(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セルバランシング回路における高電位ノードと低電位ノードとの間に前記放電抵抗に直列接続され、逆方向に電圧が印加されることを制限するダイオードをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセルバランシング回路の故障診断装置。
前記制御部は、セルバランシング回路を、前記バッテリーパック内で各セルが接続された位置によって少なくとも二つ以上のグループに分けることを特徴とする請求項1に記載のセルバランシング回路の故障診断装置。
前記制御部は、前記セルバランシング回路を、前記バッテリーパックの低電位端子から各セルの接続された位置によって奇数グループと偶数グループとに分けることを特徴とする請求項4に記載のセルバランシング回路の故障診断装置。
前記(b)段階における前記診断対象となる回路は、前記バッテリーパック内で各セルが接続された位置によって少なくとも二つ以上のグループに分けられることを特徴とする請求項13に記載のセルバランシング回路の故障診断方法。
前記(b)段階における前記診断対象となる回路は、前記バッテリーパックの低電位端子から各セルが接続された位置によって奇数グループと偶数グループとに分けられることを特徴とする請求項14に記載のセルバランシング回路の故障診断方法。
(d)前記セルバランシング回路に故障が発生した場合、故障発生の事実を視覚的または聴覚的に外部に通報する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のセルバランシング回路の故障診断方法。
【背景技術】
【0003】
近年、化石エネルギーの枯渇と環境汚染によって、化石エネルギーを使用することなく電気エネルギーを用いる電気自動車やハイブリッド自動車に対する関心が高くなり、これについての研究が活発に進みつつある。電気自動車やハイブリッド自動車には、自動車の駆動のための駆動モーターを駆動し、各種の電気装置が動作するのに必要な電力を供給するために、複数の二次電池セルから構成されたバッテリーパックを搭載する。このようなバッテリーパックに含まれた複数の二次電池セルは、安定性と寿命向上及び高出力を得るために各二次電池セルの電圧を均一に維持する必要がある。
【0004】
バッテリーパックに含まれた各二次電池セルの充電電圧を均一にバランシングする方法としては、電圧が相対的に低い二次電池セルに充電電流を供給して電圧を上昇させる方法、電圧が相対的に高い二次電池セルを放電して電圧を下降させる方法、各二次電池セルの電圧からバランシング目標電圧を決め、目標電圧よりも電圧が高い二次電池セルは放電し、目標電圧よりも電圧が低い二次電池セルは充電する方法など、多様な方法が用いられている。
【0005】
上記のようなセルバランシング方法は、各二次電池セルに接続されたセルバランシング回路によって具現される。セルバランシング回路は、セルバランシング動作の始めと終りを制御するためのスイッチング素子と、二次電池セルの電圧を放電するときに使用される放電抵抗を含む。
【0006】
ところで、セルバランシング回路を用いてセルバランシング動作が行われる過程において、瞬間的に過度な電流がセルバランシング回路に流入されるか、スイッチング素子に動作電圧以上の過電圧が印加されるか、または放電抵抗によって過度な熱が発生するなどの異常状況が発生すれば、バランシング回路に含まれた部品が短絡(short)または開放(open)され、回路が正常に動作しないという問題が発生する。
【0007】
セルバランシング回路が正常に動作しないと、該当回路に接続された二次電池セルの電圧が他の二次電池セルに比べて過度に高くなるかまたは低くなることで、バッテリーパックに接続された負荷の動作が急に停止したり、より激しい場合、バッテリーパックが爆発したりするような深刻な問題をもたらす恐れがある。
上記のような問題を解決するためには、セルバランシング回路の異常の有無を診断することができる診断回路が、セルバランシング回路に接続される必要がある。
【0008】
一例として、特許出願公開第2007−085847号(特許文献1)は、電界効果トランジスタ(FET)と放電抵抗からなるセルバランシング回路と、前記電界効果トランジスタのソースとドレーンとの間に挿入される抵抗を各二次電池セルに設け、互いに異なるレベルの基準電圧が印加される二つの比較器(comparator)を用いて、ソースとドレーンとの電圧差を前記抵抗から測定し、測定された電圧レベル(high、low)の組合せによってセルバランシング回路の異常の有無を判別するセルバランシング回路の異常有無検出装置を開示している。
【0009】
しかしながら、上記のような先行技術は、セルバランシング回路の異常の有無を検出するために診断回路という別途の回路構成が必要であり、さらに各診断回路には、二つの比較器を追加的に使用しなければならないので、セルバランシング回路に対する異常有無検出装置の製造費用を増加させるという問題がある。また、各セルに対応するセルバランシング回路の異常の有無は判別可能であるが、セルバランシング回路に含まれたセルバランシング回路全体が短絡または断線によって故障が発生する場合、上記のような回路構成ではセルバランシング回路の正確な故障原因を把握することができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、セルバランシング回路の故障の有無をより正確に診断することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するため、本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置は、複数のセルを含むバッテリーパックにおいて各セルに対応するセルバランシング回路の故障を診断する装置であって、各セルの両端子に接続された電圧センシングラインに並列接続され、セルバランシングスイッチ及び放電抵抗を含むセルバランシング回路と、前記セルバランシング回路とセル電圧センシングラインとが接続されたノード(高電位ノードと低電位ノード)を基準として、セル側の電圧センシングライン上に設けられた診断抵抗と、前記高電位ノードと低電位ノードとの電圧差(以下、ノード間電圧値とする)に該当する電圧を出力する電圧センシング回路と、前記セルバランシングスイッチをターンオフした状態でセンシングしたノード間電圧値(以下、セル電圧値とする)、及び前記セルバランシング回路のうち診断対象となるセルバランシング回路に隣接するセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチをターンオフし、診断対象のセルバランシング回路のセルバランシングスイッチをターンオンしてセンシングしたセルのノード間電圧値(以下、診断電圧値とする)を保存し、隣接するセル電圧値間の差値(以下、セル差値とする)及び隣接する診断電圧値間の差値(以下、診断差値とする)を算出し、セル差値と診断差値との差値(以下、判断値とする)の変化パターンを分析してセルバランシング回路の故障の有無を判別する制御部と、を含む。
