特許第5977035号(P5977035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977035
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】固定ナット着脱工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/50 20060101AFI20160817BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20160817BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   B25B13/50 D
   H01L21/78 F
   B24B27/06 M
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-25996(P2012-25996)
(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公開番号】特開2013-163225(P2013-163225A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2015年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】大石 清輝
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−269132(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3066686(JP,U)
【文献】 米国特許第05868046(US,A)
【文献】 特開2009−285756(JP,A)
【文献】 実開昭63−107564(JP,U)
【文献】 特開2012−004414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B13/50
B24B27/06
B24B45/00
H01L21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードが固定ナットによって回転軸の端に着脱自在に装着された切削手段と、を少なくとも備える切削装置における該固定ナットの着脱に用いる固定ナット着脱工具であって、
固定ナットに形成された2以上の係合孔に係合する複数の係合突起を備える固定ナット係合部と、該固定ナット係合部を回動させる回動部と、該回動部の中央部に形成され回転力を伝達する回転力伝達孔と、を少なくとも備える固定ナット締結手段と、
該固定ナット締結手段の回転力伝達孔に挿入される挿入突部と、該挿入突部を回動させるテコ部と、を少なくとも備えるトルクレンチと、
該固定ナット締結手段と該トルクレンチとを連結する連結手段と、
を備え
該連結手段は、該固定ナット締結手段に連結される固定ナット連結部と、該トルクレンチに連結されるトルクレンチ連結部と、該固定ナット連結部と該トルクレンチ連結部とを連結する伸縮自在な紐部とを備えており、
該固定ナット締結手段には、該固定ナット連結部を該回動部の周方向に回転させる回転機構が設けられ、
該トルクレンチには、該トルクレンチ連結部を該回動部の外周面に沿って回転させる回転機構が設けられている
固定ナット着脱工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置において、切削ブレードを回転軸に固定するための固定ナットを回転軸に対して着脱するのに用いる固定ナット着脱工具に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、切削装置によって分割予定ラインを縦横に切削することにより個々のデバイスに分割され、携帯電話機やパソコンなどの各種電気機器に組み込まれて利用される。
【0003】
切削装置は、被加工物を保持する保持手段と、保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、を備えており、保持手段に保持された被加工物を切削ブレードによって高精度に切削することができる。
【0004】
切削ブレードの外周に形成された切り刃部が磨耗したり破損したりした場合等においては、新たな切削ブレードと交換する必要があるため、切削ブレードは、固定ナットによって回転軸の先端に着脱自在に装着されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。そして、固定ナットを回転軸の先端に着脱する固定ナット着脱工具として、固定ナットを回動させる着脱治具と、着脱治具を回動させるトルクレンチとを備えているものがある(例えば、下記の特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−152531号公報
