(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施例1〜4に係る多視点映像フレーム内挿装置は、ある視点(視点1)から撮影された高速映像(第一入力映像F)と、別の視点(視点2)から撮影された低速映像(第二入力映像S)とを入力し、第一入力映像F及び第二入力映像Sを用いて、視点2の第二入力映像Sの内挿フレームである出力内挿映像を生成する。
【0018】
尚、多視点映像フレーム内挿装置は、さらに別の視点(視点V;Vは3以上の整数)から撮影された低速映像も入力し、視点1の第一入力映像F及び視点Vの第二入力映像Sを用いて、視点Vの第二入力映像Sの内挿フレームである出力内挿映像を生成するようにしてもよい。この場合の多視点映像フレーム内挿装置は、後述する「視点2」を「視点V」に置き換えた構成を付加したものとすればよい。
【0019】
以下、高速映像である第一入力映像をF
tとし、低速映像である第二入力映像をS
tとする。添え字のtはフレーム番号を表す。第一入力映像F
tについては、整数tのフレームが存在するものとし、第二入力映像S
tについては、Dの整数倍(Dは2以上の整数)のtについてフレームが存在するものとする。多視点映像フレーム内挿装置は、第二入力映像S
tに対し、Dの整数倍以外のtについてフレームを生成するものであり、以下に示す実施例1〜4では、D=2の場合を示している。第一入力映像F
tのサンプリング時刻はt=・・・,−2,−1,0,1,2,・・・、第二入力映像S
tのサンプリング時刻はt=・・・,−4,−2,0,2,4,・・・であり、多視点映像フレーム内挿装置は、第二入力映像S
tに対し、t=・・・,−3,−1,1,3,・・・の内挿フレームを生成する。
【実施例1】
【0020】
まず、実施例1について説明する。実施例1は、視点1と視点2との間の視差ベクトル及び視点1の動きベクトルを用いて、視点2の動きベクトルを予測し、予測した視点2の動きベクトルを用いて視点2の映像を動き補償し、視点2の内挿フレーム(出力内挿映像)を生成するものである。
【0021】
図1は、実施例1に係る多視点映像フレーム内挿装置の動作例の説明図であり、
図2は、その構成例を示すブロック図であり、
図3は、その処理を示すフローチャートである。
図2を参照して、実施例1に係る多視点映像フレーム内挿装置1は、視差推定手段11、遅延手段12、動きベクトル推定手段(動き推定手段)13、視差補償手段14及び動き補償手段15を備えている。
【0022】
以下、第一入力映像F
tの隣接する2個のフレームF
0,F
1(以下、第一入力映像F
0,F
1という。)及び第二入力映像S
tのフレームS
0(以下、第二入力映像S
0という。)から、視点2の出力内挿映像のフレームS
1(以下、出力内挿映像S
1という。)を生成する手法について説明する。生成する視点2の出力内挿映像S
1は、視点1の第一入力映像F
1であるサンプリング時刻t=1のフレームに対応するものである。多視点映像フレーム内挿装置1が視点1の第一入力映像F
0,F
1及び視点2の第二入力映像S
0を入力すると(ステップS301)、視差推定手段11は、第一入力映像F
0を入力すると共に、第二入力映像S
0を入力し、第一入力映像F
0及び第二入力映像S
0に基づいて、第二入力映像S
0から第一入力映像F
0への視差ベクトルD
0を推定する(ステップS302)。視差ベクトルD
0は、視差補償手段14に出力される。
【0023】
視差ベクトルD
0は、典型的には、第一入力映像F
0と第二入力映像S
0との間のパターン照合により部分領域毎の対応付けが行われ、視差推定されたベクトルであって、フレーム内の部分領域毎に求めた複数の視差ベクトルのマップである。すなわち、マッチングした部分領域を基準にした、第一入力映像F
0の画素座標と第二入力映像S
0の画素座標との間の差をいい、その差の大きさ及び方向を示すべクトルで表したものである。
【0024】
例えば、視差推定手段11は、第二入力映像S
0(または第一入力映像F
0)をブロック分割し(部分領域に分割し)、各ブロックの画素値パターンと最も類似する領域を、相互相関の最大化または誤差の最小化によって第一入力映像F
0(または第二入力映像S
0)の中から探索することにより、視差ベクトルD
0を推定する。
【0025】
遅延手段12は、第一入力映像F
0を入力し、第一入力映像F
