(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
発明の説明
本発明の目的は、それらの活性およびそれらの可溶性の両方に関しての優れた薬理学的特性、代謝クリアランスおよび生物学的利用能特徴を有する、哺乳動物における過剰増殖疾患、特にLPAの活動亢進に関連するもの、例えば癌、線維症または関節炎の処置において有用な新規なLPA受容体アンタゴニストを提供することにある。
【0008】
その結果、本発明は、LPAアンタゴニストであり、特に上で述べた疾患の処置における医薬として有用である、新規な置換シクロプロパンカルボキサミド化合物またはそれらの立体異性体もしくは互変異性体、あるいは薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0009】
化合物は、式(I)によって定義される:
【化1】
式中:
R
1’、R
1’’、R
4’、R
4’’は、独立してH、Hal、OH、CN、NO
2、NH
2、A、NH(LA)、N(LA)
2、COOHであり、
R
2、R
3は、独立してH、LAまたはHalであり、
R
5、R
6は、独立してHまたはLAであり、
【0010】
Xは、CHまたはNであり、ここで0個、1個または2個のXはNであり、残りのXはCHであり、
Aは、15個までの炭素原子を有する非分枝状または分枝状アルキルに基づく置換基であり、ここで1つ、2つまたは3つのCH
2基は、O、S、NH、N(LA)、CONH、NHCO、SO
2、COOまたはcycによって置き換えられていてもよく、1〜7個のH原子はHalによって置き換えられていてもよく、1つのCH
3基はcycによって置き換えられていてもよく、
【0011】
LAは、1、2、3または4個の炭素原子を有する非分枝状または分枝状アルキルであり、
cycは、単環式(mononuclear)、脂肪族または芳香族の4、5または6員環の、同素環 (homocycle)または1〜3個のN、Oおよび/もしくはS原子を有する複素環であり、ならびに
HalはF、Cl、BrまたはIである。
【0012】
一般的に、1回より多く出現するすべての残基は、同一であっても異なっていてもよく、すなわち互いに独立している。本明細書中で、他に明確に示さない限り、残基およびパラメーターは式(I)について示した意味を有する。
したがって、本発明は特に、式(I)で表され、式中前記残基の少なくとも1つが以下に示す好ましい意味の1つを有する化合物に関する。
【0013】
Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にフッ素または塩素を示す。
【0014】
「A」は、例えばメチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、または1−エチルプロピルを示す。
【0015】
「A」はさらに、1つのCH
2基がOもしくはS原子および/または−NH−、−CO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、−N=CH−もしくは−CH=N−基によって置き換えられていてもよく、かつここで1〜5個のH原子がHalによって置き換えられていてもよく、かつここで1つのCH基がNによって置き換えられていてもよく、かつここで1つのCH
3基がCNによって置き換えられていてもよい、上に定義したアルキル、例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシもしくはtert−ブトキシ、N,N’−ジメチルアミノアルキル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、5−アミノペンチル、3−アミノメチルシクロブチルまたはシアノアルキルを示す。
【0016】
「A」はさらに、1つのCH
2基がcycによって置き換えられていてもよい、上に定義したアルキル、例えば2−ピロリジン−1−イル−エトキシ、3−(ベンジル−オキシ−カルボニル)ピロリジン−1−イル−メチルアミノ、1−ベンジル−ピペリジン−4−イル−メチルアミノを示す。
【0017】
「LA」は、1、2、3または4個のC原子を有し、ここで1、2または3個のH原子がHalによって置き換えられていてもよい非分枝状の、または分枝状の直線状アルキル、例えばメチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルを示す。
【0018】
「Cyc」は、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジン−1−、2−または3−イル、オキサゾリジン−2−、3−、4−または5−イル、イソキサゾリジン−2−、3−、4−または5−イル、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−、1−、5−または6−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、フェニル、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、2−、3−、5−または6−ピラジン−1−または4−イル、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリルを示す。
【0019】
以下の化合物が、化学ライブラリーから知られており、したがって、主題保護の組成が関連する限り、本特許出願の請求項15〜19から除外される:
2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(6−メタンスルホニル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド、
