特許第5979069号(P5979069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979069通信システムおよびネットワーク中継装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979069
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】通信システムおよびネットワーク中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/711 20130101AFI20160817BHJP
   H04L 12/761 20130101ALI20160817BHJP
【FI】
   H04L12/711
   H04L12/761
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-85536(P2013-85536)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-207635(P2014-207635A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100108279
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100113642
【弁理士】
【氏名又は名称】菅田 篤志
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100147430
【弁理士】
【氏名又は名称】坂次 哲也
(72)【発明者】
【氏名】関口 吾郎
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0018253(US,A1)
【文献】 特開2010−088127(JP,A)
【文献】 宍戸 豪,IPネットワークにおけるマルチキャスト経路切戻し制御の高度化の提案,電子情報通信学会2012年通信ソサイエティ大会講演論文集2,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2012年 8月28日,第49頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/711
H04L 12/761
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインタフェースを持ち、PIMに基づく制御を行う第1ルータ装置と、
PIMに基づく制御を行う複数のルータ装置と、
前記複数のインタフェースと前記複数のルータ装置との間にそれぞれ設けられる複数のリンクと、を備え、
前記第1ルータ装置は、
所定のユニキャストルーティングプロトコルに基づく制御を行うユニキャストルーティングプロトコル制御部と、
PIMに基づく制御を行い、自身が障害から復旧した際に、前記複数のインタフェースをPIMパケットの送信を行わないPIMパッシブモードで動作させ、前記PIMパッシブモードでの動作を第1期間継続したのち、前記複数のインタフェースをPIMパケットの送信を行うPIMアクティブモードで動作させるPIM制御部と、を有し、
前記ユニキャストルーティングプロトコル制御部は、自身が障害から復旧した際に、前記複数のルータ装置との間で、前記複数のリンクの確立に向けた処理と、前記複数のリンクの確立状態が反映されたリンク情報を同期する処理とを行い、
前記第1期間の終点は、復旧して確立された全てのリンクが反映された前記リンク情報を同期した以降の時点である、通信システム。
【請求項2】
PIMに基づく制御を行う複数のルータ装置との間にそれぞれリンクを設けるための複数のインタフェースと、
所定のユニキャストルーティングプロトコルに基づく制御を行うユニキャストルーティングプロトコル制御部と、
PIMに基づく制御を行い、自身が障害から復旧した際に、前記複数のインタフェースをPIMパケットの送信を行わないPIMパッシブモードで動作させ、前記PIMパッシブモードでの動作を第1期間継続したのち、前記複数のインタフェースをPIMパケットの送信を行うPIMアクティブモードで動作させるPIM制御部と、を有し、
前記ユニキャストルーティングプロトコル制御部は、自身が障害から復旧した際に、前記複数のルータ装置との間で、前記複数のリンクの確立に向けた処理と、前記複数のリンクの確立状態が反映されたリンク情報を同期する処理とを行い、
