特許第5979033号(P5979033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979033
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   G01D5/347 110T
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-25880(P2013-25880)
(22)【出願日】2013年2月13日
(62)【分割の表示】特願2008-7199(P2008-7199)の分割
【原出願日】2008年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-83673(P2013-83673A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2013年2月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(72)【発明者】
【氏名】高山 理人
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−032119(JP,A)
【文献】 実開平02−107022(JP,U)
【文献】 特許第5200550(JP,B2)
【文献】 特開2009−168625(JP,A)
【文献】 特開2012−167949(JP,A)
【文献】 特開2005−121593(JP,A)
【文献】 特開昭61−084527(JP,A)
【文献】 特開2000−036587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の光量に対応した出力信号を出力する複数の受光素子が所定方向に配置されている受光素子アレイと、
符号板の少なくとも一部に光を照射する光源と、
前記光源を挟んで前記受光素子アレイと互いに対向するように設けられ、複数の受光素子が前記所定方向に配置されている第2の受光素子アレイと、を備え、
前記複数の受光素子は、前記光の光量分布に応じて前記所定方向における実効領域の幅または前記所定方向と垂直な幅方向における実効領域の幅を変更することで受光面の面積を変更する遮光部がそれぞれ設けられ、
前記第2の受光素子アレイにおける複数の受光素子は、前記光の光量分布に応じて、前記遮光部が前記受光素子アレイにおける複数の受光素子の受光面の面積を変更した方向と同じ方向における実効領域の幅を変更することで受光面の面積を変更する第2の遮光部がそれぞれ設けられている
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
前記遮光部は、前記光源から前記符号板を経て前記受光素子アレイに至る前記光の光路の長さに応じて、前記受光面の面積の大きさを設定することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
アブソリュートパターン及びインクリメンタルパターンを有する符号板と、
前記符号板に対向するように設けられた検出ユニットと、から成るエンコーダであって、
前記検出ユニットは、
前記符号板の少なくとも一部に光を照射する光源と、
前記アブソリュートパターンを介した光の光量に対応した出力信号を出力する複数の第1受光素子が所定方向に配置されている第1の受光素子アレイと、
前記インクリメンタルパターンを介した光の光量に対応した出力信号を出力する複数の第2受光素子が前記所定方向に配置されている第2の受光素子アレイと、
を備え、
前記複数の第1受光素子は、前記光の光量分布に応じて前記所定方向における実効領域の幅を変更することで受光面の面積を変更する遮光部がそれぞれ設けられ、
前記遮光部は、前記光源から前記符号板を経て前記第1の受光素子アレイに至る前記光の光路の長さに応じて、前記受光面の面積の大きさを設定する
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項4】
アブソリュートパターン及びインクリメンタルパターンを有する符号板と、
前記符号板に対向するように設けられた検出ユニットと、から成るエンコーダであって、
前記検出ユニットは、
前記符号板の少なくとも一部に光を照射する光源と、
前記アブソリュートパターンを介した光の光量に対応した出力信号を出力する複数の第1受光素子が所定方向に配置されている第1の受光素子アレイと、
前記インクリメンタルパターンを介した光の光量に対応した出力信号を出力する複数の第2受光素子が前記所定方向に配置されている第2の受光素子アレイと、
を備え、
前記複数の第1受光素子は、前記光の光量分布に応じて前記所定方向と垂直な幅方向における実効領域の幅を変更することで受光面の面積を変更する遮光部がそれぞれ設けられ、
前記遮光部は、前記光源から前記符号板を経て前記第1の受光素子アレイに至る前記光の光路の長さに応じて、前記受光面の面積の大きさを設定する
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項5】
前記複数の第2受光素子は、前記光の光量分布に応じて前記所定方向における実効領域の幅を変更することで受光面の面積を変更する第2の遮光部がそれぞれ設けられ、
