに、別種類の薬剤25の取り違えの有無が判定不能である場合には、表示部34に、図7及び図8に示した警告情報が両方表示される。
【0082】
[分包薬剤検査装置の作用]
次に、図9を用いて上記構成の分包薬剤検査装置20の作用について説明を行う。薬剤師が処方箋を受け付けると薬剤処方作業10が開始する。最初に処方箋入力・印刷作業11において、薬剤師が処方箋に記載されている調剤情報22をレセプトコンピュータ18に入力するとともに、プリンタ19を用いて調剤情報22を出力する(ステップS1)。また、レセプトコンピュータ18は、薬剤師により入力された調剤情報22を分包薬剤検査装置20へ出力する。これにより、分包薬剤検査装置20は調剤情報22を取得することができる(調剤情報取得ステップ)。
【0083】
薬剤師は、プリンタ19から出力された調剤情報22に対応する薬剤25を薬剤棚24からピッキングするピッキング作業12を行う(ステップS2)。
【0084】
ピッキング作業12の後、薬剤師は、ピッキングした各薬剤25の包装36を第1カメラ31の前にセットして、各薬剤25の薬種情報37を第1カメラ31に撮像させる。第1カメラ31は各薬種情報37の画像データを投入薬種情報取得部40へ出力し、この投入薬種情報取得部40は画像データから薬種情報37を抽出する。これにより、薬剤師によりピッキングされた各薬剤25の薬種情報37が投入薬種情報取得部40にて取得される(ステップS3、投入薬種情報取得ステップ)。投入薬種情報取得部40は、薬種情報37を投入薬種正誤判定部42へ出力する。
【0085】
投入薬種正誤判定部42は、図3に示したように、薬種情報37と、先にレセプトコンピュータ18から通信インタフェース49を介して入力された調剤情報22とに基づき、薬剤情報DB41を参照して、分包機26に投入される薬剤25の薬種の正誤を判定する(ステップS4、投入薬種正誤判定ステップ)。そして、投入薬種正誤判定部42は、分包機26に投入される各薬剤25の薬種が調剤情報22で指定されている薬剤25の薬種と同一、あるいは同一の有効成分を有する先発医薬品または後発医薬品等である場合に、分包機26に投入される薬剤25の薬種が正しいと判定する(ステップS5でNO)。
【0086】
一方、投入薬種正誤判定部42は、分包機26に投入される各薬剤25の薬種が調剤情報22で指定されている薬剤25の薬種と一致せず、あるいはその先発医薬品または後発医薬品でもない場合、分包機26に投入される薬剤25の薬種が誤っていると判定する(ステップS5でYES)。この場合、投入薬種正誤判定部42は、該当する薬種の情報を含む判定結果J1を表示部34へ出力する。その結果、図3に示したように、表示部34は、分包機26に投入される薬剤25の薬種が誤っている旨、及びその薬種を表示する(ステップS6)。これにより、薬剤師にピッキング作業12の誤りを警告するとともに、ピッキング作業12のやり直しを促すことができる。
【0087】
以下、分包機26に投入される各薬剤25の薬種が正しいと投入薬種正誤判定部42が判定するまで(ステップS5でNO)、前述のステップS2からステップS6までの処理が繰り返される。なお、全ての薬剤25の薬種が正しい投入薬種正誤判定部42が判定した場合にも、その旨を表示部34に表示させてもよい。この薬種の確認後、薬剤師は、ピッキングした薬剤25を包装36から取り出して、分包機26のトレイに1分包分ずつセットする。
【0088】
次いで、分包薬剤情報取得部50は、調剤情報22と、各薬剤25の薬種情報37とに基づき、薬剤情報DB41を参照して、各1分包分の薬剤25の分包薬剤情報51(薬種及び薬種ごとの個数)を取得する(ステップS9)。そして、分包薬剤情報取得部50は、外観別個数情報取得部44及び取り違え判定可能性判定部47に対してそれぞれ分包薬剤情報51を出力する。
【0089】
<外観別個数判定処理>
外観別個数情報取得部44は、図4に示したように、分包薬剤情報取得部50から入力された分包薬剤情報51に基づき、薬剤外観DB43を参照して、各分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数情報53を取得する(ステップS10、外観別個数情報取得ステップ)。そして、外観別個数情報取得部44は、外観別個数情報53を外観別個数正誤判定部46へ出力する。
【0090】