前記第1期間の終点は、復旧して確立された全てのリンクが反映された前記リンク情報を同期した以降の時点である、ネットワーク中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよびネットワーク中継装置に関し、例えば、PIM(Protocol Independent Multicast)といったマルチキャスト向けの通信プロトコルが適用されるネットワーク中継装置と、それを含んだ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マルチキャストネットワークシステム内の各ルータが、マルチキャストトラフィックの配信経路に対する代替経路情報を予め有する方式が示されている。これによって、障害が生じた際に、マルチキャストルーティングテーブルの更新を待つことなく代替経路を構築できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−199689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、マルチキャスト向けの通信プロトコルとして、PIM−SM(Protocol Independent Multicast - Sparse Mode)や、PIM−SSM(Protocol Independent Multicast - Sourse Specific Multicast)等が知られている。PIM−SMでは、予めランデブーポイント(RP)で呼ばれるルータ装置が定められ、マルチキャストパケットの配信経路として、配信先となる各端末とRPとの間の配信経路と、配信元となるサーバとRPとの間の配信経路とが構築される。この場合、各端末に接続されたルータ装置は、各端末からのマルチキャストグループへの参加要求を受けた際に、RPを目標としてマルチキャストパケットの配信経路を構築する。
【0005】
一方、PIM−SSMは、PIM−SMの拡張機能であり、例えば、配信先となる各端末が配信元のサーバのアドレスを予め認識している場合に適用される。この場合、各端末に接続されたルータ装置は、各端末からのマルチキャストグループへの参加要求を受けた際に、前述したランデブーポイント(RP)ではなく、配信元のサーバを目標としてマルチキャストパケットの配信経路を構築する。なお、この際の配信経路の具体的な構築方法は、PIM−SMとPIM−SSMとでほぼ同様である。また、PIM−SMおよびPIM−SSMでは、予め、ユニキャストルーティングプロトコルを用いてユニキャストパケットの配信経路が予め構築されていることを前提として、これを利用してマルチキャストパケットの配信経路を構築する。
【0006】
ここで、例えば、あるルータ装置が、障害から復旧した場合を想定する。この場合、当該ルータ装置は、マルチキャストパケットの配信経路の構築に先だって、前述したように、ユニキャストルーティングプロトコルを用いてユニキャストパケットの配信経路を構築する必要がある。ユニキャストルーティングプロトコルは、代表的には、RIP(Routing Information Protocol)やOSPF(Open Shortest Path First)等が知られている。このようなユニキャストルーティングプロトコルでは、通常、隣接するルータ装置間で、互いの生存確認を含めてリンクの確立に向けた処理と、当該リンクの確立状態が反映されたリンク情報を同期する処理とが行われる。
【0007】
例えば、OSPFでは、障害から復旧したルータ装置は、まず、自身に隣接するルータ装置との間でハローパケットを交換することでリンクの確立に向けた処理を行う。隣接するルータ装置との間でリンクが確立された場合、この互いに隣接するルータ装置間ではネイバーと呼ばれる関係が成立する。次いで、ネイバーが成立したルータ装置間(場合によっては、その中でも代表ルータ装置(DR)を相手とするルータ装置間)では、リンクの確立状態が反映されたリンク情報が同期される。このリンク情報の同期は、例えばLSA(Link State Advertisement)と呼ばれるパケットを交換すること等で行われる。これによって、各ルータ装置は、リンク情報を纏めたLSDB(Link State DataBase)と呼ばれるデータベースを同期し、これに基づいてユニキャストパケットの配信経路を構築する。LSDBの同期が完了したルータ装置間では、アジャセンシーと呼ばれる関係が成立する。
【0008】
また、RIPでは、障害から復旧したルータ装置は、隣接するルータ装置との間でRIPパケットの交換(例えばリクエストパケットの送信とレスポンスパケットの受信)を行うことで、リンクの確立に向けた処理が行われる。レスポンスパケットの中には、その送信元のルータ装置が持つユニキャストパケットの配信経路が含まれる。障害から復旧したルータ装置は、レスポンスパケットの内容や自身のリンクの確立状態(すなわちリンク情報)を反映してユニキャストパケットの配信経路を構築し、当該配信経路の情報をRIPパケット(レスポンスパケット)を用いて隣接するルータ装置との間で適宜交換する。これによって、隣接するルータ装置間で、ユニキャストパケットの配信経路が同期される。すなわち、レスポンスパケットを交換することで、実質的にリンク情報の同期も行われる。
【0009】
しかしながら、例えば、あるルータ装置を基準として隣接するルータ装置が複数有る状態で、あるルータ装置が、隣接する各ルータ装置との間でそれぞれリンクの確立に向けた処理を行う際に、そのリンクの確立に要する時間は、各リンク毎に異なる場合がある。このような時間差が生じると、この時間差に応じてユニキャストパケットの配信経路が時系列的に変化する恐れがある。
【0010】
