特許第5976570号(P5976570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976570
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】過熱水蒸気発生器
(51)【国際特許分類】
   F22B 3/04 20060101AFI20160809BHJP
   F22G 1/16 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   F22B3/04
   F22G1/16
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-42515(P2013-42515)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-228188(P2013-228188A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-78101(P2012-78101)
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091591
【弁理士】
【氏名又は名称】望月 秀人
(72)【発明者】
【氏名】長畑 寛
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0282593(US,A1)
【文献】 特開2002−168405(JP,A)
【文献】 特開平06−320140(JP,A)
【文献】 特開2004−174392(JP,A)
【文献】 特開平11−028301(JP,A)
【文献】 特開2004−020010(JP,A)
【文献】 特開2007−107838(JP,A)
【文献】 特開昭50−098476(JP,A)
【文献】 特開平07−071705(JP,A)
【文献】 特表2001−526959(JP,A)
【文献】 特開平03−140752(JP,A)
【文献】 特開2009−115363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/00 − 3/08
F22G 1/00 − 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続させた2台の真空ポンプによって内部が負圧に吸引される蒸発缶と、
前記真空ポンプのうちの少なくとも一方の吐出圧力を調整する圧力調整手段と、
前記蒸発缶にボイラー給水を給送する給水路と、
前記給水路の途中に配された熱交換器とからなり、
前記熱交換器に回収された単一、または複数の温度レベルの低温処理を導入して、前記ボイラー給水を昇温させた後、内部が負圧にある前記蒸発缶内でボイラー給水を蒸発させて過熱水蒸気を生成し、この過熱水蒸気にボイラー給水を混合させて飽和水蒸気を生成し、該飽和水蒸気の一部を前記熱交換器に供給してボイラー給水の温度を上昇させることを特徴とする過熱水蒸気発生器。
【請求項2】
前記真空ポンプにルーツ型真空ポンプを使用してあることを特徴とする請求項1に記載の過熱水蒸気発生器。
【請求項3】
前記真空ポンプの吐出側にエジェクター型の減温機を接続させ、該真空ポンプから吐出される過熱水蒸気を駆動蒸気とし、前記ボイラー給水を供給して飽和水蒸気を生成させ、該飽和水蒸気の一部を前記熱交換器に供給してボイラー給水の温度を上昇させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過熱水蒸気発生器。
【請求項4】
