(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、前記試料液を、前記酸化剤の分解手段に連続的に導入して該分解手段から酸素ガスを含む放散ガスを流出させる方法であって、該試料液の流量と該放散ガスの流量から該試料液の酸化剤濃度を算出する、酸化剤濃度の測定方法。
電子材料の洗浄手段と、該洗浄手段に洗浄液を送給する洗浄液送給手段と、該洗浄液送給手段から洗浄液の一部を試料液として分取する試料液分取手段と、該試料液分取手段で分取された試料液の酸化剤濃度を測定する酸化剤濃度測定手段とを備える電子材料洗浄装置であって、該酸化剤濃度測定手段が、請求項12ないし20のいずれか1項に記載の酸化剤濃度の測定装置を備えることを特徴とする電子材料洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化力を有する洗浄薬液により電子材料の表面洗浄を行う分野においては、混入する不純物の影響を受けずに、洗浄液の酸化剤濃度を、簡便に、正しく安定的に連続モニタリングできる手法の確立が喫緊の課題となっている。
【0007】
本発明は、電子材料の洗浄工程で使用されている酸化性の洗浄液中の酸化剤濃度を、金属等の混入不純物に影響されることなく、簡便かつ安定的に、的確に測定することができる酸化剤濃度の測定方法および測定装置と、これを利用した電子材料洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、洗浄液中の酸化剤が分解した時に発生し、液中から放散される酸素ガスの量を測定することで、簡便に酸化剤濃度を求めることができること、また、この方法であれば金属等の不純物が混入していても、その影響を受けずに酸化剤濃度を測定できること、を確認した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0009】
[1] 電子材料洗浄工程の洗浄液として用いられる試料液の酸化剤濃度を測定する方法であって、該試料液中の酸化剤の少なくとも一部を分解させ、該酸化剤の分解で発生する酸素ガスを含む放散ガスの放散量を測定し、この測定値に基づいて該試料液の酸化剤濃度を求める
方法であり、前記試料液が硫酸濃度85重量%以上の酸化剤含有硫酸溶液であり、該酸化剤の分解方式が150℃以上に加熱するものであることを特徴とする酸化剤濃度の測定方法。
【0010】
[2] [1]において、前記試料液を、前記酸化剤の分解手段に連続的に導入して該分解手段から酸素ガスを含む放散ガスを流出させる方法であって、該試料液の流量と該放散ガスの流量から該試料液の酸化剤濃度を算出する、酸化剤濃度の測定方法。
【0013】
[
3] [1]
又は[
2]において、前記試料液中の酸化剤を分解させた後、前記放散ガスを気液分離し、得られた分離ガス量を測定する、酸化剤濃度の測定方法。
【0014】
[
4] [
3]において、前記気液分離後、得られた分離ガスを冷却して該ガス中の蒸気およびミストを除去する、酸化剤濃度の測定方法。
【0015】
[
5] [
4]において、前記分離ガスを充填材の充填層に通気して蒸気およびミストを除去する、酸化剤濃度の測定方法。
【0016】
[
6] [1]ないし[
5]のいずれかにおいて、前記試料液中に、溶解性の有機物、未溶解SS、及び金属イオンのいずれか1種以上が含まれる、酸化剤濃度の測定方法。
【0017】
[
7] [1]ないし[
6]のいずれかにおいて、前記電子材料洗浄工程に送液される洗浄液の一部を、該送液系から試料液として分取し、該試料液の酸化剤濃度を測定した後、該送液系の該試料液の分取位置より上流側に戻す、酸化剤濃度の測定方法。
【0018】
[
8] [1]ないし[
7]のいずれかにおいて、前記電子材料洗浄工程において、洗浄排液が再生され、前記洗浄液として循環再利用される、酸化剤濃度の測定方法。
【0019】
[
9] [1]ないし[
8]のいずれかにおいて、前記試料液を、前記酸化剤の分解手段に連続的に導入して前記酸化剤濃度の測定を行う測定工程と、該酸化剤の分解手段への該試料液の導入を停止する非測定工程とを有し、該非測定工程において、該酸化剤の分解手段に代替液を導入する、酸化剤濃度の測定方法。
【0020】
[
10] [
9]において、前記酸化剤の分解手段の分解方式が加熱によるものであり、前記非測定工程においても、該酸化剤の分解手段の加熱を継続する、酸化剤濃度の測定方法。
【0021】
[
11] [
9]又は[
10]において、前記代替液の液成分組成と、前記試料液の液成分組成との差が、該試料液の液成分組成に対して±30%以内である、酸化剤濃度の測定方法。
【0022】
[