また、第2カメラ32は、分包機26のトレイ上にセットされた各1分包分の薬剤25をそれぞれ撮像して、各1分包分の薬剤25の画像データを外観別計数部45へ出力する(ステップS11、撮像ステップ)。外観別計数部45は、各1分包分の薬剤25の画像データを解析して各1分包分の薬剤25の外観別個数を計数し、その計数結果を示す実測情報55を外観別個数正誤判定部46へ出力する(ステップS12、外観別計数ステップ)。
【0091】
外観別個数正誤判定部46は、外観別個数情報取得部44から入力された外観別個数情報53と、外観別計数部45から入力された実測情報55とを照合して、各分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が正しいか否かを判定する(ステップS13、外観別個数正誤判定ステップ)。そして、外観別個数正誤判定部46は、各分包袋27にそれぞれ分包される薬剤25の外観別個数が正しい場合にはその旨を示す判定結果J2を分包正誤判定部48へ出力し、逆に誤っている場合にはその旨並びに該当する分包袋27を示す判定結果J2を分包正誤判定部48へ出力する。
【0092】
<第1条件から第3条件の判定>
前述の外観別個数判定処理(ステップS10からステップS13)と同時またはそれに前後して、取り違え判定可能性判定部47は、分包薬剤情報取得部50から入力された分包薬剤情報51に基づき、薬剤外観DB43を参照して、図5に示した取り違え可能性情報58を取得する(ステップS15)。
【0093】
取り違え判定可能性判定部47は、取り違え可能性情報58に基づき、異なる分包袋27あるいは同一の分包袋27に投入される別種類の薬剤25の外観が前述の第1の条件から第3の条件(形の差、大きさの差、色と明るさの差)を満たす否かを判定する(ステップS16)。そして、取り違え判定可能性判定部47は、別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定可能である場合にはその旨を示す判定結果J3を生成し、判定不能である場合には該当する別種類の薬剤25の薬種を含む判定結果J3を生成する。そして、取り違え判定可能性判定部47は、判定結果J3を取り違え判定可能性判定部47へ出力する。
【0094】
<分包正誤判定部による判定処理>
分包正誤判定部48は、外観別個数正誤判定部46の判定結果J2と、取り違え判定可能性判定部47の判定結果J3とを取得した後、これらの判定結果J2,J3に基づき、各分包袋27にそれぞれ分包された薬剤25が正しいかどうかを判定する(ステップS18、分包正誤判定ステップ)。
【0095】
図10に示すように、分包正誤判定部48は、分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が誤っている場合に、該当する分包袋27に分包された薬剤25に誤りがあると判定して、判定結果J2を表示部34へ出力する(ステップS21でYES)。これにより、図7に示したように、外観別個数が誤っている分包袋27を示す警告情報が表示部34に表示されるので、調剤監査作業14を行う薬剤師に注意を促すことができる(ステップS22)。なお、各分包袋27に分包される薬剤25の外観別個数が正しい場合(ステップS21でNO)にもその旨を表示部34に表示させてもよい。
【0096】
次いで、分包正誤判定部48は、別種類の薬剤25の取り違えの有無が判定不能である場合に、各分包袋27に分包された薬剤25が正しくない可能性があると判定して、判定結果J3を表示部34へ出力する(ステップS23でNO)。これにより、図8に示したように、取り違えの有無が判定不能な薬剤25の薬種が表示部34に表示されるので、調剤監査作業14を行う薬剤師に注意を促すことができる(ステップS24)。なお、別種類の薬剤25の取り違えの有無が判定可能である場合(ステップS23でYES)にもその旨を表示部34に表示させてもよい。
【0097】
分包正誤判定部48は、各分包袋27に投入される薬剤25の外観別個数が正しく、かつ薬剤25の取り違えの有無が判定可能である場合には、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいと判定する(ステップS25)。なお、この場合にも、各分包袋27に分包された薬剤25が正しい旨を示す情報を表示部34に表示させてもよい。以上で、分包薬剤検査装置20による検査が完了する。
【0098】
