特許第5977267号(P5977267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977267表面処理された金属粉、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977267
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】表面処理された金属粉、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/02 20060101AFI20160817BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20160817BHJP
   B22F 9/20 20060101ALI20160817BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20160817BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20160817BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20160817BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20160817BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20160817BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20160817BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   B22F1/02 B
   B22F1/00 L
   B22F9/20 E
   H01B5/00 E
   H01B1/00 E
   H01B1/22 A
   H01B5/14 Z
   H01B13/00 501Z
   H01B13/00 Z
   H01B13/00 503Z
   H01G4/12 361
   H01G4/30 301C
【請求項の数】33
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-557609(P2013-557609)
(86)(22)【出願日】2013年2月8日
(86)【国際出願番号】JP2013053141
(87)【国際公開番号】WO2013118891
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年8月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-25336(P2012-25336)
(32)【優先日】2012年2月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】古澤 秀樹
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−190502(JP,A)
【文献】 特開2003−168321(JP,A)
【文献】 特開2010−065267(JP,A)
【文献】 特開2005−216634(JP,A)
【文献】 特開2009−013490(JP,A)
【文献】 特開2002−231053(JP,A)
【文献】 特開2002−249803(JP,A)
【文献】 特開2007−126750(JP,A)
【文献】 特開2005−281712(JP,A)
【文献】 特開2001−131655(JP,A)
【文献】 特開2006−013219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
B22F 1/02
B22F 9/20
H01B 1/00
H01B 1/22
H01B 5/00
H01B 5/14
H01B 13/00
H01G 4/232
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起源をAl Kα、出力を210W、検出面積800μmφ、入射角・取出角を45°とするXPSのsurvey測定で、Nの光電子が1000cps(count per second)以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれかの光電子が1000cps以上で検出され、焼結開始温度が400℃以上である、表面処理された銅粉であって、D50が1.0μm以下である、表面処理された銅粉
【請求項2】
励起源をAl Kα、出力を210W、検出面積800μmφ、入射角・取出角を45°とするXPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれか1種以上が0.6%以上で検出され、焼結開始温度が400℃以上である、表面処理された銅粉であって、D50が1.0μm以下である、表面処理された銅粉
【請求項3】
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつSi、Ti又はAlが0.6%以上で検出される、請求項1又は2に記載の表面処理された銅粉
【請求項4】
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、Nの光電子が1000cps(count per second)以上で検出され、かつSi又はTiが0.6%以上で検出され、Si、Ti又はAlの光電子が1000cps以上で検出される、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理された銅粉
【請求項5】
Ti、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれかがカップリング剤処理で吸着されており、加水分解したカップリング剤が銅粉に直接に吸着している、請求項1〜のいずれかに記載の表面処理された銅粉
【請求項6】
カップリング剤がシラン、チタネート、アルミネートのいずれかである、請求項に記載の表面処理された銅粉
【請求項7】
末端がアミノ基であるカップリング剤で処理された請求項に記載の表面処理された銅粉
【請求項8】
表面処理された銅粉が、シランカップリング剤で表面処理された銅粉である、請求項1〜のいずれかに記載の表面処理された銅粉
【請求項9】
シランカップリング剤がアミノシランである、請求項に記載の表面処理された銅粉
【請求項10】
アミノシランが、モノアミノシラン又はジアミノシランである、請求項に記載の表面処理された銅粉
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の表面処理された銅粉が、さらに有機化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅粉
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の表面処理された銅粉を使用した導電性金属粉ペースト。
【請求項13】
請求項12に記載のペーストを使用して製造されたチップ積層セラミックコンデンサー。
【請求項14】
内部電極断面に直径が10nm以上のSiO2、TiO2又はAl23が存在している、請求項13に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
【請求項15】
内部電極断面に最大径0.5μm以上のSiO2、TiO2又はAl23が0.5個/μm2以下で存在している、請求項13又は14に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを最外層に実装した多層基板。
【請求項17】
請求項13〜15のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを内層に実装した多層基板。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の多層基板を搭載した電子部品。
【請求項19】
銅粉を、末端にアミノ基を有するカップリング剤の水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、を含む、焼結開始温度が400℃以上である、表面処理された銅粉を製造する方法であって
面処理された銅粉は、D50が1.0μm以下であり、励起源をAl Kα、出力を210W、検出面積800μmφ、入射角・取出角を45°とするXPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれか1種以上が0.6%以上で検出される、表面処理された銅粉である、方法。
【請求項20】
銅粉を、末端にアミノ基を有するカップリング剤の水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、を含む、銅粉を表面処理して焼結遅延させる方法であって
面処理された銅粉は、D50が1.0μm以下であり、励起源をAl Kα、出力を210W、検出面積800μmφ、入射角・取出角を45°とするXPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれか1種以上が0.6%以上で検出される、表面処理された銅粉である、方法。
【請求項21】
銅粉分散液を撹拌する工程を含む、請求項19〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
銅粉分散液を超音波処理する工程を含む、請求項19〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
超音波処理する工程が、1〜180分間の超音波処理を行う工程である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
銅粉分散液をろ過して銅粉を回収する工程、
ろ過して回収された銅粉を乾燥して、表面処理された銅粉を得る工程、
を含む、請求項19〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
乾燥が、酸素雰囲気又は不活性雰囲気下で行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