12] 電子材料洗浄工程の洗浄液として用いられる試料液の酸化剤濃度を測定する酸化剤濃度の測定装置であって、該試料液中の酸化剤の少なくとも一部を分解させる酸化剤分解手段と、該酸化剤の分解で発生する酸素ガスを含む放散ガスの放散量を測定する放散ガス量測定手段と、該放散ガス量測定手段の測定値に基づいて該試料液の酸化剤濃度を算出する演算手段とを備え
、前記試料液が硫酸濃度85重量%以上の酸化剤含有硫酸溶液であり、前記酸化剤分解手段の分解方式が150℃以上に加熱するものであることを特徴とする酸化剤濃度の測定装置。
【0023】
[
13] [
12]において、前記試料液を前記酸化剤分解手段に導入する導入配管と、該導入配管に設けられた液流量計と、該酸化剤分解手段で発生した放散ガスを排出する排出配管と、該排出配管に設けられたガス流量計とを有し、前記演算手段は、該液流量計の測定値と該ガス流量計の測定値に基づいて前記酸化剤濃度を算出する、酸化剤濃度の測定装置。
【0026】
[
14] [
12]
又は[
13]において、前記酸化剤分解手段から排出された放散ガスを気液分離する気液分離手段を有し、該気液分離手段で分離された分離ガスが前記放散ガス量測定手段に送給される、酸化剤濃度の測定装置。
【0027】
[
15] [
14]において、前記気液分離手段で分離させた分離ガスを冷却して該ガス中の蒸気およびミストを除去するガス清浄化手段を有し、該ガス清浄化手段で清浄化されたガスが前記放散ガス量測定手段に送給される、酸化剤濃度の測定装置。
【0028】
[
16] [
15]において、前記ガス清浄化手段が、充填材の充填層を備える、酸化剤濃度の測定装置。
【0029】
[
17] [
14]ないし[
16]のいずれかにおいて、前記気液分離手段で分離された分離液の冷却手段を備える、酸化剤濃度の測定装置。
【0030】
[
18] [
12]ないし[
17]のいずれかにおいて、前記酸化剤分解手段に前記試料液の代りに導入するための代替液を貯留する代替液タンクと、該代替液タンク内の代替液を該酸化剤分解手段に導入する導入配管とを備える、酸化剤濃度の測定装置。
【0031】
[
19] [
18]において、前記酸化剤分解手段の分解方式が加熱によるものであり、前記試料液を該酸化剤分解手段に導入する導入配管と、前記代替液タンク内の代替液を該酸化剤分解手段に導入する導入配管とで、液の導入を切り換える切換手段を有し、該酸化剤分解手段への該代替液の導入中も、該酸化剤分解手段の加熱が継続される、酸化剤濃度の測定装置。
【0032】
[
20] [
18]又は[
19]において、前記代替液の液成分組成と、前記試料液の液成分組成との差が、該試料液の液成分組成に対して±30%以内である、酸化剤濃度の測定装置。
【0033】
[
21] 電子材料の洗浄手段と、該洗浄手段に洗浄液を送給する洗浄液送給手段と、該洗浄液送給手段から洗浄液の一部を試料液として分取する試料液分取手段と、該試料液分取手段で分取された試料液の酸化剤濃度を測定する酸化剤濃度測定手段とを備える電子材料洗浄装置であって、該酸化剤濃度測定手段が、[
12]ないし[
20]のいずれかに記載の酸化剤濃度の測定装置を備えることを特徴とする電子材料洗浄装置。
【0034】
[
22] [
21]において、前記試料液分取手段で分取され、前記酸化剤濃度測定手段で酸化剤濃度が測定された後の試料液を、前記洗浄液送給手段の前記試料液分取位置よりも上流側に返送する試料液返送手段を備える、電子材料洗浄装置。
【0035】
[
23] [
22]において、前記酸化剤濃度測定手段が、[
17]に記載の酸化剤濃度の測定装置であり、前記分離液の冷却手段で冷却された液の貯留槽を有し、該貯留槽内の液が、前記試料液返送手段により返送される、電子材料洗浄装置。
【0036】
[
24] [
21]ないし[
23]のいずれかにおいて、前記洗浄手段で洗浄に使用された洗浄排液を再生する再生手段と、該再生手段で再生された液を洗浄液として前記洗浄手段に循環する循環手段とを備える、電子材料洗浄装置。
【発明の効果】
【0037】
本発明の酸化剤濃度の測定方法および測定装置によれば、電子材料の洗浄工程で使用されている酸化性の洗浄液中の酸化剤濃度を、金属等の混入不純物に影響されることなく、簡便かつ安定的に、的確に測定することができ、オンラインでの連続モニタリングも容易に行える。
本発明の電子材料洗浄装置によれば、この測定技術を利用して、所定の酸化剤濃度の洗浄液により効率的な洗浄を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
本発明においては、試料液中の酸化剤を分解させ、酸化剤の分解で発生する酸素ガスを含む放散ガスの放散量を測定し、この測定値に基づいて試料液の酸化剤濃度を求める。この測定のメカニズムは以下の通りである。
