(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同一被写体を撮像して得られた合焦画像及び非合焦画像に基づいて、表示部に順次表示させるための複数枚の混合画像の生成をコントローラに実行させる画像処理プログラムにおいて、
前記合焦画像及び前記非合焦画像に含まれる高周波成分に基づくぼけ判定値を算出するぼけ判定値算出ステップと、
前記ぼけ判定値と所定の基準値と比較して、前記合焦画像に対する前記非合焦画像のぼけの程度を判定するぼけ判定ステップと、
前記ぼけ判定ステップでの判定結果に応じて、前記合焦画像と前記非合焦画像とを混合させるための混合比率が変化した複数種類の混合比率セットから1つの混合比率セットを選択する際、前記合焦画像に対する前記非合焦画像のぼけの程度が大きい程、前記非合焦画像の混合比率が少ない混合比率セットを選択する混合比率決定ステップと、
前記合焦画像と前記非合焦画像とに基づき、選択された混合比率セットに基づいて、複数枚の混合画像を生成する混合画像生成ステップと、
を前記コントローラに実行させる画像処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、静止画表示装置10は、システムコントローラ11と、各種プログラム等が格納され、プログラム実行時の作業領域となるメインメモリ12と、画像等が格納されるストレージ13と、表示用データを一時記憶する表示メモリ14と、この表示メモリ14からの画像データ、文字データ等により画像や文字等を表示するための表示制御を行う表示制御部15とを備える。また、静止画表示装置10には、画像読出部16と、混合画像生成部17と、ぼけ判定部18と、ぼけ判定値算出部18aと、混合比率決定部19と、画像位置合わせ部20と、操作部21と、画像入力I/F22と、圧縮伸張処理部23と、各構成要素を接続するバス24とが設けられている。
【0024】
システムコントローラ11は、操作部21からの制御信号に基づき、メインメモリ12から読み出した各種プログラムやデータを逐次実行することで、立体画像表示装置10の各部を統括的に制御する。表示制御部15には、表示部としての液晶ディスプレイ等のモニタ25が接続される。静止画表示装置10は、メモリカード27に記憶された画像ファイルを読み出し、画像をモニタ25に表示する。この画像は、デジタルカメラ26で撮影されて、メモリカード27に記憶されているものである。操作部21としては、キーボード及びマウスを有する。
【0025】
図2に示すように、デジタルカメラ26は、同一被写体に対して合焦画像(合焦画像フレーム)P1及び非合焦画像(非合焦画像フレーム)P2を撮像する。これら合焦画像P1及び非合焦画像P2と付加情報28Aとは、複合画像ファイル28としてメモリカード27に記憶される。または、同一被写体に対して合焦画像P1のみを撮像し、この合焦画像P1と付加情報29Aとは、通常画像ファイル29としてメモリカード27に記憶する。付加情報28A,29Aとしては、例えばExif形式のデータを使用し、画像データのExifタグの領域に情報を書き込む。付加情報28A,29Aには、後述する静止画特殊表示オン/オフの情報、画像数、合焦画像P1及び非合焦画像P2を撮像する際にAF処理で用いたAF評価値、AF評価エリア、さらにAE制御処理に用いた露出値(F値、シャッタ速度)、ズーム位置などが含まれる。
【0026】
なお、本実施形態では、非合焦画像P2として、合焦画像に対して至近位置側に焦点を合わせることで得られた前ピンの非合焦画像(以下、前ピン画像という)を用いている。なお、これに限らず、非合焦画像P2として、無限遠位置側に焦点を合わせて得られた後ピンの非合焦画像(以下、後ピン画像という)を用いてもよい。
【0027】
付加情報28A,29Aに含まれる静止画特殊表示オン/オフの情報は、静止画表示装置で静止画表示を行う際に、合焦画像P1及び非合焦画像P2から合成される複数の混合画像を順次表示する静止画特殊表示を行うかどうかに用いられる。静止画特殊表示の場合には静止画特殊表示オンの情報が記憶され、そして静止画特殊表示を行わない場合には静止画特殊表示オフの情報が記憶されている。この実施形態では、複合画像ファイル28には静止画特殊表示オンの情報が記憶され、通常画像ファイル29には静止画特殊表示オフの情報が記憶されている。
【0028】
画像入力I/F22は、メモリカード27が接続されたとき、メモリカード27に記憶された複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29の入力を制御する。画像入力I/F22は、メモリカード27から読み出した複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29を、バス19を介してストレージ13へ逐次送る。ストレージ13は、入力された複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29を記憶する。このストレージ13としては、例えば、ハードディスク装置が使用される。
【0029】
画像読出部16は、ストレージ13から複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29を所定の順番で読み出す読出処理を行う。この読出しの順番は、例えば、ファイル名順(例えばPIC1、PIC2、PIC3、・・・)、撮像日時の古い順あるいは新しい順で行われる。画像読出部16は、操作部21で画像表示操作がなされたときに、第1番目の複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29をストレージ13から読み出して記憶する。また、画像読出部16は、モニタ25に画像が表示されている間に、次の複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29をストレージ13から読み出して、先に記憶した複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29に上書きする。
【0030】
なお、ストレージ13に記憶された複合画像ファイル28又は通常画像ファイル29の合焦画像P1、非合焦画像P2が圧縮された形式(例えば、JPEG形式)の場合、圧縮伸張処理部23で画像の伸張処理が行われる。
【0031】
混合画像生成部17は、ストレージ13から画像読出部25によって複合画像ファイル28が読み出された場合に、この複合画像ファイル28の合焦画像P1と非合焦画像P2とを、後述する混合比率決定部19で決定された混合比率で混合して複数枚の混合画像を生成する。この場合、合焦画像P1を示す関数をf1(x,y)、非合焦画像P2を示す関数をf2(x,y)、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率をK1:K2とすると、混合画像を示す関数G(x,y)は、次式(1)で表される。
G(x,y)=f1(x,y)*K1+f2(x,y)*K2・・・(1)
この式(1)に、合焦画像P1及び非合焦画像P2の各画素における画素値、及び混合比率決定部19で決定された混合比率を代入することにより、混合画像の各画素における画素値が得られる。
【0032】
図3は、合焦画像P1、非合焦画像P2、及び混合画像Mにおける高周波成分の一例を示すものであり、この混合画像Mの高周波成分は、合焦画像P1の高周波成分と、非合焦画像P2の高周波成分との中間の波形となる。したがって、式(1)における合焦画像P1の混合比率が増加すると、合焦画像P1の高周波成分の波形に近づき、また、非合焦画像P2の混合比率が増加すると、非合焦画像P2の高周波成分の波形に近づくようになる。したがって、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率を変化させることで混合画像Mのぼけの程度を調節することができる。
【0033】
