【実施例】
【0048】
(駆動装置の第一実施例)
図2は、本発明の駆動装置の第一の態様に基づき実施した、本発明の第一実施例の駆動装置を示している。
図2において、31は駆動装置、32はモータ駆動電源、33はモータドライバ、37は力伝達機構、38は第一力伝達機構、39は第二力伝達機構、40は第三力伝達機構、41は第一スイッチング素子、42は第二スイッチング素子、43は第三スイッチング素子、44は第四スイッチング素子、51は第一ダイオード、52は第二ダイオード、53は第三ダイオード、54は第四ダイオード、61は第一モータ、62は第二モータ、63は第三モータ、64は第一運動検出センサ、65は第二運動検出センサ、66Aと66Bは第一リンク、67は第二リンク、71は第一プーリ、72は第二プーリ、73は第一タイミングベルト、74は第三プーリ、75は第四プーリ、76は第二タイミングベルト、77は第五プーリ、78は第六プーリ、79は第三タイミングベルト、81は第一モータ出力軸、82は第二モータ出力軸、83は第三モータ出力軸、84は回転軸、85は第一モータ61をリンクに取り付ける第一モータ取付プレート、86は第二モータ62をリンクに取り付ける第二モータ取付プレートを示している。87は第三モータ63をリンクに取り付ける第三モータ取付プレートを示している。回転軸84を回転中心に回転運動を生成し、第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変え、1自由度の運動を作りだせるように構成されている。
図2では、回転型のモータを用いているがこれは例示にすぎず、直動型のモータを用いても良く、特許請求の範囲を限定するものではない。本発明明細書において、全て同じ特性を有するモータを用いた駆動装置の全ての実施例も同様である。
また、作り出される1自由度の運動も回転運動であるが、並進運動でも良く、1自由度の運動であれば如何なる運動でも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
以下の実施例でも、作り出される1自由度の運動として回転運動を例示しているが、同様に、1自由度の運動であれば如何なる運動でも良い。
【0049】
本発明の駆動装置の第一実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシ付きDCモータであり、実施例図にも示す様にモータ寸法を同じ形状で図示している。なお、実際には、例え同じメーカーの同じ型番のモータでも、製造バラつきにより厳密に全のモータが同じ特性を有するモータとは言い難いが、多少の特性の違いがあっても実用上は問題ない。
また、ブラシ付きDCモータの端子を表すと共に極性を示すため、各モータを表す絵の中に記号Pと記号Nを記載している。なお、例図では3台のブラシ付きDCモータをモータドライバ33に対してモータ直列配線34により直列に配線をしている構成を図示しているが、例示にすぎず、2台のブラシ付きDCモータをモータドライバ33に対してモータ直列配線34により直列に配線をしている構成でも良く、また4台以上のブラシ付きDCモータをモータドライバ33に対してモータ直列配線34により直列に配線をしている構成でも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0050】
例図のモータドライバ33は、プラス出力のみを出力するモータ電源32を用いてブラシ付きDCモータの出力を正転および反転の両方向に回転することができるように、モータドライバ33をスイッチング素子を4つ用いたHブリッジ回路で構成している。
また、スイッチング素子に並列に導入されたダイオードは、スイッチング素子を切り替えた瞬間のモータ電流による磁気的エネルギーをロボット駆動電源32に戻すことにより、スイッチング素子を保護するため導入されている。例図のスイッチング素子にはトランジスタを用いて実施例図を図示しているが、これらは例示にすぎず、MOSFETでも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
加えて、プラス出力とマイナス出力の両出力が可能なモータ電源を用いてブラシ付きDCモータの出力を正転および反転の両方向に回転することができるように、モータドライバ33をスイッチング素子を2つ用いたプッシュプル回路で構成しても良い。
更に、ブラシ付きDCモータの出力を正転もしくは反転の片側方向にのみ回転する用途であれば、モータドライバ33を増幅回路で構成しても良い。すなわち、
図2に例示しているモータ電源32とモータドライバ33は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0051】
力伝達機構37は、第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40により構成されている。第一力伝達機構38は、第一モータ61の出力軸である第一モータ出力軸81に取り付けられた第一プーリ71と、回転軸84に取り付けられた第二プーリ72と、第一プーリ71と第二プーリ72の両プーリにかけられた第一タイミングベルト73で構成され、第一モータ61の出力を回転軸84の出力に伝達している。同じく、第二力伝達機構39は、第二モータ62の出力軸である第一モータ出力軸82に取り付けられた第三プーリ74と、回転軸84に取り付けられた第四プーリ75と、第三プーリ74と第四プーリ75の両プーリにかけられた第二タイミングベルト76で構成され、第二モータ62の出力を回転軸84の出力に伝達している。
また、第三力伝達機構40は、第三モータ63の出力軸である第三モータ出力軸83に取り付けられた第五プーリ77と、回転軸84に取り付けられた第六プーリ78と、第五プーリ77と第六プーリ78の両プーリにかけられた第三タイミングベルト79で構成され、第三モータ63の出力を回転軸84の出力に伝達している。
例図の力伝達機構にはプーリとタイミングベルトから構成されるベルト式伝達機構を用いて実施例図を図示しているが、これらは例示にすぎず、歯車を用いた伝達機構や四節リンク機構やこれら力を伝達する機構を複数組み合わせた機構等でも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0052】
また、
図2に示す本発明の駆動装置の第一実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシ付きDCモータを採用しているため、第一モータ61の速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率である第一個別減速率と、第二モータ62の速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率である第二個別減速率と、第三モータ63の速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率である第三個別減速率が全て等しくなるように、第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40を構成している。
本発明明細書においては、以降の説明において、各モータの速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率を個別減速率と言い、第一モータ61の速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率を第一個別減速率、第二モータ62の速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率を第二個別減速率、第三モータ63の速度出力と回転軸84回りの速度出力の比率を第三個別減速率と言う。
【0053】
例図の力伝達機構37では、プーリとタイミングベルトから構成されるベルト式伝達機構を用いて図示している。そのため、
図3に示すように、作り出される1自由度の運動の位置に対して、より具体的には、回転軸84を回転中心に生成される回転角に対して、個別減速率は一定値で全て同じ値である。力伝達機構37の個別減速率が、1自由度の運動の位置に対して可変である場合には、
図4に示す様に、作り出される1自由度の運動の位置に対して変化する個別減速率が全て同じであれば良い。
【0054】
また、モータ直列配線34を、モータドライバ33から駆動電流を出力した際にブラシ付きDCモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線を行っている。
【0055】
加えて、第一モータ61の出力軸の反対側の軸には、その運動(位置もしくは速度もしくは位置と速度)を検出する第一運動検出センサ64が装着されている。この第一運動検出センサ64と第一力伝達機構38の機構特性により、等価的に回転軸84の運量を検出することができる。例図においては、第一モータ61に装着されている第一運動検出センサ64を運動検出センサとして採用している実施例図を図示しているが、これらは例示にすぎず、回転軸84を直接的に検出する運動検出センサでも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
また、例図においては、第二モータ62の出力軸の反対側の軸にも、その運動(位置もしくは速度もしくは位置と速度)を検出する第二運動検出センサ65が装着されているが、第二運動検出センサ65を表す絵の中に記号NCを記載しているように、第二運動検出センサ65の出力信号はどこにも接続されていない実施例図を図示している。これは、回転軸84の位置もしくは速度もしくは位置と速度を直接的にもしくは等価的に検出する運動検出センサとしては1つのセンサのみを使用することを示すために、あえて記号NCを記載した状態で第二運動検出センサ65を図示している。
【0056】
上記のように、
