(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979182
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】基板支持装置及びこれを備える基板処理装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/509 20060101AFI20160817BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20160817BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
C23C16/509
H01L21/31 C
H05H1/46 M
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-126443(P2014-126443)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-4131(P2015-4131A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2014年6月19日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0071452
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】316008145
【氏名又は名称】ウォニク アイピーエス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨンガン
(72)【発明者】
【氏名】ソ テウク
(72)【発明者】
【氏名】リ ネイル
【審査官】
吉野 涼
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−339391(JP,A)
【文献】
特表2011−519117(JP,A)
【文献】
特開平11−176821(JP,A)
【文献】
特表2006−511059(JP,A)
【文献】
特開2012−004160(JP,A)
【文献】
特開2012−151504(JP,A)
【文献】
特開2008−244063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が支持される装置であって、
周縁領域に突出された段差部を有し、前記基板が載置される基板支持台と、
前記基板支持台の内部の中心領域に配設される第1接地電極と、
前記第1接地電極から離隔され、前記基板支持台の内部の周縁領域に配設される第2接地電極と、
前記第1接地電極及び第2接地電極をそれぞれ独立に制御する制御部と、
を備え、
前記第1接地電極の大きさは前記基板よりも小さく、前記第2接地電極の内径が前記基板よりも大きく、
前記第1接地電極よりも前記第2接地電極の方がさらに高い個所に配置される基板支持装置。
【請求項2】
前記基板支持台は、絶縁体材質を含む請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項3】
前記基板支持台は、前記第1接地電極及び第2接地電極のうちの少なくともいずれか一方の下側に発熱体を備える請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項4】
前記第1接地電極の外周面には第1折曲部が形成され、前記第2接地電極の内周面には前記第1折曲部に対応する第2折曲部が形成される請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項5】
前記第1折曲部の少なくとも一部は前記基板の外側に突出され、前記第2折曲部の少なくとも一部は前記基板の内側に突出される請求項4に記載の基板支持装置。
【請求項6】
前記第2接地電極は、前記段差部の下部に配置される請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項7】
処理空間を形成するチャンバーと、
前記チャンバーの内部に配置され、基板が支持される基板支持台と、
前記基板支持台と向かい合うように配置され、RF電源が印加される上部電極と、
を備え、
前記上部電極と前記基板支持台との間に形成されるプラズマが前記基板支持台の周縁領域まで均一に形成されるように、前記基板支持台は、内部に、互いに離隔され、且つ、それぞれ別々に制御される複数の接地電極を備え、
前記複数の接地電極は、前記基板に対応する形状の第1接地電極及び前記基板の外周方向において、前記第1接地電極の外側に配置される第2接地電極を備え、
前記第1接地電極の大きさは前記基板よりも小さく、前記第2接地電極は、前記基板の外周方向において、該基板の外側に配置され、
