特許第5976331号(P5976331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976331
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20160809BHJP
   B24B 7/22 20060101ALI20160809BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B24B49/12
   B24B7/22 Z
   H01L21/304 622R
   H01L21/304 631
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-22411(P2012-22411)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-158880(P2013-158880A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−150528(JP,A)
【文献】 特開平10−146751(JP,A)
【文献】 特開2010−199227(JP,A)
【文献】 特開2009−160705(JP,A)
【文献】 特開平03−239463(JP,A)
【文献】 特開2008−155292(JP,A)
【文献】 特開2011−040637(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0031510(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0022166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00−7/30
B24B21/00−51/00
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に吸引保持されたウエーハを研削する研削ホイールを備えた研削手段と、該研削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な研削送り方向に研削送りする研削送り手段と、該チャックテーブルの保持面に研削前のウエーハを搬入する搬入手段と、を具備する研削装置において、
該搬入手段によって該チャックテーブルに搬入する研削前のウエーハを検出する検出手段と、該検出手段によって検出されたウエーハの種類を判定し、該判定したウエーハの種類に対応した加工条件を選定する制御手段と、を具備しており、
該検出手段は、ウエーハの表面に形成されたデバイスを撮像して画像信号を該制御手段に出力する撮像手段からなり、
該制御手段は、ウエーハの表面に形成されたデバイスの特徴部として設定されたキーパターンの画像信号に基づいてパターンマッチングを実行しウエーハの種類を判定する、
ことを特徴とする研削装置。
【請求項2】
制御手段は、該キーパターンに基づいて設定したウエーハの種類を判定する特徴部判定マップおよびウエーハの種類に対応する加工条件を設定した加工条件マップを格納するメモリを備えており、該検出手段からの画像信号を該特徴部判定マップに設定されたデバイスの特徴部とを照合することによりウエーハの種類を判定し、判定したウエーハの種類に対応した加工条件を該加工条件マップから選定する、請求項1記載の研削装置。
【請求項3】
該搬入手段によって該チャックテーブルに搬入する前の研削前のウエーハを仮置きする仮置き手段を備えており、該検出手段は仮置き手段に仮置きされたウエーハを検出する、請求項1又は2記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等のウエーハを研削する研削装置、更に詳しくは複数の種類のウエーハを適正な加工条件で研削することができる研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、IC、LSI等のデバイスが複数個形成された半導体ウエーハは、個々のチップに分割される前にその裏面を研削装置によって研削して所定の厚さに形成されている。半導体ウエーハの裏面を研削する研削装置は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持されたウエーハを研削する研削手段と、研削前のウエーハを収容したカセットから加工前のウエーハを取り出すとともに加工後のウエーハをカセットに収納する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたウエーハを仮置きする仮置き手段と、該仮置き手段によって中心合わせされたウエーハをチャックテーブルに搬入する搬入手段等を具備している。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−319559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、カセットに種類の異なる複数のウエーハが収容されている場合には、ウエーハの種類に応じてチャックテーブルの回転速度、研削手段を構成する研削ホイールの回転速度、研削手段の研削送り速度の加工条件を変更する必要がある。このようにウエーハの種類に応じて加工条件を変更するには、カセットに収容されるウエーハの種類に順位を設定し、設定された順位に応じて加工条件を自動的に変更するようにしてもよいが、順位を一つ間違えると加工条件が一致しないためウエーハの種類に対応しない加工条件で研削されることになり、多大な損害を生じるという問題がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、種類の異なる複数のウエーハを研削する際にウエーハの種類に対応して適正な加工条件で研削することができる研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ウエーハを吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に吸引保持されたウエーハを研削する研削ホイールを備えた研削手段と、該研削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な研削送り方向に研削送りする研削送り手段と、該チャックテーブルの保持面に研削前のウエーハを搬入する搬入手段と、を具備する研削装置において、
