(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を
図1〜
図4に従って説明する。
(半導体パッケージの構造)
図1(a)に示すように、半導体パッケージ1は、金属板10と、第1絶縁層11と、半導体チップ12と、第2絶縁層20と、配線構造30と、ソルダレジスト層40とを有している。
【0011】
金属板10は、第1の面10A(
図1(a)では、上面)と第2の面10B(
図1(a)では、下面)と側面10Cとを有している。金属板10の厚さは、半導体チップ12よりも薄くなるように設定されている。具体的には、金属板10の厚さは、当該半導体パッケージ1の反り低減の観点から、例えば半導体チップ12の厚さの50〜95%程度であることが好ましい。より具体的には、金属板10の厚さは、例えば15〜70μm程度とすることができる。
図1(b)に示すように、金属板10は、当該半導体パッケージ1(例えば、
図1(a)に示した第1絶縁層11)の外縁を除く略全面に延在して形成されている。この金属板10の外形寸法は、当該半導体パッケージ1の外形寸法よりも小さく設定されている。また、金属板10の外形寸法は、半導体チップ12の外形寸法よりも大きく設定されている。金属板10の材料としては、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)やニッケル(Ni)などの金属又はこれらの金属を少なくとも一種以上含む合金を用いることができる。
【0012】
図1(a)に示すように、第1絶縁層11は、金属板10の第2の面10Bを覆うように形成されている。すなわち、第1絶縁層11の第1の面11A(
図1(a)では、上面)上に金属板10が形成されている。この第1絶縁層11は、当該半導体パッケージ1において、最表層の絶縁層となる。すなわち、第1絶縁層11は、当該半導体パッケージ1において、その第2の面11B(
図1(a)では、下面)が外部に露出する絶縁層である。この第1絶縁層11は、第1絶縁層11の厚さは、例えば20〜40μm程度とすることができる。第1絶縁層11の材料としては、例えば熱硬化性を有するエポキシ系又はアクリル系などの絶縁性樹脂を用いることができる。エポキシ系樹脂の場合の熱膨張係数は、ガラス転移温度Tg(例えば150℃)よりも低い場合には46ppm/℃程度、ガラス転移温度Tg以上の場合に120ppm/℃程度となる。なお、上記絶縁性樹脂としては、熱硬化性を有する樹脂に限定されず、感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。また、第1絶縁層11の材料としては、例えば窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミック材を用いることもできる。なお、第1絶縁層11の材料としては、当該半導体パッケージ1の反り低減の観点から、配線構造30内の層間絶縁層32と同一の材料であることが好ましい。
【0013】
半導体チップ12は、金属板10の第1の面10Aに接合部材13を介して接合されている。すなわち、半導体チップ12は、接合部材13により金属板10と熱的に接続されている。半導体チップ12としては、例えばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ12としては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。
【0014】
上記半導体チップ12は、例えば半導体基板からなる。この半導体基板の材料としては、例えばシリコン(Si)等を用いることができる。また、半導体チップ12は、第1の面12A(
図1(a)では、上面)側に半導体集積回路(図示略)が形成されている。この半導体集積回路は、図示は省略するが、上記半導体基板に形成された拡散層、半導体基板上に積層された絶縁層、及び積層された絶縁層に設けられたビア及び配線等を有している。そして、この半導体集積回路上には、該半導体集積回路と電気的に接続された電極パッド(図示略)が形成され、その電極パッド上に電極端子12Pが設けられている。電極端子12Pは、半導体チップ12の第1の面12Aから上方に延びる柱状に形成された導電性ポストである。電極端子12Pの高さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。電極端子12Pが円柱状に形成されている場合には、電極端子12Pの直径は例えば30〜50μm程度とすることができる。なお、この電極端子12Pの材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0015】
上記半導体チップ12の大きさは、例えば平面視で5mm×5mm〜9mm×9mm程度とすることができる。半導体チップ12の厚さは、例えば50〜200μm程度とすることができる。また、本実施形態では、半導体チップ12がシリコンからなり、その半導体チップ12の熱膨張係数が約3.4ppm/℃になる。なお、以下の説明では、半導体チップ12の第1の面12Aを回路形成面12Aと称する場合もある。
【0016】
また、上記接合部材13の材料としては、例えばシリコンポリマー系又はエポキシ系の樹脂を用いることができる。接合部材13の厚さは、例えば5〜20μm程度とすることができる。
【0017】
第2絶縁層20は、金属板10の第1の面10A及び側面10Cを覆うとともに、半導体チップ12の第1の面12A及び側面を覆うように形成されている。第2絶縁層20は、配線構造30側の第1の面20A(
図1(a)では、上面)が平坦になるように形成されている。第2絶縁層20の材料としては、例えば熱硬化性を有するエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。なお、絶縁性樹脂としては、熱硬化性を有する樹脂に限定されず、感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層11の第1の面11Aから第2絶縁層20の第1の面20Aまでの厚さは、例えば100〜180μm程度とすることができる。
【0018】
第2絶縁層20には、該第2絶縁層20を貫通して半導体チップ12の電極端子12Pの上面を露出するビアホールVH1が形成されている。
配線構造30は、配線層と層間絶縁層とが交互に積層されてなる。配線層は任意の層数とすることができ、層間絶縁層は各配線層が互いに絶縁されるような層厚とすることができる。
図1(a)に示す例では、配線構造30は、第1配線層31と、層間絶縁層32と、第2配線層33とを有している。このように、本実施形態の半導体パッケージ1は、一般的なビルドアップ法を用いて作製される半導体パッケージ(支持基材としてのコア基板の両面又は片面に所要数のビルドアップ層を順次形成して積層したもの)とは異なり、支持基材を含まない「コアレス構造」の形態を有している。
【0019】
第1配線層31は、第2絶縁層20上に形成されている。第1配線層31は、ビアホールVH1内に充填されたビア配線31Aと、第2絶縁層20上に形成された配線パターン31Bとを有している。ビア配線31Aは、ビアホールVH1の底部に露出した電極端子12Pと電気的に接続されるとともに、配線パターン31Bと電気的に接続されている。なお、ビアホールVH1及びビア配線31Aは、
図1(a)において下側(半導体チップ12側)から上側(第2配線層33側)に向かうにつれて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、これらビアホールVH1及びビア配線31Aの平面形状は例えば円形である。ビアホールVH1及びビア配線31Aの直径は例えば20〜40μm程度とすることができる。配線パターン31Bの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、第1配線層31の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0020】