銅粉分散液が、銅粉1gに対してカップリング剤0.025g以上を含んでいる、請求項19〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
カップリング剤水溶液が、次の式I:
2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
(ただし、上記式Iにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
で表されるアミノシランの水溶液である、請求項19〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
カップリング剤水溶液が、次の式II:
(H2N−R1−O)pTi(OR2q (式II)
(ただし、上記式IIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、直鎖状又は分枝を有する、C1〜C5のアルキル基であり、
p及びqは、1〜3の整数であり、p+q=4である。)
で表されるアミノ基含有チタネートの水溶液である、請求項19〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
銅粉が、湿式法によって製造された銅粉である、請求項19〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
請求項19〜31のいずれかに記載の製造方法によって製造された表面処理された銅粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを製造する方法。
【請求項33】
請求項19〜31のいずれかに記載の製造方法によって製造された表面処理された銅粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを得る工程、
導電性金属粉ペーストを基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性金属粉ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造に適した、表面処理された金属粉、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ積層セラミックコンデンサーは、小型大容量という特徴のために、多くの電子機器で使用されている電子部品である。チップ積層セラミックコンデンサーは、セラミック誘電体と内部電極を層状に積み重ねて一体化した構造となっており、積層された各層がそれぞれコンデンサ素子を構成し、外部電極によってこれらの素子を電気的に並列となるように接続して、全体としてひとつの小型で大容量のコンデンサーとなっている。
【0003】
チップ積層セラミックコンデンサーの製造においては、誘電体のシートが、次のように製造される。すなわち、まず、BaTiO3等の誘電体原料粉末に分散剤や成型助剤としての有機バインダ及び溶剤を加え、粉砕、混合、脱泡工程を経て、スラリーを得る。その後、ダイコータ等の塗布工法をにより、スラリーをPETフィルム等のキャリアフィルム上に薄く延ばして塗布する。それを乾燥して薄い誘電体シート(グリーンシート)を得る。
【0004】
一方、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極の原料である金属粉末が、誘電体原料粉末の場合と同様に、分散剤や成型助剤としての有機バインダ及び溶剤との混合、脱泡工程を経て、スラリーとなる。これを主にスクリーン印刷法によりグリーンシート(誘電体シート)上に内部電極を印刷し、乾燥した後に、印刷済のグリーンシートをキャリアフィルムから剥離して、このようなグリーンシートを、多数積層させる。
【0005】
このようにして積層させたグリーンシートに数10〜数100MPaのプレス圧力を加えて一体化させた後、個々のチップに切断する。その後、焼成炉で内部電極層、誘電体層を1000℃前後の高温で焼結させる。このようにして、チップ積層セラミックコンデンサーが製造される。
【0006】
このようなチップ積層セラミックコンデンサーの内部電極には、この技術が開発された当時はPtが使用されていたが、コストの観点からPd、Pd−Ag合金、現在はNiが主に使用されている。しかし、近年は環境規制の観点からNiをCuに置き換えることが求められるようになってきた。また、NiをCuに置き換えれば、原理的には、高周波用途で低インダクタンスが実現可能となる。また、Cuは、Niよりもさらにコストが安いという利点もある。
【0007】
一方、コンデンサーの小型化に伴い、内部電極は薄層化する傾向にあり、次世代タイプでは1μm前後になると言われている。このため、内部電極用粉末の粒子サイズはさらに小さいものが望まれるようになっている。
【0008】
ところが、そもそもCuの融点は、Pt、Pd、Niに比べて低い。さらに、上記のように望まれている粒子の小径化による表面積の増加が引き起こす融点の低下により、内部電極粉末としてCuが採用された場合には、焼成時には、より低い温度でCu粉の溶融が始まる。これは電極層自体にクラックの発生を誘発する。また、降温後に電極層が急激に収縮するので、誘電体層と電極層の剥離(デラミネーション)が起こる可能性がある。このような不具合を避けるために、内部電極用金属粉には誘電体と同等の熱収縮特性が求められており、これを表す指標として焼結開始温度がある。
【0009】
このような要望に対して、これまで、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極に適したCu粉を得るために、Cu粉に表面処理を行う方法が提案されてきた。
【0010】
特許文献1(特許第4001438号)はCu粉を液中に分散させ、これに金属元素の水溶性塩の水溶液を添加し、pHを調整して金属酸化物をCu粉表面に固着させ、さらにこれらの表面処理銅粉を相互に衝突させて表面処理層の固着を強化させる技術である。しかし、工程が銅粉への金属酸化物の吸着、及び固着強化から構成されるので、生産性の点で問題がある。また、銅粉の粒径が0.5μmよりもさらに小さくなると、吸着させる金属酸化物粒子とサイズが近くなるので、銅粉への酸化物の吸着自体が困難になると予想される。
【0011】
特許文献2(特許第4164009号)は、特定の官能基を有するシリコーンオイルで銅粉を被覆させる技術である。しかし、オイルとCu粉を混合するので、凝集しやすく、作業性の点で問題がある。また、オイルとCu粉の分離の際のろ過が、困難であり、作業性の点で問題がある。
【0012】
特許文献3(特許第3646259号)は、銅粉表面で加水分解したアルコキシシランをアンモニア触媒で縮合重合させて、SiO2ゲルコーティング膜を形成させる技術である。しかし、粒径1μm以下の銅粉に適用した際に、触媒であるNH3を凝集を防ぐように連続添加しなければならないが、反応制御が添加の具体的な操作技能の巧拙に依存していて非常に難しく、作業性及び生産性の点で、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4001438号公報
【特許文献2】特許第4164009号公報
【特許文献3】特許第3646259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このように、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極の製造に好適に使用可能な、焼結遅延性、作業性、及び生産性に優れた、銅粉が求められている。
そこで、本発明の目的は、チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造に好適に使用可能な、焼結遅延性に優れた、表面処理された銅粉、及びその製造方法を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は鋭意検討の結果、銅粉とアミノシラン水溶液を混合して、アミノシランを銅粉表面に吸着させることで、表面処理後の凝集がなく、焼結遅延性が劇的に向上することを見出して、本発明に到達した。この操作は、非常に簡単であり、高度な技能を必要とせず、作業性に優れ、生産性に優れている。また、このようにして得られた表面処理された銅粉は、粒子の小さい銅粉であるにもかかわらず、高い焼結開始温度を示すものとなっていた。さらに、銅粉以外の金属粉を同様に表面処理した場合にも、アミノシラン以外のカップリング剤によって表面処理した場合にも、同様に優れた特性の表面処理された金属粉を得られることがわかった。
【0016】
したがって、本発明は、次の(1)〜(27)にある。
(1)
XPSのsurvey測定で、Nの光電子が1000cps(count per second)以上で検出され、かつSiの光電子が1000cps以上で検出される、表面処理された銅粉。
(2)
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつSiが0.6%以上で検出される、表面処理された銅粉。
(3)
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、Nの光電子が1000cps(count per second)以上で検出され、かつSiが0.6%以上で検出され、Siの光電子が1000cps以上で検出される、(1)〜(2)のいずれかに記載の銅粉。
(4)
銅粉が、シランカップリング剤で表面処理された銅粉である、(1)〜(3)のいずれかに記載の銅粉。
(5)
シランカップリング剤がアミノシランである、(4)に記載の銅粉。
(6)
焼結開始温度が400℃以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の銅粉。
(7)
(1)〜(6)の何れかに記載の銅粉を熱処理してNを除去した銅粉。
(8)
酸素雰囲気または不活性雰囲気下で(1)〜(7)のいずれかに記載の銅粉を熱処理して得られる銅粉。
(9)
アミノシランの水溶液と銅粉を混合、攪拌後に乾固して得られる(1)〜(8)のいずれかに記載の銅粉。
(10)
銅粉1 gに対して、表面処理に供するアミノシランの量が0.01 mL以上である(1)〜(9)のいずれかに記載の銅粉。
(11)
