(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979148
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】非水電解液電池
(51)【国際特許分類】
H01M 2/18 20060101AFI20160817BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20160817BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20160817BHJP
【FI】
H01M2/18 Z
H01M10/0566
H01M10/0585
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-525724(P2013-525724)
(86)(22)【出願日】2012年7月24日
(86)【国際出願番号】JP2012068698
(87)【国際公開番号】WO2013015277
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2011-163110(P2011-163110)
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】新東 連
【審査官】
赤樫 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−097891(JP,A)
【文献】
特開平8−115729(JP,A)
【文献】
特開2009−289621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/14− 2/18
H01M 10/05−10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極耳部を有する複数の正極板と負極耳部を有する複数の負極板とが、複数の前記正極耳部が正極耳部列を形成し、複数の前記負極耳部が負極耳部列を形成するように、それぞれセパレータを介して積層され、前記正極耳部列と前記負極耳部列とが所定の間隔をあけて耳部配置領域に並んで配置されている電極群と、
前記電極群の前記耳部配置領域を除いて、前記電極群の周囲を囲む絶縁樹脂製のカバー部材と、
前記カバー部材によって囲まれた前記電極群が変位しないように収納される電池ケースとを具備し、
前記カバー部材が所定の形状を有する一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて構成されている非水電解液電池であって、
前記カバー部材は、前記電極群の前記耳部配置領域と対向する対向領域を覆う底面構成部と、前記耳部配置領域と前記対向領域との間に位置し前記電極群の積層方向に対向する一対の側面領域を覆う一対の側面構成部と、前記耳部配置領域と前記対向領域との間に位置し前記電極群の積層方向と直交する方向に対向する一対の端面領域を覆う一対の端面構成部とを備え、前記一対の側面構成部の前記底面構成部とつながる端部とは反対側の端部に、前記一対の側面構成部を前記耳部配置領域の上で連結する連結構造部の少なくとも一部を構成する一対の連結片が設けられており、
前記一対の端面構成部は、前記一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて前記電極群を覆うときに、組み合わされて一つの前記端面構成部を構成する一対の分割片によって構成されており、
前記一対の分割片には、嵌め合いによって両者を連結する嵌め合い構成部がそれぞれ形成されており、
前記嵌め合い構成部は、前記一対の分割片の一方に形成された1以上のスリットと、前記一対の分割片の他方に形成されて前記1以上のスリットに挿入される1以上の挿入部とからなり、
前記電池ケースは、一面が開口するケース本体と該ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部とから構成され、
前記カバー部材は、前記電池ケース内に収納された状態で、前記耳部配置領域と対向する前記電池ケースの前記蓋部の内壁面と当接して前記電極群の変位を阻止するストッパ部を備えており、
前記ストッパ部は、前記一対の側面構成部の前記反対側の端部から延びる一対の突出片からなることを特徴とする非水電解液電池。
【請求項2】
正極耳部を有する複数の正極板と負極耳部を有する複数の負極板とが、複数の前記正極耳部が正極耳部列を形成し、複数の前記負極耳部が負極耳部列を形成するように、それぞれセパレータを介して積層され、前記正極耳部列と前記負極耳部列とが所定の間隔をあけて耳部配置領域に並んで配置されている電極群と、
前記電極群の前記耳部配置領域を除いて、前記電極群の周囲を囲む絶縁樹脂製のカバー部材と、
前記カバー部材によって囲まれた前記電極群が変位しないように収納される電池ケースとを具備し、
前記カバー部材が所定の形状を有する一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて構成されている非水電解液電池であって、