マルチキャストパケットの配信経路は、ユニキャストパケットの配信経路に基づいて構築されるため、ユニキャストパケットの配信経路が時系列的に変化すると、これに応じてマルチキャストパケットの配信経路も時系列的に変化する恐れがある。すなわち、マルチキャストパケットの配信経路が過剰に切り替わるような事態が生じ得る。さらに、マルチキャストパケットの配信経路の構築には、別途、PIMに基づく所定のPIMパケットを用いた処理が必要となり、この処理にはある程度の時間を要する。したがって、マルチキャストパケットの配信経路が切り替わる度にPIMに基づく処理が行われると、結果的に、当該配信経路が安定化するまでに過剰な時間を要する恐れがある。
【0011】
本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、マルチキャスト向けの通信プロトコルに対応した通信システムおよびネットワーク中継装置において、障害から復旧した際のマルチキャストパケットの配信経路を安定化し、耐障害性の向上を実現することにある。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本実施の形態による通信システムは、複数のインタフェースを持ち、PIMに基づく制御を行う第1ルータ装置と、PIMに基づく制御を行う複数のルータ装置と、複数のインタフェースと複数のルータ装置との間にそれぞれ設けられる複数のリンクとを備える。第1ルータ装置は、ユニキャストルーティングプロトコル制御部と、PIM制御部とを有する。ユニキャストルーティングプロトコル制御部は、所定のユニキャストルーティングプロトコルに基づく制御を行い、自身が障害から復旧した際に、複数のルータ装置との間で、複数のリンクの確立に向けた処理と、複数のリンクの確立状態が反映されたリンク情報を同期する処理とを行う。PIM制御部は、PIMに基づく制御を行い、自身が障害から復旧した際に、複数のインタフェースをPIMパケットの送信を行わないPIMパッシブモードで動作させ、PIMパッシブモードでの動作を第1期間継続したのち、複数のインタフェースをPIMパケットの送信を行うPIMアクティブモードで動作させる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、マルチキャスト向けの通信プロトコルに対応した通信システムおよびネットワーク中継装置において、障害から復旧した際のマルチキャストパケットの配信経路が安定化され、耐障害性の向上が実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態による通信システムにおいて、その構成例および動作例を示す概略図である。
図2図1に続く動作例を示す概略図である。
図3図2に続く動作例を示す概略図である。
図4図3に続く動作例を示す概略図である。
図5図1におけるルータ装置の概略構成例を示すブロック図である。
図6図5のPIM制御部によって定められるPIMパッシブモードでの動作期間の一例を表すシーケンス図である。
図7図6におけるユニキャストルーティングプロトコル制御部およびPIM制御部の主要部の動作例を示すフロー図である。
図8】本発明の前提として検討した通信システムにおいて、その構成例および動作例を示す概略図である。
図9図8に続く動作例を示す概略図である。
図10図9に続く動作例を示す概略図である。
図11図10に続く動作例を示す概略図である。
図12図11に続く動作例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0017】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
《通信システム(本実施の形態)の概略構成》
図1は、本発明の一実施の形態による通信システムにおいて、その構成例および動作例を示す概略図である。図2は、図1に続く動作例を示す概略図であり、同様に、図3および図4は、それぞれ、図2および図3に続く動作例を示す概略図である。図1に示す通信システムは、複数のルータ装置RT1〜RT6と、ネットワークNWs,NWrと、サーバSVと、端末TMとを備える。RT1〜RT6のそれぞれは、複数(ここでは3個)のインタフェースI1〜I3を持ち、PIM(例えばPIM−SM又はPIM−SSM)に基づく制御を行う。NWs,NWrは、特に限定はされないが、ルータ装置やレイヤ2(L2)レベルの中継を行うスイッチ装置を適宜含む形で構成される。なお、本実施の形態では、所謂L3スイッチ装置を含めてルータ装置と呼ぶ。
【0020】
ルータ装置(第1ルータ装置)RT1のインタフェースI1〜I3と、複数のルータ装置RT2〜RT4との間には、それぞれ複数のリンクLK12〜LK14が設けられる。ここでは、LK12は、RT1のI1とRT2のI2との間に設けられ、LK13は、RT1のI2とRT3のI1との間に設けられ、LK14は、RT1のI3とRT4のI3との間に設けられる。ここで、リンクとは、通信経路を意味し、具体的には、各インタフェースと各インタフェース間を接続する通信回線とによって構成される。
【0021】