図2に示す本発明の駆動装置の第一実施例においては、ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシ付きDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であって、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ直列配線34により直列に配線されており、加えてモータ直列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線された駆動装置31である。
【0057】
図2に示すような構成をすることにより、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0058】
なお例図では第一運動検出センサ64をモータドライバ33に配線し、回転軸84回りの運動を制御する実施例図を図示している。第一運動検出センサ64をモータドライバ33に配線していない場合には、制御は行えないが回転軸84回りの運動を生成することが可能であり、その実施例図は図示してはいない。
【0059】
(駆動装置の第二実施例)
図5は、本発明の駆動装置の第二の態様に基づき実施した、本発明の第二実施例の駆動装置を示している。
本発明の第一実施例の駆動装置と第二実施例の駆動装置との相違点は(
図2と
図5の相違点は)、採用している第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63と第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40の違いである。その他の構成は第一実施例の駆動装置の構成と同じであるため詳述は省略する。
図5では、回転型のモータを用いているがこれは例示にすぎず、直動型のモータを用いても良く、また回転型のモータと直動型のモータを混在させて用いても良く、特許請求の範囲を限定するものではない。本発明明細書において、異なる特性を有するモータを採用する駆動装置の全ての実施例も同様である。
また、作り出される1自由度の運動も回転運動であるが、並進運動でも良く、1自由度の運動であれば如何なる運動でも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
以下の実施例でも、作り出される1自由度の運動として回転運動を例示しているが、同様に、1自由度の運動であれば如何なる運動でも良い。
【0060】
本発明の駆動装置の第二実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は異なる特性を有するブラシ付きDCモータを用いており、実施例図にも示す様にモータ寸法が異なる形状で図示されている。
この実施例図を構成する際、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の起動電流値、もしくは個々の公称電圧値を個々のモータ端子間抵抗値で割った値、もしくは個々の起動トルク値を個々のトルク定数値で割った値が同じ値を有するモータを採用している。ここで起動電流とは、起動トルクを発生させる場合にモータに流す電流のことであり、起動電流と起動トルクとトルク定数は、
起動トルク[Nm]=起動電流[A]×トルク定数[Nm/A] (1)
の関係がある。
モータのカタログ等に起動電流値が出ていない場合には、
起動電流[A]=起動トルク[Nm]÷トルク定数[Nm/A] (2)
で起動電流値を求め、採用する全てのモータの起動電流値が同じ値を有するモータを採用すれば良い。
また、回転型のモータではなく、直動型のモータの場合には、
起動推進力[Nm]=起動電流[A]×推進力定数[N/A] (3)
の関係がある。
モータのカタログ等に起動電流値が出ていない場合には、
起動電流[A]=起動推進力[Nm]÷推進力定数[Nm/A] (4)
で起動電流値を求め、
採用する全てのモータの起動電流値が同じ値を有するモータを採用すれば良い。
回転型のモータと直動型のモータを混在させて用いる場合にも、同様に、起動電流値を求め、採用する全てのモータの起動電流値が同じ値を有するモータを採用すれば良い。
なお、実際には、カタログ等に掲載されているモータの特性を表わす値は、製造バラつきにより厳密にカタログ値通りの特性を有するモータとは言い難いが、多少の特性の違いがあっても実用上は問題ない。
【0061】
また、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の無負荷回転数値を第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40の個々の個別減速率で割った値、もしくは第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の公称電圧値を個々のトルク定数値で割ると共に第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40の個々の個別減速率で割った値が互いに等しくなるように、第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40を構成している。ここで無負荷回転数とは、負荷が無い場合に公称電圧をモータに印加した際に発生する回転数のことであり、無負荷回転数と公称電圧と逆起電力定数は、
公称電圧[V]=無負荷回転数[rad/sec]
×逆起電力定数[V/(rad/sec)] (5)
の関係がある。
カタログ上で逆起電力定数の単位が[V/rpm]と表記されている場合もあるが、逆起電力定数の単位を[V/(rad/sec)]に換算すると、その値自身はトルク定数値[Nm/A]と同じ値であり、従って、無負荷回転数と公称電圧とトルク定数は
公称電圧[V]=無負荷回転数[rad/sec]
×トルク定数[Nm/A] (6)
の関係がある。
モータのカタログ等に無負荷回転数が出ていない場合には、
無負荷回転数[rad/sec]=公称電圧[V]
÷トルク定数[Nm/A] (7)
で無負荷回転数[rad/sec]を求め、各モータの無負荷回転数を各個別減速率で割った値、すなわち、各モータの出力の速度が最終的に作り出される1自由度の運動の速度として現れる速度が全て同じになるように力伝達機構の個別減速率を決定すれば良い。
また、回転型のモータではなく、直動型のモータの場合であって、無負荷速度[m/sec]がカタログ等に出ていない場合には、同様に、
公称電圧[V]=無負荷速度[m/sec]
×推進力定数[N/A] (8)
の関係があることから、従って
無負荷速度[m/sec]=公称電圧[V]
÷推進力定数[N/A] (9)
から無負荷速度[m/sec]を求めれば良い。
各モータの無負荷速度を各個別減速率で割った値、すなわち、各モータの出力の速度が最終的に作り出される1自由度の運動の速度として現れる速度が全て同じになるように力伝達機構の個別減速率を決定すれば良い。
回転型のモータと直動型のモータを混在させて用いる場合にも、同様に、各モータの無負荷回転速度もしくは無負荷速度を各個別減速率で割った値、すなわち、各モータの出力の速度が最終的に作り出される1自由度の運動の速度として現れる速度が全て同じになるように力伝達機構の個別減速率を決定すれば良い。
そのため、実施例図では、第一プーリ71、第二プーリ72、第三プーリ74、第四プーリ75、第五プーリ77、第六プーリ78が異なる形状で図示されている。
【0062】
例図の力伝達機構37では、プーリとタイミングベルトから構成されるベルト式伝達機構を用いて図示している。そのため、
図6に示すように、作り出される1自由度の運動の位置に対して、より具体的には、回転軸84を回転中心に生成される回転角に対して、個別減速率は一定値で互いに比例関係にある。力伝達機構37の個別減速率が、1自由度の運動の位置に対して可変である場合には、
図7に示す様に、作り出される1自由度の運動の位置に対して変化する個別減速率が互いに比例関係であれば良い。
【0063】
上記のように、
図5に示す本発明の駆動装置の第二実施例においては、ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシ付きDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63により、回転軸84を回転中心に回転運動を生成し、第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変え、1自由度の運動を作りだせるように構成された駆動装置31であって、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは互いに異なる特性を有するモータであるが、個々の起動電流値、もしくは個々の公称電圧値を個々のモータ端子間抵抗値で割った値、もしくは個々の起動トルク値を個々のトルク定数値で割った値が同じ値を有するモータであり、力伝達機構37はモータの個々の無負荷回転数値を前記個別減速率で割った値、もしくはモータの個々の公称電圧値を個々のトルク定数値と前記個別減速率で割った値が互いに等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ直列配線34により直列に配線されており、加えてモータ直列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線された駆動装置31である。
【0064】
この実施例図を構成する際、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の起動電流値、もしくは個々の公称電圧値を個々のモータ端子間抵抗値で割った値、もしくは個々の起動トルク値を個々のトルク定数値で割った値が同じ値を有するモータを採用することにより、モータに流れる過電流によるモータへの負担を各モータで均等に分散することが可能になる。
