(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記互いに干渉し合う部分ビームの少なくとも1対を、前記検出ユニット(20;120;220;320;420)においてそれぞれ重ね合わせ、及び少なくとも2つの部分ビームへ分割し、この分割された部分ビームを前記検出ユニット(20;120;220;320;420)から前記信号ユニット(30;130;230;330;430)方向へ自由ビームとして照射するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。
前記光源(131;231;331;431)から前記検出ユニット(20;120;220;320;420)へ照射される自由ビームが前記検出ユニット(20;120;220;320;420)を屈折することなく前記測定尺(10;110;210;310;410)方向へ通過するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。
前記検出ユニット(420)を更に1つの分割要素(426)を含んで構成するとともに、前記信号ユニット(430)を2つの検出装置を含んで構成し、前記光源(431)から入射するビームを前記分割要素(426)によって分割して2つの非対称な検出光路を形成し、前記両検出装置によって検出信号を検出可能とし、これにより少なくとも前記検出ユニット(420)の水平変位方向及び垂直変位方向の前記測定尺(410)に対する位置検出を同時に行えるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。
前記検出ユニット(220;320;420)における前記再帰反射器(221;321;421)をレンズ−ミラー−再帰反射器として形成するとともに、前記検出ユニット(220;320;420)を透明かつ水平な載置部を含んで構成し、該載置部における前記測定尺(210;310;410)と対向する側に少なくとも第1レンズ部材(222.1,222.2;322.1,322.2;422.1a,422.2a,422.1b,422.2b)及び第2レンズ部材(222.3,222.4;322.3,322.4;422.3a,422.4a,422.3b,422.4b)を配置し、前記載置部における前記測定尺(210;310;410)とは逆側には少なくとも1つの反射器要素(221.1,221.2;321.1,321.2,421.1,421.2)を配置したことを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。
前記光源及び/又は前記光電式検出要素を、前記信号ユニットの外部へ配置するとともに光ファイバによって前記信号ユニットへ接続したことを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。
前記精密位置決めテーブル(29)又は前記粗位置決めテーブル(39)により変位する前記検出ユニット(20)及び前記信号ユニット(30)のうち、前記信号ユニット(30)にのみケーブルコネクタを介して後置の固定された構成要素を接続したことを特徴とする請求項12記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、位置測定装置における可動部材をできる限り他の部材と機械的に接続せずに成る高精度の位置測定装置を提供することにある。また、更なる目的は、サイズダウンを図るとともに、位置測定装置における各構成部材の変形の影響をできる限り受けないようにすることにもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の特徴を有する位置測定装置によって達成される。また、本発明による位置測定装置の好ましい実施の形態は、従属請求項に記載されている。さらに、本発明による位置測定装置を備えた装置は、請求項15の対象となっている。
【0008】
本発明によれば、信号ユニットと検出ユニットの間に設けられた光学要素を介して屈折させることなく、及び/又は導光部材を介した信号伝達を行うことなく、信号ユニットと検出ユニットの間のビームを両方向に自由ビームとして照射することが可能である。ここで、検出ユニット及び信号ユニットは、それぞれ互いに平行な平面内に配置されており、これら両ユニットの間における自由ビームの拡がり方向は、検出ユニット及び信号ユニットの上記平面に対して垂直に配向されている。