ルータ装置RT2,RT5では、インタフェースI3の間にリンクが設けられ、インタフェースI1とネットワークNWsとの間にそれぞれリンクが設けられる。ルータ装置RT3,RT6では、I3の間にリンクが設けられ、インタフェースI2とネットワークNWrとの間にそれぞれリンクが設けられる。また、RT4のI1とRT5のI2の間、および、RT4のI2とRT6のI1の間にも、それぞれリンクが設けられる。NWsには、マルチキャストパケットMCPKの配信元となるサーバSVが接続され、NWrには、MCPKの配信先となる端末TMが接続される。
【0022】
《通信システム(比較例)の概略動作》
ここで、図1の通信システムの動作説明に先だって、本発明の前提して検討した通信システムの動作について図8図12を用いて説明する。図8は、本発明の前提として検討した通信システムにおいて、その構成例および動作例を示す概略図である。図9は、図8に続く動作例を示す概略図であり、同様に、図10図11および図12は、それぞれ、図9図10および図11に続く動作例を示す概略図である。
【0023】
図8に示す通信システムは、図1の通信システムと同様に、複数のルータ装置RT’1〜RT’6と、ネットワークNWs,NWrと、サーバSVと、端末TMとを備え、図1の場合と同様の接続関係を備えている。ここで、RT’1には、障害(所謂ノード障害)が生じている。このため、SVから送信されたマルチキャストパケットMCPKは、NWs→RT’2→RT’5→RT’4→RT’6→RT’3→NWrを介してTMに配信されている。
【0024】
次いで、図9には、図8のルータ装置RT’1が障害から復旧した直後の動作例が示されている。RT’1は、障害から復旧すると、各インターフェースI1〜I3をPIMアクティブモードPIM−ACTで動作させる。PIM−ACTで動作するインタフェースは、PIMパケットの送信(および通過、転送)を行う。そして、RT’1は、PIMに基づくマルチキャストパケットの配信経路の構築に先だって、まず、ユニキャストルーティングプロトコルを用いてユニキャストパケットの配信経路を構築する。この際に、RT’1は、まず、隣接するルータ装置RT’2〜RT’4との間でリンクLK12〜LK13の確立に向けた処理を行う。
【0025】
具体的には、例えば、ルータ装置RT’1〜RT’6がOSPFで動作する場合、RT’1は、隣接するRT’2〜RT’4に向けてハローパケットを送信し、また、RT’2〜RT’4からのハローパケットをそれぞれ受信する。例えば、RT’1とRT’3との間でハローパケットの交換(すなわち送信および受信)が正常に行われた場合、リンクLK13が確立され、RT’1,RT’3では、ネイバーと呼ばれる関係が成立する。また、例えば、RT’1〜RT’6がRIPで動作する場合、RT’1は、RT’2〜RT’4との間でRIPパケットの交換(例えばリクエストパケットの送信とレスポンスパケットの受信)を行う。例えば、RT’1とRT’3との間でRIPパケットの交換が正常に行われた場合、LK13が確立される。
【0026】
しかしながら、図9に示すように、例えば、リンクLK13,LK14の確立に要する時間と、リンクLK12の確立に要する時間との間に時間差が生じる場合がある。この例では、LK13,LK14は確立され、LK12は未だ確立されない状態となっている。この場合、ルータ装置RT’1は、ルータ装置RT’3,RT’4との間で、このリンクの確立状態が反映されたリンク情報を同期する。当該リンク情報の同期は、例えば、OSPFの場合、LSAと呼ばれるパケット等を交換すること等で行われ、RIPの場合、RIPパケット(レスポンスパケット)を交換することで行われる。なお、レスポンスパケットの中には、ユニキャストパケットの配信経路の情報が含まれており、この配信経路の情報がリンク情報に基づいて生成されてる。その後、各ルータ装置RT’1〜RT’6は、ユニキャストルーティングプロトコルに基づく所定の処理を行うことで、LK13,LK14を配信経路の候補に含めた上でユニキャストパケットの配信経路を構築する。
【0027】
この状態で、ルータ装置RT’3は、PIMに基づき自身が持つユニキャストパケットの配信経路を参照する。この参照により、RT’3は、マルチキャストパケットの配信経路としてルータ装置RT’6側よりもルータ装置RT’1側の経路が適していると判断した場合、RT’1に向けてPIMジョインPIM−JNを送信し、RT’6に向けてPIMプルーンPIM−PRNを送信する。PIM−JNは、マルチキャストグループへの参加要求を意味し、PIM−PRNは、マルチキャストグループからの離脱要求を意味する。RT’3からのPIM−JNを受信したRT’1は、PIMに基づき自身が持つユニキャストパケットの配信経路を参照し、その結果、リンクLK12が未だ確立されていないため、ルータ装置RT’4に向けてPIM−JNを送信する。
【0028】