0を、第一入力映像F
tのフレーム間隔に相当する時間分遅延させ、遅延させた第一入力映像F
0を動きベクトル推定手段13に出力する(ステップS303)。後述する動きベクトル推定手段13において、時刻t−1(=0)のフレーム(第一入力映像F
0)を時刻t(=1)の時点で参照するために、遅延手段12は、1時点前のフレーム(第一入力映像F
0)を記憶する。
【0026】
動きベクトル推定手段13は、第一入力映像F
1を入力すると共に、遅延手段12から第一入力映像F
0を入力し、第一入力映像F
0,F
1に基づいて、第一入力映像F
0から第一入力映像F
1への動きベクトルV
1を推定する(ステップS304)。動きベクトルV
1は、視差補償手段14に出力される。
【0027】
動きベクトルV
1は、典型的には、第一入力映像F
0,F
1のパターン照合により部分領域毎の対応付けが行われ、推定されたベクトルであって、フレーム内の部分領域毎に求めた複数の動きベクトルのマップである。すなわち、マッチングした部分領域を基準にした、第一入力映像F
0の画素座標と第一入力映像F
1の画素座標との間の差をいい、その差の大きさ及び方向を示すべクトルで表したものである。
【0028】
例えば、動きベクトル推定手段13は、第一入力映像F
0(または第一入力映像F
1)をブロック分割し(部分領域に分割し)、各ブロックの画素値パターンと最も類似する領域を、相互相関の最大化または誤差の最小化によって第一入力映像F
1(または第一入力映像F
0)の中から探索することにより、動きベクトルV
1を推定する。
【0029】
視差補償手段14は、視差推定手段11から視差ベクトルD
0を入力すると共に、動きベクトル推定手段13から動きベクトルV
1を入力し、第二入力映像S
0の部分領域毎に、視差ベクトルD
0の符号を逆にしたベクトル−D
0に従って、動きベクトルV
1を視差補償し、視差補償した動きベクトルW
1(第二入力映像S
0から出力内挿映像S
1への動きベクトルW
1)を生成する(ステップS305)。視差補償した動きベクトルW
1は、動き補償手段15に出力される。これにより、視点1における動きベクトルV
1の分布が、視点2における動きベクトルの予測分布を示す動きベクトルW
1に変換される。
【0030】
図4は、視差補償手段14の処理を説明する図である。(1)は動きベクトルV
1の例を示し、(2)は視差ベクトルD
0の例を示し、(3)は視差ベクトルD
0だけ部分領域をずらしたときの動きベクトルV
1の例を示し、(4)は視差補償した動きベクトルW
1の例を示す。
図4(1)に示すように、動きベクトルV
1は、第一入力映像F
tのフレームがブロック分割された所定の部分領域毎に、異なるベクトルを有しており、
図4(2)に示すように、視差ベクトルD
0は、第二入力映像S
tのフレームがブロック分割された所定の部分領域毎に、異なるベクトルを有している。尚、動きベクトルV
1及び視差ベクトルD
0は、画素単位で異なるベクトルを有していてもよい。
【0031】
視差補償手段14は、
図4(1)に示した動きベクトルV
1に対し、
図4(2)に示した視差ベクトルD
0だけずらした部分領域(
図4(3)の点線で示す領域)に存在する動きベクトル(
図4(3)の点線内の動きベクトル)について、その動きベクトルを、視差ベクトルD
0の符号を反転したベクトル−D
0だけ並進することにより、動きベクトルV
1を視差補償し、視差補償した動きベクトルW
1を生成する(
図4(4)を参照)。尚、
図4(3)に示した動きベクトルを、視差ベクトルD
0の符号を反転したベクトル−D
0だけ並進させた結果、
図4(4)の斜線部のように、ベクトルが未定義の箇所が存在し得る。この場合、視差補償手段14は、その箇所の動きベクトルW
1についてはゼロベクトルとするか、または近傍の動きベクトルW
1を用いて外挿したベクトルに設定する。
【0032】
図1〜
図3に戻って、動き補償手段15は、第二入力映像S
0を入力すると共に、視差補償手段14から動きベクトルの予測分布を示す動きベクトルW
1を入力し、第二入力映像S
0の部分領域毎に、動きベクトルW
1に従って第二入力映像S
0を動き補償し、動き補償した出力内挿映像S
1を生成し(ステップS306)、出力内挿映像S
1を出力する(ステップS307)。出力内挿映像S
1は、第一入力映像F
1の時刻に対応した映像となる。
【0033】