なお、混合画像生成部17での混合画像生成処理は、混合画像の元となる合焦画像P1及び非合焦画像P2のデータがどのような種類のデータであるかによって適宜変更することができる。例えば、合焦画像P1及び非合焦画像P2のデータがY・Cb・Crの色空間で規定されるデータの場合、合焦画像P1及び非合焦画像P2の各画素における輝度Y、色相Cb、及び彩度Crの値を上記式に代入して混合画像の各画素における輝度Y、色相Cb、及び彩度Crの値を得てもよい。また、合焦画像P1及び非合焦画像P2のデータがRGBの色空間で規定されたデータである場合に、合焦画像P1及び非合焦画像P2の各画素におけるR,G,Bの値を代入して、混合画像の各画素におけるR,G,Bの値を得てもよい。
【0034】
ぼけ判定値算出部18aは、合焦画像P1及び合焦画像P2に含まれる高周波成分に基づいてぼけ判定値を算出する。ぼけ判定部18は、ぼけ判定値を所定の基準値と比較して、合焦画像P1に対する非合焦画像P2のぼけの程度を判定する。本実施形態のぼけ判定値算出部18aは、複合画像ファイル28の付加情報28Aに含まれる合焦画像P1及び非合焦画像P2の焦点評価値H1及びH2を読み出す。この焦点評価値H1及びH2を合焦画像P1及び合焦画像P2に含まれる高周波成分の値として使用して、ぼけ判定値HSを算出する。なお、ぼけ判定値は、合焦画像P1及び合焦画像P2の画面全体に含まれる高周波成分から算出する他に、合焦画像P1及び非合焦画像P2の特定領域内の高周波成分でもよい。例えば、合焦画像を撮像するときのAF評価エリア内に含まれる高周波成分でもよい。この場合、合焦画像P1及び非合焦画像P2の高周波成分は、同じ特定領域内から抽出される。
【0035】
高周波成分に基づくぼけ判定値HSとして、合焦画像P1の焦点評価値H1に対する非合焦画像P2の焦点評価値H2の割合(ぼけ判定値HS=H2/H1)が用いられる。画像に含まれる高周波成分は、値が小さいほどピントのぼけが大きい。したがって、ぼけ判定値HSが小さい程、合焦画像に対する非合焦画像のぼけの程度が大きく、ぼけ判定値HSが大きい程、合焦画像に対する非合焦画像のぼけの程度が小さいことを示す。ぼけ判定部18は、判定値HSを予め設定された基準値HKと比較する。ぼけ判定値HSが基準値HK以上の場合には、合焦画像に対する非合焦画像のぼけの程度が小さいという判定結果を、混合比率決定部19に送信する。ぼけ判定値HSが基準値HK未満である場合には、合焦画像に対するぼけの程度が大きいという判定結果を混合比率決定部19に送信する。
【0036】
なお、ぼけ判定値とは上記のものに限らず、合焦画像P1及び非合焦画像P2に含まれる高周波成分に基づく値で、基準値HKと比較して合焦画像P1に対する非合焦画像P2のぼけの程度が判定可能な値であればよい。例えば、合焦画像の焦点評価値H1と非合焦画像の焦点評価値H2との差(H1−H2)でもよい。
【0037】
混合比率決定部19は、合焦画像P1と非合焦画像P2とを混合する混合比率を定める2種類の第1及び第2混合比率セットの一方を、ぼけ判定結果に応じて選択する。各混合比率セットは、混合比率が徐々に変化した1セットである。
【0038】
図4Aに示すように、第1混合比率セットは、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率K1:K2が75:25、50:50、25:75という組み合わせになっている。この第1混合比率セットでは、非合焦画像P2の混合比率が0%〜100%の範囲内で使用可能である。また、第1混合比率セットでは、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率K1:K2が均等に増減する組み合わせとなっており、本実施形態では25%ずつ増減している。なお、この「均等」には、ほぼ均等に混合比率が増減する場合も含まれる。
【0039】
一方、
図4Bに示すように、第2混合比率セットは、第1混合比率セットよりも合焦画像P1の混合比率を多く、非合焦画像P2の混合比率を少なくしており、合焦画像:非合焦画像の混合比率K1:K2が88:12、75:25、63:37、50:50という組み合わせになっている。この第2混合比率セットでは、合焦画像に対するぼけの状態を少なくするために、非合焦画像P2の混合比率K1:K2を0%〜50%の範囲内に規制している。また、第2混合比率セットでは、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率が均等に増減する組み合わせとなっており、本実施形態では12%または13%ずつ増減している。
【0040】
また、第1混合比率セットに基づいた混合画像では、100%の非合焦画像P2を表示するが、第2混合比率セットに基づいた混合画像では、100%の非合焦画像P2を表示しないため、第1混合比率セットでは、混合比率が3つであるのに対し、第2混合比率セットでは、第1混合比率セットよりも1つ多い4つとなっている。
【0041】
混合画像生成部17は、第1混合比率セットの3つの混合比率に基づいて3つの混合画像M1,M2,M3を生成する。第2混合比率セットに対しては、4つの混合比率に基づいて4つの混合画像M1,M2,M3,M4を生成する。混合画像生成部17で生成された混合画像は、いったん表示メモリ14に格納される。
【0042】
画像位置合わせ部20は、混合画像を生成する際に、元となる合焦画像P1及び非合焦画像P2の位置を合わせるための位置合わせ処理を行う。合焦画像P1と非合焦画像P2を得るために、時間的に異なるタイミングで二枚の画像を撮像する場合、この撮像タイミングの違いから二枚の画像間には、僅かな位置ずれ(光軸と直交する面内での位置ずれ、光軸方向での位置ずれ)が発生する。このため、二枚の画像を合成する際に、このような画像間の位置ずれを補正するために、画像合成の前に位置合わせ処理を行うことが好ましい。位置合わせ処理としては、例えば合焦画像P1中の特徴点に対応する非合焦画像P2中の対応点が検出され、合焦画像P1中の特徴点と非合焦画像P2中の対応点とを一致させるパラメータ(回転パラメータ,移動パラメータ,拡大/縮小パラメータ)が算出される。このパラメータを用いて非合焦画像P2を回転、移動、拡大/縮小して合焦画像P1と非合焦画像P2の位置合わせが行われる。また、位置合わせ処理を行う際、二枚の画像の周辺部には重ならない部分が発生する場合もあり、この場合、重ならない周辺部を除くように、合焦画像P1と非合焦画像P2のトリミングを行う。像の大きさに影響する光軸方向の位置ずれと、光軸と直交する面内での位置ずれとを検出するには、複数の特徴点が用いられる。
【0043】
なお、画像位置合わせ部20が位置合わせ処理を行う際、合焦画像P1及び非合焦画像P2の画面全体を対象にするのではなく、特定領域を対象として特徴点、対応点を検出して位置合わせを行ってもよい。この場合に、合焦画像P1と非合焦画像P2とは、同じ特定領域内を対象として特徴点、対応点が検出され、位置合わせが行われる。この特定領域としては、例えば、複合画像ファイル28の付加情報に含まれるAF評価エリアを用いてもよい。
【0044】
表示制御部15は、第1混合比率セット又は第2混合比率セットに基づいて混合画像生成部17が複数の混合画像を生成した後、複数の混合画像をモニタ25に順次表示させる。表示制御部15は、複数の混合画像を表示させる際に、合焦画像の混合比率が徐々に多くなる順方向の表示、または合焦画像の混合比率が徐々に低くなる逆方向の表示のいずれかを行う。本実施形態では、順方向の表示順による表示と、逆方向の表示順による表示とを交互に繰り返す。
【0045】
表示制御部15は、第1混合比率セットに基づいて混合画像M1,M2,M3が生成された場合は、混合画像M1,M2,M3ととともに、合焦画像P1及び非合焦画像P2を表示に使用する。この場合、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率K1:K2が、100:0及び0:100の混合画像として合焦画像P1及び非合焦画像P2がそれぞれ使用される。これにより、表示制御部15は、順方向の表示順で混合画像を表示する場合に、合焦画像の混合比率が0%、25%、50%、75%、100%の混合画像を表示する。逆方向の表示順で混合画像を表示する場合、合焦画像の混合比率が100%、75%、50%、25%、0%の混合画像を順次表示する。
【0046】