前記複数の接地電極は、外周面に少なくとも一部が、前記基板の外周方向において、前記基板の外側に突出される第1折曲部が形成された第1接地電極及び前記第1接地電極の外側に配設され、前記第1折曲部に対応する第2折曲部が形成された内周面を有する第2接地電極を備える基板処理装置。
【請求項8】
前記複数の接地電極に形成されるインピーダンスがそれぞれ別々に調節可能な制御部を備える請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、可変コンデンサー、可変コイル及び可変抵抗体のうちの少なくともいずれか一種を備える請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数の接地電極に異なるインピーダンスが形成されるようにする請求項8または請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板支持台は絶縁体を備え、
前記接地電極は前記絶縁体の内部に膜状に形成される請求項7に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持装置及びこれを備える基板処理装置に係り、さらに詳しくは、プラズマ分布が調節可能な基板支持装置及びこれを備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリなど各種の電子素子は、種々の薄膜が積層されて製造される。すなわち、基板の上に各種の薄膜を形成し、このようにして形成された薄膜をフォトエッチング工程を用いてパターニングして素子構造を形成する。
【0003】
薄膜としては、材料に応じて、導電膜、誘電体膜、絶縁膜などが挙げられ、薄膜を製造する方法も非常に多岐に渡っている。薄膜を製造する方法としては、大きく、物理的方法及び化学的方法などが挙げられる。最近には、効率よい薄膜の製造のために、製造工程中にプラズマを活用している。プラズマを活用して基板に薄膜を製造する場合、薄膜の製造温度を下げると共に、薄膜の蒸着速度を上げることができる。
【0004】
しかしながら、プラズマを活用する場合、工程が行われるチャンバー内でプラズマを所望の状態に制御することが困難であるという問題が生じる。
【0005】
例えば、基板が支持される基板支持台とこれと向かい合う上部電極とが配備される工程チャンバーの内部で薄膜を製造する場合、上部電極には高周波電源、例えば、RF(radio frequency)電源が印加され、基板支持台に配備された接地電極は接地される。このため、上部電極と基板支持台との間にプラズマが形成され、これを活用して基板に薄膜を形成する。しかしながら、このときに生成されるプラズマは、基板或いは基板支持台の中心領域及び周縁領域でその分布或いは状態に相違が見られるという問題がある。なお、このようにプラズマ分布或いは状態が領域に応じて異なってくると、基板の上に薄膜を均一な厚さに製造することが困難になる。
【0006】
この理由から、基板の上に薄膜を均一に製造するためにガス噴射器の構造、ガス噴射方式などを調節する技術が提案されているが、同技術は、コストと時間を過剰に消費してしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板及び基板の周辺部でプラズマ分布を均一に制御することのできる基板支持装置及び基板処理装置を提供する。
【0008】
本発明は、基板の上に薄膜を均一な厚さに製造することのできる基板支持装置及び基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による基板支持装置は、基板が支持される装置であって、周縁領域に突出された段差部を有し、前記基板が載置される基板支持台と、前記基板支持台の内部の中心領域に配設される第1接地電極と、前記第1接地電極から離隔され、前記基板支持台の内部の周縁領域に配設される第2接地電極と、前記第1接地電極及び第2接地電極をそれぞれ独立に制御する制御部と、を備える。
【0010】
ここで、前記基板支持台は、絶縁体材質を含んでいてもよく、前記基板支持台は、前記第1接地電極及び第2接地電極のうちの少なくともいずれか一方の下側に発熱体を備えていてもよい。
【0011】
前記第1接地電極の大きさは前記基板よりも小さく、前記第2接地電極の内径が前記基板よりも大きく形成されてもよく、前記第1接地電極の外周面には第1折曲部が形成され、前記第2接地電極の内周面には前記第1折曲部に対応する第2折曲部が形成されてもよい。折曲部が形成される場合、前記第1折曲部の少なくとも一部は前記基板の外側に突出され、前記第2折曲部の少なくとも一部は前記基板の内側に突出されてもよい。
【0012】
また、前記第1接地電極よりも前記第2接地電極の方がさらに高い個所に配置されてもよく、前記第2接地電極は、前記段差部の領域、すなわち、段差部の下部に配置されてもよい。
【0013】