前記第2の遮光部は、前記光源から前記符号板を経て前記第2の受光素子アレイに至る前記光の光路の長さに応じて、前記受光面の面積の大きさを設定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ軸の回転量を検出する際に適用するのに好適なエンコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ軸の回転量を検出するためのエンコーダは、インクリメンタルパターンおよびアブソリュートパターンが形成された回転符号板と、この回転符号板に対向するように設けられた検出ユニットとを備えている。図5は、この種の検出ユニットを示す平面図である。この検出ユニット2では、図5に示すように、シリコン基板21上に点光源22および2個の受光素子アレイ23、24が設けられている。ここで、一方の受光素子アレイ23は、同じサイズに形成された例えば12個の受光素子25から構成されており、他方の受光素子アレイ24は、同じサイズに形成された例えば6個の受光素子26から構成されている。さらに、これらの受光素子25、26には信号処理回路7が接続されている。
【0003】
そして、このエンコーダでモータ軸の回転量を検出する際には、点光源22からの出射光が回転符号板のインクリメンタルパターンおよびアブソリュートパターンで反射してそれぞれ受光素子アレイ23、24に入射し、光電変換により、これらの入射光の光量に比例した出力信号S1、S2が各受光素子25、26から出力される。そして、これらの出力信号S1、S2が信号処理回路7によって信号処理され、モータ軸の回転量が算出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−121593号公報(段落〔0009〕〔0010〕の欄、図2、3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、点光源22からの出射光は発散光であるとともに、点光源22からインクリメンタルパターンを経て受光素子25、26に至る光路の距離は受光素子25、26ごとに異なるため、受光素子25、26への入射光は照度(受光素子25、26の単位面積あたりの光量)が不均一となる。ここで、受光素子25、26は、それぞれ同じサイズに形成されているので、入射光の光量に違いが生じる。そうすると、受光素子25、26からの出力信号の出力値が受光素子25、26ごとに異なるため、何らかの原因により、点光源22からの出射光量が変動した場合には、エンコーダの機能(回転角度の正確な検出機能など)に支障を来して、エンコーダとしての信頼性が低下する事態が発生する恐れがある。したがって、こうした事態を回避すべく、受光素子25、26からの出力信号の出力値の差を調整する処理を信号処理回路7に追加しなければならない面倒があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、エンコーダとしての信頼性を簡便に高めることが可能な検出ユニット、エンコーダおよび出力信号補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、受光素子からの出力信号が、入射光の光量のみならず受光素子そのものの出力特性(受光面の実効面積、素子感度など)にも依存することに着目し、この受光素子の出力特性を入射光の光量に応じて適宜変更することにより、上述した目的を達成しようとするものである。
【0008】
すなわち、本発明に係る第1の検出ユニット(2)は、入射光の光量に対応した出力信号(S1、S2)を信号処理回路(7)に出力する受光素子(25、26)が複数設けられ、これら複数の受光素子に入射する入射光の光量に違いがある検出ユニットであって、前記複数の受光素子は、入射光の光量が低い受光素子からの出力信号の出力値と入射光の光量が高い受光素子からの出力信号の出力値とをほぼ等しくするように出力特性が設定されている検出ユニットとしたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るエンコーダ(1)は、上記検出ユニット(2)を備えているエンコーダとしたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る出力信号補正方法は、入射光の光量に対応した出力信号(S1、S2)を信号処理回路(7)に出力する受光素子(25、26)が複数設けられた検出ユニット(2)に適用される出力信号補正方法であって、前記受光素子に入射する入射光の光量に違いがある場合に、入射光の光量が低い受光素子からの出力信号の出力値と入射光の光量が高い受光素子からの出力信号の出力値とをほぼ等しくする出力信号補正方法としたことを特徴とする。
【0011】
なお、ここでは、本発明をわかりやすく説明するため、実施の形態を表す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施の形態に限定されるものでないことは言及するまでもない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各受光素子への入射光の光量に違いがある場合に、受光素子側で出力信号の出力値が補正されて出力信号の均一度が向上することから、信号処理回路側で面倒な処理を行う必要がなくなり、エンコーダとしての信頼性を簡便に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る反射型のアブソリュートエンコーダを示す断面図である。