即ち、酸化剤は以下の二種類に分けられるが、いずれも熱分解等により酸素を生成する。このため、分解で生成し、液中から放散されたガス量を測定することにより、試料液の酸化剤濃度を求めることができる。
(1)酸化剤自体に酸素を保有しており、分解により酸素を発生するもの。
過硫酸、過酸化水素、過マンガン酸塩、クロム酸、過酸化物、硝酸カリウム等
例えば、過マンガン酸塩であれば以下の反応式に従って分解し、酸素が生成する。
MnO
4 → Mn +2O
2
(2)電子の授受で酸化剤の役割を果たすもの。(水中で反応して過酸化物となり分解時に酸素を出す。)
ハロゲン、トレンス試薬
例えば塩素は、以下の反応式に従って分解し、酸素ガス生成する。
Cl
2 + 2H
2O → 2HClO → 2HCl +O
2
【0041】
電子材料の洗浄工程で用いられる洗浄液や、洗浄排液、洗浄排液を再生して循環利用する洗浄液には、酸化剤が消費されるような有機物(TOC)が実質的に含まれていないため、本発明によれば、上記のメカニズムで酸化剤濃度を的確に求めることができる。
【0042】
また、この方法はバッチ方式での測定、連続モニタリングのいずれにも適用することができ、特に連続モニタリングに適用することにより、洗浄液の酸化剤濃度を即時的に測定して洗浄工程に反映することができ、工業的に極めて有利である。
【0043】
本発明において、酸化剤の分解手段としては、酸化剤の種類に応じて様々に選定することができ、例えば、加熱、紫外線照射、超音波照射、触媒との接触、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。組み合わせ例としては、例えば、加熱手段と紫外線、予備加熱手段と超音波照射の組み合わせなどが挙げられる。特に試料液が硫酸系酸化剤溶液の場合、硫酸濃度が85%以上であれば、高温加熱が可能であるため、150℃以上に加熱することで、短時間で液中の酸化剤を分解させることができるが、硫酸濃度85重量%未満では沸点が低すぎて短時間で酸化剤を必要な分解率まで熱分解することが原理的に困難であるため、他の分解手段との組合せが必要になることがある。
なお、試料液中の酸化剤の大部分(例えば90%以上、好ましくは95%以上)を分解することが測定精度上は望ましいが、分解率が低い場合(例えば80%程度)であっても、数分以内に分解して分解率を定常化できれば原理的には測定可能である。
【0044】
本発明に従って、酸素ガスの放散量から試料液の酸化剤濃度を算出する方法は以下の通りである。
(例1)電解硫酸の場合
試料液の全酸化剤の濃度を、試料液に含有されるいずれかの酸化剤の濃度として算出する。
測定に供される試料液中の単位時間当たりの酸化剤のモル数は下式で算出される。
酸化剤モル数[mol/min]=試料液の流量[mL/min]×酸化剤濃度[g/L]×10
−3/分子量
酸化剤が完全分解した際に、酸化剤から発生するO(酸素原子)のモル数を、酸化剤のモル数のn倍とすると、酸化剤の分解で発生する酸素ガス(O
2分子)の単位時間当たりのモル数は、下式で算出される。
酸素ガスモル数[mol/min]=酸化剤モル数[mol/min]×n÷2
この酸素ガス量を体積換算すると、標準状態(1atm)における酸素ガスの流量(mL/min)は以下の通り算出される。
酸素ガスの流量[mol/min]=酸素ガスモル数[mol/min]×22.4
以上の関係から、酸化剤濃度は下式で求められる。
酸化剤濃度[g/L]=(酸素ガス流量[mol/min]×分子量×2)/(試料液流量[mol/min]×n×22.4)
ここで、試料液が電解硫酸の場合、電解硫酸に含まれる酸化剤はほぼ過硫酸(ペルオキシ二硫酸とペルオキシ一硫酸の混合状態)であり、酸化剤濃度をペルオキシ二硫酸濃度として算出することができる。ペルオキシ二硫酸の完全分解の際にペルオキシ二硫酸と同モルの酸素が酸素ガスとして発生するため、酸化剤濃度は下式のようになる。
酸化剤濃度[g/L as S
2O
82−]=(酸素ガス流量[mL/min]×S
2O
82−分子量192×2)/(試料液流量[mL/min]×1×22.4)
なお、酸化剤が完全分解でない場合については酸化剤濃度に酸化剤の分解率(%)を乗じることで補正してもよい。
【0045】
(例2)アンモニア過水の場合
希薄なAPM溶液(アンモニア過水)は例えば、28重量%アンモニア水試薬:30重量%過酸化水素水試薬:超純水=1:4:95(体積比)で使用される。APM溶液では酸化剤の全量が過酸化水素であるものとして酸化剤濃度を算出する。
1L中のH
2O
2の質量は、