また、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の無負荷回転数値を第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40の個々の個別減速率で割った値、もしくは第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の公称電圧値を個々のトルク定数値で割ると共に第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40の個々の個別減速率で割った値が互いに等しくなるように、第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40を構成することにより、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
更に、同じ特性を有するモータを採用する必要がないため、モータの配置の自由度も向上する。
【0065】
(駆動装置の第二実施例の改良)
なお、
図5に示す本発明の駆動装置の第二実施例において、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の定格電流値、もしくは個々の最大連続電流値が同じ値を有するモータを採用することにより、連続稼働時にモータに流れる連続電流によるモータへの負担を各モータで均等に分散することが可能になる。
モータのカタログ等に定格電流値や最大連続電流値が出ていない場合には、
定格電流[A]=定格トルク[Nm]÷トルク定数[Nm/A] (10)
最大連続電流値[A]=連続トルク[Nm]÷トルク定数[Nm/A] (11)
でこれらの値を求めれば良い。
また、回転型のモータではなく、直動型のモータの場合には、
定格電流[A]=定格推進力[N]÷推進力定数[N/A] (12)
最大連続電流値[A]=連続推進力[N]÷推進力定数[N/A] (13)
でこれらの値を求めれば良い。
回転型のモータと直動型のモータを混在させて用いる場合にも、同様に、起動電流値を求め、採用する全てのモータの起動電流値が同じ値を有するモータを採用すれば良い。
【0066】
また、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の定格回転数値を第一力伝達機構37と第二力伝達機構38と第三力伝達機構39の個々の個別減速率で割った値、もしくは第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の個々の最大連続電流値に個々のモータ端子間抵抗値を掛けた値を個々のトルク定数値で割ると共に第一力伝達機構37と第二力伝達機構38と第三力伝達機構39の個々の個別減速率で割った値が互いに等しくなるように、第一力伝達機構37と第二力伝達機構38と第三力伝達機構39を構成している。
このように第一力伝達機構37と第二力伝達機構38と第三力伝達機構39を構成することにより、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63の連続稼働時の互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。更に、同じ特性を有するモータを採用する必要がないため、モータの配置の自由度も向上する。
回転型のモータではなく、直動型のモータの場合には、個々のモータの定格速度を個々の個別減速率で割った値、もしくは個々のモータの最大連続電流に個々のモータ端子間抵抗値を掛けた値を個々の推進力定数値で割ると共に個々の個別減速率で割った値が互いに等しくなるように、構成すれば良い。
回転型のモータと直動型のモータを混在させて用いる場合にも、同様に、各モータの定格回転数値もしくは定格速度を各個別減速率で割った値、もしくは、個々のモータの最大連続電流に個々のモータ端子間抵抗値を掛けた値を個々のトルク定数値で割ると共に個々の個別減速率で割った値、もしくは、個々のモータの最大連続電流に個々のモータ端子間抵抗値を掛けた値を個々の推進力定数値で割ると共に個々の個別減速率で割った値、すなわち、各モータの出力の定格もしくは連続速度が最終的に作り出される1自由度の運動の速度として現れる連続した速度が全て同じになるように構成すれば良い。
【0067】
(駆動装置の第三実施例)
図8は、本発明の駆動装置の第三の態様に基づき実施した、本発明の第三実施例の駆動装置を示している。
本発明の第一実施例の駆動装置と第三実施例の駆動装置との相違点は(
図2と
図8の相違点は)、第三モータ63の取付向きとモータ直列配線34の違いである。その他の構成は第一実施例の駆動装置の構成と同じであるため詳述は省略する。
【0068】
本発明の駆動装置の第三実施例においては、第三モータ63の取付向きが第一モータ61と第二モータ62の取付向きとは逆に取り付けられている。
そのため、第一実施例の第三力伝達機構40の第三個別減速率と同じ第三個別減速率を備えた第三力伝達機構40を第三実施例で採用したとしても、第一実施例に示すようなモータ直列配線34を施すと、モータドライバ33から駆動電流を出力した際に、第三モータ63により駆動される回転軸84の出力向きは、第一モータ61と第二モータ62により駆動される回転軸84の出力向きとは逆になり、互いの出力が相殺されてしまう問題が発生する。そのため、第三実施例では、第三モータ63を直列配線する際に第一実施例とは逆の端子(図中、記号Pと記号N)に接続している。
【0069】
上記のように、
図8に示す本発明の駆動装置の第三実施例においても、第一実施例と同様、ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシ付きDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であり、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ直列配線34により直列に配線されており、加えてモータ直列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線された駆動装置31である。
【0070】
図8に示すような構成を行うことにより、第一実施例と同じく、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0071】
(駆動装置の第四実施例)
図9は、本発明の駆動装置の第四の態様に基づき実施した、本発明の第四実施例の駆動装置を示している。
本発明の第一実施例の駆動装置と第四実施例の駆動装置との相違点は(
図2と
図9の相違点は)、第三力伝達機構40とモータ直列配線34の違いである。その他の構成は第一実施例の駆動装置の構成と同じであるため詳述は省略する。
【0072】
本発明の駆動装置の第四実施例においては、第三力伝達機構40が第一歯車68と第二歯車69により構成されている。具体的には、第三モータ63の出力軸である第三モータ出力軸83に取り付けられた第一歯車68と、回転軸84に取り付けられた第二歯車69により第三力伝達機構40が構成されている。
第一実施例のプーリとタイミングベルトで構成した第三力伝達機構40により回転軸84に伝達される出力向きが、逆になる構成になっている。そのため、第一実施例に示すようなモータ直列配線34を施すと、モータドライバ33から駆動電流を出力した際に、第三モータ63により駆動される回転軸84の出力向きは、第一モータ61と第二モータ62により駆動される回転軸84の出力向きとは逆になり、互いの出力が相殺されてしまう問題が発生する。
そのため、第四実施例では、第三実施例と同様に、第三モータ63を直列配線する際に第一実施例とは逆の端子(図中、記号Pと記号N)に接続している。
【0073】
上記のように、
図9に示す本発明の駆動装置の第四実施例においても、第一実施例と同様、ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシ付きDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であり、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ直列配線34により直列に配線されており、加えてモータ直列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線された駆動装置31である。
【0074】
図9に示すような構成を行うことにより、第一実施例と同じく、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0075】
(駆動装置の第五実施例)
図10は、本発明の駆動装置の第五の態様に基づき実施した、本発明の第五実施例の駆動装置を示している。この第五実施例の駆動装置は、本発明の第二実施例の駆動装置と同じ構成により実施された駆動装置であり、その相違点は(
図5と
図10の相違点は)、モータ数(第二実施例では3台、第五実施例では2台)と力伝達機構(第二実施例では、第一力電伝達機構37と第二力伝達機構38と第三力伝達機構40から構成される力伝達機構37、第五実施例では、第一力電伝達機構37と第二力伝達機構38から構成される力伝達機構37)の違いである。その他の構成は第二実施例の駆動装置の構成と同じであるため詳述は省略する。
ここでは、モータに流れる電流であるモータ電流36に関して説明を付け加えておく。
【0076】
図10に例示しているモータドライバ33の駆動状態は、スイッチング素子41とスイッチング素子44をOnするとともに、スイッチング素子42とスイッチング素子43をOffしてる状況であり、モータ電流36を描写している矢印の向きに電流が流れていることを図示している。
【0077】
図11は、
図10に例示している状態で駆動されているモータ出力回転向きを反転させるために、スイッチング素子41とスイッチング素子44をOnからOffにするとともに、スイッチング素子42とスイッチング素子43をOffからOnにした瞬間に流れているモータ電流36を図示している図であり、モータ電流36を描写している矢印の向きに電流が流れていることを図示している。
【0078】
図10のモータ電流36の流れる向きと逆向きの電流を流す様に