【特許文献2】特開2012−4414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような固定ナット着脱工具においては、作業者が着脱治具を用いて固定ナットにより切削ブレードを回転軸の先端に固定した後に、着脱治具を固定ナットから取り外すことを忘れてしまうことがある。そして、固定ナットに着脱治具が付いたまま切削装置を稼働させると、切削ブレードに切削水を供給するカバー手段が破損したり、切削ブレードが損傷してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、固定ナット着脱工具を用いて固定ナットによって切削ブレードを回転軸の先端に固定した後、固定ナットからの着脱治具の取り外し忘れを防止することに解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被加工物を保持する保持手段と、保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードが固定ナットによって回転軸の先端に着脱自在に装着された切削手段とを少なくとも備える切削装置における固定ナットの着脱に用いる固定ナット着脱工具に関し、固定ナットに形成された2以上の係合孔に係合する複数の係合突起を備える固定ナット係合部と、固定ナット係合部を回動させる回動部と、回動部の中央部に形成され回転力を伝達する回転力伝達孔とを少なくとも備える固定ナット締結手段と、固定ナット締結手段の回転力伝達孔に挿入される挿入突部と、挿入突部を回動させるテコ部とを少なくとも備えるトルクレンチと、固定ナット締結手段とトルクレンチとを連結する連結手段とを備え、連結手段は、固定ナット締結手段に連結される固定ナット連結部と、トルクレンチに連結されるトルクレンチ連結部と、固定ナット連結部とトルクレンチ連結部とを連結する伸縮自在な紐部とを備えており、固定ナット締結手段には、固定ナット連結部を回動部の周方向に回転させる回転機構が設けられ、トルクレンチには、トルクレンチ連結部を回動部の外周面に沿って回転させる回転機構が設けられている
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる固定ナット着脱工具では、固定ナット締結手段とトルクレンチとを連結する連結手段を備えていることにより、固定ナットを回転軸に固定した後、トルクレンチを取り外す際に連結手段及び固定ナット締結手段が引っ張られるため、固定ナットから固定ナット締結手段を取り外すのを忘れることがない。したがって、切削ブレードに切削水を供給するとともに切削ブレードを覆うカバー手段が破損したり、切削ブレードが損傷したりするのを防ぐことができる。また、固定ナット締結手段とトルクレンチとにそれぞれ回転機構を備えるため、紐部がねじれるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】切削装置の一例を示す斜視図である。
図2】切削手段の構成を示す斜視図である。
図3】切削手段及び固定ナット着脱工具の構成を示す分解斜視図である。
図4】固定ナット締結手段の固定ナットと係合する側を示す斜視図である。
図5】固定ナット締結手段を示す断面図である。
図6】固定ナット着脱工具の動作例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す切削装置1は、被加工物を切削して個々のデバイスに分割する切削装置である。切削装置1は、装置ベース1aを有しており、前部に複数の被加工物を収容するためのウエーハカセット3が配設されている。
【0012】
図1に示すウエーハWの裏面側には保護テープTが貼着され、保護テープTの外周側の表面にはリング状のフレームFが貼着されている。このようにして、ウエーハWは保護テープTを介してフレームFにより支持されている。そして、保護テープTを介してフレームFに支持されたウエーハWは、ウエーハカセット3に複数収容される。
【0013】
ウエーハカセット3の後方側には、ウエーハカセット3から加工前のウエーハWを搬出するとともにウエーハカセット3へ加工後のウエーハWを搬入する搬出入手段4が配設されている。搬出入手段4は、Y軸方向に移動可能となっており、その可動領域に、ウエーハWが一時的に載置される仮置き領域5が設けられている。
【0014】
装置前部には、蛇腹6の伸縮をともなってX軸方向に移動可能なチャックテーブル7が配設されている。また、仮置き領域5の近傍には、仮置き領域5とチャックテーブル7との間でウエーハWを搬送する第一の搬送手段8aが配設されている。
【0015】
チャックテーブル7の移動経路の上方には、チャックテーブル7に保持されたウエーハWの切削すべき位置を検出するアライメント手段9が配設されている。また、アライメント手段9のX軸方向の延長上には、ウエーハWに切削を施す切削手段10が配設されている。切削手段10には、回転可能な切削ブレード102を備えている。
【0016】
装置後部側には、切削後のウエーハを洗浄する洗浄手段2が配設されており、その上方には、チャックテーブル7と洗浄手段2との間でウエーハを搬送する第二の搬送手段8bが配設されている。
【0017】
このように構成される切削装置1においては、搬出入手段4によってウェーハカセット3から取り出されたウエーハWが仮置き領域5に載置されて位置あわせされた後、第一の搬送手段8aによってウエーハWがチャックテーブル7に搬送され保持される。そして、チャックテーブル7がX軸方向に移動し、アライメント手段9によってウエーハWの切削すべき位置が検出された後、チャックテーブル7がさらに同方向に移動することにより、回転する切削ブレード102の作用を受けてウエーハWが切削される。
【0018】
このようにして切削され分割されたウエーハWは、第二の搬送手段8bによって洗浄手段2に搬送されて洗浄された後、搬出入手段4によってウェーハカセット3に収容される。
【0019】
図2に示すように、切削手段10は、ハウジング100と、ハウジング100によって回転可能に支持された回転軸101と、回転軸101の先端に装着される切削ブレード102と、装着された切削ブレード102を固定する固定ナット103と、切削ブレード102をカバーするとともに切削水を切削ブレード102に供給するカバー手段104とを備えている。図3に示すように、切削ブレード102の外周縁部には、ダイヤモンド砥粒等の砥粒を含む切り刃部102aが形成されており、中心部には、回転軸101に挿通させるための貫通孔102bが形成されている。
【0020】