(1L×4/100)×比重1≒40g(ほとんど水なので比重を1として)
で、H
2O
2のモル数は
40g×30重量%/H
2O
2分子量34=0.35[mol−H
2O
2]
である。以降、上記(例1)と同様にしてH
2O
2が完全分解の際に、H
2O
2と同量の酸素が酸素ガスとして発生するため、発生する酸素ガスのモル数は
0.35[mol−H
2O
2]×1÷2=0.18[mol−O
2]
となる。よって、酸素ガスのモル数を体積換算すると、
0.18[mol−O
2]×22.4≒4.0[L−O
2]
であるから、以上の関係より、酸化剤濃度は下式で求められる。
酸化剤濃度[g/L as H
2O
2]=(酸素ガス流量[mL/min]×H
2O
2分子量34×2)/(試料液流量[mL/min]×1×22.4)
【0046】
(例3)SPM溶液の場合
SPM溶液(硫酸過水)に含まれる主な酸化剤はペルオキシ一硫酸と過酸化水素の2種である。
上記(例2)と同様にして酸化剤の全量が過酸化水素であるものとして酸化剤濃度を算出することができる。
混合比によって酸化剤の分解の困難性は異なるが、30重量%過酸化水素:96重量%硫酸=1:4〜1:50(体積比)であれば分解率75%以上が得られる。また、分解率75%以上まで酸化剤を分解する条件としては例えば、加熱(150℃以上、好ましくは180℃以上)、分解触媒、加熱と紫外線照射の組み合わせが考えられる。
なお、SPM溶液は電解硫酸とは異なり循環再利用する度に過酸化水素を混合するため硫酸濃度とペルオキソ一硫酸濃度が低くなるので、フレッシュな硫酸と過酸化水素を混合した直後の未使用のSPM溶液の酸化剤濃度を測定することが、本発明を適用する上では好ましいが、循環再利用の際の酸化剤濃度を測定してSPM溶液の交換時期を判定することも原理的には可能である。
【0047】
酸化剤の分解手段による酸化剤の分解率は、予め所定の設定条件において予備試験を行い、分解前の試料液中の酸化剤濃度と、分解後の試料液中の酸化剤濃度とから計算により求めることができる。例えば、後述の実施例において、加熱分解器による分解率は、加熱温度180℃、滞留時間12.5分であれば約75%であり、加熱温度200℃、滞留時間5分では約90%であり、加熱温度200℃、滞留時間12.5分では95〜100%である。
従って、測定された酸素ガス放散量をこの分解率で除すことにより、試料液中の酸化剤濃度を算出することができる。
【0048】
以下に
図1を参照して本発明の酸化剤濃度の測定装置について説明する。
図1は本発明の酸化剤濃度の測定装置の実施の形態の一例を示す系統図であり、1は加熱分解器、2は気液分離器、3は分離液冷却器、4は分離液返送タンク、5はガス冷却器、6は演算器である。
【0049】
電子材料の洗浄工程等から分取され、配管10より供給された試料液は、配管11より加熱分解器1に導入され、加熱分解器1で酸化剤が分解された分解処理液は、配管12より気液分離器2に送給され、気液分離される。気液分離器2で分離された分離液は、配管13より分離液冷却器3に送給されて冷却された後、配管14、分離液返送タンク4、配管15を経て排出され、電子材料の洗浄工程等へ返送される。10Vは配管10に設けられた開閉バルブである。
一方、気液分離器2で分離された分離ガスは、配管16を経てガス冷却器5に送給され、ガス冷却器5で冷却された後、配管17を経て排出される。
【0050】
試料液の導入配管11には、流量調整バルブ11Vと液流量計11Fが設けられており、液流量計11Fの測定値は演算器6に入力される。また、ガス排出配管17にはガス流量計17Fが設けられており、ガス流量計17Fの測定値は演算器6に入力され、演算器6において、試料液の流量と、放散ガスの流量に基づいて、上記の計算式に従って酸化剤濃度が算出される。
【0051】
図1の態様では、加熱分解器1として二重管構造の液体加熱器が設けられており、この加熱分解器1で試料液は150℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは180〜220℃に加熱されて、試料液中の酸化剤の大部分が分解され、酸化剤の分解で発生した酸素ガスとの気液混合状態の流体が気液分離器2に供給されて気液分離される。酸化剤の種類にもよるが、加熱分解で大部分の酸化剤を分解するためには、上記のように高温加熱が必要であり、かつ連続モニタリングできる酸化剤濃度測定手段として実用するためには短時間で分解する必要があるので、加熱分解器1のような幅の薄い二重管流路に試料液を上向流で通液し、二重管流路の内側からランプヒーター等で急速に加熱するような加熱方式で所定温度まで急速に昇温することが好ましい。
【0052】
なお、