前記カバー部材は、前記電極群の前記耳部配置領域と対向する対向領域を覆う底面構成部と、前記耳部配置領域と前記対向領域との間に位置し前記電極群の積層方向に対向する一対の側面領域を覆う一対の側面構成部と、前記耳部配置領域と前記対向領域との間に位置し前記電極群の積層方向と直交する方向に対向する一対の端面領域を覆う一対の端面構成部とを備え、前記一対の側面構成部の前記底面構成部とつながる端部とは反対側の端部に、前記一対の側面構成部を前記耳部配置領域の上で連結する連結構造部の少なくとも一部を構成する一対の連結片が設けられていることを特徴とする非水電解液電池。
【請求項3】
前記一対の端面構成部は、前記一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて前記電極群を覆うときに、組み合わされて一つの前記端面構成部を構成する一対の分割片によって構成されており、
前記一対の分割片には、嵌め合いによって両者を連結する嵌め合い構成部がそれぞれ形成されている請求項2に記載の非水電解液電池。
【請求項4】
前記嵌め合い構成部は、前記一対の分割片の一方に形成された1以上のスリットと、前記一対の分割片の他方に形成されて前記1以上のスリットに挿入される1以上の挿入部とからなる請求項3に記載の非水電解液電池。
【請求項5】
前記電池ケースは、一面が開口するケース本体と該ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部とから構成され、
前記カバー部材は、前記電池ケース内に収納された状態で、前記耳部配置領域と対向する前記電池ケースの前記蓋部の内壁面と当接して前記電極群の変位を阻止するストッパ部を備えている請求項2乃至4のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
【請求項6】
前記電池ケースは、一面が開口するケース本体と該ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部とから構成されており、
前記カバー部材は、前記電池ケース内に収納された状態で、前記耳部配置領域と対向する前記電池ケースの前記蓋部の内壁面と当接して前記電極群の変位を阻止するストッパ部を備えており、
前記ストッパ部は、前記一対の側面構成部の前記反対側の端部から延びる一対の突出片からなる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された電極群が電池ケース内に収納されてなる非水電解液電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平8−115729号公報(特許文献1)に示された従来の非水電解液電池では、正極板と負極板がセパレータを介して積層された電極群を電池ケース内に収納する際に、電極群の構成部品の一部が破損して電池内で内部短絡が生じないようにするために、電極群を絶縁樹脂製のカバーで包んで電池ケース内に挿入する構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−115729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の非水電解液電池では、電極群を一枚の絶縁樹脂製シートを折り曲げて形成したカバー部材で囲むことによって、電池ケースへの挿入時における電極群の破損の発生を防止して、内部短絡を防いでいる。従来採用されている絶縁樹脂製のカバー部材は、電極群の耳部配置領域と対向する対向領域を覆う底面構成部と、耳部配置領域と対向領域との間に位置して電極群の積層方向に対向する一対の側面領域を覆う一対の側面構成部と、耳部配置領域と対向領域との間に位置し電極群の積層方向と直交する方向に対向する一対の端面領域を覆う一対の端面構成部とを備えている。そして一対の端面構成部は、一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて電極群を覆う際に、組み合わされて一つの端面構成部を構成する一対の分割片によってそれぞれ構成されている。この構造では、電極群が、カバー部材の内部において、底面構成部から離れる方向にスライドする。そのため電極群を電池ケースに収納した後において、電極群を構成する複数の極板がずれたり、電極群が全体的に電池ケース内で移動することから、極板が破損したり、電極群と端子との間に無理な力が加わって、部分的な断線が発生するおそれがあった。また、従来のカバー部材は、端面構成部が一対の分割片によって構成されているものの、一対の分割片は、単に重なるだけで、相互に固定されていない。そのため電池ケースに電極群を挿入する際に、一対の分割片を確実に重ねた状態に維持しなれければならず、電極群の電池ケースへの挿入作業に手間取る問題があった。
【0005】