【0009】
本発明による位置測定装置は、反射式の測定
尺と、少なくとも1つの再帰反射器を有する検出ユニットと、少なくとも1つの光源と少なくとも1つの検出装置を有する信号ユニットとを備えて構成されている。ここで、前記検出ユニットと前記信号ユニットを構造的に分離されたユニットとして形成し、前記検出ユニットを前記測定
尺に対して少なくとも1つの測定方向に沿って変位可能に配置している。また、前記光源から照射される少なくとも1つのビームを自由ビームとして前記信号ユニットから前記検出ユニットの方向へ照射し、互いに干渉し合う少なくとも1対の部分ビームを前記検出ユニットから前記信号ユニットの方向へ自由ビームとして照射するようにしている。また、前記検出ユニット及び前記信号ユニットを互いに平行な平面内に配置している。さらに、前記信号ユニットと前記検出ユニットの間における前記自由ビームの少なくとも一部の拡がり方向を前記平面に対して垂直に配向するよう構成している。
【0010】
特に、前記検出ユニット及び前記信号ユニットが配置された前記平面を前記測定
尺に対して平行に配置するのが好ましい。
【0011】
また、前記信号ユニットにおける検出装置を、複数の光電式検知部材を含んで構成し、前記信号ユニットにおける少なくとも1つのレンズをこれら光電式検知部材の手前に配置し、前記光電式検知部材方向へ照射される自由ビームを前記レンズによって前記光電式検知部材へ焦点合わせするよう構成することが考えられる。
【0012】
また、前記互いに干渉し合う部分ビームの少なくとも1対を、それぞれ互いに直角な偏光を伴いつつ同一線上で前記検出ユニットから前記信号ユニットへ照射するよう構成してもよい。
【0013】
また、前記互いに干渉し合う部分ビームの少なくとも1対を、前記検出ユニットにおいてそれぞれ重ね合わせ、及び少なくとも2つの部分ビームへ分割し、この分割された部分ビームを前記検出ユニットから前記信号ユニット方向へ自由ビームとして照射するよう構成するのが好ましい。
【0014】
また、本発明の一実施形態は、前記光源から前記検出ユニットへ照射される自由ビームが前記検出ユニットを屈折することなく前記測定
尺方向へ通過するよう構成したことを特徴としている。
【0015】
また、前記検出ユニットを更に1つの分割要素を含んで構成するとともに、前記信号ユニットを2つの検出装置を含んで構成し、前記光源から入射するビームを前記分割要素によって分割して2つの非対称な検出光路を形成し、前記両検出装置によって検出信号を検出可能とし、これにより少なくとも前記検出ユニット水平方向及び垂直方向の前記測定
尺に対する位置検出を同時に行えるよう構成することも考えられる。
【0016】
また、前記検出ユニットにおける前記再帰反射器をレンズ−ミラー−再帰反射器として形成するとともに、前記検出ユニットを透明かつ水平な載置部を含んで構成し、該載置部における前記測定
尺と対向する側に第1レンズ部材及び第2レンズ部材を配置し、前記載置部における前記測定
尺とは逆側には少なくとも1つ
の反射器要素を配置することが可能である。
【0017】
また、このとき、前記第1レンズ部材及び前記第2レンズ部材を、前記載置部に設けられた回折レンズとして形成することが考えられる。
【0018】
さらに、前
記反射器要素を前記載置部に設けられた反射層として形成するとともに、該反射層の反射面側を前記第1レンズ部材及び前記第2レンズ部材の方向へ配向することも可能である。
【0019】
また、前記第1レンズ部材により、通過する部分ビームをその通過時に屈折させるとともに前
記反射器要素で少なくとも部分的に焦点合わせされるように構成し、前記第2レンズ部材により、通過する部分ビームをその通過時に屈折させるとともに少なくとも部分的にコリメートさせるよう構成することが考えられる。
【0020】
また、前記第1レンズ部材及び前記第2レンズ部材を、これら第1レンズ部材及び第2レンズ部材と前
記反射器要素の間の光学距離に相当する焦点距離を有するよう構成することが可能である。
【0021】
また、前記検出ユニットにおける前記再帰反射器を屋根型プリズムとして形成するとともに、そのルーフエッジを測定方向へ配向させてもよい。