表示制御部15は、第2混合比率セットに基づいて混合画像M1,M2,M3,M4が生成された場合は、混合画像M1,M2,M3,M4ととともに、合焦画像P1を表示に使用する。なお、非合焦画像P2は表示に使用しない。この場合、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率K1:K2が、100:0の混合画像として合焦画像P1が使用される。これにより、表示制御部15は、順方向の表示順で混合画像を表示する場合に、合焦画像P1の混合比率が50%、63%、75%、88%、100%の混合画像を順次表示する。逆方向の表示順で混合画像を表示する場合は、合焦画像P1の混合比率が100%、88%、75%、63%、50%の混合画像を順次表示する。
【0047】
また、表示制御部15は、複数の混合画像を順次表示する際、先の表示が徐々に消えていくともに、次の表示が徐々に表れてくるフェード処理で画像表示を切り替える。
図5はこのフェード処理を説明する説明図であり、点線は先に表示する画像の濃度であり、実線は次に表示する画像の濃度を示す。このフェード処理では、先に表示する画像の濃度が100%のときは、次に表示する画像の表示濃度が0%である。そして、先に表示する画像の表示濃度が徐々に減少するとともに、次に表示する画像の表示濃度が徐々に増加して両者を足すと100%になるように変化し、先に表示する画像の表示濃度が0%になったときは、次に表示する画像の表示濃度が100%になる。また、表示制御部15は、このフェード処理を行う際に、全ての画像について、全て同じ時間で先の表示が徐々に消えていくともに、この先の表示が消えていくのと同じ時間で次の表示が徐々に表れてくる。
【0048】
次に、
図6に示すフローチャートを用いて、静止画表示装置10の処理手順について説明を行う。先ず、デジタルカメラ26から取り出したメモリカード27を画像入力I/F22に接続する。メモリカード27に記憶されていた複合画像ファイル28または通常画像ファイル29が読み出され、ストレージ13に格納される。この格納処理後に、操作部21で画像表示操作をすると(S1)、システムコントローラ11は、画像読出部16に対して読出し指令を発する。画像読出部16は、ストレージ13から最初の複合画像ファイル28または通常画像ファイル29を読み出す(S2)。
【0049】
次いでシステムコントローラ11は、複合画像ファイル28または通常画像ファイル29の付加情報28A,29Aのうち、静止画特殊表示オン/オフの情報を読み出しす(S3)。静止画特殊表示オンが記憶されている場合に(S4のYES)、合焦画像P1及び非合焦画像P2を用いた静止画特殊表示を行うため、複合画像ファイル28から合焦画像P1、非合焦画像P2の読み出しを行う(S5)。
【0050】
一方、静止画特殊表示オフが記憶されている場合(S4のNO)、通常画像ファイル29から合焦画像P1のみを読み出し(S6)、通常表示を行う(S7)。操作部21によって画像切替操作が行われた場合は(S8)、合焦画像P1の通常表示を終了して、次の複合画像ファイル28または通常画像ファイル29読み出しに進む(S2)。表示終了操作が行われた場合は、画像表示を終了する(S9)。
【0051】
システムコントローラ11は、複合画像ファイル28から合焦画像P1、非合焦点画像P2の読み出しに続いて、付加情報29Aの焦点評価値H1,H2を読み出す(S10)。システムコントローラ11がぼけ判定指令を発生すると、ぼけ判定値算出部18aは、複合画像ファイル28に付加された付加情報29Aのうち、合焦画像P1及び非合焦画像P2の焦点評価値H1、H2から、ぼけ判定値HS=H2/H1を算出する(S11)。ぼけ判定部18は,ぼけ判定値HSと基準値HKとを比較してぼけ判定を行う(S12)。
【0052】
ぼけ判定部18による判定で、ぼけ判定値HSが基準値HK以上であると判定されたときには(S12のYES)、混合比率決定部19は、第1混合比率セットを選択する。混合画像生成部17は、第1混合比率セットに基づいて混合画像を生成する(S13)。これにより、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率K1:K2が、75:25、50:50、25:75の混合画像M1,M2,M3が生成される。
【0053】
第1混合比率セットに基づいて混合画像M1,M2,M3が生成された後、表示制御部15は、合焦画像P1及び非合焦画像P2を含む複数の混合画像を順方向、及び逆方向にモニタ25に順次表示する(S14)。画像切替操作が行われず(S15のNO)、かつ表示終了の操作が行われない場合(S16のNO)、表示制御部15は、順方向と逆方向の交互表示を継続して行う。また、画像切替操作が行われた場合(S15のYES)は、混合画像の表示を終了して、次の複合画像ファイル28または通常画像ファイル29の読み出しに進む(S2)。そして、表示終了操作が行われた場合は、画像表示を終了する(S16のYES)。
【0054】
ぼけ判定部18による判定で、ぼけ判定値HSが基準値HK未満という判定結果が出された場合(S12のNO)、混合比率決定部19は、第2混合比率セットを選択する。混合画像生成部17は、第2混合比率セットに基づいて、合焦画像:非合焦画像の混合比率K1:K2が、88:12、75:25、63:37、50:50の混合画像M1,M2,M3,M4を生成する(S17)。
【0055】
混合画像M1,M2,M3,M4が生成された後、表示制御部15は、合焦画像P1を含む複数の混合画像を順方向、及び逆方向の表示順でモニタ25に順次表示する(S18)。画像切替操作が行われず(S19のNO)、かつ表示終了の操作が行われない場合(S20のNO)、表示制御部15は継続して混合画像を表示する。画像切替操作が行われた場合は(S19のYES)、混合画像の表示を終了して、次の複合画像ファイルまたは通常画像ファイルの読出しに進む(S2)。表示終了操作が行われた場合は、画像表示を終了する(S20のYES)。
【0056】
以上のように、合焦画像P1及び非合焦画像P2の高周波成分に基づくぼけ判定値を用いてぼけ判定を行う。ぼけ判定値が基準値以上の場合は、第1混合比率セットで混合画像を生成する。ぼけ判定値が基準値未満の場合は、第1混合比率セットよりも合焦画像P1の混合比率が多く、非合焦画像P2の混合比率が少ない第2混合比率セットに基づいて混合画像を生成する。この第2混合比率セットでは、合焦画像P1に対してぼけの程度が少ない混合画像を生成することができる。これにより、静止画を動画風に表示しながら、ぼけの変化が少なくユーザーが見やすい静止画の再生を行うことができる。
【0057】
第1実施形態の複合画像ファイル28には、非合焦画像としての前ピン画像と、合焦画像とを用いて混合画像を生成しているが、前ピン画像と、後ピン画像と、合焦画像との3種類の画像を用いて混合画像を生成してもよい。
【0058】
図7は、合焦画像P1と、前ピン及び後ピン画像P2,P3とを概念的に示す説明図であり、
図7Aに示す合焦画像P1は、奥行き方向に対して中間付近の被写体51に焦点を合わせて得られたもの、
図7Bに示す前ピン画像P2は、合焦画像P1よりも至近位置側の被写体52に焦点を合わせて得られたもの、
図7Cに示す後ピン画像P2は、合焦画像P1よりも無限遠位置側の被写体53に焦点を合わせて得られたものである。
【0059】
この変形例では、
図8に示すように、メモリカード27には、同一被写体に対して取得した合焦画像P1、前ピン画像P2、及び後ピン画像P3と、付加情報31Aとを1つにまとめた複合画像ファイル31、あるいは第1実施形態と同様の通常画像ファイル29が記憶されている。また、混合画像生成部17は、合焦画像P1と前ピン画像P2とを混合して前ピン混合画像を、合焦画像P1と後ピン画像P3とを混合して後ピン混合画像をそれぞれ生成する。混合比率決定部19は、第1実施形態と同様に、ぼけ判定部18の判定結果に基づき、第1混合比率セット及び第2混合比率セットのうちいずれか一方を選択する。
【0060】
図9Aに示すように、第1混合比率セットは、合焦画像P1:前ピン画像P2の混合比率K10:K20が25:75、50:50、75:25という組み合わせと、合焦画像P1:後ピン画像P3の混合比率K10:K30が75:25、50:50、25:75という組み合わせを有する。この第1混合比率セットでは、前ピン画像P2の混合比率、及び後ピン画像P3の混合比率が0%〜100%の範囲内で使用可能である。また、第1混合比率セットでは、第1実施形態と同様に、合焦画像P1:前ピンの非合焦画像P2の混合比率、及び合焦画像P1:後ピン画像P3の混合比率が均等に増減する組み合わせとなっており、この変形例では25%ずつ増減している。