図1は、本発明の酸化剤濃度の測定装置の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら
図1に示すものに限定されるものではなく、例えば、酸化剤の分解手段としては加熱分解器の他、触媒充填塔や、紫外線照射装置、超音波照射装置、或いはこれらを組み合わせたものを用いてもよい。
【0053】
ガス冷却器5は、分離されたガスを冷却して、ガス中の水分などの蒸気およびミストを凝縮させて除去するためのものであり、
図2に示すような水冷ジャケット5Aによるガス冷却器5を用いることができる。また、
図2に示すように、このガス冷却器5の下流側(
図2では、ガスは上向流で流れるため、位置として上方となる。)に充填材の充填層を有するデミスター7を設けてもよく、デミスター7を設けることにより、より確実にミストを除去することができる。
このようなガス冷却器5及びデミスター7を設ける理由は以下の通りである。
【0054】
即ち、気液分離された分離ガスには、試料液に由来する水分や酸等の蒸気やミストが含まれる。水分を含む分離ガスをガス流量計に導くと、水分のガス流量としては多くなるので、誤差の原因となる他、計器内で水分凝縮が起こる恐れもある。一方、例えば試料液に硫酸が含まれる場合は、分離ガスに微量の硫酸蒸気または硫酸ミストが含まれる。硫酸を含む分離ガスをガス流量計に導くと流量計に導かれる過程で冷却され硫酸濃度の高い凝縮液が生成する。その凝縮液がガス流量計に入れば極めて激しい腐食を起こす恐れがある。このような問題を予防するために予め水分や酸等の蒸気やミストを除去して分離ガスを清浄化しておくことが望ましい。
ガス清浄化手段としては、その他、例えば純水を保有する容器に分離ガスを導き、気泡の気液界面で酸成分などの不純物を水側に溶出させて除去するものを用いてもよい。さらに、清浄化処理後のガスから水分を分離除去する除湿膜を設けると、その後段のガス流量計への悪影響を排除することができる。
ガス流量計に供給されるガスの温度が所定範囲に維持されていることで高い測定精度が得られるので、その点においてもガス冷却器5を用いることは好ましい。
【0055】
ところで、
図1の酸化剤濃度の測定装置において、加熱分解器1に導入される試料液は、例えば、過硫酸供給装置(以下「ESAユニット」と称す場合がある。)から供給されるが、ESAユニットの液交換等のメンテナンスの際には、試料液の供給がなくなるため、この場合には、装置内の液を抜いて、運転を停止し、ESAユニットの再稼働で試料液の供給が再開されたときに、装置の運転が再開される。
【0056】
このように、試料液の導入が停止されたときに、装置内の液を抜いて、加熱分解器1の加熱を停止し、試料液の導入が再開されたときに、加熱分解器1に試料液を導入してヒーター加熱を再開すると、運転再開時に加熱分解器1内の酸化剤が急激に分解されて酸素ガス放散量が上がり、系内のガス圧力が上昇して、見掛けの酸化剤濃度が上がってしまい、正常に測定できるまでの装置の立ち上げに時間を要するという不具合がある。
【0057】
このような問題を解決するために、
図6の酸化剤濃度の測定装置では、代替液タンク8を設け、試料液の導入停止中は、代替液タンク8から試料液の代りに代替液を導入配管19を経て加熱分解器1に導入し、加熱分解器1の加熱を継続できるように構成されている。なお、
図6の酸化剤濃度の測定装置は、代替液タンク8と導入配管19を備える他は、
図1に示す酸化剤濃度の測定装置と同様の構成とされており、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0058】
この酸化剤濃度の測定装置では、バルブ10Vが閉とされ、試料液の供給が停止されると、バルブ19Vを開としてポンプ19Pを作動させ、代替液タンク8内の代替液を試料液の代りに加熱分解器1に導入し、試料液の供給が再開されたときには、バルブ10Vを開、バルブ19Vを閉、ポンプ19Pを停止として、代替液の導入を停止し、試料液を導入することができる。このように、試料液の供給がない場合には、試料液の代りに代替液を供給することで、加熱分解器1の加熱をそのまま継続しても空焚きの問題はなく、試料液の導入再開時には、加熱分解器1における過加熱を防止して、代替液を導入しない場合に比べて、酸素ガス放散量が安定するまでの立ち上げ時間を大幅に短縮することができる。
【0059】
試料液の代りに導入する代替液としては、代替液通液時も試料液通液時と同様な運転条件で運転を継続することで、立ち上げ時間をより短縮するために、試料液と同等の液成分組成のものを用いることが好ましく、また、代替液は、酸素ガス濃度の測定を行う運転時の試料液の流量と同等の流量で通液することが好ましい。
【0060】