アミノシランの量が0.05 mL以上で、銅粉との混合、攪拌時間が30分以下である(10)に記載の銅粉
(12)
アミノシランが、モノアミノシラン又はジアミノシランである(5)〜(11)のいずれかに記載の銅粉。
(13)
原料銅粉が湿式法で得られた(1)〜(12)のいずれかに記載の銅粉。
(14)
D50≦1.5μmである(1)〜(13)のいずれかに記載の銅粉。
(15)
D50≦1.0μmである(1)〜(13)のいずれかに記載の銅粉。
(16)
D50≦0.5μm、Dmax≦1.0μmである(1)〜(13)のいずれかに記載の銅粉。
(17)
粒度分布が一山である(1)〜(16)のいずれかに記載の銅粉。
(18)
(1)〜(17)のいずれかに記載の特徴を備えた内部電極用銅粉。
(19)
(1)〜(17)のいずれかに記載の特徴を備えた外部電極用銅粉。
(20)
(1)〜(19)のいずれかに記載の銅粉が、さらに有機化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅粉。
(21)
(1)〜(20)のいずれかに記載の銅粉を使用した導電性ペースト。
(22)
(21)のペーストを使用して製造されたチップセラミック積層コンデンサー。
(23)
内部電極断面に直径が10nm以上のSiO2が存在している、(22)に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
(24)
内部電極断面に最大径0.5μm以上のSiO2が0.5個/cm2以下で存在している、(22)又は(23)に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
(25)
(22)〜(24)のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを最外層に実装した多層基板。
(26)
(22)〜(24)のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを内層に実装した多層基板。
(27)
(25)又は(26)に記載の多層基板を搭載した電子部品。
【0017】
また、本発明は、次の(31)〜(50)にもある。
(31)
銅粉を、アミノシラン水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、
を含む、表面処理された銅粉を製造する方法。
(32)
銅粉分散液を撹拌する工程を含む、(31)に記載の方法。
(33)
銅粉分散液を超音波処理する工程を含む、(31)又は(32)に記載の方法。
(34)
超音波処理する工程が、1〜180分間の超音波処理を行う工程である、(33)に記載の方法。
(35)
銅粉分散液をろ過して銅粉を回収する工程、
ろ過して回収された銅粉を乾燥して、表面処理された銅粉を得る工程、
を含む、(31)〜(34)のいずれかに記載の方法。
(36)
乾燥が、50〜90℃で30〜120分間の加熱処理によって行われる、(35)に記載の方法。
(37)
乾燥が、酸素雰囲気又は不活性雰囲気下で行われる、(35)又は(36)に記載の方法。
(38)
銅分散液が、銅粉1gに対してアミノシラン0.025g以上を含んでいる、(31)〜(37)のいずれかに記載の方法。
(39)
アミノシラン水溶液が、次の式I:
2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
(ただし、上記式Iにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
で表されるアミノシランの水溶液である、(31)〜(38)のいずれかに記載の方法。
(40)
R1が、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の複素環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の芳香族炭化水素の二価基、からなる群から選択された基である、(39)に記載の方法。
(41)
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、(39)に記載の方法。
(42)
R1が、−(CH2n−、又は−(CH2n−NH−(CH2m−である、(39)に記載の方法。
(43)
n、m、jが、それぞれ独立に、1、2又は3である、(41)〜(42)のいずれかに記載の方法。
(44)
R2が、メチル基又はエチル基である、(39)〜(43)のいずれかに記載の方法。
(45)
R3が、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基である、(39)〜(44)のいずれかに記載の方法。
(46)
銅粉が、湿式法によって製造された銅粉である、(31)〜(45)のいずれかに記載の方法。
(47)
(31)〜(46)のいずれかに記載の製造方法によって製造された表面処理された銅粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性銅ペーストを製造する方法。
(48)
(31)〜(46)のいずれかに記載の製造方法によって製造された表面処理された銅粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性銅ペーストを得る工程、
導電性銅ペーストを基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性銅ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
(49)
電極が、チップ積層セラミックコンデンサー用電極である、(48)に記載の方法。
(50)
表面処理された銅粉を、さらに有機化合物で表面処理する工程、
を含む、(31)〜(49)のいずれかに記載の方法。
【0018】
また、本発明は、次の(51)〜(54)にもある。
(51)
(31)〜(46)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された銅粉。
(52)
(45)に記載の製造方法によって製造された、導電性銅ペースト。
(53)
(46)に記載の製造方法によって製造された、電極。
(54)
(47)に記載の製造方法によって製造された、チップ積層セラミックコンデンサー用電極。
【0019】
また、本発明は、次の(61)〜(63)にもある。
(61)
(31)〜(46)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された銅粉であって、
XPSのsurvey測定で表面のNが1%以上でNの光電子が1000cps(count per second)かつSiが0.6%以上でSiの光電子が1000cps以上で検出され、
焼結開始温度が400℃以上である、銅粉。
(62)
(61)に記載の表面処理された銅粉が、配合されてなる、導電性銅ペースト。
(63)
(62)に記載の導電性銅ペーストが塗布されて加熱焼成されてなる、電極であって、
電極断面に最大径0.5μm以上のSiO2が0.5個/cm2以下で存在している、電極。
【0020】
さらに、本発明は、次の(71)〜にもある。
(71)
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれか1種以上が0.6%以上で検出される、表面処理された金属粉。
(72)
金属粉がCu、Pt、Pd、Ag、Niのいずれかである(71)の金属粉。
(73)
Ti、Al、Si、Zr、Ce、Snをカップリング剤処理で吸着させた(71)または(72)の金属粉。
(74)
カップリング剤がシラン、チタネート、アルミネートのいずれかである(73)の金属粉。
(75)
末端がアミノ基であるカップリング剤で処理された(74)の金属粉。
(76)
XPSのsurvey測定で表面のNが1%以上でかつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snが0.6%以上でで検出され、焼結開始温度が400℃以上である、金属粉。
(77)
(71)〜(76)に記載の表面処理された金属粉が、配合されてなる、導電性銅ペースト。
(78)
(77)に記載の導電性銅ペーストが塗布されて加熱焼成されてなる、電極であって、
電極断面に最大径0.5μm以上のSiO2、TiO2、Al23が0.5個/μm2以下で存在している、電極。
【0021】
さらに、本発明は、次の(101)〜にもある。
(101)
XPSのsurvey測定で、Nの光電子が1000cps(count per second)以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれかの光電子が1000cps以上で検出される、表面処理された金属粉。
(102)
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつTi、Al、Si、Zr、Ce、Snのいずれか1種以上が0.6%以上で検出される、表面処理された金属粉。
(103)
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、かつSi、Ti又はAlが0.6%以上で検出される、(101)〜(102)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(104)
XPSのsurvey測定で、表面のNが1%以上で検出され、Nの光電子が1000cps(count per second)以上で検出され、かつSi又はTiが0.6%以上で検出され、Si、Ti又はAlの光電子が1000cps以上で検出される、(101)〜(103)のいずれかに記載の金属粉。
(105)
金属粉がCu、Pt、Pd、Ag、Niのいずれかの金属粉である、(101)〜(104)のいずれかに記載の金属粉。
(106)
金属粉が銅粉である、(101)〜(104)のいずれかに記載の金属粉。
(107)
Ti、Al、Si、Zr、Ce、Snをカップリング剤処理で吸着させた、(101)〜(106)のいずれかに記載の金属粉。
(108)
カップリング剤がシラン、チタネート、アルミネートのいずれかである、(107)の金属粉。
(109)
末端がアミノ基であるカップリング剤で処理された(108)の金属粉。
(110)
金属粉が、シランカップリング剤で表面処理された金属粉である、(101)〜(109)のいずれかに記載の金属粉。