層間絶縁層32は、第1配線層31を覆うように第2絶縁層20上に形成された最上層(最外層)の層間絶縁層(具体的には、第1絶縁層11とは反対側に位置する最外層の層間絶縁層)である。層間絶縁層32は、補強材入りの絶縁層であって、その他の第1及び第2絶縁層11,20よりも機械的強度(剛性や硬度等)が高い絶縁層である。この層間絶縁層32の材料としては、例えば熱硬化性樹脂に対し、補強材を入れた絶縁性樹脂を用いることができる。具体的には、層間絶縁層32の材料としては、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布に、エポキシ系やポリイミド系の熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることができる。また、層間絶縁層32の材料としては、当該層間絶縁層32の熱膨張係数が第1及び第2絶縁層11,20の熱膨張係数よりも半導体チップ12の熱膨張係数に近づくように調整された絶縁性樹脂であることが好ましい。換言すると、層間絶縁層32の材料としては、当該層間絶縁層32の熱膨張係数が第1及び第2絶縁層11,20の熱膨張係数よりも低くなるように調整された絶縁性樹脂であることが好ましい。具体的には、層間絶縁層32の熱膨張係数は、例えば18〜30ppm/℃程度に設定されている。なお、第2絶縁層20の第1の面20Aから層間絶縁層32の上面までの厚さは、例えば35〜70μm程度とすることができる。また、配線パターン31Bの上面から層間絶縁層32の上面までの厚さは、例えば20〜30μm程度とすることができる。なお、層間絶縁層32は、機械的強度を高める観点から、層間絶縁層32として補強材の入っていない絶縁性樹脂を用いた場合の厚さよりも厚く形成することが好適である。
【0021】
この層間絶縁層32には、該層間絶縁層32を貫通して第1配線層31の配線パターン31Bの上面を露出するビアホールVH2が形成されている。
第2配線層33は、層間絶縁層32上に形成された最上層(最外層)の配線層である。第2配線層33は、ビアホールVH2内に充填されたビア配線33Aと、層間絶縁層32上に形成された配線パターン33Bとを有している。ビア配線33Aは、ビアホールVH2の底部に露出した第1配線層31と電気的に接続されるとともに、配線パターン33Bと電気的に接続されている。なお、ビアホールVH2及びビア配線33Aは、
図1(a)において下側から上側に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、これらビアホールVH2及びビア配線33Aの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば50〜75μm程度とすることができる。配線パターン33Bの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。この配線パターン33Bは、例えば平面視でマトリクス状又はペリフェラル状に配置されている。なお、第2配線層33の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0022】
ソルダレジスト層40は、第2配線層33を覆うように層間絶縁層32上に形成されている。ソルダレジスト層40には、配線パターン33Bの一部を外部接続用パッド33Pとして露出させるための開口部40Xが形成されている。この外部接続用パッド33Pには、当該半導体パッケージ1をマザーボード等に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続されるようになっている。なお、必要に応じて、上記開口部40Xから露出する配線パターン33B上にOSP(Organic Solderbility Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。また、上記開口部40Xから露出する配線パターン33B上に金属層を形成し、その金属層に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、上記開口部40Xから露出する配線パターン33B(あるいは、配線パターン33B上にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0023】
なお、上記開口部40Xの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜300μm程度とすることができる。層間絶縁層32の上面からソルダレジスト層40の上面までの厚さは、例えば20〜40μm程度とすることができる。このソルダレジスト層40の材料としては、例えばエポキシ系又はアクリル系の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0024】
このような構造を有する半導体パッケージ1の大きさは、例えば平面視で8mm×8mm〜12mm×12mm程度とすることができる。また、半導体パッケージ1全体の厚さは、例えば300〜700μm程度とすることができる。
【0025】
ここで、従来の半導体パッケージの場合、つまり金属板10及び第1絶縁層11が形成されておらず、層間絶縁層32の代わりに第1及び第2絶縁層11,20と同一組成の絶縁性樹脂からなる層間絶縁層32Aが形成された半導体パッケージ5(
図16参照)の反りについて説明する。このような半導体パッケージ5では、例えば熱処理後の冷却の際に発生する収縮量は、半導体チップ12側ではその半導体チップ12の物性値(熱膨張係数及び弾性率等)、つまりシリコンの物性値に依存する。一方、従来の半導体パッケージ5の配線構造30側では、例えば熱処理後の冷却の際に発生する収縮量は、配線構造30の物性値、つまり層間絶縁層32Aの物性値に依存する。なお、上述したように、シリコンの熱膨張係数が3.4ppm/℃であるのに対し、層間絶縁層32Aとしてエポキシ系樹脂を用いる場合には、その熱膨張係数は、ガラス転移温度Tg(150℃)よりも低い場合に46ppm/℃、ガラス転移温度Tg以上で120ppm/℃となる。このように、従来の半導体パッケージ5では、その半導体パッケージ5を上下方向(厚さ方向)に見たときに物性値(熱膨張係数及び弾性率等)の分布が上下非対称になっている。このため、半導体パッケージ5に反りが発生しやすいという問題があった。
【0026】
(作用)
これに対し、本実施形態の半導体パッケージ1では、
図1(a)に示すように、半導体チップ12を中心にして配線構造30とは反対側に金属板10及び第1絶縁層11を形成するようにした。これにより、半導体チップ12の第1の面12A側に第1及び第2配線層31,33及び層間絶縁層32が積層された配線構造30が形成される一方で、第1の面12Aとは反対側にも金属板10及び第1絶縁層11が形成される。このため、半導体パッケージ1を上下方向(厚さ方向)に見たときの物性値(熱膨脹係数及び弾性率等)の分布が、半導体チップ12を中心にして上下対称に近い状態となる。したがって、半導体チップ12を中心とした上下の物性値のバランスが良好となり、熱収縮などに伴って半導体パッケージ1に反りや変形が発生することを抑制することができる。
【0027】
また、金属板10の側面を含む全面を第1絶縁層11及び第2絶縁層20により被覆するようにしたため、金属板10の酸化が抑制される。
(半導体パッケージの製造方法)
次に、上記半導体パッケージ1の製造方法を説明する。
【0028】
まず、半導体パッケージ1を製造するためには、