該搬入手段によって該チャックテーブルに搬入する研削前のウエーハを検出する検出手段と、該検出手段によって検出されたウエーハの種類を判定し、該判定したウエーハの種類に対応した加工条件を選定する制御手段と、を具備しており、
該検出手段は、ウエーハの表面に形成されたデバイスを撮像して画像信号を該制御手段に出力する撮像手段からなり、
該制御手段は、ウエーハの表面に形成されたデバイスの特徴部として設定されたキーパターンの画像信号に基づいてパターンマッチングを実行しウエーハの種類を判定する、
ことを特徴とする研削装置が提供される。
【0007】
該制御手段は、該キーパターンに基づいて設定したウエーハの種類を判定する特徴部判定マップおよびウエーハの種類に対応する加工条件を設定した加工条件マップを格納するメモリを備えており、検出手段からの画像信号を特徴部判定マップに設定されたデバイスの特徴部とを照合することによりウエーハの種類を判定し、判定したウエーハの種類に対応した加工条件を加工条件マップから選定する。
上記搬入手段によってチャックテーブルに搬入する前の研削前のウエーハを仮置きする仮置き手段を備えており、検出手段は仮置き手段に仮置きされたウエーハを検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による研削装置においては、搬入手段によってチャックテーブルに搬入する研削前のウエーハを検出する検出手段と、検出手段によって検出されたウエーハの種類を判定し、判定したウエーハの種類に対応した加工条件を選定する制御手段とを具備しているので、種類の異なる複数のウエーハを研削する場合であっても、常にチャックテーブルに保持されて研削されるウエーハの種類に対応した適正な加工条件で粗研削加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に従って構成された研削装置の斜視図。
図2図1に示す研削装置に装備される検出手段としての撮像手段の他の実施形態を示す斜視図。
図3図1に示す研削装置に装備される制御手段のブロック構成図。
図4】被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。
図5図4に示す半導体ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程を示す説明図。
図6図1に示す研削装置に装備される制御手段のメモリに格納される特徴部判定マップの説明図。
図7図1に示す研削装置に装備される制御手段のメモリに格納される加工条件マップの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された研削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0011】
図1には、本発明に従って構成された研削装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における研削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の図1において右上端には、静止支持板21が立設されている。この静止支持板21の内側面には、上下方向に延びる2対の案内レール22、22および23、23が設けられている。一方の案内レール22、22には粗研削手段としての粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール23、23には仕上げ研削手段としての仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に装着されている。
【0012】
粗研削ユニット3は、ユニットハウジング31と、該ユニットハウジング31の下端に回転自在に装着されたホイールマウント32に装着された粗研削ホイール33と、該ユニットハウジング31の上端に装着されホイールマウント32を矢印32aで示す方向に回転せしめるサーボモータ34と、ユニットハウジング31を装着した移動基台35とを具備している。
【0013】
上記移動基台35には被案内レール351、351が設けられており、この被案内レール351、351を上記静止支持板21に設けられた案内レール22、22に移動可能に嵌合することにより、粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における粗研削ユニット3は、上記移動基台35を案内レール22、22に沿って移動させ粗研削ホイール33を研削送りする研削送り手段36を具備している。研削送り手段36は、上記静止支持板21に案内レール22、22と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド361と、該雄ねじロッド361を回転駆動するためのパルスモータ362と、上記移動基台35に装着され雄ねじロッド361と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ362によって雄ねじロッド361を正転および逆転駆動することにより、粗研削ユニット3を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0014】
上記仕上げ研削ユニット4も粗研削ユニット3と同様に構成されており、ユニットハウジング41と、該ユニットハウジング41の下端に回転自在に装着されたホイールマウント42に装着された仕上げ研削ホイール43と、該ユニットハウジング41の上端に装着されホイールマウント42を矢印42aで示す方向に回転せしめるサーボモータ44と、ユニットハウジング41を装着した移動基台45とを具備している。
【0015】
上記移動基台45には被案内レール451、451が設けられており、この被案内レール451、451を上記静止支持板21に設けられた案内レール23、23に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における仕上げ研削ユニット4は、上記移動基台45を案内レール23、23に沿って移動させ仕上げ研削ホイール43を研削送りする研削送り手段46を具備している。研削送り手段46は、上記静止支持板21に案内レール23、23と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド461と、該雄ねじロッド461を回転駆動するためのパルスモータ462と、上記移動基台45に装着され雄ねじロッド461と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ462によって雄ねじロッド461を正転および逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット4を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0016】