図5は、動き補償手段15の処理を説明する図である。(1)は第二入力映像S
0の例を示し、(2)は動きベクトルW
1の例を示し、(3)は出力内挿映像S
1の例を示す。動き補償手段15は、
図5(1)に示した第二入力映像S
0に対し、
図5(2)に示した動きベクトルW
1の符号を逆にしたベクトル−W
1だけずらした部分領域(
図5(3)の点線で示す領域)に存在する映像(
図5(3)の点線内の映像)について、その映像を、動きベクトルW
1だけ並進することにより、第二入力映像S
0を動き補償し、動き補償した出力内挿映像S
1を生成する(
図5(3)を参照)。
【0034】
以上のように、実施例1に係る多視点映像フレーム内挿装置1によれば、視差推定手段11が、第一入力映像F
0及び第二入力映像S
0に基づいて、第二入力映像S
0から第一入力映像F
0への視差ベクトルD
0を推定し、動きベクトル推定手段13が、第一入力映像F
0,F
1に基づいて、第一入力映像F
0から第一入力映像F
1への動きベクトルV
1を推定し、視差補償手段14が、第二入力映像S
0の部分領域毎に、視差ベクトルD
0の符号を逆にしたベクトル−D
0に従って、動きベクトルV
1を視差補償し、視差補償した動きベクトルW
1(第二入力映像S
0から出力内挿映像S
1への動きベクトルW
1)を生成するようにした。また、動き補償手段15が、第二入力映像S
0の部分領域毎に、動きベクトルW
1に従って第二入力映像S
0を動き補償し、動き補償した出力内挿映像S
1を生成するようにした。これにより、視点2の低速映像である第二入力映像S
0の内挿フレーム(出力内挿映像S
1)を、別の視点1の高速映像である第一入力映像F
0,F
1を利用して生成するようにしたから、低速映像の高精細化を実現することができる。
【0035】
(実施例1の変形例)
実施例1の変形例として、多視点映像フレーム内挿装置1は、第一入力映像F
0,F
1の代わりに第一入力映像F
1,F
2を入力し、第二入力映像S
0の代わりに第二入力映像S
2を入力するようにしてもよい(後述する
図14を参照)。この場合、視差推定手段11は、第一入力映像F
2及び第二入力映像S
2に基づいて視差ベクトルD
2を推定し、動きベクトル推定手段13は、第一入力映像F
1,F
2に基づいて動きベクトル−V
2を推定する。また、視差補償手段14は、視差ベクトルD
2に従って動きベクトル−V
2を視差補償し、動きベクトル−W
2を生成し、動き補償手段15は、動きベクトル−W
2に従って第二入力映像S
2を動き補償し、出力内挿映像S
1を生成する。
【実施例2】
【0036】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、視点1と視点2との間の視差ベクトル及び視点1の動きベクトルを用いて、生成すべき内挿フレームの時点の視差ベクトルを予測し、予測した視差ベクトルを用いて視点1の映像を視差補償し、視点2の内挿フレーム(出力内挿映像)を生成するものである。
【0037】
図6は、実施例2に係る多視点映像フレーム内挿装置の動作例の説明図であり、
図7は、その構成例を示すブロック図であり、
図8は、その処理を示すフローチャートである。
図7を参照して、実施例2に係る多視点映像フレーム内挿装置2は、視差推定手段11、遅延手段12、動きベクトル推定手段13、動き補償手段21及び視差補償手段22を備えている。多視点映像フレーム内挿装置2の視差推定手段11、遅延手段12及び動きベクトル推定手段13は、
図2に示した多視点映像フレーム内挿装置1の視差推定手段11、遅延手段12及び動きベクトル推定手段13と同様である。
【0038】
以下、視点1の第一入力映像F
0,F
1及び視点2の第二入力映像S
0から視点2の出力内挿映像S
1を生成する手法について説明する。
図8において、ステップS801〜ステップS804の処理は、
図3に示したステップS301〜ステップS304の処理と同様であるから、説明を省略する。
【0039】
動き補償手段21は、ステップS804から移行して、視差推定手段11から視差ベクトルD
0を入力すると共に、動きベクトル推定手段13から動きベクトルV
1を入力し、第二入力映像S
0の部分領域毎に、動きベクトルV
1に従って視差ベクトルD
0を動き補償し、動き補償した視差ベクトルE
0(第一入力映像F
1から出力内挿映像S
1への視差ベクトルE