図10に示すモータドライバ33の状態(スイッチング素子のOnとOff)を切り替えた直後に、何故、
図11のようにモータ電流が流れるのかについて説明をする。
この主な理由は、電流にはいったん流れ始めた電流は流れ続けようとする性質があり、特にモータに含まれるコイル要素に流れる電流を切ろうとしてもすぐには切れないと言う性質に起因している。
すなわち、
図10のモータ電流36の流れる向きと逆向きの電流を流す様に
図10に示すモータドライバ33の状態(スイッチング素子のOnとOff)を切り替えても、直ぐにはモータ電流36は反転する訳ではなく、
図10に示すモータ電流36の勢いが衰えた後でモータ電流は反転して流れる。
図10と
図11の実施例図においては、モータドライバ33の状態を
図10の状態から切り替えた直後のモータ電流36は、スイッチング素子42に並列に導入されたダイオード52と、スイッチング素子43に並列スイッチング素子に並列に導入されたダイオード53を流れ、ロボット駆動電源32に流れこむように構成されている。
すなわち、モータドライバ33の状態を
図10の状態から切り替えた直後のモータ電流36によって、スイッチング素子42とスイッチング素子43に火花が発生して破損することを防ぐために、スイッチング素子と並列にダイオードが導入されている。
【0079】
このように、1つのブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、少なくとも2つ以上のブラシ付きDCモータを直列に配線した駆動装置において、モータ電流36の向きを反転させるためにモータドライバ33の状態を切り替えても、モータドライバ33から外側の配線は仮想的な1つのブラシ付きDCモータと等価であるため、モータドライバ32の切り替え直後のモータ電流36によりモータドライバ32を壊すことなくモータ電流36の向きを反転することが可能である。
【0080】
(1つのモータドライバで2つ以上のモータを駆動した時に不具合が発生する比較事例)
図2と
図5と
図8から
図11では、1つのブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、少なくとも2つ以上のブラシ付きDCモータを直列に配線した駆動装置についての実施例図を示してきた。
1つのブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、少なくとも2つ以上のブラシ付きDCモータを並列に配線した駆動装置においては、その構成方法によっては好ましく無い状況が発生することがあり、
図12と
図13を用いてその実例を紹介する。
【0081】
図12は、異なる特性を有するブラシ付きDCモータを2台、1つのブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、並列配線35により、並列に配線した並列接続した駆動装置である。本発明の第五実施例の駆動装置と
図12に示す実施例の駆動装置との相違点は(
図10と
図12の相違点は)、モータの配線(第五実施例ではモータ直列配線34、
図12ではモータ並列配線35)である。
その他の構成(例えば、モータドライバ33や力伝達機構)は第五実施例の駆動装置の構成と同じであり、同じ構成に関する部分の詳述は省略する。
にも拘わらず、
図12に示す実施例の駆動装置では好ましく無い状況が発生するため、以下で詳述する。
【0082】
図12に例示しているモータドライバ33の駆動状態は、
図10と同じく、スイッチング素子41とスイッチング素子44をOnするとともに、スイッチング素子42とスイッチング素子43をOffしている状況である。
図12と
図10の違いは、モータの配線(
図12ではモータ並列配線35、第五実施例ではモータ直列配線34)により、
図12に示す例図の駆動装置では、
図12に示すようなモータ電流36が流れる。モータ電流36を描写している矢印の向きは、電流が流れている方向を図示している。
図12に示すように、サーボドライバ33の外側において、電流は並列に接続されたモータに分かれて流れている。
【0083】
図13は、
図12に例示している状態で駆動されているモータ出力回転向きを反転させるために、スイッチング素子41とスイッチング素子44をOnからOffにするとともに、スイッチング素子42とスイッチング素子43をOffからOnにした瞬間で且つ
図12において流れている電流が小さかった第一モータ61の電流が衰えた後に、流れているモータ電流36を図示している図であり、モータ電流36を描写している矢印の向きに電流が流れていることを図示している。
【0084】
図12に示す実施例でも説明したように、電流にはいったん流れ始めた電流は流れ続けようとする性質があり、特にモータに含まれるコイル要素に流れる電流を切ろうとしてもすぐには切れないと言う性質を有している。
そのため、
図12のモータ電流36の流れる向きと逆向きの電流を流す様に
図12に示すモータドライバ33の状態(スイッチング素子のOnとOff)を切り替えても、
図12に図示しているモータ電流は衰えるまで流れようとする。
図12に示す実施例では、モータドライバ33に対して第一モータ61と第二モータ62を並列に接続したため、モータドライバ33の状態を
図12の状態から
図13のように切り替えた直後のモータ電流36は、第一モータ61に流れていた電流が衰えても第二モータ62に流れている電流が衰えていないと、
図13に示すモータ電流36のように電流が流れる。そのため、第一モータ61と第二モータ62の回転向きが反転し、駆動系に負荷がかってしまう不具合が発生する。
【0085】
このように、1つのブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、特性が異なる少なくとも2つ以上のブラシ付きDCモータを並列に配線した駆動装置は好ましく無い状況が発生する。同様に、1つのブラシレスDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、特性が異なる少なくとも2つ以上のブラシレスDCモータを並列に配線した駆動装置にも同様の不具合な状況が発生する。
【0086】
(駆動装置の第六実施例)
図14は、本発明の駆動装置の第六の態様に基づき実施した、本発明の第六実施例の駆動装置を示している。
本発明の第一実施例の駆動装置と第六実施例の駆動装置との相違点は(
図2と
図14の相違点は)、モータの配線(第五実施例ではモータ直列配線34、第六実施例ではモータ並列配線35)である。その他の構成(例えば、モータドライバ33や力伝達機構)は第五実施例の駆動装置の構成と同じであり、同じ構成に関する部分の詳述は省略する。
一方、本発明の第六実施例の駆動装置と
図12に示す実施例の駆動装置との相違点は(
図14と
図12の相違点は)、モータ数(第六実施例では3台、
図12に示す実施例では2台)と力伝達機構(第六実施例では、第一力電伝達機構37と第二力伝達機構38と第三力伝達機構40から構成される力伝達機構37、
図12に示す実施例では、第一力電伝達機構37と第二力伝達機構38から構成される力伝達機構37)と採用するモータの特性の違いである。モータ数の相違は数を合わせれば良いため、モータ数の相違による説明は省略する。以下では、
図14に示す実施例六の駆動装置31に採用している力伝達機構37と採用するモータに関して説明をする。
【0087】
本発明の駆動装置の第六実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシ付きDCモータを採用している。そのため、各モータに流れるモータ電流はほぼ均等に流れる。そのため、モータに流す電流を反転させるためにモータドライバ33の状態を切り替えた直後のモータ電流36も、ほぼ均等に衰え、駆動系に負荷をかけることなくモータ電流36の向きを反転することができる。
すわなち、1つのブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、少なくとも2つ以上のブラシ付きDCモータを並列に配線した駆動装置においては、全て同じ特性を有するモータを採用することにより、
図13に例示した不具合を解消することができる。
なお、実際には、カタログ等に掲載されているモータの特性を表わす値は、製造バラつきにより厳密にカタログ値通りの特性を有するモータとは言い難いが、多少の特性の違いがあっても実用上は問題ない。
【0088】
加えて、本発明の駆動装置の第六実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシ付きDCモータを採用しているため、第一実施例と同様、第一個別減速率と第二個別減速率と第三個別減速率が全て等しくなるように、第一力伝達機構38と第二力伝達機構39と第三力伝達機構40を構成している。
【0089】
また、モータ並列配線35を、モータドライバ33から駆動電流を出力した際にブラシ付きDCモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線を行っている。
【0090】
例図の力伝達機構37では、プーリとタイミングベルトから構成されるベルト式伝達機構を用いて図示している。そのため、
図3に示すように、作り出される1自由度の運動の位置に対して、より具体的には、回転軸84を回転中心に生成される回転角に対して、個別減速率は一定値で全て同じ値である。力伝達機構37の個別減速率が、1自由度の運動の位置に対して可変である場合には、
図4に示す様に、作り出される1自由度の運動の位置に対して変化する個別減速率が全て同じであれば良い。
【0091】
また、例図では回転型のモータを用いて構成しているが、直動型のモータを用いて構成しても良い。
【0092】
上記のように、