フェニル−シクロプロパンカルボン酸(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミド、
N−[1−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−2−フェニル−シクロプロパンカルボキサミド、
N−(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−シクロプロパンカルボキサミド、
2−フェニル−N−(1−プロピル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル−シクロプロパンカルボキサミド、
N−(1−エチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−シクロプロパンカルボキサミド、
2−(4−クロロフェニル)−N−(1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−シクロプロパンカルボキサミド、または
N−1H−ベンズイミダゾール−2−イル−2−フェニル−シクロプロパンカルボキサミド。
【0020】
式(I’)に適合する好ましい態様において、R
2、R
3ではないシクロプロピル環での2つの置換基はトランス配向している:
【化2】
式中、すべての残基は式(I)について示した意味を有する。
【0021】
より好ましい群の式(I’)で表される化合物は、式(II’)、(III’)、(IV’)、(V’)または(VI’)に適合する:
【化3】
式中、すべての残基は式(I)について示した意味を有する。
【0022】
式(I’’)に適合する別の好ましい態様において、シクロプロピル環における立体化学は以下のとおりである:
【化4】
【0023】
より好ましい群の式(I’’)で表される化合物は、式(II’’)、(III’’)、(IV’’)、(V’’)または(VI’’)に適合する:
【化5】
式中、すべての残基は式(I)について示した意味を有する。
【0024】
さらに好ましいのは、式(I)、(I’)、(I’’)、(II’)、(II’’)、(III’)、(III’’)、(IV’)、(IV’’)、(V’)、(V’’)、(VI’)または(VI’’)の従属式1〜12で表される化合物であり、ここで、
従属式1において、
R
1’、R
1’’は、独立してH、F、Cl、Br、CN、NO
2、メチルまたはエチルであり、
従属式2において、
R
1’はHであり、
R
1’’は、F、Cl、Br、CN、NO
2、メチルまたはエチルであり、
従属式3において、
R
1’’はHであり、および
R
1’は、F、Cl、Br、CN、NO
2、メチルまたはエチルであり、
従属式4において、
R
4’、R
4’’は、独立してH、F、ClまたはBrであり、
【0025】
従属式5において、
R
2、R
3は独立してHまたはFであり、
従属式6において、
R
5、R
6はHであり、
従属式7において、
R
1’はHであり、
R
1’’はClまたはBrであり、
従属式8において、
R
1’はCNであり、
R
1’’はHであり、
【0026】
従属式9において、
R
4’、R
4’’はHであり、
従属式10において、
R
4’はメタフルオロであり、
R
4’’はHであり、
従属式11において、
R
1’、R
1’’はHであり、
従属式12において、
R
2、R
3はHであり、
残りの残基は式(I)について示した意味を有する。
【0027】
特に好ましいのは、式(式(I)、(I’)、(I’’)、(II’)、(II’’)、(III’)、(III’’)、(IV’)、(IV’’)、(V’)、(V’’)、(VI’)または(VI’’))で表され、式中R
5はHである当該化合物である。
【0028】
式(I)で表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラリティーの中心を有してもよい。それらは、したがって様々な鏡像異性体形態において存在し、ラセミ体または光学的に活性な形態にあってもよい。本発明は、したがってまた、これらの化合物の光学的に活性な形態、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、まとめて:立体異性体に関する。
【0029】
本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の薬学的活性が異なり得るので、鏡像異性体を使用することが望ましい場合がある。これらの場合において、最終生成物またはさらに中間体を、鏡像異性体化合物に当業者に知られている化学的もしくは物理的手段によって分離するか、またはさらにそれ自体で合成において使用することができる。
【0030】
ラセミ体アミンの場合において、ジアステレオマーが混合物から光学的に活性な分割剤との反応によって生成する。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸のRおよびS形態、好適にはN保護アミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)、または様々な光学的に活性な樟脳スルホン酸である。
【0031】
また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えばシリカゲル上に固定化されたジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースまたは炭水化物もしくはキラルに誘導体化されたメタクリレートポリマーの他の誘導体)の補助によるクロマトグラフィー的鏡像異性体分割である。この目的のための好適な溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えば、例えば比率82:15:3におけるヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルである。