マルチキャストパケットの配信経路は、このPIMジョインPIM−JNの送信経路に基づいて構築される。その結果、図10に示すように、マルチキャストパケットMCPKの配信経路が切り替わり、サーバSVから送信されたMCPKは、NWs→RT’2→RT’5→RT’4→RT’1→RT’3→NWrを介して端末TMに配信される。その後、図11に示すように、リンクLK12が確立した場合、ルータ装置RT’1は、ルータ装置RT’2〜RT’4との間で、このリンクの確立状態が反映されたリンク情報を同期する。その結果、各ルータ装置RT’1〜RT’6は、ユニキャストルーティングプロトコルに基づく所定の処理を行うことで、LK12〜LK14を配信経路の候補に含めた上でユニキャストパケットの配信経路を構築する。
【0029】
この状態で、ルータ装置RT’1は、PIMに基づき自身が持つユニキャストパケットの配信経路を参照する。この参照により、RT’1は、マルチキャストパケットの配信経路としてルータ装置RT’4側よりもルータ装置RT’2側の経路が適していると判断した場合、RT’2に向けてPIMジョインPIM−JNを送信し、RT’4に向けてPIMプルーンPIM−PRNを送信する。その結果、図12に示すように、マルチキャストパケットMCPKの配信経路が再度切り替わり、サーバSVから送信されたMCPKは、NWs→RT’2→RT’1→RT’3→NWrを介して端末TMに配信される。
【0030】
このように、各リンクLK12〜LK14の確立に時間差が生じると、これに応じてマルチキャストパケットの配信経路が時系列的に変化し、当該配信経路が過剰に切り替わるような事態が生じ得る。さらに、PIMジョインPIM−JNやPIMプルーンPIM−PRNの送信および受信に伴う処理には、ある程度の時間を要する。具体的には、PIM−JN,PIM−PRNは、図9のPIM−JNに示したように、各ルータ装置をホップバイホップで伝達される。図9では省略しているが、実際には、RT’3からのPIM−PRNを受信したRT’6も、RT’4に向けてPIM−PRNを送信する。そして、PIM−JNやPIM−PRNがホップバイホップで伝達される度に、対応するルータ装置で、マルチキャストパケットの配信経路を構築する処理等が行われる。これにより、PIMに基づく処理である程度の時間を要することになり、結果的に、マルチキャストパケットの配信経路が安定化するまでに過剰な時間を要する恐れがある。
【0031】
《通信システム(本実施の形態)の概略動作》
そこで、本実施の形態の通信システムは、図1図4に示すような動作を行う。図1には、前述した図9の場合と同様に、ルータ装置RT1が図8に示したような障害(ノード障害)から復旧した直後の状態が示されている。図1のRT1は、図9のルータ装置RT’1と異なり、障害から復旧した際には、各インターフェースI1〜I3をPIMパッシブモードPIM−PSVで動作させる。PIM−PSVで動作するインタフェースは、PIMパケットの送信(および通過、転送)を行わない。
【0032】
ここで、図9の場合と同様に、ユニキャストルーティングプロトコル(例えばOSPF、RIP等)を用いてリンクの確立に向けた処理を行った結果、リンクLK13,LK14が確立され、リンクLK12が未だ確立されていない場合を想定する。この場合、図9の場合と同様に、ユニキャストルーティングプロトコルにより、このリンクの確立状態が反映されたリンク情報が同期される。その結果、各ルータ装置RT1〜RT6は、LK13,LK14を配信経路の候補に含めた上でユニキャストパケットの配信経路を構築する。
【0033】
この状態で、実際には、図9に示したようなルータ装置RT3からルータ装置RT1に向けたPIMジョインPIM−JNの送信に先だって、図1に示すように、RT3とRT1との間でPIMハローPIM−HLの交換が行われる。PIM−HLは、PIM対応のルータ装置としての生存確認を行うためのパケットである。ただし、ここでは、RT1は、各インターフェースI1〜I3をPIMパッシブモードPIM−PSVで動作させているため、RT3に向けてPIM−HLを送信しない。その結果、RT3は、RT1側にPIM−JNを送信することができず、これに伴い、図8の場合と同様のマルチキャストパケットの配信経路(NWs→RT2→RT5→RT4→RT6→RT3→NWr)が維持される。
【0034】
その後、図2においては、リンクLK12が確立されている。すなわち、例えば、OSPFの場合、ルータ装置RT1とルータ装置RT2との間でハローパケットの交換が正常に行われた状態となり、RIPの場合、RT1とRT2との間でRIPパケットの交換(例えばリクエストパケットの送信およびレスポンスパケットの受信)が正常に行われた状態となる。この場合、RT1は、ルータ装置RT2〜RT4との間で、このリンクの確立状態(すなわち全てのリンクLK12〜LK14が確立された状態)が反映されたリンク情報を同期する。
【0035】
このリンク情報の同期は、例えば、OSPFの場合、LSAと呼ばれるパケットを交換すること等で行われ、RIPの場合、RIPパケット(レスポンスパケット)を交換することで行われる。なお、レスポンスパケットの中には、ユニキャストパケットの配信経路の情報が含まれており、この配信経路の情報がリンク情報に基づいて生成されてる。その後、各ルータ装置RT1〜RT6は、ユニキャストルーティングプロトコルに基づく所定の処理を行うことで、リンクLK12〜LK14を配信経路の候補に含めた上でユニキャストパケットの配信経路を構築する。