【0061】
一方、
図9Bに示すように、第2混合比率セットは、第1混合比率セットよりも合焦画像P1の混合比率が多く、かつ前ピン画像P2及び後ピン画像P3の混合比率が少ない。合焦画像P1:前ピン画像P2の混合比率K10:K20が、50:50、63:37、75:25、88:12という組み合わせと、合焦画像P1:後ピン画像P3の混合比率K10:K30が88:12、75:25、63:37、50:50という組み合わせがある。この第2混合比率セットでは、第1実施形態と同様に、合焦画像に対するぼけの状態を少なくするために、前ピン画像P2及び後ピン画像P3の混合比率を0%〜50%の範囲内に規制している。また、第2混合比率セットでは、第1実施形態と同様に、合焦画像P1:非合焦画像P2の混合比率、及び合焦画像P1:後ピン画像P3が均等に増減する組み合わせとなっており、この変形例では12%または13%ずつ増減している。
【0062】
ぼけ判定値HSとして、合焦画像の焦点評価値H1に対する前ピン画像の焦点評価値H2の割合である前ピンのぼけ判定値HS1=H2/H1と、合焦画像の焦点評価値H1に対する後ピン画像の焦点評価値H3の割合である後ピンのぼけ判定値HS2=H3/H1とを使用する。ぼけ判定部18は、ぼけ判定値HS1及びHS2を予め設定された基準値HKと比較し、ぼけ判定値HS1及びぼけ判定値HS2の両方が基準値HK以上であり、合焦画像に対する前ピン画像のぼけの程度、及び後ピン画像のぼけの程度がともに小さいという第1の判定結果と、ぼけ判定値HS1及びぼけ判定値HS2の少なくとも一方が基準値HK未満であり、合焦画像に対するぼけの程度が大きいという第2の判定結果の一方を出力する。混合比率決定部19は、ぼけ判定部18による判定で、第1の判定結果が出た場合に、第1混合比率セットを選択し、第2の判定結果が出た場合に、第21混合比率セットを選択する。
【0063】
混合画像生成部17は、第1混合比率セットに基づいて、前ピンの混合画像(MF1,MF2,MF3)と、後ピンの混合画像(MB1,MB2,MB3)とを生成する。又は第2混合比率セットに基づいて、前ピンの混合画像(MF1,MF2,MF3,MF4)と、後ピンの混合画像(MB1,MB2,MB3,MB4)とを生成する。混合画像生成部17で生成された混合画像は、いったん表示メモリ14に格納される。
【0064】
表示制御部15は、表示メモリ14から読み出した複数の混合画像を順番に表示させる際に、合焦画像P1の混合比率が徐々に多くなる順方向に、複数の前ピン混合画像をモニタ25に順次表示する。次に、合焦画像の混合比率が徐々に低くなる逆方向に、複数の後ピン混合画像をモニタに表示させる。
【0065】
表示制御部15は、第1混合比率セットに基づいて混合画像MF1,MF2,MF3,MB1,MB2,MB3が生成された場合は、これらとともに、合焦画像P1、前ピン画像P2、及び後ピン画像P3を表示に使用する。この場合に、合焦画像P1:前ピン画像P2の混合比率K10:K20が、100:0及び0:100の前ピン混合画像として、合焦画像P1及び前ピン画像P2がそれぞれ使用される。合焦画像P1:後ピン画像P3の混合比率K10:K30が、100:0及び0:100の後ピン混合画像として、合焦画像P1及び後ピン画像P3がそれぞれ使用される。これにより、表示制御部15は、合焦画像の混合比率が0%、25%、50%、75%、100%となる前ピン混合画像を順方向に表示するとともに、合焦画像の混合比率が100%、75%、50%、25%、0%となる後ピン混合画像を逆方向に表示する。
【0066】
表示制御部15は、第2混合比率セットに基づいて混合画像MF1,MF2,MF3,MF4,MB1,MB2,MB3,MB4が生成された場合は、これらとともに、合焦画像P1を表示に使用する。なお、前ピン画像P2、及び後ピン画像P3は表示に使用しない。この場合、合焦画像P1:前ピン画像P2の混合比率K10:K20が100:0の混合画像として、又は合焦画像P1:後ピン画像P3の混合比率K10:K30が100:0の混合画像として、合焦画像P1が使用される。これにより、表示制御部15は、合焦画像の混合比率が50%、63%、75%、88%、100%となる前ピン混合画像を順方向に表示するとともに、合焦画像の混合比率が100%、88%、75%、63%、50%となる後ピン混合画像を逆方向に表示する。また、表示制御部15は、第1実施形態と同様に、複数の混合画像を順次表示する際、先の表示が徐々に消えていくともに、次の表示が徐々に表れてくるフェード処理で画像表示を切り替える。
【0067】
以上のように、合焦画像、及び合焦画像に対して至近位置側、無限遠位置側に焦点を合わせた前ピン及び後ピン画像から生成された前ピン及び後ピン混合画像を表示させているので、合焦位置が前後に移動する間隔をユーザーに与え、画像内における被写体の距離感を与えることが可能となるため、さらに臨場感のある表示を行うことができる。
【0068】
なお、第1実施形態では、混合画像を表示させる場合に、全ての画像について、同じ時間で先の表示が徐々に消えていくともに、次の表示が徐々に表れてくるフェード処理を行っているが、合焦画像P1の表示時間を他の混合画像M1等よりも長く表示させるのがよい。この場合、
図10に示すように、画像表示を切り替えるときは、第1実施形態と同様に、先の表示が徐々に消えていくともに、次の表示が徐々に表れてくるフェード処理を行う。そして、合焦画像P1の表示濃度が100%になったときは、この状態を維持し、合焦画像P1だけを所定時間表示するようにしてもよい。この合焦画像P1を表示する時間としては、例えば、フェード処理で表示が徐々に消えていく時間及び徐々に表れてくる時間を各1秒、合焦画像P1だけを表示する時間を3秒とすると、合焦画像P1は計5秒表示されるため、ユーザーが十分に観察することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、合焦画像及び非合焦画像に付加された付加情報に含まれるAF評価値を高周波成分として、ぼけ判定値の算出に用いている。代わりに、
図11に示すように、静止画表示装置35に高周波成分解析部36を設け、複合画像ファイルの合焦画像及び非合焦画像を読み出したとき、高周波成分解析部36が合焦画像及び非合焦画像の高周波成分を解析してもよい。この場合に、高周波成分解析部36が解析した合焦画像及び非合焦画像の高周波成分から、ぼけ判定値算出部18aでぼけ判定値HSを算出する。ぼけ判定部18は、ぼけ判定値HSと基準値HKとを比較してぼけ判定を行う。
【0070】
また、第1実施形態では、AF評価値を検出するAF評価エリアを画像内の特定領域として、このAF評価エリア内の高周波成分に基づくぼけ判定処理や、画像位置合わせ処理などを行っている。この他に、例えば、AF評価エリアに関係なく、画面の中央領域や、主要被写体の顔範囲を特定領域としてもよい。主要被写体の顔範囲を特定領域にする場合、
図11に示すように、静止画表示装置35に顔検出部37を設け、この顔検出部37によって合焦画像P1から顔の範囲を検出する。そして、ぼけ判定値を算出する際には、高周波成分解析部36は、顔検出部37が検出した顔範囲から高周波成分を解析する。
【0071】
静止画表示装置としては、例えば、静止画表示プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータを用いることができる。また、第1実施形態では、静止画表示装置は、メモリカード27を介して複合画像ファイル又は通常画像ファイルを取得しているが、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを介して、デジタルカメラから直接画像ファイルを取得してもよい。
【0072】
第1実施形態の静止画表示装置では、デジタルカメラ(撮像装置)により画像を取得し、この画像を記憶した画像ファイルをメモリカードまたはケーブルを介して取得しているが、第2実施形態ではデジタルカメラに静止画表示装置が組み込まれている。
【0073】