(111)
シランカップリング剤がアミノシランである、(110)に記載の金属粉。
(112)
焼結開始温度が400℃以上である、(101)〜(111)のいずれかに記載の金属粉。
(113)
アミノシランが、モノアミノシラン又はジアミノシランである、(111)〜(112)のいずれかに記載の金属粉。
(114)
(101)〜(113)のいずれかに記載の金属粉が、さらに有機化合物で表面処理されてなる、表面処理された金属粉。
(115)
(101)〜(114)のいずれかに記載の金属粉を使用した導電性金属粉ペースト。
(116)
(115のペーストを使用して製造されたチップセラミック積層コンデンサー。
(117)
内部電極断面に直径が10nm以上のSiO2、TiO2又はAl23が存在している、(116)に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
(118)
内部電極断面に最大径0.5μm以上のSiO2、TiO2又はAl23が0.5個/μm2以下で存在している、(116)又は(117)に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
(119)
(116)〜(118)のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを最外層に実装した多層基板。
(120)
(116)〜(118)のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを内層に実装した多層基板。
(121)
(119)又は(120)に記載の多層基板を搭載した電子部品。
(122)
金属粉を、カップリング剤水溶液と混合して、金属粉分散液を調製する工程、
を含む、表面処理された金属粉を製造する方法。
(123)
金属粉がCu、Pt、Pd、Ag、Niのいずれかの金属粉である、(122)に記載の方法。
(124)
金属粉が銅粉である、(122)に記載の方法。
(125)
金属粉分散液を撹拌する工程を含む、(122)〜(124)のいずれかに記載の方法。
(126)
金属粉分散液を超音波処理する工程を含む、(122)〜(125)のいずれかに記載の方法。
(127)
超音波処理する工程が、1〜180分間の超音波処理を行う工程である、(126)に記載の方法。
(128)
金属粉分散液をろ過して金属粉を回収する工程、
ろ過して回収された金属粉を乾燥して、表面処理された金属粉を得る工程、
を含む、(122)〜(127)のいずれかに記載の方法。
(129)
乾燥が、酸素雰囲気又は不活性雰囲気下で行われる、(128)に記載の方法。
(130)
金属粉分散液が、銅粉1gに対してカップリング剤0.025g以上を含んでいる、(122)〜(129)のいずれかに記載の方法。
(131)
カップリング剤水溶液が、次の式I:
2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
(ただし、上記式Iにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
で表されるアミノシランの水溶液である、(122)〜(130)のいずれかに記載の方法。
(132)
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、(131)に記載の方法。
(133)
カップリング剤水溶液が、次の式II:
(H2N−R1−O)pTi(OR2q (式II)
(ただし、上記式IIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、直鎖状又は分枝を有する、C1〜C5のアルキル基であり、
p及びqは、1〜3の整数であり、p+q=4である。)
で表されるアミノ基含有チタネートの水溶液である、(122)〜(130)のいずれかに記載の方法。
(134)
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、(133)に記載の方法。
(135)
金属粉が、湿式法によって製造された銅粉である、(122)〜(134)のいずれかに記載の方法。
(136)
(122)〜(135)のいずれかに記載の製造方法によって製造された表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを製造する方法。
(137)
(122)〜(135)のいずれかに記載の製造方法によって製造された表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを得る工程、
導電性金属粉ペーストを基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性金属粉ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
(138)
(122)〜(135)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉。
(139)
(136)に記載の製造方法によって製造された、導電性金属粉ペースト。
(140)
(137)に記載の製造方法によって製造された、電極。
(141)
(122)〜(135)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉であって、
XPSのsurvey測定で表面のNが1%以上でNの光電子が1000cps(count per second)かつSi、Ti又はAlが0.6%以上でSi、Ti又はAlの光電子が1000cps以上で検出され、
焼結開始温度が400℃以上である、金属粉。
(142)
(141)に記載の表面処理された金属粉が、配合されてなる、導電性金属粉ペースト。
(143)
(142)に記載の導電性金属粉ペーストが塗布されて加熱焼成されてなる、電極であって、
電極断面に最大径0.5μm以上のSiO2、TiO2又はAl23が0.5個/μm2以下で存在している、電極。
【発明の効果】
【0022】
本発明による表面処理された銅粉は、表面処理後にも凝集することなく、焼結遅延性に優れ、粒子の小さい銅粉であっても高い焼結開始温度を示す。そこで、本発明による表面処理された銅粉が配合されてなる導電性銅ペーストを使用すれば、電極剥離などの製造上の問題を回避して、チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造を、有利に行うことができる。また、本発明による表面処理された銅粉は、銅粉に対して非常に簡単な処理を行うことで製造でき、この製造方法は、高度な技能を必要とせず、作業性及び生産性に優れたものである。また、本発明によれば、銅粉以外の金属粉についても、同様に優れた特性を有するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は表面処理された銅粉から得られた焼結体の断面のTEM像である。
図2図2は表面処理された銅粉(実施例)の表面のXPS survey測定の結果を示すグラフである。
図3図3は表面処理された銅粉(比較例)の表面のXPS survey測定の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
本発明においては、銅粉を、アミノシラン水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、を行って、この銅粉分散液から、表面処理された銅粉を得ることができる。
【0025】
表面処理に供される銅粉としては、公知の方法によって製造された銅粉を使用することができる。例えば、銅粉は、乾式法によって製造された銅粉、湿式法によって製造された銅粉のいずれも使用することができる。湿式法によって製造された銅粉は、本発明による表面の処理まであわせて一貫して湿式プロセスになる点で好適である。
【0026】
アミノシラン水溶液は、シランカップリング剤として使用可能なアミノシランの水溶液である。好ましい実施の態様において、アミノシランの使用量は、銅粉分散液としたときの銅粉の質量1gに対して、アミノシランの質量が、0.025g以上、好ましくは0.050g以上、さらに好ましくは0.075g以上、さらに好ましくは0.10g以上を含むものとすることができ、あるいは、例えば、0.025〜0.500g、0.025〜0.250g、0.025〜0.100gの範囲の量を含むものとすることができる。好ましい実施の態様において、アミノシランの使用量は、銅粉分散液としたときの銅粉の質量1gに対して、25℃におけるアミノシランの体積が、0.01mL以上、0.025mL以上、好ましくは0.050mL以上、さらに好ましくは0.075mL以上、さらに好ましくは0.10mL以上を含むものとすることができ、あるいは、例えば、0.025〜0.500mL、0.025〜0.250mL、0.025〜0.100mLの範囲の量を含むものとすることができる。
【0027】
好ましい実施の態様において、アミノシランとして、1以上のアミノ基及び/又はイミノ基を含むシランを使用することができる。アミノシランに含まれるアミノ基及びイミノ基の数は、例えばそれぞれ1〜4個、好ましくはそれぞれ1〜3個、さらに好ましくは1〜2個とすることができる。好適な実施の態様において、アミノシランに含まれるアミノ基及びイミノ基の数は、それぞれ1個とすることができる。アミノシランに含まれるアミノ基及びイミノ基の数の合計が、1個であるアミノシランは特にモノアミノシラン、2個であるアミノシランは特にジアミノシラン、3個であるアミノシランは特にトリアミノシランと、呼ぶことができる。モノアミノシラン、ジアミノシランは、本発明において好適に使用することができる。好適な実施の態様において、アミノシランとして、アミノ基1個を含むモノアミノシランを使用することができる。好適な実施の態様において、アミノシランは、少なくとも1個、例えば1個のアミノ基を、分子の末端に、好ましくは直鎖状又は分枝状の鎖状分子の末端に、含むものとすることができる。
【0028】
