【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接着剤組成物は、過去の巻回金属ロールで問題であったブロッキング現象を示すこともない。本発明の接着剤のブロッキング防止特性により、金属基材への塗布、基材が温かいうちに巻回すること、必要に応じてそれを輸送すること、および基材を延伸して、前に塗布した接着剤を用いてプラスチックフィルムを金属に接着することを可能とする。本発明の接着剤組成物は、金属基材が温かい間にそれらを巻回する場合に金属基材上でブロッキングが発生することなく、従来のシステムで使用されていたよりもはるかに低い軟化温度を有する官能性ポリマーを用いることを可能とした。さらに、本発明は、接着性金属処理と、フィルムの貼り合わせを実質的に同時に行うことができるので、必要な設備のスペースを減らすことができる:もし貼り合わせる前に巻き直しが必要であれば、ブロッキングを防止するためには冷却工程と装置は必要がない。
【0007】
ある態様では、本発明は、金属基材にポリマー製フィルムを貼り合わせるための水系接着剤組成物であ
り、カルボン酸
基を複数有する
マレイン酸化ポリプロピレンポリマー成分の水系ディスパーションまたはエマルションであり、該
カルボン酸基は調製された上記の接着剤組成物中では不活性であ
る、上記のポリマー成分の水系ディスパーションまたはエマルションと、水溶性または水エマルションまたはディスパーションである
架橋剤成分であり、該架橋剤成分は、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、かつ調製された上記の接着剤組成物中では可逆的に不活性である官能基を含む
該架橋剤成分を含み、上記の接着剤組成物のpHが7〜11であり、上
記のポリマー成分の
前記カルボン酸基および上記架橋剤成分の官能基
が、アンモニアの揮発、加熱乾燥、pH変化、脱水、またはそれらの組み合わせの少なくとも1種により
互いに反応する。
【0009】
別の態様では、本発明は、金属基材にポリマー製フィルムを貼り合わせるための水系接着剤組成物であり、架橋剤官能基が、
マレイン酸化ポリプロピレンポリマー成分、金属基材、または
マレイン酸化ポリプロピレンポリマー成分および金属基材の両方に結合することが可能である。
【0010】
別の態様では、本発明は、金属基材にポリマー製フィルムを貼り合わせるための水系接着剤組成物であり、架橋剤成分
が、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%存在している。
【0011】
別の態様では、本発明は、金属基材にポリマー製フィルムを貼り合わせるための水系接着剤組成物であり、架橋剤成分が、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して25〜50重量%存在する。
【0012】
別の態様では、本発明は、金属基材にポリマー製フィルムを貼り合わせるための水系接着剤組成物であり、架橋剤成分が、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜25重量%存在している。
【0013】
別の態様では、本発明は、金属基材にポリマー製フィルムを貼り合わせるための水系接着剤組成物であり、さらに、ホスホン酸塩、リン酸塩、湿潤剤、非イオン性界面活性剤、五酸化バナジウム、モリブデン、クロム、システイン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体
であって、金属基材
と水系接着剤組成物を含み、該水系接着剤組成物は、カルボン酸
基を複数有する
マレイン酸化ポリプロピレンポリマー成分の水系ディスパーションまたはエマルションと、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、上
記のポリマー成分、上記金属基材、または上
記のポリマー成分および上記金属基材の両方に結合することが可能な官能基を有する水溶性
の、または水エマルションまたはエマルションである架橋剤成分とを含み、該水系接着剤組成物は上記金属基材に塗布されて乾燥され、塗布後の乾燥状態で厚さが100mg/ft
2〜1ミルの量である。
【0016】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体であり、架橋剤成分が、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%存在している。
【0017】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体であり、接着剤組成物が金属基材に直接結合している。
【0018】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体であり、架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して25〜50重量%存在し、および乾燥後の上記の接着剤が、連続した無機相と分散し
たポリマー相を含む形態を有している。
【0019】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体であり、架橋剤成分が、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜25重量%存在している。
【0020】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体であり、接着剤組成物が、さらに、ホスホン酸塩、リン酸塩、湿潤剤、非イオン性界面活性剤、五酸化バナジウム、モリブデン、クロム、システイン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、金属基材、接着剤、プラスチック製フィルムの積層中間体であり、金属基材が、該金属基材に接着剤組成物を塗布する前に、腐食防止前処理、化成処理前処理、プライマー前処理、またはそれらの組み合わせの少なくとも1種の前処理を受けており、架橋剤成分が、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、積層体であ
り、金属基材とプラスチック製フィルムとの間に配置されている接着剤組成物
を含み、該接着剤組成物が、カルボン酸
基を複数有し、該