本発明の実施形態による基板支持装置は、処理空間を形成するチャンバーと、前記チャンバーの内部に配置され、基板が支持される基板支持台と、前記基板支持台と向かい合うように配置され、RF電源が印加される上部電極と、を備え、前記上部電極と前記基板支持台との間に形成されるプラズマが前記基板支持台の周縁領域まで均一に形成されるように、前記基板支持台は、内部に、互いに離隔され、かつ、それぞれ別々に制御される複数の接地電極を備える。
【0014】
ここで、前記複数の接地電極は、前記基板に対応する形状の第1接地電極及び前記第1接地電極の外側に配置される第2接地電極を備えていてもよく、前記第1接地電極の大きさは前記基板よりも小さく、前記第2接地電極は前記基板の外側に配置されてもよい。
【0015】
また、前記複数の接地電極は、外周面に少なくとも一部が前記基板の外側に突出される第1折曲部が形成された第1接地電極及び前記第1接地電極の外側に配設され、前記第1折曲部に対応する第2折曲部が形成された内周面を有する第2
接地電極を備えていてもよい。
【0016】
さらに、基板処理装置は、前記複数の接地電極に形成されるインピーダンスがそれぞれ別々に調節可能な制御部を備えていてもよく、このとき、前記制御部は、可変コンデンサー、可変コイル及び可変抵抗体のうちの少なくともいずれか一種を備えていてもよい。前記制御部は、前記複数の接地電極に異なるインピーダンスが形成されるようにしてもよい。
【0017】
加えて、前記基板支持台は絶縁体を備え、前記接地電極は前記絶縁体の内部に膜状に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板と基板の周辺部でプラズマ分布或いは密度を均一に制御することができ、基板の中心領域と周縁領域でプラズマ分布或いは密度を均一に制御することができる。なお、基板の中心領域と周縁領域の上側に形成されるプラズマの状態を各領域で同一または類似に制御することができる。
【0019】
このように、プラズマ分布、密度などを制御して、基板に形成される薄膜の厚さを周縁領域まで均一に製造することができ、周縁領域に製造される薄膜と中心領域に製造される薄膜の特性も同一または類似に制御することができる。これにより、基板に形成される薄膜の品質を向上させることができる。
【0020】
また、本発明によれば、難解な構造変更や複雑な工程制御なしに単純な構造によりチャンバー内に形成されるプラズマの状態を容易に制御することができる。
【0021】
これにより、薄膜の製造工程を簡単且つ効率的に行うことができ、安価に生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態による基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による基板支持装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による基板支持装置の平面図である。
【
図4】本発明の変形例による基板支持装置の平面図である。
【
図5】本発明の実施形態の基板処理装置におけるプラズマの生成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態を詳述する。しかしながら、本発明は、後述する実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる種々の形態で実現される。単に、これらの実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図中、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0025】
図1を参照すると、本発明の実施形態による基板処理装置は、処理空間を形成するチャンバー10と、チャンバーの内部に配置され、基板Sが支持される基板支持台20と、基板支持台20と向かい合うように配置され、RF電源が印加される上部電極80と、を備え、上部電極80と基板支持台20との間に形成されるプラズマが基板支持台20の周縁領域まで均一に形成されるように、基板支持台20は、内部に、互いに離隔され、且つ、それぞれ別々に制御される複数の接地電極31、32を備える。また、基板処理装置は、基板支持台20を受けるとともにこれを移動させる回転軸及びチャンバー内の真空雰囲気を形成する真空形成部70を備える。なお、上記の上部電極80は、チャンバー10にガスを供給するガス噴射器の役割をも行う。
【0026】
このような基板処理装置は、チャンバー10内に基板Sを搬入した後、基板Sの上に各種の処理を行う装置であって、例えば、チャンバー10内で半導体素子を製造するためにウェーハを搬入し、ガス噴射器で工程ガスを供給して、ウェーハの上に薄膜を製造することができる。
【0027】