図2】同実施の形態1に係る回転符号板の平面図である。
図3】同実施の形態1に係る検出ユニットの平面図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る検出ユニットを示す平面図である。
図5】従来の検出ユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1乃至図3は、本発明の実施の形態1に係る図である。
まず、構成を説明する。
【0015】
反射型のアブソリュートエンコーダ1は、図1に示すように、モータ軸6と同期的に回転するようにモータ軸6の先端部に装着される回転符号板3を有している。この回転符号板3は、図2に示すように、円板状の回転基板4を有しており、回転基板4の中心部には、モータ軸6の先端部に嵌着されるボス部4aが形成されている。回転基板4の上面には、円周状のインクリメンタルパターン8が、その中心をモータ軸6の軸心CT1に一致させた形で形成されており、このインクリメンタルパターン8は、反射パターン領域8aと非反射パターン領域(パターンニングが施されていない領域)8bとが交互に配列されたものである。また、回転基板4の上面には、インクリメンタルパターン8の内側に円周状のアブソリュートパターン9が、その中心をモータ軸6の軸心CT1に一致させた形でインクリメンタルパターン8と同心円状に形成されており、このアブソリュートパターン9は、例えばN次のM系列パターンにより、反射パターン領域9aと非反射パターン領域(パターンニングが施されていない領域)9bとが配列されたものである。
【0016】
また、回転符号板3の上方には、図1に示すように、プリント配線基板5が配設されており、プリント配線基板5の下面(つまり、回転符号板3側の面)には検出ユニット2が、インクリメンタルパターン8およびアブソリュートパターン9に対向する位置に貼設されている。
【0017】
そして、この検出ユニット2は、図3に示すように、長方形板状のシリコン基板21を有している。シリコン基板21上には、その中央部にLED(発光ダイオード)などの点光源22が発光素子として設けられているとともに、2個の受光素子アレイ23、24が点光源22を挟んで互いに対向する形で配設されている。
【0018】
ここで、一方の受光素子アレイ23は、インクリメンタルパターン8を検出するためのものであり、図3に示すように、同じサイズ(形状・大きさ)の長方形状に形成された12個のフォトダイオード、フォトトランジスタなどの受光素子25が、インクリメンタルパターン8に対応する円弧状に並んで互いに隣接する形で受光素子アレイ23を構成している。なお、図3では、便宜上これらの受光素子25を一直線状に並べて図示している。
【0019】
そして、これらの受光素子25は、図3に示すように、種々の大きさの遮光膜27により、入射光の光量分布に対応して(具体的には、点光源22からインクリメンタルパターン8を経て受光素子25に至る光路の距離の2乗に比例して)実効面積が変化している。すなわち、12個の受光素子25のうち、両端に位置する2個の受光素子25(点光源22から最も離れている受光素子25)については、遮光膜27が設けられていないため、受光面の全面が実効領域となって実効面積が受光面の面積に一致しているとともに、残余の10個の受光素子25については、受光面の一部(左右両端部)が遮光膜27でマスキング(被覆)されているため、実効領域の周方向の幅が狭くなる形で実効面積が小さくなっている。しかも、これらの遮光膜27の大きさ(周方向の幅)は、点光源22からインクリメンタルパターン8を経て受光素子25に至る光路の距離の2乗に比例して受光素子25の実効面積が変化するように、点光源22に近い受光素子25ほど大きくなっている。
【0020】
また、他方の受光素子アレイ24は、アブソリュートパターン9を検出するためのものであり、図3に示すように、同じサイズ(形状・大きさ)の長方形状に形成された6個のフォトダイオード、フォトトランジスタなどの受光素子26が、アブソリュートパターン9に対応する円弧状に並んで互いに隣接する形で受光素子アレイ24を構成している。なお、図3では、便宜上これらの受光素子26を一直線状に並べて図示している。
【0021】
そして、これらの受光素子26は、図3に示すように、種々の大きさの遮光膜28により、入射光の光量分布に対応して(具体的には、点光源22からアブソリュートパターン9を経て受光素子26に至る光路の距離の2乗に比例して)実効面積が変化している。すなわち、6個の受光素子26のうち、両端に位置する2個の受光素子26(点光源22から最も離れている受光素子26)については、遮光膜28が設けられていないため、受光面の全面が実効領域となって実効面積が受光面の面積に一致しているとともに、残余の4個の受光素子26については、受光面の一部(左右両端部)が遮光膜28でマスキング(被覆)されているため、実効領域の周方向の幅が狭くなる形で実効面積が小さくなっている。しかも、これらの遮光膜28の大きさ(周方向の幅)は、点光源22からアブソリュートパターン9を経て受光素子26に至る光路の距離の2乗に比例して受光素子26の実効面積が変化するように、点光源22に近い受光素子26ほど大きくなっている。