図14に示す本発明の駆動装置の第六実施例においては、ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシ付きDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であり、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ並列配線34により並列に配線されており、加えてモータ並列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線された駆動装置31である。
【0093】
図14に示すような構成をすることにより、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0094】
また、第一モータ61の出力軸の反対側の軸に装着された第一運動検出センサ64をモータドライバ33に配線し、回転軸84回りの運動を制御するが実現できる。
【0095】
(駆動装置の第七実施例)
図15は、本発明の駆動装置の第七の態様に基づき実施した、本発明の第七実施例の駆動装置を示している。
本発明の第六実施例の駆動装置と第七実施例の駆動装置との相違点は(
図14と
図15の相違点は)、第三力伝達機構40とモータ直列配線34の違いである。
この相違点は、本発明の第一実施例の駆動装置と第四実施例の駆動装置との相違点(
図2と
図9の相違点)と同じであり、相違点に基づく構成手法も同じであるため、ここではその詳述を省略する。
【0096】
上記のように、
図15に示す本発明の駆動装置の第七実施例においても、第一実施例と同様、ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシ付きDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であり、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ並列配線35により並列に配線されており、加えてモータ並列配線35はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線された駆動装置31である。
【0097】
図15に示すような構成を行うことにより、第六実施例と同じく、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0098】
(駆動装置の第八実施例)
図16は、この発明の駆動装置の第八の態様に基づき実施した、この発明の第八実施例の駆動装置を示している。
本発明の第六実施例の駆動装置と第八実施例の駆動装置との相違点は(
図14と
図16の相違点は)、採用しているモータ(第六実施例ではブラシ付きDCモータ、第八実施例ではブラシレスDCモータ)とサーボドライバ33と駆動装置31の組み上げ注意の違いである。その他の構成(例えば、力伝機構37)は第六実施例の駆動装置の構成と同じであり、同じ構成に関する部分の詳述は省略する。
【0099】
本発明の駆動装置の第八実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシレスDCモータを採用している。そのため、各モータに流れるモータ電流はほぼ均等に流れる。そのため、モータに流す電流を反転させるためにモータドライバ33の状態を切り替えた直後のモータ電流36も、ほぼ均等に衰え、駆動系に負荷をかけることなくモータ電流36の向きを反転することができる。
すわなち、1つのブラシレスDCモータを駆動するモータドライバ33に対して、少なくとも2つ以上のブラシレスDCモータを並列に配線した駆動装置においても、全て同じ特性を有するモータを採用することにより、
図13に例示した不具合を解消することができる。
なお、実際には、カタログ等に掲載されているモータの特性を表わす値は、製造バラつきにより厳密にカタログ値通りの特性を有するモータとは言い難いが、多少の特性の違いがあっても実用上は問題ない。
【0100】
また、本発明の駆動装置の第八実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシレスDCモータを採用しているため、モータドライバ33にはブラシレスDCモータを駆動するモータドライバを採用している。
【0101】
例図のモータドライバ33は、プラス出力のみを出力するモータ電源32を用いてブラシレスDCモータの出力を正転および反転の両方向に回転することができるように、モータドライバ33をスイッチング素子を6つ用いた回路で構成している。
また、スイッチング素子に並列に導入されたダイオードは、スイッチング素子を切り替えた瞬間のモータ電流による磁気的エネルギーをロボット駆動電源32に戻すことにより、スイッチング素子を保護するため導入されている。例図のスイッチング素子にはトランジスタを用いて実施例図を図示しているが、これらは例示にすぎず、MOSFETでも良く、特許請求の範囲を限定するものではない。
加えて、プラス出力とマイナス出力の両出力が可能なモータ電源を用いてブラシレスDCモータの出力を正転もしくは反転の片側方向にのみ回転する用途であれば、モータドライバ33をスイッチング素子を3つ用いた回路で構成しても良い。
すなわち、
図16に例示しているモータ電源32とモータドライバ33は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0102】
一方、モータドライバでブラシレスDCモータを駆動するためには、ブラシレスDCモータの出力位置に基づき、より正確に言えばブラシレスDCモータのロータとステータの位置関係に基づき、スイッチング素子を適切にスイッチングする必要がある。そのため、
図16においては、第一モータ61の出力位置を検出するために第一モータ61の出力軸の反対側の軸に装着され第一運動検出センサ64をモータドライバ33に接続している。
【0103】
加えて、本発明の駆動装置の第八実施例においては、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63は全て同じ特性を有するブラシレスDCモータを採用し、それぞれが並列に配線されているため、全てのブラシレスDCモータの出力位置を検出する必要はなく、どれか1つのモータの出力位置を検出する運動検出センサを1つ用いれば良い。
【0104】
ここで、実施例図においては、1つのモータドライバ33と3つのブラシレスDCモータと1つの運動検出センサにより1自由度の運動を作り出しているために、駆動装置31の組み上げ時に注意が必要である。何故、注意が必要であるかと言えば、第一モータ61のロータとステータの位置関係は、第二モータ62のロータとステータの位置関係とは異なっている可能性があるためである。
実施例図の構成においては、第一モータ61の出力は第一力伝達機構38を介し、また第二モータ62の出力は第二力伝達機構39を介し、互いにリンクされた構成になっている。組み上げ時に、第一モータ61のロータとステータの位置関係と第二モータ62のロータとステータの位置関係が異なる状態で組み上げられると、モータドライバ33から駆動電流が流れた際に、第一力伝達機構38と第二力伝達機構39の間で内力が発生する。同様に、第一モータ61のロータとステータの位置関係は、第三モータ63のロータとステータの位置関係とは異なっている可能性があり、組み上げ時に、第一モータ61のロータとステータの位置関係と第三モータ63のロータとステータの位置関係が異なる状態で組み上げられると、モータドライバ33から駆動電流が流れた際に、第一力伝達機構38と第三力伝達機構40の間で内力が発生する。
加えて、第二モータ62のロータとステータの位置関係は、第三モータ63のロータとステータの位置関係とは異なっている可能性もあり、組み上げ時に、第二モータ62のロータとステータの位置関係と第三モータ63のロータとステータの位置関係が異なる状態で組み上げられると、モータドライバ33から駆動電流が流れた際に、第二力伝達機構39と第三力伝達機構40の間で内力が発生する。
【0105】
この問題を回避するために、実際に組み上げる際には、採用したブラシレスDCモータ(例図では、第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)によって力伝達機構37に内力が発生しないように調整している。
この構成方法に関しては、いくつか考えられる。
第一の調整例としては、実際に組み上げる際に、モータドライバ33から並列配線35により接続された全てのブラシレスDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)に印加電圧を出力することにより、一端、全てのブラシレスDCモータがマグネットトルクで静止した状態を作り出す。この全てのブラシレスDCモータがマグネットトルクで静止した状況で、個々のモータと個々のモータ取付プレートの取り付けを調整する。
第二の調整方法としては、同じく、全てのブラシレスDCモータがマグネットトルクで静止した状況で、個々のモータと個々の力伝達機構の取り付けを調整する。
第一の調整方法と第二の調整方法を組み合わせても良い。
駆動装置31を組み上げ時にこのような調整を施せば、力伝達機構37に不要な内力を発生する問題を回避することができる。
【0106】
また、モータ並列配線35を、モータドライバ33から駆動電流を出力した際にブラシレスDCモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線を行っている。
【0107】
例図の力伝達機構37では、プーリとタイミングベルトから構成されるベルト式伝達機構を用いて図示している。そのため、
図3に示すように、作り出される1自由度の運動の位置に対して、より具体的には、回転軸84を回転中心に生成される回転角に対して、個別減速率は一定値で全て同じ値である。
力伝達機構37の個別減速率が、1自由度の運動の位置に対して可変である場合には、
図4に示す様に、作り出される1自由度の運動の位置に対して変化する個別減速率が全て同じであれば良い。
【0108】
また、例図では回転型のモータを用いて構成しているが、直動型のモータを用いて構成しても良い。
【0109】
上記のように、