0)を生成する(ステップS805)。動き補償した視差ベクトルE
0は、視差補償手段22に出力される。これにより、時刻t=0における視点2から視点1への視差ベクトルD
0の分布が、時刻t=1における視点1から視点2への視差ベクトルの予測分布を示す視差ベクトルE
0に変換される。
【0040】
図9は、動き補償手段21の処理を説明する図である。(1)は視差ベクトルD
0の例を示し、(2)は動きベクトルV
1の例を示し、(3)は動きベクトルV
1だけ部分領域をずらしたときの視差ベクトルD
0の例を示し、(4)は動き補償した視差ベクトルE
0の例を示す。
図9(1)に示すように、視差ベクトルD
0は、第二入力映像S
tのフレームがブロック分割された所定の部分領域毎に、異なるベクトルを有しており、
図9(2)に示すように、動きベクトルV
1は、第一入力映像F
tのフレームがブロック分割された所定の部分領域毎に、異なるベクトルを有している。尚、視差ベクトルD
0及び動きベクトルV
1は、画素単位で異なるベクトルを有していてもよい。
【0041】
動き補償手段21は、
図9(1)に示した視差ベクトルD
0に対し、
図9(2)に示した動きベクトルV
1の符号を反転したベクトル−V
1だけずらした部分領域(
図9(3)の点線で示す領域)に存在する視差ベクトル(
図9(3)の点線内の視差ベクトル)について、その視差ベクトルを、動きベクトルV
1だけ並進することにより、視差ベクトルD
0を動き補償し、動き補償した視差ベクトルE
0を生成する(
図9(4)を参照)。尚、
図9(3)に示した視差ベクトルを、動きベクトルV
1だけ並進させた結果、
図9(4)の斜線部のように、ベクトルが未定義の箇所が存在し得る。この場合、動き補償手段21は、その箇所の視差ベクトルE
0についてはゼロベクトルとするか、または近傍の視差ベクトルE
0を用いて外挿したベクトルに設定する。
【0042】
図6〜
図8に戻って、視差補償手段22は、第一入力映像F
1を入力すると共に、動き補償手段21から視差ベクトルの予測分布を示す視差ベクトルE
0を入力し、第二入力映像S
0の部分領域毎に、視差ベクトルE
0に従って第一入力映像F
1を視差補償し、視差補償した出力内挿映像S
1を生成し(ステップS806)、出力内挿映像S
1を出力する(ステップS807)。出力内挿映像S
1は、第一入力映像F
1の時刻に対応した映像となる。
【0043】
図10は、視差補償手段22の処理を説明する図である。(1)は第一入力映像F
1の例を示し、(2)は視差ベクトルE
0の例を示し、(3)は出力内挿映像S
1の例を示す。視差補償手段22は、
図10(1)に示した第一入力映像F
1に対し、
図10(2)に示した視差ベクトルE
0の符号を逆にしたベクトル−E
0だけずらした部分領域(
図10(3)の点線で示す領域)に存在する映像(
図10(3)の点線内の映像)について、その映像を、視差ベクトルE
0だけ並進することにより、第一入力映像F
1を視差補償し、視差補償した出力内挿映像S
1を生成する(
図10(3)を参照)。
【0044】
以上のように、実施例2に係る多視点映像フレーム内挿装置2によれば、視差推定手段11が、第一入力映像F
0及び第二入力映像S
0に基づいて、第二入力映像S
0から第一入力映像F
0への視差ベクトルD
0を推定し、動きベクトル推定手段13が、第一入力映像F
0,F
1に基づいて、第一入力映像F
0から第一入力映像F
1への動きベクトルV
1を推定し、動き補償手段21が、第二入力映像S
0の部分領域毎に、動きベクトルV
1に従って視差ベクトルD
0を動き補償し、動き補償した視差ベクトルE
0(第一入力映像F
1から出力内挿映像S
1への視差ベクトルE
0)を生成するようにした。また、視差補償手段22が、第二入力映像S
0の部分領域毎に、視差ベクトルE
0に従って第一入力映像F
1を視差補償し、視差補償した出力内挿映像S
1を生成するようにした。これにより、視点2の低速映像である第二入力映像S
0の内挿フレーム(出力内挿映像S
1)を、別の視点1の高速映像である第一入力映像F
0,F
1を利用して生成するようにしたから、低速映像の高精細化を実現することができる。
【0045】
(実施例2の変形例)
実施例2の変形例として、多視点映像フレーム内挿装置2は、第一入力映像F
0,F
1の代わりに第一入力映像F
1,F
2を入力し、第二入力映像S