図2(a)に示すように、支持基板80を用意する。この支持基板80は、例えば平面視矩形状の平板である。この支持基板80としては、例えば金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅板を用いる。この支持基板80の厚さは、例えば70〜200μm程度である。なお、本実施形態の支持基板80としては、半導体パッケージ1が多数個取れる大判の基板を使用する。
図2〜
図4においては、説明の便宜上、1つの半導体パッケージ1となる部分を示している。
【0029】
次に、
図2(b)に示す工程では、支持基板80の第1の面80A(図中の上面)を覆うように、その第1の面80A上に第1絶縁層11を積層する。例えば支持基板80の第1の面80Aにフィルム状の第1絶縁層11をラミネートする。
【0030】
続いて、
図2(c)に示す工程では、第1絶縁層11の第1の面11A(図中の上面)を覆うように、その第1の面11A上に金属板10となる金属板10Dを積層する。この金属板10Dは、例えば熱圧着(加熱及び加圧)により第1絶縁層11に接着させるように第1絶縁層11上に積層される。具体的には、第1絶縁層11を加熱・加圧して硬化させるのと同時に金属板10Dを熱圧着し、第1絶縁層11上に金属板10Dを接着して積層する。
【0031】
次いで、
図2(d)に示す工程では、金属板10Dの第1の面10A上に、金属板10(
図1参照)の形成領域に対応する部分の金属板10Dを覆うようにレジスト層81を形成する。レジスト層81の材料としては、耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層81の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、金属板10Dの第1の面10Aにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層81を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層81を形成することができる。
【0032】
次に、レジスト層81をエッチングマスクとして金属板10Dをエッチングし、レジスト層81の形成されていない部分の金属板10Dを除去することで、
図2(e)に示すように金属板10を形成する。このようなパターニングにより、金属板10の外形寸法は第1絶縁層11の外形寸法よりも小さくなる。例えば金属板10Dとして銅板を用いる場合には、本工程のエッチング液として塩化第二鉄水溶液を用いることができ、金属板10Dの第1の面10A側からスプレーエッチングを施すことにより上記パターニングを行うことができる。なお、このような金属板10のパターニング終了後に、レジスト層81を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
【0033】
続いて、
図2(f)に示す工程では、第1絶縁層11の第1の面11A上に、金属板10の第1の面10A及び側面10Cを覆うように絶縁層21(第3絶縁層)を形成する。なお、絶縁層21は、例えば第1絶縁層11の第1の面11A上に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。
【0034】
次いで、
図3(a)に示す工程では、半導体チップ12が搭載される搭載面に対応する部分の金属板10が露出されるように、絶縁層21に開口部21Xを形成する。本工程では、開口部21Xを、図示のように下側(金属板10側)から上側に向かうにつれて径が大きくなるテーパ状になるように形成する。このような開口部21Xは、例えばCO
2レーザ、UV−YAGレーザ等によるレーザ加工法やウェットブラスト等のブラスト法によって形成することができる。
【0035】
続いて、開口部21Xをレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、開口部21X内の樹脂残渣(樹脂スミア)を除去する。このデスミア処理は、例えば過マンガン酸塩法などを用いて行うことができる。
【0036】
次に、
図3(b)に示す工程では、開口部21Xから露出された金属板10の第1の面10A上に半導体チップ12を搭載する。具体的には、半導体チップ12の回路形成面12Aとは反対側の面が金属板10と対向するように、つまりフェイスアップの状態で半導体チップ12を第1の面10A上に接合部材13により接合する。例えば金属板10の第1の面10Aに予め接合部材13を塗布しておき、フェイスアップの状態で第1の面10A上に配置された半導体チップ12を加熱・加圧することにより、接合部材13を介して第1の面10A上に半導体チップ12を接合する。このとき、先の工程で形成された絶縁層21は、その第1の面(
図3(b)では、上面)21Aが半導体チップ12の回路形成面12Aよりも高くなるように形成されている。すなわち、第1絶縁層11上に形成された絶縁層21は、金属板10の厚さと接合部材13の厚さと半導体チップ12の厚さとを合算した厚さよりも厚くなるように形成されている。換言すると、絶縁層21の開口部21Xは、接合部材13の厚さと半導体チップ12の厚さとを合算した厚さよりも深くなるように形成されている。このように、半導体チップ12は、開口部21X内に収容される形で金属板10上に搭載される。
【0037】
続いて、
図3(c)に示す工程では、金属板10の第1の面10A、半導体チップ12の第1の面12A及び側面、電極端子12P、及び絶縁層21の第1の面21Aを覆うように絶縁層22(第4絶縁層)を形成する。これにより、絶縁層21及び絶縁層22によって構成される第2絶縁層20が形成される。なお、電極端子12P上に形成された絶縁層22の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。ここで、上記絶縁層22は、例えば絶縁層21の第1の面21A上に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。このとき、上述したように絶縁層21の第1の面21Aが半導体チップ12の第1の面12Aよりも高く形成されているため、絶縁層22の第1の面(
図3(c)では、上面)22A、つまり第2絶縁層20の第1の面20Aを平坦に形成することができる。さらに、絶縁層21の開口部21Xが図中の下側から上側に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されているため、絶縁層21と半導体チップ12との隙間への樹脂の流動性が向上し、絶縁層22中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。なお、絶縁層22を真空雰囲気中でラミネートすることにより、絶縁層22中へのボイドの巻き込みをさらに抑制することができる。
【0038】
次に、
図3(d)に示す工程では、半導体チップ12の回路形成面12Aに形成された電極端子12Pの上面が露出されるように、絶縁層22の所定箇所にビアホールVH1を形成する。このビアホールVH1は、例えばCO
2レーザやUV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、絶縁層22が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要のビアホールVH1を形成するようにしてもよい。
【0039】
続いて、ビアホールVH1をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、ビアホールVH1内の樹脂スミアを除去する。このデスミア処理は、例えば過マンガン酸塩法などを用いて行うことができる。
【0040】
次いで、
図4(a)に示す工程では、第2絶縁層20のビアホールVH1にビア導体を充填してビア配線31Aを形成するとともに、そのビア配線31Aを介して電極端子12Pに電気的に接続される配線パターン31Bを絶縁層22上に形成する。これらビア配線31A及び配線パターン31B、つまり第1配線層31は、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0041】