【0022】
前記光源及び/又は前記光電式検出要素を、前記信号ユニットの外部へ配置するとともに光ファイバによって前記信号ユニットへ接続することも考えられる。
【0023】
さらに、本発明による位置測定装置を有する装置において、前記測定
尺を固定して設け、前記検出ユニットを精密位置決めテーブル上に配置するとともに、該精密位置決めテーブルにより前記検出ユニットを前記測定
尺に対して少なくとも測定方向へ位置決めするよう構成し、前記信号ユニットを粗位置決めテーブル上に配置するとともに、該粗位置決めテーブルにより前記信号ユニットを前記測定
尺に対して少なくとも測定方向へ位置決めするよう構成することが考えられる。
【0024】
ここで、前記精密位置決めテーブル又は前記粗位置決めテーブルにより変位する前記検出ユニット及び前記信号ユニットのうち、前記信号ユニットにのみケーブルコネクタを介して後置の固定された構成要素を接続するのが好ましい。
【0025】
さらに、前記測定
尺を前記精密位置決めテーブルの上方に配置するとともに、該精密位置決めテーブルを前記粗位置決めテーブルの上方に配置してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、導光部材を介した検出ユニットの信号ユニットへの接続を省略することが可能である。このようにして、可動の検出ユニットへの外力をほぼ完全に最小化することが可能である。また、検出ユニットと信号ユニットの間の選択され、特にミラー等による検出ユニットと関係した屈折を必要としない自由ビームの光路によって、自由ビームの最小の光路長が得られる。これにより、検出ユニット及び測定
尺の変形時に生じ得る誤差を最小化することも可能である。
【0027】
さらに、検出ユニットのサイズダウンも可能である。自由ビームの強固な、あるいは外力の影響を受けにくい伝達のために検出ユニット側に適当な大きさの入射面及び射出面が必要であるため、これら入射面及び射出面を、高い精度が必要とされる場合に拡張される必要がある測定
尺上の検出面に対して平行となるようにするのが好ましい。そのため、検出ユニットの検出面に対する更なるサイズアップを回避することが可能である。
【0028】
また、例えば緊急時における迅速な停止時にも、検出面に対して平行に、短時間に検出ユニットの大きな横方向の変位を生じさせることが可能である。本発明による位置測定装置の構成部材はこの変位方向に対して平行に配置されているため、これら構成部材同士の接触及びこれに伴うこれら構成部材の損傷を防止することが可能である。
【0029】
本発明の他の効果については、図面を参照しつつ以下の実施の形態において説明する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0032】
図1には本発明による位置検出装置が内部に配置された装置の概要が示されており、この装置は、例えば半導体製造装置が考えられる。また、このような装置は、機械構成部材2を有するフレーム1を備えて構成されている。ここで、この機械構成部材2として、例えば顕微鏡又はリソグラフィ対物レンズの形態の部材が考えられる。
【0033】
また、固定されたフレーム1あるいは機械構成部材2に対して少なくともx方向に変位するよう配置された粗位置決めテーブル39と、該粗位置決めテーブル39上に配置された精密位置決めテーブル29が設けられている。この精密位置決めテーブル29上には対象物28が配置されており、この対象物28は、固定された機械構成部材2に対して正確に位置決めされる必要がある。ここで、対象物28の粗位置決めは粗位置決めテーブル39によってなされ、同精密位置決め(最終位置決め)は精密位置決めテーブル29によってなされるようになっている。なお、粗位置決めテーブル39及び精密位置決めテーブル29の積層状の配置は、見やすさの観点から
図1において不図示のリニアアクチュエータによってなされる。
【0034】
固定された機械構成部材2には本発明の位置測定装置における反射式の測定
尺10が固定されており、該測定
尺10の検出面は、精密位置決めテーブル29へ配向されている。また、測定
尺10は、互いに異なる光学的な反射特性を有する複数の分割領域のx方向又はx方向及びy方向へ周期的な配置で構成されている。例えば、測定