【0013】
本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置は、前記セルバランシング回路における高電位ノードと低電位ノードとの間に前記放電抵抗に直列接続され、逆方向に電圧が印加されることを制限するダイオードをさらに含むことができる。
本発明の一実施態様によれば、前記セルバランシングスイッチは、電界効果トランジスタ(Field Effect Trasistor;FET)である。
【0014】
本発明による前記制御部は、セルバランシング回路を、前記バッテリーパック内で各セルが接続された位置によって少なくとも二つ以上のグループに分ける。一例として、前記制御部は、前記セルバランシング回路を、前記バッテリーパックの低電位端子から各セルが接続された位置によって奇数グループと偶数グループとに分けることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記制御部は、前記判断値の絶対値を算出して隣接する判断値と比較し、レベルが減少する判断値に対応するセルバランシング回路が故障状態にあると判別することができる。
本発明の別の実施態様によれば、前記制御部は、前記判断値の絶対値を算出して隣接する判断値と比較し、変化量が予め設定された基準変化値よりも大きい場合、対応するセルバランシング回路が故障状態にあると判別する。このために、本発明によるセルメモリー回路の故障診断装置は、前記基準変化値を保存するメモリー部をさらに含むことができる。
【0015】
本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置は、前記セルバランシング回路に故障が発生した場合、故障発生の事実を外部に通報する故障警報機をさらに含むことができる。ここで、前記制御部は、前記故障警報機を通じて視覚的または聴覚的にセルバランシング回路の故障発生の事実を通報する。
本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置は、セルバランシング回路の故障診断装置と、直列接続された複数の二次電池セルと、を含むバッテリーパックの一構成要素になることができる。
【0016】
本発明によるバッテリーパックは、バッテリーパックと、前記バッテリーパックから電力の供給を受ける負荷と、を含むバッテリー駆動システムの一構成要素になることができる。ここで、前記負荷は、電気駆動手段または携帯用機器であり得る。
【0017】
前記技術的課題を達成するための本発明によるセルバランシング回路の故障診断方法は、複数のセルを含むバッテリーパックにおいて、各セルの両端子に接続された電圧センシングラインに並列接続され、各セルに対応するセルバランシングスイッチ及び放電抵抗を含むセルバランシング回路と、前記セルバランシング回路とセル電圧センシングラインとが接続されたノード(高電位ノードと低電位ノード)を基準としてセル側の電圧センシングライン上に設けられた診断抵抗と、前記セルのノード間電圧差に該当する電圧を出力する電圧センシング回路と、を用いてセルバランシング回路の故障を診断する方法において、(a)前記セルバランシングスイッチを制御して前記セルバランシングスイッチをターンオフした状態で、セルバランシング回路のノード間電圧値を前記電圧センシング回路でセンシングする段階と、(b)前記セルバランシング回路のうち診断対象となるセルバランシング回路に隣接するセルバランシング回路に含まれたスイッチをターンオフした状態で、診断対象のセルバランシング回路のスイッチをターンオンし、セルのノード間電圧値(以下、診断電圧値とする)をセンシングする段階と、(c)隣接するセル電圧値間の差値(以下、セル差値とする)及び隣接する診断電圧値間の差値(以下、診断差値とする)を算出し、セル差値と診断差値との差値(判断値)の変化パターンを分析してセルバランシング回路の故障の有無を判別する段階と、を含む。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、前記(b)段階における前記診断対象となる回路は、前記バッテリーパック内で各セルが接続された位置によって少なくとも二つ以上のグループに分けられる。一例として、前記(b)段階における前記診断対象となる回路は、前記バッテリーパックの低電位端子から各セルが接続された位置によって奇数グループと偶数グループとに分けることができる。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、前記(c)段階は、前記判断値の絶対値を算出して隣接する判断値と比較し、レベルが減少する判断値に対応するセルバランシング回路が故障状態にあると判別する段階である。
本発明の一実施態様によれば、前記(c)段階は、前記判断値の絶対値を算出して隣接する判断値と比較し、変化量が予め設定された基準変化値よりも大きい場合、対応するセルバランシング回路が故障状態にあると判別する段階である。このために、本発明によるセルバランシング回路の故障診断方法は、前記(a)段階の前に、前記基準変化値を保存する段階をさらに含むことができる。
【0020】