アミノシランとしては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、1-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、1、2-ジアミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノ‐1‐プロぺニルトリメトキシシラン、3-アミノ‐1‐プロピニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3- アミノプロピルトリエトキシシラン、3- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2- アミノエチル)-3- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2- アミノエチル)-3- アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N- フェニル) アミノプロピルトリメトキシシランをあげることできる。
【0029】
好ましい実施の態様において、次式Iで表されるアミノシランを使用することができる。
【0030】
2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
【0031】
上記式Iにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。
【0032】
好ましい実施の態様において、上記式IのR1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、さらに好ましくは、R1は、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の複素環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の芳香族炭化水素の二価基、からなる群から選択された基とすることができる。好ましい実施の態様において、上記式IのR1は、C1〜C12の、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素の二価基であり、さらに好ましくは、鎖状構造の両末端の原子が遊離原子価を有する二価基である。好ましい実施の態様において、二価基の炭素数は、例えばC1〜C12、好ましくはC1〜C8、好ましくはC1〜C6、好ましくはC1〜C3とすることができる。
【0033】
好ましい実施の態様において、上記式IのR1は、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)とすることができる。(ただし、上記(CC)は、CとCの三重結合を表す。)好ましい実施の態様において、R1は、−(CH2n−、又は−(CH2n−NH−(CH2m−とすることができる。(ただし、上記(CC)は、CとCの三重結合を表す。)好ましい実施の態様において、上記の二価基であるR1の水素は、アミノ基で置換されていてもよく、例えば1〜3個の水素、例えば1〜2個の水素、例えば1個の水素が、アミノ基によって置換されていてもよい。
【0034】
好ましい実施の態様において、上記式Iのn、m、jは、それぞれ独立に、1以上12以下の整数、好ましくは1以上6以下の整数、さらに好ましくは1以上4以下の整数とすることができ、例えば、1、2、3、4から選択された整数とすることができ、例えば、1、2又は3とすることができる。
【0035】
好ましい実施の態様において、上記式IのR2は、C1〜C5のアルキル基、好ましくはC1〜C3のアルキル基、さらに好ましくはC1〜C2のアルキル基とすることができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はプロピル基とすることでき、好ましくは、メチル基又はエチル基とすることができる。
【0036】
好ましい実施の態様において、上記式IのR3は、アルキル基として、C1〜C5のアルキル基、好ましくはC1〜C3のアルキル基、さらに好ましくはC1〜C2のアルキル基とすることができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はプロピル基とすることでき、好ましくは、メチル基又はエチル基とすることができる。また、上記式IのR3は、アルコキシ基として、C1〜C5のアルコキシ基、好ましくはC1〜C3のアルコキシ基、さらに好ましくはC1〜C2のアルコキシ基とすることができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、又はプロポキシ基とすることでき、好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基とすることができる。
【0037】
アミノシラン水溶液は、公知の方法によって、銅粉と混合することができる。混合にあたっては、適宜、公知の方法によって撹拌を行うことができる。好適な実施の態様において、混合は、例えば、常温で行うことができ、例えば、5〜80℃、10〜40℃、20〜30℃の範囲の温度で行うことができる。
【0038】
好ましい実施の態様において、銅粉分散液は、混合して、超音波処理を行うことができる。超音波処理の処理時間は、銅粉分散液の状態に応じて選択するが、好ましくは1〜180分間、さらに好ましくは3〜150分間、さらに好ましくは10〜120分間、さらに好ましくは20〜80分間とすることができる。
【0039】
好ましい実施の態様において、超音波処理は、100mlあたり、好ましくは50〜600W、さらに好ましくは100〜600Wの出力で行うことができる。好ましい実施の態様において、超音波処理は、好ましくは10〜1MHz、さらに好ましくは20〜1MHz、さらに好ましくは50〜1MHzの周波数で行うことができる。
【0040】
銅粉分散液のなかの銅粉は、上述のようにして、アミノシランによる表面処理を受けた後に、分散液から分離して、表面処理された銅粉として、回収することができる。この分離と回収には、公知の手段を使用することができ、例えば、ろ過、遠心分離、デカンテーション(decantation)などを使用することができる。分離回収に続けて、所望により、乾燥を行うことができる。乾燥には、公知の手段を使用することができ、例えば、加熱による乾燥を行うことができる。加熱乾燥は、例えば、50〜90℃、60〜80℃の温度で、例えば、30〜120分間、45〜90分間の加熱処理によって、行うことができる。加熱乾燥に続けて、銅粉に対して、所望により、さらに粉砕処理を行ってもよい。また、回収された表面処理された銅粉に対しては、防錆、あるいは、ペースト中での分散性を向上させること等を目的として、有機物等をさらに表面処理された銅粉の表面に吸着させてもよい。
【0041】
上述のように、好ましい実施の態様において、表面処理に供される銅粉は、湿式法による銅粉を使用することができる。好適な実施の態様において、湿式法による銅粉の製造方法として、アラビアゴムの添加剤を含む水性溶媒中に亜酸化銅を添加してスラリーを作製する工程、スラリーに希硫酸を5秒以内に一度に添加して不均化反応を行う工程、を含む方法によって製造される銅粉を使用することができる。好適な実施の態様において、上記スラリーは、室温(20〜25℃)以下に保持するとともに、同様に室温以下に保持した希硫酸を添加して、不均化反応を行うことができる。好適な実施の態様において、上記スラリーは、7℃以下に保持するとともに、同様に7℃以下に保持した希硫酸を添加して、不均化反応を行うことができる。好適な実施の態様において、希硫酸の添加は、pH2.5以下、好ましくはpH2.0以下、さらに好ましくはpH1.5以下となるように、添加することができる。好適な実施の態様において、スラリーへの希硫酸の添加は、5分以内、好ましくは1分以内、さらに好ましくは30秒以内、さらに好ましくは10秒以内、さらに好ましくは5秒以内となるように、添加することができる。好適な実施の態様において、上記不均化反応は10分間で終了するものとすることができる。好適な実施の態様において、上記スラリー中のアラビアゴムの濃度は、0.229〜1.143g/Lとすることができる。上記亜酸化銅としては、公知の方法で使用された亜酸化銅、好ましくは亜酸化銅粒子を使用することができ、この亜酸化銅粒子の粒径等は不均化反応によって生成する銅粉の粒子の粒径等とは直接に関係がないので、粗粒の亜酸化銅粒子を使用することができる。この不均化反応の原理は次のようなものである:
Cu2O+H2SO4 → Cu↓+CuSO4+H2
この不均化によって得られた銅粉は、所望により、洗浄、防錆、ろ過、乾燥、解砕、分級を行って、その後にアミノシランと混合することもできるが、好ましい実施の態様において、所望により、洗浄、防錆、ろ過を行った後に、乾燥を行うことなく、そのままアミノシラン水溶液と混合することができる。
【0042】
好適な実施の態様において、上記不均化反応によって得られる銅粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した平均粒径が0.25μm以下である。好適な実施の態様において、上記不均化反応によって得られる銅粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定したD10、D90、Dmaxが、[Dmax≦D50×3、D90≦D50×2、D10≧D50×0.5]の関係式を満たし、かつ粒径の分布が単一のピークを有する。好適な実施の態様において、上記不均化反応によって得られる銅粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定で、粒度分布が一山である(単一のピークを有する)。好適な実施の態様において、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した値が、[D50≦1.5μm]であり、好ましくは[D50≦1.0μm]であり、さらに好ましくは[D50≦0.5μm、Dmax≦1.0μm]である。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、島津製作所製SALD−2100を使用することができる。
【0043】
本発明によって得られる表面処理された銅粉は、優れた焼結遅延性を有する。焼結遅延性の指標として、焼結開始温度がある。これは金属粉から成る圧粉体を還元性雰囲気中で昇温し、ある一定の体積変化(収縮)が起こったときの温度のことである。本発明では1%の体積収縮が起こるときの温度を焼結開始温度とする。具体的には、実施例の記載の通りに測定した。焼結開始温度が高いことは、焼結遅延性に優れていることを意味する。