図16に示す本発明の駆動装置の第八実施例においては、ブラシレスDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシレスDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、第一モータ61の出力位置を検出する第一運動検出センサ64を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63と第一運動検出センサ64により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であり、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ並列配線34により並列に配線されており、加えてモータ並列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線され、更にはモータドライバ33から並列配線35により接続された全てのブラシレスDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)に印加電圧を出力することにより全てのブラシレスDCモータがマグネットトルクで静止した状態を作り出し、この状況でモータの取り付けるもしくは力伝達機構37を組み上げるもしくはモータの取り付けると共に力伝達機構37を組み上げられた駆動装置31である。
【0110】
図16に示すような構成を行うことにより、第六実施例と同じく、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0111】
また、第一運動検出センサ64の値を用いてモータドライバ33の出力を制御することにより、回転軸84回りの運動を制御するが実現できる。
【0112】
(駆動装置の第九実施例)
図17は、本発明の駆動装置の第九の態様に基づき実施した、本発明の第九実施例の駆動装置を示している。
本発明の第八実施例の駆動装置と第九実施例の駆動装置との相違点は(
図16と
図17の相違点は)、第三モータ63の取付向きとモータ並列配線35の違いである。この相違点は、本発明の第一実施例の駆動装置と第三実施例の駆動装置との相違点(
図2と
図8の相違点)と同じであり、相違点に基づく構成手法も同じであるため、ここではその詳述を省略する。
【0113】
上記のように、
図17に示す本発明の駆動装置の第九実施例においては、第八実施例と同様に、ブラシレスDCモータを駆動するモータドライバ33を1つ備えるとともに、3台のブラシレスDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)を備え、第一モータ61の出力位置を検出する第一運動検出センサ64を備え、モータドライバ33と第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63と第一運動検出センサ64により、回転軸84を回転中心に第一リンク66と第二リンク67の相対姿勢を変える関節を駆動できるようにした駆動装置31であり、各モータの出力を回転軸84の出力に伝達するため力伝達機構37を設け、モータは全て同じ特性を有するモータであると共に、力伝達機構37は各個別減速率が全て等しくなるように構成されており、モータドライバ33に対して各モータがモータ並列配線34により並列に配線されており、加えてモータ並列配線34はモータドライバ33から駆動電流を出力した際にモータの個々の出力により駆動される回転軸84の出力向きである個別出力向きが互いに同じ向きになるように配線され、更にはモータドライバ33から並列配線35により接続された全てのブラシレスDCモータ(第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63)に印加電圧を出力することにより全てのブラシレスDCモータがマグネットトルクで静止した状態を作り出し、この状況でモータの取り付けるもしくは力伝達機構37を組み上げるもしくはモータの取り付けると共に力伝達機構37を組み上げられた駆動装置31である。
【0114】
図17に示すような構成を行うことにより、第八実施例と同じく、モータドライバ33に接続された第一モータ61と第二モータ62と第三モータ63への負担が均等に分散されると共に、互いの出力が相殺することなく駆動装置の出力を効果的に得ることが可能であり、高い出力を得ることができ、高出力化が実現できる。
【0115】
(人間型ロボットの第一実施例)
図18は、この発明の人間型ロボットの第一の態様に基づき実施した、この発明の第一実施例の人間型ロボットの脚(右脚)を示す右前方から見た傾斜図である。
また、
図19は、上記人間型ロボットの脚(右脚)を示す左前方から見た傾斜図である。
図1、
図2、
図5、
図8から
図17と同じ符号については同じ部材を示しており、符号の数字に付属のCPとKPとAPは、それぞれ股ピッチ関節と膝ピッチ関節と足首ピッチ関節を駆動するための部材であることを示している。また、配線に関しては省略し図示していない。
加えて、大腿リンク14と下腿リンク15と大腿リンク外側カバー101と大腿リンク内側カバー102と下腿リンク外側カバー103と下腿リンク内側カバー104は、リンク内に配置している部品位置が分かりやすいように半透明で図示している。
更に、大腿リンク外側カバー101と大腿リンク内側カバー102は大腿リンク14から外した状態で図示しており、下腿リンク外側カバー103と下腿リンク内側カバー104も下腿リンク15から外した状態で図示している。
【0116】
図18と
図19に示す本発明の第一実施例の人間型ロボットの実施例図においては、人間型ロボット1の股ピッチ関節駆動に本発明の第八実施例の駆動装置を、人間型ロボット1の膝ピッチ関節駆動に本発明の第一実施例の駆動装置を、人間型ロボット1の足首ピッチ関節駆動に本発明の第八実施例の駆動装置を用いている。
【0117】
股ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシレスDCモータを用いている。第一モータ61CPと第二モータ62CPには、Maxon製のブラシレスDCモータ(Maxon 型番118890、公称駆動電圧48V)を用いている。両モータは、共に大腿リンク14Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、大腿リンク14Rの中に配置されたモータドライバ33CP(ブラシレスDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ並列配線35により並列に配線されている。
力伝達機構37CPは、第一力伝達機構38CPと第二力伝達機構39CPにより構成されている。
第一力伝達機構38CPは、第一モータ61CPの出力軸である第一モータ出力軸81CPに取り付けられた第一プーリ71CPと波動歯車装置91CPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92CPとタイミングベルト93CPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91CPを組み合わせることで構成されている。波動歯車装置91CPの出力軸である回転軸84CPを股ピッチ関節回転軸23Rと重なるように、波動歯車装置91CPを大腿リンク14Rの中に配置し、波動歯車装置91CPの出力軸を股第二リンク13Rに接続している。
第二力伝達機構39CPは、第二モータ62CPの出力軸である第二モータ出力軸82CPに取り付けられた第二プーリ72CPと波動歯車装置91CPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92CPとタイミングベルト93CPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91CPを組み合わせることで構成されている。
第一力伝達機構38CPと第二力伝達機構39CPは波動歯車装置91CPと中間プーリ92CPとタイミングベルト93CPを共用して構成されている。
このような構成をすることにより、大腿リンク14Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、股ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61CPには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64CPが装着されており、第一運動検出センサ64CPを用いることで股ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0118】
膝ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシ付きDCモータを用いている。第一モータ61KPと第二モータ62KPには、Maxon製のブラシレス付きDCモータ(Maxon 型番148867、公称駆動電圧24V)を用いている。両モータは、共に大腿リンク14Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、大腿リンク14Rの中に配置されたモータドライバ33KP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ直列配線34により直列に配線されている。
力伝達機構37KPは、第一力伝達機構38KPと第二力伝達機構39KPにより構成されている。
第一力伝達機構38KPは、第一モータ61KPの出力軸である第一モータ出力軸81KPに取り付けられた第一プーリ71KPと波動歯車装置91KPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91KPを組み合わせることで構成されている。波動歯車装置91KPの出力軸である回転軸84KPを膝ピッチ関節回転軸24Rと重なるように、波動歯車装置91KPを大腿リンク14Rの中に配置し、波動歯車装置91KPの出力軸を下腿リンク15Rに接続している。