本発明によるセルバランシング回路の故障診断方法は、(d)前記セルバランシング回路に故障が発生した場合、故障発生の事実を視覚的または聴覚的に外部に通報する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置及び方法によれば、従来の故障診断装置及び方法に比べてより正確に故障発生の有無を判断することができるという利点がある。特に、セルバランシングスイッチを制御するとき、若干の時間差が発生することがある。この場合、前記バッテリーパックに含まれたセルに電圧変化が発生することがあるが、このような変化を診断値の差値及び判断値から分析することで、故障発生の有無を正確に判別することができる。
【0022】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするためのものであって、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態によるセルバランシング回路の故障診断装置100の構成を概略的に示したブロック図である。
図1を参照すれば、本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置100(以下、「診断装置」とする)は、複数の二次電池セル11〜16を含むバッテリーパック10に接続されている。
【0026】
前記バッテリーパック10は、一つ以上の二次電池セル11〜16(以下、「セル」とする)を含むものであって、セル11〜16の種類は特に限定されない。それぞれのセル11〜16は、再充電が可能で、充電または放電電圧を考慮しなければならないリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などで構成することができる。また、前記バッテリーパック10に含まれるセル11〜16の数は、要求される出力電圧または充放電容量によって多様に設定することができる。しかし、本発明がセル11〜16の種類、出力電圧、充電容量などによって限定されることではない。
【0027】
本発明による診断装置100は、セルバランシング回路20、診断抵抗Rc、電圧センシング回路30、及び制御部40を含む。
前記セル11〜16の両端子には、電圧センシングラインL0〜L6が接続される。前記電圧センシングラインL0〜L6の一端は、各セル11〜16の端子に接続され、他端は、前記電圧センシング回路30に接続される。
【0028】
前記各電圧センシングラインL0〜L6は、それぞれのノード(n0〜n6)を含む。本明細書においては、前記ノードn0〜n6のうち、セルの高電位端子と低電位端子を基準として、高電位ノードと低電位ノードに区分する。一例として、セル11の低電位端子に接続された電圧センシングラインL0に含まれたノードn0及びセル11の高電位端子に接続された電圧センシングラインL1に含まれたノードn1をみる。ここで、ノードn0は低電位ノードになり、ノードn1は高電位ノードになる。別の例として、セル12の低電位端子に接続された電圧センシングラインL1に含まれたノードn1及びセル12の高電位端子に接続された電圧センシングラインL2に含まれたノードn2をみる。この場合、ノードn1は低電位ノードになり、ノードn2は高電位ノードになる。前記二つの例から分かるように、ノードn1は、セル11及びセル12によって高電位ノードにもなり、低電位ノードにもなる。したがって、前記ノードn0〜n6は、高電位ノードと低電位ノードが固定されたものではなく、セル11〜16によって相対的に決められる。
【0029】
前記セルバランシング回路20は、セルバランシングスイッチ21〜26と放電抵抗Rbを含む。前記セルバランシングスイッチ21〜26及び放電抵抗Rbの数は、前記バッテリーパック10に含まれた二次電池セル11〜16の数によって多様に変わる。前記セルバランシングスイッチ21〜26と放電抵抗Rbは、前記ノードn0〜n6の間に接続される。したがって、前記セルバランシング回路20は、電圧センシングラインL0〜L6に並列接続される。
【0030】
本発明による診断装置100は、前記セルバランシング回路20上の高電位ノードと低電位ノードとの間で、前記放電抵抗Rbに直列接続されて逆方向に電圧が印加されることを制限するダイオードDをさらに含むことができる。
前記診断抵抗Rcは、前記セルバランシング回路20とセル電圧センシングラインL0〜L6が接続されたノード(高電位ノードと低電位ノード)を基準として、セル11〜16側の電圧センシングラインL0〜L6上に設けられる。
【0031】
前記電圧センシング回路30は、前記高電位ノードと低電位ノードとの電圧差(以下、ノード間電圧値とする)に該当する電圧を出力する。一方、セル11に対応するノード間電圧値を「V1」と称する。同様に、セル12に対応するノード間電圧値を「V2」、セル13に対応するノード間電圧値を「V3」、セル14に対応するノード間電圧値を「V4」、セル15に対応するノード間電圧値を「V5」、及びセル16に対応するノード間電圧値を「V6」とそれぞれ称する。前記電圧センシング回路30の具体的な構成及び動作原理は、本発明が属する技術分野において広く知られた公知の技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0032】
本発明による診断装置10は、前記電圧センシング回路30に過電流が印加されることを防止するために、前記ノードn0〜n6と電圧センシング回路30との間に接続される過電流保護抵抗Raをさらに含むことができる。
前記セルバランシングスイッチ21〜26は、前記制御部40から出力された制御信号に応じてターンオン(turn on)及びターンオフ(turnoff)される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記セルバランシングスイッチ21〜26は、電界効果トランジスタ(FET)である。ここで、前記制御部40は、電界効果トランジスタのゲート(gate)端子に電圧を印加または遮断して、電界効果トランジスタのターンオン及びターンオフを制御する。したがって、前記電界効果トランジスタ21〜26がターンオンされると、電界効果トランジスタのソース(source)及びドレーン(drain)端子が電気的に接続されて電流が流れる。逆に、前記電界効果トランジスタ21〜26がターンオフされると、電界効果トランジスタのソース及びドレーン端子が電気的に遮断されて電流が流れない。
【0034】