【0036】
ここで、第1ルータ装置RT1は、全てのリンクLK12〜LK14が確立され、当該リンクの確立状態が反映されたリンク情報を隣接するルータ装置RT2〜RT4との間で同期した以降の時点で、PIMパッシブモードPIM−PSVで動作していた各インターフェースI1〜I3をPIMアクティブモードPIM−ACTで動作させる。望ましくは、各ルータ装置RT1〜RT6がリンクLK12〜LK14を配信経路の候補に含めた上でユニキャストパケットの配信経路を構築した時点で、I1〜I3をPIM−ACTで動作させる。
【0037】
PIMアクティブモードPIM−ACTに変更されたルータ装置RT1の各インターフェースI1〜I3は、ルータ装置RT2〜RT4に向けてPIMハローPIM−HLを送信し、また、RT2〜RT4からのPIM−HLを受信する。このPIM−HLの交換が正常に行われることで、以降、リンクLK12〜LK14を介した各種PIMパケットの通信が可能となる。
【0038】
この状態で、図3に示すように、ルータ装置RT3は、PIMに基づき自身が持つユニキャストパケットの配信経路を参照する。この参照により、RT3は、マルチキャストパケットの配信経路としてルータ装置RT6側よりもルータ装置RT1側の経路が適している(すなわち最短である)と判断した場合、RT1に向けてPIMジョインPIM−JNを送信し、RT6に向けてPIMプルーンPIM−PRNを送信する。RT3からのPIM−JNを受信したRT1も、PIMに基づき自身が持つユニキャストパケットの配信経路を参照する。この参照により、RT1は、マルチキャストパケットの配信経路としてルータ装置RT4側よりもルータ装置RT2側の経路が適している(すなわち最短である)と判断した場合、RT2に向けてPIM−JNを送信する。
【0039】
マルチキャストパケットの配信経路は、このPIMジョインPIM−JNの送信経路に基づいて構築される。その結果、図4に示すように、マルチキャストパケットMCPKの配信経路が切り替わり、サーバSVから送信されたMCPKは、NWs→RT2→RT1→RT3→NWrを介して端末TMに配信される。
【0040】
このように、本実施の形態の通信システムを用いることで、ルータ装置RT1が障害から復旧した際に、各リンクLK12〜LK14の確立に時間差が生じた場合でも、マルチキャストパケットの配信経路が過剰に切り替わるような事態を防止できる。言い換えれば、マルチキャストパケットの配信経路を安定化することが可能になる。さらに、このマルチキャストパケットの配信経路の安定化によって、PIMに基づく処理が過剰に行われるような事態を防止でき、結果的に、当該配信経路が安定化するまでの時間を短縮できると考えられる。これらによって、耐障害性の向上が実現可能になる。
【0041】
なお、ここでは、ルータ装置RT1の動作を例に説明を行ったが、勿論、ルータ装置RT2〜RT6に対しても同様に適用して、同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態の通信システムは、図1の構成例に限定されるものではなく、そのトポロジーを様々に変更することが可能である。すなわち、本実施の形態の通信システムは、これまでの説明から判るように、互いに隣接するルータ装置RT1〜RT4を含んだ構成であればよい。
【0042】
《ルータ装置(ネットワーク中継装置)の概略構成および概略動作》
図5は、図1におけるルータ装置の概略構成例を示すブロック図である。図5に示すルータ装置(ネットワーク中継装置)RTは、例えば図1の第1ルータ装置RT1の詳細を示すものであり、テーブルユニットTBLUと、ルーティング制御ユニットRTCTLUと、複数のポートP1〜P3,…とを備える。特に限定はされないが、図1のRT1における第1〜第3インタフェースI1〜I3は、それぞれP1〜P3で構成される。ただし、勿論、タグVLAN(Virtual Local Area Network)等を用いて1個のポートに複数のインタフェースを対応させることも可能である。
【0043】
テーブルユニットTBLUは、RIPやOSPF等によって構築されるユニキャストルーティングテーブルRTBLと、所定のマルチキャストプロトコル(ここではPIM)によって構築されるマルチキャストルーティングテーブルMCTBLとを含む。ユニキャストパケットの配信経路は、RTBLによって定められ、マルチキャストパケットの配信経路は、MCTBLによって定められる。ルーティング制御ユニットRTCTLUは、PIM制御部PIMCTLと、ユニキャストルーティングプロトコル制御部RTBLCTLとを備え、これらを適宜利用して各ポート(又はインタフェース)間でのパケットの中継(ルーティング)を行う。
【0044】
ユニキャストルーティングプロトコル制御部RTBLCTLは、RIPやOSPF等を代表とするユニキャストルーティングプロトコルに基づく制御を行う。その制御の一つとして、例えば、RTBLCTLは、自身が障害から復旧した際に、自身を対象に設けられた複数のリンクの確立に向けた処理と、その確立状態が反映されたリンク情報を隣接する複数のルータ装置との間で同期する処理とを行う。例えば、図1の第1ルータ装置RT1を例とすると、RT1内のRTBLCTLは、RT1が障害から復旧した際に、リンクLK12〜LK14の確立に向けた処理と、その確立状態が反映されたリンク情報をルータ装置RT2〜RT4との間で同期する処理とを行う。