【0032】
エステル基(例えばアセチルエステル)を含むラセミ体の分割のための的確な方法は、酵素、特にエステラーゼの使用である。
【0033】
本発明の化合物は、プロドラッグ化合物の形態であり得る。「プロドラッグ化合物」は、本発明の生物学的に活性な化合物に、生体における生理学的条件下で、例えば各々が酵素的に、または酵素の関与を伴わずに行われる酸化、還元、加水分解などによって変換される誘導体を意味する。
【0034】
プロドラッグの例は、本発明の化合物中のアミノ基がアシル化、アルキル化もしくはリン酸化される化合物、例えばエイコサノイルアミノ、アラニルアミノ、ピバロイルオキシメチルアミノ、または水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化されるかもしくはホウ酸塩に変換される化合物、例えばアセチルオキシ、パルミトイルオキシ、ピバロイルオキシ、スクシニルオキシ、フマリルオキシ、アラニルオキシ、またはカルボキシル基がエステル化もしくはアミド化される化合物、またはスルフヒドリル基が担体分子と共にジスルフィド架橋を形成する化合物、例えばペプチドであり、それは薬物を標的に、および/または細胞のサイトゾルに選択的に送達する。
【0035】
これらの化合物を、本発明の化合物から周知の方法に従って製造することができる。プロドラッグの他の例は、本発明の化合物中のカルボキシレートが例えばアルキル、アリール、コリン、アミノ、アシルオキシメチルエステル、リノレノイルエステルに変換される化合物である。
【0036】
本発明の化合物またはそれらのプロドラッグの互変異性、例えばケト−エノール互変異性が生じ得る場合には、個々の形態、例えばケトまたはエノール形態を、別個に、およびあらゆる比率における混合物として一緒にクレームする。同一のことが、立体異性体、例えば鏡像異性体、シス/トランス異性体、配座異性体などに当てはまる。
【0037】
所望により、異性体を、当該分野において周知の方法によって、例えば液体クロマトグラフィーによって分離することができる。同一のことが、例えばキラル固定相を使用することによる鏡像異性体に当てはまる。さらに、鏡像異性体を、それらをジアステレオマーに変換する、すなわち鏡像異性体的に純粋な付属の化合物とカップリングさせ、得られたジアステレオマーをその後分離し、付属の残留物を切断することにより単離してもよい。あるいはまた、本発明の化合物のあらゆる鏡像異性体を、光学的に純粋な出発物質を使用した立体選択的合成から得てもよい。
【0038】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩、薬学的に許容し得る溶媒和物、または薬学的に許容し得る塩の薬学的に許容し得る溶媒和物の形態であり得る。
【0039】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、無機塩基または酸および有機塩基または酸を含む薬学的に許容し得る塩基または酸から調製した塩を指す。本発明の化合物が1つまたは2つ以上の酸性または塩基性基を含む場合において、本発明はまた、それらの対応する薬学的に許容し得る塩を含む。したがって、酸性基を含む本発明の化合物は塩形態において存在し得、本発明において例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩として、またはアンモニウム塩として使用することができる。
【0040】
かかる塩のより正確な例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩あるいはアンモニアまたは有機アミン、例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンもしくはアミノ酸との塩を含む。1つまたは2つ以上の塩基性基、すなわちプロトン化することができる基を含む本発明の化合物は、塩形態において存在し得、本発明において無機または有機酸とのそれらの付加塩の形態において使用することができる。
【0041】
好適な酸の例は、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバリン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、および当業者に知られている他の酸を含む。
【0042】
本発明の化合物が酸性および塩基性基を分子中に同時に含む場合には、本発明はまた、述べた塩形態に加えて、内塩またはベタイン(両性イオン)を含む。それぞれの塩を、当業者に知られている慣習的な方法によって、例えばこれらを有機もしくは無機酸もしくは塩基と、溶媒または分散剤中で接触させることにより、または他の塩とのアニオン交換もしくはカチオン交換によって得ることができる。本発明はまた、低い生理学的適合性のために調剤において使用するには直接適していないが、例えば化学反応のための、または薬学的に許容し得る塩の調製のための中間体として使用することができる本発明の化合物のすべての塩を含む。
【0043】
用語「薬学的に許容し得る溶媒和物」は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含む薬学的に許容し得る溶媒との付加形態を意味する。数種の化合物は、結晶性固体状態において固定されたモル比の溶媒分子を捕獲し、したがって溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水である場合には、生成した溶媒和物は水和物、例えば一または二水和物である。溶媒がアルコールである場合には、生成した溶媒和物はアルコラート、例えばメタノラートまたはエタノラートである。溶媒がエーテルである場合には、生成した溶媒和物はエーテラート、例えばジエチルエーテラートである。