前記熱交換器をプレートフィン方式の熱交換器を用いたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の過熱水蒸気発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の工場等で廃棄されている低温の熱エネルギーの有効利用を図る過熱水蒸気発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラントや石油精製プラント等や用役設備によって利用された処理水、または低温プロセス流出液、低圧凝縮水が保有している熱エネルギーを回収して再利用に供することは、エネルギー効率の向上を図ることは勿論のこと、エネルギー資源の有効利用を図る上で非常に好ましい。特に、各種のプラント設備では、冷却に利用されて温度が100℃以下となった冷却水が多量に排出され、それらが保有する熱量が廃棄されている。したがって、エネルギーの利用効率をより向上させることとなる、これらの低温排水が保有する熱エネルギーを回収することが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された蒸溜システムでは、スチーム発生器によってリボイラーから回収された凝縮蒸気(スチームコンデンセート)から再び蒸気を生成する熱源として蒸留塔から回収された熱源が利用されている。すなわち、リボイラーで加熱された熱媒が蒸留塔に供給され、該リボイラーから排出されたスチームコンデンセートを、蒸留塔でプロセス液の処理に供された熱媒をスチーム発生器の熱源として、再び蒸発させてリボイラーに供給するようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−208066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1で開示された蒸留システムでは、前記タンクの運転圧力が飽和蒸気温度約188℃(特許文献1の[0026]参照)とあって、低温排水からの熱回収としては十分とは言えない。このように、現状の各種のプラント設備等における熱回収システムでは、いわゆる低温排水からの熱回収が十分に果たされていない。
【0006】
そこで、この発明は、低温の廃熱を用いて高温水蒸気を製造することにより、化学プラント等よって利用された処理水が保有している熱エネルギーを回収して再利用にするのに適した過熱水蒸気発生器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る過熱水蒸気発生器は、直列に接続させた2台の真空ポンプによって内部が負圧に吸引される蒸発缶と、前記真空ポンプのうちの少なくとも一方の吐出圧力を調整する圧力調整手段と、前記蒸発缶にボイラー給水を給送する給水路と、前記給水路の途中に配された熱交換器とからなり、前記熱交換器に回収された単一、または複数の温度レベルの低温処理を導入して、前記ボイラー給水を昇温させた後、内部が負圧にある前記蒸発缶内でボイラー給水を蒸発させて過熱水蒸気を生成し、この過熱水蒸気にボイラー給水を混合させて飽和水蒸気を生成し、該飽和水蒸気の一部を前記熱交換器に供給してボイラー給水の温度を上昇させることを特徴としている。
【0008】
各種プラントで発生した冷却使用等の後の、100℃以下の低温処理液を前記熱交換器に供給して前記ボイラー給水を昇温させる。ボイラー給水は蒸発缶内の負圧によって吸引され、該蒸発缶内で蒸発して過熱水蒸気が発生する。この過熱水蒸気は前記真空ポンプから吐出されて所望の処理に供される。
【0009】
また、請求項2の発明に係る過熱水蒸気発生器は、前記真空ポンプにルーツ型真空ポンプを使用してあることを特徴としている。
【0010】
真空ポンプとしては、ベーン式やダイヤフラム式、ピストン式、エジェクタ式等、各種型式のものがあるが、特に、ルーツ型真空ポンプを用いるようにしたものである。
【0011】
また、請求項3の発明に係る過熱水蒸気発生器は、前記真空ポンプの吐出側にエジェクター型の減温機を接続させ、該真空ポンプから吐出される過熱水蒸気を駆動蒸気とし、前記ボイラー給水を供給して飽和水蒸気を生成させ、該飽和水蒸気の一部を前記熱交換器に供給してボイラー給水の温度を上昇させることを特徴としている。
【0012】
前記真空ポンプから吐出された過熱水蒸気を駆動蒸気として、前記ボイラー給水の管路の途中から吸入液体とするエジェクター型の減温機を用いて、飽和水蒸気を生成するようにしたものである。そして、この飽和水蒸気を前記熱交換器へ供給してボイラー給水を昇温させるようにしてある。
【0013】
また、請求項4の発明に係る過熱水蒸気発生器は、前記熱交換器をプレートフィン方式の熱交換器を用いたことを特徴としている。