【0044】
好適な実施の態様において、本発明に係る表面処理された銅粉の焼結開始温度は、450℃以上、好ましくは500℃以上、さらに好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上、さらに好ましくは780℃以上、さらに好ましくは800℃以上、さらに好ましくは810℃以上、さらに好ましくは840℃以上、さらに好ましくは900℃以上、さらに好ましくは920℃以上、さらに好ましくは950℃以上とすることができる。従来、高い焼結開始温度が求められる場合に使用されてきたNi超微粉(平均粒径0.2〜0.4μm)の焼結開始温度が、500〜600℃の範囲にあることと比較すると、本発明に係る表面処理された銅粉は、Niよりも安価で入手容易なCuを使用して、微細な粒子でありながら、同等以上の優れた焼結遅延性を有するものとなっている。
【0045】
好適な実施の態様において、本発明に係る表面処理された銅粉は、圧粉体を還元性雰囲気中で昇温して焼結体を形成することができる。得られた焼結体は、優れた電極として形成される。この焼結のプロセスは、特に、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極の製造に好適に使用可能である。この焼結体は、特に、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極として、好適に使用可能である。好適な実施の態様において、この焼結体は、その断面に、好ましくは直径が10nm以上のSiO2が存在しているものとすることができる。好適な実施の態様において、この焼結体は、その断面に、最大径0.5μm以上のSiO2が0.5個/μm2以下で存在しているものとすることができる、あるいは例えば、最大径0.5μm以上のSiO2が0.0〜0.5個/μm2の範囲で、例えば、最大径0.5μm以上のSiO2が0.1〜0.5個/μm2の範囲で、存在しているものとすることができる。この最大径とは、SiO2粒子の最小外接円の直径をいう。本発明の好適な実施の態様において、SiO2粒子の析出はこのように制御されており、極薄電極の形成を可能にすると同時に、電極の信頼性(品質)を低下させることがない。
【0046】
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、銅粉1gに対して、Siの付着量が、一般に500〜16000μg、好ましくは500〜3000μgとすることができる。このSi付着量は、ICP(誘導結合プラズマ原子発光分析法)によって求めることができる。好適な実施の態様において、さらに、銅粉重量に対して0.05wt%以上のNを含むものとすることができる。シランカップリング剤が銅粉に吸着するメカニズムは不明であるが、本発明者は、シランカップリング剤末端のアミノ基の窒素と銅との間で働く相互作用で吸着していると考えている。
【0047】
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、表面処理によって形成された、Si含有層の厚み(Si厚み)が、一般に0.6〜25nm、好ましくは1.0〜25nm、さらに好ましくは1.5〜20nmとすることができる。本発明におけるこのSi含有層の厚み(Si厚み)とは、表面処理された銅粉の表面の断面において、EDS(エネルギー分散型X線分析)による測定を行って、全原子に対するSi原子の存在比が最大となる深さでのSi原子の存在量を100%としたときに、Si原子の存在量が10%以上である範囲であると、規定することができる。表面処理された銅粉の表面の断面は、試料切片において観察した少なくとも100個以上の銅粉粒子のなかから、5個選択して、それぞれその最も明瞭な境界を、表面処理された銅粉の表面に垂直な断面であると扱って、測定及び集計を行うことができる。
【0048】
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、銅粉に対するNの重量%が、例えば0.05重量%以上、好ましくは0.06重量%以上、さらに好ましくは0.07重量%以上とすることができ、例えば0.05〜0.50重量%、好ましくは0.06〜0.45重量%、さらに好ましくは0.08〜0.40重量%の範囲とすることができる。銅粉に対するNの重量%は、銅粉を高温で溶融させ、発生したNO2から付着N量を算出することができる。
【0049】
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のsurvey測定で表面のNが、例えば1.0%以上、好ましくは1.4%以上、さらに好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは1.6%以上で、あるいは例えば1.0〜6.0%、好ましくは1.4〜6.0%、さらに好ましくは1.5〜6.0%、さらに好ましくは1.6〜6.0%の範囲にあって、Nの光電子が、例えば1000cps(count per second)以上、好ましくは1200cps以上、あるいは例えば1000〜9000cps、好ましくは1200〜8000cpsの範囲であるものとすることができる。
【0050】
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のsurvey測定で表面のSiが、例えば0.6%以上、好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.1%以上、さらに好ましくは1.2%以上、さらに好ましくは1.3%以上で、さらに好ましくは1.4%以上、あるいは例えば0.6〜4.0%、好ましくは0.8〜4.0%、さらに好ましくは1.0〜4.0%、さらに好ましくは1.1〜4.0%、さらに好ましくは1.2〜4.0%、さらに好ましくは1.3〜4.0%、さらに好ましくは1.4〜4.0%の範囲にあって、Siの光電子が、例えば、直径800μmの円への照射(照射面積502655μm2)によって、1000cps(count per second)以上、好ましくは1200cps以上、あるいは例えば1000〜12000cps、好ましくは1200〜12000cpsの範囲であるものとすることができる。
【0051】
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、アミノシランによる表面処理を受けた後に、さらに表面処理を行ってもよい。このような表面処理として、例えば、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等の有機防錆剤による防錆処理をあげることができ、このような通常の処理によっても、アミノシランによる表面処理が脱離等することはない。したがって、優れた焼結遅延性を失わない限度内で、当業者はそのような公知の表面処理を、所望により行うことができる。すなわち、本発明に係る表面処理された銅粉の表面に、優れた焼結遅延性を失わない限度内で、さらに表面処理を行って得られた銅粉もまた、本発明の範囲内である。
【0052】
本発明は、銅粉以外の金属粉を使用した場合にも、銅粉について上述した表面処理によって、優れた特性を得ることができる。銅粉以外の金属粉を使用した場合においても、上記銅粉について記載した好適な実施の態様によって、本発明を実施することができる。金属粉としては、例えば、Pt、Pd、Ag、Ni、Cuのいずれかの金属粉を使用することができる。銅粉を含めて、好ましい金属粉としては、Ag、Ni、Cuのいずれかの金属粉を挙げることができる。
【0053】
本発明は、Siの付着によって上述した通りに好適に実施することができるが、Si以外の元素の付着によっても、好適に実施することができる。Si以外の元素の付着した場合においても、上記Siについて記載した好適な実施の態様によって、本発明を実施することができる。Si以外の元素としては、Ti、Al、Zr、Ce、Snのうちいずれか1種以上を挙げることができる。Siを含めて、好ましい元素としては、Si、Ti、Al、Zr、Ce、Snのうちいずれか1種以上、さらに好ましくはSi、Ti、Alのうちいずれか1種以上を挙げることができる。
【0054】
本発明は、銅粉について上述した通り、シランカップリング剤で表面処理を行うことによって、好適に実施することができるが、シランカップリング剤以外のカップリング剤で表面処理を行うことによっても、好適に実施することができる。シランカップリング剤以外のカップリング剤としては、チタネート、アルミネートを挙げることができる。カップリング剤として、シランカップリング剤を使用した場合にはSi、チタネートを使用した場合には、Ti、アルミネートを使用した場合には、Alを、それぞれ好適に付着させることができる。これらのカップリング剤の使用の態様は、シランカップリング剤において上述した通りのものとすることができる。シランカップリング剤の構造と同様に、チタネート及びアルミネートの構造においても、末端にアミノ基が含有された置換基が中心原子であるTi及びAlに配位された構造が好ましい。
【0055】
好適な実施の態様において、このようなカップリング剤による、Si、Ti又はAlの好適な付着量としては、銅粉についての上述した通りであり、さらに、金属粉1gに対して、例えば、200〜16000μg、300〜16000μg、500〜16000μgの範囲、例えば、200〜3000μg、300〜3000μg、500〜3000μgの範囲、例えば、200〜1500μg、300〜1500μg、500〜1500μgの範囲、を挙げることができる。
【0056】
好適な実施の態様において、金属粉の表面処理によって形成されたSi含有層の厚み(Si厚み)は、銅粉において上述した通りとすることができ、さらに、Ti含有層の厚み(Ti厚み)、Al含有層の厚み(Al厚み)についても、Si含有層の厚み(Si厚み)について上述した通りのものとすることができる。
【0057】
好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のsurvey測定で表面のSiを、銅粉について上述した通りのものとすることができる。さらに、表面処理によって付着したSi以外に、Ti及びAlについても、Siと同様の測定方法によって、Siについて規定した数値範囲と同様の数値範囲とすることができる。
【0058】