【0044】
したがって、以下の項目がまた、本発明に従う:
a) すべての比率での混合物を含む化合物のすべての立体異性体または互変異性体、
b) 化合物のプロドラッグ、またはこれらのプロドラッグの立体異性体もしくは互変異性体、
c) 化合物の、ならびに(a)および(b)の下で述べた項目の薬学的に許容し得る塩、
d) 化合物の、ならびに(a)、(b)および(c)の下で述べた項目の薬学的に許容し得る溶媒和物。
【0045】
本明細書中での化合物へのすべての言及は、これらの項目、特に化合物の薬学的に許容し得る溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容し得る塩の薬学的に許容し得る溶媒和物を含むことを意味することを理解するべきである。
【0046】
さらに、本発明は、薬学的に許容し得る担体と一緒の活性成分としての、本発明の化合物、またはその立体異性体もしくは互変異性体、または前記の各々の薬学的に許容し得る塩、およびすべての比率でのそれらの混合物を含む、医薬組成物に関する。
【0047】
「医薬組成物」は、担体を構成する1種または2種以上の活性成分および1種または2種以上の不活性成分、ならびに成分の任意の2種または3種以上の組み合わせ、錯化または凝集から直接、もしくは間接的に、または成分の1種もしくは2種以上の解離から、または成分の1種もしくは2種以上の他のタイプの反応もしくは相互作用から生じるあらゆる生成物を意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容し得る担体を混合することにより作製されたあらゆる組成物を包含する。
【0048】
本発明の医薬組成物は、さらに活性成分として1種または2種以上の他の化合物、例えば本発明の1種または2種以上の追加の化合物または他のLPAアンタゴニストを含んでもよい。
【0049】
医薬組成物は、経口、直腸内、局所的、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、目の(眼の)、肺(鼻もしくは頬側吸入)、または経鼻投与に適している組成物を含むが、任意の所定の場合における最も好適な経路は、処置される状態の性質および重篤度、ならびに活性成分の性質に依存する。それらは、単位投薬形態において好都合に提示され、薬学の分野において周知の方法のいずれによっても調製され得る。
【0050】
1つの態様において、前記化合物および医薬組成物は、癌、例えば脳、肺、結腸、類表皮、扁平細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、腎臓部(renal)、腎臓(kidney)、肝臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、子宮、直腸、食道、睾丸、婦人科学的、甲状腺癌、黒色腫、血液系腫瘍、例えば急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、骨髄細胞白血病、神経膠腫、カポジ肉腫またはあらゆる他のタイプの固形もしくは液性腫瘍の処置のためである。好ましくは、処置するべき癌は、神経膠芽腫、黒色腫、卵巣、前立腺、乳房、頭頸部、腸および甲状腺癌から選択される。
【0051】
本発明はまた、本発明の化合物の、哺乳動物におけるLPAの活動亢進と関係する増殖性または炎症性疾患およびLPAによって調節される疾患、または異常な増殖によって媒介される障害、例えば癌の処置のための医薬の調製のための使用に関する。
【0052】
本発明はまた、ある量の本発明の化合物をある量の別の抗癌療法と組み合わせて含む哺乳動物における異常な細胞成長を抑制するための化合物または医薬組成物に関し、ここで当該量の化合物および別の抗癌療法は、一緒に異常な細胞成長を抑制するにあたって有効である。多くの抗癌療法が、現在当該分野において知られている。
【0053】
1つの態様において、抗癌療法は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答変更因子、抗ホルモン薬、血管新生抑制剤、インテグリンアンタゴニスト、例えばシレンジタイド、および抗アンドロゲン薬からなる群から選択された化学療法である。
【0054】
別の態様において、抗癌療法は、ベバシズマブ、CD40特異性抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、ザノリムマブ、IGF1R特異性抗体、リンツズマブ、エドレコロマブ、WX G250、リツキシマブ、チシリムマブ、トラスツズマブおよびセツキシマブからなる群から選択された抗体である。
【0055】
尚別の態様において、抗癌療法は、プロテインキナーゼの阻害剤、例えばAkt、Axl、オーロラA、オーロラB、dyrk2、epha2、fgfr3、igf1r、IKK2、JNK3、Vegfr1、Vegfr2、Vegfr3(またFlt−4として知られている)、KDR、MEK、MET、Plk1、RSK1、Src、TrkA、Zap70、cKit、bRaf、EGFR、Jak2、PI3K、NPM−Alk、c−Abl、BTK、FAK、PDGFR、TAK1、LimK、Flt−3、PDK1およびErkである。
【0056】
本発明はさらに、哺乳動物における異常な細胞成長を抑制するかまたは過剰増殖疾患を処置するための方法であって、当該哺乳動物に、ある量の本発明の化合物または医薬組成物を放射線療法と組み合わせて投与することを含み、ここで当該量の化合物または医薬組成物を、哺乳動物における異常な細胞成長を抑制するかまたは過剰増殖疾患を処置するにあたって有効な放射線療法と組み合わせる、前記方法に関する。
【0057】