図9に戻って、分包薬剤検査装置20による検査と同時あるいは検査後に自動分包作業13が行われた後に、調剤監査作業14と服薬指導・処方作業15とが順番に実行される(ステップS27)。以下、薬剤師が新たな処方箋を受け付ける毎に、上述の各ステップの処理が繰り返し実行される(ステップS28)。
【0099】
<分包薬剤検査装置の作用効果>
本発明の分包薬剤検査装置20によれば、投入薬種の正誤の判定と、各分包袋27に分包された薬剤25の外観別個数が正しいか否かの判定と、別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定可能か否かの判定とを行うことで、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいどうかを正確に判定することができる。これにより、正しいと判定されたものについては、調剤監査作業14における薬剤師の監査を適宜簡略化することができる。このため、分包された全ての薬剤25の監査を同じ注意深さで行う必要がなくなる。また、分包薬剤検査装置20は、基本的には演算処理機能を有する各種演算装置(コンピュータ等)と、第1カメラ31及び第2カメラ32とにより実現可能であるので、低コストに構成することができる。従って、薬剤師の調剤監査の負担を低コストに減らすことができる。
【0100】
なお、上記第1実施形態では、第2カメラ32により分包前の各1分包分の薬剤25を撮像しているが、例えば、図1に示した第2カメラ32aを用いて分包後の各1分包分の薬剤25を撮像してもよい。第2カメラ32aで撮像された薬剤25の画像データは外観別計数部45に出力される。これにより、第2カメラ32で撮像を行った場合と同様に、外観別計数部45にて実測情報55が求められる。
【0101】
[第2実施形態の分包薬剤検査装置]
次に、図11を用いて本発明の第2実施形態の分包薬剤検査装置について説明を行う。上記第1実施形態の分包薬剤検査装置20では、第2カメラ32により分包前の各1分包分の薬剤25を撮像、あるいは、第2カメラ32aにより分包後の各1分包分の薬剤25を撮像する。一方、第2実施形態では、第2カメラ32による分包前の各1分包分の薬剤25の撮像と、第2カメラ32aによる分包後の各1分包分の薬剤25の撮像とを行う。なお、第2実施形態の分包薬剤検査装置は、分包前と分包後とにおいて薬剤25の撮像を行う点を除けば、第1実施形態の分包薬剤検査装置20と基本的に同じ構成である。
【0102】
第2実施形態の外観別計数部45は、第2カメラ32及び第2カメラ32aから入力される各1分包分の薬剤25の画像データを解析して、分包前と分包後の外観別個数を計数する。そして、外観別計数部45は、分包前と分包後の外観別個数の計数結果が同じであれば、この計数結果を実測情報55として外観別個数正誤判定部46へ出力する。
【0103】
一方、外観別計数部45は、分包前と分包後とで外観別個数の計数結果が異なる場合に、例えば計数結果が大きい方を正しい計数結果として選択する。これは、計数結果が小さい方は、薬剤25の重なりなどにより計数されない薬剤25が存在している可能性があるからである。なお、この場合には、分包前と分包後とで外観別個数の計数結果が異なる旨の警告表示を表示部34に表示させてもよい。
【0104】
このように、第2実施形態の分包薬剤検査装置では分包前と分包後とにおいて薬剤25の撮像を行うことで、正確な実測情報55が得られる。
【0105】
また、第2実施形態の分包薬剤検査装置には、第2カメラ32や第2カメラ32aによる撮像前に、薬剤25に対して、振動を加えたりあるいはエアを吹き付けたり(分包前)などの各種の衝撃を与える衝撃付与装置(衝撃付与部)60,61が設けられている。これにより、薬剤25が重なった状態や垂直に立った状態で第2カメラ32及び第2カメラ32aにより撮像されることが防止されるため、より正確な実測情報55が得られる。なお、衝撃付与装置60,61は、第1実施形態の分包薬剤検査装置20に設けてもよい。
【0106】
さらに、図12に示すように、第2実施形態の分包薬剤検査装置において、第2カメラ32及び第2カメラ32aによる撮像を行う際に、薬剤25をそれぞれ黒ステージ63,64上にセットして、薬剤25の撮像を黒背景(図中の網掛け線で表示)上で行ってもよい。黒背景で撮像を行うことで、外観別計数部45が画像内から薬剤25の輪郭を抽出し易くなる。また、特に分包後の薬剤25の撮像を黒背景で行うことで、分包袋27に文字等が記録されていても、撮像により得られた画像内に文字等が含まれることが防止される。これにより、より正確な実測情報55が得られる。なお、第1実施形態の分包薬剤検査装置20においても薬剤25の撮像を黒背景上で行ってもよい。