ここで、試料液と同等の液成分組成とは、試料液の液成分組成に対して±30%以内であることをいい、例えば、試料液の酸化剤濃度がA重量%の場合、代替液としては、同じ酸化剤を含み、酸化剤濃度がA×(0.7〜1.3)重量%の範囲内、特にA×(0.9〜1.1)重量%の範囲内にあるものを用いることが好ましい。
【0061】
また、代替液の流量についても、酸素ガス濃度測定時の試料液の流量をBmL/minとした場合、代替液の流量はB×(0.7〜1.3)mL/minの範囲内、特にB×(0.9〜1.1)mL/minの範囲内とすることが好ましい。
【0062】
次に
図3,4を参照して、このような本発明の酸化剤濃度の測定装置を用いた電子材料洗浄装置について説明する。
図3,4は、本発明の酸化剤濃度の測定装置を適用した電子材料洗浄装置の実施の形態を示す系統図である。
【0063】
図3は、バッチ式洗浄機に本発明の酸化剤濃度の測定装置を適用したものを示し、洗浄液の貯留槽20内の洗浄液が配管21を経て洗浄機22に送給され、洗浄排液はポンプ24及び熱交換器25を有する配管26を経て貯留槽20に循環される。配管21には洗浄機22に送給される洗浄液の一部を試料液として分取する試料液分取配管27が分岐しており、この配管27で分取された試料液は、本発明の酸化剤濃度の測定装置である酸化剤濃度測定ユニット28に送給されて酸化剤濃度の測定が行われ、測定後の試料液(例えば、
図1の酸化剤濃度の測定装置の分離液返送タンク4内の液)は、配管29を経て貯留槽20に返送される。
このように、酸化剤濃度の測定後の試料液を電子材料の洗浄工程に返送する場合、試料液の分取位置よりも上流側に返送することが、返送を容易に行うことができ好ましい。
【0064】
図4は、硫酸溶液を電気分解してペルオキソ二硫酸を生成させ、ペルオキソ二硫酸を含む硫酸溶液を洗浄装置に供給する過硫酸供給システムを備える電子材料の洗浄装置に、本発明の酸化剤濃度の測定装置を適用した例を示し、30は枚葉式の電子材料洗浄装置、31は未使用洗浄液の貯留槽、32は硫酸溶液の貯留槽、33は電解装置、60は本発明の酸化剤濃度の測定装置である酸化剤濃度モニタリング装置である。
【0065】
貯留槽32内の硫酸溶液は、ポンプ34、冷却器35を備える配管36を経て電解装置33に送給され、電解装置33における電気分解でペルオキソ二硫酸を生成してペルオキソ二硫酸を含む硫酸溶液は気液分離器37が設けられた配管38を経て貯留槽32に循環される。この貯留槽32には純水供給配管39と濃硫酸供給配管40が設けられている。
【0066】
貯留槽32内のペルオキソ二硫酸含有硫酸溶液は、ポンプ41を備える配管42より抜き出され、フィルタ43、予備加熱器44及び配管45、加熱器46、配管47を経て洗浄装置30に送給される(このとき貯留槽31への送給は止める。)。洗浄装置30で電子材料の洗浄に用いられた洗浄排液は、配管48,49を経て系外へ排出される。洗浄が終了したら、系外排出を止め、貯留槽31への送給に切り替える。未使用の洗浄液は貯留槽31に戻され、ポンプ50により、フィルタ51、冷却器52を有する配管53を経て貯留槽32に循環される。
【0067】
予備加熱器44から加熱器46へ洗浄液を送給する配管45には、洗浄液の一部を試料液として分取するための試料液分取配管54が設けられており、配管54で分取され、酸化剤濃度モニタリング装置60で酸化剤濃度の測定が行われた後の液(例えば、
図1の酸化剤濃度の測定装置の分離液返送タンク4内の液)は、配管55より、
図3におけると同様に、試料液分取位置の上流側の予備加熱器44に返送される。
【0068】
図3,4に示すように、電子材料の洗浄装置に本発明の酸化剤濃度の測定装置を適用して、洗浄液の酸化剤濃度を測定することにより、洗浄中に洗浄に用いる洗浄液の酸化剤濃度を検出し、必要に応じて洗浄液の酸化剤濃度の調整を行うことにより、適切な酸化剤濃度の洗浄液により効率的な洗浄を行うことが可能となる。
【0069】
図5は、本発明の酸化剤濃度の測定装置を、洗浄液製造システムに適用した例を示す。
図5では、貯留槽70からポンプ71を備える配管72より被電解液が電解セル73に送給され、電解処理液は配管74、気液分離器75、配管76を経て貯留槽70に循環される。配管72のポンプ71の下流側には、試料液の分取配管77が設けられており、配管72から試料液が分取され、本発明の酸化剤濃度の測定装置である酸化剤濃度測定ユニット80に送給され、酸化剤濃度測定後の液(例えば、
図1の酸化剤濃度の測定装置の分離液返送タンク4内の液)は配管78を経て貯留槽70に戻される。