放射線療法を施すための手法は当該分野において知られており、これらの手法を本明細書中に記載した併用療法において使用することができる。本発明の化合物または医薬組成物のこの併用療法における投与を、本明細書中に記載したように決定することができる。本発明の化合物は、異常な細胞を、かかる細胞を死滅させ、かつ/またはその成長を抑制する目的のための放射線での処置に対してより感受性にすることができると考えられる。
【0058】
したがって、本発明はさらに、哺乳動物における異常な細胞を放射線での処置に対して感作するための方法であって、当該哺乳動物に、ある量の本発明の化合物または医薬組成物を投与することを含み、当該量が異常な細胞を放射線での処置に対して感作するにあたって有効である、前記方法に関する。この方法における化合物の量を、有効な量の本明細書中に記載したかかる化合物を確認するための手段に従って決定することができる。
【0059】
実際の使用において、本発明の化合物を、活性成分として医薬担体と慣用の調剤配合手法に従って密な混合において合わせることができる。担体は、投与のために所望される製剤の形態に依存して広範囲の形態、例えば経口または非経口(静脈内を含む)を採ってもよい。経口投薬形態のための組成物を調製するにあたって、通常の医薬媒体のいずれも、例えば水、グリコール、油、アルコール、調味剤、防腐剤、着色剤などを、使用してもよい。
【0060】
経口液体製剤の場合において、通常の医薬媒体のいずれも、例えば懸濁液、エリキシル剤および溶液;または担体、例えばデンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用してもよい。経口固体製剤の場合において、組成物は例えば散剤、硬質および軟質カプセルならびに錠剤の形態を採ってもよく、固体経口製剤が液体製剤にまさって好ましい。
【0061】
それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセルは最も有利な経口投薬単位形態を表し、この場合において固体の医薬担体を明らかに使用する。所望により、錠剤を標準的な水性の、または非水性の手法によって被覆してもよい。かかる組成物および調製は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含まなければならない。活性化合物のこれらの組成物中の百分率を当然変化させてもよく、好都合には当該単位の重量の約2パーセント〜約60パーセントであってもよい。活性化合物のかかる治療的に有用な組成物中の量は、有効な投与量が得られる程度である。活性化合物をまた、鼻腔内に例えば液体ドロップまたはスプレーとして投与することができる。
【0062】
錠剤、丸剤、カプセルなどはまた、結合剤、例えばトラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えば第二リン酸カルシウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;および甘味剤、例えばスクロース、ラクトースまたはサッカリンを含んでもよい。投薬単位形態がカプセルである場合には、それは、上記のタイプの材料に加えて液体の担体、例えば脂肪油を含んでもよい。
【0063】
様々な他の材料は、コーティングとして、または投薬単位の物理的な形態を修正するために存在し得る。例えば、錠剤をセラック、糖または両方で被覆してもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および風味剤、例えばサクランボまたはオレンジ風味を含んでもよい。
【0064】
本発明の化合物をまた、非経口的に投与してもよい。これらの活性化合物の溶液または懸濁液を、界面活性剤、例えばヒドロキシ−プロピルセルロースと好適に混合した水中で調製することができる。分散体をまた、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物中で調製することができる。保存および使用の通常の条件の下で、これらの製剤は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含む。
【0065】
注射可能な使用に適している医薬形態は、無菌の注射可能な溶液または分散体の即座の調製のための無菌の水溶液または分散体および無菌の散剤を含む。すべての場合において、当該形態は無菌でなければならなず、容易なシリンジ通過性(syringability)が存在する程度に流動性を有しなければならない。それは製造および保存の条件の下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌および菌類の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その好適な混合物、ならびに植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0066】
あらゆる好適な投与の経路を、哺乳動物、特にヒトに有効な用量の本発明の化合物を供給するために使用してもよい。例えば、経口、直腸内、局所的、非経口、眼内、肺内、鼻腔内などを、使用してもよい。投薬形態は、錠剤、トローチ、分散体、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾールなどを含む。好ましくは、本発明の化合物を経口的に投与する。
【0067】
使用する活性成分の有効な投与量は、使用する特定の化合物、投与の方式、処置される状態および処置される状態の重篤度に依存して変化し得る。かかる投与量は、当業者によって容易に確認され得る。
【0068】