尺10を一次元又は二次元の照射位相部分(Auflicht−Phasenteilung)として形成することが考えられる。
【0035】
以下では、分かりやすさの観点から、測定方向xの一次元の測定
尺10を用いて説明する。この測定
尺10により、機械構成部材2に対する対象物28の測定方向xへの相対変位が検出可能となっている。なお、x方向への測定に加えて、これに直角なy方向へそ位置測定が必要な場合には、測定
尺10を二次元の格子状に形成することも当然可能である。
【0036】
測定
尺10の下方に配置された精密位置決めテーブル29には本発明による位置測定装置の検出ユニット20が配置されており、この検出ユニット20は、少なくとも1つの再帰反射器を含んで構成されている。また、精密位置決めテーブル29の下方には粗位置決めテーブル39が本発明による位置測定装置の信号ユニット30と共に配置されており、この粗位置決めテーブル39は、少なくとも1つの光源と検知装置を備えている。なお、検出ユニット29と信号ユニット30は
図1において非常に簡略化されて示されており、これらに関する詳しい説明については他の図面を参照しつつ後述する。
【0037】
しかして、
図1に示すように、本発明による位置測定装置における可動ユニット、すなわち検出ユニット20及び信号ユニット30のうち粗位置決めテーブル39に配置された信号ユニット30のみが後置の固定された装置の構成部材すなわちフレーム1又はこのフレーム1に結合された機械構成部材にケーブルコネクタ40.1,40.2を介して接続されている。したがって、精密位置決めテーブル29に配置された検出ユニット20にはいかなるケーブルコネクタも、これに伴い必要となる機械的な結合部材も配置されていない。
【0038】
また、ケーブルコネクタ40.1,40.2を介して信号ユニット30への給電及び/又は本発明による位置測定装置によって生成される位置に応じた検出信号の後置された解析ユニット(不図示)への供給がなされるようになっている。なお、この解析ユニットは、検出信号に基づいて対象物28の正確な位置決めを装置内で制御するものである。
【0039】
<実施の形態1>
図1に示す装置内で使用される本発明による位置測定装置の第1の実施の形態を
図2a〜
図2cに基づいて説明する。ここで、
図2a,
図2bがx−z平面内における部分的な検出光路を示している一方、
図2cはy−z平面内における部分的な検出光路を示している。
【0040】
図2aには信号ユニット130における光源131から検出ユニット120内の再帰反射器121に至る検出光路が示されており、
図2bには検出ユニット120内の再帰反射器121から検知装置における光電式検知部材134.1〜134.3に至る検出光路が示されている。
【0041】
まず、本発明による光学的な位置測定装置の第1の実施の形態における検出光路について
図2a〜
図2cに基づいて説明する。
【0042】
例えばレーザダイオードである光源131から発出された線形に偏光されたビームは、コリメータレンズ132によってコリメートされる。すなわち、前記ビームは、平行なビームへ調整される。ここで、光源131及びコリメータレンズ132は信号ユニット130内に配置されている。コリメートされたビームは、自由ビーム(Freistrahl)として、屈折せずに信号ユニット130から、構造上分離された検出ユニット120を測定
尺110方向へ通過する。そして、このビームは、第1回目として第1照射箇所P1において測定
尺110へ照射される(至る)。この第1回目のビームの測定
尺110への照射において、入射してきたビームの2つの部分ビームへの分割がなされ、これら2つの部分ビームは、それぞれ+1及び−1の回折等級(Beugungsordnung)として検出ユニット120方向へ反射される。
【0043】
そして、この反射された部分ビームは、検出ユニット120において、まず、検出プレート123上に配置された透過性の検出格子122.1,122.2を通過する。そして、両部分ビームは、この検出格子122.1,122.2により互いに平行にされ、再帰反射器121へ至る。この再帰反射器121は、本実施の形態においては、例えば屋根型プリズムの形態の屈折要素として形成されており、そのルーフエッジ(Dachkante)は測定方向xへ配向されている。この再帰反射器121によって、部分ビームは互いにy方向へずらされるとともに再び入射方向へ反射される。そして、これら部分ビームは、検出プレート123における検出格子122.1,122.2に新たに照射される。屋根型プリズムは、そのルーフエッジの測定方向x及びy方向への設定により、再帰反射器としての機能を果たすものである。