【0045】
複数のリンクの確立に向けた処理は、図8等でも述べたように、例えば、図1のルータ装置RT1〜RT6がOSPFで動作する場合、ハローパケットの交換によって行われ、RT1〜RT6がRIPで動作する場合、RIPパケットの交換(例えばレクエストパケットの送信とレスポンスパケットの受信)によって行われる。また、隣接する複数のルータ装置との間でリンク情報を同期する処理は、図9等でも述べたように、例えば、図1のルータ装置RT1〜RT6がOSPFで動作する場合、LSAと呼ばれるパケットの交換等によって行われ、RIPの場合、RIPパケット(レスポンスパケット)の交換によって行われる。
【0046】
PIM制御部PIMCTLは、PIMパケット(PIMジョイン、PIMプルーン、PIMハロー等)の処理を代表に、PIM(具体的にはPIM−SM又はPIM−SSM)に基づく各種制御を行う。その制御の一つとして、図1および図2に示したように、PIMCTLは、自身が障害から復旧した際に、複数のインタフェースI1〜I3をPIMパッシブモードPIM−PSVで動作させ、当該動作を第1期間継続したのち、I1〜I3をPIMアクティブモードPIM−ACTで動作させる制御を行う。
【0047】
ここで、第1期間は、図1および図2の説明からも判るように、例えば、図6に示されるような期間となる。図6は、図5のPIM制御部によって定められるPIMパッシブモードでの動作期間の一例を表すシーケンス図である。図6の例では、説明を容易にするため、図1におけるルータ装置RT1とルータ装置RT4との間のシーケンスは省略されている。図6において、障害から復旧したRT1は、まず、自身が持つ各インタフェースをPIMパッシブモードPIM−PSVで動作させる。そして、RT1は、隣接するルータ装置RT2,RT3との間で、それぞれリンクの確立に向けた処理とリンク情報を同期する処理とを行う。
【0048】
その後、ある程度の時間を経て、ルータ装置RT1は、ルータ装置RT3との間でリンク情報の同期を完了している。これを受けて、ルータ装置RT3は、ルータ装置RT1に向けてPIMハローPIM−HLを送信する。ただし、RT1は、各インタフェースをPIMパッシブモードPIM−PSVで動作させているため、RT3に向けてPIM−HLを含めた各種PIMパケットの送信を行わない。その結果、RT1とRT3との間でマルチキャストパケットの配信経路は構築されない。
【0049】
その後、さらにある程度の時間を経て、ルータ装置RT1は、ルータ装置RT3に加えてルータ装置RT2との間で、リンク情報の同期を完了している。RT1は、例えば、このRT2,RT3との間でリンク情報の同期が完了したことを受けて、PIMパッシブモードPIM−PSVで動作していた各インタフェースをPIMアクティブモードPIM−ACTで動作させる。これに伴い、RT1は、RT2,RT3に向けてPIMハローPIM−HLを送信し、RT2,RT3から送信されたPIM−HLを受信する。これによって、RT1とRT2,RT3との間で、各種PIMパケットの処理が行われる状態となる。この例では、RT3がRT1に向けてPIMジョインPIM−JNを送信し、これを受けてRT1がRT2に向けてPIM−JNを送信している。これによって、RT2とRT3との間で、RT1を介するマルチキャストパケットの配信経路が構築される。
【0050】
なお、ここでは、ルータ装置RT1は、ルータ装置RT2,RT3との間でそれぞれリンク情報の同期が完了したことを受けてPIMアクティブモードPIM−ACTへの遷移を行った。ただし、実際には、ユニキャストルーティングプロトコルに応じて、例えば、図1の各ルータ装置RT1〜RT6が、このRT1とRT2,RT3との間に確立されたリンクを含めた上でのユニキャストルーティングテーブルを持つまでに(所謂コンバージェンス状態に達するまでに)、更にある程度の時間が必要とされる場合がある。
【0051】
例えば、OSPFのようなリンクステート型のユニキャストルーティングプロトコルの場合、リンク情報に変更が有った際には、この変更内容は、隣接するルータ装置を含めて各ルータ装置にほぼ一斉に伝送されるため、比較的早期にコンバージェンス状態に達することができる。一方、RIPのようなディスタンスベクタ型のユニキャストルーティングプロトコルの場合、前述した変更内容は、所定の時間間隔で隣接するルータ装置から段階的に伝送されるため、コンバージェンス状態に達するまでに比較的長い時間を要する。したがって、このようなユニキャストルーティングプロトコルの特性等を鑑みて、例えば、RT1とRT2,RT3との間でリンク情報の同期が完了した時点から、若干待ち時間を経たのちにPIM−ACTへの遷移するような制御を行ってもよい。
【0052】