0の代わりに第二入力映像S
2を入力するようにしてもよい(後述する
図14を参照)。この場合、視差推定手段11は、第一入力映像F
2及び第二入力映像S
2に基づいて視差ベクトルD
2を推定し、動きベクトル推定手段13は、第一入力映像F
1,F
2に基づいて動きベクトル−V
2を推定する。また、動き補償手段21は、動きベクトル−V
2に従って視差ベクトルD
2を動き補償し、視差ベクトルE
2を生成し、視差補償手段22は、視差ベクトルE
2に従って第一入力映像F
1を視差補償し、出力内挿映像S
1を生成する。
【実施例3】
【0046】
次に、実施例3について説明する。実施例3は、視点2の動きベクトルを用いて視点2の映像を動き補償し、視点2の内挿フレーム(出力内挿映像)を生成し、この出力内挿映像と、実施例1または2にて生成した視点2の出力内挿映像とを合成するものである。
【0047】
図11は、実施例3に係る多視点映像フレーム内挿装置の動作例の説明図であり、
図12は、その構成例を示すブロック図であり、
図13は、その処理を示すフローチャートである。
図12を参照して、実施例3に係る多視点映像フレーム内挿装置3は、
図2に示した実施例1の多視点映像フレーム内挿装置1の構成または
図7に示した実施例2の多視点映像フレーム内挿装置2の構成に加え、第二遅延手段31、第二動きベクトル推定手段(第二動き推定手段)32、第二動き補償手段33及び映像合成手段34を備えている。
【0048】
以下、視点1の第一入力映像F
0,F
1及び視点2の第二入力映像S
0,S
2から視点2の出力内挿映像S
1を生成する手法について説明する。生成する視点2の出力内挿映像S
1は、視点1の第一入力映像F
1であるサンプリング時刻t=1のフレームに対応するものである。多視点映像フレーム内挿装置3は、視点1の第一入力映像F
0,F
1及び視点2の第二入力映像S
0,S
2を入力すると(ステップS1301)、実施例1,2に示したとおり、第一入力映像F
0,F
1及び第二入力映像S
0に基づいて出力内挿映像S
1を生成し(ステップS1302)、出力内挿映像S
1を第一内挿映像S
1−1とする(ステップS1303)。
図13におけるステップS1302の処理は、多視点映像フレーム内挿装置3が多視点映像フレーム内挿装置1を備える場合、
図3に示した実施例1のステップS302〜ステップS306の処理と同様であり、多視点映像フレーム内挿装置3が多視点映像フレーム内挿装置2を備える場合、
図8に示した実施例2のステップS802〜ステップS806の処理と同様であるから、説明を省略する。
【0049】
第二遅延手段31は、ステップS1301から移行して、第二入力映像S
0を入力し、第二入力映像S
0を、第二入力映像S
tのフレーム間隔に相当する時間分遅延させ、遅延させた第二入力映像S
0を第二動きベクトル推定手段32に出力する(ステップS1304)。後述する第二動きベクトル推定手段32において、第二入力映像S
0から第二入力映像S
2への動きベクトルZ
2の分布を生成するために、第二遅延手段31は、1時点前の第二入力映像S
0を記憶する。
【0050】
第二動きベクトル推定手段32は、第二入力映像S
2を入力すると共に、遅延手段31から第二入力映像S
0を入力し、第二入力映像S
0,S
2に基づいて、第二入力映像S
0から第二入力映像S
2への動きベクトルZ
2を推定する(ステップS1305)。動きベクトルZ
2は、第二動き補償手段33に出力される。
【0051】
動きベクトルZ
2は、典型的には、第二入力映像S
0,S
2のパターン照合により部分領域毎の対応付けが行われ、推定されたベクトルであって、フレーム内の部分領域毎に求めた複数の動きベクトルのマップである。すなわち、マッチングした部分領域を基準にした、第二入力映像S
0の画素座標と第二入力映像S
2の画素座標との間の差をいい、その差の大きさ及び方向を示すべクトルで表したものである。
【0052】
例えば、第二動きベクトル推定手段32は、第二入力映像S
0(または第二入力映像S
2)をブロック分割し(部分領域に分割し)、各ブロックの画素値パターンと最も類似する領域を、相互相関の最大化または誤差の最小化によって第二入力映像S
2(または第二入力映像S
0)の中から探索することにより、動きベクトルZ
2を推定する。
【0053】
第二動き補償手段33は、第二入力映像S