第二力伝達機構39KPは、第二モータ62KPの出力軸である第二モータ出力軸82KPに取り付けられた第二プーリ72KPと波動歯車装置91KPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91KPを組み合わせることで構成されている。
第一力伝達機構38KPと第二力伝達機構39KPは波動歯車装置91KPと中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPを共用して構成されている。
このような構成をすることにより、大腿リンク14Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、膝ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61KPには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64KPが装着されており、第一運動検出センサ64KPを用いることで膝ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0119】
足首ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシレスDCモータを用いている。第一モータ61APと第二モータ62APには、FAULHARBER製のブラシレスDCモータ(FAULHARBER 型番3564K048B、公称駆動電圧48V)を用いている。両モータは、共に下腿リンク15Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、下腿リンク15Rの中に配置されたモータドライバ33AP(ブラシレスDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ並列配線35により並列に配線されている。
力伝達機構37APは、第一力伝達機構38APと第二力伝達機構39APにより構成されている。
第一力伝達機構38APは、第一モータ61APの出力軸である第一モータ出力軸81APに取り付けられた第一プーリ71APと波動歯車装置91APの入力軸に取り付けられた中間プーリ92APとタイミングベルト93APにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91APを組み合わせることで構成されている。波動歯車装置91APの出力軸である回転軸84APを足首ピッチ関節回転軸25Rと重なるように、波動歯車装置91APを下腿リンク15Rの中に配置し、波動歯車装置91APの出力軸を足首リンク16Rに接続している。
第二力伝達機構39APは、第二モータ62APの出力軸である第二モータ出力軸82APに取り付けられた第二プーリ72APと波動歯車装置91APの入力軸に取り付けられた中間プーリ92APとタイミングベルト93APにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91APを組み合わせることで構成されている。第一力伝達機構38APと第二力伝達機構39APは波動歯車装置91APと中間プーリ92APとタイミングベルト93APを共用して構成されている。
このような構成をすることにより、下腿リンク15Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、足首ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61APには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64APが装着されており、第一運動検出センサ64APを用いることで足首ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0120】
(人間型ロボットの第二実施例)
図20は、この発明の人間型ロボットの第二の態様に基づき実施した、この発明の第二実施例の人間型ロボットの脚(右脚)を示す右前方から見た傾斜図である。
また、
図21は、上記人間型ロボットの脚(右脚)を示す左前方から見た傾斜図である。
図1、
図2、
図5、
図8から
図19と同じ符号については同じ部材を示しており、符号の数字に付属のCPとKPとAPは、それぞれ股ピッチ関節と膝ピッチ関節と足首ピッチ関節を駆動するための部材であることを示している。また、配線に関しては省略し図示していない。
加えて、大腿リンク14と下腿リンク15と大腿リンク外側カバー101と大腿リンク内側カバー102と下腿リンク外側カバー103と下腿リンク内側カバー104は、リンク内に配置している部品位置が分かりやすいように半透明で図示している。
更に、大腿リンク外側カバー101と大腿リンク内側カバー102は大腿リンク14から外した状態で図示しており、下腿リンク外側カバー103と下腿リンク内側カバー104も下腿リンク15から外した状態で図示している。
【0121】
図20と
図21に示す本発明の第二実施例の人間型ロボットの実施例図においては、人間型ロボット1の股ピッチ関節駆動に本発明の第一実施例の駆動装置を、人間型ロボット1の膝ピッチ関節駆動に本発明の第二実施例の駆動装置を、人間型ロボット1の足首ピッチ関節駆動に本発明の第一実施例の駆動装置を用いている。
【0122】
股ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシ付きDCモータを用いている。
第一モータ61CPと第二モータ62CPには、Maxon製のブラシ付きDCモータ(Maxon 型番323890、公称駆動電圧24V)を用いている。両モータは、共に大腿リンク14Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、大腿リンク14Rの中に配置されたモータドライバ33CP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ直列配線34により直列に配線されている。
力伝達機構37CPは、第一力伝達機構38CPと第二力伝達機構39CPにより構成されており、本発明の第一実施例の人間型ロボットの股ピッチ関節を駆動している力伝達機構37CPと同じ構成である。
このような構成をすることにより、第一実施例と同じく、大腿リンク14Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、股ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61CPには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64CPが装着されており、第一運動検出センサ64CPを用いることで股ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0123】
膝ピッチ関節を駆動するため、3つのブラシ付きDCモータを用いている。
第一モータ61KPには、FAULHARBER製のブラシ付きDCモータ(FAULHARBER 型番2342S0006CR、公称駆動電圧6V)を用い、第二モータ62KPにはFAULHARBER製のブラシ付きDCモータ(FAULHARBER 型番3257G024CR、公称駆動電圧24V)を用い、第三モータ63KPにはKOLLMORGEN製のブラシ付きDCモータ(KOLLMORGEN 型番S6M4H、公称駆動電圧17.7V)を用いている。3つのモータは、共に大腿リンク14Rの中に配置されている。
特に、第三モータ63KPを、大腿リンク14Rにおいて比較的デッドスペースになりがちな膝関節付近に、その出力軸である第三モータ出力軸83とKP膝ピッチ関節回転軸24Rが重なるように配置することにより、限られた大腿リンク14R内のスペースを有効に利用している。
また、これらのモータは、大腿リンク14Rの中に配置されたモータドライバ33KP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ直列配線34により直列に配線されている。
力伝達機構37KPは、第一力伝達機構38KPと第二力伝達機構39KPと第三力伝達機構40KPにより構成されている。
第一力伝達機構38KPは、第一モータ61KPの出力軸である第一モータ出力軸81KPに取り付けられた第一プーリ71KPと波動歯車装置91KPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91KPを組み合わせることで構成されている。波動歯車装置91KPの出力軸である回転軸84KPを膝ピッチ関節回転軸24Rと重なるように、波動歯車装置91KPを大腿リンク14Rの中に配置し、波動歯車装置91KPの出力軸を下腿リンク15Rに接続している。
第二力伝達機構39KPは、第二モータ62KPの出力軸である第二モータ出力軸82KPに取り付けられた第二プーリ72KPと波動歯車装置91KPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91KPを組み合わせることで構成されている。
第三力伝達機構40KPは、第二力伝達機構39KPと二段目第三力伝達機構を組み合わせて構成されている。
二段目第三力伝達機構は、第三モータ63KPの出力軸である第三モータ出力軸83KPに取り付けられた二段目第一プーリ94KPと、第二モータ62KPの出力軸である第二モータ出力軸82KPであって第二プーリ72KPが取り付けられていない側の出力軸に取り付けられた二段目第二プーリ95KPと、二段目タイミングベルト96KPから構成されるベルト式伝達機構で構成されている。
第一力伝達機構38KPと第二力伝達機構39KPと第三力伝達機構40KPは、波動歯車装置91KPと中間プーリ92KPとタイミングベルト93KP等を共用して構成されている。