【0044】
そして、両部分ビームは、検出格子122.1,122.2によりシステム全体の光軸方向へ屈折され、測定
尺110における第2照射箇所P2に照射される。ここで、例えば
図2cに示すように、第2照射箇所P2は、第1照射箇所P1に対してy方向にずらされている。また、各部分ビームは、測定
尺110において第2回目として照射される前に、検出ユニット120においてλ/4板の形態の偏光部材123.1,123.2を通過する。そのため、一方の部分ビームが左円偏光され、他方の部分ビームが右円偏光される。
【0045】
測定
尺110における第2照射箇所P2においてここに照射される各部分ビームが重なり合い、これら部分ビームは、干渉し合う対としてz方向へ検出ユニット120に向けて反射される。互いに干渉し合う部分ビームの対は、屈折することなく検出ユニット120を通過し、自由ビームとして検出ユニット120から信号ユニット130へ至る。本実施の形態においては、互いに干渉し合う部分ビームの少なくとも1つの対が、両部分ビームの互いに直角な円偏光を伴って同一線上で検出ユニット120から信号ユニット130へ至る。
【0046】
信号ユニット130においては、互いに干渉し合う部分ビームの対がまず透過性の分割格子131へ照射されてここで3つの更なる部分ビームへ分割される。ここで、この3つの部分ビームは互いに異なる方向へレンズ135に向けて進み、このレンズ135によって、これら部分ビームの後置の光電式検知部材134.1〜134.4への焦点合わせ(フォーカス)がなされる。そして、3つの部分ビームは、レンズ135を通過した後、それぞれ光電式検知部材134.1〜134.3へ至る前に対応する偏光器133.1〜133.3を通過する。光電式検知部材134.1〜134.3においては、測定
尺110と検出ユニット120/信号ユニット130の相対変位が生じる際には、互いに120°ずつ位相のずれた3つの検出信号が生成され、この検出信号は、解析ユニットにおいて処理される。
【0047】
本発明にとって重要なのは上述の実施の形態において説明したような信号生成に基づく検出光路ではなく、位置測定装置における様々な構成要素の様々なユニットあるいは検出ユニット120及び信号ユニット130での配置又はこれらユニットの相対的な配置である。
【0048】
光源131から発出されるビームが往路において測定
尺110における第1照射箇所P1へ自由ビームとして信号ユニット130から検出ユニット120の方向へ通過し、第2照射箇所P2から検出装置への復路においては、互いに干渉し合う部分ビームが自由ビームとして検出ユニット120から信号ユニット130方向へ通過する。
【0049】
また、信号ユニット130と検出ユニット120の間の光軸に平行な自由ビームにより、検出信号を阻害することなくz方向に大きな取付公差(Montagetoleranz)及び動作許容差(Betriebstoleranz)を許容することができる。そのため、アクチュエータによって
図1における精密位置決めテーブル29を粗位置決めテーブル39に対してz方向に調整できるようにすることが特に重要である。しかし、このとき生じる信号ユニット130と検出ユニット120のx方向及びy方向の変位(差)により光路差が生じてしまう。そこで、光電式検知部材134.1〜134.3の手前の適当な大きさのレンズ135により、互いに干渉し合う両部分ビームが常に完全に光電式検知部材134.1〜134.3に焦点合わせされるようになっている。焦点箇所は上述の光路差の影響を受けないため、レンズ135を介した焦点合わせにより、小さく、かつ、迅速な光電式検知部材134.1〜134.3を用いることが可能となる。
【0050】
さらに、本発明においては、検出ユニット120と信号ユニット130が互いに平行な平面内に配置されているとともに、前述の第1の実施の形態においては、これら平面が更に測定