好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のsurvey測定で表面のNを、銅粉について上述した通りのものとすることができる。
【0059】
本発明において好適に使用可能なチタネートとしては、次の式II:
(H2N−R1−O)pTi(OR2q (式II)
(ただし、上記式IIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、直鎖状又は分枝を有する、C1〜C5のアルキル基であり、
p及びqは、1〜3の整数であり、p+q=4である。)
で表されるアミノ基含有チタネートを挙げることができる。
【0060】
上記式IIのR1としては、上記式IのR1として挙げた基を好適に使用することができる。上記式IIのR1として、例えば、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)とすることができる。特に好適なR1として、−(CH2n−NH−(CH2m−を挙げることができ(ただし、n+m=4、特に好ましくはn=m=2)を挙げることができる。
【0061】
上記式IIのR2としては、上記式IのR2として挙げた基を好適に使用することができる。好適な実施の態様において、C3のアルキル基を挙げることができ、特に好ましくは、プロピル基、及びイソプロピル基を挙げることができる。
【0062】
上記式IIのp及びqは、1〜3の整数であり、p+q=4であり、好ましくはp=q=2の組み合わせ、p=3、q=1の組み合わせを挙げることができる。このように官能基が配置されたアミノ基含有チタネートとして、 プレインアクト KR44(味の素ファインテクノ社製)を挙げることができる。
【0063】
本発明による金属粉は、本発明による銅粉として上述したように、高い焼結開始温度を有しており、これを配合することによって、優れた導電性金属粉ペーストを製造することができ、この導電性金属粉ペーストを焼結することによって優れた電極を製造することができる。本発明の金属粉による焼結開始温度は、銅粉について上述した通りである。好適な実施の態様において、本発明によって得られる電極は、電極断面のSiO2について上述した通りのものとすることができ、同様に、電極断面のTiO2、及び又は電極断面のAl23についても、電極断面のSiO2について上述した通りの大きさ、個数、密度のものとすることができる。好適な実施の態様において、電極断面のSiO2については、表面処理のカップリング剤としてシランカップリング剤を使用した場合に該当し、電極断面のSiO2については、表面処理のカップリング剤としてチタネートを使用した場合に該当し、電極断面のAl23については、表面処理のカップリング剤としてアルミネートを使用した場合に該当する。
【実施例】
【0064】
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[表面処理銅粉の製造]
以下のように表面処理された銅粉を製造した。
[湿式法による製粉]
表面処理に供される銅粉20gを、湿式法によって製造した。得られた銅粉は、次のような特性であった。測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2100)を使用した。
D50 0.12μm
分布一山
【0065】
[シラン水溶液の調製]
次の各種のシランを使用したシラン水溶液をそれぞれ50ml調製した。

シラン:ジアミノシランA−1120(MOMENTIVE社製)
アミノシランA−1110(MOMENTIVE社製)
エポキシシランZ−6040(東レダウコーニング社製)
メチルトリメトキシシランKBM−13(信越シリコーン社製)
3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製)

濃度は0.5〜15vol%の範囲で調製した。また、アミノ系シラン以外は希硫酸でpHを4に調整した。
【0066】
各種のシランの構造式は、以下である。
ジアミノシランA−1120:
2N−C24−NH−C36−Si(OCH33

アミノシランA−1110:
2N−C36−Si(OCH33

エポキシシランZ−6040:

メチルトリメトキシシランKBM−13:
3C−Si(OCH33

3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン:
65−NH−C36−Si(OCH33
【0067】
[シラン水溶液との混合による表面処理]
銅粉20gと各シラン水溶液50mlを混合撹拌して、銅粉分散液を調製し、直ちに60分間(又は120分間)の超音波処理を行った(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ / W−113)(出力100W、周波数100kHz)。この60分間の所要時間を表1では、混合撹拌時間と記載した。操作は室温で行った。
また、表1の記載のように、いくつかの実施例では回転羽による攪拌混合(300rpm)を上記超音波攪拌と併用するか、回転羽による攪拌のみでシランカップリング剤を銅粉に吸着させた。
銅粉分散液をろ過して、表面処理された銅粉を回収し、70℃1時間で加熱乾燥して、表面処理された銅粉を得た。
各実施例及び比較例についての表面処理された銅粉で行った処理を、表1にまとめた。
【0068】
[表面処理された銅粉の評価]
上述の操作によって得られた、表面処理された銅粉に対して、以下の方法によって評価を行った。
【0069】
[銅粉サイズ測定]
銅粉の大きさについて、次の手段で測定を行った。その結果は、表2にまとめた。
レーザー回折式粒度分布測定(島津製作所SLAD−2100)
【0070】
[TMAによる測定]
表面処理された銅粉によって、サンプルを作製して、TMA(Thermomechanical Analyzer)を使用して、焼結開始温度を、次の条件で測定した。
サンプル作製条件
圧粉体サイズ:7mmφ×5mm高さ
成型圧力:1Ton/cm2(1000kg重/cm2
(潤滑剤として0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加)
測定条件
装置:島津製作所TMA−50
昇温:5℃/分
雰囲気:2vol%H2−N2(300cc/分)
荷重:98.0mN
【0071】
このように、測定対象の銅粉に0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加して混合し、この混合物を直径7mmの筒体に装填し,上部からポンチを押し込んで1Ton/cm2で3秒保持する加圧を付与し,高さ約5mm相当の円柱状に成形した。この成形体を,軸を鉛直方向にして且つ軸方向に98.0mNの荷重を付与した条件で,昇温炉に装填し,2vol%H2−N2(300cc/分)流量中で昇温速度5℃/分,測定範囲:50〜1000℃に連続的に昇温してゆき,成形体の高さ変化(膨張・収縮の変化)を自動記録した。成形体の高さ変化(収縮)が始まり,その収縮率が1%に達したところの温度を「焼結開始温度」とした。各実施例及び比較例についての表面処理された銅粉での焼結開始温度の測定結果は、表3にまとめた。
【0072】
このTMAによる昇温によって形成された各焼結体について、その断面をTEMによって観察して、最大径0.5μm以上のSiO2の個数を計数した。得られた結果は、表3にまとめた。
装置:STEM
断面TEM像倍率:200000倍(20万倍)
【0073】
[分析]
表面処理された銅粉の表面に付着したSi、Nを次の条件で分析した。この結果は、表3にまとめた。

表面N及び表面Si: 直径0.5mmの円筒状の容器に銅粉0.5gを充填して、底面が隙間なく覆われるように敷きつめた。円筒容器に敷きつめられた銅粉の上面をXPS survey測定。(銅粉球体の上半分の表面に付着したN及びSiの半定量分析)

装置:アルバックファイ社製5600MC
到達真空度:5.7×10-9Torr
励起源:単色化 AlKα
出力:210W
検出面積:800μmφ
入射角、取出角:45°
中和銃使用
【0074】
[表面処理された銅粉への防錆処理]
上記実施例4で得た表面処理された銅粉に対して、さらに防錆処理を行っても、本発明の焼結遅延性が維持されることを確認するために、以下の実験を行った(実施例9)。
【0075】
[防錆処理の方法]
実施例4の銅粉を得た後、防錆処理を行うため、ベンゾトリアゾール水溶液(0.1g / L)100 mL中に分散させ、回転羽で500rpmで10分間攪拌し、ろ過、乾燥(窒素雰囲気下で70℃×1h)させ、さらに、防錆処理された銅粉を得た(実施例9)。
【0076】
[防錆処理された銅粉の評価]
上記防錆処理された銅粉に対して、上述した実施例4と同様に評価を行って、その結果を、表1〜3にまとめた。なお、表2における処理後の銅粉のサイズは、実施例9については、防錆処理後の銅粉のサイズであり、表3の各評価も、防錆処理した銅粉についての結果である。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
上記の比較例1〜4の他に、シランカップリング剤としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用い、アンモニアを触媒として用いて銅粉に表面処理をして、比較実験を行ったが、テトラエトキシシランを用いた場合には、得られた表面処理銅粉が凝集してしまい、肉眼による観察によって、均一な表面処理と粒径が得られていないと思われる状態となっていた。この場合、表面処理前にD50=0.13μm、Dmax=0.44μmであったが、表面処理後にはD50=0.87μm、Dmax=3.1μmといずれも7倍程度大きくなっていた。また、粒度分布は表面処理前に1山であったものが2山となっていた。
【0081】
代表的な例として、実施例5の表面処理された銅粉から得られた焼結体の断面のTEM像(4万倍)を図1に示す。白い部分は、焼結した銅であり、黒い部分は、SiO2粒子である。SiO2粒子であることは、別途、EDS分析を行って確認した。また、断面の仕上げのために、表面に精密集束イオンビーム(FIB)加工を行って、走査型電子顕微鏡(SIM)写真を得て、これによってSiO2粒子数を計数した。
【0082】