このような構成をすることにより、大腿リンク14Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、膝ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61KPには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64KPが装着されており、第一運動検出センサ64KPを用いることで膝ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0124】
足首ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシ付きDCモータを用いている。
第一モータ61APと第二モータ62APには、Maxon製のブラシレス付きDCモータ(Maxon 型番323890、公称駆動電圧24V)を用いている。両モータは、共に下腿リンク15Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、下腿リンク15Rの中に配置されたモータドライバ33AP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ直列配線34により直列に配線されている。
力伝達機構37APは、第一力伝達機構38APと第二力伝達機構39APにより構成されており、本発明の第一実施例の人間型ロボットの足首ピッチ関節を駆動している力伝達機構37APと同じ構成である。
このような構成をすることにより、第一実施例と同じく、下腿リンク15Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、足首ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61APには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64APが装着されており、第一運動検出センサ64APを用いることで足首ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0125】
(人間型ロボットの第三実施例)
図22は、この発明の人間型ロボットの第三の態様に基づき実施した、この発明の第三実施例の人間型ロボットの脚(右脚)を示す右前方から見た傾斜図である。
また、
図23は、上記人間型ロボットの脚(右脚)を示す左前方から見た傾斜図である。
図1、
図2、
図5、
図8から
図21と同じ符号については同じ部材を示しており、符号の数字に付属のCPとKPとAPは、それぞれ股ピッチ関節と膝ピッチ関節と足首ピッチ関節を駆動するための部材であることを示している。また、配線に関しては省略し図示していない。
加えて、大腿リンク14と下腿リンク15と大腿リンク外側カバー101と大腿リンク内側カバー102と下腿リンク外側カバー103と下腿リンク内側カバー104は、リンク内に配置している部品位置が分かりやすいように半透明で図示している。
更に、大腿リンク外側カバー101と大腿リンク内側カバー102は大腿リンク14から外した状態で図示しており、下腿リンク外側カバー103と下腿リンク内側カバー104も下腿リンク15から外した状態で図示している。
【0126】
図22と
図23に示す本発明の第三実施例の人間型ロボットの実施例図においては、人間型ロボット1の股ピッチ関節駆動に本発明の第六実施例の駆動装置を、人間型ロボット1の膝ピッチ関節駆動に本発明の第二実施例の駆動装置を、人間型ロボット1の足首ピッチ関節駆動に本発明の第六実施例の駆動装置を用いている。
【0127】
股ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシ付きDCモータを用いている。
第一モータ61CPと第二モータ62CPには、Maxon製のブラシ付きDCモータ(Maxon 型番148877、公称駆動電圧48V)を用いている。両モータは、共に大腿リンク14Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、大腿リンク14Rの中に配置されたモータドライバ33CP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ並列配線35により並列に配線されている。
力伝達機構37CPは、第一力伝達機構38CPと第二力伝達機構39CPにより構成されており、本発明の第一実施例の人間型ロボットの股ピッチ関節を駆動している力伝達機構37CPと同じ構成である。
このような構成をすることにより、第一実施例と同じく、大腿リンク14Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、股ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61CPには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64CPが装着されており、第一運動検出センサ64CPを用いることで股ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0128】
膝ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシ付きDCモータを用いている。
第一モータ61KPには、Portescap製のブラシ付きDCモータ(Portescap 型番35NT2R82426SP、公称駆動電圧32V)を用い、第二モータ62KPには、KOLLMORGEN製のブラシ付きDCモータ(KOLLMORGEN 型番S6M4H、公称駆動電圧17.7V)を用いている。両モータは、共に大腿リンク14Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、大腿リンク14Rの中に配置されたモータドライバ33KP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ直列配線34により直列に配線されている。
力伝達機構37KPは、第一力伝達機構38KPと第二力伝達機構39KPより構成されている。
第一力伝達機構38KPは、第一モータ61KPの出力軸である第一モータ出力軸81KPに取り付けられた第一プーリ71KPと波動歯車装置91KPの入力軸に取り付けられた中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPにより構成されるベルト式伝達機構と、波動歯車装置91KPを組み合わせることで構成されている。波動歯車装置91KPの出力軸である回転軸84KPを膝ピッチ関節回転軸24Rと重なるように、波動歯車装置91KPを大腿リンク14Rの中に配置し、波動歯車装置91KPの出力軸を下腿リンク15Rに接続している。
第二力伝達機構39KPは、第一力伝達機構38KPと二段目第二力伝達機構を組み合わせて構成されている。二段目第二力伝達機構は、第二モータ62KPの出力軸である第二モータ出力軸82KPに取り付けられた二段目第一プーリ94KPと、第一モータ61KPの出力軸である第一モータ出力軸81KPであって第一プーリ71KPが取り付けられていない側の出力軸に第一モータ61KPの運動を検出する第一運動検出センサ64KPを介して取り付けられた二段目第二プーリ95KPと、二段目タイミングベルト96KPから構成されるベルト式伝達機構で構成されている。
第一力伝達機構38KPと第二力伝達機構39KPは、波動歯車装置91KPと中間プーリ92KPとタイミングベルト93KPを共用して構成されている。
このような構成をすることにより、大腿リンク14Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、膝ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61KPには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64KPが装着されており、第一運動検出センサ64KPを用いることで膝ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0129】
足首ピッチ関節を駆動するため、2つのブラシ付きDCモータを用いている。
第一モータ61APと第二モータ62APには、Maxon製のブラシ付きDCモータ(Maxon 型番148877、公称駆動電圧48V)を用いている。両モータは、共に下腿リンク15Rの中に配置されている。
また、これらのモータは、下腿リンク15Rの中に配置されたモータドライバ33AP(ブラシ付きDCモータを駆動するモータドライバ)に対して、図示されていないモータ並列配線35により並列に配線されている。
力伝達機構37APは、第一力伝達機構38APと第二力伝達機構39APにより構成されており、本発明の第一実施例の人間型ロボットの足首ピッチ関節を駆動している力伝達機構37APと同じ構成である。
このような構成をすることにより、第一実施例と同じく、下腿リンク15Rの限られたスペースにモータドライバとモータを配置しつつ、足首ピッチ関節の高出力化を図ることが可能になる。
加えて、第一モータ61APには第一モータの運動を検出する第一運動検出センサ64APが装着されており、第一運動検出センサ64APを用いることで足首ピッチ関節の運動を制御することが可能になる。
【0130】
図18から
図23に示すように、本発明の駆動装置を人間型ロボットの関節駆動に用いることにより、限られたロボットの体内スペースにモータドライバとモータを配置しつつ高出力化を図ることが可能になる。
【0131】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形し、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項の組み合わせを限定させるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。