図示の実施形態における研削装置は、上記静止支持板21の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル5を具備している。このターンテーブル5は、比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印5aで示す方向に適宜回転せしめられる。ターンテーブル5には、図示の実施形態の場合それぞれ120度の位相角をもって3個のチャックテーブル6が水平面内で回転可能に配置されている。このチャックテーブル6は、円盤状の基台61とポーラスセラミック材によって円盤状に形成された吸着保持チャック62とからなっており、吸着保持チャック62上(保持面)に載置された被加工物を図示しない吸引手段を作動することにより吸引保持する。このように構成されたチャックテーブル6は、図1に示すように図示しないサーボモータ60によって矢印6aで示す方向に回転せしめられる。ターンテーブル5に配設された3個のチャックテーブル6は、ターンテーブル5が適宜回転することにより被加工物搬入・搬出域A、粗研削加工域B、および仕上げ研削加工域Cおよび被加工物搬入・搬出域Aに順次移動せしめられる。
【0017】
上記装置ハウジング2の手前側には、第1のカセット載置部11aと、第2のカセット載置部12aと、仮置き部13aと、洗浄部14aが設けられている。第1のカセット載置部11aには研削前のウエーハを収容する第1のカセット11が載置され、第2のカセット載置部12aには研削後のウエーハを収容する第2のカセット12が載置されるようになっている。上記仮置き部13aには、第1のカセット載置部11aに載置された第1のカセット11から搬出された研削前のウエーハを仮置きする仮置き手段13が配設されている。また、洗浄部14aには、研削後のウエーハを洗浄する洗浄手段14が配設されている。
【0018】
上記第1のカセット載置部11aと第2のカセット載置部12aとの間には搬送手段15が配設されており、この搬送手段15は第1のカセット載置部11aに載置された第1のカセット11内に収納された研削前のウエーハを仮置き手段13に搬出するとともに洗浄手段14で洗浄された研削後のウエーハを第2のカセット載置部12aに載置された第2のカセット12に搬送する。上記仮置き部13aと被加工物搬入・搬出域Aとの間には搬入手段16が配設されており、この搬入手段16は仮置き手段13に載置された研削前のウエーハを被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に搬送する。上記被加工物搬入・搬出域Aと洗浄部14aとの間には搬出手段17が配設されており、この搬出手段17は被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置されている研削後のウエーハを洗浄手段14に搬送する。
【0019】
図示の研削装置は、粗研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cにそれぞれ隣接して配設されチャックテーブル6に保持された被加工物の厚みを検出するための厚み計測手段18aおよび18bを備えている。この厚み計測手段18aおよび18bは、チャックテーブルに保持され粗研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cにおいて研削される被加工物の厚みを計測して計測信号を後述する制御手段に送る。
【0020】
また、図示の実施形態における研削装置は、上記搬入手段16によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6に搬入されるウエーハを検出する検出手段としての撮像手段7を備えている。この撮像手段7はCCDカメラからなり、搬入手段16による搬送経路に配設されており、後述するウエーハの表面に形成されたデバイスを撮像して画像信号を後述する制御手段に出力する。
【0021】
次に、ウエーハを検出する検出手段としての撮像手段の他の実施形態について、図2を参照して説明する。
図2に示す撮像手段70は、上記仮置き部13aに配設された仮置き手段13の上方に配設されている。この撮像手段70は赤外線カメラで構成され、仮置き手段13に載置されたウエーハの裏面から透過して表面に形成されたデバイスを撮像して画像信号を後述する制御手段に出力する。
【0022】
図示の研削装置は、図3に示す制御手段8を具備している。制御手段8は、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)81と、制御プログラム等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)82と、演算結果等を記憶する記憶手段としての読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)83と、入力インターフェース84および出力インターフェース85を備えている。このように構成された制御手段8の入力インターフェース84には、上記の厚み計測手段18aおよび18b、上記撮像手段7および/または撮像手段70からの画像信号が入力される。また、出力インターフェース85からは、上記粗研削ユニット3のサーボモータ34および仕上げ研削ユニット4のサーボモータ44、上記研削送り手段36のパルスモータ362および研削送り手段46のパルスモータ462、上記チャックテーブル6を回転駆動するサーボモータ60、仮置き手段13、洗浄手段14、搬送手段15、搬入手段16、搬出手段17等に制御信号を出力する。
【0023】
図示の実施形態における研削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