本発明の化合物が示される癌、炎症または他の増殖疾患を処置するかまたは防止する場合には、一般的に満足な結果は、本発明の化合物を、好ましくは単一の1日用量として施与して体重1キログラムあたり約0.01ミリグラム〜約100ミリグラムの1日投与量で投与する場合に得られる。ほとんどの大型の哺乳動物について、合計の1日投与量は、約0.1ミリグラム〜約1000ミリグラム、好ましくは約0.2ミリグラム〜約50ミリグラムである。70kgの成人のヒトの場合において、合計の1日用量は、一般的に約0.2ミリグラム〜約200ミリグラムであろう。この投薬計画を、最適な治療的応答を提供するために調整してもよい。
【0069】
本発明はまた、
a) 本発明の化合物またはその立体異性体もしくは互変異性体、または前記の各々の薬学的に許容し得る塩、あるいはすべての比率でのそれらの混合物の有効量、および
b) 有効量のさらなる医薬活性成分
の個別のパックからなるセット(キット)に関する。
【0070】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。
例によって、当該セットは、各々が有効な量の本発明の化合物を含む個別のアンプル、および有効な量の溶解したかまたは凍結乾燥した形態におけるさらなる医薬活性成分を含んでもよい。
【0071】
実験の章
本出願中に出現し得るいくつかの略語は、以下のとおりである:
略語
【表1】
【0073】
本発明の化合物を、以下のスキームおよび例の手順に従って、好適な材料を使用して調製することができ、以下の特定の例によってさらに例示する。
【0074】
さらに、本明細書中に記載した手順を当該分野における通常の技術と組み合わせて利用することによって、ここでクレームした本発明の追加の化合物を容易に調製することができる。しかしながら、例において例示する化合物を本発明として考慮される唯一の種類を形成するものとして解釈するべきではない。例は、さらに本発明の化合物の調製についての詳細を例示する。当業者は、以下の調製的手順の条件およびプロセスの既知の変化を使用してこれらの化合物を調製することができることを容易に理解するであろう。
【0075】
本化合物を、一般的にそれらの薬学的に許容し得る塩、例えば上に記載したものの形態において単離する。単離した塩に対応するアミン非含有塩基を、好適な塩基、例えば水性炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムでの中和、ならびに遊離したアミン非含有塩基の有機溶媒中への抽出、続いて蒸発によって発生させることができる。このようにして単離したアミン非含有塩基を、別の薬学的に許容し得る塩に、有機溶媒への溶解、続いて適切な酸の添加およびその後の蒸発、沈殿または結晶によってさらに変換することができる。
【0076】
本発明を、以下の例に記載した特定の態様への言及によって例示するが、それらには限定されない。スキームにおいて他に示さない限り、変数は上に記載したのと同一の意味を有する。
他に特定しない限り、すべての出発物質を商業的な供給者から得、さらに精製せずに使用する。他に特定しない限り、すべての温度を℃において表し、すべての反応を室温で行う。化合物をシリカクロマトグラフィーまたは分取HPLCのいずれかによって精製した。
【0077】
本発明はまた、式(I)で表される化合物の製造方法であって、式(VIII)
【化6】
で表される化合物を、式(VII)
【化7】
で表される化合物と反応させて、式(I)で表される化合物を得る、
前記方法に関する。
【0078】
例
分析的LC:
勾配:4.2min/流量:2ml/min 99:01〜0:100 水+0.1%(Vol.)のTFA;アセトニトリル+0.1%(Vol.)のTFA;0.0〜0.2min:99:01;0.2〜3.8min:99:01→0:100;3.8〜4.2min:0:100;カラム:Chromolith Performance RP18e;長さ100mm、直径3mm;波長:220nm。
【0079】
分取HPLC
分取HPLCを、Merck Chromolith Prep, 100-25, RP-18e, Cat.No. 1.25252.0001カラムを使用して行った。カラムを、30mL/minの流量でMerck-KnauerUV検出器K-2600を装備したMerck-Knauer Prep HPLC K-1800 System上で使用した。移動相を、(A)水および(B)HPLC階級アセトニトリルを含む2つの溶媒容器から引き出した。典型的な分取試行は、直線状勾配(例えば20minにわたり0〜100%の溶媒B)を使用した。
【0080】
以下に提示する作業例は、本発明の特定の態様を例示することを意図し、いかなる方法においても明細書または特許請求の範囲を限定することを意図しない。
【0081】
化学合成
この章において、多数の式(I)による例化合物およびその合成中間体のための実験的詳細を提供する。
【0082】
1. 2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(6−シアノ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミド(3)
【化8】
2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸2(90mg、0.50mmol)を、10mlのDMFに溶解した。115mg(0.6mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)および81mg(0.6mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を加えた。混合物を室温(RT)で30min撹拌した。次に97mg(0.5mmol)の2−アミノ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル塩酸塩1を、混合物に加え、それをRTで16h撹拌した。溶媒を真空中で除去した後、20mlの水を加え、すぐに混合物を、50mlの酢酸エチルエステルで3回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させた。残留物を分取HPLCによって分離した。得られた清浄な画分を濃縮し、凍結乾燥した。91mg(57%)の無色の非結晶質固体3が、得られた。