【0107】
[第3実施形態の分包薬剤検査装置]
次に、図13を用いて本発明の第3実施形態の分包薬剤検査装置について説明を行う。上記第1実施形態の分包正誤判定部48は、外観別個数正誤判定部46の判定結果J2と、取り違え判定可能性判定部47の判定結果J3とに基づいて、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいか否かを判定している。これに対して、第3実施形態の分包薬剤検査装置では、上述の判定結果J2,J3に加えて、各分包袋27に分包される薬剤25の1分包分の重量に基づき、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいか否かを判定する。
【0108】
第3実施形態の分包薬剤検査装置は、薬剤重量データベース(以下、薬剤重量DBと略す)66と、重量情報取得部67と、重量測定部68と、重量正誤判定部69と、分包正誤判定部70とを備える点を除けば第1実施形態の分包薬剤検査装置20と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0109】
薬剤重量DB66には、薬剤25の薬種と、薬剤25の重量(g1、g2、・・・)とが予め対応づけて記憶されている。なお、薬剤重量DB66を別途設ける代わりに、前述の薬剤情報DB41や薬剤外観DB43に薬剤25の重量を記憶させてもよい。
【0110】
重量情報取得部67は、分包薬剤情報取得部50と、薬剤重量DB66と、重量正誤判定部69とに接続している。重量情報取得部67は、分包薬剤情報取得部50から入力された分包薬剤情報51に基づき、薬剤重量DB66を参照して、各分包袋27に分包される1分包分の薬剤25の重量(G1、G2、・・・)を示す重量情報72を取得する。例えば、重量情報取得部67は、「分包1」の分包袋27に対応する分包薬剤情報51が「A×1、B×1、C×1」である場合には、薬剤重量DB66の薬剤A,B,Cに対応する重量を参照して、「分包1」の重量情報72をG1(=g1+g2+g3)に決定する。以下同様に、重量情報取得部67は、「分包2、分包3、・・・」の分包袋27に対応する重量情報72を決定する。そして、重量情報取得部67は、各分包袋27の重量情報72を重量正誤判定部69へ出力する。
【0111】
なお、本実施形態では、重量情報取得部67が分包薬剤情報取得部50から取得した分包薬剤情報51に基づき重量情報72を取得しているが、分包薬剤情報取得部50の機能を重量情報取得部67に持たせてもよい。すなわち、分包薬剤情報取得部50を設けることなく、重量情報取得部67が、投入薬種正誤判定部42などから取得した調剤情報22及び薬種情報37に基づき、薬剤重量DB66を参照して重量情報72を取得してもよい。これにより、重量情報取得部67は、少なくとも調剤情報22及び薬種情報37に基づき、重量情報72を取得することができる。
【0112】
重量測定部68は、分包前の各1分包分の薬剤25の重量を測定して、その測定結果である重量測定データ74を重量正誤判定部69へ出力する。なお、重量測定部68は、予め定められた精度で薬剤25の重量を測定できるものであれば特に限定されない。また、この重量測定部68は、分包機26と一体に設けられていてもよい。
【0113】
重量正誤判定部69は、重量情報取得部67から入力された重量情報72と、重量測定部68から入力された重量測定データ74とを照合する。そして、重量正誤判定部69は、各1分包分の重量測定データ74がそれぞれ各1分包分の重量情報72に一致するか否かに基づき、各分包袋27に分包される薬剤25の1分包分の重量が正しいか否かを判定する。この判定結果J4は、重量正誤判定部69から分包正誤判定部70へ出力される。この際に、重量正誤判定部69は、分包袋27に投入される薬剤25の1分包分の重量が誤っている場合に、該当する分包袋27を示す情報を含む判定結果J4を分包正誤判定部70へ出力する。
【0114】
分包正誤判定部70は、外観別個数正誤判定部46の判定結果J2と、取り違え判定可
能性判定部47の判定結果J3と、重量正誤判定部69の判定結果J4とに基づき、各分
包袋27に分包された薬剤25が正しいかどうかを判定する。具体的に、分包正誤判定部
70は、各分包袋27に投入される薬剤25の外観別個数が正しく、かつ別種類の薬剤2