ここで、被加工物としてのウエーハについて説明する。図4にはウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図4に示す半導体ウエーハ10は、シリコンウエーハからなり、表面10aに格子状に形成されたストリート101と102によって区画された複数の領域にデバイス103が形成されている。このように構成された半導体ウエーハ10は複数種類製造されるが、それぞれ適正な加工条件が設定されている。従って、研削装置によって研削加工する際には、ウエーハの種類を検出し、ウエーハの種類に対応した加工条件を設定する必要がある。ウエーハの種類を見分けるために図示の実施形態においてはデバイス103を形成する回路等の特徴部をキーパターンとして設定した。例えば、図示の実施形態においては第1の半導体ウエーハ10A、第2の半導体ウエーハ10B、第3の半導体ウエーハ10C、第4の半導体ウエーハ10D、第5の半導体ウエーハ10Eは、それぞれ図6に示すようにキーパターンが設定されている。この第1の半導体ウエーハ10A、第2の半導体ウエーハ10B、第3の半導体ウエーハ10C、第4の半導体ウエーハ10D、第5の半導体ウエーハ10Eと特徴部であるキーパターンとの対応を示す特徴部判定マップは、制御手段8のランダムアクセスメモリ(RAM)83に格納される。
【0024】
また、上記第1の半導体ウエーハ10A、第2の半導体ウエーハ10B、第3の半導体ウエーハ10C、第4の半導体ウエーハ10D、第5の半導体ウエーハ10Eに対しては、それぞれ加工条件が設定されている。加工条件としては、図示の実施形態においてはチャックテーブルの回転速度、研削ホイールの回転速度、研削送り速度、ウエーハの厚みが設定されている。このような加工条件は各ウエーハ毎に粗研削加工と仕上げ研削加工に分けて設定され、図7に示すように加工条件マップが作成される。このようにして作成された加工条件マップは、制御手段8のランダムアクセスメモリ(RAM)83に格納される。
【0025】
次に、上述した研削装置によって上記半導体ウエーハ10を研削する手順について説明する。
先ず、図5の(a)および(b)に示すように半導体ウエーハ10の表面にデバイス103を保護するための保護テープTを貼着する(保護テープ貼着工程)。この保護テープTは、図示の実施形態においては透明な合成樹脂シートの表面に透明な粘着剤が塗布されたテープが用いられている。このようにして表面に保護テープTが貼着された半導体ウエーハ10は、上記第1のカセット11に裏面を上側にして複数枚収容される。第1のカセット11に収容される複数枚の半導体ウエーハ10には、種類の異なる上記第1の半導体ウエーハ10A、第2の半導体ウエーハ10B、第3の半導体ウエーハ10C、第4の半導体ウエーハ10D、第5の半導体ウエーハ10Eが混在されている場合がある。
【0026】
上述したように第1のカセット11に収容された研削前の半導体ウエーハ10は搬送手段15の上下動作および進退動作により仮置き手段13に搬送され、ここで中心合わせされる。次に、搬入手段16を作動して仮置き手段13において中心合わせされた半導体ウエーハ10を被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置する。このようにして、搬入手段16によって仮置き手段13において中心合わせされた半導体ウエーハ10を被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6に搬送する際に、搬入手段16による搬送経路に配設された撮像手段7を作動して半導体ウエーハ10の表面に形成されたデバイス103を撮像する(ウエーハ撮像工程)。即ち、搬入手段16は半導体ウエーハ10の上面(裏面)を吸引保持して搬送するため、半導体ウエーハ10の表面に貼着された保護テープT側が搬入手段16による搬送経路に配設された撮像手段7と対面して通過する。従って、撮像手段7は透明体からなる保護テープTを通して半導体ウエーハ10の表面に形成されたデバイス103を撮像することができる。このようにして半導体ウエーハ10の表面に形成されたデバイス103を撮像した撮像手段7は、画像信号を制御手段8に送る。制御手段8は、撮像手段7から送られた画像信号と上記図6に示す特徴部判定マップに基づいてパターンマッチングを実行し、撮像手段7によって撮像された半導体ウエーハ10の種類を判定する(ウエーハ判定工程)。そして、制御手段8は、判定した半導体ウエーハ10の種類に対応する加工条件を上記図7に示す加工条件マップから選定する(加工条件選定工程)。
【0027】
一方、上述したように被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置された半導体ウエーハ10は、図示しない吸引手段を作動することにより保護テープTを介してチャックテーブル6上に吸引保持される。従って、チャックテーブル6上に保護テープTを介して吸引保持された半導体ウエーハ10は、裏面が上側となる。次に、図示しない回動駆動機構によってターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル6を粗研削加工域Bに位置付ける。
【0028】
半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル6が粗研削加工域Bに位置付けられると、制御手段8は上記加工条件選定工程によって選定された加工条件に基づいて粗研削加工を実施する。例えば、上記ウエーハ判定工程において半導体ウエーハ10の種類が第1の半導体ウエーハ10Aである場合には、上記加工条件選定工程において粗研削加工の加工条件として、チャックテーブルの回転速度が300rpm、研削ホイールの回転速度が4000rpm、研削送り速度が0.5μm/秒、ウエーハの厚みが105μmに選定されている。従って、制御手段8は上述したように選定された加工条件に従って、チャックテーブル6を回転するサーボモータ60、粗研削ユニット3のサーボモータ34、研削送り手段36のパルスモータ362の回転速度を制御するとともに、厚み計測手段18aからの検出信号に基づいて研削送り手段36の研削送り量を制御する。この結果、チャックテーブル6に保持された半導体ウエーハ10は、ウエーハの種類に対応した適正な加工条件で粗研削加工される。
【0029】
なお、この間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6上には、上述したように研削前の半導体ウエーハ10が載置される。そして、チャックテーブル6上に載置された半導体ウエーハ10は、図示しない吸引手段を作動することによりチャックテーブル6上に吸引保持される。なお、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6上に研削前の半導体ウエーハ10を載置する際に、制御手段8は上記ウエーハ撮像工程を実施するとともに、上記ウエーハ判定工程および加工条件選定工程を実施し、次に加工する半導体ウエーハ10の種類を判定するとともに加工条件を選定する。