次に、
図3(c)〜
図4(a)に示した工程を繰り返すことにより、層間絶縁層32と第2配線層33とを交互に積層する。詳述すると、
図4(b)に示すように、絶縁層22及び第1配線層31上に層間絶縁層32を形成し、この層間絶縁層32に、配線パターン31Bの上面に達するビアホールVH2を形成する。その後、上記ビアホールVH2にビア配線33Aを形成するとともに、そのビア配線33Aに電気的に接続される配線パターン33Bを形成する。
【0042】
続いて、
図4(c)に示す工程では、層間絶縁層32及び第2配線層33上に、開口部40Xを有するソルダレジスト層40を積層する。このソルダレジスト層40は、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダレジスト層40の開口部40Xから配線パターン33Bの一部が外部接続用パッド33Pとして露出される。なお、必要に応じて、外部接続用パッド33P上に、例えばNi層とAu層をこの順番で積層した金属層を形成するようにしてもよい。この金属層は、例えば無電解めっき法により形成することができる。
【0043】
次いで、
図4(d)に示す工程では、仮基板として用いた支持基板80(
図4(c)参照)を除去する。これにより、本実施形態の半導体パッケージ1を製造することができる。例えば支持基板80として銅板を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、支持基板80の除去を行うことができる。この際、半導体パッケージ1の下面側には第1絶縁層11が露出されているため、銅板である支持基板80のみを選択的にエッチングすることができる。但し、第2配線層33が銅層である場合には、開口部40Xの底部に露出する第2配線層33が支持基板80とともにエッチングされることを防止するため、第2配線層33をマスクして上記ウェットエッチングを行う必要がある。
【0044】
その後、
図4(d)に示した構造体を個々の半導体パッケージ1に対応する領域(図中の矢印参照)で切断することにより、
図1に示した半導体パッケージ1を得ることができる。
【0045】
(モデリング結果)
次に、金属板10の厚さを変化させた場合の半導体パッケージ1の反り量を計算によって求めた結果について説明する。詳述すると、半導体パッケージ1の平面形状を8mm×8mmとし、半導体チップ12の平面形状を5mm×5mm、厚さを100μm(接着層13の厚さを10μm、半導体チップ12の厚さを75μm、ポスト12Pの厚さを15μm)とし、半導体チップ12の下面に金属板10と第1絶縁層11とを設けたモデルを仮定した。このモデルでは、第1絶縁層11の厚さを25μm、金属板10の第1の面10Aから第2絶縁層20の第1の面20Aまでの厚さを125μm(金属板10の第1の面10Aから絶縁層21の第1の面21Aまでの厚さを95μm、絶縁層21の第1の面21Aから絶縁層22の第1の面22Aまでの厚さを30μm)と仮定した。また、上記モデルでは、配線パターン31B,33Bの厚さをそれぞれ15μm、層間絶縁層32の厚さを30μmと仮定し、金属板10と配線パターン31B,33Bとの物性値を同一、第1絶縁層11と第2絶縁層20との物性値を同一と仮定した。そして、金属板10、半導体チップ12、第1及び第2絶縁層11,20及び配線構造30の物性値を固定値とし、金属板10の厚さを変化させた場合の反り量を計算によって求めた。求めた反り量の一例を表1に示す。
【0046】
【表1】
表1の結果から明らかなように、金属板10の厚さを35μmとした場合に半導体パッケージ1の反り量を最も小さくすることができる。この理由については、以下のように考察することができる。
【0047】
上記モデルでは、半導体チップ12の回路形成面12Aよりも上層に形成される配線層(配線パターン31B,33B)の厚さの合計が30(=15+15)μmとなる。これに対し、半導体チップ12の回路形成面12Aと反対側の面よりも下層に形成される金属板10の厚さを35μmとすることで、半導体パッケージ1を上下方向に見たときの半導体チップ12を中心とした物性値の分布を、計算した3値の中で最も上下対称に近づけることができる。これにより、金属板10の厚さを35μmとした場合に反り量を最も小さくできたものと考えられる。以上の結果及び考察から、金属板10の厚さを、配線構造30内の全ての配線層(ここでは、配線パターン31B,33B)の厚さを合計した厚さに近づけることにより、半導体パッケージ1の反りを効果的に低減できると考えられる。
【0048】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)半導体チップ12を中心にして配線構造30とは反対側に金属板10及び第1絶縁層11を形成するようにした。これにより、半導体パッケージ1を上下方向に見たときの熱膨脹係数及び弾性率の分布が、半導体チップ12を中心にして上下対称に近い状態となる。したがって、半導体チップ12を中心とした上下の熱膨脹係数及び弾性率のバランスが良好となり、熱収縮などに伴って発生する半導体パッケージ1の反りを低減することができる。
【0049】
ところで、金属板10及び第1絶縁層11の代わりに、0.5〜1mm程度の厚い金属板を半導体チップ12の下面に設けて半導体パッケージ全体の機械的強度を増加させることによっても、半導体パッケージの反りを低減することは可能である。しかしながら、この場合には上記厚い金属板によって半導体パッケージ1の薄型化が阻害されるという新たな問題が生じる。これに対し、本実施形態の半導体パッケージ1では、半導体チップ12よりも薄い金属板10を採用しているため、半導体パッケージ1の反りを低減しつつも、半導体パッケージ1の大型化を抑制することができる。
【0050】
なお、例えば配線構造30内の配線層の総厚が半導体チップ12より厚くなった場合には、半導体チップ12を中心とした物性値の分布の対称性が劣化する。しかし、金属板10及び第1絶縁層11を設けたことにより、それらを設けない場合と比べて、半導体チップ12を中心とした物性値の分布を上下対称に近づけることができるため、半導体パッケージ1の反りを低減することができる。
【0051】
(2)金属板10を第1絶縁層11及び第2絶縁層20により被覆するようにしたため、金属板10の酸化が抑制される。これにより、金属板10の酸化に起因して熱伝導性が低下するといった問題の発生を好適に抑制することができる。
【0052】
(3)最外層の層間絶縁層32の熱膨脹係数を、第1及び第2絶縁層11,20の熱膨脹係数よりも半導体チップ12の熱膨張係数に近くなるように設定した。これにより、例えば熱処理後の冷却の際に半導体チップ12よりも上層側(配線構造30側)に発生する収縮量を、半導体チップ12側(半導体チップ12、金属板10及び第1絶縁層11)に発生する収縮量に近づけることができる。したがって、半導体パッケージ1に生じる反りを低減することができる。
【0053】
(4)半導体チップ12を接合部材13を介して金属板10に接合するようにした。これにより、半導体チップ12が金属板10と熱的に接続されるため、半導体チップ12で発生した熱を効率良く放熱することができる。
【0054】
(5)絶縁層21の第1の面21Aが半導体チップ12の回路形成面12Aよりも高くなるように絶縁層21を形成するようにした。これにより、絶縁層21の第1の面21A上に積層され、半導体チップ12の回路形成面12Aを被覆する絶縁層22の第1の面22Aを平坦に形成することができる。
【0055】