チャンバー10(11、12)は、上部が開放された本体11と、本体11の上部に開閉可能に配設されるトップリッド12と、を備える。トップリッド12が本体11の上部に取り付けられて本体11の内部を閉鎖すれば、チャンバー10の内部には、例えば、蒸着工程など基板Wに対する処理が行われる空間が形成される。空間は、一般に、真空雰囲気に形成されるため、チャンバー10の所定の位置、例えば、チャンバー10の底面や側面には、空間に存在するガスの排出のための排気管71が接続されており、排気管71は真空ポンプ72に接続される。なお、本体11の底面には、後述する基板支持台20の回転軸50が嵌入する貫通孔が形成されている。本体11の側壁には、基板Sをチャンバー10の内部に搬入したり外部に搬出したりするためのゲートベルト(図示せず)が形成されている。
【0028】
基板支持台20は、基板Sを支持するための構成要素であり、チャンバー10の内部の下側に配設される。また、基板支持台20の周縁領域には、上方に突出された段差部21が形成されてもよい。基板支持台20は、回転軸50の上に配設される。基板支持台20は、所定の厚さを有するプレート状のものであり、基板Sの形状とほとんど同じ形状を有し、例えば、基板が円形のウェーハであれば、円形状に製作されてもよい。もちろん、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、様々な形状に変更可能である。基板支持台20はチャンバー10の内部に水平方向に配備され、回転軸50は基板支持台20の底面に垂直に連結される。回転軸50は貫通孔を介して外部のモーターなどの駆動手段(図示せず)に連結されて基板支持台20を昇降及び回転させる。このとき、回転軸50と貫通孔との間は蛇腹(図示せず)などを用いて密閉することにより、基板Sを処理する過程でチャンバー10の内部の真空が解除されることを防ぐ。
【0029】
基板支持台20は、基板Sを載置して支持可能な形状であれば、特にその形状や構造が限定されない。このとき、基板Sが安定的に正確な位置に載置できるように基板支持台20の中心を含む領域を凹ませて凹溝を形成することができる。すなわち、
図2に示すように、基板支持台20の中心を含み、基板Sの大きさに等しいか若しくはそれよりもやや大きな領域を凹設し、その他の領域、すなわち、周縁領域に段差部21を突設してもよい。このとき、段差部21は、凹溝方向に下向きに傾斜した傾斜面を備えていてもよい。これにより、チャンバー10に搬入される基板Sは、段差部21に囲まれた凹溝の内側に導かれて基板支持台20の中心に合わせて調芯されながら、正確な位置に載置可能になる。
【0030】
また、基板支持台20は、絶縁体材質を含んでいてもよい。すなわち、基板支持台20の全体が絶縁体により形成されてもよく、その一部が絶縁体により形成されてもよく、絶縁体層が基板支持台20の表面にコーティングされて形成されてもよい。このとき、絶縁体としては種々のセラミック材料が使用可能であり、例えば、窒化アルミニウム(AIN)、炭化シリコン(SiC)などが使用可能である。
【0031】
さらに、基板支持台20の内部にはこれを加熱するための発熱体40が配備されてもよく、発熱体40は導線41を介して外部の電源と接続される。発熱体40に電源が印加されれば、基板支持台20が加熱され、これにより、基板支持台20の上部に載置される基板Sを加熱することが可能になる。発熱体40は、種々の方式により種々の構造を有するように配設されてもよく、特に限定されない。このような発熱体40としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などが使用可能である。また、発熱体40は、後述する接地電極の下部に配設されてもよい。複数の接地電極のうちの少なくともいずれか一つの下側に備配されてもよい。例えば、第1接地電極31及び第2接地電極32のうちの少なくともいずれか一方の下側に発熱体を配設してもよい。もちろん、第1接地電極31の全体と第2接地電極32の一部に対応する領域に発熱体を配設してもよい。
【0032】
加えて、基板支持台20の内部には、互いに離隔され、且つ、それぞれ別々に制御される複数の接地電極が配備される。これについては、後述する。
【0033】
上部電極80は、チャンバー10の内部に基板支持台20と向かい合うように隔設され、外部の電源90と接続される。上部電極80にはRF(Radio Frequency)電力を印加し、基板支持台20は接地させて、チャンバー10内の蒸着空間である反応空間にRFを用いてプラズマを励起させる。このとき、基板支持台20は、後述する接地電極を介して接地される。また、上部電極80は、チャンバー10の内部にガスを供給するガス噴射器の役割を果たしてもよい。すなわち、上部電極80を介して外部に供給される各種の処理ガスを基板支持台20側に噴射してもよい。例えば、薄膜蒸着のための工程ガスを噴射してもよい。上部電極80は、チャンバー10を形成するトップリッド12に配設されてもよく、異なる種類のガスを供給する複数のガス供給源と接続されてもよい。上部電極80は、基板支持台20と向かい合い、これとほとんど同じ面積を有する他、複数の噴射孔を有するシャワーヘッドタイプに製造されてもよい。もちろん、チャンバー10にガスを供給する手段は、上部電極80とは別途に、チャンバー10内に嵌め込まれるノズルタイプやインジェクタータイプとして製造されてもよい。ノズルタイプやインジェクタータイプの場合、チャンバー10の側壁を貫通して配設されてもよい。