尺110の面とも平行となっている。ここでは、検出ユニット120と信号ユニット130の間での自由ビームの少なくとも一部の拡がり方向がそれぞれ上記平面に対して垂直となっている。
【0051】
後述の実施の形態による他の検出光路との関係においても使用することが可能なこのような手段により、上述したとおり、検出ユニットへ作用するの外力の最小化、抗変形性、サイズダウンなどの本発明による位置測定装置の利点を得ることが可能である。
【0052】
図2a〜
図2cに示すように、信号ユニット130のケーブルコネクタ140.1,140.2による固定された機械構成部材との接続のみで足りる。そして、ケーブルコネクタ140.1によって光源131に給電がなされ、ケーブルコネクタ140.2によって検出信号を後置の固定された解析ユニットにおける光電式検知部材134.1〜134.3へ供給されることになる。これに対して、可動の検出ユニット120は固定された機械構成部材から完全に機械的に分離されている。
【0053】
特に、検出ユニット120と信号ユニット130の様々な設置平面を選択すること、及びこれらのユニットの間のそれぞれの光学要素を省略することが最小の光路を得るのに重要である。これにより、検出ユニット120及び/又は信号ユニット130の測定
尺110に対する変形時のモーメント(Hebelarme)が最小化され、信号エラーも低減することが可能である。
【0054】
<実施の形態2>
本発明による位置測定装置の第2の実施の形態を
図3a〜
図3cに基づいて説明する。各部分ビームの光路の記載は、第1の実施の形態のそれぞれに対応している。なお、以下では、第1の実施の形態との重要な相違点についてのみ説明する。
【0055】
相違点の1つは、第2の実施の形態においては検出ユニット220における再帰反射器221の形成にある。ここでは、再帰反射器220が特許文献1において開示されているようなレンズ−ミラー−再帰反射器として形成されている。この再帰反射器220は透明かつ水平な載置部を含んで構成されており、この載置部上において、測定
尺210と対向する側には第1レンズ部材222.1,22.2及び第2レンズ部材222.3,222.4が配置されており、測定
尺210とは反対側に
は反射器要素221.1,221.2が配置されている。第1レンズ部材222.1,222.2及び第2レンズ部材222.3,222.4は載置部に設けられた格子構造体あるいは回折レンズとして形成されており
、反射器要素221.1,221.2は載置部に設けられた反射層として形成されている。ここで、この反射層の反射面側は、それぞれに対応したレンズ部材222.1〜222.4へ配向されている。
【0056】
また、第1レンズ部材222.1,222.2及び第2レンズ部材222.3,222.4は、部分ビームの通過の際にそれぞれ所定のレンズ効果を部分ビームへ作用させるものとなっている。
【0057】
図3aに示すように、第1レンズ部材222.1,222.2により、部分ビームは、通過時に入射方向とは平行でない、測定方向xへ屈折する。これにより、両部分ビームは共にシステムの光軸に対して平行に配向される。また、第1レンズ部材222.1,222.2により、両部分ビームは、測定方向とは垂直に、
各反射器要素221.1,221.2へ部分的に焦点合わせされる。
【0058】
第2レンズ部材222.3,222.4を通過する際には、これら第2レンズ部材222.3,222.4により、各部分ビームが測定方向xへ第2照射箇所P2に向けて屈折される。さらに、測定方向xに対して垂直に配向された通過するビームに対して少なくとも部分的にコリメートされた光学的な効果を生じさせる。
【0059】
第1レンズ部材222.1,222.2及び第2レンズ部材222.3,222.4は、本実施の形態においては、各レンズ部材222.1〜222.4とこれらに対応す
る反射器要素2221.1,221.2の間の距離に一致する焦点距離をそれぞれ有している。
【0060】
また、第1の実施の形態との他の相違点は、位相ずれ検出信号を検出するための位置測定装置の形成にある。
図3bに示すように、測定