図3に示す切削手段10は、図2に示した回転軸101に対して固定ナット103により切削ブレード102を固定する前の状態を示している。回転軸101の外周面には、固定ナット103を螺合させる雄ねじ部101bが形成されている。また、固定ナット103には、厚さ方向に貫通する複数の係合孔103aが形成されている。
【0021】
カバー手段104は、ハウジング100に固定される固定ブロック104bと、固定ブロック104bに対してX軸方向に接近及び離反可能な可動ブロック104aとを備えている。
【0022】
可動ブロック104aの後部には、一対のピストン105が連結されている。この一対のピストン105は、固定ブロック104bの内部に設けたエアシリンダによって駆動されてX軸方向に進退可能となっており、固定ブロック104bの側部に設けたエアー供給口106にエアーを供給することによりX軸方向に進退し、可動ブロック104aを固定ブロック104bに対して離反及び接近させることができる。
【0023】
可動ブロック104aの下端には、切削ブレード102に対して切削水を放出する2つの切削水ノズル107が配設されている。2つの切削水ノズル107には、互いに向き合うように切削水を放出する複数の放出口107aが形成されている。2つの切削水ノズル107は、可動ブロック104aの上端に配設された2つの切削水供給口108に連通しており、切削水供給口108に切削水を流入すると、放出口107aから切削水が放出される。
【0024】
図3に示すように、固定ブロック104bの下端には、切削ブレード102に対して洗浄水を放出する2つの洗浄水ノズル109が配設されている。洗浄水ノズル109の先端は、切削ブレード102の下端部に向けて開口している。2つの洗浄水ノズル109は、固定ブロック104bの上端に配設される2つの洗浄水供給口110に連通しており、洗浄水供給口110に洗浄水を流入すると、2つの洗浄水ノズル109から洗浄水が放出される。
【0025】
固定ナット着脱工具2は、切削ブレード102を回転軸101に対して着脱するにあたり、回転軸101に対する固定ナット103の着脱に用いる工具である。図3に示すように、固定ナット着脱工具2は、固定ナット103を回転軸101に締結させる固定ナット締結手段20と、固定ナット締結手段20に回転力を伝達するトルクレンチ21と、固定ナット締結手段20とトルクレンチ21とを連結する連結手段22とを備えている。
【0026】
固定ナット締結手段20は、固定ナット係合部200と、固定ナット係合部200を回動させる回動部201とを備えている。回動部201は、固定ナット係合部200よりも大径に形成されており、回動部201の外周面201bには凹凸が形成されている。また、回動部201の中央部分には、厚さ方向に貫通する六角形状の回転力伝達孔202が形成されている。
【0027】
図4に示すように、固定ナット係合部200には、ナット103と対面する側に円形の凹部203を備えている。凹部203の内径は、図3に示した固定ナット103の外径より若干大径となっている。なお、凹部203の内周面にゴム等の弾性部材を敷設した場合は、その内径が固定ナット103の外径より若干小さく形成されていてもよい。
【0028】
凹部203の底面203aの中央部には、回転軸101の先端部を収容するための収容孔203bが形成されている。また、底面203aには、固定ナット103に形成された複数の係合孔103aに係合する4つの係合突起204が、固定ナット103側に向けて突出した状態で配設されている。係合突起204は、固定ナット103に形成された係合孔103aに係合する形状に形成されており、例えば係合孔103aの断面形状が円形である場合は、係合突起204の断面形状も円形であり、係合突起204の外径は、係合孔103aの内径より若干小径に形成されている。
【0029】
なお、図5に示すように、凹部203の底面203aに埋め込まれた係合突起204の根元に、バネ204aを連結した構成としてもよい。かかる構成をとることで、バネ204aの伸縮によって係合突起204が底面203aに対して垂直な方向に出没可能となり、係合孔103aに対して係合突起204を挿入しやすくなる。
【0030】
図3に示すように、トルクレンチ21の一端には、回転力伝達孔202に挿入される挿入突部210が形成されている。挿入突部210は、回転力伝達孔202の形状に対応して六角形状に形成されている。
【0031】
挿入突部210には、テコ部211が連結されている。テコ部211は、挿入突部210より大径の円柱状に形成された回転中心部212と、回転中心部212の外周面から法線方向に突出した複数のハンドル部213とから構成されている。テコ部211は、ハンドル部213を回動させることにより、挿入突部210を正逆両方向に回すことができる。
【0032】
連結手段22は、固定ナット締結手段20に連結される固定ナット連結部220と、トルクレンチ21に連結されたトルクレンチ連結部221と、固定ナット連結部220とトルクレンチ連結部221とを連結する伸縮自在なバネ状の紐部222とを備えており、トルクレンチ21の移動・運搬等の際には、紐部222が伸張するとともに、固定ナット連結部220とトルクレンチ連結部221とが紐部222によって連結された状態が常に維持される。
【0033】
図3に示すように、回動部201の端面201aには、固定ナット連結部220を回動部201の周方向に回転させる回転機構205が設けられている。また、トルクレンチ21の回転中心部212の外周面には、トルクレンチ連結部221を当該外周面に沿って回転させる回転機構215が設けられている。
【0034】
以下では、作業者が固定ナット着脱工具2を用いて切削手段10の回転軸101に対して切削ブレード102を脱着する際の手順について、図3乃至図6を参照しながら説明する。
【0035】