【0083】
2. 2,2−ジフルオロ−3−フェニル−シクロプロパンカルボン酸−(5−クロロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミド9
【化9】
a. 25mlの2つ首フラスコ中で、10mgのNaF(0.23mmol)および2.0g(11.3mmol)のケイ皮酸エチルを、1.2mlのトルエン(11.3mmol)と混合した。反応容器を窒素で不活性化し、105℃で16時間撹拌した。次にトリメチルシリル−2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)アセテート(TFDA 5(5.0ml、24.1mmol)を、シリンジポンプで5hにわたり連続的に加えた(ガスの発生)。すべてのTFDAを加えた後、混合物を105℃でさらに1時間撹拌し、すぐに混合物をRTに撹拌しながら放冷した。次に50mlの水を加え、混合物を100mlのジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させた。2.48gの黄色油が得られ、それは65%の6を含んでいた。
【0084】
b. 1.00g(65%ig)(2.87mmol)の6を、10mlのTHFに溶解し、1.3mlの水性NaOH(32%)で16h還流した。次に、溶媒を真空中で蒸発させた。20mlの水を加え、混合物を50mlの酢酸エステルで3回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させた。粗生成物は所望の生成物7およびケイ皮酸を1:1の比率において含み、それ以上精製しなかった。収量:1.10g(2.77mmol、96%)の黄色晶出物(crystallisate)。
【0085】
c. 295mg(1.49mmol)の7を、上記の例1に記載したように6−クロロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミン(250mg、1.49mmol)8と反応させて、9を得た。57mg(22%)の無色凍結乾燥物を得た。
【0086】
3. 2,2−ジメチル−3−フェニル−シクロプロパンカルボン酸−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミド15
【化10】
a. 100mlの丸底フラスコ中で、800mg(6.06mmol)の(2−メチル−プロペニル)−ベンゼン10および90mg(0.56mmol)の無水硫酸銅を、110℃に加熱した。次に、3.2g(24.2mmol)の10および5g(37.2mmol)のジアゾ酢酸エチルエステル11の混合物を、110℃で3h以内に撹拌しながら滴加した。混合物を、撹拌しながらRTに放冷した。不溶性固体を濾別し、DCMで洗浄した。濾液を15gのシリカゲルに加え、ヘプタン/ジエチルエーテルを有する150gのシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製し、1.55g(20%)の無色液体12を得た。
【0087】
b. 1.55g(7.1mmol)の12を20mlのTHFに溶解し、5mlの水性NaOH(32%)と混合した。混合物を16h還流させた。THFを真空中で蒸発させ、水溶液を2N HClで酸性化し、50mlのDCMで2回抽出した。有機相を2N NaOHで抽出し、水相をHClで再び酸性化し、再び2×50mlのDCMで抽出した。有機相を20mlの飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。遊離の酸13が透明な油として得られ、それは後に結晶した。収量:1.21g(90%)。
【0088】
c. 230mg(1.17mmol)の13を、例1に記載したように1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミン14(160mg、1.17mmol)と反応させて、15を得た。18mg(5%)の無色凍結乾燥物を得た。
【0089】
生物学的活性
1. LPA活性についての生化学的酵素アッセイ
アッセイは、LPA2受容体のその配位子LPAによる活性化の際に細胞によって発生した細胞内カルシウムを検出する。この一時的なカルシウム動員を、商業的なカルシウム検出キット(例えばMolecular Devicesから)を使用してモニタリングすることができる。かかるキットの主成分は染料であり、それはカルシウムが存在する場合には蛍光性になり、−配位子の試験ウェルへの添加の後の一時的な蛍光シグナルが、結果である。読取機、例えばFLIPR(Molecular Devices)を使用して、かかる一時的な「Ca流動」シグナルをモニタリングすることができる。
【0090】
シグナルを、ピーク最大値マイナス基線に従って計算する。
LPAのアンタゴニストである化合物によって、細胞内カルシウムの低下した動員およびしたがってより低いシグナルがもたらされる。アッセイを、マイクロプレート(プレートあたり384ウェル)中で行う。
【0091】
試薬
細胞培養
細胞系 2OS、組換え発現LPA2R
マコイの培地 Invitrogen # 26600-021
DMEM Gibco #41965
ペニシリン/ストレプトマイシン Gibco #15140
FCS PAA # A15-043
Geniticin Invitrogen #10131-027
PBS Gibco
HEPES Gibco #15630-056