0を入力すると共に、第二動きベクトル推定手段32から動きベクトルZ
2を入力し、第二入力映像S
0の部分領域毎に、動きベクトルZ
2を所定倍したベクトルに従って、第二入力映像S
0を動き補償し、動き補償した第二内挿映像S
1−2を生成する(ステップS1306)。ここで、所定倍とは、例えば、動き補償元の第二入力映像S
0から動き補償先の第二内挿映像S
1−2への時刻の差分を、動きベクトルZ
2を推定した2フレームにおける第二入力映像S
0から第二入力映像S
2への時間の差分で除した値である。本例の所定倍は1/2である。
【0054】
尚、第二動き補償手段33は、第二入力映像S
0の代わりに第二入力映像S
2を入力し、第二入力映像S
2の部分領域毎に、動きベクトルZ
2を所定倍して符号を逆にしたベクトルに従って、第二入力映像S
2を動き補償し、動き補償した第二内挿映像S
1−2を生成するようにしてもよい。
【0055】
映像合成手段34は、ステップS1303及びステップS1306から移行して、多視点映像フレーム内挿装置1または多視点映像フレーム内挿装置2から第一内挿映像S
1−1を入力すると共に、第二動き補償手段33から第二内挿映像S
1−2を入力し、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2とを合成して出力内挿映像S
1を生成し(ステップS1307)、出力内挿映像S
1を出力する(ステップS1308)。出力内挿映像S
1は、第一入力映像F
1の時刻に対応した映像となる。例えば、映像合成手段34は、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2との平均を求め、その結果を出力内挿映像S
1として出力する。
【0056】
以上のように、実施例3に係る多視点映像フレーム内挿装置3によれば、実施例1の多視点映像フレーム内挿装置1または実施例2の多視点映像フレーム内挿装置2が第一内挿映像S
1−1を生成し、第二動きベクトル推定手段32が、第二入力映像S
0,S
2に基づいて、第二入力映像S
0から第二入力映像S
2への動きベクトルZ
2を推定し、第二動き補償手段33が、第二入力映像S
0の部分領域毎に、動きベクトルZ
2を所定倍したベクトルに従って、第二入力映像S
0を動き補償し、動き補償した第二内挿映像S
1−2を生成するようにした。また、映像合成手段34が、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2とを合成して出力内挿映像S
1を生成するようにした。これにより、視点2の低速映像である第二入力映像S
0の内挿フレーム(出力内挿映像S
1)を、別の視点1の高速映像である第一入力映像F
0,F
1を利用して生成するようにしたから、低速映像の高精細化を実現することができる。また、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2とを合成するようにしたから、実施例1,2に比べて頑健性の高い出力内挿映像S
1を生成することができる。
【実施例4】
【0057】
次に、実施例4について説明する。実施例4は、視点2の動きベクトルを用いて視点2の映像を動き補償し、視点2の内挿フレーム(出力内挿映像)を生成し、この出力内挿映像と、前述の実施例1の変形例または実施例2の変形例(第一入力映像F
0,F
1の代わりに第一入力映像F
1,F
2を入力し、第二入力映像S
0の代わりに第二入力映像S
2を入力する例)にて生成した視点2の出力内挿映像とを合成するものである。
【0058】
図14は、実施例4に係る多視点映像フレーム内挿装置の動作例の説明図である。実施例4に係る多視点映像フレーム内挿装置4は、
図12に示した実施例3と同様の構成部を備えているが、多視点映像フレーム内挿装置1,2が、第一入力映像F
0,F
1の代わりに第一入力映像F
1,F
2を入力し、第二入力映像S
0の代わりに第二入力映像S
2を入力する点で、実施例3と相違する。多視点映像フレーム内挿装置1,2の視差推定手段11及び遅延手段12、多視点映像フレーム内挿装置1の動きベクトル推定手段13及び視差補償手段14、多視点映像フレーム内挿装置2の動き補償手段21及び視差補償手段22の各処理は、実施例1の変形例及び実施例2の変形例に示したので、ここでは説明を省略する。このように、多視点映像フレーム内挿装置4が多視点映像フレーム内挿装置1を備える場合、多視点映像フレーム内挿装置1の動き補償手段15は、動きベクトル−W