本発明の目的は、電極群をカバー部材で確実に囲んで、しかも電極群内の極板及び極板全体の変位を防止できる非水電解液電池を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、カバー部材によって囲まれた電極群の電池ケースへの挿入が容易な非水電解液電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が改良の対象とする非水電解液電池は、正極耳部を有する複数の正極板と負極耳部を有する複数の負極板とがそれぞれセパレータを介して積層されてなる電極群と、電極群の耳部配置領域を除いて電極群の周囲を囲む絶縁樹脂製のカバー部材と、カバー部材によって囲まれた電極群が変位しないように収納される電池ケースとを備えている。電極群は、複数の正極耳部が正極耳部列を形成し、複数の負極耳部が負極耳部列を形成するように、正極耳部列と負極耳部列とが所定の間隔をあけて耳部配置領域に並んで配置されて構成されている。また、絶縁樹脂製のカバー部材は、所定の形状を有する一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて構成されている。
【0008】
本発明の非水電解液電池では、カバー部材が、電極群の耳部配置領域と対向する対向領域を覆う底面構成部と、耳部配置領域と対向領域との間に位置して電極群の積層方向に対向する一対の側面領域を覆う一対の側面構成部と、耳部配置領域と対向領域との間に位置し電極群の積層方向と直交する方向に対向する一対の端面領域を覆う一対の端面構成部とを備えている。特に、本発明の非水電解液電池では、一対の側面構成部の底面構成部とつながる端部とは反対側の端部に、一対の連結片が設けられている。この一対の連結片は、一対の側面構成部を耳部配置領域の上で連結する連結構造部の少なくとも一部を構成する。連結片の形状は、電極群の形状または寸法に合わせて適宜定めることができる。一対の連結片を設けて一対の側面構成部を連結すると、カバー部材内における電極群の変位を連結構造部によって規制することができる。したがって、外部から加わる振動によって、積層された電極群内の極板が大きく変位したり、電極群が全体的に変位するのを防ぐことができる。当然のことながら、カバー部材を用いると、カバー部材の存在により、電極群を電池ケース内に収納する際に、電極群を保護することができる。さらに、電極群を電池ケース内に収納した後は、カバー部材が電極群と電池ケースとの間で絶縁性を発揮するため、電池の内部短絡を防止することができる。
【0009】
一対の端面構成部は、一枚の絶縁樹脂シートが折り曲げられて電極群を覆う際に、組み合わされて一つの端面構成部を構成する一対の分割片によって構成するのが好ましい。一対の分割片の形状は任意であるが、一対の分割片にそれぞれ、嵌め合いによって両者を連結する嵌め合い構成部を形成してもよい。このような嵌め合い構成部によって一対の分割片を連結すると、接着材を用いなくても分離し難い端面構成部を簡単に構成することができる。
【0010】
嵌め合い構成部は、一対の分割片の一方に形成された1以上のスリットと、一対の分割片の他方に形成されて1以上のスリットに挿入される1以上の挿入部とから構成してもよい。このような構成を採用すると、スリットを挿入部に挿入するだけで一対の分割片同士を簡単に結合することができる。
【0011】
なお、電池ケースは、一面が開口するケース本体と、この該ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部とから構成することができる。そして、カバー部材には、電池ケース内に収納された状態で、耳部配置領域と対向する電池ケースの内壁面と当接して電極群の変位を阻止するストッパ部を設けるのが好ましい。このようなストッパ部を設けると、カバー部材を介して電極群を電池ケース内に固定することができる。そのため、地震等の衝撃で非水電解液電池が転倒したり傾いたりした場合でも、電極群とカバー部材が電池ケース内で変位することを防ぐことができる。
【0012】
ストッパ部は、一対の側面構成部の反対側の端部から延びる一対の突出片から構成してもよい。ストッパ部をこのような突出片で構成すると、突出片からなるストッパ部を電池ケースの内壁面に押し当てるように、電極群を包んだカバー部材を電池ケース内に挿入するだけで、電極群を電池ケース内に簡単に固定することができる。また、このような突出片の存在によって、正極耳部列及び負極耳部列が配置される耳部配置領域を確保しながら電極群を電池ケース内に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)は本発明の非水電解液電池の斜視図であり、(B)は(A)のカバー部材のみを示す図である。
【
図2】本発明の非水電解液電池で用いるカバー部材の一例を示す図である。
【
図3】本発明の非水電解液電池で用いるカバー部材の他の一例を示す図である。
【
図4】本発明の非水電解液電池で用いるカバー部材の他の一例を示す図である。
【
図5】本発明の非水電解液電池で用いるカバー部材の他の一例を示す図である。
【
図6】本発明の非水電解液電池で用いるカバー部材の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の非水電解液電池の実施の形態について詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の非水電解液電池の実施の形態の一例であるリチウムイオン二次電池の斜視図であって、