【0014】
熱交換器には例えば二重管やスパイラル等のチューブ式やプレート式等が知られているが、プレートフィン型のものを用いるようにしたものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係る過熱水蒸気発生器によれば、各種のプラントで利用されて発生した処理水等の低温熱源を用いて過熱水蒸気を製造するようにしたから、低温廃熱の有効利用を図って、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0024】
しかも、低沸点冷媒を利用する必要がないので、発生した過熱水蒸気を広範囲で利用することができる。
【0025】
また、請求項2の発明に係る過熱水蒸気発生器によれば、ルーツ型真空ポンプの吐出圧力を調整することによって、所望の圧力の蒸気を得ることができる。
【0026】
また、請求項3の発明に係る過熱水蒸気発生器によれば、所望の圧力と温度の飽和水蒸気をえることができる。
【0027】
また、請求項4の発明に係る過熱水蒸気発生器によれば、高効率熱交換器によって熱回収を行えるから、低温で大流量、低圧損域での熱回収量の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】この発明に係る過熱水蒸気発生器の一の実施形態について構成を示す図である。
図2】この発明に係る過熱水蒸気発生器の他の実施形態について構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る過熱水蒸気発生器を具体的に説明する。
【0031】
図1に示すように、ボイラー給水管2を通してボイラー給水が蒸発缶1へ供給されている。蒸発缶1の供給側には熱交換器3が配設されており、ボイラー給水はこの熱交換器3を通って加熱されて蒸発缶1に供給される。熱交換器3の熱源には、この過熱水蒸気発生器が設置されるプラント設備から排出された、冷却に供された処理水、温廃水、石油精製設備、石油化学設備などの低温プロセス液などの処理液であって、100℃以下の低温処理液が用いられる。この低温処理液は熱媒供給管3aから供給されて、熱媒排出管3bから排出される。また、熱交換器は一つの機器の流路が単段または複数段からなり、生成された水蒸気、複数の温度レベルの廃液、廃水が熱媒供給管3c供給され、熱媒排出管3dから排出されて、ボイラー給水の温度を上昇させることが可能である。
【0032】
前記蒸発缶1の排出側には排出管4が接続されており、この排出管4にはルーツ型の真空ポンプ5a、5bが接続されている。なお、これら真空ポンプ5a、5bは前記蒸発缶1の内部を十分に真空とすることができる状態まで吸引できるように2台の真空ポンプ5a、5bを直列に接続させてあるが、1台の真空ポンプ5で十分に吸引できる。なお、高圧の蒸気を得る場合には2台を接続することで対応できる。
【0033】
下流側の前記真空ポンプ5bの吐出側には、スチームエジェクターによる減温機6が接続されている。この減温機6に前記ボイラー給水管2から分岐させた吸引管6aが接続されて、ボイラー給水がこの減温機6の吸引側に供給される。なお、後述するように、駆動蒸気には前記真空ポンプ5bから吐出される過熱水蒸気が供給される。
【0034】
前記蒸発缶1にはドレイン管1aが接続され、前記ボイラー給水管2に配されたエジェクター7に接続されて、ドレインがボイラー給水とともに蒸発缶1に返戻されるようにしてある。
【0035】
また、前記排出管4には、圧力コントローラ8aが設置されて、蒸発缶1からの吐出圧力を監視している。前記真空ポンプ5bの吐出側には圧力コントローラ8bが設置されて、該真空ポンプ5bの吐出側の圧力を監視している。前記減温機6の吐出側にはコントロールバルブ9aが設置されており、前記圧力コントローラ8bにより測定された圧力値に基づいて開閉されるようにしてある。また、この圧力コントローラ8bから前記真空ポンプ5a、5bのうちの一方の駆動モータ5cに制御信号が送出され、真空ポンプ5aの動作を制御して、吐出圧力等が調整されるようにしてある。
【0036】