(6)絶縁層21の開口部21Xを下側(金属板10側)から上側に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状になるように形成した。これにより、絶縁層21上に絶縁層22を形成する際において、絶縁層21と半導体チップ12との隙間への樹脂の流動性が向上するため、絶縁層22中へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0056】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を
図5〜
図9に従って説明する。この実施形態の半導体パッケージ1Aは、金属板10と同一平面上に、第1配線層31と接続される接続パッド50Pが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図4に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0057】
図5(a)に示すように、第1絶縁層11の第1の面11A上には、金属板10が形成されるとともに、その金属板10と電気的に分離された導電層50が形成されている。
図5(b)に示すように、金属板10は、当該半導体パッケージ1A(例えば、
図5(a)に示した第1絶縁層11)の外縁を除く略全面に延在して形成されており、導電層50の外周にも延在して形成されている。具体的には、金属板10には、導電層50の形成される領域に、その導電層50よりも平面形状が大きい平面視略円形状の開口部10Xが形成されている。そして、この開口部10X内に平面視略円形状の導電層50が形成されている。このため、金属板10と導電層50との間には、それら金属板10及び導電層50から第2絶縁層20が円環状に露出されている。
【0058】
また、
図5(a)に示すように、第1絶縁層11には、導電層50の一部を上記接続パッド50Pとして露出させるための開口部11Xが形成されている。この接続パッド50Pは、他の半導体パッケージ4(
図6参照)等と電気的に接続される。なお、開口部11X及び接続パッド50Pの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜200μm程度とすることができる。これら開口部11X及び接続パッド50Pは、半導体チップ12の外周に沿った環状の形態、いわゆるペリフェラル状に形成されている。
【0059】
導電層50としては、例えば第1絶縁層11から露出する面側から配線構造30側に向かってAu層とNi層を順に積層した金属層上にCu層等を積層したものを挙げることができる。なお、この場合、Au層の厚さは例えば0.1〜1μm程度とすることができ、Ni層の厚さは例えば1〜10μm程度とすることができ、Cu層の厚さは例えば10〜40μm程度とすることができる。
【0060】
第2絶縁層20には、上記ビアホールVH1が形成されるとともに、当該第2絶縁層20を貫通して導電層50の上面を露出するビアホールVH3が形成されている。
第1配線層31は、ビアホールVH1内に充填されたビア配線31Aと、ビアホールVH3内に充填されたビア配線31Cと、第2絶縁層20上に形成された配線パターン31Bとを有している。ビア配線31Cは、ビアホールVH3の底部に露出した導電層50と電気的に接続されるとともに、配線パターン31Bと電気的に接続されている。なお、ビアホールVH3及びビア配線31Cは、
図5(a)において下側(第1絶縁層11側)から上側(第2配線層33側)に向かうにつれて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、これらビアホールVH3及びビア配線31Cの平面形状は例えば円形である。ビアホールVH3及びビア配線31Cの直径は例えば50〜100μm程度とすることができる。なお、ビア配線31Cの材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0061】
(半導体装置の構造)
次に、半導体装置3の構造を
図6に従って説明する。なお、
図6において、半導体パッケージ1Aは
図5(a)とは上下を反転して描かれている。
【0062】
図6に示すように、半導体装置3は、上述した半導体パッケージ1Aと、その半導体パッケージ1Aに積層接合された半導体パッケージ4とを有している。
半導体パッケージ4は、配線基板60と、その配線基板60にフリップチップ実装された第1の半導体チップ71と、第1の半導体チップ71の上に接着された第2の半導体チップ72とを有している。また、半導体パッケージ4は、第1の半導体チップ71と配線基板60との隙間を充填するように設けられたアンダーフィル樹脂73と、第1の半導体チップ71及び第2の半導体チップ72等を封止する封止樹脂74とを有している。なお、第1の半導体チップ71の平面形状は、第2の半導体チップ72の平面形状よりも大きく形成されている。
【0063】
配線基板60は、基板本体61と、基板本体61の上面に形成されたチップ用パッド62及びボンディング用パッド63と、基板本体61の下面に形成された外部接続端子64とを有している。
【0064】
基板本体61は、図示は省略するが、複数の絶縁層と、複数の絶縁層に形成されたビア及び配線等から構成されている。基板本体61に設けられたビア及び配線は、チップ用パッド62、ボンディング用パッド63及び外部接続端子64を電気的に接続している。基板本体61としては、例えばコアレス基板や、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板等を用いることができる。
【0065】
チップ用パッド62には、第1の半導体チップ71のバンプ71Aがフリップチップ接合されている。また、ボンディング用パッド63は、ボンディングワイヤ75を介して、第2の半導体チップ72の上面に形成された電極パッド(図示略)と電気的に接続されている。これらチップ用パッド62及びボンディング用パッド63の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。また、チップ用パッド62及びボンディング用パッド63は、銅層の表面に金属層(例えば、Au層、Ni/Au層やNi/Pd/Au層など)を施して形成するようにしてもよい。
【0066】
外部接続端子64は、半導体パッケージ1,4間を接続するための接続端子(例えば、はんだボールやリードピン)である。それぞれの外部接続端子64は、上記半導体パッケージ1に配設されている接続パッド50Pの各々に対向するように設けられている。
【0067】
アンダーフィル樹脂73は、第1の半導体チップ71のバンプ71Aとチップ用パッド62との接続部分の接続強度を向上させるための樹脂であり、配線基板60の上面と第1の半導体チップ71の下面との隙間を充填するように設けられている。なお、アンダーフィル樹脂73の材料としては、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0068】
封止樹脂74は、第1の半導体チップ71、第2の半導体チップ72、ボンディングワイヤ75及びボンディング用パッド63を封止するように基板本体61の上面に設けられている。この封止樹脂74の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。封止方法としては、例えばトランスファーモールド法を用いることができる。
【0069】
そして、半導体装置3では、半導体パッケージ4の下面に形成された外部接続端子64が、半導体パッケージ1Aの上面に形成された接続パッド50Pに接合されている。これにより、半導体パッケージ1Aと半導体パッケージ4とが積層接合され、POP(Package on Package)構造の半導体装置3が形成されている。
【0070】
(半導体パッケージの製造方法)
次に、上記半導体パッケージ1Aの製造方法を説明する。
まず、
図7(a)に示す工程では、先の
図2(a)〜
図2(c)に示した工程と同様の製造工程により、支持基板80上に第1絶縁層11と金属板10Dとを順に積層する。その後、金属板10Dの第1の面10A(