5の取り違えの有無が判定可能であり、かつ各分包袋27に投入される薬剤25の1分包
分の重量が正しい場合には、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいと判定する。
【0115】
一方、分包正誤判定部70は、分包袋27に分包される薬剤25の1分包分の重量が誤っている場合に、該当する分包袋27に分包された薬剤25に誤りがあると判定する。そして、分包正誤判定部70は、該当する分包袋27を示す判定結果J4を表示部34へ出力する。これにより、表示部34には、1分包分の重量が誤っている分包袋27(例えば、図6(B)の分包1)を示す情報が表示される。
【0116】
なお、各分包袋27に投入される薬剤25の外観別個数が正しくない場合、あるいは別種類の薬剤25の取り違えの有無が判定不能である場合には、分包正誤判定部70は第1実施形態の分包正誤判定部48と同様の処理を行う。
【0117】
本発明の第3実施形態の分包薬剤検査装置では、外観別個数正誤判定部46及び取り違え判定可能性判定部47の判定結果J2,J3に加えて、重量正誤判定部69の判定結果J4に基づき、各分包袋27に分包された薬剤25が正しいかどうかを判定しているので、第1実施形態よりも正確な判定を行うことができる。
【0118】
[その他の実施形態]
上記各実施形態の取り違え判定可能性判定部47は、取り違え可能性情報58に基づき、別種類の薬剤25の外観を比較(前述の第1の条件から第3の条件を満たす否か)することで、別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定可能であるか否かを判定している。これに対して、取り違えの有無を判定不能な薬剤25の組み合わせを予め求めておき、この組み合わせに基づき、別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定可能であるか否かを判定してもよい。
【0119】
例えば、図14に示すように、取り違え可能性データベース(以下、取り違え可能性DBと略す)80に、薬剤25の取り違えの有無を判定不能な薬剤25の組み合わせを予め記憶しておく。
【0120】
取り違え判定可能性判定部47は、分包薬剤情報51に基づき、取り違え可能性DB80を参照して、異なるあるいは同一の分包袋27に投入される別種類の薬剤25の中に、取り違え可能性DB80に記録されている薬剤25の組み合わせが含まれているか否かを判別する。そして、取り違え判定可能性判定部47は、別種類の薬剤25の中に、取り違え可能性DB80に記録されている薬剤25の組み合わせが含まれている場合には、別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定不能と判定する。
【0121】
また、取り違え判定可能性判定部47は、別種類の薬剤25の中に、取り違え可能性DB80に記録されている薬剤25の組み合わせが含まれていない場合には、別種類の薬剤25の取り違えの有無を判定可能と判定する。これ以降の処理は、上記第1実施形態と同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0122】
上記各実施形態では、投入薬種が正しくない場合、外観別個数が誤りである場合、取り違えの有無の判定が不可能である場合、1分包分の薬剤25の重量が誤っている場合などに、表示部34の表示面に各種の警告情報を表示させているが、この表示部34の代わりに、前述の警告情報を音声表示する音声表示部や、その他の各種表示部を用いてもよい。
【0123】
上記各実施形態では、薬剤処方作業10に用いられる分包薬剤検査装置20を例に挙げて説明を行ったが、各種の分包機にて分包された薬剤25を検査する分包薬剤検査装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0124】
20…分包薬剤検査装置,22…調剤情報,25…薬剤,26…分包機,31…第1カメラ,32…第2カメラ,33…検査装置本体,34…表示部,37…薬種情報,40…投入薬種情報取得部,41…薬剤情報データベース,42…投入薬種正誤判定部,43…薬剤外観データベース,44…外観別個数情報取得部,45…外観別計数部,46…外観別個数正誤判定部,47…取り違え判定可能性判定部,48…分包正誤判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14