図1(A)においては、理解を容易にするために、電池ケース全体を透明なものとして示し、かつカバー部材の一部を透明なものとして示している。また
図1(B)は
図1(A)のリチウムイオン二次電池を構成する部材のうち電池カバーのみを示した図である。
図1(A)に示すリチウムイオン二次電池1は、電極群3、カバー部材5及び電池ケース7とを備え、電池ケース7にはカバー部材5で包まれた電極群3が収納されている。電池ケース7は、一面が開口した箱状のケース本体7aと、ケース本体7aの開口部7dを塞ぐ蓋部7bとから構成される。蓋部7bは、ケース本体7aに溶着により接合される。蓋部7bには、開裂弁からなる安全弁7eが設けられている。電極群3は、正極耳部9aを有する複数の正極板9と負極耳部11aを有する複数の負極板11とをそれぞれセパレータ13を介して積層して構成されている。複数の正極耳部9aは、電極群3の正極耳部列31を構成し、集電体41を介して端子61に接続されている。また、複数の負極耳部11aは、電極群3の負極耳部列33を構成し、集電体42を介して端子62に接続されている。端子61及び62は蓋部7bに固定されている。本例では、電極群3の耳部配置領域35に正極耳部列31と負極耳部列33とを所定の間隔をあけて並べて配置することにより電極群3が構成されている。
【0015】
図2には、本例のリチウムイオン二次電池で用いるカバー部材の一例が示されている。
図2に示されたカバー部材5は、絶縁樹脂製のシート(絶縁樹脂シート)が、電極群3の耳部配置領域35を除いて電極群3の周囲を囲んで構成されている。カバー部材5は、後に詳しく説明するように所定の形状を有する一枚の絶縁樹脂シートが
図2に示された破線に沿って折り曲げられて構成される。
【0016】
カバー部材5は、底面構成部51、一対の側面構成部53及び一対の端面構成部55とを備えている。底面構成部51は、電極群3の耳部配置領域35と対向する対向領域37を覆っている。一対の側面構成部53は、耳部配置領域35と対向領域37との間に位置して電極群3の積層方向に対向する一対の側面領域38を覆っている。一対の端面構成部55は、耳部配置領域35と対向領域37との間に位置し、かつ電極群3の積層方向と直交する方向に対向する一対の端面領域39を覆っている。
【0017】
一対の側面構成部53は、底面構成部51とつながる端部53aと、この端部53aとは反対側の端部53bとを有し、反対側の端部53bには連結構造部57が設けられている。連結構造部57は、耳部配置領域35の上で一対の側面構成部53を連結して、カバー部材5内における電極群3の変位を規制する機能を有する。具体的には、連結構造部57は、一対の連結片52,54で構成されている。
【0018】
この例では、一対の連結片52,54のうち、連結片52が、側面構成部53に反対側の端部53b側から端部53a側に向かって平行に切り込まれた2本のスリット52a,52bと、スリット52bが延びる方向と直交する方向にスリット52bと連続して切り込まれたスリット52cとを設けることによって構成されている。また、連結片52と同様に、連結片54も、側面構成部53に反対側の端部53b側から端部53a側に向かって平行に切り込まれた2本のスリット54a,54bと、スリット54bが延びる方向と直交する方向にスリット54bと連続して切り込まれたスリット54cとを設けることによって構成されている。
図2の例では、正極耳部列31、負極耳部列33、集電体41,42及び端子61,62に接触しない位置に、一対の連結片52,54が配置されている。そして、スリット52cとスリット54cとを相互に係止することにより、一対の連結片52,54が連結される。その結果、外部から加わる振動によって積層された電極群3内の極板が大きく変位したり、電極群3が全体的に変位するのを防ぐことができる。
【0019】
連結構造部を構成する一対の連結片の形状は、
図2に示す連結片52,54の形状に限定されるものではない。例えば、
図3〜6には、本発明の非水電解液電池で用いるカバー部材の他の一例として、
図2の連結片と形状が異なる連結片を備える態様が示されている。なお、
図3〜6のカバー部材における
図2のカバー部材と共通する部分については、
図2のカバー部材で付した符号の数にそれぞれ100,200,300,400の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。
図3のカバー部材105では、一対の連結片152,154のうち、連結片152に挿入部152cが設けられ、連結片154にはスリット154cが設けられている。この例では、挿入部152cをスリット154cに挿入することにより、一対の連結片152,154が連結されて、カバー部材105内で図示しない電極群の変位が規制される。また、
図4のカバー部材205では、一対の連結片252,254のうち、連結片252に貫通孔252cが設けられ、連結片154にも貫通孔254cが設けられている。この例では、貫通孔252c及び貫通孔254cに絶縁樹脂製のボルト(図示せず)を通して、一対の連結片252,254を固定することにより、カバー部材205内で図示しない電極群の変位が規制される。