図12に示すように、デジタルカメラ100は、ほぼ直方体状に形成されたカメラ本体101を有している。カメラ本体101の前面には、撮像光学系102を保持するレンズ鏡筒103と、被写体を照射するフラッシュ発光部104とが設けられている。カメラ本体101の上面には、撮像を指示するレリーズボタン105と、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン106と、撮像光学系102をワイド側もしくはテレ側に変倍させるズーム操作を行うためのズームレバー107とが設けられている。
【0074】
レリーズボタン105は、2段階押しのボタンであり、このレリーズボタン105が半押しされた時に、各種撮像準備処理が実行され、さらに押し込まれて全押しされた時に、撮像処理が実行される。
【0075】
図13に示すように、カメラ本体101の背面には、液晶ディスプレイ(表示部)108、モード選択ダイヤル109、メニューボタン110が設けられている。液晶ディスプレイ108は、撮像した画像の再生画像や、フレーミング中の観察画像いわゆるスルー画や、各種のメニュー画面などを表示する。デジタルカメラ100は、静止画像を取得する静止画撮像モード、取得した各画像を液晶ディスプレイ108に再生表示する再生モードなどの複数の動作モードを有している。デジタルカメラ2の動作モードは、モード選択ダイヤル109の押下操作に応じて順次切り替えられる。メニューボタン110は、液晶ディスプレイ108に各種の設定メニューを表示させるものである。
【0076】
デジタルカメラ100では、撮像モード下では、通常画像ファイルをメモリカード111(
図14参照)に記憶する通常撮像モードと、静止画特殊表示に対応した複合画像ファイルをメモリカード111に記憶する特殊表示用撮像モードとのいずれかを選択可能である。この選択は、メニューボタン110を操作して液晶ディスプレイ108に設定メニューを表示させ、そのメニュー内にある通常撮像モード、及び特殊表示用撮像モードのいずれかを指定することで行われる。
【0077】
また、液晶ディスプレイ108には、タッチパネル112(
図14参照)が重ねて設けられている。タッチパネル112は、その表面がカメラ本体101の背面とほぼ同一面となるように取り付けられている。タッチパネル112は、指や専用のペンなどで表面が押圧された際に、静電容量の変化などから位置を検出する。
【0078】
このデジタルカメラ2では、液晶ディスプレイ108に表示されるアイコンや画像に合わせて、タッチパネル112の表面を指で押圧したり、押圧した状態のまま指を移動させたりすることにより、撮像機能の設定や、表示する画像の切り替えなどの入力操作を行うことができる。
【0079】
図14に示すように、デジタルカメラ100のシステムコントローラ113は、レリーズボタン105、ズームレバー107、モード選択ダイヤル109、メニューボタン110、タッチパネル112を有する操作部からの制御信号に基づき、各種プログラムやデータを逐次実行して、デジタルカメラ100の各部を統括的に制御する。
【0080】
撮像光学系102には、変倍レンズ114、フォーカスレンズ115及び絞り116などが組み込まれている。変倍レンズ114は、変倍レンズ駆動機構117により駆動され、光軸Lに沿ってワイド端(広角端)とテレ端(望遠端)との間で前後移動される。これにより、撮像光学系102の像倍率が変化する。フォーカスレンズ115は、光軸Lに沿って無限遠に合焦する無限遠位置と至近に合焦する至近位置との間で移動可能である。AF(オートフォーカス)制御時には、フォーカスレンズ駆動機構118により駆動され、合焦位置にセットされる。絞り116は、絞り駆動機構119により駆動され、絞り値(F値)を変更する。これにより、撮像光学系を通過してCCD120に入射する光量が調節される。
【0081】
撮像光学系102の背後には、撮像光学系102を通過した被写体光が結像される撮像面を持ち、この撮像面で受光した被写体光を光電変換するCCD120が配置されている。CCD120は、タイミングジェネレータ(TG)121を介して、システムコントローラ113に接続されている。このCCDは、撮像部の一例である。
【0082】
撮像モードにおいては、システムコントローラ113は、TG121を制御してタイミング信号(クロックパルス)を発生させ、CCD120は、TG121から入力されるタイミング信号(クロックパルス)によって駆動される。CCD120は、TG121から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度が決定される。
【0083】
CCD120から出力された撮像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)122に入力され、CCD120の各セルの蓄積電荷量に対応したR,G,Bの色信号として出力される。この色信号は、AMP(増幅器)123で増幅され、A/D変換器124によって、アナログ信号からデジタルな画像データに変換される。
【0084】
画像入力コントローラ127は、バス126を介してシステムコントローラ113に接続されている。また、バス126には、ストレージ125が接続されており、このストレージ125としては、例えば、SDRAMが用いられる。システムコントローラ113は、画像入力コントローラ127を制御して、A/D変換器124から出力された画像データをストレージ125に記憶させる。バス126には、画像入力コントローラ127及びストレージ125の他に、デジタル信号処理回路128、圧縮伸張処理回路129、液晶ドライバ130、メディアコントローラ131、AE検出回路132、AF検出回路133、YC変換処理回路134が接続されている。
【0085】
デジタル信号処理回路128は、ストレージ125に記憶された画像データにアクセスして、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理等の各種画像処理を施す。また、YC変換処理回路134は、各種画像処理が施された画像データを輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換する。なお、スルー画を表示する場合には、撮像時よりも低解像度の画像データ(奇数フィールドと偶数フィールドの動画像データ)が、ストレージ125に記憶され、この低解像度の画像データに対して前述の信号処理が行われる。その後、システムコントローラ113の指示に従って、ストレージ125から低解像度の画像データが読み出される。この1フィールド分の読み出し中に、次の1フィールド分がストレージ125に書き込まれる。ストレージ125から読み出された画像データは、液晶ドライバ130を介して、スルー画として液晶ディスプレイ108に表示される。
【0086】
AF検出回路133は、画像データの高周波成分を抽出し、この高周波成分を積算する積算回路である。このAF検出回路133は、レリーズボタン105が半押しされたときに、フォーカスレンズ115を光軸方向に移動しながら、ストレージ125に記憶される画像データ中から、高周波成分の積算値であるAF評価値を演算して、このAF評価値をシステムコントローラ113に出力する。また、スルー画の表示中も、AF制御のために、AF検出回路133が所定時間例えば1秒ごとにAF評価値を算出する。
【0087】
システムコントローラ113は、AF検出回路133とともに合焦位置検出部を構成する。システムコントローラ113は、フォーカスレンズ駆動機構118を制御してフォーカスレンズ115を移動させるとともに、フォーカスレンズ115の各位置のAF評価値を逐次取得し、このAF評価値が最大(ピーク)となる位置を判定する判定部として機能する。すなわち、システムコントローラ113は、フォーカスレンズ115の移動中に、AF検出回路133からAF評価値を逐次取得し、AF評価値が最大(ピーク)となるフォーカスレンズ115の位置を合焦位置と判定し、この合焦位置にフォーカスレンズ115をセットする。また、システムコントローラ113は、フォーカスレンズ駆動機構を構成するパルスモータのパルス数をカウントしたパルス数によって、フォーカスレンズ115の位置を検出する。例えば、フォーカスレンズ115を至近位置側に向けて移動させる時にはパルス数を加算し、無限遠位置側に向けて移動させる時にはパルス数を減算する。
【0088】