図7(a)では、上面)に、開口部82Xを有するレジスト層82を形成する。開口部82Xは、上記金属板10及び導電層50の形成領域に対応する部分以外の金属板10Dを露出するように形成される。レジスト層82の材料としては、耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層82の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。
【0071】
次に、レジスト層82をエッチングマスクとして金属板10Dをエッチングし、レジスト層82の形成されていない部分の金属板10Dを除去することで、
図7(b)に示すように金属板10及び導電層50を形成する。このようなパターニングにより、金属板10の外形寸法は第1絶縁層11の外形寸法よりも小さくなるとともに、金属板10及び導電層50が互いに電気的に分離される。なお、このような金属板10のパターニング終了後に、レジスト層82を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
【0072】
続いて、
図7(c)に示す工程では、先の
図2(f)〜
図3(b)に示した工程と同様の製造工程により、第1絶縁層11上に導電層50を覆う絶縁層21を形成し、その絶縁層21に開口部21Xを形成する。そして、絶縁層21の開口部21Xから露出された金属板10上にフェイスアップの状態で半導体チップ12を接合部材13により接合する。このとき、絶縁層21は、その第1の面(
図7(c)では、上面)21Aが半導体チップ12の回路形成面12Aよりも高くなるように形成される。
【0073】
次いで、
図7(d)に示す工程では、先の
図3(c)〜
図3(d)に示した工程と同様の製造工程により、半導体チップ12の第1の面12A及び側面を覆うように絶縁層22を形成し、その絶縁層22にビアホールVH1,VH3を形成する。
【0074】
次に、
図8(a)に示す工程では、ビアホールVH1,VH3にビア導体を充填してビア配線31A,31Cを形成するとともに、それらビア配線31A,31Cを介して電極端子12P及び導電層50に電気的に接続される配線パターン31Bを形成する。これにより、ビア配線31A,31C及び配線パターン31Bからなる第1配線層31が形成される。その後、第1配線層31上に層間絶縁層32及び第2配線層33を順次積層し、配線パターン33Bの一部を外部接続用パッド33Pとして露出させるための開口部40Xを有するソルダレジスト層40を形成する。
【0075】
次に、
図8(b)に示す工程では、仮基板として用いた支持基板80(
図8(a)参照)をウェットエッチング等により除去する。続いて、導電層50の下面の一部が外部に露出されるように、第1絶縁層11の所要箇所に開口部11Xを形成する。この開口部11Xは、例えばCO
2レーザ、UV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、第1絶縁層11が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要の開口部11Xを形成するようにしてもよい。これにより、第1絶縁層11の開口部11Xから導電層50の一部が接続パッド50Pとして露出される。なお、必要に応じて、接続パッド50Pに表面処理を行うようにしてもよい。例えば無電解めっき法により、Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層を形成するようにしてもよいし、Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層を形成するようにしてもよい。
【0076】
その後、個々の半導体パッケージ1Aに対応する領域で切断することにより、
図8(b)に示した半導体パッケージ1Aを得ることができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置3の製造方法を説明する。
【0077】
まず、
図9に示すように、半導体パッケージ4を用意する。ここでは、図示を省略して詳細な説明を割愛するが、半導体パッケージ4は例えば以下のような方法で製造される。すなわち、チップ用パッド62、ボンディング用パッド63及び外部接続端子64を有する配線基板60を形成し、その配線基板60の上面に形成されたチップ用パッド62に第1の半導体チップ71のバンプ71Aをフリップチップ接合する。続いて、配線基板60と第1の半導体チップ71との間にアンダーフィル樹脂73を形成した後、第1の半導体チップ71の上に第2の半導体チップ72を接着剤により接着する。次いで、第2の半導体チップ72の上面に形成された電極パッド(図示略)と配線基板60の上面に形成されたボンディング用パッド63との間をボンディングワイヤ75によりワイヤボンディング接続した後、第1及び第2の半導体チップ71,72及びボンディングワイヤ75等を封止樹脂74で樹脂封止する。
【0078】
続いて、半導体パッケージ1Aの各接続パッド50Pに、半導体パッケージ4の外部接続端子64が対向するように、半導体パッケージ1A,4を位置合わせする。このとき、半導体パッケージ4の外部接続端子64には図示しないフラックスが転写されている。
【0079】
次いで、上述のように位置合わせされ半導体パッケージ4が半導体パッケージ1上に載置されると、その構造体がリフロー炉(図示略)に搬送される。そして、このリフロー炉内では外部接続端子64(ここでは、はんだボール)がリフローされ、接続パッド50P部分で半導体パッケージ1A,4が接合される。これにより、
図6に示したPOP構造の半導体装置3が製造される。なお、このとき、半導体パッケージ1Aが平坦な状態に保持されているため、その半導体パッケージ1Aに半導体パッケージ4を容易に積層接合させることができる。
【0080】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を
図10〜
図13に従って説明する。この実施形態の半導体パッケージ1Bは、第2絶縁層20の厚さ方向の中途位置に、第1配線層31と接続される接続パッド51Pが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図9に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0081】
第2絶縁層20は、絶縁層23と絶縁層24とを有している。これら絶縁層23,24の材料としては、例えば熱硬化性を有するエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。なお、上記絶縁性樹脂としては、熱硬化性を有する樹脂に限定されず、感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。
【0082】
絶縁層23は、第1絶縁層11の第1の面11A、金属板10の第1の面10A及び側面10C、及び半導体チップ12の側面の一部を覆うように形成されている。第1絶縁層11の第1の面11A上に形成された絶縁層23の厚さは、例えば40〜70μm程度とすることができる。
【0083】
絶縁層23の第1の面23A(
図10では、上面)には導電層51が形成されている。また、絶縁層23及び第1絶縁層11には、導電層51の一部を上記接続パッド51Pとして露出させるための開口部11Yが形成されている。この接続パッド51Pは、他の半導体パッケージ4(
図6参照)等と電気的に接続される。なお、開口部11Y及び接続パッド51Pの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜200μm程度とすることができる。これら開口部11Y及び接続パッド51Pは、半導体チップ12の外周に沿った環状の形態、いわゆるペリフェラル状に形成されている。