また、前記減温機6の吐出側には、吐出された上記温度を計測して所望の温度に保つ温度コントローラ8cが設置されており、前記吸引管6aに設けたコントロールバルブ9bの開度がこの温度コントローラ8cにより調整されるようにしてある。
【0037】
さらに、前記減温機6の下流側から、生成された飽和水蒸気が蒸気供給管10aを介して前記熱交換器3に供給されて、ボイラー給水を昇温させ、ドレイン排出管10bからドレインとして排出される。前記蒸気供給管10aにはコントロールバルブ9cが設けられており、蒸発缶1の内部温度が温度コントローラ8dにより計測されて、前記コントロールバルブ9cの開度が調整されることにより、飽和水蒸気の熱交換器3への供給量を調整してボイラー給水の温度を調整するようにしてある。
【0038】
以上により構成されたこの発明に係る過熱水蒸気発生器の作用を、以下に説明する。
【0039】
この過熱水蒸気発生器が設置される各種のプラントで利用された処理水や低温プロセス流出液、低温凝縮水等が熱源とされて、前記熱交換器3に熱媒供給管3a、3cから供給される。前記蒸発缶1は真空ポンプ5a、5bによってほぼ真空となる負圧にされているから、ボイラー給水管2内のボイラー給水はこの負圧によって吸引されて熱交換器3に供給される。ここで、ボイラー給水は前記処理水や低温プロセス流出液、低温凝縮水等との間で熱交換されて昇温された後、前記蒸発缶1に供給される。さらに、後述するように、生成された飽和水蒸気が熱交換器3に供給されており、ボイラー給水はこの飽和水蒸気によっても昇温される。蒸発缶1内は負圧であってほぼ真空にあるから、供給されたボイラー給水は蒸発して過熱水蒸気が生成される。なお、この際に発生するドレインは前記ドレイン管1aからエジェクタ7に供給されて、ボイラー給水と共に熱交換器3へ供給される。
【0040】
生成された過熱水蒸気は真空ポンプ5a、5bから吐出されて、前記減温機6に供給されその駆動蒸気とされる。一方、減温機6にはボイラー給水が吸引側に供給されるから、駆動蒸気から飽和水蒸気が生成される。この飽和水蒸気の温度は前記温度コントローラ8cにより計測され、所望の温度の飽和水蒸気が得られるように、前記コントロールバルブ9bの開度が調整されて、ボイラー給水の供給量が調整されるようにしてある。なお、前述したように、この飽和水蒸気の一部は蒸気供給管10aを介して前記熱交換器3に熱媒として供給されている。
【0041】
そして、ルーツ型による前記真空ポンプ5a、5bの吐出圧力を調整することによって、所望の圧力の蒸気を得ることができる。
【0042】
次に、図2に示す実施形態について説明する。エアフィンクーラー21の廃熱や低温廃液、低温ガスが加熱媒体として、第1熱交換器22に供給される。この第1熱交換器22には、第1蒸発缶23から供給ポンプ24を介して循環飽和水が供給され、加熱媒体によって加熱された後前記第1蒸発缶23に返戻される。なお、前記第1熱交換器22に供給される循環飽和水の量は流量計22aとコントロール弁22bとにより調整される。
【0043】
前記第1蒸発缶23にはルーツ型メカニカルブースターポンプによる第1真空ポンプ25により吸引されて減圧されており、前記返戻された循環飽和水の一部が該第1蒸発缶23内で蒸発し、蒸発した水蒸気が前記第1真空ポンプ25に吸引される。この第1真空ポンプ25への供給圧力は、圧力計25aとコントロール弁25bとにより調整される。そして、第1真空ポンプ25で昇圧されて吐出された水蒸気は熱媒水蒸気として第2熱交換器31の熱媒として供給され、該第2熱交換器31から前記第1蒸発缶23に返戻される。なお、第1真空ポンプ25からの吐出圧力は圧力計23aとコントロール弁23bとによって調整される。
【0044】
前記第2熱交換器31には第2蒸発缶32から沸点水が供給され、前記熱媒水蒸気で加熱された後、第2蒸発缶32に返戻される。この第2蒸発缶32はルーツ型メカニカルブースターポンプによる第2真空ポンプ33により吸引されて減圧されており、前記返戻された沸点水の一部は蒸発し、水蒸気と沸点水とに分離される。なお、第2真空ポンプ33への供給圧力は、圧力計33aとコントロール弁33bとによって調整される。そして、前記第2真空ポンプ33で昇圧された水蒸気は熱源水蒸気として吐出される。
【0045】