前記セルバランシングスイッチ21がターンオンされると、前記セル11、ノードn1に接続された診断抵抗Rc、ノードn1に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、セルバランシングスイッチ21、及びノードn0に接続された診断抵抗Rcを含む閉回路(closed circuit)が構成される。したがって、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V1」は、前記セル11から出力された電圧のうち、前記ノードn1に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、及びセルバランシングスイッチ21に印加される電圧値である。
【0035】
これに対し、前記セルバランシングスイッチ21がターンオフされると、前記セル11は、開回路(open circuit)を構成する。したがって、前記ノードn1に接続された診断抵抗Rc、ノードn1に接続された過電流保護抵抗Ra、ノードn0に接続された診断抵抗Rc、及びノードn0に接続された過電流保護抵抗Raには、電流が流れない。そのため、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V1」は、前記セル11の電圧値である。
【0036】
前記セルバランシングスイッチ22がターンオンされると、前記セル12、ノードn2に接続された診断抵抗Rc、ノードn2に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、セルバランシングスイッチ22、及びノードn1に接続された診断抵抗Rcを含む閉回路が構成される。したがって、前記電圧センシング回路30から出力するノード間電圧値「V2」は、前記セル12でセンシングした電圧のうち、前記ノードn2に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、及びセルバランシングスイッチ22に印加される電圧値である。
【0037】
これに対し、前記セルバランシングスイッチ22がターンオフされると、前記セル12は、開回路を構成する。したがって、前記ノードn2に接続された診断抵抗Rc、ノードn2に接続された過電流保護抵抗Ra、ノードn1に接続された診断抵抗Rc、及びノードn1に接続された過電流保護抵抗Raには、電流が流れない。そのため、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V2」は、前記セル12の電圧値である。
【0038】
前記セルバランシングスイッチ23がターンオンされると、前記セル13、ノードn3に接続された診断抵抗Rc、ノードn3に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、セルバランシングスイッチ23、及びノードn2に接続された診断抵抗Rcを含む閉回路が構成される。したがって、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V3」は、前記セル13から出力された電圧のうち、前記ノードn3に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、及びセルバランシングスイッチ23に印加される電圧値である。
【0039】
これに対し、前記セルバランシングスイッチ23がターンオフされると、前記セル13は開回路を構成する。したがって、前記ノードn3に接続された診断抵抗Rc、ノードn3に接続された過電流保護抵抗Ra、ノードn2に接続された診断抵抗Rc、及びノードn2に接続された過電流保護抵抗Raには、電流が流れない。そのため、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V3」は、前記セル13の電圧値である。
【0040】
前記セルバランシングスイッチ24がターンオンされると、前記セル14、ノードn4に接続された診断抵抗Rc、ノードn4に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、セルバランシングスイッチ24、及びノードn3に接続された診断抵抗Rcを含む閉回路が構成される。したがって、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V4」は、前記セル14から出力された電圧のうち、前記ノードn4に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、及びセルバランシングスイッチ24に印加される電圧値である。
【0041】
これに対し、前記セルバランシングスイッチ24がターンオフされると、前記セル14は開回路を構成する。したがって、前記ノードn4に接続された診断抵抗Rc、ノードn4に接続された過電流保護抵抗Ra、ノードn3に接続された診断抵抗Rc、及びノードn3に接続された過電流保護抵抗Raには、電流が流れない。そのため、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V4」は、前記セル14の電圧値である。
【0042】
前記セルバランシングスイッチ25がターンオンされると、前記セル15、ノードn5に接続された診断抵抗Rc、ノードn5に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、セルバランシングスイッチ25、及びノードn4に接続された診断抵抗Rcを含む閉回路が構成される。したがって、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V5」は、前記セル15から出力された電圧のうち、前記ノードn5に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、及びセルバランシングスイッチ25に印加される電圧値である。
【0043】
これに対し、前記セルバランシングスイッチ25がターンオフされると、前記セル15は開回路を構成する。したがって、前記ノードn5に接続された診断抵抗Rc、ノードn5に接続された過電流保護抵抗Ra、ノードn4に接続された診断抵抗Rc、及びノードn4に接続された過電流保護抵抗Raには、電流が流れない。そのため、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V5」は、前記セル15の電圧値である。