【0084】
上記導電層51としては、例えば第1絶縁層11から露出する面側から配線構造30側に向かってAu層とNi層を順に積層した金属層上にCu層等を積層したものを挙げることができる。なお、この場合、Au層の厚さは例えば0.1〜1μm程度とすることができ、Ni層の厚さは例えば1〜10μm程度とすることができ、Cu層の厚さは例えば10〜40μm程度とすることができる。
【0085】
絶縁層24は、半導体チップ12の側面の一部及び第1の面12A、及び導電層51の上面及び側面を覆うように形成されている。絶縁層23の第1の面23A上に形成された絶縁層24の厚さは、例えば50〜100μm程度とすることができる。この絶縁層24には、当該絶縁層24を貫通して電極端子12Pの上面を露出するビアホールVH1と、当該絶縁層24を貫通して導電層51の上面を露出するビアホールVH4とが形成されている。
【0086】
第1配線層31は、ビアホールVH1内に充填されたビア配線31Aと、ビアホールVH4内に充填されたビア配線31Dと、第2絶縁層20(絶縁層24)上に形成された配線パターン31Bとを有している。ビア配線31Dは、ビアホールVH4の底部に露出した導電層51と電気的に接続されるとともに、配線パターン31Bと電気的に接続されている。なお、ビアホールVH4及びビア配線31Dは、
図10において下側(第1絶縁層11側)から上側(第2配線層33側)に向かうにつれて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、これらビアホールVH4及びビア配線31Dの平面形状は例えば円形である。ビアホールVH4及びビア配線31Dの直径は例えば20〜80μm程度とすることができる。なお、ビア配線31Dの材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0087】
なお、第1絶縁層11の第1の面11A上に形成された金属板10は、上記第2実施形態の金属板10と同様に、当該半導体パッケージ1B(例えば、第1絶縁層11)の外縁を除く略全面に延在して形成されており、平面視したときに導電層51の外周にも延在して形成されている。そして、金属板10には、導電層51と対向する領域に、その導電層51よりも平面形状が大きい平面視略円形状の開口部10Xが形成されている。
【0088】
(半導体パッケージの製造方法)
次に、上記半導体パッケージ1Bの製造方法を説明する。
まず、
図11(a)に示す工程では、先の
図2(a)〜
図2(e)に示した工程と同様の製造工程により、支持基板80上に第1絶縁層11と金属板10Dとを順に積層し、金属板10Dをパターニングして開口部10Xを有する金属板10を形成する。この金属板10は、
図11(b)に示すように、第1絶縁層11の外縁を除く略全面に延在して形成されている。また、金属板10には、後工程で半導体チップ12が搭載される領域(破線枠参照)よりも外側に複数の開口部10Xが形成されている。なお、
図11(b)において、開口部10X内の破線円は、後工程で形成される接続パッド51Pの形成領域を示している。
【0089】
続いて、
図12(a)に示す工程では、第1絶縁層11の第1の面11A上に、金属板10の第1の面10A及び側面10Cを覆うように絶縁層23を形成する。なお、絶縁層23は、例えば第1絶縁層11の第1の面11A上に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。
【0090】
次に、
図12(b)に示す工程では、金属板10の開口部10Xと対向する位置に形成された絶縁層23の第1の面23A上に所定パターンの導電層51を形成する。この導電層51は、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0091】
続いて、
図12(c)に示す工程では、導電層51の上面及び側面を覆うように、絶縁層23の第1の面23A上に絶縁層25を形成する。なお、絶縁層25は、例えば絶縁層23の第1の面23A上に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。
【0092】
次いで、
図13(a)に示す工程では、半導体チップ12が搭載される搭載面に対応する部分の金属板10が露出されるように、絶縁層23及び絶縁層25を貫通する開口部23Xを形成する。本工程では、開口部23Xを、図示のように下側(金属板10側)から上側に向かうにつれて径が大きくなるテーパ状になるように形成する。このような開口部23Xは、例えばCO
2レーザ、UV−YAGレーザ等によるレーザ加工法やウェットブラスト等のブラスト法によって形成することができる。
【0093】
次に、
図13(b)に示す工程では、開口部23Xから露出された金属板10上にフェイスアップの状態で半導体チップ12を接合部材13により接合する。このとき、絶縁層25は、その第1の面(
図13(b)では、上面)25Aが半導体チップ12の回路形成面12Aよりも高くなるように形成されている。続いて、先の
図3(c)〜
図3(d)に示した工程と同様の製造工程により、半導体チップ12の第1の面12A及び側面を覆うように絶縁層26を形成し、その絶縁層26にビアホールVH1,VH4を形成する。
【0094】
続いて、
図13(c)に示す工程では、ビアホールVH1,VH4にビア導体を充填してビア配線31A,31Dを形成するとともに、それらビア配線31A,31Dを介して電極端子12P及び導電層51に電気的に接続される配線パターン31Bを形成する。これにより、ビア配線31A,31D及び配線パターン31Bからなる第1配線層31が形成される。次いで、第1配線層31上に層間絶縁層32及び第2配線層33を順次積層し、配線パターン33Bの一部を外部接続用パッド33Pとして露出させるための開口部40Xを有するソルダレジスト層40を形成する。その後、先の
図8(b)に示した工程と同様の製造工程により、支持基板80がウェットエッチング等により除去され、導電層51の下面の一部が外部に露出されるように、第1絶縁層11及び絶縁層23の所要箇所に開口部11Yが形成される。そして、個々の半導体パッケージ1Bに対応する領域(図中の矢印参照)で切断することにより、
図10に示した半導体パッケージ1Bを得ることができる。
【0095】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0096】
・上記各実施形態の半導体パッケージ1,1A,1Bでは、1つの半導体チップ12を内蔵するようにした。これに限らず、例えば
図14に示されるように、複数の半導体チップ12を内蔵する半導体パッケージ1Cに具体化するようにしてもよい。また、例えば内蔵される複数の半導体チップ12のうち少なくとも1つの半導体チップ12の代わりに、チップ抵抗やチップコンデンサ等の電子部品を内蔵するようにしてもよい。この場合であっても、配線構造30の層間絶縁層のうち第1絶縁層11とは反対側の最外層の層間絶縁層32は、補強材入りの絶縁層であることが好ましい。
【0097】
・上記各実施形態では、第1絶縁層11とは反対側の最外層の層間絶縁層32を、補強材入りの絶縁層とした。また、その層間絶縁層32の熱膨張係数を、第1及び第2絶縁層11,20の熱膨脹係数よりも半導体チップ12の熱膨張係数に近くなるように設定した。これに限らず、例えば
図15に示される半導体パッケージ1Dのように、第1絶縁層11とは反対側の最外層の層間絶縁層32Aを、補強材の入っていない絶縁層としてもよい。この場合の層間絶縁層32Aの材料としては、第2絶縁層20と同一の絶縁性樹脂を用いることができる。具体的には、層間絶縁層32Aの材料としては、例えば熱硬化性を有するエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。なお、上記絶縁性樹脂としては、熱硬化性を有する樹脂に限定されず、感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。