さらに、ここでは、PIMパッシブモードPIM−PSVで動作させる第1期間を、ユニキャストルーティングプロトコル制御部RTBLCTLによる処理の状況に応じて定めたが、場合によっては、固定の期間とすることも可能である。すなわち、使用するユニキャストルーティングプロトコルと、通信システムの全体構成が予め判明していれば、コンバージェンス状態に達するまでの最長時間をある程度は予測できる。したがって、例えば、この最長時間を第1期間として設定することも可能である。
【0053】
《ユニキャストルーティングプロトコル制御部およびPIM制御部の主要部の動作》
図7は、図6におけるユニキャストルーティングプロトコル制御部およびPIM制御部の主要部の動作例を示すフロー図である。前述した図1図6では、障害から復旧したルータ装置は、必ずリンクを確立できることを前提に説明を行った。ただし、場合によっては、図2において、例えば、リンクLK12自体にも障害が生じており、ノード(すなわち第1ルータ装置RT1)は復旧したが、リンクLK12は障害のままのような事態も考えられる。
【0054】
この場合、第1ルータ装置RT1は、例外的に、複数のリンクLK12〜LK14の中から予め定めた期間内に確立されたリンクLK13,LK14を対象に、当該リンクが反映されたリンク情報を同期した以降の時点で各インタフェースI2,I3をPIMアクティブモードPIM−ACTで動作させる。すなわち、この時点が、前述した第1期間の終点として定められる。図7は、このような状況を反映したフローとなっている。
【0055】
図7において、例えば第1ルータ装置RT1は、障害から復旧する(ステップS101)。次いで、RT1のPIM制御部PIMCTLは、所定のユニキャストルーティングプロトコルが有効となるインタフェース(例えばI1〜I3)をPIMパッシブモードで動作させる(ステップS102)。続いて、RT1のユニキャストルーティングプロトコル制御部RTBLCTLは、所定のユニキャストルーティングプロトコルが有効となったインタフェース(I1〜I3)を対象に、隣接するルータ装置(例えばRT2〜RT4)との間でリンクの確立に向けた処理を行う(ステップS103)。
【0056】
次いで、第1ルータ装置RT1のユニキャストルーティングプロトコル制御部RTBLCTLは、新たにリンクが確立された場合、その都度、当該リンクが反映されたリンク情報を隣接するルータ装置との間で同期する処理を開始する(ステップS105)。この際に、予め定めた期間内に確立されなかったリンク(例えばLK12)がある場合には、予め定めた期間を経過後、当該リンクを無視してステップS107に進む(ステップS104およびS106)。また、予め定めた期間内に全てのリンクが確立された場合には、この全てのリンクの確立を受けてステップS107に進む(ステップS104およびS106)。この予め定めた期間は、例えば、OSPFの場合、ハローパケットの受信待ち時間の上限値となるデッドインターバル(初期値は40秒)に基づいて定められる。
【0057】
ステップS107において、第1ルータ装置RT1のユニキャストルーティングプロトコル制御部RTBLCTLは、ステップS105で開始された同期する処理が全て完了するまで待つ(ステップS107)。同期する処理が全て完了した場合、RT1のPIM制御部PIMCTLは、ステップS105で確立されたリンクに対応するインタフェースをPIMアクティブモードで動作させる(ステップS108)。例えば、RT1のPIMCTLは、リンクLK13,LK14が確立された場合、インタフェースI2,I3をPIMアクティブモードで動作させる。その後、RT1のPIMCTLは、PIMアクティブモードで動作するインタフェースを介して所定のPIMパケットの処理を開始する(ステップS109)。
【0058】
この図6または図7に示したような方法で前述した第1期間を定めることで、障害から復旧した際に、マルチキャストパケットの配信経路が過剰に切り替わるような事態を防止できると共に、マルチキャストパケットの配信経路が構築されるまでの時間が過剰に長くなるような事態も防止できる。すなわち、ユニキャストルーティングテーブルが正常なリンクを反映してコンバージェンス状態に達した段階で、迅速にマルチキャストパケットの配信経路を構築することができる。その結果、障害から復旧した際に、マルチキャストパケットの配信経路を安定化しつつ、その構築時間の短縮を図ることが可能になる。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
I インタフェース
LK リンク
MCPK マルチキャストパケット
MCTBL マルチキャストルーティングテーブル
NW ネットワーク
P ポート
PIM−ACT PIMアクティブモード
PIM−HL PIMハロー
PIM−JN PIMジョイン
PIM−PRN PIMプルーン
PIM−PSV PIMパッシブモード
PIMCTL PIM制御部
RTBLCTL ユニキャストルーティングプロトコル制御部
RT,RT’ ルータ装置(ネットワーク中継装置)
RTBL ユニキャストルーティングテーブル
RTCTLU ルーティング制御ユニット
SV サーバ
TBLU テーブルユニット
TM 端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12