尺210における第2照射箇所から検出ユニット220へ反射されつつ互いに干渉し合う部分ビームの対は、検出ユニット220において分割格子224により更なる部分ビームへ分割される。ここで、これら更に分割された部分ビームは、それぞれ自由ビームとして様々な角度で信号ユニット230方向へ照射される。また、信号ユニット230において、分割された部分ビームは、それぞれ偏光器233.1〜233.3を通過し、更にレンズ235.1〜235.3を介して後置の光電式検知部材234.1〜234.3へ焦点合わせされる。ここでも、これら光電式検知部材234.1〜234.3では、位相のずれた、位置に応じた検出信号が発生する。
【0061】
また、検出ユニット220と信号ユニット230の間のz方向の大きな取付公差及び動作許容差を許容するために、信号ユニット230へ戻る各自由ビーム間の角度が本実施の形態においては大きすぎるものとならない。したがって、これら自由ビームの光軸に対する角度は、可能な限り30°を下回る。信号ユニット230又は検出ユニット220のz方向の変位が生じる場合でも、x方向及びy方向に生じる変位は制限されたままとなる。また、レンズ235.1〜235.3は適切に大きな径を有する必要があり、これにより、部分ビームが許容される光路変位内で常に完全に光電式検知部材234.1〜234.3へ焦点合わせあるいは照射されることになる。このとき、場合によっては、3つのレンズ235.1〜235.3の代わりに、すべての部分ビームが共通に焦点合わせされる1つのレンズを用いてもよい。このとき、分離された各焦点位置は、自由ビームの異なる角度に割り当てられ、この各焦点位置には、それぞれ光電式検知部材234.1〜234.3が配置されている。また、このとき、偏光器233.1〜233.3は、光電式検知部材234.1〜234.3の手前に密集して配置されている。
【0062】
本発明による位置測定装置の第2の実施の形態における検出光路の更なる詳細については、特許文献1に記載されている。
【0063】
さらに、この第2の実施の形態における特に測定
尺210を検出するのに必要な検出側の様々な構成要素の検出ユニット220及び信号ユニット230における配置、並びにこれらの相対的な配置の基本的な構造は、第1の実施の形態のものに対応している。
【0064】
<実施の形態3>
第2の実施の形態とわずかに異なる本発明による位置測定装置の実施の形態を実施の形態3として
図4a〜
図4cに基づいて説明する。これらの図には、第1及び第2の実施の形態における記載と同様の検出光路が示されている。なお、ここでも、第1及び第2の実施の形態と異なる点についてのみ説明する。
【0065】
第3の実施の形態においても、測定
尺310における第2照射箇所P2から入射する互いに干渉し合う部分ビームの対が検出ユニット320における分割格子
324を介して3つ部分ビームに分割され、これら3つの部分ビームは、それぞれ別の方向へ向かうようになっている。ここで、
図4bにおいて左右へ屈折された部分ビームは、それぞれ検出ユニット320における後置された屈折格子
322.1,
322.2を通過する。そして、これら左右へ屈折された部分ビームは、この屈折格子
322.1,
322.2を通過することで、検出ユニット320を出た後で3つの部分ビームが互いに平行な自由ビームとして信号ユニット330へ至るよう、それぞれ光軸方向へ屈折される。これ以降の検出光路及び信号生成は、第2の実施の形態と同様であり、また、検出ユニット320における再帰反射器321のレンズ−ミラー−再帰反射器としての形成も第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0066】
なお、この第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様にすべての自由ビームが光軸に対して平行となっているため、z方向に特に大きな取付公差及び動作許容差を許容することが可能である。
【0067】
<実施の形態4>
最後に、本発明による位置測定装置の第4の実施の形態を
図5a〜
図5cに基づいて説明する。ここでも、これらの図には、第1〜第3の実施の形態における記載と同様の検出光路が示されている。
【0068】
この第4の実施の形態における第1〜第3の実施の形態との相違点は、検出ユニット420と信号ユニット430において構成部材を適当に配置することによって2つの分離された検出光路を形成するとともに、この検出光路によって測定