【0034】
以下、添付図面に基づき、接地電極及びこれを備える基板支持装置について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態による基板支持装置の構成を概略的に示す断面図であり、
図3は、本発明の実施形態による基板支持装置の平面図であり、
図4は、本発明の変形例による基板支持装置の平面図である。
【0035】
図2を参照すると、基板支持装置は周縁領域に突出された段差部21を有し、基板Sが載置される基板支持台20と、基板支持台20の内部の中心領域に配設される第1接地電極31と、第1接地電極31から離隔され、基板支持台20の内部の周縁領域に配設される第2接地電極32と、第1接地電極31及び第2接地電極32をそれぞれ独立に制御する制御部60と、を備える。基板支持装置は、上述した上部電極80との間にプラズマを形成するために、特に、上部電極80と基板支持台20との間に形成されるプラズマが基板支持台20の周縁領域まで均一に形成されるように、基板支持台20内に複数の接地電極を備える。
【0036】
ここで、ある対象物(例えば、板或いは基板支持台)の中心領域はその対象物の中心を含み、外側方向に拡張されて所定の面積を有する領域であり、周縁領域はその対象物の縁部(エッジ)を含み、内側方向に拡張されて所定の面積を有する領域である。また、中心領域と周縁領域は境界面を有して遭遇してもよく、互いに離隔されて分離される領域であってもよい。このとき、各領域の面積は特に限定されないが、中心領域の面積が周縁領域の面積に等しいかあるいはそれよりも大きい。
【0037】
接地電極30(31、32)は、基板Sに対応する形状の第1接地電極31及び第1接地電極31の外側に配置される第2接地電極32を備える。また、接地電極30は、薄いプレート状、薄いシート状或いは膜状(薄膜状若しくは厚膜状)に製造されてもよい。さらに、種々の方式によりコーティングされて形成されてもよい。例えば、スクリーン印刷方法により基板支持台20の内部面に形成されてもよい。接地電極30は、所定の面積が満たされた構造に製造されてもよく、複数の開口が形成された網目構造に形成されてもよい。加えて、接地電極30は、金属をはじめとする電気導電性材質から形成され、例えば、タングステン、アルミニウム、モリブデン、銅、SUS、銀、金、白金、ニッケルなどが使用可能である。もちろん、接地電極に接地電力が円滑に印加されれば十分であり、その形状や構造、材質などは特に限定されない。
【0038】
第1接地電極31は水平方向に所定の面積を有し、基板支持台20の内部で基板支持台20の中心を含み、基板Sが占める面積のほとんどをカバーするほどの領域に埋設される。第1接地電極31は、基板Sに対応する形状に形成されてもよい。例えば、基板Sが円板状のウェーハであれば、第1接地電極31も円板状を有していてもよい。もちろん、基本構造は円板状であるが、変形された円板状であってもよい。
【0039】
第2接地電極32は、第1接地電極31とは別途に、これと接触しないように離隔されて基板支持台20の内部に配設される。このとき、離隔間隔は特に限定されるものではなく、各接地電極の電気的な特性がそれぞれ別々に制御可能であればよい。第1接地電極31の外側に配置され、第1接地電極31を囲繞するように配置されてもよい。例えば、
図3に示すように、第1接地電極31が円板状を有する場合、第2接地電極32はこれを囲繞するリング状を有していてもよい。
【0040】
第1接地電極31と第2接地電極32の大きさ、形状或いは配置構造は種々に変更可能である。
図3に示すように、第1接地電極31の大きさは基板Sよりも小さく、第2接地電極32の内径は基板Sよりも大きくてもよい。この場合、基板Sの周縁領域は第1接地電極31と第2接地電極32との境界領域の上部に位置することになる。また、
図4に示すように、第1接地電極31の外周面には第1折曲部が形成され、第2接地電極32の内周面には第1折曲部に対応する第2折曲部が形成されてもよい。また、第1折曲部の少なくとも一部は基板Sの外側に突出され、第2折曲部の少なくとも一部は基板Sの内側に突出されてもよい。すなわち、第1接地電極31と第2接地電極32との境界領域に凹凸な折曲部が形成され、基板Sの一部の領域、正確には、周縁の一部の領域は第2接地電極32の上部に位置し(A1)、基板Sの周縁の他の一部の領域は第1接地電極31の上部に位置し(A2)、基板Sの周縁のさらに他の一部の領域は第1接地電極31と第2接地電極32との境界領域の上部に位置する(A3)。このように、接地電極に折曲部を形成すれば、接地電極間の境界領域における各接地電極の面積を拡張することができ、境界領域における急激な変化を緩和することができる。
【0041】