2に従って第二入力映像S
2を動き補償し、第一内挿映像S
1−1を生成する。また、多視点映像フレーム内挿装置4が多視点映像フレーム内挿装置2を備える場合、多視点映像フレーム内挿装置2の視差補償手段22は、視差ベクトルE
2に従って第一入力映像F
1を視差補償し、第一内挿映像S
1−1を生成する。
【0059】
したがって、多視点映像フレーム内挿装置4は、第一入力映像F
1,F
2及び第二入力映像S
0,S
2を入力し、第一入力映像F
1,F
2及び第二入力映像S
2から第一内挿映像S
1−1を生成し、第二入力映像S
0,S
2から第二内挿映像S
1−2を生成し、第一内挿映像S
1−1及び第二入力映像S
0,S
2から出力内挿映像S
1を生成する。
【0060】
以上のように、実施例4に係る多視点映像フレーム内挿装置4によれば、視点2の低速映像である第二入力映像S
2の内挿フレーム(出力内挿映像S
1)を、別の視点1の高速映像である第一入力映像F
1,F
2を利用して生成するようにしたから、低速映像の高精細化を実現することができる。また、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2とを合成するようにしたから、実施例1,2に比べて頑健性の高い出力内挿映像S
1を生成することができる。
【0061】
尚、実施例3,4の多視点映像フレーム内挿装置3,4における映像合成手段34は、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2との間で重み付き平均を求め、その結果を出力内挿映像S
1とするようにしてもよい。この場合の重み付けは、例えば、第一内挿映像S
1−1及び第二内挿映像S
1−2における部分領域毎の信頼度に応じて、信頼度が高いほど大きな重みを与えるようにする。
【0062】
信頼度は、例えば、視差推定時に用いた照合方法(例えば、ブロックマッチング)の評価関数(例えば、相互相関または誤差の評価関数)の値、及び/または動き推定時に用いた照合方法(例えば、ブロックマッチング)の評価関数(例えば、相互相関または誤差の評価関数)の値に基づいて、部分領域毎に定義する。
【0063】
具体的には、実施例1,2の多視点映像フレーム内挿装置1,2による視差推定手段11は、視差ベクトルD
0を求めた際の評価関数の値に基づいて、信頼度r
D(0≦r
D≦1;相互相関が大きいまたは誤差が小さいほどr
Dは大きくする)を部分領域毎に求め、動きベクトル推定手段13は、動きベクトルV
1を求めた際の評価関数の値に基づいて、信頼度r
V(0≦r
V≦1;相互相関が大きいまたは誤差が小さいほどr
Vは大きくする)を部分領域毎に求める。また、実施例3,4の第二動きベクトル推定手段32は、動きベクトルZ
2を求めた際の評価関数の値に基づいて、信頼度r
V2(0≦r
V2≦1;相互相関が大きいまたは誤差が小さいほどr
V2は大きくする)を部分領域毎に求める。そして、映像合成手段34は、多視点映像フレーム内挿装置1,2の視差推定手段11及び動きベクトル推定手段13から部分領域毎の信頼度r
D,r
Vを入力し、これらの積r
D×r
Vを第一内挿映像S
1−1の部分領域毎の信頼度とする。また、映像合成手段34は、第二動きベクトル推定手段32から部分領域毎の信頼度r
V2を入力し、これを第二内挿映像S
1−2の部分領域毎の信頼度とする。そして、映像合成手段34は、第一内挿映像S
1−1の部分領域毎の信頼度r
D×r
V及び第二内挿映像S
1−2の部分領域毎の信頼度r
V2に基づいて、信頼度が高いほど大きい重みを与えるように、部分領域毎に、第一内挿映像S
1−1の重み及び第二内挿映像S
1−2の重みを求める。そして、映像合成手段34は、これらの重みを用いて、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1−2との間で部分領域毎に重み付き平均を求め、その結果を出力内挿映像S
1とする。
【0064】
この場合、映像合成手段34は、第一内挿映像S
1−1の信頼度と第二内挿映像S
1−2の信頼度とを部分領域毎に比較し、部分領域毎に、信頼度が高い方の第一内挿映像S
1−1または第二内挿映像S
1−2をパッチ状につなぎ合わせ、出力内挿映像S
1を生成するようにしてもよい。