図6のカバー部材405では、一対の連結片452,454のうち、連結片452は、平行な2本のスリット452a,452bを備え、さらにスリット452cを有する突出部452dを備えて構成されている。また、連結片452と同様に、連結片454も、平行な2本のスリット454a,454bを備え、さらにスリット454cを有する突出部454dを備えて構成されている。この例では、スリット452cとスリット454cとを相互に係止することにより、一対の連結片452,454が連結されて、カバー部材405内で図示しない電極群の変位が規制される。なお
図6の例の構成を採用すると、電極群を構成する電極板の積層枚数の増加に対応して、突出部452d,454dに設けられたスリット452c,454cが係止される。そのため、電極板の積層枚数が増加しても、連結片452,454を確実に連結することができる。
【0020】
図2に戻って、本例のリチウムイオン二次電池1では、一対の端面構成部55が、一対の分割片56,58で構成されている。一対の分割片56,58は、一枚の絶縁樹脂シート5が折り曲げられて電極群3を覆う際に、分割片56,58が組み合わされて一つの端面構成部55を構成する。分割片56,58にはそれぞれ、嵌め合いによって分割片56,58を連結する嵌め合い構成部が形成されている。
【0021】
具体的には、嵌め合い構成部は、一対の分割片56,58のうち一方の分割片56に形成された3つのスリット56aと、他方の分割片58に形成されて3つのスリット56aに対応してそれぞれ挿入される3つの挿入部58aとから構成されている。本例では、スリット56aに挿入部58aを挿入するだけで、一対の分割片56,58同士が連結されて端面構成部55が構成される。そのため、このような嵌め合い構成部(スリット56a及び挿入部58a)を採用すると、分割片56,58の接合部分の位置決めが容易で、しかも接着材を用いずに分離し難い端面構成部を備えるカバー部材を簡単に組み立てることができる。
【0022】
なお、
図5に示すカバー部材305及び
図6に示すカバー部材405のように、分割片356,358及び分割片456,458を接着材により結合して、端面構成部355及び端面構成部455を構成してもよい。しかしながら、
図5及び
図6の例では、
図2〜
図4に示された嵌め合い構成部を用いないため、分割片356,358及び分割片456,458の結合強度が弱くなる点、及び分割片356,358及び分割片456,458の接合部分の位置決めが容易でない点で、
図2〜
図4の例に劣るものとなる。
【0023】
図1に示すように、カバー部材5には、ストッパ部59が設けられている。ストッパ部59は、電池ケース7内に収納された状態で、耳部配置領域35と対向する電池ケース7の蓋部7bの内壁面7cと当接して、電極群3の変位を阻止する機能を有する。このようなストッパ部59の存在により、カバー部材5を介して電極群3を電池ケース7内に確実に固定することができる。そのため、地震等の衝撃によりリチウムイオン二次電池1が転倒したり傾いたりした場合でも、電極群3とカバー部材5が電池ケース7内で変位することを防ぐことができる。
【0024】
本例では、ストッパ部59が、一対の側面構成部53の反対側の端部53bから延びる一対の突出片として構成されている。ストッパ部59を構成する突出片の形状は、任意である。本例では、
図1(B)に示すように、ストッパ部59が、6つの辺59a〜59fを有する突出片で構成されている。本例では、突出片の6つの辺59a〜59fが、耳部配置領域35並びに集電体41,42及び端子61,62が配置されたエリアを囲むように、電池ケース7の内壁面7cに当接することによって、電極群3がカバー部材5に囲まれた状態で電池ケース7内に固定される。その結果、耳部配置領域35を確保しながら電極群3を電池ケース7内に固定することができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく変更が可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、カバー部材に一対の連結片を設けて一対の側面構成部を連結することにより、カバー部材内における電極群の変位を連結構造部によって規制することができる。そのため、外部から加わる振動によって積層された電極群内の極板が大きく変位したり、電極群が全体的に変位するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 リチウムイオン二次電池
3 電極群
31 正極耳部列
33 負極耳部列
35 耳部配置領域
37 対抗領域
38 側面領域
39 端面領域
5 カバー部材
51 底面構成部
53 側面構成部
53a,53b 端部
55 端面構成部
56,58 分割片
56a スリット(嵌め合い構成部)
58a 挿入部(嵌め合い構成部)
57 連結構造部
52,54 連結片
59 ストッパ部(突出片)
7 電池ケース
7a ケース本体
7b 蓋部
7c 内壁面
9 正極板
9a 正極耳部
11 負極板
11a 負極耳部
13 セパレータ