図2では、第1接地電極31と第2接地電極32を同じ高さに配設したが、これらの高さは種々に変更可能である。すなわち、第1接地電極31よりも第2接地電極32の方がさらに高い個所に配置されてもよく、第2接地電極32は段差部21に配置されてもよい。第1接地電極31及び第2接地電極32の高さを制御して、これらの上部に形成されるプラズマ分布をさらに精度よく制御することができる。
【0042】
一方、第1及び第2接地電極31、32は、これらをそれぞれ独立に制御する制御部60に接続される。制御部60は、一つの制御器を用いて接地電極31、32をそれぞれ別々に制御してもよく、接地電極毎にそれぞれ制御器61、62を連結し、各接地電極をそれぞれ別々に制御してもよい。接地電極31、32と制御部60は導線33、34により接続され、制御部60はグランドと接続される。これにより、複数の接地電極、すなわち、第1及び第2接地電極31、32に形成されるインピーダンスをそれぞれ別々に調節することができる。換言すれば、第1接地電極31にかかるインピーダンスと第2接地電極32にかかるインピーダンスが異なる値を有するように制御することができる。このように第1及び第2接地電極31、32が異なるインピーダンスを有するように調節して、これらの上部に形成されるプラズマ分布あるいは密度を制御することができる。このとき、制御部は各種の可変素子を備えていてもよい。すなわち、可変コンデンサー、可変コイル及び可変抵抗体のうちの少なくともいずれか一つを備えていてもよく、接地電極31、32のインピーダンスはこれらのうちの少なくともいずれか一つを変更して制御することができる。
【0043】
以下、添付図面に基づき、プラズマの形成について説明する。
図5は、本発明の実施形態の基板処理装置におけるプラズマの生成を示す概念図である。
【0044】
一般に、チャンバー内で処理ガスがプラズマ化されれば、基板の表面とプラズマとの境界には、陽イオン種に比べて電子の移動速度が大きいことに起因して、高密度の陽イオン種を含むイオンシース領域(プラズマシース領域)が形成される。また、基板支持台の表面とプラズマとの境界にも同様にイオンシース領域が形成されるが、基板支持台は絶縁体から形成されているため、基板側よりも厚いイオンシース領域が形成される。このため、基板の表面と基板周辺部の基板支持台の表面に形成されるイオンシース領域の厚さが異なってくる。また、基板の周縁領域は、基板の上に存在するイオンシース領域と基板支持台の表面に存在するイオンシース領域との厚さ差により、プラズマ密度が急変する領域となる。これにより、基板の周縁領域におけるプラズマ分布が不均一になるため、基板の上で行われる薄膜蒸着などの工程が均一に行われない。これを解決するために、薄膜の蒸着に影響する変数を工程過程(レシピー)の調節により管理し且つ変更することができるが、基板の周縁領域に存在するプラズマの急激な密度の変化は管理できない要因であった。
【0045】
これに対し、本発明の実施形態では、基板支持台20の内部に複数の設置電極31、32を形成して、基板支持台20の周縁領域のインピーダンスをそれぞれ独立に調節可能な機能を与えた。これにより、基板の表面上部のイオンシース領域と基板支持台20の表面上部のイオンシース領域との厚さ差を減らすことができ(S1→S2)、プラズマの分布領域を拡張することが可能になる。例えば、これは、可変素子を自動的に制御(Automatically Control)して、チャンバー内のインピーダンス成分のうち虚数領域の値である誘導性リアクタンスX
L成分と容量性リアクタンスX
c成分、そして、必要に応じて、有効(Real)領域の値である抵抗Rを制御する方式により当該領域のインピーダンスZを変化させてプラズマの分布領域を制御する方式である。すなわち、基板の内側上部におけるプラズマ分布(密度)と基板の周縁領域の上部及び基板支持台の上部のプラズマ分布(密度)をほとんど同様に制御することが可能になる。基板と基板周辺のプラズマ密度をほとんど同様に調節することにより、基板の中心領域と基板の周縁領域で行われる各種の工程を均一に行うことが可能になる。例えば、基板の上に薄膜を蒸着する場合、基板の周縁領域に蒸着される薄膜が基板の中心領域に蒸着される薄膜と同一または類似の特性を有するようにする。
【0046】
以上では、上部電極と基板支持台との間にRF電力によりプラズマを形成する装置を例にとって説明したが、本発明は、これに加えて、様々なプラズマ方式及び構造の装置にも適用可能である。
【0047】
以上に述べたように、本発明の詳細な説明の欄においては具体的な実施形態について説明したが、本発明から逸脱しない範囲内であれば種々に変形可能であるということは言うまでもない。よって、本発明の範囲は説明された実施形態に制限されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【符号の説明】
【0048】
10:チャンバー
20:基板支持台
31:第1接地電極
32:第2接地電極