【0044】
前記セルバランシングスイッチ26がターンオンされると、前記セル16、ノードn6に接続された診断抵抗Rc、ノードn6に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、セルバランシングスイッチ26、及びノードn5に接続された診断抵抗Rcを含む閉回路が構成される。したがって、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V6」は、前記セル16から出力された電圧のうち、前記ノードn6に接続されたダイオードD、放電抵抗Rb、及びセルバランシングスイッチ26に印加される電圧値である。
【0045】
これに対し、前記セルバランシングスイッチ26がターンオフされると、前記セル16は、開回路を構成する。したがって、前記ノードn6に接続された診断抵抗Rc、ノードn6に接続された過電流保護抵抗Ra、ノードn5に接続された診断抵抗Rc、及びノードn5に接続された過電流保護抵抗Raには、電流が流れない。そのため、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V6」は、前記セル16の電圧値である。
【0046】
本明細書においては、前記セルバランシングスイッチ21〜26がターンオフされたとき、前記電圧センシング回路30でセンシングしたノード間電圧値「V1〜V6」を、「セル電圧値」と称する。
【0047】
前記制御部40は、前記セルバランシング回路20のうち、診断対象となる回路を、前記バッテリーパック内で各セルが接続された手順に従って少なくとも二つ以上のグループに分ける。この分ける基準は、多様に予め設定可能である。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記制御部40は、前記バッテリーパック10の低電位端子から各セル11〜16が接続された位置によって奇数グループと偶数グループとに分ける。したがって、セル11、13、15に接続されたセルバランシングスイッチ21、23、25を含むセルバランシング回路は、奇数グループであり、セル12、14、16に接続されたセルバランシングスイッチ22、24、26を含むセルバランシング回路は、偶数グループである。
【0049】
前記制御部40は、前記セルバランシングスイッチ21〜26のターンオン及びターンオフを制御する信号を出力する。ここで、前記制御部40は、前記セルバランシング回路のうち、診断の対象となるセルバランシング回路と、対象ではないセルバランシング回路とを区別して、前記セルバランシングスイッチ21〜26のターンオン及びターンオフを制御する信号を出力する。
【0050】
一例として、前記制御部40は、セルバランシング回路20のうち、セルバランシングスイッチ21、23、25を含む部分のセルバランシング回路を点検するために、奇数グループのセル11、13、15に接続されたセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンする制御信号を出力し、偶数グループのセル12、14、16に接続されたセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオフする制御信号を出力する。
【0051】
逆に、前記制御部40は、セルバランシング回路20のうち、セルバランシングスイッチ22、24、26を含む部分のセルバランシング回路を点検するために、奇数グループのセル11、13、15に接続されたセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオフする制御信号を出力し、偶数グループのセル12、14、16に接続されたセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンする制御信号を出力する。
【0052】
本明細書において、前記セルバランシング回路20のうち、診断対象となるセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチ(21、23、25/逆の場合22、24、26)と隣接するセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチ(22、24、26/逆の場合21、23、25)をターンオフした状態で、診断対象のセルバランシング回路のスイッチ(21、23、25/逆の場合22、24、26)をターンオンしたとき、前記電圧センシング回路30に出力されるノード間電圧値「V1〜V6」を「診断電圧値」と称する。
【0053】
本発明による診断装置100は、メモリー部41を含むことができる。前記メモリー部41は、前記制御部40の内部または外部にあり得、よく知られた多様な手段で前記制御部40に接続可能である。前記メモリー部は、RAM、ROM、EEPROMなど、データを記録または消去することができることが知られた公知の半導体素子やハードディスクのような大容量の保存媒体であり、デバイスの種類にかかわらず情報が保存されるデバイスを総称するものであって、特定のメモリーデバイスを示すものではない。
【0054】
前記制御部40は、以下に詳しく説明する、算出及び多様な制御ロジックを実行するために本発明が属する技術分野において知られたプロセッサ、ASIC(application−specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを含むことができる。また、以下に詳述する制御ロジックがソフトウェアとして具現されるとき、前記制御部40は、プログラムモジュールの集合により具現することができる。ここで、プログラムモジュールは、前記メモリー部41に保存され、プロセッサによって実行することができる。
【0055】
以下、本発明の一実施形態によるセルバランシング回路の故障診断方法を説明する。ただし、上述した診断装置100の各構成及び重複する説明は省略する。また、理解の便宜のために、前記バッテリーパック10に含まれたセル11〜16は、奇数グループのセル11、13、15と偶数グループのセル12、14、16とに分けた実施形態として説明する。