HyQ−Tase HyClone #SV30030.01
【0092】
アッセイ
10×HBSS Gibco #14065
1MのHEPES Merck #1.10110
NaCl Merck #1.06404
KCl Merck #1.04936
MgSO
4×7H
2O Merck #1.05886
CaCl
2×2H
2O Merck #1.02382
D(+)−グルコース×1H
2O Merck #1.04074
BSA、脂肪酸非含有 Roche #10 77 58 35 001
配位子(LPA)、1−オレオイル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホスフェート、 Avanti #857130P
プロベネシド、水溶性 Invitrogen #P36400
検出溶液(カルシウム色素) Bulk Kit (Molecular Devices #R8141)
マイクロプレート384blck、cl底 Falcon # 353692
【0093】
細胞培養/繁殖
培地 マコイの培地、10%のFCS、1mg/mlのGeniticin
培養条件 37℃、T75フラスコ中5%のCO
2
採取 PBSで洗浄
フラスコあたり1mLのHyQ−Taseで剥離
インキュベーション5min
10mLの培地の添加
遠心分離
10mLの培養媒体との再懸濁
【0094】
LPA2R−カルシウム流動アッセイプロトコル
アッセイを以下の手順に従って行う:
50uLの播種細胞(10000細胞/ウェル、DMEM緩衝液中)
37℃、10%CO
2で24hインキュベートする
培地を吸引する
50uL、カルシウム色素1×HBSS/HEPES緩衝液を加える。
37℃で1hインキュベートする(「負荷」)
RTで10min平衡にする。
5uL、HEPES緩衝液中の化合物を加える。
1000rpmで10秒振盪する
RTで15minインキュベートする
20uL、クレブス緩衝液/BSA中のLPA(FLIPR Tetra中)を加え、測定。
【0095】
細胞を、DMEM緩衝液(DMEM、10%のFCS、10mMのHEPES、1%のPen/Strep)中に播種する。
色素負荷を、HBSS/HEPES緩衝液(100mLの10×HBSS+20mLの1M HEPES+880mLの水、pH7.4)中で行う。
LPAを、クレブス/BSA緩衝液(120mMのNaCl、5mMのKCl、0.62mMのMgSO
4、1.8mMのCaCl
2、10mMのHEPES、6mMのD(+)−グルコース、0.2%のBSA、pH7.4)中に加える。
【0096】
化合物を、HEPES緩衝液(20mM、pH7.4)であらかじめ希釈し、それによってアッセイにおける最終的なDMSO含量を1%に維持する。化合物を、マイクロプレート上の用量応答系列を発生させるためにあらかじめ希釈する。用量応答系列は、30uM最終から1nM最終まで各化合物につき10の濃度からなる。すべての化合物ウェルから、得られたシグナルを対照ウェル(化合物ウェルに加えて各プレート上に配置された)に対して、%活性の点において参照する。
【数1】
【0097】
これらの%活性値から−対応する化合物濃度と共に−IC50値を、各化合物について標準的な適合プログラム、例えばGraphpad Prismを使用して適合させる。ここで、方法「log(阻害剤)対応答−−可変傾斜」を使用する。
【0098】
読取機設定(FLIPR Tetra)
Exc波長: 470_495
Em.波長: 515_575
増幅率: 50
Exp時間: 0.4
Exc強度: 80
【0099】
TFでの読取
第1の読取間隔:1.00s
第1の読取の数:240
分配前の読取: 10
第2の読取間隔:1,00s
第2の読取の数:0
保存画像:なし
【0100】
化合物のLPA2Rに対する抑制可能性を評価するために、IC
50値を以下の表1に示すように決定し、それによって以下の分類を使用する:
IC
50<10nM 「++++」
10nM≦IC
50<100nM 「+++」
100nM≦IC
50<1μM 「++」
1μM≦IC
50≦10μM 「+」
IC
50>10μM 記号なし
【0101】
表1に示すすべての化合物は、シクロプロピル環でトランス立体配置を有する。
用語「鏡像異性体」を構造と関連して使用する当該化合物について、IC
50値を、トランス立体配置について可能な一方または両方の鏡像異性体について決定した。すべての他の場合において、IC
50値を、2種のトランス鏡像異性体のラセミ体について決定した。
【0115】
2. 絶対立体化学の決定
1対のトランス鏡像異性体について表1に示したデータは、一方の鏡像異性体が他方より著しく活性であることを強度に示唆する。いずれの鏡像異性体がより活性なものであるか決定するために、鏡像異性体の絶対立体化学を単結晶X線結晶学によって決定するための試行を、行った。
【0116】
2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−アミドの場合において、より活性な鏡像異性体の絶対立体化学を得ることが可能であり、それはS,S鏡像異性体(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−アミドであると見出された。
【化11】
【0117】
表1中で使用した分類によれば、そのIC
50は「+++」である。
表1に示したすべての対の鏡像異性体においてより活性でない鏡像異性体が「+」またはより低いに過ぎない活性を有するので、(1S,2S)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−アミドが実際により活性な鏡像異性体であり、類似によって本発明のすべての化合物のS,S鏡像異性体がより活性な鏡像異性体であることを推測することは、合理的である。