このように、本発明の酸化剤濃度の測定装置は、電子材料の洗浄装置のみならず、電子材料の洗浄液製造装置に適用して、製造された洗浄液の酸化剤濃度の測定に用い、その測定結果に基づいて条件制御することにより、所望の酸化剤濃度の洗浄液を製造することができる。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0071】
〔酸化剤濃度の測定〕
[実施例I−1]
図1に示す酸化剤濃度の測定装置を用いて、試料液の酸化剤濃度の測定を行った。測定仕様は以下の通りである。
試料液:電解硫酸溶液(85重量%硫酸溶液の電解処理液;酸化剤濃度の設計値2もしくは6g/L(as S
2O
82−))
分解部:試料液を流量20もしくは50mL/minで分解加熱器に滞留時間12.5分又は5分で通液して、試料液を180℃又は200℃まで昇温し、酸化剤を分解。
測定部:分解部前段の液流量計で試料液の流量測定
分解部後段のガス流量計で酸素ガス流量測定
分解部前段の試料液、および分解部後段の気液分離後の処理液のそれぞれについて、KI滴定法で酸化剤濃度を測定し、酸化剤濃度の差により分解部で分解された酸化剤の濃度と分解率を求めた。
KI滴定法により求めた試料液の酸化剤濃度をA(g/L)、同じくKI滴定法により求めた分解処理液(気液分離後の処理液)の酸化剤濃度をB(g/L)とする。分解した酸化剤濃度はA−B(g/L)で求められ、分解率は{(A−B)/A}×100で算出される。
また、試料液流量の測定値とガス流量の測定値と上記KI滴定法による測定で得られた酸化剤分解率とから、下記式で分解部で分解した酸化剤の濃度Cを求めた。
酸化剤濃度[g/L]=
(酸素ガス流量[mL/min]×S
2O
82−分子量192×2)/
(試料液流量[mL/min]×1×22.4×分解率)
また、KI滴定法により求めた分解した酸化剤濃度(A−B)と、本発明により測定された分解した酸化剤濃度Cとの誤差率を下記式で算出した。
誤差率={(A−B)−C}/(A−B) ×100
【0072】
これらの結果をまとめて表1に示す(Run−1〜6)。分解部の試料液温度200℃,滞留時間2分の条件では、KI滴定法による分解された酸化剤濃度の測定値(A−B)と、本発明の酸素ガス測定法による分解された酸化剤濃度の算出値Cの誤差率が10%以内となり十分に一致していることが確認された。
【0073】
[実施例I−2]
実施例I−2のRun−5、6について、試料液に予め金属(Ti)を500ppm溶解させた液を用いて、それぞれ同じ操作を実施した。結果を表1に示す(Run−7、8)。
この場合にも、KI滴定法による分解された酸化剤濃度の測定値(A−B)と、本発明の酸素ガス測定法による分解された酸化剤濃度の算出値Cの誤差率が10%以内となり十分に一致していることが確認された。
即ち、金属の有無に関わらず同等の結果が得られ、本発明の方式は、金属が試料液に混入した場合でもその影響を受けることなく、酸化剤濃度を正しく測定できることが確認できた。
【0074】
【表1】
【0075】
〔立ち上げ時間の比較〕
図1に示す酸化剤濃度の測定装置と
図6に示す酸化剤濃度の測定装置を用い、実施例I−1,2と同様にして酸化剤濃度の測定を行う際の立ち上げ時間を比較する実験を行った。
【0076】
[実施例II−1]
図1の酸化剤濃度の測定装置を用いて測定を行った。
(1) 通常運転時
ESAユニットから、試料液として過硫酸溶液(92重量%硫酸溶液を電解;酸化剤濃度の設計値2g/L(as H
2S
2O
8))を流量20mL/minで容量100mLの加熱分解器1に滞留時間5分で通液して、試料液を200℃まで昇温し、酸化剤を分解して酸素ガス濃度から酸化剤濃度を算出したところ2g/Lであることを確認した。
(2) ESAユニットの液交換時
加熱分解器1の加熱を停止し、ESAユニットからの過硫酸溶液の供給を止め、計測を一時停止した。
(3) ESAユニットの液交換終了後
ESAユニットからの送液を再開し、加熱分解器1に試料液が満たされてから200℃加熱を再開した。
送液再開から酸素ガス流量が安定し、立ち上げが完了するまでに要した時間は30分であった。
【0077】
[実施例II−2]
図1の酸化剤濃度の測定装置を用いて測定を行った。
(1) 通常運転時
ESAユニットから、試料液として過硫酸溶液(92重量%硫酸溶液を電解;酸化剤濃度の設計値10g/L(as H
2S
2O
8))を流量20mL/minで容量100mLの加熱分解器1に滞留時間5分で通液して、試料液を200℃まで昇温し、酸化剤を分解して酸素ガス濃度から酸化剤濃度を算出したところ10g/Lであることを確認した。
(2) ESAユニットの液交換時
加熱分解器1の加熱を停止し、ESAユニットからの過硫酸溶液の供給を止め、計測を一時停止した。