【0056】
図2ないし
図3は、本発明の一実施形態によるセルバランシング回路の故障診断方法の流れを示したフローチャートである。
まず、段階201において、前記制御部40は、前記セルバランシングスイッチ21〜26をターンオフ状態に制御する。そして、前記制御部40は、セルバランシング回路のノード間電圧値V1〜V6を電圧センシング回路30でセンシングする。前記制御部40は、段階201のプロセスを終了し、段階202に移行する。
段階202において、前記制御部40は、ノード間電圧値V1〜V6を「セル電圧値」としてメモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階202のプロセスを終了し、段階203に移行する。
【0057】
段階203において、前記制御部40は、奇数グループのセル11、13、15に接続されたセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチ21、23、25がターンオンされるように制御信号を出力する。それと同時に、偶数グループのセル12、14、16に接続されたセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチ22、24、26がターンオフされるように制御信号を出力する。前記制御部40は、段階203のプロセスを終了し、段階204に移行する。
段階204において、前記制御部40は、ノード間電圧値V1〜V6を「診断電圧値(奇数)」としてメモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階204のプロセスを終了し、段階205に移行する。
【0058】
段階205において、前記制御部40は、偶数グループのセル12、14、16に接続されたセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチ22、24、26がターンオンされるように制御信号を出力する。それと同時に、奇数グループのセル11、13、15に接続されたセルバランシング回路に含まれたセルバランシングスイッチ21、23、25がターンオフされるように制御信号を出力する。前記制御部40は、段階205のプロセスを終了し、段階206に移行する。
段階206において、前記制御部40は、ノード間電圧値V1〜V6を「診断電圧値(偶数)」としてメモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階206のプロセスを終了し、段階207に移行する。
【0059】
段階207において、前記制御部40は、隣接するセル電圧値間の差値を算出し、これを「セル差値」として前記メモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階207のプロセスを終了し、段階208に移行する。
段階208において、前記制御部40は、隣接する「診断電圧値(奇数)」間の差値を算出し、これを「診断差値(奇数)」として前記メモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階208のプロセスを終了し、段階209に移行する。
段階209において、前記制御部40は、隣接する「診断電圧値(偶数)」間の差値を算出し、これを「診断差値(偶数)」として前記メモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階209のプロセスを終了し、段階210に移行する。
【0060】
段階210において、前記制御部40は、セル差値と診断差値(奇数)との差値を算出し、これを「判断値(奇数)」として前記メモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階210のプロセスを終了し、段階211に移行する。
段階211において、前記制御部40は、セル差値と診断差値(偶数)との差値を算出し、これを「判断値(偶数)」として前記メモリー部41に保存する。前記制御部40は、段階211のプロセスを終了し、段階212に移行する。
段階212において、前記制御部40は、前記判断値(奇数)及び判断値(偶数)に対する変化パターンを分析し、セルバランシング回路の故障の有無を判別する。
【0061】
一実施形態によれば、前記制御部40は、隣接する判断値と比較して、レベルが減少する判断値に対応するセルバランシング回路20が故障状態にあると判別することができる。
具体的には、前記判断値(奇数)のうち、奇数グループのセル11、13、15に該当する判断値同士を互いに比較する。ここで、ある一つの判断値が他の判断値に比べてレベルが減少すると、該当の判断値に対応するセルバランシング回路20のセルバランシングスイッチ(21、23、25のいずれか一つ)または配線に問題が生じたと判別する。同様に、前記判断値(偶数)のうち、偶数グループのセル12、14、16に該当する判断値同士を互いに比較する。ここで、ある一つの判断値が他の判断値に比べてレベルが減少すると、該当の判断値に対応するセルバランシング回路20のセルバランシングスイッチ(22、24、26のいずれか一つ)または配線に問題が生じたと判別する。
【0062】
別の実施形態によれば、隣接する判断値と比較して変化量が予め設定された基準変化値よりも大きい場合、対応するセルバランシング回路が故障状態にあると判別することがある。
前記基準変化値は、前記二次電池セル11〜16の特性を考慮して多様に設定することができる。また、予め設定された基準変化値は、前記段階201の前に、前記メモリー部41に保存され得る。
【0063】