デジタルカメラ100では、特殊表示用撮像モードが選択されている場合、同一被写体に対して合焦位置、及び前ピン及び後ピンの非合焦位置で撮像を行うため、システムコントローラ113は、上述したようにAF評価値が最大となる合焦位置にフォーカスレンズ115を移動させて撮像処理を実行させた後、パルス数をカウントながら、フォーカスレンズ115を、合焦位置から至近位置側に所定間隔を置いた前ピンの非合焦位置、及び無限遠位置側に所定間隔を置いた後ピンの非合焦位置に移動させて撮像処理をそれぞれ実行させる。
【0089】
なお、AF検出回路133がAF評価値を算出する領域は、画像の全画面範囲でも良いし、自動的に指定される特定領域でも良い。更には、撮影者によりマニュアル指定された領域でもよい。なお、AF評価値を算出するAF評価エリアを特定領域とした場合に、合焦画像及び非合焦位置内の同じAF評価エリアからAF評価値を算出する。
【0090】
デジタルカメラ100のユーザーによってAF評価値の算出領域を指定する場合は、例えば撮像モード下でスルー画が表示されているときに、ユーザーがタッチパネルの任意の位置をタッチすると、ユーザーが接触した位置を含む一定範囲が特定領域として指定される。
【0091】
AE検出回路132は、レリーズボタン105が半押しされた時に、ストレージ125に記憶された画像データに基づいて、被写体輝度を測光する測光回路、及び被写体輝度に応じて露出値が最適となるAE評価値を検出する検出回路などを有し、AE評価値をシステムコントローラ113に出力する。システムコントローラ113は、AE評価値に基づいて露出値(絞り116の絞り値、CCD120の電子シャッタ速度)を設定する。
【0092】
なお、デジタルカメラ100では、特殊表示用撮像モードが選択されている場合に、システムコントローラ113は、非合焦位置で適正なぼけを得るために、絞り値を一定の基準絞り値FK以下にする制御を行う。この基準絞り値FKは、撮像光学系の被写界深度を狭くする値である。本実施形態では、システムコントローラ113は、AE評価値に基づく絞り値FSと基準絞り値FKとを比較して、絞り値FSが基準絞り値FK未満の場合に、AE評価値に基づく絞り値FS及び電子シャッタ速度をそのまま使用する。絞り値FSが基準絞り値FKよりも大きい場合は、基準絞り値FKを絞り値として再設定するとともに、絞り値が小さくなった分、電子シャッタ速度を速い値に再設定する。
【0093】
システムコントローラ113は、ズームレバー107がズーム操作されたときに、変倍レンズ駆動機構117を制御して、変倍レンズ114をテレ端側あるいはワイド端側に移動させる。システムコントローラ113は、変倍レンズ114のズーム位置を検出するズーム位置検出部として機能し、変倍レンズ駆動機構117を構成するパルスモータの駆動パルス数をカウントすることによってズーム位置を検出する。例えば、変倍レンズ114をテレ端に向けて移動させる時にはパルス数を加算し、ワイド端側に向けて移動させる時にはパルス数を減算する。
【0094】
撮像モードでは、レリーズボタン105が、半押しされて1段目のスイッチがONにされると、上述したAE制御及びAF制御等の撮像準備動作が行われる。また、撮像モードでは、通常撮像モード及び特殊表示用撮像モードのどちらかが選択されている。もし、特殊表示用撮像モードが選択されている場合に、レリーズボタン105が半押しされた状態から全押しされると、先ずAF制御によりフォーカスレンズ115が合焦位置にセットされている状態で、かつAE制御によって設定された露出値でCCD120が被写体を撮像して合焦画像を取得する。次に、フォーカスレンズ115が前ピンの非合焦位置に移動し、合焦画像と同じ露出値でCCD120が前ピン画像を取得する。さらに、フォーカスレンズ115が後ピンの非合焦位置に移動し、合焦画像と同じ露出値で後ピン画像を取得する。これらの合焦画像、前ピン画像、後ピン画像は、静止画のフレーム画像であるから、フィールド画のスルー画よりも高解像度である。
【0095】
ストレージ125には、合焦画像P1、前ピン画像P2、及び後ピン画像P3が記憶される。これら画像P1,P2,P3に対して前述の信号処理が施されてから、圧縮伸張処理回路129によって所定の圧縮形式(例えば、JPEG形式)で圧縮される。圧縮処理後に、画像P1,P2,P3は、1つの複合画像ファイルにまとめられ、メディアコントローラ131を介してメモリカード111に記憶される。
【0096】
また、システムコントローラ113はメモリカード111に複合画像ファイルを記憶する際に、AF評価値と、AF評価エリア、露出値、ズーム位置などを付加情報として付加する。
【0097】
また、再生モード時には、メディアコントローラ131を介して画像ファイルがメモリカード111から一旦ストレージ125に読み出される。次に、圧縮伸張処理回路129によって伸張処理が施された後、液晶ドライバ130に出力され、LCDパネル25に再生表示される。
【0098】
また、システムコントローラ113には、バス126を介して表示メモリ135、表示制御部136などが接続されている。これら表示メモリ135及び表示制御部136は、第1実施形態で説明した表示メモリ14及び表示制御部15と同様に機能するため、説明を省略する。
【0099】
再生モードが選択されると、図示しないメモリに格納された静止画表示プログラムが起動する。システムコントローラ113は、画像読出部137、混合画像生成部138、ぼけ判定部139、ぼけ判定値算出部139a、混合比率決定部140、画像位置合わせ部141として機能する。これらは、第1実施形態で説明した画像読出部16、混合画像生成部17、ぼけ判定部18、ぼけ判定値算出部18a、混合比率決定部19、画像位置合わせ部20と同様に機能するため、説明を省略する。
【0100】
次に、
図15に示すフローチャートを用いて、デジタルカメラ100の撮像処理について説明をする。デジタルカメラ100の電源がONにされ、撮像モードが選択されると(S1)、液晶ディスプレイ108にはスルー画が表示され、システムコントローラ113は、特殊表示用撮像モードが選択されているか否かを確認してから、撮像待機状態となる(S2のYES)。
【0101】
特殊表示用撮像モードが選択されていない場合は(S2のNO)、通常撮像モードである(S3)。この通常撮像モード下では、一般的な静止画撮影と同様に、通常画像ファイルがメモリカード111に記憶される(S4)。また、このとき、付加情報として静止画特殊表示オフの情報も記憶される。
【0102】
特殊表示用撮像モードが選択されている場合に、システムコントローラ113は、レリーズボタン105が半押しされているか否かを判定する(S5)。もし、半押しされていないと判定された場合、レリーズボタン105が半押しされるまで撮像待機状態を続行する。この撮像待機状態では、CCD120がスルー画を撮像し、液晶ディスプレイ108に表示する。また、このスルー画の表示中には、AF検出回路133が所定時間毎にAF制御をする。
【0103】
レリーズボタン105が半押しされた場合(S5のYES)、システムコントローラ113は、撮像準備動作を行う。この撮像準備動作では、システムコントローラ113は、先ずAE検出回路132を制御して被写体輝度の測光処理する(S6)。この測光処理は、ストレージ125に記憶された画像データに基づいてAE評価値を算出し、これをシステムコントローラ113に出力する。システムコントローラ113は、このAE評価値に基づいて露出値を算出し、絞り116の絞り値FS、及びCCD120の電子シャッタ速度を決定する(S7)。
【0104】
絞り116の絞り値及びCCD120の電子シャッタ速度の決定後に、システムコントローラ113は、絞り値FSと基準絞り値FKとを比較する(S8)。そして絞り値FSが基準絞り値FK未満の場合は(S8のNO)、絞り値FS及び電子シャッタ速度をそのまま使用する。絞り値FSが基準絞り値FKよりも大きい場合は(S8のYES)、基準絞り値FKを絞り値として再設定し、かつ電子シャッタ速度を速い値に再設定する(S9)。
【0105】