前記第2真空ポンプ33の吐出側にはブロワー34が接続されており、前記熱源水蒸気がさらに昇圧されて、所望の設備や工程における熱源として利用する。なお、ブロワー34への供給圧力は、圧力計34aとコントロール弁34bとにより調整される。
【0046】
また、前記第2真空ポンプ33の吐出側には第3熱交換器35が接続されており、前記熱源水蒸気の一部がこの第3熱交換器35に供給されて、前記第2蒸発缶32に返戻されるようにしてある。なお、第3熱交換器35への熱源水蒸気の供給量は、第3熱交換器35で加熱されたボイラー給水の温度を温度計35aで測定し、第3熱交換器35の入口側に配設されたコントロール弁35bの開度により調整される。また、第3熱交換器35には給水管36が接続されてボイラー給水が導入され、前記熱源水蒸気によって加熱される。このボイラー給水の流量は、流量計36aとコントロール弁36bとによって調整される。加熱されたボイラー給水は第3熱交換器35から排出された熱源水蒸気と混合されて第2蒸発缶32に供給される。
【0047】
図2に示す実施形態に係る過熱水蒸気発生器では、例えば、前記第1蒸発缶23の内圧を35Torrとし飽和温度32℃の循環飽和水を封入し、これを前記供給ポンプ24によって、エアフィンクーラーの上部に設置されているプレートフィン型の第1熱交換器22に供給する。この第1熱交換器22では、エアフィンクーラーで冷却用として利用されて、エアフィンクーラー出口で45〜60℃前後に昇温された排気から熱回収が図られる。第1熱交換器22を通過して加熱された循環飽和水は一部が蒸発して第1蒸発缶23に返戻される。第1真空ポンプ25により吸引されている第1蒸発缶23に返戻された循環飽和水は、水蒸気と循環飽和水とに分離され、水蒸気は前記第1真空ポンプ25によって吸引され、圧縮されて260Torrに昇圧され、228℃の過熱蒸気(飽和温度73℃)である熱媒水蒸気を得る。この熱媒水蒸気が前記第2熱交換器31に供給され、第2蒸発缶31から供給される沸点水を加熱する。なお、第2蒸発缶31は、例えば、内圧が200Torr、飽和温度約65℃にある。そして、前記第2熱交換器31で加熱された沸点水は一部が水蒸気となり第2蒸発缶32に返戻されて気液分離される。この200Torr、65℃の水蒸気は前記第2真空ポンプ33に吸引され、圧縮されて大気圧に近い圧力まで昇圧されて、220℃の過熱蒸気(飽和温度99℃)である熱源水蒸気を吐出する。この熱源水蒸気の一部が前記第3熱交換器35に供給されて、外部から供給されるボイラー給水を加熱し、第2蒸発缶32内の沸騰水の飽和温度である約65℃まで昇温され、第3熱交換器35から排出されて熱源水蒸気と混合されて第2蒸発缶31に供給される。
【0048】
前記第2真空ポンプ33で昇圧された熱源水蒸気は、前記ブロワー34に供給されて0.3MPaGまでの範囲で昇圧されて、所望の設備や工程に供給されて熱源等として利用される。なお、用途によっては減温機などによって温度を調整して、スチームヘッダーやタービン等に供給される。
【0049】
この図2に示す実施形態では、エアフィンクーラー21からの排気を第1熱交換器22に導入するものとして説明したが、保有する熱量が大きい排気を行っている設備であれば、例えば冷却水装置等にも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明に係る過熱水蒸気発生器によれば、従来では廃棄されていた処理水等の低温熱源によって過熱蒸気を発生させるようにしたから、エネルギーの回収効率を向上させて、プラント設備等のエネルギ効率の向上に寄与する。
【符号の説明】
【0051】
1 蒸発缶
1a ドレイン管
2 ボイラー給水管
3 熱交換器
3a 熱媒供給管
3b 熱媒排出管
3c 熱媒供給管
3d 熱媒排出管
4 排出管
5a、5b 真空ポンプ
6 減温機
6a 吸引管
7 エジェクタ
8a、8b、圧力コントローラ
8c 温度コントローラ
9a、9b、9c コントロールバルブ
10a 蒸気供給管
10b ドレイン管
21 エアフィンクーラー
22 第1熱交換器
23 第1蒸発缶
24 供給ポンプ
25 真空ポンプ
31 第2熱交換器
32 第2蒸発缶
33 第2真空ポンプ
34 ブロワー
図1
図2