【0030】
次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、粗研削加工された半導体ウエーハ10を保持しているチャックテーブル6を仕上げ研削加工域Cに位置付け、研削前の半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6を粗研削加工域Bに位置付ける。
【0031】
このようにして、粗研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル6上に保持された研削前の半導体ウエーハ10の裏面(上面)には粗研削ユニット3によって粗研削加工が施され、仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル6上に保持され粗研削された半導体ウエーハ10の裏面(上面)には仕上げ研削ユニット4によって仕上げ研削加工が施される。このとき、制御手段8は仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル6上に保持され粗研削された半導体ウエーハ10には前回の加工条件選定工程において選定した仕上げ研削加工条件に基づいて仕上げ研削加工を実施し、粗研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル6上に保持された研削前の半導体ウエーハ10には今回の加工条件選定工程において選定した粗研削加工条件に基づいて粗研削加工を実施する。
【0032】
この間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6上には、上述したように研削前の半導体ウエーハ10が載置される。そして、チャックテーブル6上に載置された半導体ウエーハ10は、図示しない吸引手段を作動することによりチャックテーブル6上に吸引保持される。なお、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6上に研削前の半導体ウエーハ10を載置する際に、制御手段8は上記ウエーハ撮像工程を実施するとともに、上記ウエーハ判定工程および加工条件選定工程を実施し、次に加工する半導体ウエーハ10の種類を判定するとともに加工条件を選定する。
【0033】
次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、仕上げ研削加工された半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6を被加工物搬入・搬出域Aに位置付ける。なお、粗研削加工域Bにおいて粗研削加工された半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6は仕上げ研削加工域Cに、被加工物搬入・搬出域Aにおいて研削前の半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6は粗研削加工域Bにそれぞれ移動せしめられる。このようにして、粗研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル6上に保持された研削前の半導体ウエーハ10の裏面(上面)には粗研削ユニット3によって上述したように選定された粗研削加工条件に基づいて粗研削加工が施され、仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル6上に保持され粗研削された半導体ウエーハ10の裏面(上面)には仕上げ研削ユニット4によって上述したように選定された仕上げ研削加工条件に基づいて仕上げ研削加工が施される。
【0034】
一方、粗研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cを経由して被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル6は、ここで仕上げ研削された半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、搬出手段17を作動して、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6に載置されている研削後の半導体ウエーハ10を洗浄手段14に搬送する。洗浄手段14に搬送された半導体ウエーハ10は、ここで研削屑が洗浄除去されるとともに、スピン乾燥される。このようにして洗浄およびスピン乾燥された半導体ウエーハ10は、搬送手段15によって第2のカセット12に搬送され収納される。
【0035】
次に、半導体ウエーハ10の表面に貼着された保護テープTが透明でない部材によって形成されている場合についてのウエーハ撮像工程について説明する。このように保護テープTが透明でない部材によって形成されている場合には、保護テープTを通して半導体ウエーハ10の表面に形成されたデバイス103を撮像することができないので、上記図2に示すように仮置き手段13の上方に配設された赤外線カメラで構成された撮像手段70を用いる。即ち、赤外線カメラで構成された撮像手段70は、仮置き手段13に載置された半導体ウエーハ10(上述したように裏面を上側にして載置される)の裏面から透過して表面に形成されたデバイス103を撮像して画像信号を制御手段8に出力する。このように、撮像手段70は赤外線カメラで構成されているので、保護テープTが透明でない部材によって形成されている場合であっても半導体ウエーハ10の裏面から透過して表面に形成されたデバイス103を撮像することができる。なお、赤外線カメラで構成された撮像手段70を用いれば、保護テープTの材質に関係なく半導体ウエーハ10を裏面から透過して表面に形成されたデバイス103を撮像することができる。
【符号の説明】
【0036】
2:装置ハウジング
3:粗研削ユニット
33:粗研削ホイール
36:研削送り手段
4:仕上げ研削ユニット
43:仕上げ研削ホイール
46:研削送り手段
5:ターンテーブル
6:チャックテーブル
7:撮像手段
8:制御手段
10:半導体ウエーハ
11:第1のカセット
12:第2のカセット
13:仮置き手段
14:洗浄手段
15:搬送手段
16:搬入手段
17:搬出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7