絞り116の絞り値、及びCCD120の電子シャッタ速度が設定されると、この露出設定のもとで、CCD120によって撮像が行われて、ストレージ125に画像データが取り込まれる。この時、システムコントローラ113は、フォーカスレンズ駆動機構118を制御してフォーカスレンズ115を無限遠位置と至近位置との間で移動させながら、AF検出回路133を制御してAF処理を実行させる。AF検出回路133は、ストレージ125に入力される画像データに基づいて、AF評価値をフォーカスレンズ115の位置毎に算出し、このAF評価値をシステムコントローラ113に逐次出力する。システムコントローラ113は、AF検出回路133からAF評価値を逐次取得するとともに、このAF評価値が最大(ピーク)となる合焦位置を検出する(S10)。
【0106】
その後、システムコントローラ113は、レリーズボタン105が全押しされたか否かを判定する(S11)。全押しされていないと判定された場合、全押しされるまで待機状態となる。また、レリーズボタン105が全押しされた場合(S11のYES)、システムコントローラ113は、フォーカスレンズ115が合焦位置にある状態で、AE制御によって設定された露出値でCCD120が被写体光を撮像して合焦画像P1を取得する。また、合焦画像P1を取得したときのAF評価値及びAF評価エリアがストレージ125にいったん格納される(S12)。
【0107】
合焦画像P1、AF評価値及びAF評価エリアが、ストレージ125に格納された後、システムコントローラ113は、至近位置側にフォーカスレンズ115を移動させながら、パルス数をカウントして、前ピンの非合焦位置にフォーカスレンズ115を移動させる(S13)。そして、システムコントローラ113は、フォーカスレンズ115が前ピンの非合焦位置にあり、かつ合焦位置と同じ露出値でCCD120が被写体を撮像して前ピン画像P2を取得する。この前ピン画像P2を取得したときのAF評価値がストレージ125に格納される(S14)。
【0108】
前ピン画像の撮影後に、システムコントローラ113は、無限遠位置側にフォーカスレンズ115を移動させながら、パルス数をカウントして、後ピンの非合焦位置にフォーカスレンズ115を移動させる(S15)。そして、システムコントローラ113は、フォーカスレンズ115が後ピンの非合焦位置にあり、かつ合焦位置と同じ露出値で、CCD120により後ピン画像P3を撮像する。この後ピン画像P3を取得したときのAF評価値は、ストレージ125にいったん格納される(S16)。その後、システムコントローラ113は、デジタル信号処理回路128を制御して、ストレージ125に記憶された合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3に対して各種信号処理を施すとともに、圧縮伸張処理回路129を制御して、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3に対して圧縮処理を施す。
【0109】
システムコントローラ113は、メディアコントローラ131を制御することによって、圧縮処理が施された合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3、これらを取得したときのAF評価値H1,H2,H3、及びAF評価エリアを含む付加情報が、1つの複合画像ファイルにまとめてメモリカード111に書き込まれる(S17)。また、このとき、付加情報として静止画特殊表示オンの情報も記憶される。
【0110】
デジタルカメラ100は、再生モードが選択された場合に、メモリカード111に記憶された複合画像ファイルを読み出して合焦画像及び非合焦画像を混合して複数の混合画像を生成して順次表示する静止画特殊表示、または通常画像ファイルを読み出して1つの合焦画像のみを表示する通常表示を選択的に行う。デジタルカメラ100が再生モード下で画像表示を行うときは、第1実施形態のフローチャートに沿った処理手順と同様に行われる。
【0111】
以上のように、デジタルカメラ100では、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3、及びこれらを取得したときのAF評価値、及びAF評価エリア、静止画特殊表示オンを付加情報とする複合画像ファイルを生成している。この複合画像ファイルを用いて、デジタルカメラ100の液晶ディスプレイ108で静止画特殊表示を行うことができる。また、メモリカード111を介して、デジタルカメラ100とは別体の静止画表示装置10(
図1参照)で静止画特殊表示を行うこともできる。
【0112】
静止画特殊表示に対応していない静止画表示装置の場合には、メモリカード111には合焦画像も記憶しているので、これを読み出すことで、通常の静止画表示を行うことができる。
【0113】
また、デジタルカメラ100では、露出調節を行う際に、絞り値を基準絞り値以下とする制御を行っているため、前ピン及び後ピン画像P2,P3を合焦画像P1に対して適度なぼけ状態にすることが可能となる。これにより、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3から前ピン混合画像、後ピン混合画像を生成する際、ぼけの変化量を小さくして違和感のない混合画像を得ることができるため、ユーザーが見やすい静止画特殊表示を行うことができる。また、ぼけ判定値は、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3内の同じ特定領域から抽出されたAF評価値に基づいて算出されているため、精度良くぼけ判定を行うことができる。
【0114】
なお、第2実施形態では、露出調節を行う際に、絞り値を常に一定の基準絞り値FK以下とする制御を行っているが、例えば、フォーカスレンズ115の位置を検出し、このフォーカスレンズ位置に応じて基準絞り値FKを変化させてもよい。また、変倍レンズ114の位置を検出して、撮像光学系102の像倍率に応じて基準絞り値FKを変化させてもよい。更に、合焦位置から非合焦位置にフォーカスレンズ115を移動する間隔についても一定間隔ではなく、撮像光学系102の像倍率に応じて変化させるようにしてもよい。
【0115】
また、第2実施形態では、複合画像ファイルをメモリカード111に書き込む際に、付加情報として合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3、これらを取得したときのAF評価値H1,H2,H3を保存している。この代わりに、ぼけ判定値H2/H1,H3/H1を予め算出し、ぼけ判定値を付加情報として記憶してもよい。この場合は、静止画特殊表示を行う際に、ぼけ判定値の算出が不要になり、ぼけ判定までの処理を短縮することができる。
【0116】
また、第2実施形態の特殊表示用撮像モード下では、合焦画像P1と、前ピン及び後ピン画像P2,P3と、付加情報とを1つの複合画像ファイルにまとめてメモリカード111に記憶しているが、第1実施形態のように、合焦画像P1と、前ピン画像と後ピン画像の一方と、付加情報とを1つの複合画像ファイルにまとめてメモリカード111に記憶してもよい。
【0117】
第2実施形態では、合焦画像P1と、前ピン及び後ピン画像P2,P3は、画面全体を圧縮処理してメモリカード111に記憶している。静止画特殊表示を行うときは、これら圧縮した合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3を伸張処理して混合画像を生成している。この代わりに、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3内の特定領域を非圧縮画像として記憶し、この非圧縮画像で特定領域を置き換えた画像から混合画像を生成してもよい。
【0118】
図16に示すように、第3実施形態のデジタルカメラ150では、システムコントローラ151が画像切抜き部152として機能する。また、このシステムコントローラ151は、第2実施形態のシステムコントローラ113と同様に、デジタルカメラ150の各部を統括的に制御するとともに、静止画表示プログラムが起動すると、画像読出部137、混合画像生成部138、ぼけ判定部139、ぼけ判定値算出部139a、混合比率決定部140、画像位置合わせ部141として機能する。なお、上記第2実施形態のデジタルカメラ100と同じものには、同じ同符号を付してその説明を省略する。
【0119】