尺410を検出する点にある。これら両検出光路は、変位方向xに対して垂直な平面に関して左右非対称となっているとともに、変位方向であるx方向及びこれに垂直なz方向への位置決めを可能とするものとなっている。結果として、合計6つの位相のずれた検出信号が得られ、これらに基づき、公知のように水平方向(x方向)と垂直方向(z方向)の変位が検出されることになる。なお、このような測定原理については、特許文献2に詳細に記載されている。
【0069】
また、本発明による位置測定装置において2つの分離された検出光路を形成するために検出ユニット420には分割要素426が分割格子の形態で設けられており、この分割格子は、再帰反射器421の載置部の上側に配置されている。この分割格子によって、信号ユニット430における光源431から入射するビームが2つの部分ビームに分割されることになる。そして、これら両部分ビームは、第1照射箇所P1a,P1bにおいて測定
尺410へ照射される。その後の両検出光路について、信号ユニット430への再入射まではそれぞれ第2の実施の形態と一致する。なお、再帰反射器421はレンズ−ミラー−再帰反射器として形成されているが、ここでは、2つの検出光路が存在することを考慮して、再帰反射器421において必要なレンズ部材422.1a〜422.4a,422.1b〜422.4bの数量が2倍となっている。また、これらレンズ部材422.1a〜422.4a,422.1b〜422.4bの光学的な効果は、各検出光路において第2の実施の形態と基本的に同様となっている。
【0070】
しかして、各検出光路において、第2照射箇所P2a,P2bからそれぞれ互いに干渉し合う部分ビームの対が自由ビームとして検出ユニット420から信号ユニット430方向へと照射される。そして、信号ユニット430において互いに干渉し合う部分ビームの両対は、それぞれ分割格子434.a,434.bへ至り、そこで第1の実施の形態と同様に3つの更なる部分ビームへ分割されて、それぞれ
レンズ435.a,
435.b及び複数の分析器433.1a〜433.3a,433.1b〜433.3bを介して6つの光電式検知部材434.1a〜434.3a,434.1b〜434.3bへと供給される。そして、これら光電式検知部材434.1a〜434.3a,434.1b〜434.3bにより、位相のずれた検出信号が検知されることになる。本実施の形態において、検出側には2つの検出光路のために2つの検出装置が設けられており、これら検出装置によって、それぞれ複数の位相のずれた検出信号が生成されることになる。
【0071】
本実施の形態においても検出ユニット420及び信号ユニット430のz方向の取付公差及び動作許容差をできる限り大きく許容するために、検出ユニット420から信号ユニット430へ照射される自由ビームを第1〜第3のいずれかの実施の形態と同様に光軸に対してz方向に最大で30°の角度をなすようにするのが好ましい。
【0072】
なお、本実施の形態において、検出光路が異なっていても、検出ユニット420及び信号ユニット430についての上述の手段を変更(置換)することができる。
【0073】
ところで、上述のように詳細に説明した実施の形態以外にも、本発明において他の実施の形態も考えられる。
【0074】
例えば、本発明による位置測定装置の光源を信号ユニットの外部に設けることが考えられ、この場合、外部に設けられた光源から信号ユニットへの導光は、光ファイバによってなされる。信号ユニットにおいて、この光ファイバの光導出面が光源としての役割を果たす。また、この光ファイバを、偏光特性を有するシングルモード光ファイバとして形成するのが好ましい。そして、光源を外部に配置することにより、信号ユニットにおける不都合な熱の発生を回避することが可能である。
【0075】
さらに、光電式検知部材も信号ユニットの外部へ収容することが可能である。この場合、信号ユニットには、光電式検知部材の代わりにマルチモード光ファイバが設けられ、その入射カット面は、各部分ビームの焦点箇所に配置される。したがって、光ファイバの入射カット面は、信号ユニットにおいて検出要素としての機能を果たすことになる。そして、マルチモード光ファイバの他端では、外部に配置された光電式検知部材がそれぞれ伝達するビームが受け取られる。このように検知部材を外部に配置することで、熱を発生するプリアンプ(Vorverstaerker)を信号ユニットに収容する必要がなくなる。