具体的には、前記判断値(奇数)のうち、奇数グループのセル11、13、15に該当する判断値同士を互いに比較する。ここで、ある一つの判断値が他の判断値に比べてレベルの減少する程度が前記基準変化値以上であるか判断する。判断値のレベル減少の程度が前記基準変化値以上であれば、該当の判断値に対応するセルバランシング回路20のセルバランシングスイッチ(21、23、25のいずれか一つ)または配線に問題が生じたと判別する。同様に、前記判断値(偶数)のうち、偶数グループのセル12、14、16に該当する判断値同士を互いに比較する。ここで、ある一つの判断値が他の判断値に比べてレベルの減少する程度が前記基準変化値以上であるか判断する。判断値のレベル減少の程度が前記基準変化値以上であれば、該当の判断値に対応するセルバランシング回路20のセルバランシングスイッチ(22、24、26のいずれか一つ)または配線に問題が生じたと判別する。前記実施形態の場合、バッテリーパック10の最低電位端子に位置した二次電池セル11または高電位端子に位置した二次電池セル16に対応する「診断電圧値」が、バッテリーパック10内に位置した他の二次電池セル12、13、14、15に比べて多少低く測定されることによって、故障が発生したと誤判別する問題を解決することができる。
【0064】
本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置及び方法は、従来の故障診断装置及び方法に比べてより正確な故障発生の有無を判断することができる。特に、セルバランシングスイッチを制御するとき、若干の時間差が発生することがある。この場合、前記バッテリーパックに含まれたセルに電圧の変化が発生することがあるが、このような変化を診断値の差値及び判断値から分析することで、正確な故障発生の有無を判別することができる。
【0065】
以下、本発明の効果を具体的な例として説明する。
図4ないし
図9は、セル電圧値及び診断電圧値の具体的な例示値を記載した表である。本例では、
図1に示された回路において、電圧センシングラインL2が断線して故障が発生した状況を仮定した。
【0066】
図4及び
図5は、本発明によらず、単にセル電圧値と診断電圧値との差値を用いて故障の有無を判別する場合である。
先に、
図4は、故障が発生していない場合である。ここで、測定されたセル電圧値は3.5Vであり、診断電圧値(奇数)は3.3Vであり、診断電圧値(偶数)は3.3Vである。したがって、セル電圧値と診断電圧値(奇数)との差値は、全て0.2Vであり、セル電圧値と診断電圧値(偶数)との差値は全て0.2Vである。したがって、すべての差値が同一であるので、故障が発生しなかったと判別する。
【0067】
図5は、故障が発生している場合である。ここで、診断電圧値(奇数)のうち、V3のみが0.5Vに変わり、診断電圧値(偶数)のうち、V2のみが0.5Vに変わったことを確認することができる。したがって、V1、V4、V5、及びV6に該当するセル電圧値と診断電圧値(奇数、偶数)との差値は、全て0.2Vであるが、V2及びV3に該当するセル電圧値と診断電圧値との差値は3.0Vである。したがって、V2及びV3に該当する電圧センシングラインL2に故障が発生したと判別する。
【0068】
しかし、前記
図4及び
図5に示された方法(本発明とは異なる方法)は、バッテリーパック10に含まれた全てのセル11〜16の電圧が同一であり、それとともに、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたときと、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたときのセル電圧値が全て同一である場合を前提条件とする。したがって、前記条件を少しでも満たしていないと、故障判別の正確性が低くなる。以下の
図6は、前記条件を満たしていない場合における故障状況を誤判別する例示である。
【0069】
図6は、故障が発生したが、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたときと、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたとき、セル電圧値が変化した場合である。具体的には、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたとき、セル電圧が3.3Vであって0.2V低い。そして、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたとき、セル電圧が3.7Vであって0.2V高い。
【0070】
その結果、診断電圧値(奇数)のうち、V3が3.3Vとして測定された。そのため、セル電圧値と診断電圧値(V3に該当)との差値が0.2Vとなる。この値は、
図4の場合、即ち、故障が発生していない場合に算出されるセル電圧値と診断電圧値(奇数)との差値と同一値である。したがって、故障が発生したにもかかわらず、正常状態にあると判別することがある。
【0071】
延いては、診断電圧値(偶数)が全て3.49Vとして測定されたことを確認することができる。そのため、セル電圧値と診断電圧値(偶数)との差値が0.01Vとなる。この値は、
図4の場合、すなわち、故障が発生していない場合に算出されるセル電圧値と診断電圧値(偶数)との差値に比べて低いレベルの値である。したがって、電圧センシングラインL2にのみ故障が発生したが、V2、V4、及びV6に該当する全てのセルバランシング回路に故障が発生したと誤判別することがある。
【0072】
これに対し、本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置100及び方法は、セル電圧値が互いに異なる場合にも、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたときにセル電圧値が変化した場合、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたときにセル電圧値が変化した場合にも故障発生の有無を正確に判別することができる。
【0073】
以下、
図7ないし
図9は、本発明によって故障発生の有無を判別する例である。
図7は、故障が発生していないが、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたときと、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたとき、セル電圧値が変化した場合である。具体的には、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたとき、セル電圧値は3.3Vであって、0.2V低くなった。そして、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたとき、セル電圧値は3.7Vであって0.2V高くなった。