【0022】
さらに、これらの受光素子25、26は、図3に示すように、プリント配線基板5上の信号処理回路7に接続されている。
【0023】
次に、作用について説明する。
以上のような構成を有するアブソリュートエンコーダ1を用いて、モータ軸6の回転量(相対回転角度、絶対角度位置など)を検出する際には、モータ軸6の先端部に回転符号板3が装着された状態で、点光源22から発散光を出射させる。
【0024】
すると、この点光源22からの発散光は、図1に示すように、回転符号板3のインクリメンタルパターン8で反射された後、検出ユニット2の受光素子アレイ23に入射する。その結果、受光素子アレイ23の各受光素子25ではそれぞれ、光電変換により、図3に示すように、入射光の光量に比例した出力信号(電荷など)S1が信号処理回路7に時系列的に出力される。これを受けて信号処理回路7では、この出力信号S1の出力値が順次読み込まれて信号処理され、モータ軸6の相対回転角度が算出される。
【0025】
このとき、点光源22からの出射光が発散光であるとともに、点光源22からインクリメンタルパターン8を経て受光素子25に至る光路の距離が受光素子25ごとに異なるが、これらの受光素子25は、上述したとおり、入射光の光量分布に対応して実効面積が変化しているので、各受光素子25から信号処理回路7へ出力される出力信号S1は均一となる。これは、入射光の光量が低い受光素子25からの出力信号S1の出力値と入射光の光量が高い受光素子25からの出力信号S1の出力値とが等しくなるからである。その結果、モータ軸6の相対回転角度を正確に算出することができる。
【0026】
なお、インクリメンタルパターン8を検出するための受光素子アレイ23は、モータ軸6の回転方向(正逆方向)が判別できるように、0°、90°、180°および270°の4位相の信号を出力する。すると、信号処理回路7では、0°信号と180°信号との差動および90°信号と270°信号との差動をそれぞれ演算することにより、回転符号板3、ひいてはモータ軸6の回転方向を判別する。
【0027】
また、点光源22からの発散光は、図1に示すように、回転符号板3のアブソリュートパターン9で反射された後、検出ユニット2の受光素子アレイ24に入射する。その結果、受光素子アレイ24の各受光素子26ではそれぞれ、光電変換により、図3に示すように、入射光の光量に比例した出力信号(電荷など)S2が信号処理回路7に時系列的に出力される。これを受けて信号処理回路7では、この出力信号S2の出力値が順次読み込まれて信号処理され、モータ軸6の絶対角度位置が算出される。
【0028】
このとき、点光源22からの出射光が発散光であるとともに、点光源22からアブソリュートパターン9を経て受光素子26に至る光路の距離が受光素子26ごとに異なるが、これらの受光素子26は、上述したとおり、入射光の光量分布に対応して実効面積が変化しているので、各受光素子26から信号処理回路7へ出力される出力信号S2は均一となる。これは、入射光の光量が低い受光素子26からの出力信号S2の出力値と入射光の光量が高い受光素子26からの出力信号S2の出力値とが等しくなるからである。その結果、モータ軸6の絶対角度位置を正確に算出することができる。
【0029】
このように、受光素子25、26では、信号処理回路7に出力する出力信号S1、S2が均一となる。したがって、これらの出力信号S1、S2の出力値の差を調整する処理を信号処理回路7に追加することなく、アブソリュートエンコーダ1としての信頼性を簡便に高めることができる。
【0030】
また、受光素子アレイ23、24においては、遮光膜27、28の幅を変えるだけで受光素子25、26の実効面積を増減させることができるため、検出ユニット2を容易に製造することができる。
【0031】
[発明の実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係る図である。
この実施の形態2では、図4に示すように、複数の受光素子25、26から信号処理回路7へ出力される出力信号S1、S2を均一化するため、これら受光素子25、26の径方向の幅を入射光の光量分布に対応して変更した点を除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。
【0032】
すなわち、12個の受光素子25については、図4に示すように、周方向の幅はすべて同じで、径方向の幅は、点光源22からインクリメンタルパターン8を経て受光素子25に至る光路の距離の2乗に比例して受光素子25の受光面の面積(実効面積)が変化するように、点光源22から離れた受光素子25ほど大きくなっている。また、6個の受光素子26については、周方向の幅はすべて同じで、径方向の幅は、点光源22からアブソリュートパターン9を経て受光素子26に至る光路の距離の2乗に比例して受光素子26の受光面の面積(実効面積)が変化するように、点光源22から離れた受光素子25ほど大きくなっている。
【0033】