カルボン酸基が上記プラスチック製フィルムに結合している
マレイン酸化ポリプロピレンポリマー成分の水系ディスパーションまたはエマルションと、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、上
記のポリマー成分、上記金属基材、または上
記のポリマー成分および上記金属基材の両方に結合することが可能な官能基を有する水溶性
の、または水エマルションまたはディスパーションである架橋剤成分とを含み
、上記金属基材に塗布されその場で乾燥された上記の接着剤組成物が、塗布後の乾燥状態で厚さが100mg/ft
2から1ミルの量であり
、上記の接着剤組成物が、上記プラスチック製フィルムを上記金属基材に結合している。
【0023】
別の態様では、本発明は、積層体であり、金属基材が、該金属基材に接着剤組成物を塗布する前に、腐食防止前処理、化成処理前処理、プライマー前処理、またはそれらの組み合わせの少なくとも1種の前処理を受けている。
【0024】
別の態様では、本発明は、積層体であり、接着剤組成物が金属基材に直接結合している。
【0026】
別の態様では、本発明は、積層体であり、架橋剤成分が、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%存在している。
【0027】
別の態様では、本発明は、積層体であり、架橋剤成分が、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して25〜50重量%存在し、および乾燥後の上記の接着剤が、連続した無機相と分散し
たポリマー相を含む形態を有している。
【0028】
別の態様では、本発明は、積層体であり、架橋剤成分が、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜25重量%存在している。
【0029】
別の態様では、本発明は、金属をポリマー製フィルムに結合する水系接着剤組成物であり、さらに、ホスホン酸塩、リン酸塩、湿潤剤、非イオン性界面活性剤、五酸化バナジウム、モリブデン、クロム、システイン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含む。
【0030】
別の態様では、本発明は、積層体であり、プラスチックフィルムが、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、アクリルフィルム、熱可塑性オレフィンフィルム、またはそれらの混合物の少なくとも1種から成るシート状プラスチックまたは押出プラスチックを含む。
【0031】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、以下の工程を含む:金属基材を用意する工程;カルボン酸
基を複数有する
マレイン酸化ポリプロピレンポリマー成分の水系ディスパーションまたはエマルションと、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、上
記のポリマー成分、上記金属基材、または上
記のポリマー成分および上記金属基材の両方に結合することが可能な官能基を有する水溶性
の、または水エマルションまたはディスパーションである架橋剤成分とを含む水系接着剤組成物を用意する工程;プラスチック製フィルムを用意する工程であって、上
記のポリマー成分の上記
カルボン酸基が該プラスチック製フィルムに結合可能である該工程;上記水系接着剤組成物を、金属基材、プラスチック製フィルム、またはその両方に塗布する工程であって、乾燥状態で厚さが100mg/ft
2から1ミルとなるように、十分に塗布する該工程;必要に応じ、金属基材に塗布した接着剤組成物から水を除去する工程であって、金属基材を45〜150℃のピーク金属温度まで加熱する該工程;130〜250℃のピーク金属温度まで金属基材を加熱し、該金属基材との間に上記の接着剤組成物を有するプラスチック製フィルムを加熱した該金属基材に適用し、加圧してプラスチック製フィルムを金属基材に貼り合わせる工程。
【0032】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、腐食防止前処理、化成処理前処理、プライマー前処理、またはそれらの組み合わせの少なくとも1種の前処理を受けている金属基材を用意する工程を含む。
【0034】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、架橋剤成分が、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム亜鉛、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%存在している。
【0035】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して25〜50重量%存在し、および乾燥後の上記の接着剤が、連続した無機相と分散し
たポリマー相を含む形態を有している。
【0036】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、架橋剤成分が、カルボジイミド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、多官能アジリジン、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、および架橋剤成分が、活性架橋剤および活
性ポリマー成分の合計量に対して1〜25重量%存在している。
【0037】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、ホスホン酸塩、リン酸塩、湿潤剤、非イオン性界面活性剤、五酸化バナジウム、モリブデン、クロム、システイン、またはそれらの混合物の少なくとも1種をさらに含む接着剤組成物を用意する工程を含む。
【0038】
別の態様では、本発明は積層体の製造方法であり、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、アクリルフィルム、熱可塑性オレフィンフィルム、またはそれらの混合物の少なくとも1種から成るプラスチックフィルムを用意する工程を含む。
【0039】
本発明のこれらのおよび他の特徴並びに利点が、好ましい態様に係る詳細な説明により当業者にはより明らかとなるであろう。