【0074】
図7では、本発明の実施形態によって、セル差値、診断差値(奇数)、診断差値(偶数)、判断値(奇数)、及び判断値(偶数)を算出したことを確認することができる。特に、判断値(奇数)及び判断値(偶数)を見れば、値の差が発生していないことを確認することができる。ただし、判断値(奇数)のV5に該当する判断値と、判断値(偶数)のV2に該当する判断値は、バッテリーパック10において最端部に位置するセル11、16の電圧値に関連する特性上、値が若干小さい。しかし、このような差は当然の結果であって、本発明による制御部40は、故障が発生しなかったと判別する。
【0075】
図8は、
図7の場合から進んで、セル電圧値が多様な場合である。即ち、故障が発生しておらず、バッテリーパック10に含まれたセル11〜16が互いに異なる電圧値を有した状態である。同様に、奇数グループに該当するセルバランシングスイッチ21、23、25をターンオンしたとき、セル電圧値は3.3Vであって、0.2V低くなった。そして、偶数グループに該当するセルバランシングスイッチ22、24、26をターンオンしたとき、セル電圧値は3.7Vであって、0.2V高くなった。
【0076】
図8においても、本発明の実施形態によって、セル差値、診断差値(奇数)、診断差値(偶数)、判断値(奇数)、及び判断値(偶数)を算出したことを確認することができる。特に、判断値(奇数)及び判断値(偶数)を見れば、セル電圧値が多様な場合にも判断値(奇数)及び判断値(偶数)に差が発生していないことを確認することができる。ただし、判断値(奇数)のV5に該当する判断値と、判断値(偶数)のV2に該当する判断値は、バッテリーパック10において最端部に位置するセル11、16の電圧値に関連する特性上、値が若干小さい。しかし、このような差は当然の結果であって、本発明による制御部40は、故障が発生していないと判別する。
【0077】
最後に、
図9の実施形態を説明する。
図9は、
図8における電圧センシングラインL2が断線して故障が発生した状況である。
図9においても、本発明の実施形態によって、セル差値、診断差値(奇数)、診断差値(偶数)、判断値(奇数)、及び判断値(偶数)を算出したことを確認することができる。特に、判断値(奇数)のV3を見れば、他の判断値に比べて非常に小さいことを確認することができる。したがって、本発明による制御部40は、セルバランシング回路20に故障が発生したと判別する。
【0078】
前述した本発明によるセルバランシング回路の故障診断の過程は、周期的に行うかあるいは外部からセルバランシング回路の故障診断の要請があった場合、制限的に行うことができる。
一方、本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置は、セルバランシング回路に故障が発生した場合、故障発生と故障原因を外部に通報する故障警報機(図示せず)をさらに含むことができる。前記制御部40は、セルバランシングスイッチに故障があると判別された場合、故障発生信号を故障警報機に伝達し、故障警報機を通じて視覚的または聴覚的にセルバランシングスイッチの故障発生と故障原因を外部に通報する。
【0079】
前記故障警報機は、LED、LCD、アラーム警報機、またはこれらの組合を含む。このような場合、前記故障発生信号が入力されると、前記故障警報機は、LEDを点滅させるか、LCDに警告メッセージを出力するか、またはアラームブザー音を発生させることで、使用者にセルバランシングスイッチの故障発生と故障原因を通報することができる。前記LED、LCD、及びアラーム警報機は、故障警報機の一例に過ぎず、多様に変形した形態の視覚的または聴覚的アラーム装置を故障警報機として採用できることは、本発明が属した技術分野における通常の知識を持つ者に自明である。
【0080】
本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置100は、直列接続された複数の二次電池セルを含むバッテリーパックの一構成要素になり得る。この場合、前記制御部40は、バッテリーパックの充電及び放電を制御するBMS(Battery Management System)に含まれ得る。前記BMSは、充放電電流、各二次電池セルの電圧または電流を含んだ電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化(equalization)制御、SOC(State Of Charge)の推定などを含み、当業者のレベルで適用可能な多様な制御機能を行う。
【0081】
本発明によるバッテリーパックは、前記バッテリーパックと、バッテリーパックから電力の供給を受ける負荷とを含むバッテリー駆動システムの一構成要素になり得る。
前記バッテリー駆動システムの一例としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自転車(E−Bike)、電動工具(Power Tool)、電力貯蔵装置(Energy Storage System)、無静電電源装置(UPS)、携帯用コンピューター、携帯用電話機、携帯用オーディオ装置、携帯用ビデオ装置などがあり、前記負荷の一例としては、バッテリーパックが供給する電力によって回転力を提供するモーター、またはバッテリーパックが供給する電力を各種回路部品が要する電力に変換する電力変換回路がある。
【0082】
一方、本発明を説明することにおいて、
図1に示された本発明によるセルバランシング回路の故障診断装置の各構成は、物理的に区分される構成要素と言うより、論理的に区分される構成要素として理解されなければならない。
すなわち、それぞれの構成は、本発明の技術思想を実現するために論理的な構成要素に該当するので、それぞれの構成要素が統合または分離しても本発明の論理構成が行う機能が実現されるなら、本発明の範囲内にあると解釈されるべきであり、同一または類似の機能を行う構成要素であれば、その名称如何に関わらず、本発明の範囲内にあると解釈されるべきであることは言うまでもない。
【0083】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。