なお、実施の形態1と同じ構成部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
したがって、この実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。
【0034】
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、受光素子25、26において、受光面を遮光膜27、28でマスキングして実効面積を小さくする場合について説明した。しかし、遮光膜27、28を使用せず、受光素子25、26そのもののサイズを小さくすることにより、受光面の実効面積を小さくすることも可能である。
【0035】
また、上述した実施の形態2では、受光素子25、26において、受光素子25、26そのもののサイズを小さくする場合について説明した。しかし、受光面を遮光膜でマスキングして実効面積を小さくすることも可能である。
【0036】
さらに、上述した実施の形態1では、受光素子25、26において、実効領域の周方向の幅を変更することにより、実効面積を変える場合について説明し、上述した実施の形態2では、受光素子25、26において、実効領域の径方向の幅を変更することにより、実効面積を変える場合について説明した。しかし、実効領域の周方向の幅と径方向の幅の両方を変更するようにしても構わない。
【0037】
さらにまた、上述した実施の形態1、2では、複数の受光素子25、26からの出力信号S1、S2を均一化すべく、受光素子25、26の実効面積を入射光の光量分布に対応して設定する場合について説明した。しかし、受光素子25、26からの出力信号S1、S2は、受光素子25、26の実効面積のみならず受光素子25、26の素子感度(つまり、一定の強さの光を受光したときの受光素子25、26の出力信号S1、S2の出力値)にも依存するとの考えに立脚し、受光素子25、26の素子感度を入射光の光量分布に対応して設定することも可能である。或いはまた、受光素子25、26の実効面積と素子感度の両方を設定するようにしても構わない。
【0038】
また、上述した実施の形態1、2では、反射型のアブソリュートエンコーダ1について説明したが、受光素子25、26の入射光の光量分布が明らかである限り、反射型以外のアブソリュートエンコーダ1に本発明を適用することもできる。例えば、透過型のアブソリュートエンコーダ1であっても、点光源22からの拡散光をコリメートレンズ(凸レンズ)で視準して平行光線にすることなく拡散光のまま利用する場合には、本発明の有用性が顕著となる。また、点光源22から出射される光が発散光でなくても、受光素子25、26の入射光の光量に違いが生じる場合があり、このような場合にも本発明の有用性が顕著となる。
【0039】
また、上述した実施の形態1、2では、モジュラー型のアブソリュートエンコーダ1について説明したが、ホローシャフト型のアブソリュートエンコーダ1に本発明を適用することも可能である。
【0040】
さらに、上述した実施の形態1、2では、アブソリュートエンコーダ1について説明したが、複数の受光素子25、26に入射する入射光の光量に違いがある検出ユニット2を備えている限り、アブソリュートエンコーダ1以外のエンコーダ(例えば、インクリメンタルエンコーダ)に本発明を適用することもできる。
【0041】
また、上述した実施の形態1、2では、発光素子として点光源22を用いる場合について説明したが、線光源や面光源を代用することも可能である。
【0042】
また、上述した実施の形態1、2では、モータ軸6の回転量を検出するアブソリュートエンコーダ1、つまりロータリーエンコーダについて説明したが、リニアエンコーダ(リニアセンサ)に本発明を適用することも無論できる。
【0043】
また、上述した実施の形態1、2では、複数の受光素子25、26から信号処理回路7へ出力される出力信号S1、S2を均一化する場合について説明したが、これらの出力信号S1、S2の均一度を必ずしも100%まで達成させる必要はなく、これらの出力信号S1、S2の均一度が少しでも向上すればよい。
【0044】
また、上述した実施の形態1、2では、12個の受光素子25からなる受光素子アレイ23と6個の受光素子26からなる受光素子アレイ24を備えた検出ユニット2について説明したが、受光素子25、26の個数は、複数(2個以上)であれば何個でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ロータリーエンコーダ、リニアエンコーダなど各種のエンコーダに幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1……アブソリュートエンコーダ(エンコーダ)
2……検出ユニット
3……回転符号板
4……回転基板
4a……ボス部
5……プリント配線基板
6……モータ軸
7……信号処理回路
8……インクリメンタルパターン
8a……反射パターン領域
8b……非反射パターン領域
9……アブソリュートパターン
9a……反射パターン領域
9b……非反射パターン領域
21……シリコン基板
22……点光源(発光素子)
23、24……受光素子アレイ
25、26……受光素子
27、28……遮光膜
S1、S2……出力信号
図1
図2
図3
図4
図5