代表的な例として、実施例5の表面処理された銅粉の表面のXPS survey測定の結果を図2に、比較例2の表面処理された銅粉の表面のXPS survey測定の結果を図3に、それぞれ示す。図2では、横軸400eV付近に、表面のNの存在を表すピークが観察されるが、図3では、対応する横軸400eV付近には、表面のNの存在を表すピークが観察されない。このように、実施例5の表面処理された銅粉の表面には、表面のNの存在量を示すピークが観察され一方、比較例2の表面処理された銅粉の表面には、表面のNの存在量を示すピークが観察されなかった。
【0083】
これらの結果、本発明に係る、アミノシラン水溶液を混合して製造した表面処理された銅粉は、その製造方法が極めて簡易であるにもかかわらず、微少な大きさの銅粉であるにもかかわらず、ニッケル合金による微粉と同等以上に、高い焼結開始温度を有していることがわかった。また、この表面処理された銅粉からは、チップ積層セラミックコンデンサーの電極の製造工程と同様の焼結によって焼結体を製造することができること、このように製造(形成)された焼結体は、上記表面処理された銅粉を使用したにもかかわらず、焼結体の断面において、大きな直径(粒子の最小外接円の直径)のSiO2粒子の個数(個数/μm2)が少ないものとなっていることが、わかった。
【0084】
また、上記の結果から、十分な焼結遅延性を実現するためには、シランカップリング剤としては、アミノ基を有するアミノシランであることが必要であることがわかった。また、アミノシランとしては、末端にアミノ基を有するアミノシランが好ましいことがわかった。比較例4においては、銅粉に対して十分な量のSiが付着しているように見えるにもかかわらず、十分な焼結遅延性が実現されていない。この理由は不明であるが、本発明者は、比較例4においては、アミノシランが、末端にアミノ基を有する構造となっておらず、加えて、ベンゼン環がアミノ基よりも末端に存在するために、あたかも立体障害のような状態が生じていて、焼結のための昇温の途中で、いったんは銅粉に付着したアミノシランあるいはSiが、早い時期に銅粉から脱離してしまうためではないかと、推測している。
【0085】
また、上記の実施例9の結果から、本発明に係る表面処理された銅粉は、アミノシランによる表面処理を受けた後に、さらに防錆処理等の表面処理を行っても、その優れた性質を維持していることがわかった。すなわち、本発明に係る表面処理された銅粉の表面に、アミノシランによる表面処理が脱離等しない範囲内で、さらに有機物等で表面処理を行って得られた銅粉もまた、本発明の範囲内である。
【0086】
[製造例]
以下のように、微細な銅粉を製造し、さらに製造した銅粉をアミノシランによって表面処理して、本発明に係る、表面処理された銅粉を、湿式法による一貫製造を行った。
【0087】
(1) アラビアゴム 0.2 g + 純水 350 mL に、亜酸化銅 50 g を添加した。
(2) 次に、希硫酸(25wt%)50 mLを一時に添加した。
(3) これを、回転羽で攪拌後(300rpm×10分)、60分放置した。
(4) 次に、沈殿に対して、洗浄を行った。
洗浄は、最初に、上澄み液を除去し、純水350 mLを加えて攪拌( 300rpm×10分)後、60分放置し、上澄み液を除去し、純水350 mLを加えて攪拌( 300rpm×10分)後、60分放置し、上澄み液を除去することによって行った。
(5) 次に、アミノシラン処理を行った。
アミノシラン処理は、アミノシラン水溶液(50mL)を加えて60分攪拌し、この際に、回転羽(300rpm)+超音波(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ / W−113)(出力100W、周波数100kHz)の処理を、行った。これとは別に、回転羽のみ(300rpm)の処理、超音波のみの処理を別途行った。アミノシランとして、ジアミノシランA−1120(MOMENTIVE社製)、アミノシランA−1110(MOMENTIVE社製)を、それぞれ使用した。
(6) 次に、ろ過を行って、沈殿を分離した。
(7) 次に、分離した沈殿を、乾燥した。乾燥(70℃×2h)は、大気雰囲気での乾燥、及び窒素中で乾燥を、それぞれ行った。
【0088】
このようにして、表面処理された、微細な銅粉を、一貫製造によって得た。このようにして得られた表面処理された銅粉は、上記実施例1〜9の表面処理された銅粉と同様に、優れた焼結遅延性を有すると同時に、その焼結体断面に存在するSiO2の大粒子の数は小さなものであった。また、この一貫製造は、最終的な製品を得るまで乾燥することなく行うことができ、簡便で作業性に優れていた。
【0089】
[実施例]
すでに上述した実施例に加えて、以下の実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[金属粉]
金属粉として、銅微粉、ニッケル粉、銀粉を以下の手順で用意した。
【0090】
(銅微粉)
・実施例15〜17、比較例9
表面処理に供される銅粉20gを、上述した湿式法によって製造した。すなわち、
(1) アラビアゴム 0.4 g + 純水 350 mL に、亜酸化銅 50 g を添加した。
(2) 次に、希硫酸(25wt%)50 mLを一時に添加した。
(3) これを、回転羽で攪拌後(300rpm×10分)、60分放置した。
(4) 次に、沈殿に対して、洗浄を行った。
洗浄は、最初に、上澄み液を除去し、純水350 mLを加えて攪拌( 300rpm×10分)後、60分放置し、上澄み液を除去し、純水350 mLを加えて攪拌( 300rpm×10分)後、60分放置し、銅微粉を沈降させた。この状態で粒度測定をレーザー回折式粒度分布測定(島津製作所SLAD−2100)で行い、表面処理前の粒度測定とした。
得られた銅粉の粒子サイズ(D50、Dmax)を表3に示す。測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2100)を使用した。
【0091】
・実施例10
特許第4164009号公報に従い、化学還元法によって銅粉を得た。すなわち、アラビアゴム2gを2900mLの純水に添加した後、硫酸銅125gを添加し撹拌しながら、80%ヒドラジン一水和物を360mL添加した。ヒドラジン一水和物の添加後〜3時間かけて室温から60℃に昇温し、更に3時間かけて酸化銅を反応させた。反応終了後、得られたスラリーをヌッチェでろ過し、次いで純水及びメタノールで洗浄し、更に乾燥させて銅粉を得た。この銅粉と実施例1の手順でジアミノシランカップリング剤水溶液とを混合し、表面処理銀粉を得た。この特性を実施例1の手順で評価した。
【0092】
(ニッケル粉)
ニッケル粉は東邦チタニウム製のNF32(D50 0.3μm)を用いた。
【0093】
(銀粉)
特開2007−291513に従って製粉した。すなわち、0.8Lの純水に硝酸銀12.6gを溶解させ、25%アンモニア水を24mL,さらに硝酸アンモニウムを40g添加し、銀アンミン錯塩水溶液を調整した。これに1g/Lの割合でゼラチンを添加し、これを電解液とし、陽極、陰極ともにDSE極板を使用し、電流密度200A/m2、溶液温度20℃で電解し、電析した銀粒子を局番から掻き落としながら1時間電解した。こうして得られた銀粉をヌッチェでろ過し、純水、アルコールの順に洗浄を行い、70℃で12時間大気雰囲気下で乾燥させた。この銀粉を乾式分級し、最終的にD50 0.1μm、Dmax 0.5μmの銀粉を得た。
【0094】
(カップリング剤水溶液の調製)
次の各種のシランを使用したシラン水溶液をそれぞれ50ml調製した。

シラン:ジアミノシランA−1120(MOMENTIVE社製)
メチルトリメトキシシランKBM−13(信越シリコーン社製)
チタネート:アミノ基含有 プレインアクト KR44(味の素ファインテクノ社製)
アミノ基非含有 プレインアクト KR TTS (味の素ファインテクノ社製)

濃度は1〜10vol%の範囲で調製した。また、アミノ系カップリング剤以外は希硫酸でpHを4に調整した。
【0095】
各種のシランの構造式は、以下である。

ジアミノシランA−1120:
2N−C24−NH−C36−Si(OCH33

メチルトリメトキシシランKBM−13:
3C−Si(OCH33

アミノ基含有 プレインアクト KR44
疎水基の側鎖有機官能基
(CH32CH−O−
親水基の側鎖有機官能基
−O−(C24)−NH−(C24)−NH2

アミノ基非含有 プレインアクト KR TTS
疎水基の側鎖有機官能基
(CH32CH−O−
親水基の側鎖有機官能基
−O−CO−(C1735
【0096】
(表面処理)
上記(銅微粉)の手順で得られた銅微粉スラリーから上澄み液を除去し、銅微粉を乾燥させることなく、上記(カップリング剤水溶液の調製)で調整したカップリング剤と60分間、以下のいずれかの方法で混合させた(実施例15〜17、比較例9)。
(1)回転羽(300rpm)+超音波(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ / W−113)(出力100W、周波数100kHz)
(2)回転羽(300rpm)のみ
(3)超音波のみ
次にこれらのカップリング剤水溶液をそれぞれアスピレーターで吸引ろ過したのち、銅微粉の上に純水350mLを加え、さらにろ過した。これを窒素雰囲気下で70℃で1時間乾燥し、乳鉢で粉砕した。この状態で再度粒度測定を行った。
実施例10については、上記(銅微粉)に記載の通りとして、上述の(1)の手順で表面処理を行った。
上記(ニッケル粉)で得られたニッケル粉、上記(銀粉)の手順で得られた銀粉については、上記(カップリング剤水溶液の調製)で調整したカップリング剤と60分間、上述の(1)の手順で混合させて、表面処理を行った(実施例11〜14及び18〜23、比較例6、8,10、11)。
得られた結果を、次の表4〜6に示す。
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】
以上のように、本発明によれば、銅粉以外の金属粉を使用した場合においても、また、シランカップリング剤以外のカップリング剤を使用した場合においても、優れた特性の表面処理された金属粉が得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、表面処理後にも凝集することなく、焼結遅延性に優れ、粒子の小さい銅粉であっても高い焼結開始温度を示す、表面処理された銅粉を提供する。本発明による表面処理された銅粉は、銅粉に対して非常に簡単な処理を行うことで製造でき、この製造方法は、高度な技能を必要とせず、作業性及び生産性に優れたものである。本発明は、産業上有用な発明である。
図1
図2
図3