(3) ESAユニットの液交換終了後
ESAユニットからの送液を再開し、加熱分解器1に試料液が満たされてから200℃加熱を再開した。
送液再開から酸素ガス流量が安定し、立ち上げが完了するまでに要した時間は45分であった。
【0078】
[実施例II−3]
図1の酸化剤濃度の測定装置を用いて測定を行った。
(1) 通常運転時
ESAユニットから、試料液として過硫酸溶液(92重量%硫酸溶液を電解;酸化剤濃度の設計値10g/L(as H
2S
2O
8))を流量50mL/minで容量100mLの加熱分解器1に滞留時間5分で通液して、試料液を200℃まで昇温し、酸化剤を分解して酸素ガス濃度から酸化剤濃度を算出したところ10g/Lであることを確認した。
(2) ESAユニットの液交換時
加熱分解器1の加熱を停止し、ESAユニットからの過硫酸溶液の供給を止め、計測を一時停止した。
(3) ESAユニットの液交換終了後
ESAユニットからの送液を再開し、加熱分解器1に試料液が満たされてから200℃加熱を再開した。
送液再開から酸素ガス流量が安定し、立ち上げが完了するまでに要した時間は25分であった。
【0079】
[実施例II−4]
図6の酸化剤濃度の測定装置を用いて測定を行った。
(1) 通常運転時
ESAユニットから、試料液として過硫酸溶液(92重量%硫酸溶液を電解;酸化剤濃度の設計値2g/L(as H
2S
2O
8))を流量20mL/minで容量100mLの加熱分解器1に滞留時間5分で通液して、試料液を200℃まで昇温し、酸化剤を分解して酸素ガス濃度から酸化剤濃度を算出したところ2g/Lであることを確認した。
(2) ESAユニットの液交換時
ESAユニットからの過硫酸溶液供給を停止すると同時に、代替液タンク8から代替液(酸化剤濃度2g/L(as H
2S
2O
8)の過硫酸溶液)を20mL/minで供給した。その際、加熱分解器1の加熱を継続して200℃を保持した。
(3) ESAユニットの液交換終了後
ESAユニットからの試料液の送液を再開し、代替液タンク8からの送液を停止した。加熱分解器1は200℃を保持したままであり、送液再開から酸素ガス流量が安定し、立ち上げが完了するまでに要した時間は15分であった。
【0080】
[実施例II−5]
図6の酸化剤濃度の測定装置を用いて測定を行った。
(1) 通常運転時
ESAユニットから、試料液として過硫酸溶液(92重量%硫酸溶液を電解;酸化剤濃度の設計値10g/L(as H
2S
2O
8))を流量20mL/minで容量100mLの加熱分解器1に滞留時間5分で通液して、試料液を200℃まで昇温し、酸化剤を分解して酸素ガス濃度から酸化剤濃度を算出したところ10g/Lであることを確認した。
(2) ESAユニットの液交換時
ESAユニットからの過硫酸溶液供給を停止すると同時に、代替液タンク8から代替液(酸化剤濃度10g/L(as H
2S
2O
8)の過硫酸溶液)を20mL/minで供給した。その際、加熱分解器1の加熱を継続して200℃を保持した。
(3) ESAユニットの液交換終了後
ESAユニットからの試料液の送液を再開し、代替液タンク8からの送液を停止した。加熱分解器1は200℃を保持したままであり、送液再開から酸素ガス流量が安定し、立ち上げが完了するまでに要した時間は15分であった。
【0081】
[実施例II−6]
図6の酸化剤濃度の測定装置を用いて測定を行った。
(1) 通常運転時
ESAユニットから、試料液として過硫酸溶液(92重量%硫酸溶液を電解;酸化剤濃度の設計値10g/L(as H
2S
2O
8))を流量50mL/minで容量100mLの加熱分解器1に滞留時間5分で通液して、試料液を200℃まで昇温し、酸化剤を分解して酸素ガス濃度から酸化剤濃度を算出したところ10g/Lであることを確認した。
(2) ESAユニットの液交換時
ESAユニットからの過硫酸溶液供給を停止すると同時に、代替液タンク8から代替液(酸化剤濃度10g/L(as H
2S
2O
8)の過硫酸溶液)を50mL/minで供給した。その際、加熱分解器1の加熱を継続して200℃を保持した。
(3) ESAユニットの液交換終了後
ESAユニットからの試料液の送液を再開し、代替液タンク8からの送液を停止した。加熱分解器1は200℃を保持したままであり、送液再開から酸素ガス流量が安定し、立ち上げが完了するまでに要した時間は6分であった。
【0082】
これらの結果を表2にまとめて示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表2より、試料液の供給停止期間中に代替液を供給して加熱分解器の加熱を継続することにより、立ち上げに要する時間を大幅に短縮できることが分かる。