システムコントローラ151は、高解像度の合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3を取得したとき、圧縮処理をしない状態(非圧縮状態)のまま、画像切抜き部152を制御して非圧縮状態の合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3の特定領域を切り抜きコピーする。なお、この場合、合焦画像P1と前ピン及び後ピンP2,P3とは、同じ特定領域の位置が切り抜きコピーされる。本実施形態では、特定領域として、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3を取得した際のAF評価エリアを使用する。
【0120】
システムコントローラ151は、コピーした非圧縮状態の合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3の特定領域を非圧縮画像としてストレージ125に格納させる。画像切抜き部152による切抜きコピーが終了すると、圧縮伸張処理回路129を制御して合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3が所定の形式で圧縮処理される。
【0121】
図17に示すように、システムコントローラ151は、メディアコントローラ131を制御することによって、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3の圧縮画像と、これらの非圧縮画像N1,N2,N3と、これらを取得したときの付加情報153Aを1つの複合画像ファイル153としてメモリカード111に記憶させる。このとき、システムコントローラ151は、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3を取得したときのAF評価エリアを特定領域の位置情報として付加情報に含めてメモリカード111に記憶させる。
【0122】
システムコントローラ151は、メモリカード111から複合画像ファイル153を読み出す場合に、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2、P3の圧縮画像を読み出し、伸張処理するとともに、非圧縮画像N1,N2,N3、及び特定領域の位置情報としてのAF評価エリアの情報を読み出す。
【0123】
図18A〜
図18Cに示すように、システムコントローラ151は、特定領域SAの位置情報に基づき、伸張処理した合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2、P3のフレーム中の特定領域SAを、非圧縮画像N1,N2,N3で置き換える。そして、システムコントローラ151は、これらの特定領域を非圧縮画像N1,N2,N3で置き換えた合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2、P3を、ぼけ判定、混合画像の生成、画像位置合わせ、及び静止画特殊表示に用いる。
【0124】
図19に示すフローチャートを参照して、デジタルカメラ150の撮像処理について説明する。なお、撮像モード開始(S1)から、特殊表示用撮像モード(S2)で撮像を行い、合焦画像P1、前ピン画像P2、後ピン画像P3を取得するまで(S5〜S7)、及び通常撮像モード(S3,S4)は、第2実施形態のデジタルカメラ100と同じ処理手順のため説明を省略する。
【0125】
後ピン画像P3を取得後(S7)、システムコントローラ151は、ストレージ125に記憶された合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3に対して各種信号処理を施す。この後で、システムコントローラ151は画像切抜き部152を制御して、非圧縮状態の合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3のAF評価エリアを部分コピーして非圧縮画像としてストレージ125に保存する(S8)。
【0126】
部分コピーの後、システムコントローラ151は、圧縮伸張処理回路129を制御して、合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3に対して圧縮処理を施す。圧縮処理後に、システムコントローラ151は、メディアコントローラ131を制御することによって、圧縮処理が施された1フレーム分の合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3と、これらの非圧縮画像N1,N2,N3と、これらを取得したときのAF評価エリアを含む付加情報を1つの複合画像ファイル153としてメモリカード111に記憶させる。また、このとき、付加情報として静止画特殊表示オンの情報も記憶する。
【0127】
図20に示すフローチャートを用いて、画像表示について説明する。モード選択ダイヤル109で画像表示操作を行ない、再生モードを選択する(S1)。システムコントローラ151は、画像読出部16に対して読出しを指示する。画像読出部16は、メモリカード111から最初の複合画像ファイル153または通常画像ファイル29を読み出す(S2)。
【0128】
次いでシステムコントローラ151は、付加情報から静止画特殊表示オン/オフの情報を読み出す(S3)。静止画特殊表示オンが記憶されている場合は(S4のYES)、静止画特殊表示を行うため、複合画像ファイル28から合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2、P3の読み出し及び伸張処理を行う(S5)。なお、静止画特殊表示オフが記憶されている場合(S4のNO)は、第1実施形態と同様に通常表示が行われる(S6,S7)。
【0129】
合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2、P3の読み出し及び伸張処理後に(S5)、システムコントローラ151は、非圧縮画像N1,N2,N3の読出しと(S8)、特定領域の位置情報としてのAF評価エリアの情報の読出しをする(S9)。システムコントローラ151は、位置情報に基づき、伸張処理した合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2、P3のフレーム内での特定領域を、非圧縮画像N1,N2,N3で置き換える(S10)。以降は、第1実施形態と同様にぼけ判定を行い、混合画像を生成して(S11)、静止画特殊表示を行う(S12)。
【0130】
以上のように合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3の特定領域が、非圧縮画像で置き換えられているため、特定領域内では圧縮処理により圧縮歪などの劣化が無い。これらから生成された混合画像についても劣化がなく、高精度な混合画像を得ることができる。また、混合画像生成処理の前に画像位置合わせ処理を行う際に、劣化の少ない非圧縮画像で置き換えられた特定領域から特徴点を抽出することができるため、画像位置合わせの精度も向上する。さらにまた、精度の高い位置合わせを行った合焦画像P1、前ピン及び後ピン画像P2,P3から混合画像が生成されるため、静止画特殊表示で混合画像を順次表示させる際、画素単位でのちらつきを抑制し、混合画像がスムーズに変化してユーザーにとって見やすい表示になる。
【0131】
また、第2及び第3実施形態では、AF評価値を検出するAF評価エリアを画像内の特定領域とし、このAF評価エリア内の高周波成分に基づくぼけ判定処理や、画像位置合わせ処理、非圧縮画像の置き換えなどを行っているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、AF評価エリアに関係なく、画面の中央領域でもよく、主要な写体の顔範囲でもよい。主要被写体の顔範囲を特定領域にする場合は、
図21に示すように、デジタルカメラ160に顔検出部161が設けられる。この顔検出部161により、合焦画像から検出した顔範囲を特定領域とし、上述したぼけ判定処理、画像位置合わせ処理、高周波成分の解析、非圧縮画像の置き換えに使用する。
【0132】
上記実施例では、混合比率セットは2種類であるが、ぼけ程度のランクを3段階以上にする場合には、混合比率セットを3種類以上にしてもよい。