まず、図3に示すエアー供給口106にエアーを供給してピストン105をX軸方向に移動させることにより、固定ブロック104bから可動ブロック104aを離反させ、切削手段10を、切削ブレード102の着脱が可能な開放状態にする。
【0036】
切削ブレード102を回転軸101に取り付ける場合は、作業者が切削ブレード102を手に持ち、その貫通孔102bに回転軸101を挿通させる。そして、作業者がナット103を手に持ち、回転軸101に形成された雄ねじ部101bに固定ナット103を回転させながら螺合させていく。
【0037】
次いで、固定ナット着脱工具2を用いて固定ナット103を回転軸101に締結する。具体的には、図4に示した固定ナット係合部200の係合突起204が固定ナット103の係合孔103aに係合するように、固定ナット係合部200を回転させながらナット103に向けて押圧する。そして、係合突起204が係合孔103aに挿入され係合すると、さらに回動部201を回動させて固定ナット103を雄ねじ部101bに螺着させていく。
【0038】
次に、係合突起204が係合孔103aに挿入され係合した状態で、図3に示したトルクレンチ21の挿入突部210を回転力伝達孔202に挿入し、図6(a)に示すように、ハンドル部213に力を加えてテコ部211を矢印A方向に回すと、回転力伝達孔202を介して図4に示した固定ナット係合部200に回転力が伝わり、固定ナット締結手段20を矢印A方向に回転させることができる。このように、回転する固定ナット締結手段20によって、図3に示した回転軸101の雄ねじ部101bに固定ナット103を締め付けて固定する。その結果、切削ブレード102は、締結された固定ナット103により回転軸101の先端に所定のトルクで固定される。
【0039】
固定ナット103の締結時は、回動部201が矢印A方向に回転すると、回転機構205の作用により固定ナット連結部220が矢印A方向に対して相対的に逆方向に回転するとともに、回転機構215の作用によりトルクレンチ連結部221が矢印A方向に対して相対的に逆方向に回転するため、紐部222がねじれるのを防ぐことができる。
【0040】
一方、回転軸101に装着された切削ブレード102を取り外す場合は、固定ナット係合部200の係合突起204を回転軸101に固定された固定ナット103の係合孔103aに係合させ、トルクレンチ21の挿入突部210を回転力伝達孔202に挿入し、この状態において、図6(b)に示すように、ナット103を緩める方向(矢印B方向)にテコ部211を回す。そうすると、回転力伝達孔202を介して固定ナット係合部200に回転力が伝わり、ナット103を矢印B方向に回転させることができる。
【0041】
固定ナット103を緩める際は、回動部201が矢印B方向に回転すると、回転機構205の作用により固定ナット連結部220が矢印B方向に対して相対的に逆方向に回転するとともに、回転機構215の作用によりトルクレンチ連結部221が矢印B方向に対して相対的に逆方向に回転するため、紐部222がねじれるのを防ぐことができる。
【0042】
このようにして、回転する固定ナット締結手段20によって、回転軸101の雄ねじ部101bに固定された固定ナット103を緩める。そして、作業者が回動部201を同方向に回動させることにより固定ナット103を取り外し、次いで切削ブレード102を回転軸101から取り外す。
【0043】
こうして回転軸101に対するナット103の着脱が終わると、固定ナット締結手段20を固定ナット103から取り外さなければならないが、作業者が固定ナット103から固定ナット締結手段20を取り外すのを忘れて、切削手段10を稼働させようとすることがある。
【0044】
しかし、固定ナット締結手段20は、連結手段22によってトルクレンチ21に連結されているため、トルクレンチ21を固定ナット締結手段20から取り外す際に固定ナット締結手段20も引っ張られて固定ナット103からはずれる。そのため、作業者が固定ナット締結手段20を固定ナット103から取り外すのを忘れることがなく、固定ナット締結手段20が固定ナット103に取り付けられたまま切削手段10を稼働させてカバー手段104が破損したり、切削ブレード102が損傷したりすることを未然に防ぐことができる。
【0045】
なお、本実施形態で示した固定ナット着脱工具2は、切削装置1にのみ用いられるものではなく、回転軸に工具を固定する際に固定ナットを回転軸に締結する他の装置にも用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1:切削装置 1a:装置ベース
10:切削手段
100:ハウジング 101:回転軸 101b:雄ねじ部
102:切削ブレード 102a:切り刃 102b:貫通孔
103:固定ナット 103a:係合孔
104:カバー手段 104a:可動ブロック 104b:固定ブロック
105:ピストン 106:エアー供給口 107:切削水ノズル 107a:放出口
108:切削水供給口 109:洗浄水ノズル 110:洗浄水供給口
2:固定ナット着脱工具
20:固定ナット締結手段 200:固定ナット係合部
201:回動部 201a:端面 201b:外周面
202:回転力伝達孔 203:凹部 203a:底面 203b:収容孔
204:係合突起 205:回転機構
21:トルクレンチ 210:挿入突部 211:テコ部 212:回転中心部
213:ハンドル部 215:回転機構
22:連結手段 220:固定ナット連結部 221:トルクレンチ連結部
222:紐部
2 洗浄手段 3:ウエーハカセット 4:仮置き領域 5:搬出入手段
6:蛇腹 7:チャックテーブル 8a:第一の搬送手段 8b:第二の搬送手段
9:アライメント手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6