【0098】
・上記各実施形態では、金属板10の側面を第2絶縁層20で被覆するようにした。これに限らず、例えば金属板10の側面を第1絶縁層11で被覆するようにしてもよい。この場合、例えば
図2(a)〜
図2(e)に示した製造工程により、支持基板80上に第1絶縁層11を形成し、その第1絶縁層11上に金属板10を形成した後に、その金属板10を第1絶縁層11内に埋め込むようにしてもよい。例えば
図2(e)に示した構造体からレジスト層81を除去した後に、その除去後の構造体を一対の押圧治具の間に配置し、両面側から150〜200℃程度の温度で加熱・加圧することにより、金属板10を第1絶縁層11内に埋め込むようにしてもよい。
【0099】
・上記各実施形態では、絶縁層21,25(第3絶縁層)を形成し、その絶縁層21,25に開口部21X,23Xを形成した後に、その開口部21X,23Xから露出する金属板10上に半導体チップ12を接合するようにした。そして、その半導体チップ12の第1の面12A及び側面を覆うように絶縁層22,26(第4絶縁層)を形成するようにした。これに限らず、例えば第2絶縁層20(絶縁層21〜26)を形成する前に、金属板10上に半導体チップ12を接合し、その半導体チップ12の第1の面12A及び側面を覆うように第2絶縁層20を第1絶縁層11上に形成するようにしてもよい。
【0100】
・上記各実施形態では、多数個取りの製造方法に具体化したが、単数個取り(一個取り)の製造方法に具体化してもよい。すなわち、支持基板80上に1つの半導体パッケージ1,1A,1Bを作製するようにしてもよい。
【0101】
・上記各実施形態の半導体パッケージ1,1A,1Bの製造方法では、支持基板80の片側に形成した金属板10上に半導体チップ12を接合するとともに、主にビルドアップ工法により支持基板80の片側に配線層及び絶縁層を積層し、最後に支持基板80を除去して半導体パッケージ1,1A,1Bを製造するようにした。これに限らず、例えば支持基板80の両側に第1絶縁層11及び金属板10を積層し、それら両側に形成された金属板10にそれぞれ半導体チップ12を固定するようにしてもよい。さらに、主にビルドアップ工法により支持基板80の両側それぞれに配線層及び絶縁層を積層し、最後に支持基板80を除去して複数の半導体パッケージ1,1A,1Bを製造するようにしてもよい。
【0102】
・上記各実施形態における半導体パッケージ1,1A,1Bの層の数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
・上記第2実施形態における半導体パッケージ4の配線基板60に実装される半導体チップの数や、その半導体チップの実装の形態(例えばフリップチップ実装、ワイヤボンディングによる実装、又はこれらの組み合わせ)などは様々に変形・変更することが可能である。
【0103】
[実施例]
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態及びその変形例をさらに具体的に説明する。
【0104】
ここでは、金属板10及び第1絶縁層11を設けた半導体パッケージ(実施例1,2)と、金属板10及び第1絶縁層11を設けていない半導体パッケージ(比較例1)と、第1絶縁層11を設けていない半導体パッケージ(比較例2)との各々について反りの温度依存性評価を行った。
【0105】
(実施例1)
実施例1の半導体パッケージは、
図1に示した半導体パッケージ1である。評価条件としては、半導体パッケージ1の平面形状を8mm×8mmとし、半導体チップ12の平面形状を5mm×5mmとし、半導体チップ12の厚さを75μmとした。また、半導体パッケージ1全体の厚さを280μmとした。具体的には、第1絶縁層11の厚さを25μm、金属板10の厚さを35μm、金属板10の第1の面10Aから第2絶縁層20の第1の面20Aまでの厚さを140μm(金属板10の第1の面10Aから絶縁層21の第1の面21Aまでの厚さを95μm、絶縁層21の第1の面21Aから絶縁層22の第1の面22Aまでの厚さを45μm)とした。また、配線パターン31B,33Bの厚さをそれぞれ15μmとし、層間絶縁層32の厚さを30μm、ソルダレジスト層40の厚さを20μmとした。なお、電極端子12Pの高さは25μmとした。
【0106】
(実施例2)
実施例2の半導体パッケージは、
図15に示した半導体パッケージ1Dであり、実施例1の半導体パッケージから最外層の層間絶縁層32Aを補強材の入っていない絶縁層に変更した構造を有している。評価条件としては、層間絶縁層32Aの厚さを25μmに設定した点のみが上記実施例1と異なる。
【0107】
(比較例1)
比較例1の半導体パッケージは、
図16に示される半導体パッケージ5である。この半導体パッケージ5は、実施例2の半導体パッケージから金属板10及び第1絶縁層11を省略した構造を有しており、金属板10及び第1絶縁層11を省略した点以外は、実施例2と同一の条件である。
【0108】
(比較例2)
比較例2の半導体パッケージは、
図17に示される半導体パッケージ6である。この半導体パッケージ6は、実施例1の半導体パッケージから第1絶縁層11を省略し、金属板10の代わりに第2絶縁層20と同一の外形寸法を有する金属板90を形成した構造を有している。なお、第1絶縁層11を省略した点及び金属板90の厚さを35μmに設定した点のみが上記実施例1と異なる。
【0109】
(測定方法)
製造過程で使用した支持基板を除去した後の各例の半導体パッケージについて、室温から高温(ここでは、260℃)まで温度を上昇させたときの反りを測定すると共に、高温(260℃)から室温まで温度を低下させたときの反りを測定した。反りは、各半導体パッケージの外部接続用パッド33Pの形成された面(測定面)の高さを対角線に沿って順次測定し、最も高い点と最も低い点との高さの差を測定した。なお、上記測定面が凹状に反った場合の反り量をプラスとし、測定面が凸状に反った場合の反り量をマイナスとして、
図18及び
図19に測定結果を示した。
【0110】
(測定結果)
図18に示すように、実施例1,2と比較例1とを比較すると、金属板10及び第1絶縁層11を設けることにより(実施例1,2)、それらを設けない場合(比較例1)に比べ、半導体パッケージの反り量を大幅に低減できることが確認された。具体的には、実施例1,2では、比較例1に比べて、初期の室温での反りを大幅に低減できることが確認された。さらに、実施例1,2では、比較例1に比べて、温度変化に伴う反り量の変動量を小さく抑えることができることが確認された。以上のことから、金属板10及び第1絶縁層11の形成によって、高い反り改善効果が得られることが確認された。
【0111】
また、実施例1と実施例2とを比較すると、最外層の層間絶縁層32を補強材入りの絶縁層としたことにより(実施例1)、補強材の入っていない層間絶縁層32Aの場合(実施例2)に比べ、半導体パッケージの反り量を低減できることも確認された。すなわち、最外層の層間絶縁層32を補強材入りの絶縁層とすることにより、高い反り改善効果が得られることが確認された。
【0112】
さらに、
図19に示すように、実施例1と比較例2とを比較すると、第1絶縁層11を設けることにより(実施例1)、第1絶縁層11を設けない場合(比較例2)に比べ、半導体パッケージの反り量を低減できることが確認された。具体的には、実施例1では、比較例2に比べて、初期の室温での反りを低減できることが確認された。さらに、実施例1では、比較例2に比べて、温度変化に伴う反り量の変動量を小さく抑えることができることが確認された。以上のことから、金属板10と合わせて第1絶縁層11を形成することによって、高い反り改善効果が得られることが確認された。