【0065】
(実施例3,4の変形例)
実施例3,4の変形例1として、多視点映像フレーム内挿装置3,4は、多視点映像フレーム内挿装置1及び多視点映像フレーム内挿装置2を備え、映像合成手段34は、多視点映像フレーム内挿装置1により生成された第一内挿映像S
1-1-1と、多視点映像フレーム内挿装置2により生成された第一内挿映像S
1-1-2とを入力すると共に、第二動き補償手段33から第二内挿映像S
1−2を入力するようにしてもよい。この場合、映像合成手段34は、第一内挿映像S
1-1-1と第一内挿映像S
1-1-2と第二内挿映像S
1−2との平均を求める等して合成し、出力内挿映像S
1を生成する。
【0066】
また、実施例3,4の変形例2として、多視点映像フレーム内挿装置3,4の第二動きベクトル推定手段32は、第二入力映像S
0から第二入力映像S
2への動きベクトルZ
2を推定することに加えて、第二入力映像S
2から第二入力映像S
0への動きベクトルZ
2’も推定し、第二動き補償手段33は、第二入力映像S
0を入力すると共に、第二動きベクトル推定手段32から動きベクトルZ
2を入力し、第二入力映像S
0を動き補償し、動き補償した第二内挿映像S
1-2-1を生成することに加えて、第二入力映像S
2を入力すると共に、第二動きベクトル推定手段32から動きベクトルZ
2’を入力し、第二入力映像S
2の部分領域毎に、動きベクトルZ
2’を所定倍したベクトルに従って、第二入力映像S
2を動き補償し、動き補償した第二内挿映像S
1-2-2を生成するようにしてもよい。この場合、映像合成手段34は、第一内挿映像S
1−1と第二内挿映像S
1-2-1と第二内挿映像S
1-2-2との平均を求める等して合成し、出力内挿映像S
1を生成する。
【0067】
また、実施例3,4の変形例3として、多視点映像フレーム内挿装置3,4は、多視点映像フレーム内挿装置1及び多視点映像フレーム内挿装置2を備え、多視点映像フレーム内挿装置3の第二動きベクトル推定手段32は、動きベクトルZ
2,Z
2’を推定し、第二動き補償手段33は、第二内挿映像S
1-2-1,S
1-2-2を生成するようにしてもよい。この場合、映像合成手段34は、第一内挿映像S
1-1-1と第一内挿映像S
1-1-2と第二内挿映像S
1-2-1と第二内挿映像S
1-2-2との平均を求める等して合成し、出力内挿映像S
1を生成する。
【0068】
また、実施例3,4の変形例4として、新たな多視点映像フレーム内挿装置は、実施例3の多視点映像フレーム内挿装置1,2及び実施例4の多視点映像フレーム内挿装置1,2の4つの多視点映像フレーム内挿装置のうち、1つ以上の多視点映像フレーム内挿装置を備え、さらに、第二遅延手段31、第二動きベクトル推定手段32、第二動き補償手段33及び映像合成手段34を備えるようにしてもよい。この場合、映像合成手段34は、1つ以上の多視点映像フレーム内挿装置から1つ以上の第一内挿映像を入力すると共に、第二動き補償手段33から1つまたは2つの第二内挿映像を入力し、これらの平均を求める等して合成し、出力内挿映像S
1を生成する。
【0069】
尚、本発明の実施例1〜4による多視点映像フレーム内挿装置1〜4のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。多視点映像フレーム内挿装置1〜4は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。実施例1の多視点映像フレーム内挿装置1に備えた視差推定手段11、遅延手段12、動きベクトル推定手段13、視差補償手段14及び動き補償手段15の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。実施例2の多視点映像フレーム内挿装置2に備えた視差推定手段11、遅延手段12、動きベクトル推定手段13、動き補償手段21及び視差補償手段22の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。実施例3,4の多視点映像フレーム内挿装置3,4に備えた多視点映像フレーム内挿装置1または多視点映像フレーム内挿装置2、第二遅延手段31、第二動きベクトル推定手段32、第二動き補償手段33及び映像合成手段34は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。